JP5433562B2 - スルホランを用いた生体分子の分離方法 - Google Patents

スルホランを用いた生体分子の分離方法 Download PDF

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    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/10Processes for the isolation, preparation or purification of DNA or RNA
    • C12N15/1003Extracting or separating nucleic acids from biological samples, e.g. pure separation or isolation methods; Conditions, buffers or apparatuses therefor

Description

関連文献の相互参照
本出願は、開示全体がその全体が参照として本明細書中に組み込まれる、米国特許出願第11/688652号の開示に依り、および出願日の利益を主張する。
本発明は、生体分子の単離および精製の分野に関連する。すなわち、本発明は、核酸を分離および精製するための方法、組成物、およびキットに関連する。
スルホランは、抽出蒸留溶媒または反応溶媒として化学工業において一般的に使われている、透明な、無色の液体である(図1を参照)。スルホランは、もともとブタジエンを精製するための溶媒として開発された(例えば米国特許第4090923号を参照)。スルホランは分子生物学においていくつかの応用を有する。スルホランは、核酸を抽出する方法において、上相および下相を形成するために、他の液体と共に使用される(例えば米国特許第6815541号を参照)。スルホランは、高分子量DNAの迅速単離のための工程において、細胞溶解および可溶化を改善するためにも用いられる(例えば米国特第4900677号を参照)。さらにスルホランは、一般にリボヌクレアーゼを不活化、およびタンパク質を変性する非プロトン性溶媒として用いることができる(例えば米国特許第5637687号を参照)。さらにスルホランは、PCRの増強にも用いることができることが報告されている(例えば米国特許第6949368号を参照)。
DNAおよびRNAなどの生体分子の単離、およびそれに続く解析は、分子生物学の基本である。核酸の解析は遺伝子発現の研究に不可欠であり、基礎研究だけでなく、医療分野の診断的な使用にも不可欠である。例えば診断ツールは、微量の細胞、組織、および/または生検材料からの核酸配列の検出、ならびに血液または血漿中のウイルス核酸の検出を含む。サンプルから単離かつ精製された核酸の収量および品質は、任意の次の解析の成功に重要な効果を有する。
生物学的サンプルからの核酸の単離は、通常は、核酸の精製に続く、例えば機械的作用および/または化学作用による生物学的サンプルの溶解を含む。以前は、核酸の精製は、塩化セシウム密度勾配遠心分離(時間がかかり、かつ高価)またはフェノール抽出(使用者に有害であると考えられる)などの方法を用いて行っていた。典型的な最終段階においては、低収量の単離核酸をもたらすエタノール沈殿が、核酸の濃縮に用いられていた。
現在使用されている多くの核酸を単離するための方法は、カオトロピック塩の存在下でのガラスまたはシリカ粒子上への核酸の吸着に基づく(例えば、Vogelstein,B.およびGillespie,D.,“Preparative and analytical purification of DNA from agarose”,Proc.Natl.Acad.Sci.USA76:615‐619,1979;米国特許第5234809号;および米国特許第6180778号を参照)。
しかしながら、さまざまな細胞および組織から、核酸、タンパク質、および他の分子の簡便な単離を可能にし、収量が改善され、より良い品質の単離された生産物を提供し、かつ有機溶媒抽出またはエタノール沈殿を必要としない方法が、いまだに当技術分野で必要とされている。
本発明は、細胞溶解物および組織溶解物などのサンプルからの生体分子を精製する方法、組成物、およびキットを提供することによって、当技術分野における必要性に取り組む。本発明は、少なくとも一部において、スルホランの存在下で、核酸などの生体分子が無機担体と結合できるという発見に基づく。すなわち、カオトロピック塩とスルホランの存在下で、一本鎖核酸分子は無機担体と結合できるということが見出されている。例えば本発明は、少なくとも1つのカオトロピック塩、界面活性剤中に溶解した細胞(例えば血液由来の、およびフラスコ中で培養された哺乳動物細胞など)、およびゲノムDNAをガラス繊維フィルター上に捕集する一方で、RNAは通過する、ガラス繊維フィルターの混合物の使用を包含する。通過混合物へのスルホランの添加は、RNAのガラス繊維などのガラス担体への結合を可能にする。とりわけ、この発見は二本鎖核酸から一本鎖核酸を選択的に分離するのに用いることができる。この発明の方法は、有機溶媒抽出およびエタノール沈殿を除く。本方法により単離された核酸などの、本発明の方法を用いて精製された、または単離された生体分子は、高い収量を有することができ、かつ高品質であることができる。実際には、態様において、精製されたまたは単離された物質は、以後の解析に直接使用される。
第一の態様において、本発明は、生体分子を単離する方法を提供する。好ましい態様において、本方法は、二本鎖および/または一本鎖核酸を単離するために使用することができる。一般に、本方法は、組成物を形成するために、一本鎖核酸、二本鎖核酸、またはその両方などの生体分子を含むサンプルと、スルホランとを、カオトロピック塩の存在下で接触させるステップと、および、生体分子が無機担体に吸着されるのに十分な時間で、組成物を少なくとも1つの無機担体に曝露するステップと、を含む。好ましい態様において、サンプルは主に一本鎖核酸を含み、かつ一本鎖核酸は主に無機担体に吸着される。別の観点から見ると、本方法はサンプルを少なくとも1つの無機担体で処理するステップを含むことができ、ここで処理条件は、生体分子(例えば、一本鎖核酸)分画が無機担体上に吸着するなどのように、特にカオトロピック物質およびスルホランである、適切な塩の混合物で調節される。好ましくは、混合物は水性混合物である。スルホランの濃度は、1つまたはそれ以上の生体分子が選択的に結合するように、調節することができる。例えば、1つまたはそれ以上のカオトロピック塩の存在下、かつスルホランの非存在下で、DNAはRNAと比較して無機物担体に選択的に結合することができる。未結合RNAおよびカオトロピック塩を含む混合物へのスルホランの添加は、RNAの第二の無機物担体への結合を可能にする。本方法において、本発明で実施の際選択された、1つまたはそれ以上の任意の洗浄ステップを行うことができる。さらに、本方法がDNAの単離に用いられる場合、夾雑RNA分子を除去するために、任意の時点でRNAseを添加し得る。吸着した目的の物質は、水または低イオン強度を有する水性緩衝液などの、適切な液体中への溶出により、無機物担体から放出させることができる。目的の一本鎖核酸がRNAである場合、本方法は1つまたはそれ以上のカオトロピック塩とスルホランの存在下で、組成物を少なくとも1つの無機物担体に曝露するステップを含むことができ、これによりRNAは無機物担体に結合することが可能となる。無機物担体および吸着された核酸は、吸着された任意の夾雑DNAを無機担体から除去するため、DNAseに曝露することができる。本方法によれば、無機担体上に吸着した一本鎖核酸は、低イオン強度または単純に水の条件下で溶出することができる。
他の態様において、本発明は、1つまたはそれ以上の核酸などの生体分子を単離するために用いることができる組成物を提供する。組成物は、スルホラン、および1つまたはそれ以上の塩を含み得る。例えば、組成物は、スルホランを10〜80%の濃度で、かつカオトロピック塩を1〜8モル濃度(M)の濃度で含み得る。組成物は、態様において、所望のpHまたはpH範囲を維持するのを助ける緩衝液を含み得る。よって、緩衝液は、溶解緩衝液にスルホラン、および1つまたはそれ以上の塩を含み得る。組成物は、好ましくは1つまたはそれ以上の核酸、タンパク質、炭水化物、および/またはその他のなどの生体分子を含む。
さらなる態様において、本発明は、個々にスルホラン、無機物担体、1つまたはそれ以上の細胞溶解溶液、洗浄溶液、溶出溶液、またはこれらの2またはそれ以上の組み合わせを含む、1つまたはそれ以上の容器を含むキットを提供する。キットは、例えば、核酸などの生体分子を単離するため使用できる。一般にキットは、本発明の方法を実施するのに用いられる物質、試薬、補給品などを含む。よって、さまざまな態様において、キットはスルホラン、1つまたはそれ以上の細胞溶解緩衝液などの緩衝液、DNAse、DNAse再構成緩衝液、DNAse消化緩衝液、RNAse、RNAse再構成緩衝液、RNAse消化緩衝液、高塩濃度洗浄緩衝液、低塩濃度洗浄緩衝液、および/または溶出緩衝液を含み得る。キットはさらに、サンプルを濾過するためのプレフィルトレーションカラム、核酸分子を吸着するためのカラム、および/またはタンパク質を精製するためのカラムなどのカラムを含み得る。
この明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明のいくつかの実施例を例示し、かつ、記載された事項と共に、本発明のさまざまな原理を説明するのに役立つ。図面は、本発明の範囲または内容を限定するものとして解釈されないことが理解される。
