JP2012502632A - スモールrnaの単離法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、スモールRNAを試料溶液から抽出および精製するための簡単かつ迅速な方法に関する。これに従い、試料をまず有機溶媒と混合して、溶媒を含有する混合物を調製する。ラージRNAを結合させるために、この混合物を第1無機物支持体に適用する。結合していないスモールRNAを含有する濾液を採集し、第2有機溶媒と混合して、第2溶媒を含有する第2混合物を調製する。スモールRNAを結合させるために、この第2混合物を第2無機物支持体に適用する。洗浄工程の後、スモールRNAを溶離する。ラージRNAを第1無機物支持体から溶離することによりラージRNAを単離する方法も提供される。さらに、総タンパク質が濾液中に存在し、これを常法により単離することができる。
【選択図】図1

Description

関連出願の引照
本出願は、米国仮特許出願番号61/097,604、2008年9月17日出願、および61/148,126、2009年1月29日出願に基づく優先権を主張する;それらの開示内容全体を本明細書に援用する。
発明の分野
本発明は、核酸の単離法に関する。より詳細には、本発明はスモールRNA(small RNA)および総RNA(total RNA)を抽出および精製するための簡単かつ迅速な方法に関する。
この30年間、生物源から核酸およびタンパク質を単離および精製するための改良法の開発に多大な努力がなされてきた。これは主に、医療および生物科学における核酸およびタンパク質の用途が増していることによるものであった。血液、組織または培養細胞から単離したゲノムDNAは幾つかの用途をもち、それにはPCR、配列決定、遺伝子型決定、比較ゲノムハイブリダイゼーションおよびサザンブロット法が含まれる。プラスミドDNAは、配列決定、PCR、ワクチンの開発、および遺伝子療法に利用されている。単離されたRNAは多様な下流用途をもち、それにはインビトロ翻訳、cDNA合成、RT−PCR、およびマイクロアレイ遺伝子発現分析が含まれる。タンパク質の分野では、ウェスタンブロット法および2D電気泳動によるタンパク質同定が、疾患研究および基礎研究において遺伝子発現を調べる際に、またウイルスタンパク質検出に例示されるように診断目的で特異的タンパク質を同定する際に、重要なツールとなった。
核酸およびタンパク質の分析およびインビトロ操作に先立って、一般に、その後の処理手法を妨げる可能性のある目的外混在物を試料から除去するための単離工程が行なわれる。研究および診断のための分子生物学における大部分の手法について、抽出した核酸およびタンパク質が第1段階として必要である。
RNA、DNAおよびタンパク質の使用の増加により、RNA、DNAおよびタンパク質を単離するための迅速で簡単な信頼性のある方法および試薬に対する要望が生じた。多くの用途において、これら3つの細胞成分(RNA、DNAおよびタンパク質)を単一試料から同時に単離できれば、生物材料試料の採集およびその後のそれらの分析は実質的に簡単になるであろう。生検の場合のように試料サイズが小さいためRNA、DNAおよびタンパク質について個別の単離プロトコルを実施するために試料をより少量の試料に分離するのが不可能なとき、同時単離は特に重要である。
エピジェネティクスには、DNAおよびタンパク質の修飾(メチル化、アセチル化、リン酸化など)、ならびに遺伝子の発現を制御するたんぱく質−DNA相互作用、ならびに細胞生物学に対する後続作用を調べることが含まれる。マイクロRNAおよびsiRNAなど小さい調節RNAもエピジェネティック機序により遺伝子を調節することが知られている。たとえば、クロマチンはこれらの修飾事象により修飾されてそれの構造を変化させ、これにより遺伝子を発現させることができる。クロマチン修飾とマイクロRNA発現の相互作用は、種々の癌における診断法および療法を提供する際に中枢的役割をもつと期待される。したがって、効率的なmiRNA単離法を入手できることがエピジェネティック分析の中心要素になると予想される。
さらに、マイクロRNA(miRNA)は遺伝子発現を調節し、miRNAの調節異常が多数の疾患または状態に関与すると示唆されている。マイクロRNAを総タンパク質、ゲノムDNA、および総RNA(すなわち、mRNAを含むラージRNA)と一緒に同一試料から単離できれば、それらの間の相互作用および作用を理解するのに明らかに有利である。マイクロRNAを単離するのに有効な手段は、特に癌、神経学および心臓学の分野において、マイクロRNAベースの診断法および療法の開発にも役立つであろう。
