JP5431604B2 - 建築設計支援システム、建築設計支援プログラム、および、コンピュータ可読記憶媒体 - Google Patents

建築設計支援システム、建築設計支援プログラム、および、コンピュータ可読記憶媒体 Download PDF

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Description

本発明は、建築設計支援システムおよび建築設計支援プログラムに関する。
リフォームなどの建築設計では、対象物件の現地調査は必須の事項であり、時間と手数がかかる。例えば、従来のリフォーム設計のビジネスモデルは、まず、担当者が、現地調査を行い、必要な寸法、間取りなどの現状建築物情報を取得する。その後、会社に戻って現状建築物情報からリフォーム設計図を作成し、再度現地に行って施主に提案するという手間のかかる流れであった。これらを改善する従来技術として、ノートパソコンやスキャナーを携帯して、現地情報を会社のサーバなどに送り、設計図面を得る技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照されたい。)
特開2005-301358号公報
しかしながら、上述した従来技術では、現状の建築物情報を簡易に取得することは可能であるが、実際のリフォーム設計は依然として人手で行う必要がある。リフォーム設計を設計者が手作業を行う場合には、通常数日程度を要する。特に、高齢化が進んだ現代においては、高齢者や障害をかかえた方への福祉向けリフォーム、福祉向け建築の重要性が高まってきている。このような福祉関係の資格として、福祉住環境コーディネータがあり、総合格者が約37万人存在する。このような福祉の専門家と設計者とが、経験と知識に基づき福祉向けリフォーム設計を行うことが多いが、手作業の設計作業であり、手間と時間がかかってしまうという問題がある。
このようなリフォーム設計自体の簡易化、自動化が喫緊の課題である。例えば、住宅展示場などに訪れたユーザに即座に福祉向けリフォーム設計情報を提案することができれば便利であるが、そのような設計支援システムは開発されていない。
ユーザに対して、簡易かつスピーディに福祉向けリフォーム設計情報を提供する仕組みがないため、かなりの潜在的なユーザがリフォーム設計の発注を躊躇している状況にあるといえる。また、日本では少子高齢化が進み、福祉向けリフォーム設計の潜在ユーザは一層増加している状況にある。従って、潜在的ユーザは多数存在していても、十分な福祉向けの建築設計支援システムがないため、企業側は販売機会を損失することになり、一方、ユーザ側は、住み易く、安全な福祉向け住宅を得ることができないことになる。
福祉向けリフォーム設計では、個々のユーザが最も住み易くなるということが大切であるが、従来の設計では、設計者によっては、ユーザの個別属性を顧みずに一律に手摺を付加したり、必要以上に廊下幅を広くしたり、トイレの面積を大きくしたりすることが多い。しかしながら、ユーザの属性や建築物によっては、手摺が全く不要であったり、廊下幅の増加による生活スペースを過剰に圧迫したりすることもある。従って、上述したように、個々のユーザの属性を考慮しないリフォーム設計では、ユーザが住み易く、安全な福祉向け住宅を得ることを保証することはできない。
そこで、本発明は、現状の設計情報および/または居住者情報から、簡易かつ自動的に福祉向けのリフォーム設計情報やリスク評価を提供する福祉向け建築設計支援システムおよび建築設計支援プログラムを提供することを目的とする。
上述した諸課題を解決すべく、第1の発明による福祉向け建築設計支援システム(装置)は、
居住者情報、およびこれに関連付けられた設計情報(車椅子使用者という居住者情報の場合には、推奨廊下幅、玄関や廊下コーナー部における最小回転半径など)を格納する設計情報記憶部と、
建築物の図面情報を取得する図面情報取得部と、
前記建築物の居住者情報を取得する居住者情報取得部と、
前記居住者情報に対応する設計情報を前記設計情報記憶部から抽出し、該抽出した設計情報に基づき、前記図面情報をカスタマイズする図面修正部と、
を具える。
好適には、本システムは、前記カスタマイズされた図面情報に基づき、2次元的或いは3次元的に表示する(即ち、平面図、立体図として)表示部をさらに具える。
