JP5433224B2 - 高比表面積金属用化成処理液および化成処理方法 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、孤立電子対を持つ窒素原子を含有する化合物および前記化合物とジルコニウム化合物を含有する金属表面用ノンクロムコーティング剤が記載されている。この方法は、前記組成物を塗布することによって、有害成分である6価クロムを含まずに、塗装後の耐食性および密着性に優れた表面処理皮膜を得ることを可能とするものである。
しかし、この方法は対象とされる金属素材がアルミニウム合金に限られており、塗布乾燥によって表面処理皮膜を形成せしめるため、自動車車体の様な複雑な構造物に適用することは困難である。
しかしながら、これらの方法は、いずれも対象とされる金属材料が、素材そのものの耐食性に優れるアルミニウム合金に限定されており、鉄系材料や亜鉛系材料の表面に表面処理皮膜を析出させることは不可能であった。
また、本発明者らは、前記ポリフェノールが、タンニン、カテキン、またはフラボノイドから選ばれる少なくとも1種が有効であり、水/アルコールに可溶なアルコール可溶性樹脂をさらに含有させることにより耐食性が向上することを見出して本発明を完成した。
また、第2の発明(2)は、前記リン酸系化合物はpHが5以下のものである前記(1)に記載の高比表面積金属用化成処理液である。
また、第3の発明(3)は、前記リン酸系化合物の濃度が0.1〜10質量%である前記(1)又は(2)に記載の高比表面積金属用化成処理液である。
また、第11の発明(11)は、前記リン酸系化合物はpHが5以下のものである前記(10)に記載の高比表面積金属の化成処理方法である。
また、第12の発明(12)は、前記化成処理液中の前記リン酸系化合物の濃度が0.1〜10質量%である前記(10)又は(11)に記載の高比表面積金属の化成処理方法である。
表1に示す組成の処理液を調製し、実施例1〜21、および比較例1〜4の試験を行った。
処理液の調製は、所定量を計量、混合したアルコール系溶剤にリン酸系化合物を添加、攪拌し、さらにポリフェノールを加えて攪拌・溶解させ、アルコール可溶性樹脂を含む実験水準ではこれにアルコール可溶性樹脂を加えて溶解させることにより行った。
リン酸系化合物(A):
85%リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸(ピロリン酸やトリポリリン酸を含む低重合度のもの)、および有機ホスホン酸(エタン-1-ヒドロキシ-1,1-ジホスホン酸)の中から選択して使用した。中和剤は添加せずに使用し、そのpHは何れも1〜2の範囲であった。
ポリフェノール(B):
茶カテキン、タンニン酸、柿タンニン、緑茶カテキン、フラボンの中から選択して使用した。
アルコール可溶性樹脂(C):
水溶性フェノール樹脂(住友ベークライト(株)製淡色フェノール樹脂)、水溶性アクリル樹脂(日本純薬(株)製ポリアクリル酸水溶液)、水溶性変性ポリアミド樹脂(東レ(株)製AQナイロン)、ウレタン樹脂(大日本インキ(株)製ハイドラン)の中から選択して使用した。
添加金属(D):
酸化亜鉛、フッ化アルミニウム、酸化第二鉄、硝酸ジルコニウム、シュウ酸チタン、硝酸サマリウム、硝酸ネオジム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸マンガン、および硝酸セリウムアンモニウム(JIS1級試薬相当品)の中から添加金属を選択して処理液中に溶解または分散して加えた。
アルコール系溶剤(E):
メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、およびアセトンを単独または混合して使用した。アルコール系溶剤以外の残部溶剤は水とした。
0.1mm厚さの、鋼板、亜鉛板、アルミ板を、それぞれ2×5mmのサイズに切断し、3種の高比表面積金属材料からなる微細試験片を準備した。これらの比表面積は、鋼板および亜鉛板が、0.002m2/g、アルミ板が0.006m2/gであった。
