以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。近年、自動車やATM(Automatic Teller Machine)、券売機等に代表される電気機械は、制御の複雑化に伴いセンサ数が増加し、センサに対する給電のための配線や信号伝送のための配線が増加している。このため、製品価格の配線コストが占める割合は増加し、省配線化が望まれている。また、配線が多いと生産ラインのロボット化も困難であり、低コスト化のボトルネックであると考えられる。さらに、配線の増加は、機器の修理、保全等の保守コストを増大させる。本発明は、配線を廃して無線で電力を送電するとともに、混信を避けながらデータを伝送する。その際、本発明は、複数の受電側装置のそれぞれに応じた電力を送電する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る無線給電システムの斜視図の一例を示した図である。図1に示すように、無線給電システムは、給電側装置1と、給電側アンテナ2と、受電側装置3とを有している。無線給電システムは、例えば、ATMなどの紙葉類装置内に適用される。
給電側装置1は、給電側アンテナ2を介して、複数の受電側装置3に対し、電力を送電(給電)する。例えば、給電側装置1は、磁界、電界および電磁波の少なくとも1つによって、複数の受電側装置3に対し、電力を送電する。また、給電側装置1は、給電側アンテナ2を介して、複数の受電側装置3から送信されるデータを受信する。
無線給電システムは、複数の受電側装置3を有している。図1の例では、10個の受電側装置3を示しているが、これに限られない。
複数の受電側装置3のそれぞれは、受電側アンテナ(図示せず)を内蔵している。複数の受電側装置3のそれぞれは、内蔵している受電側アンテナを介して、給電側アンテナ2から送電される電力を受電する。また、複数の受電側装置3のそれぞれは、内蔵している受電側アンテナを介して、給電側装置1に対し、データを送信する。
図1には、紙葉類P1〜P3が示してある。紙葉類P1〜P3は、例えば、紙幣である。複数の受電側装置3のそれぞれはセンサ(図示せず)を備え、ある種別の紙葉類(例えば、紙葉類P2)を識別すると、その紙葉類P2をある搬送経路に出力し、また、ある別の紙葉類(例えば、紙葉類P3)を識別すると、その紙葉類P3をある別の搬送経路に出力する。
図2は、給電側装置1と受電側装置3とを説明する図である。図2において、図1と同じものには同じ符号が付してある。以下では複数の受電側装置3を、#1,#2,#…,#N(Nは自然数)で識別することがある。
図2に示すように、給電側装置1は、制御装置10を有している。制御装置10は、給電側アンテナ2と接続されている。
受電側装置3は、受電側アンテナ20と、制御装置30と、センサ40とを有している。制御装置30は、受電側アンテナ20およびセンサ40と接続されている。制御装置30は、センサ40のセンシング動作によって得られたデータを、受電側アンテナ20を介して、給電側装置1へ送信する。
受電側装置3は、例えば、受電側アンテナ20と、制御装置30と、センサ40とが、1つのパッケージでモジュール化されている。図2では、「#1」の受電側装置3の構成例しか示していないが、「#2〜#N」の受電側装置3も、「#1」の受電側装置3と同様の構成を有している。
複数の受電側装置3のそれぞれは、必要とする電力が異なる場合がある。例えば、複数の受電側装置3のそれぞれは、センサ40の個体差や、センサ40と被検知体(例えば、紙葉類)との距離、または周辺環境等によって、必要とする電力が異なる場合がある。給電側装置1は、複数の受電側装置3のそれぞれに応じた(それぞれが必要とする)電力を送電するとともに、受電側装置3は、給電側装置1に送信するデータが混信しないようにデータを送信する。
図3は、給電側装置1の制御装置10のブロック構成例を示した図である。図3に示すように、制御装置10は、制御部11と、記憶部12と、発振部13と、増幅部14と、トリガ挿入部15と、復調部16と、コンデンサ17とを有している。図3には、図2に示した給電側アンテナ2も示してある。
制御部11は、制御装置10の全体を制御する。制御部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)によって構成される。
記憶部12には、複数の受電側装置3のそれぞれにおける時間と送電電力とが対応付けて記憶される。時間と送電電力の情報は、予め記憶部12に記憶される。記憶部12は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリによって構成される。
図4は、記憶部12のデータ構成例を示した図である。図4に示すように、記憶部12には、識別番号12aと、トリガからの時間12bと、送電電力12cとが記憶される。
識別番号12aは、複数の受電側装置3を識別する番号である。
トリガからの時間12bは、送電電力12cの電力を、識別番号12aに対応する受電側装置3に送電するタイミング(トリガからの時間)である。トリガについては、後述する。
送電電力12cは、複数の受電側装置3に送電する電力の大きさである。送電電力12cは、複数の受電側装置3のそれぞれが必要とする電力(消費電力)に基づいて決められている。
例えば、図4の例では、「#1」の受電側装置3の必要とする電力は、「10」であることが分かる。また、「#1」の受電側装置3の必要とする「10」の電力は、トリガから時間「t1」が経過すると、送電されることが分かる(トリガおよび電力の送電タイミングは、以下で詳述する)。
図3の説明に戻る。発振部13は、無線電力伝送搬送波周波数の正弦波信号を出力する。
増幅部14は、発振部13から出力される正弦波信号を増幅する。増幅部14は、制御部11の制御に応じて、増幅率が変更される。
トリガ挿入部15は、制御部11の制御に応じて、増幅部14から出力される信号にトリガ(トリガ信号)を挿入(多重)する。トリガ挿入部15によってトリガが挿入された信号(電力)は、給電側アンテナ2へ出力される。