スルホランの構造を示す。 本発明による核酸精製の方法の一態様の概略図を示す。 Agilent Bioanalyzerのデータとして示された、Jurkat細胞から単離されたRNAの品質を示す。 Stratagene Mx 3000P Real‐Time PCR機器を用いてQRT‐PCRのデータとして示された、Jurkat細胞から単離されたRNAの品質を示す。 Stratagene Mx 3000P Real‐Time PCR機器を用いてQRT‐PCRのデータとして示された、実施例2に記載の方法を用いて白血球から単離されたRNAの品質を示す。 Agilent Bioanalyzerのデータとして示された、白血球から単離されたRNAの品質を示す。 Stratagene Mx 3000P Real‐Time PCR機器を用いてQRT‐PCRのデータとして示された、白血球から単離されたRNAの品質を示す。
発明のさまざまな例示的な態様を以下で詳細に参照する。以下の記載は、本発明の特定の態様において詳細を与えるために提供され、かつ本発明の全範囲を限定するものとしては理解してはならない。
大まかに言って、本発明は、の適切な塩の混合物とスルホランの存在下で、サンプルから生体分子を分離、精製、および/または単離する方法、組成物、およびキットを提供する。したがって、一態様において、本発明は、核酸およびタンパク質などの生体分子を、スルホランの存在下で単離する方法を提供する。一般に、本方法は、1つまたはそれ以上の生体分子を、いくつかのまたはすべての生体分子が吸着されるのに、または無機物担体に結合するのに十分な時間で、スルホランおよび無機物担体に曝露するステップを含む。目的の生体分子は、無機物担体に結合したもの、または非結合分画中に見出されるものであり得る。例えば、核酸およびタンパク質を含む組成物において、核酸は記載した条件下で無機物担体に結合し得る一方で、タンパク質は結合し得ない。この方法において、両方の分子は互いに精製され得る。続いて、フィルター、樹脂等を用いたさまざまなタンパク質種の精製に最適な条件で、塩、緩衝液、溶媒等を添加することができる。本方法は、カオトロピック塩などの1つまたはそれ以上の塩に、生体分子を曝露するステップも含み得る。本方法は、無機物担体および結合した物質を洗浄することで、および/または結合した物質を無機物担体から遊離させることによる、スルホラン、塩、および/または任意の結合していない物質を除去するステップも含み得る。
好ましい態様において、本発明は、スルホランを用いた、一本鎖および二本鎖核酸を含む、核酸を単離または精製する方法を提供する。本方法は、単離される、または精製される核酸を含むサンプルを、少なくとも1つの無機担体(本明細書中で無機物担体または固体支持材としても参照される)に曝露するステップを含み、ここで曝露条件は、特にカオトロピック物質およびスルホランである、核酸が無機担体上に吸着するのに適切な塩の混合物を含む。好ましくは、混合物は水性混合物である。随意に、担体上に吸着されたサンプルは、吸着後、緩衝液で洗浄される。さらに、RNAを単離または精製する方法において、すでに担体に吸着されたDNA分子は、適切な条件下およびDNAの消化が起こるのに適切な時間下で、無機物担体に曝露後、物質をDNAse(好ましくは無RNAse)に結合させることにより除去することができる。反対に、DNAを単離するまたは精製する方法において、すでに担体に吸着されたRNA分子は、適切な条件下およびRNAの消化が起こるのに適切な時間下で、無機物担体に曝露後、物質をRNAse(好ましくは無DNAse)に結合させることにより除去することができる。
本発明は、一本鎖または二本鎖核酸の一方を無機担体に選択的に結合するのにも利用することができる。無機担体に結合する核酸は、特に結合時に存在するスルホランおよび塩の量に応じる。特定の塩の条件下、およびスルホラン濃度が高い場合(例えば、50%またはそれ以上の濃度のスルホラン)、両方の型の核酸(DNAおよびRNA)は無機物担体に結合する。他の条件下、スルホランおよび/または塩濃度が規定値よりも低い場合、任意の実存範囲において、一方または両方の核酸は無機物担体に結合しない。しかしながら、これら2つの条件の間において、RNAおよびDNAは異なる範囲で無機物担体に結合するため、塩とスルホランの濃度は、主に一方の核酸を選択的に結合させるために調節することができる。この方法は、よって、スルホランおよび塩の存在下でのDNAおよびRNAの特異的結合による、核酸の分離方法である。一態様において、RNAは低濃度のスルホラン(例えば、体積当たり20%〜40%のスルホラン)条件下で選択的に無機担体に結合し、かつDNA分子は主に通過する。追加のスルホランは、第一の無機担体からの主にDNAを含む通過画分に添加することができ、これにより第二の無機物担体へのDNAの結合を可能にする。例えば、DNA結合を生じさせるために、スルホラン濃度は、45%またはそれ以上に増加させることができる。他の変動は、スルホランおよび塩の存在下での、無機担体への核酸の特異的結合を利用することにより、想像かつ利用することができる。
本発明の一実施例として、この方法は、RNA分子を単離するための方法を実施するために、ミニプレップキット中に取り込み得る(例えば図2を参照)。この方法において、細胞または組織は、細胞を溶解させるため、緩衝液中にホモジナイズされる。可溶化液はプレフィルターカラムに添加された後、高DNA分子を捕集するために遠心分離される。RNA分子および高濃度の塩を含む濾液は、スルホランと混合後、シリカベースの繊維マトリックスを含むスピンカラムに添加される。スピンカラムマトリックスに結合したRNAは、随意に、少なくとも1つの低塩濃度洗浄液および/または高塩濃度洗浄液で洗浄される。任意のDNAse処理は、RNA分子が結合したスピンカラム上で行うこともできる。上記の任意の第二の洗浄措置に続いて、RNAは低イオン強度の緩衝液、または水に溶出される。
一態様において、本方法はスルホランの存在下でのRNAの無機物担体への結合ステップの前に、サンプルを濾過するステップを含む。例えば、核酸の混合物を含むサンプルは、1つまたはそれ以上のフィルターを通過させることにより、大きな、主に二本鎖DNAはプレフィルターに捕集され、プレフィルターすることができる。RNAを含む通過画分は、その後、塩とスルホランの適切な水性混合物の存在下で、無機担体に吸着されることができる。任意に行った洗浄ステップ、および無機担体から任意の残渣DNAを除去するための任意のDNAse消化後、無機担体上に吸着したRNAの溶出は、溶液で達成することができ、好ましくは低イオン強度を有する水溶液である。この方法によれば、ゲノムDNA、他の細胞マクロ分子、および/または結合性組織などの細胞外細片を含むことができる大きな分子は、比較的大きなサイズのため、プレフィルターに捕集される。よって、本方法において、プレフィルターに捕集された分子は、化学的および/または物理的手段によって、所望の時間で遊離させることができる。捕集した物質を除去するための簡便かつ穏やかな方法の1つは、プレフィルターを通して、当初の濾過と反対側から液体を流すことである。このようにすると封入物質の実質的な部分を除去するため、その後より小さな物質より、実質上精製される(例えば、DNAは現在夾雑RNAより精製された)。プレフィルターから分離された巨大な分子はその後直接解析することができ、またはスルホランおよび最適な濃度の塩または適切な塩の混合物の存在下で無機担体に吸着することを含むが、これに限定されないさまざまな方法によってさらに精製することができる。
サンプル構成に依存して、プレフィルトレーション後、通過分画は、小さなDNA分子などの、主に小さな二本鎖核酸を含み得る。これらの分子はその後、塩とスルホランの適切な水性混合物の存在下で、無機担体に吸着されることができる。任意に行った洗浄ステップ、および夾雑RNAを無機担体から除去するための任意のRNAseステップ後、小さなDNA分子は、温めたまたは温めていない低イオン強度を有する水溶液で、無機担体から溶出することができる。一般に、通過分画に見出される小さなDNA分子は、約6kb〜約4kb、または約4kb〜約1ヌクレオチドなど、約6kb以下である。好ましい態様において、DNA分子は約1kb以下である。
他の態様において、本発明の方法は、生体サンプルからの特定のタンパク質の単離を含む。この場合において、カオトロピックであってもなくても、塩は、スルホランとの組み合わせで、核酸の少なくとも1つの無機物担体への結合に使用することができる。これらの条件下で、タンパク質はかなりの範囲で結合せず、かつしたがって1つまたはそれ以上の核酸が存在しないか、または実質的に存在しない通過画分または溶出画分に補修することができる。いくつかのタンパク質およびタンパク質解析技術(例えば酵素活性アッセイ)について、結合のための条件は、目的のタンパク質は変性しないか、そうでなければ三次構造または四次構造が不可逆的に変化しない、などでなければならない。しかしながら、いくつかのタンパク質では、タンパク質の構造または活性の顕著な損失なしに復元が達成される場合、変性は許容される。また、スルホランの存在下で、単独で、または1つまたはそれ以上の塩の存在下で、無機物担体に結合しないタンパク質を含む組成物は、無機物担体に曝露することができるため、DNAおよび/またはRNAは吸着される。目的のタンパク質は通過後、当業者に既知のタンパク質精製方法を用いて精製することができる(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー等の使用)。