miRNAの精製は、伝統的に有機抽出に続くアルコール沈殿に依存していた。時間のかかるこの方法では、多くのスモールRNA、たとえばmiRNAがRNA集団から失われ、したがって非効率的である。数社が、有機抽出に続いて特殊な結合溶液および洗浄溶液を用いてシリカ繊維マトリックス上へスモールRNAを簡単に結合および精製することに基づくmiRNA単離キットを開発した;たとえば、mirVana(商標)(Ambion);miRNeasy(Qiagen);microRNA Purification Kit(Norgen)。これらのキットは、細胞および組織タイプを含む多様な試料源から、適度に高い収率のすべてのスモールRNA(長さ200ヌクレオチド未満から長さ約10ヌクレオチドまで)を提供する。
スモールRNAの精製のための新規かつ有利な方法を本明細書に提示する。この方法をさらに拡張して、スモールRNAを総RNA、ゲノムDNAおよび総タンパク質のうち1以上と同時に同一試料から単離することができる。
一般に本発明は、試料溶液、たとえば生物試料の細胞溶解液からスモールRNA(マイクロRNAを含む)を抽出および精製するための簡単かつ迅速な方法を提供する。さらに、長さ200ヌクレオチドを超えるラージRNAをスモールRNAから分離し、それらを単離することもできる。
スモールRNAを単離するための1態様において、試料をまず有機溶媒と混合して混合物を調製する。この混合物をラージRNAの結合のために第1無機物支持体に適用する。濾液を採集し、第2有機溶媒と混合して第2混合物を調製する。この第2混合物をスモールRNAの結合のために第2無機物支持体に適用する。洗浄工程の後、スモールRNAを溶離する。試料が生物細胞溶解液である場合、カオトロピック塩、非イオン界面活性剤、および還元剤を含有する細胞溶解溶液で試料を溶解することが好ましい。操作を容易にするために、第1無機物支持体と第2無機物支持体は通常は同一材料である。好ましくは、それらはそれぞれシリカ膜カラムである。好ましい第1および第2有機溶媒は双極性非プロトン溶媒である。最も好ましい有機溶媒はアセトンである。より低い溶媒濃度では、ラージRNAは無機物支持体に結合するがスモールRNAは結合しないことが見出された。溶媒の濃度を高めるとスモールRNAが結合し、したがって試料中の他の混在物から分離される。アセトンの使用はスモールRNAの選択的精製を可能にするだけでなくスモールRNAの収率も先行技術方法より増大することが見出された。
この態様の変法において、第1無機物支持体に結合したラージRNAを分離することもできる。したがって、第1無機物支持体を洗浄し、そしてラージRNAを溶離する。
さらに、第2無機物支持体から出る濾液は試料からの総タンパク質を含有する。したがって、タンパク質単離のためのいずれか一般的な方法で、総タンパク質を濾液から単離することができる。
前記態様の他の変法において、第1溶媒との混合物を調製する前に、生物細胞溶解液にフェノール−クロロホルム抽出工程を施す。これにより、大部分の大きいゲノムDNAおよびタンパク質が分離され、したがって単離されるスモールRNAおよびラージRNAの純度が改善される。
他の態様において、種々のワークフロー(workflow)を用いてスモールRNAおよびラージRNAを単離するための組成物およびキットが提供される。
本発明の上記および他の特徴および利点は、以下の詳細な記述および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
図1は、試料細胞溶解後にフェノール−クロロホルム抽出工程を用いて、単一試料から富化された総RNAおよびスモールRNA(マイクロRNA)を単離するための本発明の態様の模式図(ワークフロー−1)を示す。 図2は、試料細胞溶解後にフェノール−クロロホルム抽出工程を用いて、単一試料から富化されたスモールRNA(マイクロRNA)を単離するための本発明の態様の模式図(ワークフロー−2)を示す。 図3は、試料細胞溶解後にフェノール−クロロホルム抽出工程を用いずに、単一試料から富化された総RNAおよびスモールRNA(マイクロRNA)を単離するための本発明の態様の模式図(ワークフロー−3)を示す。 図4は、試料細胞溶解後にフェノール−クロロホルム抽出工程を用いずに、単一試料から富化されたスモールRNA(マイクロRNA)を単離するための本発明の態様の模式図(ワークフロー−4)を示す。ワークフロー−4に示すようにフェノール−クロロホルム分離工程を除くことにより、スモールRNA単離のプロトコル時間が著しく短縮される。 図5は、本発明の特定の態様に従ってアセトンを用いて単離した総RNAおよびスモールRNA(マイクロRNA)のゲルイメージを示す。アセトンの量を増加させるとスモールRNAの収率が増大した。 図6は、ワークフロー−1を用いて得た予備調査実験結果を示す。結果は、ワークフロー−1に記載したプロトコルによって、富化された総RNAおよびスモールRNA(マイクロRNAを含む)の単離に成功したことを示す。 図7は、ワークフロー−2に従ってより短いプロトコルを用いて、品質または収率を損なうことなくスモールRNAの単離に成功できたことを示す。 図8は、4種類のマイクロRNAについてqRT−PCRグラフから得た結果を示す;これにより、本発明の態様に従って単離したスモールRNA試料中に低コピー数および高コピー数のマイクロRNAが共に存在することが確認される。
