JP5433321B2 - (メタ)アクリル酸の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固定床管型反応器を用いて(メタ)アクロレインを固体酸化触媒の存在下に分子状酸素で気相接触酸化して(メタ)アクリル酸を製造する方法に関するものである。
(メタ)アクロレインを気相接触酸化して(メタ)アクリル酸を製造する際に使用する触媒に関しては数多くの提案がなされている。これら提案は主として触媒を構成する元素およびその比率に関するものである。
当該気相接触酸化は発熱反応であるため、触媒層で蓄熱が起こる。蓄熱の結果生じる局所的異常高温帯域はホットスポットと呼ばれ、この部分の温度が高すぎると過度の酸化反応を生じるので、目的生成物の収率は低下する。
また、ホットスポットの温度が高くなりすぎると、その蓄熱により触媒がさらに反応を促進され、それによりさらに発熱が進むという悪循環が発生し、ついには触媒が燃焼して完全に失活してしまう恐れがある。
触媒の局所的な発熱を抑制する方法として、特許文献1に「ホットスポット部における異常な蓄熱を抑制するために、原料アクロレイン濃度を低くしたり、あるいは空間速度を低くするなどの対策がとられる」という記載があるように原料濃度を低くしたり原料ガスの線速度を下げるなどの措置や、あるいは反応温度を下げるなどの反応負荷を低減する方法が一般的である。
しかしながらこれらの方法は、目的生成物の生産を制限することに他ならず、大幅な生産量低下となる問題がある。
このため、該酸化反応の工業的実施において、ホットスポットの温度抑制は重大な問題であり、特に生産性を上げるために原料ガス中における(メタ)アクロレイン濃度を高めた場合、ホットスポットの温度が高くなる傾向があることから反応条件に関して大きな制約を強いられているのが現状である。
したがって、ホットスポットの温度を抑えることは工業的に高収率で(メタ)アクリル酸を生産する上で非常に重要である。また、特にモリブデン含有固体酸化触媒を用いる場合、モリブデン成分が昇華しやすいことから、ホットスポットの発生を防止することは重要である。
ホットスポットの温度を抑える方法として、これまでにいくつかの提案がなされている。例えば特許文献1には、触媒を充填した固定床多管型反応器を用いてアクロレインまたはアクロレイン含有ガスを分子状酸素または分子状酸素含有ガスにより気相接触酸化してアクリル酸を製造する方法において、各反応管内の触媒層を管軸方向に2層以上に分割して設けた複数個の反応帯に活性の異なる複数個の触媒を原料ガス入口側から出口側に向けて活性がより高くなるように充填して反応する方法が記載されている。
また、特許文献2には、固体酸化触媒が充填されている固定床管型反応器の触媒層に、メタクロレインを3〜9容量%、酸素を5〜15容量%および水蒸気を5〜50容量%含む原料ガスを流通させるメタクリル酸の製造方法において、前記原料ガスを流通させる前に、前記触媒層に、酸素、窒素および水蒸気を含み、かつメタクロレインが0〜0.5容量%であるガスを流通させながら250〜350℃の範囲まで昇温し、次いでメタクロレインを1〜2.8容量%、酸素を5〜15容量%および水蒸気を5〜50容量%含むガスを250〜350℃で1時間以上流通させる方法が記載されている。
しかし、特許文献1及び2のいずれの方法でも、ホットスポットの温度抑制効果があるものの、反応開始直後の触媒が活性化している不安定な時期に発生するホットスポット部の急激な上昇に対しては、必ずしも効果が充分ではないという問題があった。
また、特許文献3では、接触管を取り巻くその空間にただ1つの熱交換媒体循環路が通されている多接触管固定層反応器中で、高められた温度で、触媒活性複合金属酸化物に接して、アクロレインをアクリル酸へ接触気相酸化する方法において、熱媒体槽内に設置したじゃま板で熱媒体の流速を制御し、熱媒体に温度を分布を設けてホットスポットを抑制する方法が記載されている。しかしながらこの方法では、ホットスポットを抑制する効果はあるものの、反応器に大掛かりな加工が必要であり、一度使用する触媒に合わせて設定してしまうと、それ以降に活性の挙動が違う触媒を使用するときに、必ずしも適用することができないという問題点があった。
特開2000−336060号公報 特開2002-371029号公報 特開平8−92154号公報