驚くべきことに、カオトロピック塩の存在下で、スルホランは、例えばガラス、シリカ、またはこれらの形態を含む担体へのサンプル中の核酸の結合を助けることが見出された。CS(図1を参照)の化学式である工業化学物質であるスルホランは、2,3,4,5‐テトラヒドロチオフェン‐1,1‐ジオキシド、スルフォラン(sulpholane)、テトラヒドロチオフェン‐1,1‐ジオキシド、テトラメチレンスルフォン、環状テトラメチレンスルフォン、シクロテトラメチレンスルフォン、スルフォラン(sulfolan)、
チオファンスルフォン(thiophan sulfone)、チオフェン、スルファロン(sulfalone)、などの多くのほかの名前でも知られている。これらすべての名前はお互いに交換可能で、かつ同じ化合物を参照するので、本発明の方法は本明細書で挙げたすべての名前、および名前は本明細書に挙げていないが図1に示す構造と同じものに関連する。参照を容易にするため、本明細書では、用語「スルホラン」を使用する。少なくとも1つの無機物担体への生体分子の結合を可能にすることに関して、スルホランの炭素原子に置換および付加された化合物もスルホランとして用いうることも想像することもできる。例えば、1つまたはそれ以上の5員環の炭素は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、セプチル、およびオクチル基などの短鎖アルキル基に置換し得る。同様に、カルボキシル基およびカルボニル基として、1つまたはそれ以上の炭素における水酸基の置換は許容される。窒素含有、硫黄含有、および酸素含有基は、1つまたはそれ以上の炭素上で同様に置換し得る。しかしながら、水との混和性を妨害するスルホランの修飾は、生体分子の無機物担体への良好な結合を可能にし得ず、よって本発明の方法においては有利にはなり得ない。
本明細書中において、用語「生体分子」は、細胞中に見いだされる、またはウイルスを含む有機体から産生される任意の分子を参照する。「生体分子」は核酸、タンパク質、炭水化物、および脂質を含み得るが、これらに限定されない。好ましい態様において、生体分子は、核酸またはタンパク質を、および最も好ましくは核酸を参照する。生体分子は、全種類の組織、培養細胞、体液、全血液、血清、血漿、尿、糞、微生物、ウイルス、植物などのさまざまなサンプル、および酵素反応後の核酸を含む混合物から単離することができる。組織の例としては、昆虫および軟体動物などの無脊椎動物、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、ならびにヒト、ラット、イヌ、ネコおよびマウスなどの哺乳類などの脊椎動物由来の組織を含む。培養細胞は、細菌、藍藻、放線菌類、およびマイコプラズマなどの原核生物由来のもの、ならびに植物、動物、菌類、および原虫などの真核生物由来であることができる。本発明の方法は、1x10以下の培養細胞、またはレーザーキャプチャーマイクロダイゼッションで回収された細胞などの極端に少ない細胞のサンプルに用いることができる。血液サンプルは、生命体から直接採取した血液、もしくは赤血球、および/または血清または血漿などの、いくつかの要素を除去するために何らかの方法で濾過した血液を含む。核酸は、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、逆転写酵素、リガーゼ、制限酵素、DNAse、RNAse、ヌクレアーゼ、プロテアーゼ等、または分子生物学的な方法で核酸と接触できる任意の他の酵素などの酵素から、核酸を精製するための酵素反応より単離することができる。
本発明の好ましい方法において、一本鎖RNAは二本鎖核酸から、好ましくはDNAから分離される。DNAが一本鎖形態で存在している場合、二本鎖DNAおよび二本鎖RNAから分離され得る。この方法によって単離されたRNAは、mRNA、tRNA、rRNAならびにsnRNA、snoRNA、miRNAおよびsiRNAなどのノンコーディングRNAを含む。この方法で単離することができるRNAのサイズは特に限定されないが、一般的に約20ヌクレオチド(いくつかのsiRNAなど)から、約5kbまたは6kb以上(いくつかのmRNAなど)の範囲である。
用語「単離された」および「精製された」は、生体分子がサンプル中の他の物質から分離されることを意味する。これらの物質は、単離された分子と比較して異なる型の分子を含み得る。例えば、核酸は、タンパク質、炭水化物、および脂質、ならびに細胞中に見出される任意の他の分子などの他の生体分子から単離され得る。物質は単離された分子と比較して同じ型の分子も参照し得る。例えば、ある特異的なタンパク質は他のタンパク質から単離され得、またはある種の核酸は他の型の核酸より精製され得る。生体分子は、溶解または裁断された細胞由来の細片、または細胞器官および結合組織などの組織成分などの他の物質から分離され得る。物質は、溶解緩衝液中または培養細胞を生育するための培地中などの、緩衝液または液体細胞または組織であっても含み得る。サンプル中のいくつかの他の物質より部分的に分離または部分的に精製されるように、生体分子は本発明の方法で部分的に精製することができる。生体分子は、80%以上の純度で、主に精製することができる。生体分子は少なくとも98%、99%、99.5%などの、少なくとも95%に、または目的の生体分子を含む最終溶出物中の生物学的物質よりも、純粋もしくはほぼ純粋にすることができる。当然のことながら、単離または純度の任意のレベルは本発明で表現されており、1%〜100%、もしくはこれらの画分を含むすべてのこの範囲での特定の値は予測されており、および当業者は、本明細書中で特異的に参照する必要のある特定の値以外の、範囲内のそれぞれの特定の値を即座に認識すると理解される。本明細書中において、「単離された」および「精製された」は交互に用いられる。
固体組織であるサンプルで本方法を実施する場合などの態様において、本発明の方法は、無機担体上にサンプルを吸着させる前にサンプルを高濃度の塩と混合させるステップを含む。混合は、結果としてサンプルおよび塩が接触する、任意の反応であることができる。混合は、高塩濃度を含む溶解緩衝液をサンプルに添加することで達成され得る。核酸の単離用には、好ましくは、溶解緩衝液中の塩は、約1〜約5Mまたは約5〜約10Mなどの、約0.1〜約10Mの濃度のカオトロピック塩として見出される。好ましい態様において、4〜5Mの塩が、溶解緩衝液中で使用される。これらの方法において用いられる塩は、塩酸グアニジウム、チオシアン酸グアニジウム、イソチオシアン酸グアニジウム、過塩素酸ナトリウム、およびヨウ化ナトリウムなどのカオトロピック塩であり得る。非カオトロピック塩は、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、ヨウ化カリウム、塩化リチウム、塩化カリウム、ならびにルビジウムおよびセシウムベースの塩などのI族アルカリ金属の塩を含む。一般的な事項として、スルホランの存在下で生体分子の無機担体への結合を可能にする任意の塩が、本方法において使用され得る。本発明における塩は、ある特定の塩であり得、または塩の混合物が用いられたこれらの組み合わせなどを含み得る。別のカオトロピック物質である尿素は、0.1〜10Mの濃度において、生体分子を含む原料の溶解および/または結合用としても使用し得る。一態様において、一本鎖核酸を単離する場合、二本鎖核酸の含量を減らすために、サルコシル(好ましくは0.05%)は溶解緩衝液に添加される。
上記の開示から参照されるように、態様において、1つまたはそれ以上の塩を含む組成物は細胞の溶解用の組成物であり得る。あるいはまたはさらに、未処理細胞を含むサンプルに対して、細胞は、ホモジナイザー(例えば、回転刃、ミニまたはミクロダウンス(Dounce))、研究室用ボルテックス、ピペッティングの繰り返し、または細胞溶解を助ける任意の他の方法の使用などの、機械的な処理で溶解することができる。いくつかの細胞は、カオトロピック塩を含む水性緩衝液中で直接溶解することができない(例えば、細胞壁を有する細菌)。よって、本発明の方法の一部として、いくつかのサンプルは、例えば溶解酵素で前処理することができる。
サンプル中の細胞の任意の溶解後、サンプルは、任意でプレフィルター担体を通してプレフィルターすることができる。特に、このステップは無機担体の目詰まりを最小にし、かつ大量の細胞由来の生体分子を無機担体に添加することを可能にする。例えば、プレフィルターのステップは、1x10の細胞を、一つの無機物担体上で処理することを可能にする。多くの実施例で可能なように、1x10個の、またはより多くの培養細胞が処理可能であり、および少なくとも1x10(例えば5x10)個の白血球が、直径47mmのガラス繊維円盤に適用する市販のフィルターホルダーなどの、ラボベンチスケールの処理用に設計された無機物担体上で処理することができる。態様において、40mgまたはそれ以上の固体組織を使用することができる。プレフィルターステップに利用される担体は、溶解物由来の細胞細片またはゲノム二本鎖核酸などの、より大きな粒子を保持するが、より小さな生体分子はプレフィルトレーション担体から通過することを許容する、任意の物質であることができる。プレフィルトレーション用の担体は、好ましくは、単独で、または組み合わせで、多孔質ポリエチレンフリット、ガラス繊維、および酢酸セルロースなどの物質を含み得る。単離された生体分子が一本鎖核酸の場合、より大きな粒子に対する高い保持容量、ならびにカオトロピック塩およびエタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、アセトン、1,3−ジオキソラン、スルホラン等などの有機溶媒の非存在下で、任意の大部分の一本鎖核酸は結合できないため、好ましい物質はさまざまな立体配置および組み合わせにおいて使用することができる。プレフィルトレーション担体は、任意の形状またはサイズで提供することができる。例えば、プレフィルトレーション担体は、フィルター、ならびにフィルターを保持するのに、および態様においてフィルター機能を使用することができる、挿入物(カラー)またはポリエチレンフリットの組み合わせで提供することができる。態様において、系は、2つの10μm孔径ポリエチレンフリット、8層のガラス繊維、および0.45μm孔径酢酸セルロースフィルターを含む1つまたはそれ以上のプレフィルトレーションスピンカップ(Stratagene Absolutely RNAミニプレップシステムにおいて利用可能なものなど)を含む。当然のことながら、任意の数の立体配置および組み合わせは、cDNAなどの二本鎖分子が保持され、かつRNAなどの一本鎖分子がプレフィルターを通過する限り、プレフィルターに使用することができる。いくつかの態様において、プレフィルターは、1つまたはそれ以上の(例えば2、3、4等)Whatman GF/D、またはAhlstrom Paper Group(Mount Holly,PA)121フィルターなどのガラスフィルターを含む。