本発明の最も広い観点において、本発明には試料溶液から実質的に純粋な分解していないスモールRNAを単離するための方法が含まれる。これに従い、試料をまず有機溶媒と混合して、溶媒を含有する混合物を調製する。この混合物をラージRNAの結合のために第1無機物支持体に適用する。結合していないスモールRNAを含有するフロースルー(濾液)を採集し、第2有機溶媒と混合して、第2溶媒を含有する第2混合物を調製する。この第2混合物をスモールRNAの結合のために第2無機物支持体に適用する。1または2回の洗浄工程の後、スモールRNAを溶離する。
スモールRNAは、本明細書において一般に長さ200ヌクレオチド未満のRNA分子を含むものとする。これらには、tRNA、rRNAなど多種多様なRNA種が含まれるが、より重要なものとしてマイクロRNAなどの小さな調節RNAが含まれる。これに対し、200ヌクレオチドを超えるRNA分子は、一般に第1無機物支持体に結合し、したがってスモールRNAから分離される。この後者のグループのRNA分子を、本明細書においては互換性をもってビッグRNA、ラージRNA、または総RNAと呼ぶ。
特定の有機溶媒の存在下でRNAは無機物支持体に結合することが見出された。さらに、異なる長さのRNA分子は有機溶媒の濃度に対して異なる応答をする。たとえば、より低い有機溶媒濃度ではラージRNAのみが無機物支持体に結合し、一方、より高い濃度ではより小さなRNAも無機物支持体に結合する。
一例として、極性プロトン溶媒、たとえば低級脂肪族アルコールは適切な有機溶媒である。好ましくは、有機溶媒は双極性非プロトン溶媒である。適切な双極性非プロトン溶媒にはアセトン、テトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、およびジメチルスルホキシド(DMSO)が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、有機溶媒はアセトンまたはアセトニトリルである。最も好ましくは、有機溶媒はアセトンである。
第1有機溶媒と第2有機溶媒は同一でも異なってもよい。一例としてアセトンを実験のセクションに用いるが、これは説明のためにすぎない。アセトンを用いる場合、ラージRNAを結合するのに好ましい濃度は約35%であり、一方、スモールRNAを結合するのに好ましい濃度は約50%であると判定された。第1有機溶媒と第2有機溶媒は同一種類である必要はないと思われる。さらに、ラージRNAまたはスモールRNAを結合するのに必要な有機溶媒濃度は溶媒の性質に基づいて変動するであろう。しかし、具体的な詳細は本明細書の開示内容の教示に従って容易に得ることができる。
それからスモールRNAを単離する試料溶液は、スモールRNAを含有するいかなる水性試料であってもよい。一例として、試料溶液は常法により精製したRNA試料である。他の例は、生物試料または生物材料の細胞溶解液である。用語“生物材料”または“生物試料”は広い意味で用いられ、核酸およびタンパク質を含有する多様な生物源を含むものとする。そのような生物源には、限定ではないが下記のものが含まれる;全組織:生検材料および吸引物を含む;インビトロ培養細胞:初代および二次細胞、トランスフォームした細胞系、ならびに組織細胞および血液細胞を含む;ならびに体液、たとえば尿、喀痰、精液、分泌液、眼の洗浄液および吸引液、肺の洗浄液および吸引液。真菌および植物の組織、たとえば葉、根、茎およびかさ(cap)も本発明の範囲に含まれる。生物試料の上または中に存在する可能性のある微生物およびウイルスが本発明の範囲に含まれる。細菌細胞も本発明の範囲に含まれる。
生物試料または細胞を、カオトロピック物質および/または他の塩類を含有する水性細胞溶解系内で、最も簡単な例ではそれを細胞に添加することにより溶解する。本明細書中で用いる用語“カオトロピック”または“カオトロピック塩”は、たとえばタンパク質または核酸の二次、三次または四次構造を変化させることにより(これらに限定されない)タンパク質または核酸に障害を及ぼし、一次構造は無傷のまま残す物質を表わす。カオトロープの例には、塩酸グアニジン、チオシアン酸グアニジニウム、チオシアンナトリウム、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウムおよび尿素が含まれるが、これらに限定されない。代表的な陰イオン性カオトロピックシリーズには下記のものが含まれる;カオトロピック強度が低下する順に示す:CClCOO→CNS→CFCOO→ClO >I→CHCOO→Br、Cl、またはCHO
