JP6255515B2 - 無線給電システム、および給電側装置 - Google Patents
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Description
本発明は、無線給電システム、給電側装置、および受電側装置に関するものである。
特許文献1には、「ワイヤレス電力トランスミッターからワイヤレス方式で受電するように構成されたワイヤレス電力レシーバーであって、受電コイルをグラウンド電圧に結合するように構成されたスイッチング可能な要素と、前記受電コイルに結合され、別のワイヤレス電力デバイスによって生成されるパルスを検出するように構成された検出器とを備えるワイヤレス電力レシーバー。」が開示されている。
しかし、特許文献1では、送受信装置間でデータ通信を行う際、データの混信を避けながら、データの復調を適切に行う手段については記載されていない。
そこで本発明は、複数の受電側装置がデータを混信することなく給電側装置に送信するとともに、給電側装置が適切にデータを復調する技術を提供することを目的とする。
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下の通りである。上記課題を解決すべく、本発明に係る無線給電システムは、給電側アンテナを介して電力を無線送電する給電側装置と、受電側アンテナを介して受電された前記電力を電源として利用する複数の受電側装置と、を有する無線給電システムであって、前記給電側装置は、前記電力にトリガを挿入するトリガ挿入部と、前記複数の受電側装置のそれぞれにおける第1の時間と、前記複数の受電側装置のそれぞれから送信されるデータの復調に用いる閾値とを対応付けて記憶する第1の記憶部と、前記トリガが前記電力に挿入されてから前記第1の時間が経過すると、前記第1の時間に対応した前記閾値を用いてデータを復調する復調部と、を有し、前記複数の受電側装置のそれぞれは、第2の時間を記憶する第2の記憶部と、受電された前記電力から前記トリガを検出するトリガ検出部と、前記トリガが検出されてから前記第2の時間が経過すると、前記受電側アンテナを介して前記給電側装置にデータ送信を行う送信部と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、複数の受電側装置はデータを混信することなく給電側装置に送信するとともに、給電側装置は適切にデータを復調することができる。上記した以外の課題、構成、および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。近年、自動車やATM(Automatic Teller Machine)、券売機等に代表される電気機械は、制御の複雑化に伴いセンサ数が増加し、センサに対する給電のための配線や信号伝送のための配線が増加している。このため、製品価格の配線コストが占める割合は増加し、省配線化が望まれている。また、配線が多いと生産ラインのロボット化も困難であり、低コスト化のボトルネックであると考えられる。さらに、配線の増加は、機器の修理、保全等の保守コストを増大させる。そこで本件では、給電側装置は、複数の受電側装置に対し、配線を廃して無線で電力を送電するとともに、複数の受電側装置は、混信を避けながらデータを給電側装置に送信する。また、給電側装置は、適切な閾値を用いて、複数の受電側装置から送信されるデータの「H/L」(HおよびLの一方)を判定する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る無線給電システムの一例を示した斜視図である。図1に示すように、無線給電システムは、給電側装置1と、給電側アンテナ2と、受電側装置3とを有している。無線給電システムは、例えば、ATMなどの紙葉類装置内に適用される。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る無線給電システムの一例を示した斜視図である。図1に示すように、無線給電システムは、給電側装置1と、給電側アンテナ2と、受電側装置3とを有している。無線給電システムは、例えば、ATMなどの紙葉類装置内に適用される。
給電側装置1は、給電側アンテナ2を介して、複数の受電側装置3に対し、電力を送電(給電)する。例えば、給電側装置1は、磁界、電界および電磁波の少なくとも1つによって、複数の受電側装置3に対し、電力を送電する。また、給電側装置1は、給電側アンテナ2を介して、複数の受電側装置3から送信されるデータを受信する。
無線給電システムは、複数の受電側装置3を有している。図1の例では、10個の受電側装置3を示しているが、これに限られない。
複数の受電側装置3のそれぞれは、受電側アンテナ(図示せず)を内蔵している。複数の受電側装置3のそれぞれは、内蔵している受電側アンテナを介して、給電側アンテナ2から送電される電力を受電する。また、複数の受電側装置3のそれぞれは、内蔵している受電側アンテナを介して、給電側装置1に対し、データを送信する。
図1には、紙葉類P1〜P3が示してある。紙葉類P1〜P3は、例えば、紙幣である。複数の受電側装置3のそれぞれはセンサ(図示せず)を備え、ある種別の紙葉類(例えば、紙葉類P2)を識別すると、その紙葉類P2をある搬送経路に出力し、また、ある別の紙葉類(例えば、紙葉類P3)を識別すると、その紙葉類P3をある別の搬送経路に出力する。
図2は、給電側装置1と受電側装置3とを説明する図である。図2において、図1と同じものには同じ符号が付してある。以下では複数の受電側装置3を、#1,#2,…,#N(Nは自然数)で識別することがある。
図2に示すように、給電側装置1は、制御装置10を有している。制御装置10は、給電側アンテナ2と接続されている。
受電側装置3は、受電側アンテナ20と、制御装置30と、センサ40とを有している。制御装置30は、受電側アンテナ20およびセンサ40と接続されている。制御装置30は、センサ40のセンシング動作によって得られたデータを、受電側アンテナ20を介して、給電側装置1へ送信する。
受電側装置3は、例えば、受電側アンテナ20と、制御装置30と、センサ40とが、1つのパッケージでモジュール化されている。図2では、「#1」の受電側装置3の構成例しか示していないが、「#2〜#N」の受電側装置3も、「#1」の受電側装置3と同様の構成を有している。
複数の受電側装置3のそれぞれは、互いが送信するデータが混信しないよう、所定のタイミングでデータを給電側装置1に送信する。例えば、「#1」の受電側装置3がデータを給電側装置1に送信した後、「#2」の受電側装置3がデータを給電側装置1に送信し、「#2」の受電側装置3がデータを給電側装置1に送信した後、「#3」の受電側装置3がデータを給電側装置1に送信する。以下同様にして、「#N−1」の受電側装置3がデータを給電側装置1に送信した後、「#N」の受電側装置3がデータを給電側装置1に送信する。
給電側装置1が受信する「#1〜#N」のそれぞれのデータレベル(例えば電圧)は、例えば、給電側装置1と、複数の受電側装置3のそれぞれとの間の伝送条件によって異なる場合がある。例えば、給電側装置1が受信する「#1〜#N」のそれぞれのデータレベルは、給電側装置1と複数の受電側装置3のそれぞれとの間の距離や周囲の環境、給電側装置1が送電する電力の大きさ、受電側装置3の変調度等によって異なる場合がある。
給電側装置1は、閾値によって、受信したデータの「H/L」を判定する。例えば、給電側装置1は、受信したデータが閾値より大きければ、受信したデータを「H」と判定し、閾値より大きくなければ、受信したデータを「L」と判定する。
上記したように、給電側装置1が受信するデータレベルは、複数の受電側装置3のそれぞれによって異なる場合がある。そこで、給電側装置1は、例えば、電源投入時に、複数の受電側装置3のそれぞれに適した閾値を算出する。そして、給電側装置1は、算出した複数の受電側装置3のそれぞれの閾値を用いて、複数の受電側装置3のそれぞれから受信したデータの「H/L」を判定する。
図3は、給電側装置1の制御装置10のブロック構成例を示した図である。図3に示すように、制御装置10は、制御部11と、記憶部12と、発振部13と、増幅部14と、トリガ挿入部15と、復調部16と、閾値算出部17と、コンデンサ18とを有している。図3には、図2に示した給電側アンテナ2も示してある。
制御部11は、制御装置10の全体を制御する。制御部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)によって構成される。
記憶部12には、複数の受電側装置3のそれぞれにおける時間と、複数の受電側装置3のそれぞれから送信されるデータの復調に用いる閾値とを対応付けて記憶する。記憶部12は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリによって構成される。