プレフィルトレーションのステップは、少なくとも1つの生体分子を含むサンプルを、サンプル中の少なくとも1つの生体分子をプレフィルターで補修することが可能な十分な時間かつ適切な条件下で、プレフィルトレーション担体と接触するステップを含む。ステップは、結合しなかったサンプルのプレフィルトレーション担体からの、および結合した生体分子の分離も含む。プレフィルトレーション担体からの少なくとも1つの生体分子を含む残りのサンプルの分離は、重力、遠心分離、陽性空気圧および/または真空などを含むが、これらに限定されない任意の適切な技術で行うことができる。分離方法は当技術分野で既知であるため、本明細書中では詳細に記載していない。
いくつかの態様において、本発明の方法は、通過分画(溶出)を生体分子と結合する無機物担体または核酸に結合する担体などの、第二の物質に曝露するステップを含む。本方法は、目的の生体分子が担体に結合する条件下で、得られたサンプルを無機担体に暴露するステップの前に、プレフィルトレーション担体から溶出したサンプルとスルホランとを混合するステップを含み得る。これらの態様において、スルホランは典型的に、サンプルのプレフィルトレーション後に添加される。スルホランの最終濃度は、目的の分子の結合を可能にする任意の量であり得る。核酸に対して、スルホランの最終濃度は、例えば20%〜50%などの、15%〜80%などの、0%〜100%の範囲であることができる。標的分子がRNAである態様において、最終濃度が約15%〜約45%(例えば、35%、36%、37%、38%、39%、40%)のスルホランが、RNA結合を最大にするために、本方法に典型的に採用される。低分子量の二本鎖および一本鎖核酸が標的分子である態様において、40%以上の最終濃度で使用することができる。任意の1つの反応の様式に制限されない一方で、相対的に高濃度のスルホランである、RNAの結合に好ましい約35%〜約45%の間のスルホランの濃度は、低分子量の二本鎖および一本鎖核酸の結合を許容することが予想される。好ましくは、スルホランの純度は約98%またはそれ以上であり、例えば99.5%または99.8%である。このような純度のスルホランは、例えばAldrichまたはFlukaから市販されている。
生体分子を吸着させるのに用いられる無機担体は、好ましくは、多孔質もしくは非多孔質金属酸化物または混合金属酸化物、シリカゲル、および珪藻土、非修飾ガラス粒子、粉状ガラス、石英、アルミナ、ゼオライト、二酸化チタン、および二酸化ジルコニウムなどの主にガラスからなる物質からなり、または含む。繊維フィルターに成型される、ガラスまたは任意の他の物質を含む繊維フィルターは、本方法に用いられ得る。アルカリ土類金属が無機担体に用いられる場合、アルカリ土類金属がエチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはEGTAに結合後、サルコシン塩は湿潤、洗浄、または分散試薬として用い得る。無機担体に用いられる任意の物質は、磁気特性を有するように設計され得る。無機担体の粒径は、好ましくは0.1μm〜1000μmであり、かつ孔径は好ましくは2〜1000μmである。無機担体は、解放的に、ガラス、石英、またはセラミック製のフィルター層、シリカゲルが配置された膜、粒子、繊維、石英およびガラスウールの織布、ラテックス粒子、またはポリエチレン、ポリプロピレン、およびフッ化ポリビニリデンなどのフリット物質中に見出される。無機担体は、粉体などの固体を形成し得、または液体サンプルと混合した場合、固体および液体の懸濁液であり得る。無機担体は、1つまたはそれ以上の層がサンプルを吸着するために互いに使用される層中に見出すことができる。一態様において、無機担体は、マイクロ遠心分離管中に設置されたスピンカラムまたはスピンカップに封入された形態で見い出される。他の態様において、無機担体は、より多くのサンプルより生体分子を単離するための、より大きなスピンカラムまたはスピンカップ中に封入されている。さらに別の態様において、無機担体は封入されていないが、解放状態で見出され、かつサンプルと混合している。無機担体は、陽性空気圧および/または真空などで流体を通過することを可能にする、フィルターハウジング中にも見出すことができる。本発明の方法は、生体分子を多くのサンプルより単離する、ハイスループット精製および/または自動化精製に用いることができる。例えば、無機担体は96ウェル結合プレート中に見出すことができる。
生体分子を無機担体に吸着させるステップは、少なくともいくつかの生体分子が無機担体上に吸着する、適切な塩の混合物とスルホラン(例えば水溶液)の存在下で、分離する少なくとも1つの生体分子を含むサンプルを、少なくとも1つの無機担体と接触させるかまたは処理するステップを含む。担体とサンプルの接触は、実験室のボルテックス、シェーカー、ピペッティングの繰り返し、担体分子とサンプル分子間の拡散、遠心分離、陽性空気圧および/または真空などの、サンプルと担体を合わせる任意の方法によって行うことができる。生体分子の無機担体上への吸着は、重力、遠心分離、陽性空気圧および/または真空、単純拡散などで行うことができる。
好ましい態様において、単離される生体分子はRNAである。RNAと、好ましくは1つまたはそれ以上のガラスフィルターなどのシリカベースの無機担体とが、上記のカオトロピック塩および/または他の有用な塩、ならびに適量のスルホランの存在下に互いに曝露される場合、RNAの大部分は無機担体に結合する。この文脈で、用語「大部分」は、RNA分子の50.1%以上が無機担体に結合することを意味し、いくつかの場合では、80%以上を、および他の場合では、90%以上を意味する。上記のように、当業者はこの範囲に包含されるすべての特定の値を即座に認識できるため、したがってそれぞれの特定の値は特に本明細書中に参照される必要はない。
いったん少なくとも1つの生体分子が無機担体に吸着されると、担体は任意で少なくとも一回、エタノール、エタノールに類似の有機溶媒、またはこれらの混合物などの有機溶媒を含む、1つまたはそれ以上の溶液で洗浄することができる。エタノールに類似の有機溶媒は、エタノールと化学的および物理的特性が似ている溶媒を意味する。例えば、溶媒は、類似の特異的な重力、水との混和性、または無機担体から生体分子を除去しない洗浄緩衝液の成分として許容される他の特性を有する。「これらの混合物」は、一種類以上の有機溶媒が洗浄緩衝液中に使用されていることを意味する。例えば、エタノールとスルホランの混合物、スルホランとジオキソランの混合物、エタノールとジオキソラン、エタノール、スルホラン、およびアセトニトリルなどが、機担体の洗浄に使用され得る。このステップおよび2つ以上の有機溶媒を含み得る混合物に使用することができる、有機溶媒の混合物のバリエーションがある。洗浄溶液は、1つまたはそれ以上の塩も含み得る。塩を洗浄溶液中で用いる場合、塩はカオトロピック塩、またはアルカリ金属(例えば、塩化ナトリウムなどのI族金属)もしくはアルカリ土類金属(例えば、II族金属塩)を含む塩であり得る。塩濃度は、0.001M〜3Mの範囲であることができる。同様に有機溶媒は、体積で1%以下〜100%の最終濃度の範囲でありうる。例えば有機溶媒は、約50%の最終濃度で存在し得る。したがって、塩溶液中の塩、ならびにエタノールおよび/または他の溶媒濃度の範囲は、塩なしと100%全溶媒〜3M塩と約80%全溶媒以下であることができる。いくつかの態様において、溶液は1つまたはそれ以上の有機溶媒(例えば、体積あたり10〜90%)を含み、かつ約50mMまたはそれ以上の含量の塩を有する、高塩濃度の緩衝液である。他の態様において、溶液は、1つまたはそれ以上の有機溶媒(例えば、体積あたり10〜90%)を含み、かつ20mM NaClと約50%〜約60%のエタノール(例えば、約52%、54%、56%、58%)を含有するなどの、約50mM以下の含量の塩を有する、低塩濃度の緩衝液である。洗浄の方法は当技術分野で既知であり(サンプルに緩衝液を添加後、サンプルを遠心分離する、または陽性空気圧および/または真空をサンプルに適用する等)、したがって本明細書中では詳細に記載しない。任意の適切な洗浄スキームを使用し得る。高塩濃度および低塩濃度の洗浄緩衝液を使用する場合、望ましくない生物学的物質を除去するための洗浄を目標とするならば、高塩濃度の洗浄を第一に行うことが好ましい。結合した物質に会合している塩の量を減らすために、高塩濃度の洗浄に続いて低塩濃度の洗浄を行う。