前記の出発生物試料のうちあるもの、たとえば細菌は、それらの細胞壁の条件のためカオトロピック物質を含有する水性系内で直接に細胞溶解することができない。したがって、これらの出発材料は、本発明による方法に使用する前に、たとえば細胞溶解酵素で予備処理しなければならない。
RNAの単離に際して最も重要な観点のひとつは、単離操作中の分解を阻止することである。したがって、生物試料を細胞溶解するための本発明の試薬は、好ましくは大量のカオトロピックイオンを含有する溶液である。この細胞溶解緩衝液は、実質的にすべての酵素を直ちに不活性化して、RNAの酵素分解を阻止する。細胞溶解溶液は、0.1から10Mまで、たとえば1から10Mまでの濃度のカオトロピック物質を含有する。そのようなカオトロピック物質として、特に塩類、たとえば過塩素酸ナトリウム、塩化グアニジニウム、塩酸グアニジン、イソチオシアン酸グアニジニウム/チオシアン酸グアニジニウム、、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、および/またはその組合わせを使用できる。
好ましくは、細胞溶解溶液は還元剤をも含有し、これはカオトロープによるRNaseの変性を促進し、分解していないRNAの単離を補助する。好ましくは、還元剤は2−アミノエタンチオール、トリス−カルボキシエチルホスフィン(TCEP)、またはβ−メルカプトエタノールである。
場合により、細胞溶解溶液は非イオン性の界面活性剤(surfactant、すなわちdetergent)をも含有する。界面活性剤の存在は、無機物支持体へのゲノムDNAの選択的結合を可能にする。非イオン界面活性剤の例には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:t−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(TRITON X−100(商標))、(オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール(IGEPAL(商標)CA−630/NP−40)、トリエチレングリコールモノラウリルエーテル(BRIJ(商標)30)、ソルビタリモノラウレート(Sorbitari Monolaurate)(SPAN(商標)20)、またはポリソルベート(Polysorbate)ファミリーの化学物質、たとえばポリソルベート20(すなわちTWEEN(商標)20)。他の市販ポリソルベートには、TWEEN(商標)40、TWEEN(商標)60およびTWEEN(商標)80(Sigma−Aldrich,、ミズーリ州セントルイス)が含まれる。これらおよび他の関連化学物質がいずれもTWEEN(商標)20の代替として有効である。
RNAの選択的結合に有効な非イオン界面活性剤の量は、異なる界面活性剤間でわずかに変動する可能性がある。しかし、界面活性剤それぞれ(または界面活性剤の組合わせ)に最適な濃度は、ある簡単な実験で容易に確認できる。一般に、0.5%以上の最終濃度の界面活性剤が結合に有効であることが見出された。特定の態様において、有効濃度は0.5%〜約10%である。好ましい態様において、濃度は1%〜8%である。界面活性剤の合計濃度が0.5%〜約10%の範囲である限り、1種類より多い非イオン界面活性剤を組み合わせうることも明記する。
好ましい態様において、細胞溶解溶液はNP−40(IGEPAL(商標)CA−630)を含有する。最も好ましい態様において、細胞溶解溶液は塩酸グアニジン、TWEEN(商標)20、NP−40およびβ−メルカプトエタノールを含有する。
本発明の細胞溶解溶液は、好ましくは溶液のpHを維持するのに十分な量の緩衝剤をも含有する。pHを約5〜8の範囲に維持すべきである。細胞溶解溶液中に用いるのに好ましい緩衝剤には、トリス−(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩(Tris−HCl)、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム−ホウ酸、およびグリシン−水酸化ナトリウムが含まれる。
第1および第2無機物支持体は、好ましくは多孔質または非孔質の金属酸化物または混合金属酸化物、シリカゲル、シリカ膜、主にガラスからなる材料、たとえば未改質ガラス粒子、粉末ガラス、石英、アルミナ、ゼオライト、二酸化チタン、二酸化ジルコニウムからなる。無機物支持体材料の粒度は0.1μmから1000μmまでの範囲であり、細孔サイズは2から1000μmまでの範囲である。多孔質または非孔質の支持体材料は、ゆるく充填された形態で存在してもよく、あるいはガラス、石英もしくはセラミック製のフィルター層、および/またはシリカゲルを配置した膜、および/または無機物支持体製の粒子もしくは繊維、および石英もしくはグラスウールの布帛、ならびに官能基を含むかもしくは含まないラテックス粒子、またはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、特に超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン製のフリット材料の形態に統合されてもよい。