なお、本明細書において用語「建築物」には、建築物(屋根、柱、土台など)と一体をなす工作物或いは付属物(間仕切り、階段、作り付け家具、天井、床、開口枠、敷居、浴槽など)を含むものとする。
また、第2の発明による福祉向け建築設計支援システム(装置)は、
前記設計情報が、
寸法情報(居住者情報の病状や障害の程度に応じた廊下幅、風呂場の段差、廊下や部屋との境界の段差、階段の踏み代や段差、台所の作業面の推奨高さなど)、配置情報(スイッチの位置、動線を確保できる配置、照明位置など)、および設備情報(風呂場やトイレの非常連絡ボタン、手摺、安全クッションなど)のうちの少なくとも1つである、ことを特徴とする。
また、第3の発明による福祉向け建築設計支援システム(装置)は、
前記居住者情報が、
居住者の要介護認定情報、居住者の身体情報(体重、身長、身体の不自由の箇所、その不自由の程度など)、居住者の病歴、使用介護器具(杖、車椅子など)、および居住者の現在の疾病のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする。
また、第4の発明による福祉向け建築設計支援システム(装置)は、
公的補助情報を格納する公的補助情報記憶部をさらに具え、
前記図面修正部は、
前記公的補助情報記憶部に格納されている公的補助情報にも基づき、前記図面情報をカスタマイズする、
ことを特徴とする。
好適には、図面情報(例えば、当初の図面情報、或いは、カスタマイズ後の図面情報)における公的補助が適用される箇所(例えば手摺などの部材)、および/または、その金額(軽減額など)、補助条件(年収制限、年齢制限、介護認定の程度など)を出力(または表示部に表示)する。
また、第5の発明による福祉向け建築設計支援システム(装置)は、
福祉助成情報サーバ(厚労省サーバ、福祉関連情報を配信する民間サーバなど)から公的補助情報を受信する受信部をさらに具え、
前記公的補助情報記憶部は、受信した公的補助情報で格納済みの公的補助情報を更新する、
ことを特徴とする。
また、第6の発明による福祉向け建築設計支援システム(装置)は、
工事単価情報を格納する工事単価記憶部と、
カスタマイズ前の図面情報と、カスタマイズされた図面情報とに基づき、必要な工事要素および部材を全て抽出する工事抽出部と、
前記抽出した工事要素および部材に基づき、前記工事単価記憶部に格納されている工事単価情報を参照して、工事見積書を生成する見積生成部と、
をさらに具える、ことを特徴とする。
好適には、出力部から工事見積書を出力(または表示部に表示)する。
また、第7の発明による福祉向け建築設計支援システム(装置)は、
建築物の設計情報別の危険源(5mm以下の敷居、5mm〜1cmの敷居、浴室と浴槽との高低差50cm未満、50cm以上、廊下の幅60cm未満、80cm以上、間仕切りの出っ張り部の有無、コンクリートの壁、木材の壁、弾性素材の壁など)およびそれに関連付けられたリスク評価情報(つまずきやふらつきによる打撲、骨折、切り傷などの重大度、発生頻度、影響度など)が規定されているリスク評価マスターテーブルを格納するリスク記憶部と、
前記図面情報取得部で取得した建築物の当初の図面情報、および、前記図面修正部でカスタマイズした図面情報に基づき、前記リスク評価マスターテーブルを参照して、当初の図面情報における各部材および/または位置のリスク評価と、カスタマイズした図面情報における各部材および/または位置のリスク評価とをそれぞれ求めるリスク評価部と、
を具える、ことを特徴とする。
好適には、カスタマイズ前後のリスク評価の差を求め、さらにはこの評価差を表示部に表示する。
また、第8の発明による福祉向け建築設計支援システム(装置)は、
前記リスク評価情報の少なくとも一部が、居住者情報の要素別に規定され、
前記リスク評価部が、前記当所の図面情報、前記カスタマイズした図面情報、および、居住者情報取得部で取得した居住者情報に基づき、前記リスク評価マスターテーブルを参照して、当初の図面情報における各部材および/または位置のリスク評価と、カスタマイズした図面情報における各部材および/または位置のリスク評価とをそれぞれ求める、
ことを特徴とする福祉向け建築設計支援システム。
好適には、カスタマイズ前後のリスク評価の差を求め、さらにはこれを表示部に表示する。
また、第9の発明による福祉向け建築設計支援システム(装置)は、