図4は、記憶部12のデータ構成例を示した図である。図4に示すように、記憶部12には、識別番号12aと、トリガからの時間12bと、閾値12cとが記憶される。
識別番号12aは、複数の受電側装置3を識別する番号である。
トリガからの時間12bは、対応する閾値12cを、受信したデータの「H/L」判定に用いるタイミング(トリガからの時間)である。トリガについては、後述する。
閾値12cは、受信したデータの「H/L」判定を行うための値である。閾値は、例えば、無線給電システムの電源投入時に、閾値算出部17によって算出され、記憶部12に記憶される。
図4の例では、識別番号「#1」の受電側装置3から受信したデータは、閾値「Th1」によって、「H/L」が判定されることを示している。例えば、「#1」の受電側装置3から受信したデータが、閾値「Th1」より大きければ、そのデータは「H」と判定される。また、「#1」の受電側装置3から受信したデータが、閾値「Th1」より大きくなければ、そのデータは「L」と判定される。
また、閾値「Th1」は、トリガから時間「t1」が経過すると、「#1」の受電側装置3のデータ判定のために使用されることを示している(トリガおよび閾値の使用タイミングは、以下で詳述する)。トリガからの時間12bは、「t1<t2…<tN」の関係がある。
図3の説明に戻る。発振部13は、無線電力伝送搬送波周波数の正弦波信号を出力する。増幅部14は、発振部13から出力される正弦波信号を増幅する。
トリガ挿入部15は、制御部11の制御に応じて、増幅部14から出力される信号にトリガ(トリガ信号)を挿入(多重)する。トリガ挿入部15によってトリガが挿入された信号(電力)は、給電側アンテナ2へ出力される。
復調部16は、給電側アンテナ2と接続されている。復調部16は、給電側アンテナ2を介して、受電側装置3から送信されたデータを受信し、そのデータを復調する。復調部16は、復調したデータを制御部11へ出力する。
復調部16は、図3に示すように、検波部16aと、判定部16bとを有している。検波部16aは、給電側アンテナ2によって受信されたデータを包絡線検波する。
判定部16bは、検波部16aによって検波されたデータの「H/L」を判定する。例えば、判定部16bは、制御部11を介して、図4で説明した記憶部12を参照し、トリガ挿入部15によって送電電力にトリガが挿入されてから、トリガからの時間12bが経過すると、トリガからの時間12bに対応した閾値12cを用いて、検波されたデータの「H/L」を判定する。
図5は、給電側アンテナ2によって受信されたデータの検波およびデータ判定を説明する図である。図5の(a)に示す波形W1は、給電側アンテナ2によって受信されたデータ(信号)を示している。給電側アンテナ2によって受信された信号は、受電側装置3による負荷変調によって、振幅が変化している。図5の(a)の例では、時間t0−t1の波形W1は、Hレベルのデータが負荷変調された信号を示しており、時間t1−t2の波形W1は、Lレベルのデータが負荷変調された信号を示している。
図5の(b)に示す波形W2は、波形W1を、検波部16aによって包絡線検波した波形を示してある。図5の(b)に示す点線A1は、検波部16aによって包絡線検波された信号の「H/L」を判定する閾値を示している。判定部16bは、検波部16aによって包絡線検波された信号が、点線A1に示す閾値より大きければ、給電側アンテナ2によって受信された信号を「H」と判定し、点線A1に示す閾値より大きくなければ、給電側アンテナ2によって受信された信号を「L」と判定する。
なお、判定部16bは、トリガ挿入部15によって送電電力にトリガが挿入されてから、トリガからの時間12bが経過すると、点線A1に示す閾値を、トリガからの時間12bに対応する閾値12cに切り替える。そして、判定部16bは、切り替えた閾値12cを用いて、検波部16aによって検波されたデータの「H/L」を判定する。
図3の説明に戻る。閾値算出部17は、例えば、無線給電システムの電源投入時に閾値12cを算出し、記憶部12に記憶する。閾値12cの算出は、後述する。
コンデンサ18は、一端が給電側アンテナ2と接続され、他端がグランドに接続されている。コンデンサ18は、給電側アンテナ2が無線電力伝送搬送波周波数で共振するようにしている。
図6は、受電側装置3の制御装置30のブロック構成例を示した図である。図6に示すように、制御装置30は、制御部31と、記憶部32と、トリガ検出部33と、送信部34と、コンデンサ35,36と、整流部37とを有している。図6には、図2に示した受電側アンテナ20およびセンサ40も示してある。
整流部37は、コンデンサ36を介して、受電側アンテナ20と接続されている。整流部37は、受電側アンテナ20を介して受電した電力を整流(直流に)し、制御装置30の各部と、センサ40とへ出力する。コンデンサ36は、受電側アンテナ20が無線電力伝送搬送波周波数で共振するようにしている。
制御装置30の各部は、整流部37によって整流された電力を電源として動作する。センサ40は、整流部37によって整流された電力を電源としてセンシング動作をし、センシング動作で得たデータを制御部31に出力する。
制御部31は、制御装置30の全体を制御する。制御部31は、例えば、CPUによって構成される。
記憶部32には、センサ40がセンシング動作によって得たデータを、給電側装置1へ送信すべき時間が記憶されている。給電側装置1へ送信すべき時間は、予め記憶部32に記憶されている。記憶部32は、例えば、RAMやROMなどのメモリによって構成される。
図7は、記憶部32のデータ構成例を示した図である。図7には、「#1〜#N」の受電側装置3のそれぞれの記憶部32のデータ構成例が示してある。
「#1〜#N」の受電側装置3のそれぞれの記憶部32には、「#1〜#N」の受電側装置3のそれぞれが、給電側装置1へデータ送信するタイミング(トリガからの時間)が記憶されている。
例えば、図7の例では、「#1」の受電側装置3は、次に説明するトリガ検出から時間「t1」が経過すると、センサ40のデータを給電側装置1へ送信することを示している。また、「#2」の受電側装置3は、次に説明するトリガ検出から時間「t2」が経過すると、センサ40のデータを給電側装置1へ送信することを示している。
図6の説明に戻る。トリガ検出部33には、受電側アンテナ20を介して受電された電力が入力される。トリガ検出部33は、給電側装置1によって電力に挿入されたトリガを検出し、制御部31に出力する。
送信部34は、制御部31から出力されるオン・オフ信号に基づいて、負荷変調を行う。例えば、送信部34は、FET(Field Effect Transistor)を有しており、そのFETのスイッチ動作によって、受電側アンテナ20と、その後段の回路とのインピーダンス整合を変化させる。これにより、受電側装置3の反射電力が変化し、給電側装置1は、この反射電力の変化を復調することによって、受電側装置3から送信されるデータを受信する。
制御部31には、センサ40がセンシング動作によって得たデータが入力される。制御部31は、トリガ検出部33によってトリガが検出されてから、記憶部32のトリガからの時間32aが経過すると、センサ40のデータに応じたオン・オフ信号を送信部34に出力する。
例えば、図7の例の場合、「#1」の制御部31は、トリガが検出されてから時間「t1」が経過すると、センサ40のデータに応じたオン・オフ信号を送信部34に出力する。「#1」の送信部34は、負荷変調によって、センサ40のデータを給電側装置1へ送信する。また、「#2」の制御部31は、トリガが検出されてから時間「t2」が経過すると、センサ40のデータに応じたオン・オフ信号を送信部34に出力する。「#2」の送信部34は、負荷変調によって、センサ40のデータを給電側装置1へ送信する。
なお、図3に示した復調部16は、上記したように、受電側装置3から送信されたデータ(負荷変調により変化した反射電力)を、包絡線検波して復調し、復調したデータを制御部11に出力する。制御部11は、復調部16で復調されたデータを、例えば、出力ポート(図3に図示しない)を介して外部の装置に出力する。
図8は、無線給電システムのデータ送信およびデータ受信のタイミングチャートである。図8に示すタイミングチャートT1は、「#1〜#N」の受電側装置3がデータを送信するタイミングを示している。タイミングチャートT2は、給電側装置1がデータを受信するタイミングを示している。図8に示す「トリガ」は、給電側装置1のトリガ挿入部15が、送電電力にトリガを挿入するタイミングを示している。