無機物支持体は、ゆるく充填された状態、2つの媒体間に固定された状態、またはカラムの中空ボディー内に配置された膜の形態で存在することができる。好ましくは、第1無機物支持体および第2無機物支持体は、それぞれシリカ膜である。
第1無機物支持体に吸着したラージRNAおよび第2無機物支持体に吸着したスモールRNAは両方とも、低いイオン強度の条件下または水で溶離できることが見出された。したがって、本発明の他の観点は、ラージRNAとスモールRNAの両方を同一試料から分離および精製するための方法を提供する。
無機物支持体を第1または第2液体混合物から分離した後、結合したRNAを含む無機物支持体を、ラージRNAまたはスモールRNAそれぞれの溶離前に洗浄することが好ましい。高濃度の有機溶媒、たとえば低級脂肪族アルコールを含有する洗浄緩衝液を、第1および第2無機物支持体の両方の洗浄に用いて、目的RNA以外の成分を分離することができる。
試料フロースルー(濾液)からの無機物支持体材料の分離、ならびに洗浄工程および溶離工程には、周知の方法が用いられる。後記に示す実施例では簡単な遠心分離工程を用いる。しかし、無機物支持体からの水性溶液の分離のための方法は周知である。これらには、遠心分離のほかに、真空または比重に基づく分離方法が含まれる。当業者は、その実験または工程の個々の要求に基づき、処理量および操作の容易さを特に考慮して、種々の方法の混合を容易に選択できる。
本発明の種々の観点を図1〜4に示す。したがって本発明の1観点は、ワークフロー−4(図4)に示すようにスモールRNAを試料溶液から単離することに関する。本発明の他の観点をワークフロー−2(図2)に示す。この場合には、水性試料を第1無機物支持体に装填する前にフェノール−クロロホルム抽出工程が含まれる。この抽出工程により試料溶液中の大きいゲノムDNAおよびタンパク質混在物が分離され、単離されたスモールRNAの純度が向上する。これらのワークフローによるスモールRNAの収率が一般的な商業プロトコルを用いて得られたものより高いことに注目するのが重要である。
本発明の第3および第4観点を、それぞれワークフロー−1(図1)およびワークフロー−3(図3)として示す。本質的にこれらの観点には、生物材料および試料から実質的に純粋な分解していないラージRNAおよびスモールRNAを単離するための方法が含まれる。ラージRNAおよびスモールRNAを、それぞれ第1および第2無機物支持体から溶離する。
これらのプロトコルに従い、前記の試薬および方法を用いてラージRNAおよびスモールRNAを30分ほどの短時間で単離することができる。これらの結果は、個々のRNA成分を単離するための既存の方法より実質的に迅速である。
ワークフロー−1および2ならびに以下に詳述する実験条件を用いて、ラージRNAおよびスモールRNAを生物試料から精製するのに成功した。これらの実験から、現在の市販キットと比較して、QPCRおよびマイクロアレイ実験などの下流用途に使用するのに適した高品質のRNAが高い収率で得られる。
本発明は、RNAと共に総タンパク質を単離するための方法をも提供する。これに関して、ワークフロー−3および4において、第2無機物支持体からの濾液(フロースルー)は試料溶液(たとえば生物試料)からの総タンパク質を含有する。総タンパク質は、TCA沈殿法などの常法を用いて容易に単離できる。
生物試料からラージRNAおよびスモールRNAを分離および/または精製するための組成物およびキットも提供される。このキットは下記のものを含む:生物試料を細胞溶解するための細胞溶解溶液;ラージRNAを結合するための第1無機物支持体;スモールRNAのための第2無機物支持体;ラージRNAを第1無機物支持体から溶離するための溶離溶液;スモールRNAを第2無機物支持体から溶離するための溶離溶液;および有機溶媒、たとえばアセトン。場合により、キットは、スモールRNAが第2無機物支持に結合した後のフロースルーからタンパク質を単離するための手段、および利用者マニュアルをも含む。
好ましくは、キット内の細胞溶解溶液は、カオトロピック塩、非イオン界面活性剤、および還元剤を含有する。最も好ましくは、キット内の細胞溶解溶液は、塩酸グアニジン、TWEEN(商標)20、NP−40およびβ−メルカプトエタノールを含有する。
本発明の他の利点は以下の実施例および特許請求の範囲から明らかであろう。
以下の実施例は、本発明の態様に従って総RNAおよびスモールRNAを単離する方法を説明するためのものであり、限定のためのものではない。
試薬およびプロトコル
表1:使用する試薬およびキット
1.試料の破砕およびホモジナイゼーション
培養細胞の破砕およびホモジナイゼーション:
a.1x10個の培養細胞を1.5mlマイクロ遠心チューブ内で8000×g、1分間の遠心によりペレット化する;
b.上清を吸引によって完全に除去する;
c.350μlの細胞溶解緩衝液(β−MEを含有)を添加する;
d.ボルテックス攪拌して細胞ペレットを再懸濁する;
e.細胞溶解物を、RNaseおよびDNaseを含まない注射器に取り付けた20ゲージの針に少なくとも5回通すことによりホモジナイズする;
f.次の工程へ進む。
POLYTRON(登録商標)ホモジナイザー(Kinematica AG、スイス)を用いる組織破砕およびホモジナイゼーション:
a.10mgの組織を適切なサイズのチューブに入れる;
b.350μlの細胞溶解緩衝液(β−MEを含有)を添加する;
c.組織をPOLYTRON(登録商標)利用者マニュアルに従ってホモジナイズする;
d.調製したホモジェネートを目視検査し、ホモジナイゼーションが十分なことを確認する;
e.段階2もしくは3(フェノール/クロロホルム工程あり)または4もしくは5(フェノール/クロロホルム工程なし)へ進む。
2.同一試料から富化した総RNAおよびスモールRNA(マイクロRNA)を単離するワークフロー−1のためのプロトコル;フェノール:クロロホルムあり
2.1 RNAの結合
a.350μlの酸性フェノール:クロロホルムを、1.5mlマイクロ遠心チューブ内の350μlのホモジェネートに添加し、15秒間激しく振とうする;
b.12,000×gで15分間、+4℃において遠心する;
c.水層(上層)を新たな1.5mlマイクロ遠心チューブへ移す;
d.350μlの70%アセトンを添加する。数回の上下ピペッティングによって十分に混合する;
e.新たなスピンカラムを新たなコレクションチューブに入れる;
f.混合物全体をこのカラムへ移す;
g.8000×gで30秒間、遠心する;
h.スモールRNA単離のためにフロースルーを取っておく;
i.カラムを新たな2mlコレクションチューブへ移す。
2.2 カラムの洗浄
a.500μlの洗浄緩衝液をカラムに添加する;
b.11,000×gで1分間、遠心する;
c.フロースルーを廃棄する;
d.カラムを、RNaseを含まない1.5mlマイクロ遠心チューブへ移す。
2.3 総RNAの溶離
a.100μlの溶離緩衝液をカラムの中心に添加する;
b.11,000×gで1分間、遠心する;
c.カラムを廃棄し、純粋なRNAを収容したチューブを必要になるまで−80℃で保存する。
2.4 スモールRNA(マイクロRNA)の単離
a.新たなスピンカラムを新たなコレクションチューブに入れる;
b.工程2.1.hからのフロースルーに、450μlの100%アセトンを添加し、十分に混合する;
c.数回の上下ピペッティングによって十分に混合する。混合物全体をカラムへ移す;
d.8000×gで30秒間、遠心する;
e.フロースルーを廃棄する;
f.500μlの洗浄緩衝液を添加し、8000×gで30秒間、遠心する;
g.500μlの80%アセトンを添加し、8000×gで2分間、遠心する;
h.カラムを、RNaseを含まない1.5mlマイクロ遠心チューブへ移す。
2.5 スモールRNA(マイクロRNA)の溶離
a.ヌクレアーゼを含まない水15μlを添加する;
b.8000×gで1分間、遠心する;
c.スモールRNAを含有するフロースルーを採集する。
3.富化したスモールRNA(マイクロRNA)を単離するワークフロー−2のためのプロトコル
このプロトコルは前記のワークフロー−1についてのプロトコルと同様である。唯一の例外は、工程2.1.i、2.2および2.3を実施しないことである。
4.同一試料から総RNAおよびスモールRNA(マイクロRNA)を単離するワークフロー−3のためのプロトコル;フェノール:クロロホルムなし
4.1 RNAの結合
a.350μlの70%アセトンを1.5mlマイクロ遠心チューブ内の350μlの細胞溶解ホモジェネートに添加する。数回の上下ピペッティングによって十分に混合する;
b.新たなスピンカラムを新たなコレクションチューブに入れる;
c.混合物全体をこのカラムへ移す;
d.8000×gで30秒間、遠心する;
e.スモールRNA単離のためにフロースルーを取っておく;
f.カラムを新たな2mlコレクションチューブへ移す。
4.2 カラムの洗浄
a.500μlの洗浄緩衝液をカラムに添加する;
b.11,000×gで1分間、遠心する;
c.フロースルーを廃棄する;
d.カラムを、RNaseを含まない1.5mlマイクロ遠心チューブへ移す。
4.3 総RNAの溶離
a.100μlの溶離緩衝液をカラムの中心に添加する;
b.11,000×gで1分間、遠心する;
c.カラムを廃棄し、純粋なRNAを収容したチューブを必要になるまで−80℃で保存する。
4.4 スモールRNA(マイクロRNA)の単離
a.新たなスピンカラムを新たなコレクションチューブに入れる;
b.工程4.1.eからのフロースルーに、450μlの100%アセトンを添加し、数回の上下ピペッティングによって十分に混合する;
