JP5430789B1 - 両頭平面研削装置及び両頭平面研削装置を用いた研削方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成で、回転砥石の偏摩耗を防止してワーク品質を維持するとともに砥石のコストを削減する。
【解決手段】同一の回転軸心上に対向配置された上側回転砥石1及び下側回転砥石2と、上側回転砥石1と下側回転砥石2との間に挿入されたキャリアプレート3とを備え、キャリアプレート3に保持されたワーク4の両面を上側回転砥石1及び下側回転砥石2により研削する両頭平面研削装置において、上側回転砥石1に一般砥石を、下側回転砥石2に超砥粒砥石を用い、上側回転砥石1を下側回転砥石2よりも摩耗しやすい材質とし、上側回転砥石1の外径を下側回転砥石2の外径よりも小さくした。
【選択図】図1

Description

本発明は、ワークの両端面を同時に平面研削する両頭平面研削装置に関するものである。
従来、ワークの両端面を同時に平面研削するために、図4乃至図6に示すような両頭平面研削装置100が用いられている。図4乃至図6はそれぞれ、従来例に係る両頭平面研削装置100の要部を示す正面図、断面図、平面図である。
両頭平面研削装置100は、上側回転砥石10と下側回転砥石20との間にキャリアプレート3を挿入し、キャリアプレート3に保持されたワーク4の両面を、上側回転砥石10及び下側回転砥石20により研削するものである。
図5に示すように、上側回転砥石10及び下側回転砥石20は、それぞれ上側の台座8及び下側の台座9に取り付けられて、同一の回転軸上に対向配置されている。そして、上側回転砥石10及び下側回転砥石20は、同方向又は逆方向に回転するようになっている。
図6の平面図は、両頭平面研削装置100の上側回転砥石10を除いた部分を示したものである。図6に示すように、両頭平面研削装置100には、モーター等により回転する動力ギア5、動力ギア5に螺合するリングギア6、リングギア6の内側に配置されてリングギア6に螺合する4つのキャリアプレート3、4つのキャリアプレート3に螺合するセンターギア7が設けられている。なお、センターギア7は、回転しないように固定されている。そして、動力ギア5を回転させると、4つのキャリアプレート3が、それ自体回転しながらセンターギア7の周囲を回転移動するようになっている。
4つのキャリアプレート3には、ワークを挿入して保持するためのワーク保持孔3aが形成されている。ワーク保持孔3aは、キャリアプレート3の中心ではなく、偏心した位置に形成されている。
一方、上側回転砥石10及び下側回転砥石20は、平面視ドーナツ状であり、同一の外径及び同一の内径となっている。また、上側回転砥石10及び下側回転砥石20は、同一の材質の砥石として、例えばダイヤモンド砥石が用いられている。
以上の構成により、両頭平面研削装置100は、上側回転砥石10、下側回転砥石20、キャリアプレート3を回転させながら、ワーク4の両面を研削するようになっている。
一方、特許文献1には、回転砥石を半径方向に2分割して、外側を軟らかい砥石とし、内側を硬い砥石とすることにより、砥石の偏摩耗を防止するようにした発明が記載されている。また、特許文献2には、キャリア円板に保持されて砥石車間に挿入されるワークを搖動させながら通過させることで、砥石の偏摩耗を防止するようにした発明が記載されている。
特開2000−52209号公報 特開2009−794号公報
しかしながら、図4乃至図6に示す両頭平面研削装置100においては、研削を行ううちに、図7に示すような下側回転砥石20が偏摩耗するという問題があった。すなわち、下側回転砥石20の外周に近い部分ほど摩耗が激しく、砥石平面度が変化してワーク品質(平面度)を維持することができなくなってしまう。そのため、必要に応じて砥石の平面度を修正する必要があるが、高価なダイヤモンド砥石の平面度を修正すると、その分だけ寿命が短くなりコストアップに繋がる。また、ダイヤモンド砥石を装置に取り付けたままで機上修正することも難しく、砥石の着脱等の煩雑な作業が必要になる。