建築物の設計情報別の危険源およびそれに関連付けられたリスク評価情報が規定されているリスク評価マスターテーブルを格納するリスク記憶部と、
建築物の図面情報を取得する図面情報取得部と、
前記図面情報取得部で取得した建築物の図面情報に基づき、前記リスク評価マスターテーブルを参照して、当該図面情報における各部材および/または位置のリスク評価を求めるリスク評価部と、
規定値以上のリスク評価である部材および/または位置がある場合には、当該リスク評価と共に、当該部材および/または位置を視覚的に強調表示する(例えば、ハッチングする、色を変える、点滅させる)表示部と、
を具えることを特徴とする。
また、第10の発明による福祉向け建築設計支援システム(装置)は、
居住者情報、およびこれに関連付けられた設計情報を格納する設計情報記憶部と、
前記建築物の居住者情報を取得する居住者情報取得部と、をさらに具え、
前記リスク評価情報の少なくとも一部が、居住者情報の要素別に規定され、
前記リスク評価部は、
前記図面情報、および、前記居住者情報に基づき、前記リスク評価マスターテーブルおよび前記設計情報記憶部を参照して、当該図面情報における各部材および/または位置のリスク評価を求める、
ことを特徴とする。
また、第11の発明による福祉向け建築設計支援サーバ(装置)は、
居住者情報、およびこれに関連付けられた設計情報(車椅子使用者という居住者情報の場合には、推奨廊下幅、玄関や廊下コーナー部における最小回転半径など)を格納する設計情報記憶部と、
クライアントコンピュータから建築物の図面情報を取得する図面情報取得部と、
前記クライアントコンピュータから前記建築物の居住者情報を取得する居住者情報取得部と、
前記居住者情報に対応する設計情報を前記設計情報記憶部から抽出し、該抽出した設計情報に基づき、前記図面情報をカスタマイズする図面修正部と、
前記カスタマイズした図面情報を前記クライアントコンピュータに送信する送信部と、
を具える。
上述したように本発明の解決手段をシステムやサーバ(装置)として説明してきたが、本発明はこれらに実質的に相当する方法、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。なお、下記の方法やプログラムの各ステップは、データの処理においては必要に応じて、CPU、DSPなどの演算処理装置を使用するものであり、入力したデータや加工・生成したデータなどをHDD、メモリなどの記憶装置に格納するものである。
本発明によれば、現状の設計情報および/または居住者情報から、簡易かつ自動的に福祉向けのリフォーム設計情報やリスク評価を提供する福祉向け建築設計支援システムおよび福祉向け建築設計支援サーバを提供することが可能となる。
以降、諸図面を参照しながら、本発明の実施態様を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施態様による福祉向け建築設計支援システムの概要を示すブロック図である。図に示すように、建築設計支援システム(サーバ)100は、制御部(CPU)110と、入力部120と、出力部130と、通信部140と、記憶部150と、表示部160とを有する。制御部110は、建築物の図面情報を取得する図面情報取得部112と、建築物の居住者情報を取得する居住者情報取得部114と、居住者情報に対応する設計情報を設計情報記憶部152から抽出し、該抽出した設計情報に基づき、図面情報をカスタマイズする図面修正部116とを具える。記憶部150は、居住者情報、およびこれに関連付けられた設計情報(車椅子使用者という居住者情報の場合には、推奨廊下幅、玄関や廊下コーナー部における最小回転半径など)を予め格納している設計情報記憶部152を含む。表1に居住者情報とこれに関連付けられた設計情報を例示する。例えば、「寝たきり」という居住者情報には、「介助入浴用の浴槽設置」および「座シャワーの設置」が関連付けられている。出力または表示する図面情報(設計情報)はCADデータの形式にすることが好適である。図面情報取得部112は、築物の図面情報として典型的にはCADデータを取得するが、他の形式のデータであってもよい。例えば、手書きのラスターデータと寸法情報などの関連情報の形式のデータを既知のベクトル解析手段を使用してCADデータに変換してもよい。この場合には、図面情報取得部112が、ベクトル変換機能を有するベクトル変換部(図示せず)を含む構成となる。