c.混合物全体をカラムへ移す;
d.8000×gで30秒間、遠心する;
e.フロースルーを廃棄する;
f.500μlの洗浄緩衝液をスピンカラムに添加し、8000×gで30秒間、遠心する;
g.500μlの80%アセトンを添加し、8000×gで2分間、遠心する;
h.カラムを、RNaseを含まない1.5mlマイクロ遠心チューブへ移す。
4.5 スモールRNA(マイクロRNA)の溶離
a.ヌクレアーゼを含まない水15μlを添加する;
b.8000×gで1分間、遠心する;
c.スモールRNAを含有するフロースルーを採集する。
5.試料から富化したスモールRNA(マイクロRNA)を単離するワークフロー−4のためのプロトコル;フェノール:クロロホルムなし
このプロトコルは前記のワークフロー−3についてのプロトコルと同様である。唯一の例外は、工程4.1.f、4.2および4.3を実施しないことである。
実施例1:アセトンを用いるRNA単離
miRNAの精製にアセトンを使用できるかどうかを調べ、総RNAおよびmiRNAの精製に最適なアセトン濃度を確認するために、実験を行なった。
組織試料はラット肝組織からのものであり、一方、細胞培養した細胞は培養HeLa細胞からのものである。前記の標準プロトコルに従って試料を破砕し、ホモジナイズした。試料を細胞溶解した後、溶解物を総RNAおよびスモールRNAの精製のために処理した。第1に、一連のホモジナイズした細胞溶解物350μlをそれぞれシリカ膜スピンカラムに装填した。11,000×gで1分間、遠心した後、RNA単離のためにフロースルーを採集した(スピンカラムはゲノムDNAを含み、これはTE緩衝液を用いて溶離できた)。250μl、300μl、350μlまたは400μlの無水アセトンをフロースルーにそれぞれ添加した。350μlの無水エタノールを他のひとつに対照として添加した。数回の上下ピペッティングによって十分に混合した。新たなスピンカラムを新たなコレクションチューブに入れた。混合物をそれぞれスピンカラムへ移し、11,000×gで1分間、遠心した。フロースルーを廃棄した;これはタンパク質を含有し、これをさらに精製することができた。カラムを新たなコレクションチューブへ移し、500μlの洗浄緩衝液をカラムに添加し、11,000×gで1分間、遠心した。コレクションチューブおよびそれの内容物であるフロースルーを廃棄した。スピンカラムを新たなコレクションチューブへ移した。100μlの溶離緩衝液(dd HO)をカラムの中心に添加し、11,000×gで1分間、遠心して、精製した総RNAを採集した。精製したRNAを−80℃で保存した。
精製したRNAを0.8%アガロースゲルで分析した。図5に明らかなように、RNA調製物はラージRNAと共にスモールRNA分子の存在を示す。アセトンの量を増加させるとスモールRNAの収率が増大した。アセトンを用いて単離したRNAおよびスモールRNAの品質および量は、標準的なエタノール沈殿法と同様またはより良好であると思われる。
実施例2:ワークフロー−1を用いる総RNAおよびスモールRNAの単離
前記のワークフロー−1を用いてラット肝試料につき予備調査実験を行なった。エタノールまたは市販のRNA単離キット(総RNA単離用Mini RNeasy(登録商標)KitおよびスモールRNA(マイクロRNA)単離用miRNeasy Mini Kit;両方ともQiagenから)を用いて対照実験を行なった。
単離したRNA(ビッグおよびスモール)試料を0.8%アガロースゲル上で走行させた。結果は、ワークフロー−1に記載したプロトコルによりマイクロRNAを含むスモールRNAの単離に成功したことを示す(図6)。
実施例3:ワークフロー−2を用いるスモールRNAの単離
より大きいRNAを含まないスモールRNAの単離により、総工程数が少なくなる(ワークフロー−2をワークフロー−1と比較)。試料(ラット肝)を細胞溶解緩衝液中で細胞溶解した後、スモールRNA(マイクロRNA)精製のためにワークフロー−2のプロトコルを用いて溶解物を処理し、市販のRNA単離キット(miRNeasy Mini kit,Qiagen)を用いて対照実験を同様に行なった。
単離したスモールRNA(マイクロRNA)試料を0.8%アガロースゲル上で走行させた。結果は、ワークフロー−2に従ったより短いプロトコルによって、品質または収率を損なうことなく富化したスモールRNAの単離に成功できたことを示す(図7)。さらに、ワークフロー−3および4に示すようにフェノール−クロロホルム抽出工程を除くことにより、総RNAおよびスモールRNAの単離のための処理時間を著しく短縮することができる。さらに、スモールRNAの収率は、アセトンの代わりにエタノールを用いる市販のキットと比較してより高い(表2)。
表2:市販製品と比較したワークフロー−1を用いたスモールRNAの収率