一方、特許文献1に記載された発明は、回転砥石を半径方向に2分割してそれぞれに異なる材質を用いた特別な砥石を準備する必要がある。また、特許文献2に記載された発明は、ワークを搖動させるための複雑な機構が必要である。従って、いずれもコスト面において問題がある。
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、簡単な構成で、回転砥石の偏摩耗を防止してワーク品質を維持するとともに砥石のコストを削減することが可能な両頭平面研削装置及び両頭平面研削装置を用いた研削方法を提供するものである。
上記課題を解決するため、本発明の両頭平面研削装置は、同一の回転軸心上に対向配置された上側回転砥石及び下側回転砥石と、前記上側回転砥石と前記下側回転砥石との間に挿入されたキャリアプレートとを備え、前記キャリアプレートに保持されたワークの両面を前記上側回転砥石及び前記下側回転砥石により研削する両頭平面研削装置において、前記上側回転砥石を前記下側回転砥石よりも摩耗しやすい材質とし、前記上側回転砥石の外径を前記下側回転砥石の外径よりも小さくするとともに、前記上側回転砥石を一般砥石とし、前記下側回転砥石を超砥粒砥石としたことを特徴とする。
また、本発明の両頭平面研削装置を用いた研削方法は、同一の回転軸心上に対向配置された上側回転砥石及び下側回転砥石と、前記上側回転砥石と前記下側回転砥石との間に挿入されたキャリアプレートとを備え、前記キャリアプレートに保持されたワークの両面を前記上側回転砥石及び前記下側回転砥石により研削する両頭平面研削装置を用いた研削方法において、前記上側回転砥石を前記下側回転砥石よりも摩耗しやすい材質とし、前記上側回転砥石の外径を前記下側回転砥石の外径よりも小さくするとともに、前記上側回転砥石を一般砥石とし、前記下側回転砥石を超砥粒砥石としたことを特徴とする。
なお、上記において、「一般砥石」とは、アルミナ系砥粒、炭化ケイ素系砥粒等を用いた砥石をいう。アルミナ系砥粒には、A砥粒(褐色アルミナ質)、WA砥粒(白色アルミナ質)、PA砥粒(淡紅色アルミナ質)、HA砥粒(解砕形アルミナ質)等があり、炭化ケイ素系砥粒には、C砥粒(黒色炭化ケイ素質)、GC砥粒(緑色炭化ケイ素質)等がある。また「超砥粒砥石」とは、ダイヤモンド、CBN(立方晶窒化ホウ素)等を用いた砥石をいう。
本発明においては、上側回転砥石を下側回転砥石よりも摩耗しやすい材質としているので、上側回転砥石により下側回転砥石の面圧力を吸収させることができる。また、上側回転砥石の外径を下側回転砥石の外径よりも小さくしているので、下側回転砥石にかかる力が中心側に集まるようにすることができる。以上により、下側回転砥石の外周に近い部分が偏摩耗するのを防止し、砥石の平面度を維持することができる。
また、上側回転砥石を一般砥石とし、下側回転砥石を超砥粒砥石とすることにより、特別な砥石を用意する必要がない。
以上、本発明によれば、簡単な構成で、回転砥石の偏摩耗を防止してワーク品質を維持するとともに砥石のコストを削減することが可能な両頭平面研削装置及び両頭平面研削装置を用いた研削方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る両頭平面研削装置の要部を示す断面図である。 図1の部分拡大図である。 (a)上側回転砥石の平面図、(b)下側回転砥石の平面図である。 従来例に係る両頭平面研削装置の要部を示す正面図である。 従来例に係る両頭平面研削装置の要部を示す断面図である。 従来例に係る両頭平面研削装置の要部を示す平面図である。 従来例に係る両頭平面研削装置の偏摩耗状態を示す断面図である。 他の実施形態に係る両頭平面研削装置の要部を示す平面図である。