制御部11は、トリガ挿入部15によって、電力にトリガを挿入してから、記憶部12のトリガからの時間12bが経過すると、増幅部14から、送電電力12cの電力が出力されるように増幅部14の増幅率を制御する。
例えば、図4の例の場合、制御部11は、トリガを挿入してから時間「t1」が経過すると、「10」の電力が増幅部14から出力されるように増幅率を制御する。また、制御部11は、トリガを挿入してから時間「t2」(t2>t1)が経過すると、「6」の電力が増幅部14から出力されるように増幅率を制御する。
復調部16は、給電側アンテナ2と接続されている。復調部16は、給電側アンテナ2を介して受信された、受電側装置3から送信された負荷変調されたデータを受信し、そのデータを復調する。復調部16は、復調したデータを制御部11へ出力する。
コンデンサ17は、一端が給電側アンテナ2と接続され、他端がグランドに接続されている。コンデンサ17は、給電側アンテナ2が無線電力伝送搬送波周波数で共振するようにしている。
図5は、受電側装置3の制御装置30のブロック構成例を示した図である。図5に示すように、制御装置30は、制御部31と、記憶部32と、トリガ検出部33と、送信部34と、コンデンサ35,36と、整流部37とを有している。図5には、図2に示した受電側アンテナ20およびセンサ40も示してある。
整流部37は、コンデンサ36を介して、受電側アンテナ20と接続されている。整流部37は、受電側アンテナ20を介して受電した電力を整流(直流に)し、制御装置30の各部と、センサ40とへ出力する。コンデンサ36は、受電側アンテナ20が無線電力伝送搬送波周波数で共振するようにしている。
制御装置30の各部は、整流部37によって整流された電力を電源として動作する。センサ40は、整流部37によって整流された電力を電源としてセンシング動作をし、センシング動作で得たデータを制御部31に出力する。
制御部31は、制御装置30の全体を制御する。制御部31は、例えば、CPUによって構成される。
記憶部32には、センサ40がセンシング動作によって得たデータを、給電側装置1へ送信すべき時間が記憶されている。給電側装置1へ送信すべき時間は、予め記憶部32に記憶される。記憶部32は、例えば、RAMやROMなどのメモリによって構成される。
図6は、記憶部32のデータ構成例を示した図である。図6には、「#1〜#N」のそれぞれの記憶部32のデータ構成例が示してある。
「#1〜#N」のそれぞれの記憶部32には、「#1〜#N」の受電側装置3のそれぞれが、給電側装置1へデータ送信するタイミング(トリガからの時間)が記憶されている。
例えば、図6の例では、「#1」の受電側装置3は、トリガから時間「t1」が経過すると、センサ40のデータを給電側装置1へ送信すべきことが分かる。「#2」の受電側装置3は、トリガから時間「t2」が経過すると、センサ40のデータを給電側装置1へ送信すべきことが分かる(トリガおよびセンサ40のデータの送信タイミングは、以下で詳述する)。
図5の説明に戻る。トリガ検出部33には、受電側アンテナ20を介して受電された電力が入力される。トリガ検出部33は、給電側装置1によって電力に挿入されたトリガを検出し、制御部31に出力する。
送信部34は、制御部31から出力されるオン・オフ信号に基づいて、負荷変調を行う。例えば、送信部34は、FET(Field Effect Transistor)を有しており、そのFETのスイッチ動作によって、受電側アンテナ20と、その後段の回路とのインピーダンス整合を変化させる。これにより、受電側装置3の反射電力が変化し、給電側装置1は、この反射電力の変化を復調することによって、受電側装置3から送信されるデータを受信する。
制御部31には、センサ40がセンシング動作によって得たデータが入力される。制御部31は、トリガ検出部33によってトリガが検出されてから、記憶部32のトリガからの時間32aが経過すると、センサ40のデータに応じたオン・オフ信号を送信部34に出力する。
例えば、図6の例の場合、「#1」の制御部31は、トリガが検出されてから時間「t1」が経過すると、センサ40のデータに応じたオン・オフ信号を送信部34に出力する。「#1」の送信部34は、負荷変調によって、センサ40のデータを給電側装置1へ送信する。また、「#2」の制御部31は、トリガが検出されてから時間「t2」が経過すると、センサ40のデータに応じたオン・オフ信号を送信部34に出力する。「#2」の送信部34は、負荷変調によって、センサ40のデータを給電側装置1へ送信する。
なお、図3に示した復調部16は、受電側装置3から送信されたデータ(負荷変調により変化した反射電力)を、例えば、包絡線検波して復調し、復調したデータを制御部11に出力する。制御部11は、復調部16で復調されたデータを、例えば、出力ポート(図3に図示しない)を介して外部の装置に出力する。
図7は、給電側装置1および受電側装置3の動作例を説明するタイミングチャートである。図7に示すタイミングチャートT1は、給電側装置1が受電側装置3に送電する電力を示している。タイミングチャートT2のデータD1は、「#1〜#N」の受電側装置3が給電側装置1に送信するデータを示し、データD2は、給電側装置1が受信するデータを示している。
まず、給電側装置1の制御装置10の制御部11は、増幅部14から出力される信号(電力)にトリガを挿入するようトリガ挿入部15を制御する。タイミングチャートT1に示す「トリガ」は、トリガ挿入部15によって、増幅部14から出力される信号にトリガが挿入されるタイミングを示している。
制御部11は、電力にトリガを挿入してから、記憶部12のトリガからの時間12bが経過すると、トリガからの時間12bに対応する送電電力12cが増幅部14から出力されるよう増幅部14の増幅率を制御する。