したがって、生体分子を無機担体から溶出する前に、DNAseまたはRNAseを含む、夾雑したタンパク質を除去するために、担体は1つまたはそれ以上の高塩濃度または低塩濃度の洗浄で処理することができる。高塩濃度の洗浄は、例えば、1〜8Mの塩および20%〜80%のエタノールまたは他の有機溶媒、または溶媒の混合物を含む。好ましい態様において、高塩濃度の洗浄は、2Mのカオトロピック塩および約50%〜約60%のエタノールを含む。この任意の高塩濃度の洗浄ステップは、1つまたはそれ以上の高塩濃度の洗浄を含むことができる。好ましい態様において、RNAが単離され、かつDNAseステップが使用される場合、2Mのチオシアン酸グアニジウムおよび約50%〜約60%のエタノール、または「類似の」物理的および化学的特性の溶媒を含む、2または3回の高塩濃度での洗浄が行われる。所望の上記で述べたような低塩濃度溶液は、核酸含有組成物の塩濃度を減らすために、高塩濃度での洗浄後に使用することができる。
任意の高塩濃度および/または低塩濃度での洗浄後、無機担体は、目的としない生物学的化合物を除去するために、適切な水性環境においてDNAse、RNAse、プロテアーゼ、または他の酵素で処理することができる。1つの好ましい態様において、RNAは目的の生体分子であり、かつDNAse消化緩衝液は無機担体からDNA分子を除去するために添加される。他の態様において、DNAは目的の分子であり、かつRNAse消化緩衝液は無機担体からRNA分子を除去するのに添加される。DNAseまたはRNAse処理に続いて、無機物担体は、残存するDNAse、RNAse、または塩を除去するために、高塩濃度および低塩濃度の洗浄緩衝液でそれぞれ洗浄される。
生体分子を無機担体から溶出するステップは、水および有機溶媒(例えば、エタノール)を除去するための第一の無機担体を乾燥(例えば、単純な風乾)するステップと、溶出緩衝液または水などの液体をその後担体に添加するステップと、任意で液体を担体と0〜1時間またはそれ以上インキュベートすることを許容するステップと、および液体を担体から分離するステップを含むことができる。いくつかの環境下で、結合した生体分子は、水および他の有機化合物の除去を蒸発により容易にするために、アセトンなどの高揮発性有機化合物に曝露することができる。核酸が溶出される態様の場合、インキュベーションは典型的には、約0秒〜約10分、または約0〜約5分などの、約0秒〜約20分で行うことができる。好ましい態様において、インキュベーションは約2分で行うことができる。このステップの間、担体に結合した大部分の核酸は液体に溶出される。インキュベーションは、約26℃〜約80℃の、または約20℃〜約25℃などの室温付近などの温かい液体で行うことができる。好ましくは、塩を含む溶出溶液(例えば緩衝液)の場合、塩は約6〜約10のpKa値を有し、かつ緩衝液は約100mMまでの塩濃度を有する。例えば、pH8.5の10mM トリス(pKa8.0)は、無機担体から生体分子を溶出するのに用い得る。
したがって、態様において、本発明は生物学的源の処理にょる、二本鎖核酸からの一本鎖核酸の分離の工程を提供し、処理は、a)第一の無機物担体に物質の源を含む水性サンプルを、第一の無機物担体がたった一つの一本鎖または二本鎖核酸と吸着または結合する条件下で添加するステップに続いて、任意に第一の無機物担体を洗浄するステップと、およびb)第二の無機物担体に、第一の無機物担体に吸着または結合しなかったもう一方の一本鎖または二本鎖核酸を、スルホランを含む水溶液で、添加するステップ、を含む。この工程において、第一の無機物担体に添加するステップは、二本鎖核酸ではなく、一本鎖核酸が、第一の無機物担体上に吸着したまたは結合する量で、水性サンプル塩およびスルホランを添加するステップ後、任意で、第一の無機物担体を洗浄するステップを含むことができる。さらに、第一の無機物担体上に吸着または結合しなかった二本鎖核酸は、二本鎖核酸が第二の無機物担体上に吸着または結合する、適量の1つまたはそれ以上の塩とスルホランの存在下で、第二の無機物担体に適用することができ、任意で、第二の無機物担体を洗浄するステップが続く。さらに、一本鎖核酸、二本鎖核酸またはその両方は、第一のおよび第二の無機物担体からそれぞれ溶出することができる。この工程によれば、第一の無機物担体に適用するステップは、水性サンプルに、第一の無機物担体上に吸着または結合した一本鎖核酸でない、二本鎖核酸等の、スルホランの非存在下でアルカリ土類金属イオンと複合体を形成する物質を添加するステップを含むことができる。該第一の無機物担体上に吸着または結合しなかった一本鎖核酸は、一本鎖核酸が第二の無機物担体上に吸着または結合する量などの、塩とスルホランの存在下で第二の無機物担体に添加することができ、任意で第二の無機物担体を洗浄するステップが続く。さらに、二本鎖核酸、一本鎖核酸またはその両方は、第一のおよび第二の無機物担体からそれぞれ溶出することができる。
場合によっては、工程は、水性サンプルを添加するステップ、湿潤するステップ、洗浄するステップ、または二本鎖核酸が第一の無機物担体上に吸着または結合する等の、スルホランの非存在下で試薬を分散するステップを含む、第一の無機物担体に添加するステップと、続く第一の無機物担体を洗浄するステップによって特徴づけることができる。さらに、第一の無機物担体上に吸着または結合しなかった一本鎖核酸は、一本鎖核酸が第二の無機物担体上に吸着または結合するスルホランの存在下で、第二の無機物担体に添加することができ、任意で、第二の無機物担体の洗浄ステップが続く。さらに、一本鎖、二本鎖核酸、またはその両方は、第一のおよび第二の無機物担体からそれぞれ溶出することができる。いくつかの態様において、第一の無機物担体に添加するステップは、水性サンプルに一本鎖核酸および二本鎖核酸の両方が第一の無機物担体上に吸着または結合する等の量で塩とスルホランを添加するステップと、一本鎖または二本鎖核酸のいずれか一つは、選択的に最初に第一の無機物担体から溶出され、一本鎖または二本鎖核酸の他の一方を溶出するステップが続き、最初に第一の無機物担体から溶出した一本鎖または二本鎖核酸のいずれか一つは、最初に第一の無機物担体から溶出した核酸は、第二の無機物担体上に吸着または結合する条件下で第二の無機物担体に添加後、第二の無機物担体から核酸を溶出するステップと、を含む。
上記のように、本発明の方法または工程おいて、塩は1〜10Mの濃度で存在することができる。例えば、工程または方法は、第一の無機物担体にサンプルを添加するステップの前に、核酸と0.1〜10Mの濃度で存在するカオトロピック物質を含む源内の細胞を溶解するステップを含むことができる。繰り返すが、本発明の工程および方法において、スルホランは体積あたり1〜90%の最終濃度で存在することができる。さらに、第一のおよび第二の無機物担体の作成は特に限定されないため、個々に、例えば、多孔質または非多孔質、および金属酸化物または金属酸化物の混合物、シリカゲル、ガラス粒子、紛状ガラス、石英、アルミナ、ゼオライト、二酸化チタン、または二酸化ジルコニウムを含むことができる。無機物担体の粒径は同様に制限されないため、例えば、0.1μm〜1000μmであることができる。さらに、多孔質無機物担体の孔径は限定されないため、例えば2〜1000μmであることができる。工程で形成された複合体は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはEGTAに結合したアルカリ土類金属イオンを含むことができる。さらに、湿潤、洗浄、または分散試薬が、1つまたはそれ以上の溶解、結合、また洗浄溶液中で使用される場合、湿潤、洗浄または分散試薬はサルコシン塩であることができる。
他の一般的な態様において、スルホランおよび他の物質を含む組成物が提供される。一般に、本発明の組成物は、スルホラン、および二本鎖核酸(例えばDNA)、一本鎖核酸(例えばRNA)、またはタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドなどの、少なくとも1つの生体分子を含む。いくつかの態様において、組成物は、十分量のスルホランおよび十分に高濃度の、少なくとも1つの生体分子を単離するための少なくとも1つの塩を含む。例えば、フィルターなどのガラス繊維にRNAが結合するの引き起こすのに十分量の、スルホランおよび塩が存在することができる。本発明の方法において有用なさまざまな範囲のスルホラン、および上記の本発明の組成物、および任意のこれらの範囲または特定の濃度は、本発明の組成物において用いられる。さらに、さまざまな塩および塩の濃度は、本文中の上記の本発明の方法で述べられている。任意のこれらの塩、塩の組み合わせ、範囲または特定の濃度は、本発明の組成物において用いられる。態様において、組成物は、1つまたはそれ以上の細胞の溶解用の細胞溶解緩衝液などの水性緩衝液中に見いだし得る、スルホランおよび高濃度の塩を含む。細胞から核酸を単離する好ましい態様において、組成物は細胞溶解緩衝液中に40%スルホランおよび4〜5Mカオトロピック塩を含む。さらに、組成物中に存在しているさまざまな型および量の無機物担体は、本明細書中で開示されている。
本発明の特定の他の態様は、バイオテクノロジー研究の使用に対する組成物の調合における使用を提供する。例えば、いくつかの態様において、本発明は、生体分子の調合、単離、精製等、および好ましくはRNAまたはDNAなどの核酸におけるスルホランの使用を提供する。組成物は、バイオテクノロジーで通常使用されている典型的な物質である、1つまたはそれ以上の他の物質と共に、本発明の物質を含む。いくつかの態様において、組成物は細胞溶解物を含む。他方組成物は、核酸、タンパク質、炭水化物、または脂質などの、1つまたはそれ以上の生体分子を含む。核酸を含む組成物の場合、RNA、DNA、またはその両方を含むことができる。組成物は同様に、一本鎖核酸、二本鎖核酸、またはその両方を含むことができる。さらに本発明の組成物は、細胞溶解物または細胞溶解物の一部を含むことができる。