次に、図1乃至図3を参照して、本発明の実施形態に係る両頭平面研削装置及び両頭平面研削装置を用いた研削方法について説明する。図1は、本実施形態に係る両頭平面研削装置の要部を示す断面図であり、図2は、図1の部分拡大図である。また図3は、上側回転砥石の平面図、(b)下側回転砥石の平面図である。なお、図4乃至図6に示す従来例に係る両頭平面研削装置100と同一の部分については、同一の符号を付し説明を省略する。
図1に示すように、本実施形態に係る両頭平面研削装置は、上側回転砥石1と下側回転砥石2との間にキャリアプレート3を挿入し、キャリアプレート3に保持されたワーク4の両面を、上側回転砥石1及び下側回転砥石2により研削するものである。
上側回転砥石1及び下側回転砥石2は、それぞれ上側の台座8及び下側の台座9に取り付けられて、同一の回転軸上に対向配置されている。そして、上側回転砥石1及び下側回転砥石2は、同方向又は逆方向に回転するようになっている。回転方向は、ワークの種類によって変更可能である。また、上側回転砥石1及び下側回転砥石2は、それぞれ台座8及び台座9に、接着剤で貼り付けられ、さらにボルトで固定されている。
上側回転砥石1と下側回転砥石2は異なる材質であって、上側回転砥石1の方が下側回転砥石2よりも摩耗しやすい材質となっている。具体的には、上側回転砥石1が一般砥石であり、下側回転砥石2が超砥粒砥石となっている。
ここで、「一般砥石」とは、アルミナ系砥粒、炭化ケイ素系砥粒等を用いた砥石をいう。アルミナ系砥粒には、A砥粒(褐色アルミナ質)、WA砥粒(白色アルミナ質)、PA砥粒(淡紅色アルミナ質)、HA砥粒(解砕形アルミナ質)等があり、炭化ケイ素系砥粒には、C砥粒(黒色炭化ケイ素質)、GC砥粒(緑色炭化ケイ素質)等がある。また「超砥粒砥石」とは、ダイヤモンド、CBN(立方晶窒化ホウ素)等を用いた砥石をいう。
なお、上側回転砥石1及び下側回転砥石2の、番手、結合度、集中度等は、ワーク材質により選定する。
一方、上側回転砥石1及び下側回転砥石2は、どちらも平面視ドーナツ状であるが、図3に示すように、外径が異なっている。上側回転砥石1の外径Lと下側回転砥石の外径Lを比較すると、L<Lとなっている。なお、上側回転砥石1の内径Mと下側回転砥石2の内径Mは等しくなっている。従って、図2に示すように、外周部において、上側回転砥石1と下側回転砥石2との間に、S=(L−L)/2の差が生じている。
以上の構成の両頭平面研削装置により、上側回転砥石1と下側回転砥石2との間にキャリアプレート3を挿入し、キャリアプレート3に保持されたワーク4の両面を、上側回転砥石1及び下側回転砥石2により研削する。なお、キャリアプレート3のワーク保持孔3aが、キャリアプレート3の中心ではなく偏心した位置に形成されているので、ワーク4はキャリアプレート3に保持されて回転しながら、上側回転砥石1及び下側回転砥石2の全面によって研削される。
このとき、上側回転砥石1を一般砥石とし、下側回転砥石2を超砥粒砥石とすることにより、上側回転砥石1が下側回転砥石2よりも摩耗しやすく、上側回転砥石1が下側回転砥石2の面圧力を吸収する。また、上側回転砥石1の外径Lを下側回転砥石2の外径Lよりも小さくすることにより、下側回転砥石2にかかる力が中心側に集まるようになる。そして、下側回転砥石2の外周に近い部分が偏摩耗するのが防止される。従って、高価なダイヤモンド砥石の寿命を延ばすことができコストを削減することができる。また、ダイヤモンド砥石の修正のために行う着脱等の煩雑な作業の頻度も減らすことができる。
以下の実施例と比較例について、所定のワーク品質(平面度)を維持しながら多数のワーク研削を行い、下側回転砥石2の1枚当たりの研削数量を、下側回転砥石2の寿命として求めた。なお、下側回転砥石2に偏摩耗が生じなければ、平面度の修正が不要となるため研削可能なワーク数量は多くなり寿命が長くなる。一方で、下側回転砥石2に偏摩耗が生じると、平面度の修正が必要となりその分だけ寿命が短くなる。
(実施例)
上側回転砥石1として一般砥石(WA砥粒)、下側回転砥石2として超砥粒砥石(ダイヤモンド)を用い、上側回転砥石1の外径L=430mm、下側回転砥石2の外径L=450mmとした(S=10mm)。