例えば、記憶部12に、図4に示したデータ例が記憶されている場合、タイミングチャートT1に示すように、トリガの挿入から時間「t1」が経過すると、増幅部14からは「10」の電力が出力される。また、トリガの挿入から時間「t2」が経過すると、増幅部14からは「6」の電力が出力される。また、トリガの挿入から時間「tN」が経過すると、増幅部14からは「7」の電力が出力される。これにより、「#1〜#N」のそれぞれの受電側装置3で必要される電力が、給電側装置1から送電される。
受電側装置3の制御装置30のトリガ検出部33は、給電側装置1から送電された電力に挿入されているトリガを検出する。給電側装置1から送電された電力に挿入されているトリガの検出は、「#1〜#N」の全ての受電側装置3において行われる。従って、トリガの検出タイミングは、「#1〜#N」の全ての受電側装置3において同じ(ほぼ同じ)になる。例えば、「#1〜#N」の全ての受電側装置3のトリガの検出タイミングは、タイミングチャートT2に示す「トリガ」のタイミングとなる。
「#1〜#N」のそれぞれの受電側装置3の制御部31は、トリガが検出されてから、記憶部32のトリガからの時間32aが経過すると、センサ40から出力されるデータに応じたオン・オフ信号を送信部34に出力する。
例えば、「#1〜#N」のそれぞれの受電側装置3の記憶部32に、図6に示したデータ例が記憶されている場合、タイミングチャートT2のデータD1に示すように、トリガ検出から時間「t1」が経過すると、「#1」の受電側装置3から給電側装置1へデータが送信される。「#1」のデータ送信時間は、長くても「#2」の受電側装置3がデータ送信を開始するまでの時間である。
また、データD1に示すように、トリガ検出から時間「t2」が経過すると、「#2」の受電側装置3から給電側装置1へデータが送信される。「#2」のデータ送信時間は、長くても「#3」の受電側装置3がデータ送信を開始するまでの時間である。
以下同様に、トリガ検出から時間「tN」が経過すると、「#N」の受電側装置3から給電側装置1へデータが送信される。「#N」のデータ送信時間は、長くても「#1」の受電側装置3がデータ送信を開始するまでの時間である。
記憶部12のトリガからの時間12bは、「#1〜#N」の受電側装置3のそれぞれにおいて異なる。また、記憶部32のトリガからの時間32aは、「#1〜#N」の受電側装置3のそれぞれにおいて異なる。例えば、記憶部12のトリガからの時間12bおよび記憶部32のトリガからの時間32aは、「t1<t2…<tN」である。これにより、給電側装置1から複数の受電側装置3へ送信される電力のタイミングは、タイミングチャートT1に示すようになり、複数の受電側装置3のそれぞれに対し、個別の電力を送信できる。また、複数の受電側装置3から給電側装置1へ送信されるデータのタイミングは、タイミングチャートT2に示すようになり、データの混信が回避される。
記憶部12の識別番号12aに対応するそれぞれのトリガからの時間12bと、「#1〜#N」のそれぞれの記憶部32のトリガからの時間12bは、対応した時間(同じ時間またはほぼ同じ時間)となる。例えば、図4の「#1」のトリガからの時間「t1」と、図6の「#1」のトリガからの時間「t1」は対応し、同じ時間である。また、図4の「#2」のトリガからの時間「t2」と、図6の「#2」のトリガからの時間「t2」は対応し、同じ時間である。これにより、複数のそれぞれの受電側装置3は、タイミングチャートT1,T2に示すように、必要な電力を受電するタイミングと、データを送信するタイミングとが同じになる。従って、複数のそれぞれの受電側装置3は、必要な電力でセンシング動作し、適切なデータを受電側装置1へ送信することができる。
図8は、無線給電システムの動作例を説明するシーケンス図である。給電側装置1の制御装置10および受電側装置3の制御装置30は、所定の周期または外部装置からの処理開始指示を受けて、図8に示すシーケンス図の処理を実行する。まず、給電側装置1の制御装置10の動作例について説明する。
制御部11は、発振部13に対し、無線電力伝送搬送波周波数の正弦波信号を出力するよう制御する(ステップS1)。これにより、給電側装置1から、「#1〜#N」の受電側装置3に、所定の電力が送電される。
次に、制御部11は、トリガ挿入部15に対し、増幅部14から出力される信号(電力)にトリガを挿入するよう制御する(ステップS2)。これにより、トリガが挿入された電力が、「#1〜#N」の受電側装置3に送電される。
次に、制御部11は、ステップS2でのトリガ挿入の制御を契機に、時間のカウントを開始する(ステップS3)。
次に、制御部11は、記憶部12を参照し、識別番号「#1」を取得する(ステップS4)。
次に、制御部11は、ステップS3にてカウントを開始した時間が、ステップS4またはステップS7にて取得した識別番号に対応するトリガからの時間12bになると、増幅部14から、記憶部12の送電電力12cが出力されるように、増幅部14の増幅率を制御する(ステップS5)。また、復調部16は、ステップS4またはステップS7にて取得した識別番号の受電側装置3から送信されるデータを受信し、復調する(ステップS5)。
次に、制御部11は、全ての識別番号に対し、送電処理を行ったか否か判定する(ステップS6)。制御部11は、全ての識別番号に対し、送電処理を行ったと判定した場合(S6の「Yes」)、処理をステップS8へ移行する。制御部11は、全ての識別番号に対し、送電処理を行っていないと判定した場合(S6の「No」)、処理をステップS7へ移行する。
制御部11は、ステップS6にて、全ての識別番号に対し、送電処理を行っていないと判定した場合(S6の「No」)、識別番号に「1」を加算する(ステップS7)。そして、制御部11は、処理をステップS5へ移行する。
制御部11は、ステップS6にて、全ての識別番号に対し、送電処理を行ったと判定した場合(S6の「Yes」)、時間のカウントをリセットする(ステップS8)。
次に、制御部11は、記憶部12のトリガからの時間12bに基づいて、受電側装置3から送信されたデータを、「#1〜#N」のデータと認識する(ステップS9)。例えば、制御部11は、トリガを挿入してから時間「t1」後に受信したデータは「#1」のデータと認識する。また、制御部11は、トリガを挿入してから時間「t2」後に受信したデータは「#2」のデータと認識する。制御部11は、認識したデータを、例えば、出力ポート(図示しない)を介して、外部の装置へ出力する。