受電側装置3のトリガ検出部33は、給電側装置1から送電された電力に挿入されているトリガを検出する。給電側装置1から送電された電力に挿入されているトリガの検出は、「#1〜#N」の全ての受電側装置3において行われる。従って、トリガの検出タイミングは、「#1〜#N」の全ての受電側装置3において同じ(ほぼ同じ)になる。例えば、「#1〜#N」の全ての受電側装置3のトリガの検出タイミングは、図8に示す「トリガ」のタイミングとなる。
「#1〜#N」のそれぞれの受電側装置3の制御部31は、トリガが検出されてから、記憶部32のトリガからの時間32aが経過すると、センサ40から出力されるデータに応じたオン・オフ信号を送信部34に出力する。
例えば、「#1〜#N」のそれぞれの受電側装置3の記憶部32に、図7に示したデータ例が記憶されている場合、タイミングチャートT1に示すように、トリガ検出から時間「t1」が経過すると、「#1」の受電側装置3が、給電側装置1へデータを送信する。「#1」のデータ送信時間は、長くても「#2」の受電側装置3がデータ送信を開始するまでの時間である。
また、タイミングチャートT1に示すように、トリガ検出から時間「t2」が経過すると、「#2」の受電側装置3が、給電側装置1へデータを送信する。「#2」のデータ送信時間は、長くても「#3」の受電側装置3がデータ送信を開始するまでの時間である。
以下同様に、トリガ検出から時間「tN」が経過すると、「#N」の受電側装置3が、給電側装置1へデータを送信する。「#N」のデータ送信時間は、長くても「#1」の受電側装置3がデータ送信を開始するまでの時間である。
タイミングチャートT1に示すように、「#1〜#N」のそれぞれの受電側装置3は、互いのデータが混信しないように、タイミングをずらしてデータを送信する。従って、給電側装置1の復調部16は、タイミングチャートT2に示すタイミングで、「#1〜#N」の受電側装置3のデータを受信する。
給電側装置1が受信する、「#1〜#N」のデータレベルは、上記したように、「#1〜#N」のそれぞれの受電側装置3において異なる場合がある。そこで、給電側装置1の判定部16bは、「#1〜#N」のそれぞれの受電側装置3に適した閾値を用いて、データの「H/L」を判定する。
図9は、給電側装置1が受信するデータ例を示した図のその1である。図9の(a)には、給電側装置1の検波部16aが受信するデータ(信号)の波形が示してある。図9の(b)には、検波部16aが、図9の(a)の信号を包絡線検波した波形が示してある。
なお、図9に示す時間t1〜t4は、図8に示した時間t1〜t4(図8では時間t3,t4の図示を省略している)に対応している。また、図9に示す「トリガ」は、給電側装置1が送電電力に挿入したトリガのタイミングを示している。
図9の(a)の時間t1−t2の波形W11aは、「#1」の受電側装置3から受信した信号の波形を示している。波形W11aの例の場合、「#1」の受電側装置3は、「H」の信号を送信し、その後「L」の信号を送信している。
図9の(a)の時間t2−t3の波形W11bは、「#2」の受電側装置3から受信した信号の波形を示している。波形W11bの例の場合、「#2」の受電側装置3は、「H」の信号を送信し、その後「L」の信号を送信している。
図9の(a)の時間t3−t4の波形W11cは、「#3」の受電側装置3から受信した信号の波形を示している。波形W11cの例の場合、「#3」の受電側装置3は、「H」の信号を送信し、その後「L」の信号を送信している。
「#1〜#N」のそれぞれの受電側装置3から受信する信号のレベルは、伝送条件によって、波形W11a〜11cに示すように異なる場合がある。図9の(a)の例の場合、「H」の信号レベルは、「#1〜#3」で同じであるが、「L」の信号レベルは、「#1〜#3」で異なっている(小さくなっている)。
図9の(b)の時間t1−t2の波形W12aは、「#1」の受電側装置3から受信した信号(波形W11a)を包絡線検波した波形を示している。
図9の(b)の時間t2−t3の波形W12bは、「#2」の受電側装置3から受信した信号(波形W11b)を包絡線検波した波形を示している。
図9の(b)の時間t3−t4の波形W12cは、「#3」の受電側装置3から受信した信号(波形W11c)を包絡線検波した波形を示している。
図9の(b)に示す点線A11a〜A11cは、包絡線検波された信号(波形W12a〜12c)の「H/L」判定を行うための閾値を示している。給電側装置1の判定部16bは、点線A11a〜11cに示す閾値を用いて、包絡線検波された信号(波形W12a〜12c)の「H/L」を判定する。
記憶部12には、複数の受電側装置3のそれぞれの信号の、「H/L」を適切に判定するための閾値12cが記憶されている(図4を参照)。点線A11a〜A11cに示す閾値は、記憶部12に記憶されている閾値12cである。例えば、点線A11aに示す閾値は、「#1」の受電側装置3から受信した信号の「H/L」を判定するための閾値であり、その値は「Th1」である。点線A11bに示す閾値は、「#2」の受電側装置3から受信した信号の「H/L」を判定するための閾値であり、その値は「Th2」である。点線A11cに示す閾値は、「#3」の受電側装置3から受信した信号の「H/L」を判定するための閾値であり、その値は「Th3」である。
記憶部12の識別番号12aに対応するそれぞれのトリガからの時間12bと、「#1〜#N」の受電側装置3のそれぞれの記憶部32のトリガからの時間32aは、対応した時間(同じ時間またはほぼ同じ時間)となっている。例えば、図4の「#1」のトリガからの時間「t1」と、図7の「#1」のトリガからの時間「t1」は対応し、同じ時間である。また、図4の「#2」のトリガからの時間「t2」と、図7の「#2」のトリガからの時間「t2」は対応し、同じ時間である。これにより、給電側装置1の判定部16bは、「#1〜#N」の受電側装置3のそれぞれから受信した信号に対し、「#1〜#N」の受電側装置3のそれぞれに適した閾値を用いて、「H/L」を適切に判定することができる。
図10は、給電側装置1が受信するデータ例を示した図のその2である。図10の(a)には、給電側装置1の送電電力が徐々に大きくなる場合の、給電側装置1の検波部16aが受信するデータ(信号)の波形が示してある。図10の(b)には、検波部16aが、図10の(a)の信号を包絡線検波した波形が示してある。
なお、図10に示す時間t1〜t4は、図8に示した時間t1〜t4(図8では時間t3,t4の図示を省略している)に対応している。また、図10に示す「トリガ」は、給電側装置1が送電電力に挿入したトリガのタイミングを示している。
給電側装置1の送電電力が徐々に大きくなると、図10の(a)に示すように、給電側装置1の検波部16aが受信する信号の振幅も徐々に大きくなる。
記憶部12には、複数の受電側装置3のそれぞれの信号の、「H/L」を適切に判定するための閾値12cが記憶されている。例えば、記憶部12には、図10の(b)の点線A12a〜A12cに示す閾値が記憶されている。これにより、判定部16bは、給電側装置1の検波部16aが受信する信号の振幅が徐々に大きくなる場合であっても、受信された信号の「H/L」を適切に判定することができる。
なお、図10では、給電側装置1の送電電力が徐々に大きくなる場合の例について説明したが、給電側装置1の送電電力が徐々に小さくなる場合も同様である。また、給電側装置1の送電電力が大きくなったり、小さくなったりする場合も同様である。
以下、無線給電システムの動作について説明する。無線給電システムの動作は、大きく2つに分けられる。1つは、給電側装置1が受信データの「H/L」を判定するための閾値を算出する動作(閾値算出モード)である。もう1つは、算出した閾値を用いて、給電側装置1が受信データを復調する動作(通常モード)である。
図11は、無線給電システムの動作モードを決定する動作例を示したフローチャートである。図11に示すフローチャートは、例えば、無線給電システムの電源投入時に実行される。なお、給電側装置1の記憶部12の所定の領域(図4には図示せず)には、閾値を算出したか否かを示す閾値算出フラグが記憶されているとする。閾値算出フラグは、例えば、工場出荷時等において、閾値が算出されていないことを示す「0」が設定されているとする。
まず、給電側装置1の閾値算出部17は、記憶部12を参照し、閾値算出フラグを読み込む(ステップS1)。
次に、閾値算出部17は、ステップS1にて読み込んだ閾値算出フラグに基づき、閾値を算出しているか否か判定する(ステップS2)。例えば、閾値算出部17は、ステップS1にて読み込んだ閾値算出フラグが「0」の場合、閾値を算出していないと判定し、「1」の場合、閾値を算出していると判定する。閾値算出部17は、閾値を算出していると判定した場合(S2の「Yes」)、処理をステップS5へ移行する。閾値算出部17は、閾値を算出していないと判定した場合(S2の「No」)、処理をステップS3へ移行する。