本発明は、固定床管型反応器にて(メタ)アクロレインを固体酸化触媒の存在下に分子状酸素で気相接触酸化して(メタ)アクリル酸を製造する方法において、ホットスポット部の温度を十分に抑制することによって、スタートアップを効率的に行い、且つ高い生産能力を維持したまま酸化反応を実施可能な(メタ)アクリル酸製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、固体酸化触媒が充填されている固定床管型反応器の触媒層に、(メタ)アクロレインを含む原料ガスを流通させる(メタ)アクリル酸の製造方法において、触媒層中の熱媒浴の温度と触媒層の温度との差が目標温度を超えた時に、原料ガス量が1%以上増量するように一時的に不活性ガスを供給し、かつ原料ガスを増量する前後で(メタ)アクロレインの反応率が一定となるように反応温度を上げて調節することを特徴とする(メタ)アクリル酸の製造方法である。
本発明の方法により、ホットスポット部の温度を十分に抑制し、スタートアップを効率的に行い、高い負荷での酸化反応を実施して(メタ)アクリル酸を製造することが出来る。
本発明において、(メタ)アクリル酸を合成する反応は固定床管型反応器を用いて実施される。管型反応器は特に限定されないが、工業的には内径10〜40mmの反応管を数千〜数万本備えた多管式反応器が好ましい。また、固定床管型反応器は熱媒浴を備えたものが好ましい。熱媒は特に限定されないが、例えば、硝酸カリウムおよび亜硝酸ナトリウムを含む塩溶融物が挙げられる。
本発明において、用いる固体酸化触媒はこの酸化反応用の固体触媒であれば特に限定されず、従来から知られているモリブデンを含む複合酸化物等を用いることができる。
メタクロレインの気相接触酸化によりメタクリル酸を製造するための触媒は、下記式(1)で表される組成を有するものが好ましい。
MoCu(1)
(式中、Mo、P、Cu、VおよびOはそれぞれモリブデン、リン、銅、バナジウムおよび酸素を表し、Xは鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、クロム、タングステン、マンガン、銀、ホウ素、ケイ素、スズ、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマス、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、インジウム、イオウ、セレン、テルル、ランタンおよびセリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Yはカリウム、ルビジウム、セシウムおよびタリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を表す。a、b、c、d、e、f及びgは各元素の原子比を表し、a=12のとき、b=0.1〜3、c=0.01〜3、d=0.01〜3、e=0〜10、f=0.01〜3であり、gは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素原子比である。)
アクロレインの気相接触酸化によりアクリル酸を製造するための触媒は、下記式(2)で表される組成を有するものが好ましい。
Mo (2)
(式中、Mo、V及びOは、それぞれモリブデン、バナジウム及び酸素を示し、Aは、鉄、コバルト、クロム、アルミニウム及びストロンチウムからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を示し、Xは、ゲルマニウム、ホウ素、ヒ素、セレン、銀、ケイ素、ナトリウム、テルル、リチウム、アンチモン、リン、カリウム及びバリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、Yは、マグネシウム、チタン、マンガン、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、タングステン、タンタル、カルシウム、スズ及びビスマスからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示す。j、k、l、m、n及びoは各元素の原子比率を表し、j=12のとき、k=0.01〜6、l=0〜5、m=0〜10、n=0〜5であり、oは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素原子数である。)
本発明で用いる触媒を調製する方法は特に限定されず、成分の著しい偏在を伴わない限り、従来からよく知られている種々の方法を用いることができる。
触媒の調製に用いる原料は特に限定されず、各元素の硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、アンモニウム塩、酸化物、ハロゲン化物等を組み合わせて使用することができる。例えばモリブデン原料としてはパラモリブデン酸アンモニウム、三酸化モリブデン、モリブデン酸、塩化モリブデン等が使用できる。
本発明に用いられる触媒は無担体でもよいが、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、シリコンカーバイト等の不活性担体に担持させた担持触媒や、あるいはこれらで希釈した触媒を用いることもできる。