受電側装置3の制御装置30の動作例について説明する。「#1〜#N」のそれぞれの受電側装置3が、下記のステップS21〜S26の処理を実行する。
まず、整流部37は、ステップS1にて、給電側装置1から送電された電力を受電する(ステップS21)。
次に、整流部37は、ステップS21にて受電した電力を整流する(ステップS22)。整流部37は、整流した電力を制御装置30の各部およびセンサ40に供給する。
次に、トリガ検出部33は、給電側装置1から送電された電力に挿入されているトリガを検出する(ステップS23)。
次に、制御部31は、ステップS23でのトリガの検出を契機に、時間のカウントを開始する(ステップS24)。
次に、制御部31は、ステップS24にてカウントを開始した時間が、記憶部32のトリガからの時間32aになると、センサ40のデータに基づいて、送信部34を制御する(ステップS25)。
次に、制御部11は、時間のカウントをリセットする(ステップS26)。
このように、給電側装置1の記憶部12には、複数の受電側装置3のそれぞれにおけるトリガからの時間12bと送電電力12cとが対応付けて記憶される。トリガ挿入部15は、複数の受電側装置3に送電する電力にトリガを挿入し、増幅部14は、トリガが電力に挿入されてから、記憶部12のトリガからの時間12bが経過すると、トリガからの時間12bに対応した送電電力12cを出力するように増幅率を変化する。受電側装置3の記憶部32には、トリガからの時間32aが記憶される。トリガ検出部33は、受電された電力からトリガを検出し、送信部34は、トリガが検出されてから、記憶部32のトリガからの時間32aが経過すると、センサ40のデータを給電側装置1へ送信する。
これにより、無線給電システムは、複数の受電側装置3に対し、複数の受電側装置3のそれぞれに応じた電力を送電するとともに、複数の受電側装置3から給電側装置1へのデータ送信の混信を回避することができる。
なお、図3に示した増幅部14とトリガ挿入部15は、その位置が入れ替わってもよい。例えば、発振部13の後段にトリガ挿入部15を設け、トリガ挿入部15の後段に増幅部14を設けてもよい。
また、給電側装置1の記憶部12には、受電側装置3の位置情報が記憶されてもよい。
図9は、記憶部12の別のデータ構成例を示した図である。図9において、図4と同じものには同じ符号が付してある。以下では、図4と異なる部分について説明する。
図9に示すように、記憶部12には、位置情報12dが記憶される。位置情報12dは、対応する識別番号12aの受電側装置3の位置情報である。
例えば、受電側装置3は、直線上に配置されているとする。「#1」の受電側装置3は、例えば、紙葉類が搬送される方向に対し、先頭に配置され、「#2」の受電側装置3は、3番目に配置されているとする。この場合、識別番号「#1」に対応する位置情報12dには、例えば、「1」が記憶され、識別番号「#2」に対応する位置情報12dには、例えば、「3」が記憶される。
これにより、制御部11は、受電側装置3から送信されたデータが、どの位置に配置された受電側装置3のデータか識別することができる。
また、上記では、受電側装置3の記憶部32には、トリガからの時間32aが記憶されるとしたが、受電側装置3を識別する識別情報が記憶されてもよい。
図10は、記憶部32の別のデータ構成例を示した図である。図10において、図6と同じものには同じ符号が付してある。以下では、図6と異なる部分について説明する。
図10に示すように、「#1〜#N」の受電側装置3の記憶部32には、「#1〜#N」の受電側装置3を識別する識別番号32bが記憶される。
制御部31は、センサ40のデータを、送信部34を介して給電側装置1に送信する際、記憶部32の識別番号32bを送信する。これにより、給電側装置1では、受電側装置3から送信されたデータが、どの受電側装置3から送信されたデータか識別でき、データ通信の信頼性を向上させることができる。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、受電された電力のセンサへの出力および切断を切替える。
図11は、第2の実施の形態に係る受電側装置3の制御装置30のブロック構成例を示した図である。図11において、図5と同じものには同じ符号が付してある。以下では、図5と異なる部分について説明する。
図11に示すように、制御装置30は、整流部37とセンサ40との間に、切替え部50を有している。
図12は、切替え部50の機能ブロック例を示した図である。図12には、切替え部50の他に、制御部31と、整流部37と、センサ40とが示してある。図12に示すように、切替え部50は、スイッチ51と、ダミー負荷52とを有している。
スイッチ51には、整流部37から出力される整流された電力が入力される。スイッチ51は、制御部31の制御に応じて、整流部37から出力される電力を、センサ40およびダミー負荷52の一方へ出力する。ダミー負荷52は、センサ40と異なるインピーダンスを有している。
制御部31は、受電側アンテナ20を介したデータ送信を行うとき、整流部37から出力される電力をセンサ40へ出力するようにスイッチ51を制御する。一方、制御部31は、受電側アンテナ20を介したデータ送信を行わないとき、整流部37から出力される電力を、ダミー負荷52へ出力するようにスイッチ51を制御する。
図13は、切替え部50の動作例を説明するタイミングチャートである。図13に示すタイミングチャートT1,T2は、図7で説明したタイミングチャートT1,T2と同様であり、その説明を省略する。
「#1〜#N」のそれぞれの制御部31は、タイミングチャートT11に示す「High」のタイミング(データ送信するタイミング)において、整流部37の電力がセンサ40へ出力されるようにスイッチ51を制御する。また、「#1〜#N」のそれぞれの制御部31は、タイミングチャートT11に示す「Low」のタイミング(データ送信しないタイミング)において、整流部37の電力がダミー負荷52へ出力されるようにスイッチ51を制御する。
