JP5433872B2 - 格闘技用練習具 - Google Patents
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Description
柔道の練習中に発生する事故は、初心者の受身の稽古不足や、投げ技に際する引き手不足などの不完全な投げ、絞め技・関節技の力加減の誤り、および少子化に伴って愛好家が減ったことによる稽古相手の不足や、体重差の大きな稽古相手しか居ないといった恵まれない練習環境などの問題に加えて、受身などの基本練習に長時間を割くことができないといったような短時間の学校授業での取り組み方や、授業に取り入れられることとなった場合には、充分に経験を積んだ指導者が不足して正確な練習ができないなどといった、一昔前までには想像もしなかった諸々の原因によって引き起こされてしまう虞があり、それら事故が発生したときの賠償問題が取り沙汰される昨今、一頃のように柔道愛好者を募るのが難しくなっている。
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、保持手段でメインシャフトを水平、かつ揺動および回転自在に保持し、該メインシャフト一方側上側に操作部を揺動および回転自在に取り付け、該メインシャフト一方側下側に脚部を取り付け、練習者が操作部を揺動させ、脚部を刈る、払うまたは跳ね上げる動作に合わせて、操作部および/または脚部を変位させるようにして、相手がいなくても実戦的な柔道技の練習を行い得るようにしてなるものや、同特許文献1(2)に見られるような、環状ロープの中途の一部を練習者が把持できる程度露出するよう、同環状ロープの他部を本体内に収容し、該本体内の環状ロープの他部に、練習者が引っ張る方向とは反対方向の負荷を発生する負荷部、および、練習者が引っ張る力に抗する抵抗部を内蔵し、柔道の対戦相手の袖を強く掴み、引き付けるための筋力を強化可能としてなるもの、同特許文献1(3)のように、機体フレームの上部に、前方下方に向けて伸延させた左・右側揺動アームを揺動自在に枢設したローイングマシンに、柔道着における袖を模した筒状の袖布片と、柔道着における前襟を備えた前身頃を模した前身頃布片を装着し、機体フレームの前方上下間中途部および下部の夫々適所に、胸当て板、座板を夫々設け、下半身に怪我を負った柔道家でも訓練可能としたもの、同特許文献1(4)のような、机上や板状物に着脱自在なクランプの適所に垂設した中空軸に、上下進退自在に装着した調節パイプ、および、該調節パイプを任意の上下進退位置に仮固定可能な調節ネジを設け、該調節パイプの上端に立設したコイルスプリングの上端にパンチングボールを装着し、気軽にボクシング気分を楽しんだり、ボクササイズをしたりすることができるようにしたものなどが散見される。
上述したとおり、従前までに提案のある各種格闘技用の練習器具類などは、何れも対応できる練習範囲や項目に制限があるばかりではなく、それら専用器具を利用して総合的な練習を行おうとすると、広いトレーニング用のスペースを確保しておいて、夫々の器具類を個々に設置しなければならず、勢い経済的負担が大きくなってしまうなど、多くの欠点をもつものである上、トレーニングマシーンのような大掛かりな設備は、子供達の運動には馴染み難く、ふざけて走り回ったり、器具の近くでバランスを崩した場合などに衝突や接触してしまう虞もあり、安全面からしても適さない面が多く、教育現場などにおける柔道や、その他格闘技の練習を、特に初心者であっても、より安全で楽しく行えるよう、さらに一層の改良、開発を必要としている。
そこで、この発明は、少子化によって練習相手が少なく、充分に経験を積んだ指導者も不足している教育現場であっても、子供達が、初歩から安全に格闘技を身に付けることができる格闘技用の新たな練習用器具技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の格闘技用練習具を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の格闘技用練習具は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、軽量・軟質合成樹脂製で、頭部、胴体、肢体各部を有する人型外殻体を設け、頭部、胴体、肢体各部の各部間に弾性継ぎ手を介在させ、静置状態では、起立姿勢か、または構えた姿勢かの少なくとも何れか一方の姿勢になるようにするか、または、起立姿勢と構え姿勢との双方に可変となるよう、予め成形して等身大人型本体を形成し、該人型本体左右脚下端部夫々には、球面状接地面をなし、該人型本体を自立可能なバランスに維持可能な重量の錘部を設けた上、当該人型本体には、着脱自在となる柔道など格闘衣を着用させてなるものとした構成を要旨とする格闘技用練習具である。