ステップS2にて、閾値算出部17が「No」と判定した場合、無線給電システムは、閾値算出モードを実行する(ステップS3)。すなわち、無線給電システムは、「#1〜#N」の受電側装置3のそれぞれから受信するデータレベルに応じた閾値を算出する。無線給電システムは、算出した閾値(閾値12c)を記憶部12に記憶する。
次に、閾値算出部17は、閾値算出フラグを「済」に設定する(ステップS4)。例えば、閾値算出部17は、閾値算出フラグを「1」に設定する。
ステップS2にて、閾値算出部17が「Yes」と判定した場合、または、閾値算出部17がステップS4の処理を実行した場合、無線給電システムは、通常モードを実行する(ステップS5)。すなわち、無線給電システムは、ステップS3の閾値算出モードにて記憶部12に記憶した閾値12cを用いて、「#1〜#N」の受電側装置3から送信されたデータを復調する。
図12は、閾値算出モードの動作例を説明するシーケンス図である。図12に示すシーケンスは、図11のステップS3の処理におけるシーケンスを示している。まず、給電側装置1の制御装置10の動作例について説明する。
制御部11は、発振部13に対し、無線電力伝送搬送波周波数の正弦波信号を出力するよう制御する(ステップS11)。これにより、給電側装置1から、「#1〜#N」の受電側装置3に、所定の電力が送電される。
次に、制御部11は、トリガ挿入部15に対し、増幅部14から出力される信号(電力)にトリガを挿入するよう制御する(ステップS12)。これにより、トリガが挿入された電力が、「#1〜#N」の受電側装置3に送電される。
次に、閾値算出部17は、ステップS12でのトリガ挿入の制御を契機に、時間のカウントを開始する(ステップS13)。
次に、閾値算出部17は、記憶部12を参照し、識別番号「#1」を取得する(ステップS14)。
次に、閾値算出部17は、ステップS13にてカウントを開始した時間が、ステップS14またはステップS17にて取得した識別番号に対応するトリガからの時間12bになると、閾値を算出する(ステップS15)。すなわち、閾値算出部17は、「#1〜#N」の受電側装置3のそれぞれの閾値を算出する。閾値の算出は、以下で詳述する。
次に、閾値算出部17は、全ての識別番号に対し、閾値の算出を行ったか否か判定する(ステップS16)。閾値算出部17は、全ての識別番号に対し、閾値の算出を行ったと判定した場合(S16の「Yes」)、処理をステップS18へ移行する。閾値算出部17は、全ての識別番号に対し、閾値の算出を行っていないと判定した場合(S16の「No」)、処理をステップS17へ移行する。
閾値算出部17は、ステップS16にて「No」の判定を行った場合、識別番号に「1」を加算する(ステップS17)。そして、閾値算出部17は、処理をステップS15へ移行する。
閾値算出部17は、ステップS16にて「Yes」の判定を行った場合、時間のカウントをリセットする(ステップS18)。そして、閾値算出部17は、当該シーケンスの処理を終了し、処理を図11のステップS4へ移行する。
受電側装置3の制御装置30の動作例について説明する。「#1〜#N」のそれぞれの受電側装置3が、下記のステップS21〜S26の処理を実行する。
まず、整流部37は、ステップS11にて、給電側装置1から送電された電力を受電する(ステップS21)。
次に、整流部37は、ステップS21にて受電した電力を整流する(ステップS22)。整流部37は、整流した電力を制御装置30の各部およびセンサ40に供給する。
次に、トリガ検出部33は、給電側装置1から送電された電力に挿入されているトリガを検出する(ステップS23)。
次に、制御部31は、ステップS23でのトリガの検出を契機に、時間のカウントを開始する(ステップS24)。
次に、制御部31は、ステップS24にてカウントを開始した時間が、記憶部32のトリガからの時間32aになると、センサ40のデータに基づいて、送信部34を制御する(ステップS25)。これにより、送信部34は、センサ40のデータを、負荷変調によって給電側装置1へ送信する。
次に、制御部31は、時間のカウントをリセットする(ステップS26)。そして、制御部31は、当該シーケンスの処理を終了し、処理を図11のステップS5へ移行する。
図13は、閾値算出の動作例を示したフローチャートである。図13に示すフローチャートは、図12のステップS15の詳細な処理を示している。
なお、「#1〜#N」のそれぞれの制御部31は、図12のステップS25の負荷変調において、「H」と「L」とを一定割合で含むデータを給電側装置1に送信しているとする。例えば、伝送路符号にマンチェスタ符号を用いれば、1データ送信ごとに「H」と「L」とが含まれるので、制御部31は、「H」と「L」とを一定割合で含むデータを給電側装置1に送信することができる。
なお、「#1〜#N」のそれぞれの制御部31は、図12のステップS25の負荷変調において、「H」と「L」とを一定割合で含むデータを給電側装置1に送信しているとする。例えば、伝送路符号にマンチェスタ符号を用いれば、1データ送信ごとに「H」と「L」とが含まれるので、制御部31は、「H」と「L」とを一定割合で含むデータを給電側装置1に送信することができる。
また、給電側装置1の記憶部12の所定の領域(図4には図示せず)には、予め初期閾値が記憶されているとする。復調部16の判定部16bは、最初、記憶部12の所定領域に記憶されている初期閾値を用いて、検波部16aによって検波されたデータの「H/L」を判定する。
まず、閾値算出部17は、復調部16から復調データを取得する(ステップS31)。すなわち、閾値算出部17は、判定部16bが初期閾値を用いて「H/L」を判定した判定結果を取得する。
次に、閾値算出部17は、ステップS31にて取得した復調データが、前回の復調データに対し、「L」のままであるか、「H」のままであるか、「L」から「H」に切り替わったかまたは「H」から「L」に切り替わったか判定する(ステップS32)。閾値算出部17は、ステップS31にて取得した復調データが「L」のままであると判定した場合(S32の「Lのまま」)、処理をステップS33へ移行する。閾値算出部17は、ステップS31にて取得した復調データが「H」のままであると判定した場合(S32の「Hのまま」)、処理をステップS35へ移行する。閾値算出部17は、ステップS31にて取得した復調データが「L」から「H」に切り替わった、または「H」から「L」に切り替わったと判定した場合(S32の「H−L」)、処理をステップS37へ移行する。
閾値算出部17は、ステップS32にて「Lのまま」の判定を行った場合、判定部16bがデータ判定に用いている閾値(初期閾値)を一定値下げる(ステップS33)。すなわち、判定部16bがデータ判定に用いている閾値が、受信データのHレベルより大きい場合、閾値算出部17は、処理をステップS32からステップS33へ移行し、判定部16bがデータ判定に用いる閾値を一定値下げる。
次に、閾値算出部17は、ステップS33にて一定値下げた閾値を、判定部16bに出力する(ステップS34)。そして、閾値算出部17は、ステップS31へ処理を移行する。なお、判定部16bは、ステップS34にて更新された閾値(一定値下げられた閾値)を用いて、データの「H/L」判定を行う。
閾値算出部17は、ステップS32にて「Hのまま」の判定を行った場合、判定部16bがデータ判定に用いている閾値(初期閾値)を一定値上げる(ステップS35)。すなわち、判定部16bがデータ判定に用いている閾値が、受信データのLレベルより小さい場合、閾値算出部17は、処理をステップS32からステップS35へ移行し、判定部16bがデータ判定に用いる閾値を一定値上げる。
次に、閾値算出部17は、ステップS35にて一定値上げた閾値を、判定部16bに出力する(ステップS36)。そして、閾値算出部17は、ステップS31へ処理を移行する。なお、判定部16bは、ステップS36にて更新された閾値(一定値上げられた閾値)を用いて、データの「H/L」判定を行う。
閾値算出部17は、ステップS32にて「H−L」の判定を行った場合、判定部16bがデータ判定に用いている閾値を、制御部11を介して、閾値12cとして記憶部12に記憶する(ステップS37)。すなわち、判定部16bがデータ判定に用いている閾値が、受信データのHレベルとLレベルとの間にある場合、閾値算出部17は、処理をステップS32からステップS37へ移行し、判定部16bがデータ判定に用いている閾値を記憶部12に記憶する。そして、閾値算出部17は、当該フローチャートの処理を終了し、処理を図12のステップS16へ移行する。
このように、閾値算出部17は、初期閾値を用いて、「#1〜#N」の受電側装置3のそれぞれが送信するデータのH状態およびL状態を判定し、判定結果に基づいて初期閾値を変更して、閾値12cを算出する。これにより、記憶部12には、「#1〜#N」のそれぞれの受電側装置3に適した閾値12cが、受電側装置3の識別番号12aに対応して記憶される。