さらに別の態様において、本発明はキットを提供する。一般に、キットは1つまたはそれ以上の容器を保持する包装を含む。典型的に、容器は少なくとも1つの試薬、補給品また本発明の方法を実施するための物質を含む。好ましい態様において、キットはスルホランを含む。例えばキットは、混合した場合、生体分子の無機物担体への結合を容易にする、スルホランおよび塩(乾燥した塩として、または液体組成物中に存在する)を含むことができる。したがって、キットは、少なくとも1つの生体分子、好ましくは核酸分子を単離するために使用することができる、スルホランおよび塩の混合物を保持する容器(例えばチューブ、バイアル、アンプル)を含む。あるいは、スルホランおよび塩は別々の容器で貯蔵され得、かつ適時に混合し得る。しばしば、本発明のキットは、1つまたはそれ以上の容器内に提供されるキットにおいて、各容器がそれぞれスルホラン、塩、またはこれら2つの組み合わせを含む、本発明の組成物を含む。態様において、キットは少なくとも1つの核酸分子を単離するために適切なスルホランおよび塩の混合物を保持する、1つまたはそれ以上の容器を含む。キットは、本発明の方法を実施するのに必要ないくつかまたは全部の成分などの、他の成分を含むことができる。例えばキットは、プレフィルターなどの、1つまたはそれ以上のフィルターまたはフィルターユニットを含み得る。キットは同様に、1つまたはそれ以上の無機担体または担体ユニット(例えば、単一ユニットとして提供される多層の無機担体)を含み得る。さらにキットは、重力または遠心分離を用いる単離を行うためのチューブ中の構築物などの、即時使用に対するフィルターまたは無機担体内の形態を含み得る。他の実施例において、無機担体は非磁気または磁気ビーズのいずれかの形態であり得る。本発明のキット内に含まれると思われる他の非制限的な成分の実施例は、滅菌水、細胞溶解緩衝液、洗浄緩衝液、および溶出緩衝液または水である。当然のことながら、個別に、またはスルホランおよびスルホラン様の溶媒との混合物中に、複数の有機溶媒が提供され得る。
本発明は、純粋に本発明を例示したものである以下の実施例でさらに説明され、かついかなる場合にも本発明を限定するものとして考慮されない。
実施例1:Jurkat細胞からのRNAの精製におけるスルホランの効果。
RNAは、以下のプロトコールに従ってJurkat細胞株から単離された。培養細胞(2x10)は遠心分離管で収集後、PBS緩衝液(GIBCO様式)で洗浄した。細胞は10mlのPBSで再懸濁後、細胞を捕集するために2つのGF/Dフィルター(各直径47mm)を通過させた。さらに夾雑物を減じるために、フィルターは20mlのPBSで洗浄した。9mlの白血球(WBC)溶解溶液(4Mチオシアン酸グアニジン、1%TritonX−100、0.05%サルコシル、0.01%アンチフォームA、0.7%β‐メルカプトエタノール)をフィルターに通過させることにより、細胞から核酸が遊離し、かつ大部分のRNAを含む可溶化液が回収された。ゲノムDNAはGF/Dフィルター上に保持され、かつ後で物理的および/または化学的に回収することができた。追加のRNAを遊離させるために、4mlの水をGF/Dフィルターに通過させた後、この画分をWBC可溶化液に添加した。標準プロトコールにおいて、13mlの80%スルホランを全体可溶化液画分に加えて、最終スルホラン濃度を40%とした。この実験において、異なる濃度のスルホランの効果を特定するために、スルホランは最終濃度10%〜45%に調整された。さらに、2つの溶媒を比較するために、いくつかのサンプルにおいて、最終濃度35%のエタノールを、スルホランと置換した。得られた混合物は、5枚のGF/Fフィルター(各9.5mm直径)を通過させた。GF/Fフィルターは2.5mlの低塩濃度の洗浄溶液(2mM トリス(pH6‐6.5)、20mM NaCl、80%エタノール)で3回洗浄し、全体で7.5ml使用した。フィルターは低塩濃度の洗浄溶液の添加と最終添加後の間に、過剰の液体で除去後、フィルターは風乾した。RNAは、100μl(マイクロリットル)の無RNAse水で、GF/Fフィルターから溶出した。溶出したRNAは分光光度計上でA260の吸光度を測定して収量を確認し、かつ純度はA260/A280比を用いて確認した。
この実験の結果は表1に示す。濃度40%および45%のスルホランは、濃度35%のエタノールと比較した場合と同等のRNA収量および純度であった。Agilent Bioanalyzer traces(図3)は、RIN数および28/18SリボソームRNA比に関して、35%エタノールは45%スルホランと遜色がなかった。より特異的には、図3Aに示すように、35%エタノールを用いて単離されたRNAは、2.0の28S/18S比および7.9のRNA完全数(RIN)を有した。対して、図3B、3C、および3Dは、RNA結合緩衝液中で45%、40%、および35%スルホランを使用して単離されたRNAは、それぞれより高い28S/18S比(2.1,2.3,および2.5に対応)およびより高いRIN(7.9,8.4,および8.7に対応)を有していることを示す。要約すれば、一連のスルホランにおけるRIN数および28/18SリボソームRNA比は、以下の程度に増加した:45%スルホラン(RIN=7.9;28/18S=2.0);40%スルホラン(RIN=8.4;28/18S=2.3);および35%スルホラン(RIN=8.7;28/18S=2.5)。全体的に、エタノールまたはスルホランのいずれかで単離されたRNAは、大変良好な純度を有していた。
定量リアルタイムPCR(QRT−PCR)を用いた、β−2−ミクログロブリン(B2M)およびグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)mRNAの逆転写および増幅による、RNAの品質の評価も、45%、40%、および35%スルホランおよび35%エタノールを用いて単離された場合と同等のRNA品質を示した(図4)。より特異的には、図4は、Mx3000PリアルタイムPCRシステム(Stratagene社)上で、10ngの各RNA(25μl反応量)、Brilliant QRT‐PCR Master Mix、ワンステップ(Stratagene社)ならびにTaqManプライマーおよびプローブ(B2MおよびGAPDH、注文対応アッセイ、ABI)と、50℃/30分、95℃/10分後、95℃/15秒;60℃/1分を40サイクルのサイクルパラメーターを用いて行った、リアルタイムQRT‐PCR反応の増幅プロットを示す。
使用したプライマーはABI system社製であった。すべての4つのRNAサンプルは、2つの試験した遺伝子で非常に類似したCtとおよび完全な増幅曲線の重複を示し、これは、すべての4つの試験した、エタノールまたは35%〜45%スルホランのいずれかで単離されたRNAサンプルは、同等の高品質を有することを示唆する。
Figure 0005433562
実施例2:白血球からのRNAの精製におけるスルホランの効果。
白血球からのRNAは、実施例1に記載のプロトコールを改良して精製された。バキュテナーチューブ中にEDTA抗凝固剤と共に回収された5mlの血液は、20mlの赤血球細胞溶解溶液(0.15M塩化アンモニウム、0.001M炭酸水素カリウム、0.0001M EDTA、pH7.2‐7.4)と混合後、室温で5分間インキュベートした。白血球は遠心分離で回収後、実施例1に記載のPBS緩衝液のステップから処理した。UV分光測定によるRNAの解析は、40%スルホランおよび35%エタノールは同等のRNA収量および純度を示した(表2)。
Figure 0005433562
定量リアルタイムPCR(QRT−PCR)による、β−2−ミクログロブリン(B2M)、グリセルアルデヒド‐3‐リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、β−グロビン、およびα‐1アンチトリプシン(α‐1AT)mRNAの逆転写および増幅によるRNAの品質の評価も各標的に対して同等のCt値を示す一方で、RNAは40%スルホランまたは35%エタノールを用いて単離された(図5)。より特異的には、図5は、Mx3000PリアルタイムPCRシステム(Stratagene社)で、10ngの各RNA(25μl反応量)、Brilliant QRT‐PCR Master Mix、ワンステップ(Stratagene社)およびTaqManプライマーおよびプローブ(B2M、GAPDHおよびα‐1AT、注文対応アッセイ、ABI)、およびβ‐グロビンTaqManプライマーおよびプローブセット(β‐グロビンセンスプライマー:5’‐TGCACGTGGATCCTGAGAACT‐3’(配列番号1)、β‐グロビンアンチセンスプライマー:5’‐AATTCTTTGCCAAAGTGATGGG‐3’(配列番号2)、5’‐FAM/CAGCACGTTGCCCAGGAGCCTG/3BHQ 1/‐3’(配列番号3)と、50℃/30分、95℃/10分後、95℃/15秒;60℃/1分を40サイクルのサイクルパラメーターを用いて行った、QRT‐PCR反応の増幅プロットを示す。すべてのRNAサンプルは、試験した4つの遺伝子で大変よく似たCt値および重複する増幅曲線を示し、これは試験した4つすべてのRNAサンプルが同等の品質を有していることを示唆している。したがって、すべての実施例および図は、スルホランはエタノールの機能的な置換物であり、かついくつかの場合において、無機物担体への核酸の吸着について、エタノールを用いた場合より、高品質の精製された核酸を提供することを示している。