Figure 0005431604
従って、「寝たきり」という居住者情報を取得した場合には、「寝たきり」をキーワードにして、表1を参照して、設計情報「介助入浴用の浴槽設置」および「座シャワーの設置」が読み取られる。本システムは、設計情報「介助入浴用の浴槽設置」および「座シャワーの設置」を対象建築物の図面情報に適用可能(即ち、適用済み)か否かを検査し、適用可能(即ち、未適用)である場合には、図面情報をカスタマイズする。出力または表示する図面情報(設計情報)はCADデータの形式にすることが好適である。CADデータにすれば、ユーザは、その後、自己が望むようにCADデータを自在に編集することができ便利である。
通信部140は、インターネットなどのネットワークNETに接続され、ネットワークNETを介して遠隔地の端末PC1,PC2、携帯端末PDA1、携帯電話端末MS1などとデータを送受信することが可能である。建築設計支援システム100は、ASP(アプリケーションサービスプロバイダー)の建築設計支援サーバとして機能させることもできる。例えば、通信部140がネットワークNETを介して、端末PC1からデータ(建築物の図面情報と居住者情報)を取得し、処理結果(カスタマイズされた図面情報など)を端末PC1に返送する。出力部130は、修正した図面、諸データをプリンターPRNに出力したり、外部ディスプレイ(図示せず)に出力したりすることができる。
図2は、図1の建築設計支援システムで実行される処理の一例を示すフローチャートである。図2に示すように、ステップS11にて、図面情報取得部112により、対象の建築物の図面情報を取得する。図面情報には、CADデータが好適であり、各部材や要素に名称(ドア、引き戸、廊下、和室、キッチンシンク、トイレ、洋式トイレ便器など)と寸法とが付加されているものが適している。なお、対象の建築物は、通常は、カスタマイズ(リフォーム)前の現状建築物であるが、未建築の図面情報のみであっても差し支えない。次にステップS12にて、居住者情報取得部114により対象の建築物の居住者情報を取得する。また、建築物の図面情報や居住者情報は、図面入力部120を介して取得してもよい。
ステップS13では、図面修正部116が、居住者情報に対応する設計情報を設計情報記憶部152から抽出する。続いてステップS14にて、抽出した設計情報に基づき、図面情報をカスタマイズする。最後にステップS15にて、カスタマイズされた図面情報に基づき、2次元的或いは3次元的にカスタマイズされた建築物の図面を表示部160に表示する。或いは、出力部130が、外部接続されたプリンターPRNに印刷(出力)してもよい。
図3は、本発明の一実施態様による福祉向け建築設計支援システムの概要を示すブロック図である。本実施態様における建築設計支援システム200は、実施例1で示した建築設計支援システム100と同様の名称および機能を持つ各部を具える。即ち、建築設計支援システム200は、制御部(CPU)210と、入力部220と、出力部230と、通信部240と、記憶部250と、表示部260とを有する。制御部210は、図面情報取得部212と、居住者情報取得部214と、図面修正部216とを具える。記憶部250は、設計情報記憶部252を含む。
これら各部に加えて、建築設計支援システム200は、記憶部250に公的補助情報記憶部254をさらに具える。公的補助情報記憶部254は、国や地方自治体などの助成制度からなる公的補助情報が格納されている。図面修正部216は、公的補助情報記憶部254に格納されている公的補助情報にも基づき、対象の建築物に適用可能な箇所があるか否かを検査し、適用可能な箇所がある場合は図面情報をカスタマイズする。本システム200は、図面情報(例えば、当初の図面情報、或いは、カスタマイズ後の図面情報)における公的補助が適用される箇所(例えば手摺などの部材)、および/または、その金額(軽減額など)を出力部230から出力、または表示部260に表示する。通信部(受信部)240は、定期的(例えば月毎、週毎)に、少なくとも1つの福祉助成情報サーバ(厚労省サーバ、福祉関連情報を配信する民間サーバなど)WISから最新の公的補助情報を受信し、公的補助情報記憶部254は、受信した公的補助情報で格納済みの公的補助情報を更新する。公的補助は、新たな補助制度に更新される機会が多いが、本構成によれば、常に最新の公的補助制度に基づく、リフォーム提案を提供することが可能となる。