本発明において、触媒層とは、固定床管型反応器の反応管内において少なくとも触媒が含まれている空間部分を指す。すなわち、触媒だけが充填されている空間だけでなく、触媒が不活性担体等で希釈されている空間部分も触媒層とする。ただし、反応管両端部の何も充填されていない空間部分や不活性担体等だけが充填されている空間部分は、触媒が実質的に含まれないので触媒層には含まない。
固定床管型反応器を用いて(メタ)アクロレインを固体酸化触媒の存在下に分子状酸素で気相接触酸化して(メタ)アクリル酸を製造する反応は、通常230〜450℃範囲で選ぶことができるが、特に、250〜400℃が好ましい。
本発明の実施に際して、原料ガス中の(メタ)アクロレインの濃度は通常1〜20容量%が適当であり、特に3〜9容量%が好ましい。また、原料ガス中の酸素は5〜15容量%の範囲が好ましく、また水蒸気を5〜50容量%含むことが好ましい。また、原料ガス中には窒素、水蒸気、炭酸ガス等の不活性ガスを含んでいるものを用いることができる。
接触気相酸化反応器を使用する製造プロセスは、通常は、反応生成物の捕集工程を有する。したがって、一般的には、目的の接触気相酸化反応器入口ガスの組成を得るために、その捕集工程からの排出ガスを接触気相酸化反応器入口ガスの一部として供給する。また、この排出ガスを用いるほかにも、不活性ガスである窒素や水蒸気、もしくはその排出ガスを燃焼した後に得られるガスを投入し、目的の入口ガスの組成を得ることもできる。
原料ガス量は、同じ規模の設備でより大きな製造能力(高生産性)を出すことと、その触媒をより長期間使用が出来ることを両立させる条件として決められる。
本発明を実施するに当たっては、基準とする原料ガス量を生産性と触媒寿命を確保する観点から、上記の原料ガスの好ましい範囲から任意に決めることができる。
一般に、気相接触酸化反応は、被酸化原料を分子状酸素を含むガスに加えて触媒を充填した反応器に供給して目的生成物を生成するが、以下の3つの反応状態がある。すなわち、反応初期のスタートアップと定常運転状態、運転終了のシャットダウン段階である。
一般に、気相接触酸化反応は、被酸化原料を分子状酸素を含むガスに加えて触媒を充填した反応器に供給して目的生成物を生成するが、反応開始直後のスタートアップ時には定常の被酸化原料濃度をいきなり供給するわけではなく、被酸化原料の供給量が少ない状態(以下、反応負荷が低い状態)を経た後に被酸化原料の供給量が多い状態(以下、反応負荷が高い状態)へと段階的に原料ガスの組成を変動させながらスタートアップさせている。反応負荷を低い状態から高い状態へと段階的に上げた後、一定の原料ガス組成条件で運転を開始する。通常は、この時の定常原料ガス組成条件で定常運転を開始する。
定常運転の後、触媒交換や設備のメンテナンスのために定常運転状態から反応を終了する段階には、供給している被酸化原料の供給を停止し水蒸気や不活性ガスの供給を停止する操作を実施し、反応を終了しシャットダウンする。
本発明は、これら各反応状態のいずれの段階においても、ホットスポット部の温度上昇が発生した時に用いることが出来る。
ホットスポット部の急激な温度上昇は、過度な酸化反応が生じて、その部分の触媒の活性が低下する恐れがある。そのため、本発明はこのホットスポット部の温度をある目標温度以下に保つように運転する方法で行う。すなわち、熱媒浴の温度と触媒層の温度との差ΔT(触媒層温度−熱媒浴層温度)を測定し、このときのΔTの最高値が、目標温度を越えるときに、本発明を実施する。また、この目標温度は、触媒の活性などの性質を勘案して決めることが出来る。
反応開始直後のスタートアップ時には、原料ガス組成の変動に伴いホットスポット部も変動し易く、特にホットスポット部の急激な上昇が発生し易い。
本発明はこのようにスタートアップ時のホットスポットが変動し易い場合に、好適に用いることが出来る。すなわち、スタートアップ時の原料ガス組成変更後、ホットスポット部の温度を監視し、触媒層中のΔTの最高値が目標温度を超えた時に、原料ガス量が1%
以上増量するように一時的に不活性ガスを供給し、かつ原料ガスを増量する前後で(メタ)アクロレインの反応率が一定となるように反応温度を上げて調節することで、ホットスポット部の温度を十分に抑制し、スタートアップを効率的に行うことができる。このとき、不活性ガスの増加量を1%未満とした場合では、ホットスポット部の温度抑制効果が充分であるとは言えない。
不活性ガスの増加に伴うホットスポットの局所温度上昇抑制効果によって、触媒層中のΔTの最高値が目標温度を下回って安定した時は、不活性ガスを増量する前の原料ガス組成に戻して運転を行う。このとき、不活性ガスを増量前の量に戻さずに運転を続け、触媒が過度の還元雰囲気にさらされる時間が長期間に渡ると、触媒の活性低下を招き、触媒の寿命に悪影響を与える恐れがある。