実施例3:全血液からのRNAの精製
全血液からのRNAの精製の標準プロトコールを、本実施例に記載する。この標準プロトコールは、複数のサンプルからRNA精製するために使用される(データは図示せず)。5mlの全血液を、20mlの赤血球(RBC)溶解溶液(0.15M塩化アンモニウム、0.001M炭酸水素カリウム、0.0001M EDTA、pH7.2−7.4)に添加した。サンプルは混合後、室温で5分間インキュベートした。得られたRBC可溶化液を、白血球を捕集、かつ大部分の血漿タンパク質およびRBC混入物質をフィルターに通過させるために、2つの直径47mm GF/Dフィルターに通過させた。さらに混入物質を減らすために、フィルターは20mlのRBC溶解溶液で洗浄した。白血球から核酸を遊離させるために、9mlのWBC溶解溶液(4Mチオシアン酸グアニジン、1% TritonX−100、0.05%サルコシル、0.01%アンチフォームA、0.7% β‐メルカプトエタノール)をフィルターに通過した後、得られた可溶化液は大部分のRNAを含むように回収された。ゲノムDNAはGF/Dフィルター上に保持後、物理的および/または化学的にその後回収することができた。さらなるRNAを除去するために、4mlの水をGF/Dフィルターに通過させた後、この画分をWBC可溶化液に添加した。標準プロトコールにおいて、13mlの80%スルホランを全可溶化液画分に添加し、最終スルホラン濃度を40%とした。得られた混合物を、5個のGF/Fフィルター(それぞれ直径9.5mm)に通過させた。GF/Fフィルターは、2.5mlの低塩濃度の洗浄溶液(2mM トリス(pH6‐6.5)、20mM NaCl、80%エタノール)で三回洗浄し、全体で7.5mlとした。フィルターはそれぞれの低塩濃度の洗浄溶液の添加と、最終添加後との間に、風乾した。RNAは100μl(マイクロリットル)の無RNAse水で、GF/Fフィルターから溶出した。溶出したRNAは、収量および純度を、UV分光測定、アジレント バイオアナライザートレース、およびQRT−PCRで確認した。
UV分光測定によるRNAの解析は、スピンカップ内のガラス繊維にRNAを結合させるために、最終的な割合が40%のスルホランおよび35%のエタノールを細胞溶解物に添加した場合、類似のRNA収量および純度を示した(表3)。
Figure 0005433562
最終濃度40%のスルホランおよび35%のエタノールで精製されたRNAは、図6に示すように、アジレント バイオアナライザートレースが大変類似していた。より特異的には、図6は35%エタノール(パネルA)および40%スルホラン(パネルB)を用いて精製された核酸のバイオアナライザートレースは、実質上重ね合わせることができることを示し、これは、核酸の品質が実質上同じであることを意味する。さらに、エタノールで単離されたRNAは、1.2の28S/18S比および8.9のRINを有した一方で、45%スルホランを用いて単離されたRNAは、1.1の28S/18S比および9.3のRINを有した。
定量リアルタイムPCR(QRT‐PCR)を用いたB2M、GAPDH、β−グロビン、およびα−1AT mRNAの逆転写および増幅によるRNAの品質の評価は、40%スルホランおよび35%エタノールを用いて単離した場合のRNAの品質が同等であることを示していた(図7を参照)。最終濃度45%のスルホランは、実質上同等の結果を提供することに留意されたい。より特異的には、図7は、Mx3000PリアルタイムPCRシステム(Stratagene社)で、10ngの各RNA(25μl反応量)、ブリリアントQRT‐PCRマスターミックス、ワンステップ(Stratagene社)およびTaqManプライマー、ならびにプローブ(B2M、GAPDHおよびα−1AT、注文対応アッセイ、ABI)ならびにβ−グロビンTaqManプライマーおよびプローブセット(β−グロビンセンスプライマー:5’‐TGCACGTGGATCCTGAGAACT‐3’(配列番号1)β‐グロビンアンチセンスプライマー:5’‐AATTCTTTGCCAAAGTGATGGG‐3’(配列番号2)、およびプローブ5’‐/56‐FAM/CAGCACGTTGCCCAGGAGCCTG/3BHQ_1/‐3’(配列番号3)と、50℃/30分、95℃/10分後、95℃/15秒;60℃/1分を40サイクルのサイクルパラメーターを用いて行った、QRT‐PCR反応の増幅プロットを示す。すべての4つのRNAサンプルは、4つの試験した遺伝子で大変よく似たCt値、および良好な増幅曲線の重複を示し、これは、4つすべてのRNAサンプルが同等の品質を有していたことを示唆する。図7および図中のデータは、他の実施例および図のデータと完全に一致し、かつスルホランを使用して精製された核酸は、実質的にエタノールを使用して精製された核酸と同じ純度であることを示す。したがって、再度スルホランがエタノールの機能的な置換物であることが示され、かついくつかの場合において、無機物担体に核酸を吸着するための、エタノールを使用した場合よりも高品質の精製された核酸を提供する。
実施例4:第一の無機物担体へのRNAの選択的結合
結合条件および洗浄条件の変化は、RNAまたはDNAが、第一の無機物担体が結合および溶出するかどうかを制御するのに用いることができる。以下の指針は、第一の無機物担体へのRNAの選択的な結合に用いることができるパラメータを提供する。
プロトコール:
1−8Mのカオトロピック塩(例えば、3.5Mチオシアン酸グアニジウム)、25mMの非カオトロピック塩(例えば、クエン酸ナトリウム)、還元剤(例えば、β−メルカプトエタノール)を有し、かつ中性pH(例えば、pH7.5)を有する、溶解緩衝液中で細胞を溶解する。
混合物を作成するために、可溶化液に、最終スルホラン濃度が0〜70%(例えば、5%〜70%、10%、20%、30%、40%、50%)となるような0〜100%スルホランを結合試薬に添加する。
混合物を、重力、遠心分離、陽圧および/または真空等(例えば、テーブルトップ微少遠心で、最高速度で約15秒間の遠心分離)を用いて、無機物担体に添加する。
通過(溶出)画分の無機物担体からの分離
無機物担体を、高塩濃度およびエタノール(例えば、1〜3Mチオシアン酸グアニジウム、25mMトリス pH7.5、10〜30%エタノール)を含む洗浄緩衝液で1回または2回洗浄する。洗浄緩衝液中のエタノールの量は、RNA対DNAの精製が改善されるために、最大限または最小限調節することができる(洗浄においてエタノールの割合が高いと、よりDNAが溶出される)。
80%エタノールを含む水などの、低塩濃度の洗浄緩衝液で一回または二回、無機物担体を洗浄する。
アセトン中での無機物担体の任意の洗浄
無機物担体を風乾する(例えば、液体を加えずに、遠心分離、陽圧および/または真空を用いる)。
室温またはそれ以上(例えば、80℃)であることができる、水または水溶液(低塩濃度)で結合したRNAを溶出する。
本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本発明の実施においてさまざまな修飾および変更をすることができることは、当業者にとって明らかである。本発明の別の態様は、明細書および本発明の実施の考慮から、当業者にとって明らかである。明細書および実施例は単に例示的なものとして考慮され、本発明の正確な範囲および精神は以下の特許請求の範囲に示すことを意図する。
なお、国内書面と共に提出した請求の範囲の翻訳文は、以下の発明を含むものであった。
[1]
適切な混合物塩とスルホランの存在下で、少なくとも1つの生体分子を含むサンプルを少なくとも1つの無機担体に添加するステップであって、前記無機担体は少なくとも1つの生体分子を吸着するステップを含む、生体分子を単離するための方法。
[2]
前記生体分子が核酸である、[1]の方法。
[3]
前記サンプルはタンパク質を含み、かつ前記タンパク質は無機担体への結合の結果として精製されたものではない、[1]の方法。
[4]
少なくとも1つの一本鎖核酸分子を含むサンプルを、適切な塩の混合物の存在下で、少なくとも1つの第一の無機担体に添加するステップであって、前記無機担体は主に二本鎖核酸を保持し、かつ前記添加するステップは二本鎖核酸を実質的に欠くろ液をもたらすステップと、
適切な塩の混合物とスルホランの存在下で、第二の無機担体に前記ろ液を添加するステップであって、前記第二の無機担体は主に一本鎖核酸と結合するステップと、
前記第二の無機担体を、有機溶媒または有機溶媒の混合物を含む低塩濃度の緩衝液で少なくとも1回洗浄するステップと、
前記一本鎖核酸を、前記第二の無機担体から溶出するステップ
とを含む、一本鎖核酸を単離するための方法。
[5]
前記第一の無機担体からゲノムDNAを回収するステップを含む、[4]の方法。
[6]
有機溶媒または有機溶媒の混合物を含む低塩濃度の緩衝液で、第一の無機担体を洗浄するステップを含む、[4]の方法。
[7]
第二の無機担体上に夾雑したDNAをDNAseで消化するステップを含む、[4]の方法。
[8]
スルホラン濃度が体積あたり35%〜45%である、[4]の方法。
[9]
前記適切な塩の混合物が、チオシアン酸グアニジウム、またはチオシアン酸グアニジウムの組み合わせおよび他のカオトロピック塩を含む、[4]の方法。
[10]
前記適切な塩の混合物の濃度は、約1〜約8Mである、[4]の方法。
[11]
前記サンプルは、培養細胞、組織、全血液血清、血漿、尿、糞、細菌、ウイルス、または酵素反応物を含む混合物である、[4]の方法。
[12]