実施例4:単離したスモールRNA試料中のマイクロRNAの存在の確認
単離したスモールRNAがマイクロRNAを含有することを証明するために、種々のコピー数の4種類の異なるマイクロRNAを用いて、マイクロRNA特異的qRT−PCRアッセイを行なった。
異なる発現レベル(低度、中等度、および中程度に高度)をもつ4種類の異なるマイクロRNAプライマーセットを、qRT−PCR分析(Applied Biosystems Inc)に用いた。ワークフロー−1およびQiagen miRNeasyキットから単離した試料を試験した。試料中の4種類すべてのマイクロRNAの検出に成功した(図8)。
本明細書に挙げたすべての特許、特許公報、および他の公表された参考文献の全体を、それぞれが個別に詳細に本明細書に含まれるのと同様に、本明細書に援用する。本発明の好ましい具体的態様を記載したが、それらは説明のためだけに示したものであって限定ではなく、本発明をここに記載した態様以外で実施できることは当業者に認識されるであろう。本発明は特許請求の範囲によってのみ限定される。

Claims (16)

  1. 水性試料溶液からスモールRNAを単離するための方法であって、
    a)水性試料を第1双極性非プロトン溶媒と混合して、より低いパーセントの第1溶媒を含有する混合物を調製し;
    b)200ntより大きいラージRNAが第1無機物支持体に結合する条件下で、混合物を第1無機物支持体に適用し;
    c)スモールRNAを含有するフロースルーを採集し;
    d)工程(d)からのフロースルーを第2双極性非プロトン溶媒と混合して、より高いパーセントの第2溶媒を含有する第2混合物を調製し;
    e)スモールRNAを結合させるために混合物を第2無機物支持体に適用し;
    f)第2無機物支持体を洗浄緩衝液で洗浄し;そして
    g)スモールRNAを第2無機物支持体から溶離する
    ことを含む方法。
  2. 水性試料が、生物試料を細胞溶解溶液で細胞溶解することにより生成する、請求項1に記載の方法。
  3. 細胞溶解溶液が、カオトロピック塩、非イオン界面活性剤、および還元剤を含有する、請求項2に記載の方法。
  4. カオトロピック塩が塩酸グアニジンである、請求項3に記載の方法。
  5. 非イオン界面活性剤が、トリエチレングリコールモノラウリルエーテル、(オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール、ソルビタリモノラウレート、T−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60およびポリソルベート80、またはその組合わせから選択される、請求項3に記載の方法。
  6. 非イオン界面活性剤またはその組合わせが0.1〜10%の範囲である、請求項5に記載の方法。
  7. 細胞溶解溶液が、1〜10Mの塩酸グアニジン、0.1〜10%のTWEEN(商標)20、および0.1〜10%のNP−40を含有する、請求項2に記載の方法。
  8. 混合工程b)の前に、さらに水性溶液のフェノール−クロロホルム抽出工程を含む、請求項2に記載の方法。
  9. 第1無機物支持体および第2無機物支持体が多孔質または非孔質であり、金属酸化物または混合金属酸化物、シリカゲル、シリカ膜、ガラス粒子、粉末ガラス、石英、アルミナ、ゼオライト、二酸化チタン、または二酸化ジルコニウムからなる、請求項1に記載の方法。
  10. 第1無機物支持体および第2無機物支持体が、それぞれシリカ膜である、請求項1に記載の方法。
  11. 第1または第2双極性非プロトン溶媒が、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、およびジメチルスルホキシドから選択される、請求項1に記載の方法。
  12. 第1および第2双極性非プロトン溶媒が両方ともアセトンである、請求項1または2に記載の方法。
  13. 工程a)において、より低いパーセントのアセトンが約35%であり、一方、工程d)において、より高いパーセントのアセトンが約50%である、請求項12に記載の方法。
  14. スモールRNAの収率が、アセトンの代わりにエタノールを用いて得られる収率より少なくとも10%高い、請求項12に記載の方法。
  15. 生物試料が、培養細胞、微生物、植物および動物から選択される、請求項2に記載の方法。
  16. 同一試料からラージRNAおよびスモールRNAの両方を分離および単離するための方法であって、
    i)スモールRNAを請求項1の工程に従って単離し;
    ii)場合により、ラージRNAを含有する請求項1の工程b)からの第1無機物支持体を洗浄し;そして
    iii)ラージRNAを第1無機物支持体から溶離する
    ことを含む方法。
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