(比較例)
上側回転砥石1及び下側回転砥石2として超砥粒砥石(ダイヤモンド)を用い、上側回転砥石1の外径L=下側回転砥石2の外径L=450mmとした(S=0mm)。
実施例における下側回転砥石2の1枚当たりの研削数量は、約35,000個であった。一方、比較例における下側回転砥石2の1枚当たりの研削数量は、約15,000個であった。従って、実施例の方が比較例よりも、2倍以上に寿命を延ばすことができた。
本実施形態に係る両頭平面研削装置及び両頭平面研削装置を用いた研削方法においては、上側回転砥石1を下側回転砥石2よりも摩耗しやすい材質としているので、上側回転砥石1により下側回転砥石2の面圧力を吸収させることができる。また、上側回転砥石1の外径Lを下側回転砥石2の外径Lよりも小さくしているので、下側回転砥石2にかかる力が中心側に集まるようにすることができる。以上により、下側回転砥石2の外周に近い部分が偏摩耗するのを防止し、砥石の平面度を維持することができる。
また、上側回転砥石1を一般砥石とし、下側回転砥石2を超砥粒砥石とすることにより、特別な砥石を用意する必要がない。
以上、本実施形態に係る両頭平面研削装置及び両頭平面研削装置を用いた研削方法によれば、簡単な構成で、回転砥石の偏摩耗を防止してワーク品質を維持するとともに砥石のコストを削減することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、図8に示す他の実施形態に係る両頭平面研削装置においても適用することができる。図8に示す両頭平面研削装置は、上側回転砥石30と下側回転砥石40との間に、回転軸の異なるキャリアプレート50の一部を挿入し、キャリアプレート50を回転させてワーク挿入孔50aに保持したワークを次々に研削していくものである。
また、上側回転砥石1を下側回転砥石2よりも摩耗しやすい材質とするために、上側回転砥石1を一般砥石とし、下側回転砥石2を超砥粒砥石としたが、このような区分でなくても、摩耗のしやすさが異なるような材質の砥石を使い分けることができる。
1 上側回転砥石
2 下側回転砥石
3 キャリアプレート
3a ワーク挿入孔
4 ワーク
5 動力ギア
6 リングギア
7 センターギア
8 台金
9 台金
10 上側回転砥石
20 下側回転砥石
30 上側回転砥石
40 下側回転砥石
50 キャリアプレート
50a ワーク挿入孔
100 両頭平面研削装置

Claims (2)

  1. 同一の回転軸心上に対向配置された上側回転砥石及び下側回転砥石と、前記上側回転砥石と前記下側回転砥石との間に挿入されたキャリアプレートとを備え、前記キャリアプレートに保持されたワークの両面を前記上側回転砥石及び前記下側回転砥石により研削する両頭平面研削装置において、
    前記上側回転砥石を前記下側回転砥石よりも摩耗しやすい材質とし、
    前記上側回転砥石の外径を前記下側回転砥石の外径よりも小さくするとともに、
    前記上側回転砥石を一般砥石とし、前記下側回転砥石を超砥粒砥石としたことを特徴とする両頭平面研削装置。
  2. 同一の回転軸心上に対向配置された上側回転砥石及び下側回転砥石と、前記上側回転砥石と前記下側回転砥石との間に挿入されたキャリアプレートとを備え、前記キャリアプレートに保持されたワークの両面を前記上側回転砥石及び前記下側回転砥石により研削する両頭平面研削装置を用いた研削方法において、
    前記上側回転砥石を前記下側回転砥石よりも摩耗しやすい材質とし、
    前記上側回転砥石の外径を前記下側回転砥石の外径よりも小さくするとともに、
    前記上側回転砥石を一般砥石とし、前記下側回転砥石を超砥粒砥石としたことを特徴と
    する両頭平面研削装置を用いた研削方法。
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