なお、閾値算出のアルゴリズムは、図13のフローチャートの例に限られない。すなわち、閾値算出モードでは、「#1〜#N」のそれぞれの受電側装置3に適した閾値12cが算出され、記憶部12に記憶されればよい。
例えば、初期閾値を、判定部16bがどのような受信データであっても「L」と判定する値にする。閾値算出部17は、この初期閾値を一定値ずつ下げ、判定部16bが「H」を判定したときの閾値(第1の閾値とする)を取得する。閾値算出部17は、さらに閾値を一定値ずつ下げ、判定部16bが「H」のみを判定するようになったときの閾値(第2の閾値とする)を取得する。そして、閾値算出部17は、第1の閾値と第2の閾値との中間値を算出し、算出した中間値を、制御部11を介して、閾値12cとして記憶部12に記憶する。
次に、通常モードの動作について説明する。
図14は、通常モードの動作例を説明するシーケンス図である。図14に示すシーケンスは、図11のステップS5の処理におけるシーケンスを示している。給電側装置1の制御装置10および受電側装置3の制御装置30は、所定の周期で図14に示すシーケンスの処理を繰り返し実行する。なお、給電側装置1の記憶部12には、閾値算出モードによって、閾値12cが記憶されているとする。まず、給電側装置1の制御装置10の動作例について説明する。
制御部11は、発振部13に対し、無線電力伝送搬送波周波数の正弦波信号を出力するよう制御する(ステップS41)。これにより、給電側装置1から、「#1〜#N」の受電側装置3に、所定の電力が送電される。
次に、制御部11は、トリガ挿入部15に対し、増幅部14から出力される信号(電力)にトリガを挿入するよう制御する(ステップS42)。これにより、トリガが挿入された電力が、「#1〜#N」の受電側装置3に送電される。
次に、判定部16bは、ステップS42でのトリガ挿入の制御を契機に、時間のカウントを開始する(ステップS43)。
次に、判定部16bは、記憶部12を参照し、識別番号「#1」を取得する(ステップS44)。
次に、判定部16bは、ステップS43にてカウントを開始した時間が、ステップS44またはステップS47にて取得した識別番号に対応するトリガからの時間12bになると、そのトリガからの時間12bに対応する閾値12cを取得する。そして、判定部16bは、取得した閾値12cを用いて、検波部16aによって検波されたデータの「H/L」を判定する(ステップS45)。
次に、判定部16bは、全ての識別番号に対し、データの判定を行ったか否か判定する(ステップS46)。判定部16bは、全ての識別番号に対し、データの判定を行ったと判定した場合(S46の「Yes」)、処理をステップS48へ移行する。判定部16bは、全ての識別番号に対し、データの判定を行っていないと判定した場合(S46の「No」)、処理をステップS47へ移行する。
判定部16bは、ステップS46にて「No」の判定を行った場合、識別番号に「1」を加算する(ステップS47)。そして、判定部16bは、処理をステップS45へ移行する。
判定部16bは、ステップS46にて「Yes」の判定を行った場合、時間のカウントをリセットする(ステップS48)。
次に、制御部11は、記憶部12のトリガからの時間12bに基づいて、判定部16bが判定したデータを、「#1〜#N」のデータと認識する(ステップS49)。例えば、制御部11は、トリガを挿入してから時間「t1」後に受信したデータは「#1」のデータと認識する。また、制御部11は、トリガを挿入してから時間「t2」後に受信したデータは「#2」のデータと認識する。制御部11は、認識したデータを、例えば、出力ポート(図示しない)を介して、外部の装置へ出力する。
受電側装置3の制御装置30の動作(ステップS51〜ステップS56)は、図12で説明したステップS21〜ステップS26と同様であり、その説明を省略する。なお、「#1〜#N」のそれぞれの受電側装置3が、ステップS51〜S56の処理を実行する。
このように、給電側装置1の記憶部12には、複数の受電側装置3のそれぞれにおけるトリガからの時間12bと、複数の受電側装置3のそれぞれから送信されるデータの復調に用いる閾値12cとが対応付けられて記憶される。トリガ挿入部15は、複数の受電側装置3に送電する電力にトリガを挿入し、復調部16は、トリガが電力に挿入されてから、記憶部12のトリガからの時間12bが経過すると、トリガからの時間12bに対応した閾値12cを用いてデータを復調する。受電側装置3の記憶部32には、トリガからの時間32aが記憶される。トリガ検出部33は、受電された電力からトリガを検出し、送信部34は、トリガが検出されてから、記憶部32のトリガからの時間32aが経過すると、センサ40のデータを給電側装置1へ送信する。
これにより、複数の受電側装置3はデータを混信することなく給電側装置1に送信するとともに、給電側装置1は適切にデータを復調することができる。
なお、図3に示した増幅部14とトリガ挿入部15は、その位置が入れ替わってもよい。例えば、発振部13の後段にトリガ挿入部15を設け、トリガ挿入部15の後段に増幅部14を設けてもよい。
また、閾値算出部17は、算出した閾値を、制御部11を介さずに、記憶部12に記憶してもよい。また、判定部16bは、制御部11を介さずに、記憶部12に記憶されている閾値12cを取得し、受信データの「H/L」を判定してもよい。
また、上記では、無線給電システムは、電源投入時に閾値算出モードを実行したが、定期的に実行してもよい。これにより、無線給電システムは、例えば、経年によって伝送条件が変わり、給電側装置1が受信するデータレベルが変化しても、適切な閾値を用いてデータの「H/L」を判定することができる。また、無線給電システムは、電源投入されるたびに、閾値算出モードを実行してもよい。すなわち、無線給電システムは、図11のステップS1,S2を実行しなくてもよい。この場合、ユーザは、無線給電システムの電源を切って、電源を再投入すれば、記憶部12の閾値12cを更新することができる。
また、閾値算出部17は、定期的に閾値を算出し、算出した閾値の値に応じて、アラームを出力してもよい。例えば、閾値算出部17は、算出した閾値が所定の範囲内にない場合、閾値が異常であると判定して、アラームを出力する。具体的には、受電側装置3が故障した場合、給電側装置1が受信するデータレベルは異常レベルとなり、閾値は所定の範囲から外れる場合がある。閾値算出部17は、このような受電側装置3の故障による閾値異常を判定し、アラームを出力することができる。
また、上記では、記憶部12の所定領域に閾値算出フラグを記憶したが、閾値算出フラグに替えて、記憶部12の閾値12cが記憶される領域に、特定の値の特定閾値を記憶してもよい。例えば、工場出荷時において、記憶部12の閾値12cが記憶される領域に、閾値算出が行われていないことを示す特定の値の特定閾値を記憶する。閾値算出部17は、閾値算出モードのとき、記憶部12の閾値12cが記憶される領域に、特定の値の特定閾値が記憶されている場合、閾値12cを算出する。そして、閾値算出部17は、記憶部12の特定閾値に対し、算出した閾値12cを上書きする。
また、上記では、記憶部12の所定領域に初期閾値を記憶するとしたが、記憶部12の閾値12cが記憶される領域に、複数の受電側装置3のそれぞれに適した初期閾値を記憶してもよい。例えば、工場出荷時において、記憶部12の識別番号「#1」の閾値12cが記憶される領域に、識別番号「#1」に適した初期閾値を記憶する。また、記憶部12の識別番号「#2」の閾値12cが記憶される領域に、識別番号「#2」に適した初期閾値を記憶する。以下同様にして、記憶部12の識別番号「#N」の閾値12cが記憶される領域に、識別番号「#N」に適した初期閾値を記憶する。
識別番号「#1〜#N」のそれぞれに適した初期閾値は、無線給電システムの設計時に予め計算される。例えば、無線給電システムの設計時に、無線給電システムの伝送条件から、給電側装置1が複数の受電側装置3のそれぞれから受信するデータレベルを計算し、計算したデータレベルの「H/L」を適切に判定できる初期閾値を計算する。このように、「#1〜#N」のそれぞれの受電側装置3に適した初期閾値を記憶部12に記憶することにより、無線給電システムは、閾値算出時間を短縮することができる。
なお、判定部16bは、閾値算出モードのとき、記憶部12に記憶されている「#1〜#N」のそれぞれに対応する初期閾値を用いて、「#1〜#N」の受電側装置3のそれぞれのデータの「H/L」を判定する。そして、閾値算出部17は、「#1〜#N」の受電側装置3のそれぞれの閾値12cを算出し、算出した閾値12cを記憶部12の初期閾値に対して上書きする。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、ADC(Analog to Digital Convertor)の出力を用いて閾値を算出する。また、ADCの出力から、受信データの「H/L」を判定する。