具体的には、制御部31は、図8のステップS23でのトリガの検出を契機に、時間のカウントを開始する(ステップS24)。制御部31は、ステップS24にてカウントを開始した時間が、記憶部32のトリガからの時間32aになると、整流部37の電力がセンサ40へ出力されるようにスイッチ51を制御する。そして、制御部31は、例えば、所定時間が経過すると(例えば、センサ40のデータ送信が終了するとまたは次の受電側装置3のデータ送信時間になると)、整流部37の電力がダミー負荷52へ出力されるようにスイッチ51を制御する。
ここで、整流部37の出力インピーダンスは、センサ40のインピーダンスと整合が合わされている。ダミー負荷52は、上記したように、センサ40と異なるインピーダンスを有している。
従って、スイッチ51によって、整流部37の出力がセンサ40へ切り替えられると、インピーダンス整合となり、整流部37の出力がダミー負荷52へ切り替えられると、インピーダンス不整合となる。このため、データを送信している受電側装置3は、インピーダンス整合が取れた状態となり、データを送信していない受電側装置3は、インピーダンス整合が取れない状態となる。つまり、給電側装置1は、データを送信していない受電側装置3への電力送電の効率を落とすことができ、消費電力の低減を図ることができる。
このように、受電側装置3は、受電された電力のセンサへの出力および切断を切替える切替え部50を有する。これにより、無線給電システムは、消費電力の低減を図ることができる。
また、データを送信していない受電側装置3による、データを送信している受電側装置3へのノイズ等の影響を抑制することができる。
また、センサ40は、給電側装置1にデータが送信されなときは、電力が供給されない。これにより、センサ40は、その寿命を延ばすことができる。
また、ダミー負荷52のインピーダンスは、センサ40のインピーダンスと同じ(ほぼ同じ)にしてもよい。この場合は、給電側装置1から見た複数の受電側装置3のインピーダンスは変わって見えないため、無線給電システムを安定して動作させることができる効果がある。
なお、上記では、切替え部50は、ダミー負荷52を有していたが、単に整流部37とセンサ40との接続および切断を制御してもよい。
図14は、切替え部50の他の例を示した図である。図14において、図12と同じものには同じ符号が付してある。
図14に示すように、切替え部50は、FET56を有している。制御部31は、センサ40のデータを給電側装置1へ送信するとき、整流部37から出力される電力を、センサ40へ出力するようにFET56を制御する。また、制御部31は、センサ40のデータを給電側装置1へ送信しないとき、整流部37から出力される電力を、センサ40へ出力しないようにFET56を制御する。
図14の構成によっても、無線給電システムは、ダミー負荷52のインピーダンスがセンサ40のインピーダンスと異なる場合と同様の効果を得ることができる。
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、センサとして、発光素子および受光素子を用いた場合の例について説明する。
図15は、第3の実施の形態に係る受電側装置3の機能ブロック例を示した図である。図15において、図5と同じものには同じ符号が付してある。以下では、図5と異なる部分について説明する。図15に示すように、受電側装置3は、発光部60と、受光部70とを有している。
発光部60は、受電側アンテナ61と、コンデンサ62と、整流部63と、発光素子64とを有している。受電側アンテナ61は、給電側装置1から送電される電力を受電する。コンデンサ62は、受電側アンテナ61が無線電力伝送搬送波周波数で共振するようにしている。
整流部63は、受電側アンテナ61によって受電された電力を整流し、整流した電力を発光素子64へ出力する。整流部63は、受電側アンテナ61によって受電された電力の大きさに比例した直流の電圧または電流を発光素子64へ出力する。
発光素子64は、整流部63によって整流された電力に応じて発光する。例えば、発光素子64は、整流部63によって整流された電力が大きければ発光量が大きくなり、整流部63によって整流された電力が小さければ発光量が小さくなる。
受光部70は、図5の機能ブロックと同様の機能ブロックを有している。受光部70は、図5のセンサ40の代わりに受光素子71を有している。受光素子71は、例えば、紙葉類等の披検知体によって反射された発光素子64の光を受光し、受光した光に応じたデータを制御部31へ出力する。受光部70の動作は、図5に示した受電側装置3と同様であり、その説明を省略する。
発光素子64は、その個体差により、発光量が異なる場合がある。給電側装置1は、「#1〜#N」の受電側装置3のそれぞれに対し、「#1〜#N」の受電側装置3のそれぞれに応じた電力を送電することができるので、「#1〜#N」の発光素子64の個体差に応じた電力を送電することができる。すなわち、給電側装置1は、受電側装置3に送電する電力を調節することによって、発光素子64から適切な発光量の光を発光させることができる。そして、受光素子71は、適切に発光した発光素子64の光(例えば、被検知体の反射光)を受光でき、受光部70は、適切なデータを給電側装置1に送信することができる。
なお、発光部60の発光素子64は、給電側装置1から、発光可能な電力が送電されている限り発光する。例えば、給電側装置1が、「#1」の受電側装置3が必要とする電力を送電しているときでも、その電力が「#2」の受電側装置3の発光素子64の発光可能な電力であれば、「#2」の発光素子64は発光する。
発光部60の整流部63と、受光部70の整流部37とについて説明する。
図16は、発光部60の整流部63の回路例を示した図である。図16に示すように、整流部63は、ダイオード81a〜81dと、コンデンサ82,85と、抵抗83と、トランジスタ84とを有している。