金属製微小試験片1g(70〜200枚相当)をステンレスメッシュのかごに入れ、アルコールで浸漬脱脂したのち、処理液をガラスビーカーに採って25℃の温度に保持した処理液に60秒間浸漬したのち、約1cm/秒の速度で引き上げ、そのまま真空乾燥機で内部が80℃になるようにヒーター加熱しながら3分間真空乾燥した。金属製テストパネルの材質は、実施例1〜4、実施例6、実施例11〜14、実施例16、実施例19〜21、および比較例1〜2は鋼板(SPC)を使用し、実施例5、実施例7〜8、実施例15、および比較例3は亜鉛を使用し、実施例9〜10、実施例17〜18、および比較例4はアルミニウム合金板(A1100)を使用した。
処理した金属板は下記の評価試験により性能評価した。
1.乾燥後の外観
オーブン乾燥後の外観を目視により錆発生の有無を確認した。
2.耐食性
塩水噴霧試験法(JIS Z2371)により耐食性試験を行った。各金属種について、無処理のテストパネルの錆発生までの時間を基準として、錆発生までの時間が1.1〜1.5倍になったものを1点(やや効果あり)、1.5〜3.0倍になったものを2点(有効)、3.0〜4.0倍となったものを3点(良好)、4.0倍以上となったものを4点(優れている)とした。
3.密着性
カッターナイフで処理後のテストパネルに碁盤目をいれ、碁盤目−テープ法(JIS K-5400)により皮膜の密着性を試験した。剥がれの認められないものを○、一部または全部が剥離したものを×とした。
Claims (13)
- リン酸、ポリリン酸、有機ホスホン酸の中から選ばれる少なくとも1種のリン酸系化合物と、ポリフェノールとを含み、残部が主としてアルコール系溶剤からなることを特徴とする高比表面積金属用化成処理液。
- 前記リン酸系化合物はpHが5以下のものである請求項1に記載の高比表面積金属用化成処理液。
- 前記リン酸系化合物の濃度が0.1〜10質量%である請求項1又は2に記載の高比表面積金属用化成処理液。
- 前記高比表面積金属は、鉄、亜鉛、およびアルミニウムから選ばれる少なくとも1種の金属を含み、かつその比表面積が0.001m2/g以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載の高比表面積金属用化成処理液。
- 前記処理液中に、さらにZn、Al、Fe、Zr、Ti、Sm、Nd、Ca、Mg、MnおよびCeの中から選ばれる少なくとも1種の金属を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の高比表面積金属用化成処理液。
- 前記処理液中に、さらにアルコール可溶性樹脂を含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の高比表面積金属用化成処理液。
- 前記ポリフェノールが、タンニン、カテキン、またはフラボノイドから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜6のいずれか一項に記載の高比表面積金属用化成処理液。
- 前記リン酸系化合物(A)、ポリフェノール(B)、アルコール可溶性樹脂(C)との質量比が、(B+C)/Aとして、1〜100の範囲である請求項1〜7のいずれか一項に記載の高比表面積金属用化成処理液。
- 前記アルコール系溶剤の沸点が60〜150℃である請求項1〜8のいずれか一項に記載の高比表面積金属用化成処理液。
- 鉄、亜鉛、およびアルミニウムから選ばれる少なくとも1種の金属を含み、比表面積が0.001m2/g以上である金属材料を、リン酸、ポリリン酸、有機ホスホン酸の中から選ばれる少なくとも1種のリン酸系化合物と、ポリフェノールとを含み、残部が主としてアルコール系溶剤からなる化成処理液と接触させることにより該金属表面に反応層を形成させたのち乾燥させることを特徴とする高比表面積金属の化成処理方法。
- 前記リン酸系化合物はpHが5以下のものである請求項10に記載の高比表面積金属の化成処理方法。
- 前記化成処理液中の前記リン酸系化合物の濃度が0.1〜10質量%である請求項10又は11に記載の高比表面積金属の化成処理方法。
- 前記処理液中に、さらにZn、Al、Fe、Zr、Ti、Sm、Nd、Ca、Mg、MnおよびCeの中から選ばれる少なくとも1種の金属を含有する、請求項10〜12のいずれか一項に記載の高比表面積金属の化成処理方法。
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