第2の実施の形態では、ADC(Analog to Digital Convertor)の出力を用いて閾値を算出する。また、ADCの出力から、受信データの「H/L」を判定する。
図15は、第2の実施の形態に係る給電側装置1の制御装置10のブロック構成例を示した図である。図15において、図3と同じものには同じ符号が付してある。以下では、図3と異なる部分について説明する。なお、第2の実施の形態に係る受電側装置は、第1の実施の形態に係る受電側装置3と同様であり、その説明を省略する。
図3に示すように、復調部16は、ADC16cを有している。ADC16cは、検波部16aによって包絡線検波されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、判定部16bと閾値算出部41とに出力する。判定部16bは、ADC16cから出力される、デジタル信号に変換された包絡線検波信号の「H/L」を判定する。
閾値算出部41は、例えば、電源投入時に、ADC16cから出力される、デジタル信号に変換された包絡線検波信号に基づいて閾値を算出し、制御部11を介して、記憶部12に記憶する。
第2の実施の形態における閾値算出モードのシーケンス図は、図12と同様である。ただし、ステップS15の閾値算出処理が異なる。
図16は、閾値算出部41の動作例を説明する図である。図16に示す黒丸は、ADC16cから出力された包絡線検波信号のデジタル値を示している。閾値算出部41は、図12のステップS15において、以下のような処理を行う。
閾値算出部41は、ADC16cから出力されるデジタル信号を、その大きさに基づいてHレベルのグループと、Hレベルより値の小さいLレベルのグループとに分類する。
閾値算出部41は、デジタル信号をHレベルおよびLレベルのグループに分類すると、分類したHレベルのグループのデジタル信号の平均値と、Lレベルのグループのデジタル信号の平均値とを算出する。そして、閾値算出部41は、2つの平均値の中央の値を閾値とする。
例えば、図16の点線21aは、Hレベルのグループの平均値を示している。点線21bは、Lレベルのグループの平均値を示している。閾値算出部41は、点線21a,21bに示す2つの平均値の中央の値を算出し、閾値とする。図16の実線A22は、2つの平均値の中央の値(閾値)を示している。
図17は、閾値算出の動作例を示したフローチャートである。図17に示すフローチャートは、図12のステップS15の詳細な処理を示している。なお、「#1〜#N」の受電側装置3のそれぞれの送信部34は、「H」と「L」とを一定割合で含むデータを給電側装置1に送信しているとする。
まず、閾値算出部41は、ADC16cから出力されるデジタル信号を、HレベルのグループとLレベルのグループとに分類する(ステップS61)。
次に、閾値算出部41は、ステップS61にて分類したHレベルのグループのデジタル信号の平均値を算出する(ステップS62)。
次に、閾値算出部41は、ステップS61にて分類したLレベルのグループのデジタル信号の平均値を算出する(ステップS63)。
次に、閾値算出部41は、ステップS62およびステップS63にて算出した2つの平均値から閾値を算出する(ステップS64)。
次に、閾値算出部41は、ステップS64にて算出した閾値を、閾値12cとして記憶部12に記憶する(ステップS65)。そして、閾値算出部41は、当該フローチャートの処理を終了し、処理を図12のステップS16へ移行する。
このように、無線給電システムは、ADC16cから出力されるデジタル信号から閾値を算出する。これによっても、給電側装置1は適切にデータを復調することができる。
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、給電側装置は、閾値を算出するとき、ユニークワードを複数の受電側装置に送信する。複数の受電側装置は、給電側装置からユニークワードを受信すると、トレーニング信号を給電側装置に送信する。給電側装置は、複数の受電側装置から受信したトレーニング信号に基づいて、閾値を算出する。
第3の実施の形態では、給電側装置は、閾値を算出するとき、ユニークワードを複数の受電側装置に送信する。複数の受電側装置は、給電側装置からユニークワードを受信すると、トレーニング信号を給電側装置に送信する。給電側装置は、複数の受電側装置から受信したトレーニング信号に基づいて、閾値を算出する。
図18は、第3の実施の形態に係る給電側装置1の制御装置10のブロック構成例を示した図である。図18において、図3と同じものには同じ符号が付してある。以下では、図3と異なる部分について説明する。
図18に示すように、制御装置10は、ユニークワード挿入部51を有している。ユニークワード挿入部51は、制御部11の制御に応じて、閾値算出モードのとき、増幅部14から出力される信号にユニークワードを挿入(多重)する。ユニークワード挿入部51によってユニークワードが挿入された信号(電力)は、給電側アンテナ2へ出力される。
なお、トリガ挿入部15は、閾値算出モードのとき、送電電力にトリガを挿入しない。
図19は、受電側装置3の制御装置30のブロック構成例を示した図である。図19において、図6と同じものには同じ符号が付してある。以下では、図6と異なる部分について説明する。
図19に示すように、制御装置30は、ユニークワード検出部61と、トレーニング信号生成部62とを有している。
ユニークワード検出部61には、受電側アンテナ20を介して受電された電力が入力される。ユニークワード検出部61は、給電側装置1によって電力に挿入されたユニークワードを検出し、制御部31に出力する。
トレーニング信号生成部62は、制御部31の制御に応じて、トレーニング信号を送信部34に出力する。制御部31は、ユニークワード検出部61によってユニークワードが検出されてから、記憶部32のトリガからの時間32aが経過すると、トレーニング信号生成部62に対し、トレーニング信号を出力するよう指示する。なお、トレーニング信号生成部62が生成するトレーニング信号には、Hレベルの信号とLレベルの信号とが一定の割合で含まれている。
図20は、閾値算出モードの動作例を説明するシーケンス図である。図20に示すシーケンスは、図11のステップS3の処理におけるシーケンスを示している。まず、図18の給電側装置1の制御装置10の動作例について説明する。
制御部11は、発振部13に対し、無線電力伝送搬送波周波数の正弦波信号を出力するよう制御する(ステップS71)。これにより、給電側装置1から、「#1〜#N」の受電側装置3に、所定の電力が送電される。
次に、制御部11は、ユニークワード挿入部51に対し、増幅部14から出力される信号(電力)にユニークワードを挿入するよう制御する(ステップS72)。これにより、ユニークワードが挿入された電力が、「#1〜#N」の受電側装置3に送電される。
ステップS73〜ステップS78の処理は、図12に示したステップS13〜ステップS18の処理と同様であるので、その説明を省略する。なお、ステップS75の閾値算出処理は、例えば、図13に示したフローチャートに従って実行される。
図19の受電側装置3の制御装置30の動作例について説明する。「#1〜#N」のそれぞれの受電側装置3が、下記のステップS81〜S86の処理を実行する。
まず、整流部37は、ステップS71にて、給電側装置1から送電された電力を受電する(ステップS81)。
次に、整流部37は、ステップS21にて受電した電力を整流する(ステップS82)。整流部37は、整流した電力を制御装置30の各部およびセンサ40に供給する。
次に、ユニークワード検出部61は、給電側装置1から送電された電力に挿入されているユニークワードを検出する(ステップS83)。
次に、制御部31は、ステップS83でのユニークワードの検出を契機に、時間のカウントを開始する(ステップS84)。
次に、制御部31は、ステップS84にてカウントを開始した時間が、記憶部32のトリガからの時間32aになると、トレーニング信号生成部62に対し、トレーニング信号を送信部34に出力するよう指示する(ステップS85)。これにより、送信部34は、HレベルとLレベルとを一定の割合で含むトレーニング信号を、負荷変調によって給電側装置1へ送信する。
ステップS86の処理は、図12のステップS26と同様であるので、その説明を省略する。