ダイオード81a〜81dは、ブリッジ回路を構成し、受電側アンテナ61によって受電された電力を全波整流する。全波整流された電力は、コンデンサ82によって平滑化される。
トランジスタ84は、コンデンサ82によって平滑化された電力をドライブする。ドライブされた電力は、コンデンサ85によって平滑化され、発光素子64へ出力される。
発光素子64へ出力される電圧は、全波整流後の電圧に対し、トランジスタ84のベース−エミッタ間電圧と、抵抗83を流れるベース電流による電圧降下分だけ下がるが、基本的に全波整流後の直流電圧の大小に連動して変化する。そして、全波整流後の直流電圧は、受電側アンテナ61の受電電力量に連動して変化するので、受電側アンテナ61の受電電力量が大きいときは、発光素子64へ出力される直流電圧は大きく、受電電力量が小さいときは、発光素子64へ出力される直流電圧も小さくなる。すなわち、受電側アンテナ61の受電電力量に応じた電圧(または電流)が、発光素子64に出力される。
図17は、受光部70の整流部37の回路例を示した図である。図17に示すように、整流部37は、ダイオード91a〜91dと、コンデンサ92,94と、DC−DCコンバータ93とを有している。
ダイオード91a〜91dは、ブリッジ回路を構成し、受電側アンテナ20によって受電された電力を全波整流する。全波整流された電力は、コンデンサ92によって平滑化される。
DC−DCコンバータ93は、コンデンサ92によって平滑化された電力(電圧)が入力され、所定(一定)の電圧を出力する。コンデンサ94は、DC−DCコンバータから出力される電圧を平滑化し、受光部70の各部へ出力する。
このように、受電側装置3は、送信部34によってデータ送信されるデータを出力する受光素子71と、受光素子71によって受光される光を発光する発光素子64と、受電された電力の大きさに応じた電圧または電流を発光素子64に出力する整流部63とを有する。これにより、無線給電システムは、発光素子64ごとに適切な電力を送電することができるので、発光素子64の個体差による、発光特性(例えば、発光量)の差を吸収することができる。
なお、受光部70は、図11に示した受電側装置3と同様に、切替え部を有してもよい。例えば、受光部70は、整流部37と受光素子71との間に、図12および図14に示した切替え部50を有してもよい。
また、発光部60と受光部70は、別々のモジュールで実現されてもよい。
[第4の実施の形態]
上記の第3の実施の形態では、受電側装置3の発光素子64は、給電側装置1から、発光可能な電力が送電されている限り発光する。第4の実施の形態では、電力からトリガが検出されてから、記憶部に記憶されたトリガからの時間が経過すると、発光素子64を発光させる。
図18は、第4の実施の形態に係る受電側装置3の機能ブロック例を示した図である。図18において、図15と同じものには同じ符号が付してある。以下では、図15と異なる部分について説明する。図18に示すように、受電側装置3は、発光部100と、受光部110とを有している。発光部100は、制御部111と、記憶部112と、トリガ検出部113と、整流部114と、切替え部115とを有している。
記憶部112には、記憶部32と同様のデータが記憶されている。例えば、記憶部112には、図6に示したデータ例が記憶されている。
トリガ検出部113は、図15に示したトリガ検出部33と同様の機能を有している。
整流部114は、受電側アンテナ61によって受電された電力を整流し、発光素子64と、それ以外の各部に出力する。整流部114は、発光素子64に対しては、受電側アンテナ61が受電した電力の大きさに応じた電力を出力し、発光素子64以外の各部に対しては、一定の電力を出力する。
図19は、発光部100の整流部114の回路例を示した図である。図19において、図16および図17と同じものには同じ符号が付してある。
図19の整流部114は、図16に示した整流部63と同様の回路を有するとともに、ダイオード81a〜81dのブリッジ回路の出力に、図17に示したDC−DCコンバータおよびコンデンサ94の回路が接続されている。すなわち、整流部114は、受電側アンテナ61の受電電力量に応じた電圧(または電流)を発光素子64に出力するとともに、所定の電圧(または電流)を発光部100の各部(発光素子64を除く)に出力する。
図18の説明に戻る。切替え部115は、例えば、図12または図14に示した機能ブロックと同様の機能ブロックを有している。
制御部111は、図15に示した制御部31と同様の機能を有する。ただし、制御部111は、トリガ検出部113によってトリガが検出されてから、記憶部112に記憶されているトリガからの時間が経過すると、切替え部115を制御し、受電側アンテナ61によって受電された電力が発光素子64へ出力されるようにするところが異なる。これにより、「#1〜#N」の発光素子64は、例えば、図7のタイムチャートT2のデータD1に示す矩形波のタイミングで発光する。
受光部110は、図15に示した受光部70と同様であるが、制御部31と、記憶部32と、トリガ検出部33とを有していないところが異なる。
受光部110の受光素子71は、発光部100の発光素子64が発光したときに、データを送信部34に出力する。言い換えれば、受光素子71は、発光素子64が発光していないときは動作をせず、データを出力しない。
送信部34は、受光素子71から出力されるデータに応じて負荷変調を行い、受光素子71から出力されるデータを給電側装置1へ送信する。
整流部37は、例えば、図17に示した回路によって構成される。整流部37は、受電側アンテナ20によって受電された電力を整流し、受光素子71に出力する。
このように、受電側装置3は、送信部34によってデータ送信されるデータを出力する受光素子71と、受光素子71によって受光される光を発光する発光素子64と、トリガが検出されてから、記憶部112に記憶されているトリガからの時間が経過すると、受電された電力を発光素子64に出力する切替え部115とを有する。これにより、発光素子64は、給電側装置1から、受電側装置3が必要とする電力が送電されたときに発光するので、その寿命を延ばすことができる。また、無線給電システムは、消費電力が低減される。