不活性ガスの供給量を一時的に増加する期間としては、触媒層中のΔTの最高値が目標温度を超えた時から、触媒層中のΔTの最高値が目標温度を下回って安定した時までが好ましい。
本発明は定常運転時においても好適に用いることができる。すなわち、定常の原料ガス組成に変更後の定常運転時においても触媒層中のΔTの最高値が目標温度を超えた時に、ホットスポット部の局所的な発熱を抑制する手段として定常反応条件ガス組成に対して、不活性ガスの供給量を増加し、全体として1%以上の量を増量した原料ガスを一時的に供給し、かつ原料ガスを増量する前後で(メタ)アクロレインの反応率が一定となるように反応温度を上げて調節することで、ホットスポット部の温度を十分に抑制し、定常運転を効率的に行うことができる。
本発明はシャットダウン段階においても好適に用いることができる。すなわち、定常運転からシャットダウンの段階に切り替わるタイミングにおいては、原料ガス組成の変動に伴いホットスポット部も変動し易く、場合によってはホットスポット部の急激な上昇が発生することがある。このような場合において、ホットスポット部の温度を監視し、触媒層中のΔTの最高値が目標温度を超えた時に、原料ガス量が1%以上増量するように一時的に不活性ガスを供給し、かつ原料ガスを増量する前後で(メタ)アクロレインの反応率が一定となるように反応温度を上げて調節することで、ホットスポット部の温度を十分に抑制することができ、シャットダウンを効率的に行うことができる。
定常運転時、シャットダウン段階においても、不活性ガスの供給量を一時的に増加する期間としては、触媒層中のΔTの最高値が目標温度を超えた時から、触媒層中のΔTの最高値が目標温度を下回って安定した時までが好ましい。
本発明の方法においては、不活性ガスの供給量が増加することに伴い、原料ガス中の(メタ)アクロレインの反応率が低下する。これは原料ガス全体の流量が増加することにより、(メタ)アクロレインが反応しきれないまま通過する割合が増加するためである。そのため、不活性ガス供給量が増加し原料ガス全体の流量が増加する前後で(メタ)アクロレインの反応率が一定となるように反応温度を上げて調節することが好ましい。
また、本発明の効果はホットスポット部の局所的な発熱を抑制するに留まらず、触媒の選択率上昇によって目的生成物の生産量が向上する。すなわち、原料ガスの増加による線速度上昇により、原料ガスの逐次酸化が抑制され、目的生成物の選択率が上昇する。このため本発明は、生産量の低下を伴う原料濃度や原料ガス量を低下する従来の技術と比較して、決定的に優位である。
触媒層中のΔTの最高値が目標温度を超えた時に加える不活性ガスは窒素、水蒸気、炭酸ガス等を用いることができる。
酸素源としては空気を用いるのが経済的であるが、必要ならば純酸素で富化した空気も用い得る。原料ガス中の酸素濃度は(メタ)アクロレインに対するモル比で規定され、この値は0.3〜4、特に0.4〜2.5が好ましい。
原料(メタ)アクロレインは水、低級飽和アルデヒド等の不純物を少量含んでいてもよく、これらの不純物は反応に実質的な悪影響を与えない。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中の「部」は質量部を意味する。
触媒組成は触媒成分の原料仕込み量から求めた。反応器の熱媒としては硝酸カリウム50質量%及び亜硝酸ナトリウム50質量%からなる塩溶融物を用いた。ホットスポットは触媒層のΔT(触媒層の温度−熱媒浴シェル部内の温度)により検出した。
触媒を充填する固定床管型反応器は、内径25.4mmで長さが4500mmの鋼鉄製の反応管を上部管板と下部管板で13000本支持された構造のシェル−チューブ式反応器を用いた。
シェル−チューブ式反応器内部の各部の反応管における触媒層温度を満遍なく測定できるように、反応器の断面方向と縦方向で36箇所に熱電対を分散して配置し、各部の温度を測定した。触媒層内の温度は、反応管の断面において中央に位置するよう熱電対を設置して測定した。また、反応時のΔTの最高値の目標温度を、触媒の活性から勘案して、30℃以下とすることとした。
原料ガスおよび反応生成ガスの分析はガスクロマトグラフィーにより実施した。なお、メタクロレインの反応率及び生成するメタクリル酸の選択率は以下のように定義される。
メタクロレインの反応率(%)=(B/A)×100
メタクリル酸の選択率(%)=(C/B)×100
ここで、Aは供給したメタクロレインのモル数、Bは反応したメタクロレインのモル数、Cは生成したメタクリル酸のモル数である。
[実施例1]