このように、給電側装置1のユニークワード挿入部51は、閾値算出モードのとき、閾値の算出契機を示すユニークワードを送電電力に挿入する。受電側装置3のユニークワード検出部61は、受電された電力からユニークワードを検出し、トレーニング信号生成部62は、ユニークワードが検出されてから、記憶部32に記憶されているトリガからの時間32aが経過すると、閾値算出部17が閾値の算出を行うためのトレーニング信号を生成する。これによっても、給電側装置1は適切にデータを復調することができる。
また、トレーニング信号生成部62は、HレベルとLレベルとを一定の割合で含むトレーニング信号を生成するので、制御部31は、HレベルとLレベルとを一定の割合で含むデータを送信しなくて済む。例えば、制御部31は、マンチェスタ符号以外の伝送路符号でデータを送信することができる。
なお、ユニークワードは、「#1〜#N」のそれぞれの受電側装置3において異なるワード値であってもよい。この場合、給電側装置1は、閾値を算出したい受電側装置3に対し、トリガからの時間を待つことなく、トレーニング信号を送信するように指定することができる。
例えば、給電側装置1は、「#3」の受電側装置3の閾値を算出したいとする。この場合、給電側装置1のユニークワード挿入部51は、「#3」の受電側装置3に対応したユニークワードを送電電力に挿入する。電力を受電する「#1〜#N」の受電側装置3のうち、「#3」の受電側装置3のユニークワード検出部61が、送電電力に挿入されている「#3」のユニークワードを検出し、「#3」の受電側装置3のトレーニング信号生成部62が、トレーニング信号を生成する。そして、給電側装置1の閾値算出部17は、「#3」の受電側装置3から受信したトレーニング信号に基づいて、「#3」の受電側装置3の閾値を算出する。
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態では、給電側装置は、複数の受電側装置のそれぞれからデータを受信するたびに閾値を算出し、算出した閾値を用いて、受信したデータを復調する。
第4の実施の形態では、給電側装置は、複数の受電側装置のそれぞれからデータを受信するたびに閾値を算出し、算出した閾値を用いて、受信したデータを復調する。
図21は、第4の実施の形態に係る給電側装置1の制御装置10のブロック構成例を示した図である。図21において、図3と同じものには同じ符号が付してある。以下では、図3と異なる部分について説明する。なお、第4の実施の形態に係る受電側装置は、第1の実施の形態に係る受電側装置3と同様であり、その説明を省略する。
図21に示す記憶部71には、「#1〜#N」の受電側装置3のそれぞれに対応する時間が記憶されている。
図22は、記憶部71のデータ構成例を示した図である。図22に示すように、記憶部71には、識別番号71aと、トリガからの時間71bとが記憶される。記憶部71は、図4で説明した記憶部12に対し、閾値12cが記憶されない。
識別番号71aは、複数の受電側装置3を識別する番号である。トリガからの時間71bは、受信したデータの「H/L」判定を行うタイミング(トリガからの時間)である。
なお、識別番号71aに対応するトリガからの時間71bと、「#1〜#N」の受電側装置3のそれぞれの記憶部32のトリガからの時間32aは、第1の実施の形態で説明したのと同様に、対応した時間(同じ時間またはほぼ同じ時間)となっている。
図21の説明に戻る。復調部72は、検波部72aと、判定部72bとを有している。検波部72aおよび判定部72bは、図3に示した検波部16aおよび判定部16bと同様の機能を有しているが、動作タイミングが異なる。
閾値算出部73は、図3に示した閾値算出部17と同様の機能を有しているが、動作タイミングが異なる。
図23は、無線給電システムのデータ送信およびデータ受信のタイミングチャートである。図23に示すタイミングチャートT11は、「#1〜#N」の受電側装置3が給電側装置1にデータを送信するタイミングを示している。タイミングチャートT12は、給電側装置1がデータを受信するタイミングを示している。図23に示す「トリガ」は、給電側装置1のトリガ挿入部15が、送電電力にトリガを挿入するタイミングを示している。
受電側装置3のトリガ検出部33は、給電側装置1から送電された電力に挿入されているトリガを検出する。給電側装置1から送電された電力に挿入されているトリガの検出は、「#1〜#N」の全ての受電側装置3において行われる。従って、トリガの検出タイミングは、「#1〜#N」の全ての受電側装置3において同じ(ほぼ同じ)になる。例えば、「#1〜#N」の全ての受電側装置3のトリガの検出タイミングは、図23に示す「トリガ」のタイミングとなる。
「#1〜#N」のそれぞれの受電側装置3の制御部31は、トリガが検出されてから、記憶部32のトリガからの時間32aが経過すると、センサ40から出力されるデータに応じたオン・オフ信号を送信部34に出力する。例えば、トリガ検出から時間「tn」(n=1,2,…,N)が経過すると、「#n」の受電側装置3が、給電側装置1へデータを送信する。「#n」のデータ送信時間は、長くても「#n+1」の受電側装置3がデータ送信を開始するまでの時間である。
タイミングチャートT11に示すように、「#1〜#N」のそれぞれの受電側装置3は、互いのデータが混信しないように、タイミングをずらしてデータを送信する。従って、給電側装置1の復調部72は、タイミングチャートT12に示すタイミングで、「#1〜#N」の受電側装置3のデータを受信する。
閾値算出部73は、「#1〜#N」の受電側装置3のそれぞれのデータが受信されるたびに閾値を算出する。復調部72は、「#1〜#N」のデータが受信されるたびに算出された閾値を用いて、受信したデータを復調する。
例えば、タイミングチャートT12に示す「#1」のデータは、給電側装置1が受信した、「#1」の受電側装置3のデータを示している。閾値算出部73は、図23の矢印A31aに示す「#1」の受信データの前半部分を用いて、「#1」の受信データの「H/L」を判定するための閾値を算出する。そして、復調部72は、矢印A31aに示す受信データから算出された閾値を用いて、矢印A31bに示す「#1」の受信データの後半部分のデータを復調する。
同様に、閾値算出部73は、図23の矢印A32aに示す「#2」の受信データの前半部分を用いて、「#2」の受信データの「H/L」を判定するための閾値を算出する。そして、復調部72は、矢印A32aに示す受信データから算出された閾値を用いて、矢印A32bに示す「#2」の受信データの後半部分のデータを復調する。
図24は、無線給電システムの動作例を示したシーケンス図である。給電側装置1の制御装置10および受電側装置3の制御装置30は、所定の周期で図24に示すシーケンスの処理を実行する。まず、図21の給電側装置1の制御装置10の動作例について説明する。
図24に示すステップS91〜ステップS94の処理は、図14に示したシーケンスのステップS41〜ステップS44の処理と同様であり、その説明を省略する。
ステップS95において、復調部72および閾値算出部73は、ステップS93にてカウントを開始した時間が、ステップS94またはステップS97にて取得した識別番号に対応するトリガからの時間71bになると、閾値を算出し、算出した閾値を用いて受信データを復調する。すなわち、復調部72および閾値算出部73は、識別番号「#1〜#N」の受信データが受信されるたびに閾値を算出し、その受信データの「H/L」を判定する。
ステップS96〜ステップS99の処理は、図14に示したステップS46〜ステップS49の処理と同様であり、その説明を省略する。
受電側装置3の制御装置30の動作であるステップS101〜S106は、図14に示したステップS51〜S56と同様であり、その説明を省略する。
図25は、閾値算出およびデータ復調の動作例を示したフローチャートである。図25に示すフローチャートは、図24のステップS95の詳細な処理を示している。
なお、「#1〜#N」のそれぞれの送信部34は、図24のステップS105の負荷変調により、「H」と「L」とを一定割合で含むデータを給電側装置1に送信しているとする。また、給電側装置1の記憶部71の所定の領域(図22には図示せず)には、予め初期閾値が記憶されているとする。
図25に示すステップS111〜ステップS116の処理は、図13に示したフローチャートのステップS31〜S36と同様であり、その説明を省略する。
ステップS117において、閾値算出部73は、ステップS112にて「H−L」の判定を行った場合、判定部72bがデータ判定に用いている閾値を、記憶部71の所定の領域(図22には図示せず)に一時記憶する。
次に、復調部72の判定部72bは、ステップS117にて、記憶部71の所定の領域に一時記憶された閾値を用いて、検波部72aによって検波されたデータの「H/L」を判定する(ステップS118)。判定部72bは、判定結果を制御部11へ出力する。そして、判定部72bは、当該フローチャートの処理を終了し、処理を図24のステップS96へ移行する。