人型本体は、柔道における立ち技および寝技をかけることができる程度の柔軟性および耐久強度を有し、柔道など各種格闘衣を着用可能な等身大の人型をなす機能を担い、頭部、胴体、肢体各部を準えた人型外殻体を有し、静置状態では、起立姿勢か、または構えた姿勢かの少なくとも何れか一方の姿勢になるようにするか、または、起立姿勢と構え姿勢との双方に可変となるよう、予め成形してなるものとしなければならず、該人型外殻体内部に人型骨格を一体的に内蔵してなるものとするのが良く、後述する実施例に示すように、軽量・軟質合成樹脂製の人型外殻体内に、骨に準じた弾性強度を有する軽量・弾性素材製の人型骨格を、一体的に内蔵するようにしてなるものとすることができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
以上のとおりの構成からなる、この発明の格闘技用練習具1は、図1ないし図5に示すもののように、人型本体2左右脚20,20下端部夫々に、ラグビーボールを横転してなるような外郭形状とした錘部21,21が共に、それら長径方向を前後方向に向けるよう一体化し、各球面状接地面23,23で点接地可能なものとしてあるから、図3および図4中の実線矢印に示すように、前後左右に倒れるような外力が加わった場合にも、自動的に起立、復帰するようになり、その立ち上がり機能は、図5に示すように、構え姿勢とした場合にも同等に得ることが可能であり、練習パターンを多様化することができるという利点を得ることができ、しかも、肉厚軟質合成樹脂袋22,22内に砂や砂鉄などの流動性の錘材24を収容してなるものとした各錘部21,21は、練習者に接触した場合にも衝撃力を緩和し、より安全に稽古することができるものとなる。
叙述の如く、この発明の格闘技用練習具は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの各種格闘技用練習器具類の技術に比較して、その利用範囲を大幅に拡大し、軽量且つ等身大で設置用のスペースも必要とせず、低廉化して遥かに経済的なものとすることができる上、使用後は簡便に収納、保管することができ、初心者の格闘技の習得を格段に安全なものとすることができるから、従前までは、本格的な練習に入る前段階にて、受身などの基本練習を充分に行わなければ技を掛け合うような練習に入ることはできなかったものが、等身大の当該格闘技用練習具を利用することによって、熟達する前段階であっても安全に立ち技や寝技の練習を行えるようになり、格闘技の練習を格段に安全なものとし、限られた短い授業時間内に柔道のカリキュラムを終えなければならない学校や、柔道の経験が浅く、安全の確保が難しい教師などにとって朗報となり、身体的に未熟な子供達を、危険な格闘技の稽古に参加させたくないと考える一般家庭は固より、そうした学校や家庭などに、より安全な練習具類を提供したいと希望するスポーツ用品業界においても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
2 人型本体
20 同 左右脚
21 同 錘部
22 同 軟質合成樹脂袋
23 同 球面状接地面
24 同 錘材
3 人型外殻体
30 同 頭部
31 同 頚部
32 同 胴体
33 同 腕肢体部(肢体各部)
34 同 脚肢体部(肢体各部)
4 人型骨格
40 同 頭骨格
41 同 胴体用骨格
42 同 左右腕骨幹(肢体用骨格)
43 同 左右脚骨幹(肢体用骨格)
5 弾性継ぎ手
50 同 関節機構
51 同 姿勢変更機構
52 同 摺動座面
53 同 関節用球体
54 同 弾性牽引紐(弾性付勢部)
55 同 脊椎機構
6 関節部アラーム
60 同 角度センサー
7 頚部アラーム
70 同 圧力センサー
8 中央処理装置
80 同 バッテリー
81 同 スピーカー(無線送信機)
9 格闘衣
Claims (4)