パラモリブデン酸アンモニウム100部、メタバナジン酸アンモニウム2.8部および硝酸セシウム9.2部を純水300部に溶解した。これを攪拌しながら、85質量%リン酸8.2部を純水10部に溶解した溶液およびテルル酸1.1部を純水10部に溶解した溶液を加え、攪拌しながら95℃に昇温した。次いで硝酸銅3.4部、硝酸第二鉄7.6部、硝酸亜鉛1.4部および硝酸マグネシウム1.8部を純水80部に溶解した溶液を加えた。更にこの混合液を100℃で15分間攪拌し、得られたスラリーを噴霧乾燥機を用いて乾燥した。
得られた乾燥物100部に対してグラファイト2部を添加混合し、打錠成形機により外径5mm、内径2mm、長さ3mmのリング状に成形した。この打錠成形物を空気流通下に380℃で5時間焼成し、触媒1を得た。触媒1の組成は、酸素を除いた原子比で、Mo121.5Cu0.30.5Fe0.4Te0.1Mg0.15Zn0.1Cs1であった。
前記のシェル−チューブ式反応器の原料ガス入口側に触媒1を620mLと外径5mmのアルミナ球130mLを混合したものを充填し、出口側に触媒1を750mL充填した。このときの触媒層の長さは3005mmであった。
この触媒層にメタクロレイン5.5容量%、酸素10.7容量%、水蒸気9.0容量%および窒素74.8容量%からなる原料ガスを反応温度(熱媒浴温度)282℃、接触時間4.5秒で通じた。反応は常圧流通式で行った。反応開始60分後に反応生成物を捕集して分析したところ、メタクロレイン反応率83.7%、メタクリル酸選択率83.8%であった。
この時、触媒層各部のΔTを測定したところ、最高値は30.1℃であった。ΔTの最高値が目標温度である30℃を超えたため、原料ガス量が15%増量するように窒素ガスを加え、メタクロレイン反応率が原料ガス増量前と一定となるように反応温度を290℃に変更し、接触時間3.9秒にて1.5時間通過させて反応した。このとき、ΔTの最高値は原料ガス増量前が30.1℃だったものが26.9℃に低下し、ΔTの最高値の低下幅は3.2℃となった。選択率は85.3%であった。
[実施例2]
実施例1において、原料ガス量が37%増量するように窒素ガスを加え、メタクロレイン反応率が原料ガス増量前と一定となるように反応温度を298℃に変更し、接触時間を3.3秒にて1.5時間通過させた以外は同じ条件で実施した結果、ΔTの最高値は原料ガス増量前が30.4℃だったものが22.5℃まで低下し、ΔTの最高値の低下幅は7.9℃となった。選択率は86.4%であった。
[実施例3]
実施例1において、原料ガス量が1%増量するように窒素ガスを加え、メタクロレイン反応率が原料ガス増量前と一定となるように反応温度を282.5℃に変更し、接触時間を4.5秒にて1.5時間通過させた以外は同じ条件で実施した結果、ΔTの最高値は原料ガス増量前が30.2℃だったものが29.9℃まで低下し、ΔTの最高値の低下幅は0.3℃となった。選択率は83.9%であった。
[実施例4]
実施例1において、原料ガス量が7%増量するように窒素ガスを加え、メタクロレイン反応率が原料ガス増量前と一定となるように反応温度を287℃に変更し、接触時間を4.2秒にて1.5時間通過させた以外は同じ条件で実施した結果、ΔTの最高値は原料ガス増量前が30.5℃だったものが28.9℃まで低下し、ΔTの最高値の低下幅は1.6℃となった。選択率は84.3%であった。
[比較例1]
実施例1において、原料ガス量が0.4%増量するように窒素ガスを加え、反応温度282℃のままでメタクロレイン反応率が原料ガス増量前と一定となることを確認し、接触時間を4.5秒にて1.5時間通過させた以外は同じ条件で実施した結果、ΔTの最高値は原料ガス増量前が30.0℃だったが29.9℃とほぼ変わらず、ΔTの最高値の抑制効果は確認できなかった。選択率も83.9%とほぼ同等であり、こちらも効果を確認できなかった。
[比較例2]
実施例1において、窒素ガスを一切増量せずに反応した以外は同じ条件で、ΔTの最高値を確認しつづけたが、30.0℃でほぼ変わらずΔTの最高値の抑制効果がないことを確認した。選択率も83.8%とほぼ同等であり、こちらも効果を確認できなかった。

Claims (2)

  1. 固体酸化触媒が充填されている固定床管型反応器の触媒層に、(メタ)アクロレインを含む原料ガスを流通させて(メタ)アクリル酸を得る製造方法において、触媒層中の熱媒浴の温度と触媒層の温度との差が目標温度を超えた時に、原料ガス量が1%以上増量するように一時的に不活性ガスを供給し、かつ原料ガスを増量する前後で(メタ)アクロレインの反応率が一定となるように反応温度を上げて調節することを特徴とする(メタ)アクリル酸の製造方法。
  2. 削除
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