少なくとも1つの二本鎖核酸分子を含むサンプルを、適切な塩の混合物および任意のスルホランの存在下で、少なくとも1つの無機担体に添加するステップであって、前記無機担体は少なくとも1つの二本鎖核酸分子に結合するステップと、
前記無機担体をRNAseと接触させるステップと、
前記二本鎖核酸分子を前記無機担体から溶出するステップ
とを含む、二本鎖核酸を単離するための方法。
[13]
前記適切な塩の混合物が、チオシアン酸グアニジウムまたはチオシアン酸グアニジウムの組み合わせ、および他のカオトロピック塩を含む、[12]の方法。
[14]
前記適切な塩の混合物の濃度が、約1〜約8Mである、[12]の方法。
[15]
前記サンプルが培養細胞、組織、全血液血清、血漿、尿、糞、細菌、ウイルス、または酵素反応を含む混合物である、[12]の方法。
[16]
有機溶媒または有機溶媒の混合物を含む低塩濃度の緩衝液で、前記無機担体を少なくとも一回洗浄するステップを含む、[12]の方法。
[17]
前記低塩濃度の緩衝液中の有機溶媒の濃度が、体積あたり35%〜40%である、[16]の方法。
[18]
a)前記第一の無機物担体が、たった一つの一本鎖核酸または二本鎖核酸を吸着または結合する条件下で、第一の無機物担体に物質の源を含む水性サンプルを添加するステップであって、任意で、前記第一の無機物担体を洗浄するステップが続くステップと、
b)前記第一の無機物担体に吸着または結合しなかった、他の前記一本鎖核酸または二本鎖核酸を、スルホランを含む水溶液中で第二の無機物担体に添加するステップとを含む、生物学的源の処理による、二本鎖核酸から一本鎖核酸を分離する工程。
[19]
前記第一の無機物担体に添加するステップは、一本鎖核酸であって、二本鎖核酸でない核酸が、第一の無機物担体上に吸着または結合する量の塩とスルホランを前記水性サンプルに添加するステップであって、任意で、前記第一の無機物担体を洗浄するステップが続くステップを含み、
前記第一の無機物担体上に吸着または結合しなかった前記二本鎖核酸は、前記第二の無機物担体上に吸着または結合するような量のスルホランの存在下で、前記二本鎖核酸が前記第二の無機物担体に添加され、任意で前記第二の無機物担体を洗浄するステップが続き、
前記一本鎖核酸、前記二本鎖核酸、またはその両方が、前記第一のおよび第二の無機物担体よりそれぞれ溶出される、
[18]の工程。
[20]
前記第一の無機物担体に添加するステップは、一本鎖核酸ではなく、二本鎖核酸が前記第一の無機物担体上に吸着または結合するような、スルホランの非存在下で、アルカリ土類金属イオンと混合する物質を前記水性サンプルに添加するステップを含み、
前記第一の無機物担体上に吸着または結合しなかった前記一本鎖核酸は、前記第二の無機物担体上に吸着または結合するような量のスルホランの存在下で、前記一本鎖核酸が前記第二の無機物担体に添加され、任意で、前記第二の無機物担体を洗浄するステップが続き、前記二本鎖核酸、前記一本鎖核酸、またはその両方が、前記第一のおよび第二の無機物担体よりそれぞれ溶出される、
[19]の工程。
[21]
第一の無機物担体に添加するステップは、前記二本鎖核酸は前記第一の無機物担体上に吸着または結合するような、スルホランの非存在下で、湿潤、洗浄または分散試薬を前記水性サンプルに添加するステップと、続く前記第一の無機物担体を洗浄するステップとを含み、
前記第一の無機物担体上に吸着または結合しなかった一本鎖核酸は、一本鎖核酸が前記第二の無機物担体上に吸着または結合するような量のスルホランの存在下で、前記第二の無機物担体に添加され、任意で、前記第二の無機物担体を洗浄するステップが続き、
前記一本鎖核酸、前記二本鎖核酸、またはその両方を前記第一のおよび第二の無機物担体からそれぞれ溶出される、
[18]の工程。
[22]
前記第一の無機物担体に添加するステップは、一本鎖核酸および二本鎖核酸の両方が前記第一の無機物担体上に吸着または結合するような量の塩とスルホランを、前記水性サンプルに添加するステップを含み、
一本鎖核酸または二本鎖核酸のいずれか一つは、選択的に、最初に前記第一の無機物担体から溶出し、続いてもう一方の一本鎖核酸または二本鎖核酸を溶出し、
最初に前記第一の無機物担体から溶出した一本鎖核酸または二本鎖核酸のいずれか一つは、最初に前記第一の無機物担体から溶出した核酸は、前記第二の無機物担体上に吸着または結合する条件下で、前記第二の無機物担体に添加され、前記第二の無機物担体から核酸を溶出するステップが続く、
[18]の工程。
[23]
前記塩が1〜10Mの濃度で存在する、[22]の工程。
[24]
さらに、サンプルを前記第一の無機物担体に添加するステップの前に、核酸を含む前記源中の細胞は0.1〜10Mの濃度で存在するカオトロピック物質で溶解される工程を含む、[18]の工程。
[25]
前記スルホランが体積あたり1〜90%の濃度で存在する、[18]の工程。
[26]
前記第一のおよび第二の無機物担体は、個別に多孔質または非多孔質であり、かつ金属酸化物または金属酸化物の混合物、シリカゲル、ガラス粒子、紛状ガラス、珪藻土、石英、アルミナ、ゼオライト、二酸化チタン、または二酸化ジルコニウムを含み、前記無機物担体の粒径は0.1μm〜1000μmであり、かつ無機物担体の多孔質の孔径は2〜1000μmである、[18]の工程。
[27]
少なくとも1つの生体分子が無機担体に吸着することを許容する、1つまたはそれ以上の塩とスルホランの組み合わせを含む組成物。
[28]
前記生体分子が核酸である、[27]の組成物。
[29]
スルホラン濃度が体積あたり35〜40%である、[27]の組成物。
[30]
生体分子の無機担体への吸着を許容する、少なくとも1つの塩とスルホランの組み合わせを含む組成物を保持する、少なくとも1つの容器を含む、キット。

Claims (19)

  1. カオトロピック塩とスルホランの存在下で、RNA及び/又はDNAを含むサンプルを少なくとも1つのガラス繊維フィルターに通過させるステップであって、前記ガラス繊維フィルターRNA及び/又はDNAを吸着するステップを含む、RNA及び/又はDNAを単離するための方法。
  2. 前記サンプルはタンパク質を含み、かつ前記タンパク質は前記ガラス繊維フィルターに結合しない結果として精製される、請求項1の方法。
  3. RNAを含むサンプルを、カオトロピック塩の存在下で、少なくとも1つの第一のガラス繊維フィルターに通過させるステップであって、前記通過させるステップは、前記ガラス繊維フィルターがゲノムDNAを保持することにより、ゲノムDNAを実質的に欠くろ液をもたらすステップと、
    前記ろ液にスルホランを加え、第二のガラス繊維フィルターにスルホランを含む前記ろ液を通過させるステップであって、前記第二のガラス繊維フィルターは主にRNAと結合するステップと、
    前記第二のガラス繊維フィルターを、有機溶媒または有機溶媒の混合物を含む緩衝液で少なくとも1回洗浄するステップと、
    前記RNAを、前記第二のガラス繊維フィルターから溶出するステップ
    とを含む、RNAを単離するための方法。
  4. 前記第一のガラス繊維フィルターからゲノムDNAを回収するステップを含む、請求項3の方法。
  5. 有機溶媒または有機溶媒の混合物を含む緩衝液で、第一のガラス繊維フィルターを少なくとも1回洗浄するステップを含む、請求項3の方法。
  6. 第二のガラス繊維フィルター上に夾雑したDNAをDNAseで消化するステップを含む、請求項3の方法。
  7. スルホラン濃度が、スルホランを含む前記ろ液の体積あたり35%〜45%である、請求項3の方法。
  8. 前記カオトロピック塩が、チオシアン酸グアニジウム、またはチオシアン酸グアニジウムと他のカオトロピック塩との組み合わせを含む、請求項3の方法。
  9. 前記カオトロピック塩の濃度は、1〜8Mである、請求項3の方法。
  10. 前記サンプルは、溶解された、培養細胞、組織、全血液血清、血漿、尿、糞、細菌、ウイルス、または酵素反応物を含む混合物である、請求項3の方法。
  11. DNAを含むサンプルを、カオトロピック塩およびスルホランの存在下で、少なくとも1つのガラス繊維フィルターに通過させるステップであって、前記ガラス繊維フィルターDNAに結合するステップと、
    前記ガラス繊維フィルターをRNAseと接触させるステップと、
    前記DNAを前記ガラス繊維フィルターから溶出するステップ
    とを含む、DNAを単離するための方法。
  12. 前記カオトロピック塩が、チオシアン酸グアニジウム、またはチオシアン酸グアニジウムと他のカオトロピック塩との組み合わせを含む、請求項11の方法。
  13. 前記カオトロピック塩の濃度が、1〜8Mである、請求項11の方法。
  14. 前記サンプルが、溶解された、培養細胞、組織、全血液血清、血漿、尿、糞、細菌、ウイルス、または酵素反応物を含む混合物である、請求項11の方法。
  15. 有機溶媒または有機溶媒の混合物を含む緩衝液で、前記ガラス繊維フィルターを少なくとも一回洗浄するステップを含む、請求項11の方法。
  16. 前記緩衝液中の有機溶媒の濃度が、体積あたり35%〜40%である、請求項15の方法。
  17. RNA及び/又はDNAをガラス繊維フィルターに吸着させるための、1つまたはそれ以上のカオトロピック塩とスルホランの組み合わせを含む組成物。
  18. スルホラン濃度が、前記組成物の体積あたり35〜40%である、請求項17の組成物。
  19. RNA及び/又はDNAをガラス繊維フィルターに吸着させるための、少なくとも1つのカオトロピック塩とスルホランの組み合わせを含む組成物と、前記組成物を保持する少なくとも1つの容器とを含む、キット。
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