- 軽量・軟質合成樹脂製で、頭部、胴体、肢体各部を有する人型外殻体を設け、頭部、胴体、肢体各部の各部間に弾性継ぎ手を介在させ、静置状態では、起立姿勢か、または構えた姿勢かの少なくとも何れか一方の姿勢になるようにするか、または、起立姿勢と構え姿勢との双方に可変となるよう、予め成形して等身大人型本体を形成し、該人型本体左右脚下端部夫々には、球面状接地面をなし、該人型本体を自立可能なバランスに維持可能な重量の錘部を設けたものとする一方、当該人型本体が、その人型外殻体か人型骨格かの何れか一方の、左右肘関節に相当する弾性継ぎ手夫々に角度センサーを配し、適所にスピーカーか、または、受信機能を有する外部スピーカーに信号出力可能な無線送信機かの少なくとも何れか一方を設けると共に、それら各角度センサー、スピーカーおよび/または無線送信機が接続し、バッテリー回路が付属してなる中央処理装置を設けた関節部アラームを内蔵し、何れかの角度センサー出力が、人体の肘関節における可動範囲に相当する角度範囲を超えた時に、中央処理装置がスピーカーおよび/または無線送信機を通じて、警告音を発生可能としてなるものとした上、当該人型本体には、着脱自在となる柔道など格闘衣を着用させてなるものとしたことを特徴とする格闘技用練習具。
- 軽量・軟質合成樹脂製で、頭部、胴体、肢体各部を有する人型外殻体を設け、頭部、胴体、肢体各部の各部間に弾性継ぎ手を介在させ、静置状態では、起立姿勢か、または構えた姿勢かの少なくとも何れか一方の姿勢になるようにするか、または、起立姿勢と構え姿勢との双方に可変となるよう、予め成形して等身大人型本体を形成し、該人型本体左右脚下端部夫々には、球面状接地面をなし、該人型本体を自立可能なバランスに維持可能な重量の錘部を設けたものとする一方、当該人型本体が、その頭部と胴体との間となる頚部周囲の、少なくとも頸動脈相当位置、および/または、喉頭隆起相当位置の夫々に圧力センサーを配し、適所にスピーカーか、または、受信機能を有する外部スピーカーに信号出力可能な無線送信機かの少なくとも何れか一方を設けると共に、それら各圧力センサー、スピーカーおよび/または無線送信機が接続し、バッテリー回路が付属してなる中央処理装置を設けた頚部アラームを内蔵し、何れかの圧力センサーが、所定圧力を受け続けた時に、中央処理装置が圧力検出から所定短時間経過した後、スピーカーおよび/または無線送信機を通じて、警告音を発生可能としてなるものとした上、当該人型本体には、着脱自在となる柔道など格闘衣を着用させてなるものとしたことを特徴とする格闘技用練習具。
- 軽量・軟質合成樹脂製で、頭部、胴体、肢体各部を有する人型外殻体を設け、頭部、胴体、肢体各部の各部間に弾性継ぎ手を介在させ、静置状態では、起立姿勢か、または構えた姿勢かの少なくとも何れか一方の姿勢になるようにするか、または、起立姿勢と構え姿勢との双方に可変となるよう、予め成形して等身大人型本体を形成し、該人型本体左右脚下端部夫々には、球面状接地面をなし、該人型本体を自立可能なバランスに維持可能な重量の錘部を設けたものとする一方、当該人型本体が、その人型外殻体か人型骨格かの何れか一方の、左右肘関節に相当する弾性継ぎ手夫々に角度センサーを配し、適所にスピーカーか、または、受信機能を有する外部スピーカーに信号出力可能な無線送信機かの少なくとも何れか一方を設けると共に、頭部と胴体との間となる頚部周囲の、少なくとも頸動脈相当位置、および/または、喉頭隆起相当位置の夫々に、圧力センサーを配し、それら各角度センサー、圧力センサー、スピーカーおよび/または無線送信機が接続し、バッテリー回路が付属してなる中央処理装置を設けてなる関節部アラームおよび頚部アラームを内蔵し、何れかの角度センサー出力が、人体の肘関節における可動範囲に相当する角度範囲を超えた時、および/または、何れかの圧力センサーが、所定圧力を受け続けた時に、中央処理装置が圧力検出から所定短時間経過した後、スピーカーおよび/または無線送信機を通じて、警告音を発生可能としてなるものにした上、当該人型本体には、着脱自在となる柔道など格闘衣を着用させてなるものとしたことを特徴とする格闘技用練習具。
- 人型本体が、その軽量・軟質合成樹脂製の人型外殻体内に、空気、ヘリウムガスまたは窒素ガスなどの何れか単独気体か、または、それらの混合気体かの何れかを適宜内圧とするよう充填してなるものとした、請求項1ないし3何れか一記載の格闘技用練習具。
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