[第5の実施の形態]
第5の実施の形態では、第3の実施の形態の受光部70と、第4の実施の形態の発光部100との組合せについて説明する。
図20は、第5の実施の形態に係る受電側装置3の機能ブロック例を示した図である。図20に示すように、受電側装置3は、図15に示した受光部70と、図18に示した発光部100とを有している。図20において、図15および図18と同じものには同じ符号が付してある。
図20に示す受電側装置3は、発光部100と受光部70とのそれぞれにおいて、制御部31,111と、記憶部32,112と、トリガ検出部33,113とを有している。このため、受電側装置3の発光部100と受光部70は、それぞれ独立してトリガからの時間を設定できる。
例えば、記憶部32,112のトリガからの時間を調整することにより、発光素子64を受光素子71より先に立ち上げ、発光素子64の発光立ち上がりの過渡現象が収まるのを待って、受光素子71を立ち上げるようにすることができる。これにより、受光素子71は、発光素子64から適切な光が発光されるようになってから、発光素子64が発光する光を受光することができる。
具体的には、発光部100の制御部111は、トリガが検出されてから、記憶部112に記憶されているトリガからの時間が経過すると、受電された電力が発光素子64に出力されるように切替え部115を制御する。また、受光部70の制御部31は、トリガが検出されてから、記憶部32に記憶されているトリガからの時間32aが経過すると、受光素子71が発光素子64の光を受光し、データを出力するように受光素子71を制御する。そして、記憶部32に記憶されるトリガからの時間32aは、記憶部112に記憶されるトリガからの時間より遅くなるように設定する。これにより、受光素子71は、発光素子64の発光立ち上がりの過渡現象が収まるのを待って、光を受光することができる。
このように、受電側装置3の発光部100は、トリガからの時間を記憶する記憶部112と、光を発光する発光素子64と、トリガが検出されてから、記憶部112のトリガからの時間が経過すると、受電された電力を発光素子64に出力する切替え部115とを有する。また、受光部70は、トリガが検出されてから、記憶部32のトリガからの時間32aが経過すると、発光素子64の光を受光し、送信部34によってデータ送信されるデータを出力する受光素子71を有する。これにより、受電側装置3は、適切なデータを給電側装置1へ送信することができる。
[第6の実施の形態]
第6の実施の形態では、シャント部を備え、電力利用効率のよい受電側装置3を実現する。
図21は、第6の実施の形態に係る受電側装置3の機能ブロック例を示した図である。図21において、図15と同じものには同じ符号が付してある。以下では、図15と異なる部分について説明する。図21に示すように、受電側装置3は、制御部121と、シャント部122とを有している。
制御部121は、トリガ検出部33によってトリガが検出されてから、記憶部32に記憶されているトリガからの時間32aが経過すると、シャント部122の接続切替えを制御する。
シャント部122は、制御部121の制御に応じて、受電された電力の発光素子64への出力と、受電側アンテナ61の出力端子の短絡とを切替える。
例えば、制御部121は、図13のタイミングチャートT11の「High」のタイミング(データ送信するタイミング)において、受電側アンテナ61と整流部63とを接続するようにシャント部122を制御する。また、制御部121は、図13のタイミングチャートT11の「Low」のタイミング(データ送信しないタイミング)において、受電側アンテナ61の出力端子を短絡するようにシャント部122を制御する。
受電側アンテナ61は、シャント部122によって、その出力端子が短絡されると、インピーダンス不整合となる。このため、データを送信していない受電側装置3は、インピーダンス整合が取れない状態となり、給電側装置1は、データを送信していない受電側装置3に対する電力送電の効率を落とすことができる。
このように、受電側装置3は、送信部34によってデータ送信されるデータを出力する受光素子71と、受光素子71によって受光される光を発光する発光素子64と、受電された電力の発光素子64への出力と、受電側アンテナ61の出力端子の短絡とを切替えるシャント部とを有する。これにより、給電側装置1は、データを送信していない受電側装置3への電力送電の効率を落とすことができ、消費電力の低減を図ることができる。
また、受電側装置3の制御部121、記憶部32、およびトリガ検出部33の電源は、シャント部122が受電側アンテナ61の出力端子を短絡しているときでも、整流部37で生成される。これにより、受電側装置3の制御部121、記憶部32、およびトリガ検出部33は、シャント部122が受電側アンテナ61の出力端子を短絡しているときでも動作することができる。
なお、受光素子71が出力するデータは、制御部121ではなく、送信部34へ出力されるようにしてもよい。
また、整流部63と発光素子64との間に切替え部を設け、その切替え部を制御部121で制御するようにしてもよい。この場合、シャント部122は、省略してもよい。
[第7の実施の形態]
第7の実施の形態では、トリガの挿入および検出について説明する。
図22は、第7の実施の形態に係るトリガの挿入例および検出例を説明する図である。図22には、2つのトリガの挿入例および検出例が示してある。グラフG11は、トリガの挿入例および検出例の第1例を示し、グラフG12は、トリガの挿入例および検出例の第2例を示している。
グラフG11,G12に示す波形は、無線電力伝送搬送波の包絡線を示している。図3に示したトリガ挿入部15は、無線電力伝送搬送波の包絡線を変調することによって、送電する電力にトリガを挿入する。図5のトリガ検出部33は、無線電力伝送搬送波の包絡線を検波して、受電する電力からトリガを検出する。