図4は、本発明の一実施態様による福祉向け建築設計支援システムの概要を示すブロック図である。本実施態様における建築設計支援システム300は、実施例1、2で示した建築設計支援システム100,200と同様の名称および機能を持つ各部を具えるため、その説明を省略し、本実施例で追加・変更される構成・処理のみを説明する。即ち、建築設計支援システム300は、制御部(CPU)310と、入力部320と、出力部330と、通信部340と、記憶部350と、表示部360とを有する。制御部310は、図面情報取得部312と、居住者情報取得部314と、図面修正部316とを具える。記憶部350は、設計情報記憶部352、公的補助情報記憶部354を含む。
これら各部に加えて、建築設計支援システム300の制御部310は、カスタマイズ前の図面情報と、カスタマイズされた図面情報とに基づき、必要な工事要素および部材を全て抽出する工事抽出部317と、工事見積書を生成する見積生成部318とをさらに具える。工事抽出部317は、カスタマイズ前の図面情報と、カスタマイズされた図面情報とに基づき、或いは、カスタマイズされた図面情報およびこれに含まれる変更箇所標識に基づき、カスタマイズによって変更した箇所(工事要素と部材:手摺設置工事の場合には、壁中の補強板、手摺など)を抽出する。見積生成部318は、抽出した工事要素および部材に基づき、前記工事単価記憶部に格納されている工事単価情報(例えば、手摺1mで部材代として金額7万円、施工工事代が5万円など)を参照して工事見積書を生成する。また、出力部330は、見積出力部として機能し、生成した工事見積書を出力する。或いは、表示部360を見積出力部として機能させて、表示部に工事見積書を表示してもよい。記憶部350は、工事単価情報を格納する工事単価記憶部356をさらに具える。表2に工事単価情報を例示する。
Figure 0005431604
図5は、図4の建築設計支援システムで実行される処理の一例を示すフローチャートである。本実施態様におけるフローチャートのステップS21−24は、実施例1で示したフローチャートのステップS11−14と同様であり、その説明を省略し、本実施例で追加・変更される処理のみを説明する。図5に示すように、ステップS25にて、工事抽出部317により、カスタマイズ前の図面情報と、カスタマイズされた図面情報とに基づき、必要な工事要素および部材を全て抽出する。次にステップS26にて、見積生成部により、抽出した工事要素および部材に基づき、前記工事単価記憶部に格納されている工事単価情報を参照して、工事見積書を生成する。最後にステップS27にて、表示部360或いは出力部330が、カスタマイズされた図面情報に基づき建築物の図面を表示し、さらに、工事見積書を表示する。
図6は、本発明の一実施態様による福祉向け建築設計支援システムの概要を示すブロック図である。本実施態様における建築設計支援システム400は、実施例1,2,3で示した建築設計支援システム100,200,300と同様の名称および機能を持つ各部を具えるため、その説明を省略し、本実施例で追加・変更される構成・処理のみを説明する。即ち、建築設計支援システム400は、制御部(CPU)410と、入力部420と、出力部430と、通信部440と、記憶部450と、表示部460とを有する。制御部410は、図面情報取得部412と、居住者情報取得部414と、図面修正部416と、工事抽出部417と、見積生成部418とを具える。記憶部450は、設計情報記憶部452、公的補助情報記憶部454、工事単価記憶部456を含む。
これら各部に加えて、建築設計支援システム400の制御部410は、リスク評価部419をさらに具える。記憶部450も、リスク記憶部458をさらに具える。リスク記憶部458は、建築物の設計情報別の危険源(5mm以下の敷居、5mm〜1cmの敷居、浴室と浴槽との高低差50cm未満、50cm以上、廊下の幅60cm未満、80cm以上、間仕切りの出っ張り部の有無、コンクリートの壁、木材の壁、弾性素材の壁など)およびそれに関連付けられたリスク評価情報(つまずきやふらつきによる打撲、骨折、切り傷などの重大度、発生頻度、影響度など)が規定されているリスク評価マスターテーブルを予め格納する。