このように、給電側装置1の記憶部71には、複数の受電側装置3のそれぞれにおけるトリガからの時間71bが記憶される。トリガ挿入部15は、複数の受電側装置3に送電する電力にトリガを挿入し、閾値算出部73は、トリガが電力に挿入されてから、記憶部71のトリガからの時間71bが経過すると、閾値を算出し、復調部72は、算出された閾値を用いて受信データを復調する。受電側装置3の記憶部32には、トリガからの時間32aが記憶される。トリガ検出部33は、受電された電力からトリガを検出し、送信部34は、トリガが検出されてから、記憶部32のトリガからの時間32aが経過すると、センサ40のデータを給電側装置1へ送信する。
これにより、複数の受電側装置3はデータを混信することなく給電側装置1に送信するとともに、給電側装置1は適切にデータを復調することができる。
また、閾値は、「#1〜#N」のデータが受信されるたびに算出されるので、例えば、ノイズ等によって受信データのデータレベルが変動しても、給電側装置1は、適切にデータを復調することができる。
なお、複数の受電側装置3のそれぞれは、トレーニング信号を生成するトレーニング信号生成部を備えていてもよい。例えば、トレーニング信号生成部は、図23に示した矢印A31a,A32aの時間の間、HレベルとLレベルとを一定の割合で含むトレーニング信号を送信部34に出力する。この場合、制御部31は、センサ40のデータを、例えば、マンチェスタ符号以外の伝送路符号で送信することができる。
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、無線給電システムの構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。無線給電システムの構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
また、上述したフローチャートおよびシーケンス図の各処理単位は、無線給電システムの処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。無線給電システムの処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。
また、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者には明らかである。また、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。さらに、各実施の形態を組み合わせることもできる。
また、図面等において示した各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
1…給電側装置、2…給電側アンテナ、3…受電側装置、P1〜P3…紙葉類、10…制御装置、20…受電側アンテナ、30…制御装置、40…センサ、11…制御部、12…記憶部、13…発振部、14…増幅部、15…トリガ挿入部、16…復調部、16a…検波部、16b…判定部、17…閾値算出部、18…コンデンサ、31…制御部、32…記憶部、33…トリガ検出部、34…送信部、35,36…コンデンサ、37…整流部、41…閾値算出部、51…ユニークワード挿入部、61…ユニークワード検出部、62…トレーニング信号生成部、71…記憶部、72…復調部、72a…検波部、72b…判定部、73…閾値算出部。
Claims (12)
- 給電側アンテナを介して電力を無線送電する給電側装置と、
受電側アンテナを介して受電された前記電力を電源として利用する複数の受電側装置と、
を有する無線給電システムであって、
前記給電側装置は、
前記電力にトリガを挿入するトリガ挿入部と、
前記複数の受電側装置のそれぞれにおける第1の時間と、前記複数の受電側装置のそれぞれから送信されるデータの復調に用いる閾値とを対応付けて記憶する第1の記憶部と、
前記トリガが前記電力に挿入されてから前記第1の時間が経過すると、前記第1の時間に対応した前記閾値を用いてデータを復調する復調部と、
を有し、
前記複数の受電側装置のそれぞれは、
第2の時間を記憶する第2の記憶部と、
受電された前記電力から前記トリガを検出するトリガ検出部と、
前記トリガが検出されてから前記第2の時間が経過すると、前記受電側アンテナを介して前記給電側装置にデータ送信を行う送信部と、
を有することを特徴とする無線給電システム。 - 請求項1に記載の無線給電システムであって、
前記複数の受電側装置のそれぞれにおける前記第1の時間は、対応する前記複数の受電側装置の前記第2の時間に対応している、
ことを特徴とする無線給電システム。 - 請求項1に記載の無線給電システムであって、
前記給電側装置は、前記閾値を算出する閾値算出部、
をさらに有することを特徴とする無線給電システム。 - 請求項3に記載の無線給電システムであって、
前記閾値算出部は、初期閾値を用いて、前記複数の受電側装置のそれぞれが送信するデータのH状態およびL状態を判定し、判定結果に基づいて前記初期閾値を変更して、前記閾値を算出する、
ことを特徴とする無線給電システム。 - 請求項4に記載の無線給電システムであって、
前記初期閾値は、前記給電側装置が前記複数の受電側装置のそれぞれから受信するデータレベルに基づいて予め決められている、
ことを特徴とする無線給電システム。 - 請求項3に記載の無線給電システムであって、
前記閾値算出部は、定期的に前記閾値を算出し、算出した前記閾値の値に応じて、アラームを出力する、
ことを特徴とする無線給電システム。 - 請求項3に記載の無線給電システムであって、
前記給電側装置は、
前記複数の受電側装置のそれぞれから送信される信号を検波する検波部と、
検波されたアナログ信号をデジタル信号に変換する変換部と、をさらに有し、
前記閾値算出部は、前記デジタル信号をその大きさに基づいて第1のグループと第2のグループとに分類し、分類した前記第1のグループの前記デジタル信号の平均値と、前記第2のグループの前記デジタル信号の平均値とを用いて、前記閾値を算出する、
ことを特徴とする無線給電システム。 - 請求項3に記載の無線給電システムであって、
前記給電側装置は、
前記電力にユニークワードを挿入するユニークワード挿入部、をさらに有し、
前記複数の受電側装置のそれぞれは、
受電された前記電力から前記ユニークワードを検出するユニークワード検出部と、
前記ユニークワードが検出されてから前記第2の時間が経過すると、前記閾値算出部が前記閾値の算出を行うためのトレーニング信号を生成する生成部と、をさらに有する、
ことを特徴とする無線給電システム。 - 請求項8に記載の無線給電システムであって、
前記ユニークワードは、前記複数の受電側装置のそれぞれにおいて異なる値を有し、
前記ユニークワード挿入部は、前記閾値を算出したい受電側装置の前記ユニークワードを前記電力に挿入する、
ことを特徴とする無線給電システム。 - 給電側アンテナを介して電力を無線送電する給電側装置と、
受電側アンテナを介して受電された前記電力を電源として利用する複数の受電側装置と、
を有する無線給電システムであって、
前記給電側装置は、
前記電力にトリガを挿入するトリガ挿入部と、
前記複数の受電側装置のそれぞれにおける第1の時間を記憶する記憶部と、
前記トリガが前記電力に挿入されてから前記第1の時間が経過すると、閾値を算出する閾値算出部と、
前記閾値を用いてデータを復調する復調部と、
を有し、
前記複数の受電側装置のそれぞれは、
第2の時間を記憶する第2の記憶部と、
受電された前記電力から前記トリガを検出するトリガ検出部と、
前記トリガが検出されてから前記第2の時間が経過すると、前記受電側アンテナを介して前記給電側装置にデータ送信を行う送信部と、
を有することを特徴とする無線給電システム。 - 請求項10に記載の無線給電システムであって、
前記複数の受電側装置のそれぞれにおける前記第1の時間は、対応する前記複数の受電側装置の前記第2の時間に対応している、
ことを特徴とする無線給電システム。 - 給電側アンテナを介して複数の受電側装置に電力を無線送電する給電側装置であって、
前記電力にトリガを挿入するトリガ挿入部と、
前記複数の受電側装置のそれぞれにおける第1の時間と、前記複数の受電側装置のそれぞれから送信されるデータの復調に用いる閾値とを対応付けて記憶する第1の記憶部と、
前記トリガが前記電力に挿入されてから前記第1の時間が経過すると、前記第1の時間に対応した前記閾値を用いてデータを復調する復調部と、
を有することを特徴とする給電側装置。
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