グラフG11のトリガ挿入例および検出例について説明する。「#1〜#N」の受電側装置3が受電する電力の中で、最も小さい電力を「Pmin」とする。トリガ挿入部15は、最も小さい電力「Pmin」よりも小さい電力「Pmin1」を送信し、そこから立上る点をトリガとする。
トリガ検出部33は、電力「Pmin」と電力「Pmin1」との間の電力(例えば、1/2の電力)を、トリガを検出する閾値「Th」とする。トリガ検出部33は、閾値「Th」より小さい電力が、閾値「Th」を超えた時点(時間)を、トリガとして検出する。
グラフG12のトリガ挿入例および検出例について説明する。「#1〜#N」の受電側装置3が受電する電力の中で、最も大きい電力を「Pmax」とする。トリガ挿入部15は、最も大きい電力「Pmax」よりも大きい電力「Pmax1」を送信し、そこから立下る点をトリガとする。
トリガ検出部33は、電力「Pmax」と電力「Pmax1」との間の電力(例えば、1/2の電力)を、トリガを検出する閾値「Th」とする。トリガ検出部33は、閾値「Th」より大きい電力が、閾値「Th」を下回った時点(時間)を、トリガとして検出する。
このように、無線給電システムは、無線送電量の変化によってトリガを伝送することにより、簡単な構成で実現され得る。
図23は、他のトリガの挿入例および検出例を説明する図である。図23には、給電側装置1の電力送信タイミングを示している。図23に示す「#1」は、給電側装置1が「#1」の受電側装置3へ電力を送電するタイミングを示し、「#2」は、給電側装置1が「#1」の受電側装置3へ電力を送電するタイミングを示している。
トリガ挿入部15は、トリガとして、受電側装置3に送信する電力にユニークワードを挿入する。図23に示すユニークワードは、トリガ挿入部15が挿入したトリガの例を示している。トリガ挿入部15は、例えば、受電側装置3が必要とする電力を送電する前に、無線電力伝送搬送波を変調して、無線電力伝送搬送波の包絡線にユニークワードを挿入する。
トリガ検出部33は、給電側装置1から送信された電力からユニークワードを検出し、トリガを検出する。無線給電システムは、トリガにユニークワードを用いることによって、トリガ検出の精度を向上させることができる。
図24は、他のトリガの挿入例および検出例を説明する図である。図24には、トリガ挿入部15の機能ブロック例が示してある。
トリガ挿入部15は、加算器131を有している。加算器131には、増幅部14から出力される周波数「f1」の無線電力伝送搬送波と、制御部11から出力される周波数「f2」のトリガ信号とが入力される。加算器131は、周波数「f1」の無線電力伝送搬送波に、周波数「f2」のトリガ信号を多重する。
図25は、他のトリガの挿入例および検出例を説明する図である。図25には、トリガ検出部33の機能ブロック例が示してある。
トリガ検出部33は、フィルタ部141と、検出部142とを有している。フィルタ部141には、受電側アンテナ20によって受電された電力が入力される。フィルタ部141は、入力された電力から、周波数「f2」の電力(信号)を抽出する。
検出部142は、フィルタ部141によって、周波数「f2」の信号が抽出されると、トリガを制御部31に出力する。
図26は、周波数特性例を示した図である。図26に示すように、トリガ挿入部15は、無線電力伝送搬送波周波数「f1」に、トリガ周波数「f2」を周波数多重する。トリガ検出部33は、受信した電力から、周波数「f2」のトリガ信号を抽出することにより、トリガを検出する。
このように、無線給電システムは、周波数多重を用いることにより、簡単な構成でトリガ挿入およびトリガ検出ができる。
なお、上記では、トリガ検出部33について説明したが、トリガ検出部113も同様である。
[第8の実施の形態]
第8の実施の形態では、電力の送信順序について説明する。
図27は、第8の実施の形態に係る電力送信順序を説明する図である。図7および図13の説明では、便宜上付与した識別番号順に電力を送電したが、給電側装置1は、どのような順番で電力を送電してもよい。
図27の(a)は、送電の強さを大から小へ並べたものである。小から大でもかまわない。これにより、発光素子の発光の変化を緩やかにでき、高調波の発生を抑制することができる。
図21の(b)は、送電の強さを最初と最後で合わせるものである。図21の(a)以上に、発光素子の発光の変化を緩やかにでき、高調波の発生を防ぐことができる。なお、図21の(a)および(b)のような並びにすると、第5の実施の形態で説明した発光の事前準備に特に有効である。
図21の(c)は、送電の強さをランダム化するものである。これにより、周期性のある高調波の発生レベルを下げることができる。
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、無線給電システムの構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。無線給電システムの構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
また、上述したシーケンス図の各処理単位は、無線給電システムの処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。無線給電システムの処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。
また、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者には明らかである。また、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。さらに、各実施の形態を組み合わせることもできる。
また、図面等において示した各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。