リスク評価部419は、図面情報取得部412で取得した建築物の当初の図面情報、および、図面修正部416でカスタマイズした図面情報に基づき、前記リスク評価マスターテーブルを参照して、当初の図面情報における各部材および/または位置のリスク評価と、カスタマイズした図面情報における各部材および/または位置のリスク評価とをそれぞれ求める。また、リスク評価部419は、居住者情報をさらに考慮して、リスク評価(値)を求めることができる。好適には、カスタマイズ前後のリスク評価の差を求め、さらにはこの評価差を表示部に表示する。この評価差によって、ユーザは、リフォームがどれくらいリスク軽減に貢献したのかを容易に把握することが可能となる。表3に、リスク評価マスターテーブルの一例を示す。この表では、居住者情報別のリスク評価情報を示してある。表に示すように、リスク建築物の設計情報別の危険源およびそれに関連付けられたリスク評価情報が規定されている。
居住者が車椅子使用か、歩行困難であるかといった居住者情報によって、同じような危険源から受けるリスクも変動する。本発明によれば、このような居住者の属性情報に基づき、実情に沿ったリスク評価およびリフォーム設計情報を提供することが可能である。また、危険度、自己発生頻度は、大、中、小という3段階で評価してあるが、任意の段階で評価したり、数値で評価したりすることも可能である。簡易的に、大=7、中=5、小=1と規定し、該当する危険源の各数値を合計し、カスタマイズ(リフォーム)前後の合計値で差し引けば、総合的なリスク評価の差異を容易に求めることが可能となる。さらに、歩行困難についても、歩行困難度1−5(1が最も困難、5が軽度の困難)に設定して、各歩行困難度別に危険度や自己発生頻度を設定してもよい。同様に、体重、身長、障害なども体重レベル1−5(1が最も重い、5が最も軽い)、身長レベル1−5(1が最も高い身長、5が最も低い身長)、障害レベル1−5(1が最も重度、5が最も軽度)のように設定し、各レベルに対して危険度や自己発生頻度を設定してもよい。このように居住者情報であるレベルや困難度を細分化することによって、より居住者に適応したリフォーム設計を提供することが可能である。
図7は、図6の建築設計支援システムで実行される処理の一例を示すフローチャートである。図7に示すように、ステップS31では、図面情報取得部412により、対象の建築物の図面情報を取得する。次にステップS32では、リスク評価部419により、取得した図面情報に基づきリスク評価(値)を求める。最後にステップS33にて、求めたリスク評価のすべて、或いはそのうち、規定値以上のリスク評価である部材および/または位置がある場合には、当該リスク評価と共に、当該部材および/または位置を視覚的に強調表示する。規定値はユーザの所望に応じて変動可能であり、規定値を低く設定すれば、リフォームすべき部材や箇所がより増加することになり、逆に、規定値を高く設定すれば、リフォームすべき部材や箇所が限定されることになる。
図10は、図7の処理で生成された、リスク評価と当該部材、位置を視覚的に強調して表示した画面インターフェイス例を示す図である。本実施態様では、ユーザに対して、即座に、自分の家屋の危険な箇所や部材、その位置、さらには、リスク(危険)の程度までを把握させることが可能な画面を提示することが可能となる。図に示すように図面フィールドD1では、カスタマイズ前の現状の建築物、および、当該建築物におけるリスク評価が高い箇所(高リスク評価/危険な箇所)が提示されている。リスク評価フィールドR1には、カスタマイズ前の現状の建築物で求めたリスク評価のうち規定値(基準)以上のものをイタリック体のフォントおよび背景を網かけで表示してある。これを見たユーザは、スムーズにリフォーム発注の意思決定を行うことができるようになる。公的補助フィールドPSは、公的補助が適用可能な部材、位置を知らせるフィールドであり、この例では、浴室、およびその補助金額が記載されている。また、画面フィールドD1の浴室にも「補助」という文字を表示して、ユーザに公的補助が受けられる箇所を容易に理解できるように配慮されている。
図8は、図6の建築設計支援システムで実行される処理の一例を示すフローチャートである。図8に示すように、ステップS41では、図面情報取得部412により、対象の建築物の図面情報を取得する。次にステップS42では、居住者情報取得部414により対象の建築物の居住者情報を取得する。また、建築物の図面情報や居住者情報は、図面入力部420を介して取得してもよい。次にステップS43では、リスク評価部419により、図面情報および居住者情報に基づきリスク評価を求める。即ち、居住者情報であるユーザの属性(病歴、介護状態、障害の程度、使用介護器具など)をも加味したリスク評価を求める。最後にステップS44にて、求めたリスク評価のすべて、或いはそのうち、規定値以上のリスク評価である部材および/または位置がある場合には、当該リスク評価と共に、当該部材および/または位置を視覚的に強調表示する。
図9は、図6の建築設計支援システムで実行される処理の一例を示すフローチャートである。図9のステップS51,52,55は、図8のステップS41−43と同じであり、その他の異なる処理だけ説明する。図9に示すように、ステップS53にて、に示すように、図面修正部416が、居住者情報に対応する設計情報を設計情報記憶部452から抽出する。続いてステップS54にて、抽出した設計情報に基づき、図面情報をカスタマイズする。ステップS55を実行した後でステップS56にて、当所の図面情報とカスタマイズ後の図面情報に基づき、建築物の図面をそれぞれ表示し、さらに、リスク評価(カスタマイズ前後のリスク評価)と共に該当する部材、位置を強調して表示する。
図11は、図10の処理で生成された、カスタマイズ前後のリスク評価と当該部材、位置を視覚的に強調して表示した画面インターフェイス例を示す図である。本実施態様では、ユーザに対して、即座に、現状の自分の家屋の危険な箇所や部材、その位置、さらには、リスク(危険)の程度、リスクの改善度までを把握することが可能な画面を提示することが可能となる。図に示すように図面フィールドD2では、カスタマイズ後の建築物、および、当該建築物におけるリスク評価が高い箇所(高リスク評価/危険な箇所)が提示されている。リスク評価フィールドR2には、カスタマイズ後の建築物で求めたリスク評価のうち規定値(基準)以上のものを表示してある。この図では、カスタマイズ前の図面フィールドD1、リスク評価フィールドR2が一緒に表示されているため、これを見たユーザは、リフォームによるリスクの低減具合を容易に把握して、スムーズにリフォーム発注の意思決定を行うことができるようになる。さらに、見積フィールドE1には、部材別の詳細な工事見積書が表示されている。この見積書もユーザの意思決定を支援する材料となる。なお、部材の価格や施工費用は、工事単価記憶部456を参照して算出したものである。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部、各手段、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
本発明の一実施態様による福祉向け建築設計支援システムの概要を示すブロック図である。 図1の建築設計支援システムで実行される処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の一実施態様による福祉向け建築設計支援システムの概要を示すブロック図である。 本発明の一実施態様による福祉向け建築設計支援システムの概要を示すブロック図である。 図4の建築設計支援システムで実行される処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の一実施態様による福祉向け建築設計支援システムの概要を示すブロック図である。 図6の建築設計支援システムで実行される処理の一例を示すフローチャートである。 図6の建築設計支援システムで実行される処理の一例を示すフローチャートである。 図6の建築設計支援システムで実行される処理の一例を示すフローチャートである。 図7の処理で生成された、リスク評価と当該部材、位置を視覚的に強調して表示した画面インターフェイス例を示す図である。 図10の処理で生成された、カスタマイズ前後のリスク評価と当該部材、位置を視覚的に強調して表示した画面インターフェイス例を示す図である。
100,200,300,400 建築設計支援システム
110,210,310,410 制御部
112,212,312,412 図面情報取得部
114,214,314,414 居住者情報取得部
120,220,320,420 入力部
130,230,330,430 出力部
140,240,340,440 通信部
150,250,350,450 記憶部
152,252,352,452 設計情報記憶部
160,260,360,460 表示部
254,354,454 公的補助情報記憶部
317,417 工事抽出部
318,418 見積生成部
319,419 リスク評価部
356,456 工事単価記憶部
458 リスク記憶部
MS1 携帯電話端末
NET ネットワーク
PC1、2 端末
PDA1 携帯端末
PRN プリンター
D1,D2 図面フィールド
R1,R2 リスク評価フィールド
PS 公的補助フィールド
E1 見積フィールド

Claims (6)

  1. 建築設計支援システムであって、
    建築物の設計情報別の危険源およびそれに関連付けられたリスク評価情報が規定されているリスク評価マスターテーブルを格納するリスク記憶部と、
    居住者情報、およびこれに関連付けられた設計情報を格納する設計情報記憶部と、
    建築物の図面情報を取得する図面情報取得部と、
    前記建築物の居住者情報を取得する居住者情報取得部と、
    前記図面情報取得部で取得した建築物の図面情報、および、居住者情報取得部で取得した前記建築物の居住者情報に基づき、前記リスク評価マスターテーブルを参照して、当初の図面情報における各部材および/または位置のリスク評価を求めるリスク評価部と
    前記居住者情報に対応する設計情報を前記設計情報記憶部から抽出し、該抽出した設計情報に基づき、前記図面情報をカスタマイズする図面修正部と、
    を具え、
    前記リスク評価部が、
    前記図面修正部でカスタマイズした図面情報に基づき、前記リスク評価マスターテーブルを参照して、カスタマイズした図面情報における各部材および/または位置のリスク評価をさらに求め、
    前記建築設計支援システムが、
    前記当初の図面情報およびカスタマイズした図面情報に基づき、前記建築物およびカスタマイズした建築物を2次元的或いは3次元的に表示し、カスタマイズされる前の部材および/または位置、ならびに、カスタマイズされた後の部材および/または位置を強調して表示し、さらに、当初の図面情報における各部材および/または位置のリスク評価と、カスタマイズした図面情報における各部材および/または位置のリスク評価とを表示する、表示部を具える、
    ことを特徴とする建築設計支援システム。
  2. 請求項1に記載の建築設計支援システムにおいて、
    前記リスク評価部が、
    当初の図面情報において求めたリスク評価のうち規定値以上の部材および/または位置を高リスク評価の部材および/または位置として求め、
    前記建築設計支援システムが、
    前記図面情報に基づき、前記建築物を2次元的或いは3次元的に表示し、前記規定値以上のリスク評価である部材および/または位置を視覚的に強調表示する表示部をさらに具える、
    ことを特徴とする建築設計支援システム。
  3. 請求項に記載の建築設計支援システムにおいて、
    前記リスク評価部が、
    カスタマイズした図面情報において求めたリスク評価のうち規定値以上の部材および/または位置を高リスク評価の部材および/または位置として求め、
    前記表示部が、
    前記カスタマイズされた図面情報に基づき、カスタマイズされた建築物を2次元的或いは3次元的に表示し、規定値以上のリスク評価である部材および/または位置を視覚的に強調表示する、
    ことを特徴とする建築設計支援システム。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の建築設計支援システムにおいて、
    前記居住者情報が、
    居住者の要介護認定情報、居住者の身体情報、居住者の病歴、使用介護器具、および居住者の現在の疾病のうちの少なくとも1つを含む、
    ことを特徴とする建築設計支援システム。
  5. 演算処理装置を請求項1〜のいずれか1項に記載の建築設計支援システムとして機能させる建築設計支援プログラム。
  6. 請求項5に記載の建築設計支援プログラムを格納したコンピュータ可読記憶媒体。
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