JP5430343B2 - 打ち抜き加工装置および打ち抜き加工方法 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、打ち抜き穴からスクラップを排出できる打ち抜き加工装置および打ち抜き加工方法を提供することにある。
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の打ち抜き加工装置の側面図、図2は実施例1の打ち抜き加工装置の断面図、図3はワークの斜視図である。
実施例1の打ち抜き加工装置は、平板状のワークAを挟んで上下に配置された第1ローラ1と第2ローラ2を備える。実施例1では、ワークAとして、排気ガス浄化用のメタル担体触媒の金属箔、例えば、厚さが20〜30μmのステンレスを用いている。
第1ローラ1の外周1bには、ワークAの打ち抜き用の雄型となる複数の打ち抜き刃3が放射状に突出している。打ち抜き刃3は、周方向に60°ピッチで6個並んだものが軸方向に10列配置されている。1つの列の打ち抜き刃3は、隣接する列の打ち抜き刃3に対し、周方向位置が30°ずれている。打ち抜き刃3は、平面視円形状に形成されている。
リング8は、第2ローラ2の内周2cの径よりも小径の外周8aを有する環状に形成されている。リング8は、打ち抜き穴6の列数(10)に応じて第2ローラ2の軸方向に10分割されている。リング8は、排出ピン7が第2ローラ2から受ける力で排出ピン7を第2ローラ2に対して偏心回転させ、排出ピン7の先端7bを打ち抜き穴6から出入りさせる偏心回転機構である。
回転位置規定部材9は、リング8の内周8bの最下点でリング8と圧接している。このため、リング8は、上下および左右方向の移動を規制され、回転運動のみを行うこととなる。そして、リング8の回転中心O3は、図1において、第2ローラ2の回転中心O2を原点とし、水平方向(左右方向)に横軸x(図1の右側を正とする。)、垂直方向(上下方向)に縦軸y(図1の上方を正とする。)を取ったとき、第2ローラ2の回転中心O2よりも-y方向にΔLだけ偏心した位置となる。
ここで、第2ローラ2の内径およびリング8の外径は、打ち抜き穴6が上死点にあるとき打ち抜き刃3と接触しない位置まで排出ピン7が径方向内側に移動し、かつ、打ち抜き穴6が下死点にあるとき第2ローラ2の外周2bから排出ピン7の先端7bが充分に突出するような偏心量ΔLが得られるように適宜設計されている。
[打ち抜き加工作用]
図1において、図外の電動モータを駆動すると、両ローラ1,2は互いに逆方向に同一速度で回転する。両ローラ1,2間にワークAを送り込むと、両ローラ1,2に挟まれたワークAは、両ローラ1,2の外周1b,2bの周速と同一速度で移送方向に送り出される。ワークAが両ローラ1,2間を通過する際、第1ローラ1の打ち抜き刃3が第2ローラ2の打ち抜き穴6に進入することでワークAの一部が打ち抜き刃3および打ち抜き穴6の形状に対応した円形状に切り抜かれ、図3に示すような千鳥状に並ぶ開口部12を有する金属箔が得られる。
実施例1の打ち抜き加工装置では、第2ローラ2が回転すると、第2ローラ2の各打ち抜き穴6内に配置された排出ピン7が打ち抜き穴6の内周面から周方向の力を受け、第2ローラ2と同一方向に回転する。このとき、排出ピン7は、第2ローラ2の回転中心O2に対して下方(-y方向)にΔLだけ偏心した回転中心O3周りに回転する。
つまり、排出ピン7は、対応する打ち抜き穴6が一回転する間に、打ち抜き穴6内をΔLの範囲で往復運動する。このとき、O3はO2に対して下方(-y方向)に偏心しているため、排出ピン7の先端7bは、対応する打ち抜き穴6が下死点にあるとき第2ローラ2の外周2bからの突出量が最大となり、上死点にあるとき外周2bへの埋没量が最大となる。
さらに、回転位置規定部材9は、ベアリング10a,10bを介して軸部材11に支持したため、リング8が回転したとき、リング8の内周8bと転がり接触する。よって、両者の摺動摩擦を最小限に抑えることができ、摩耗を抑制できる。
(1) 打ち抜き加工装置は、打ち抜き穴6に配置した排出ピン7と、第2ローラ2の内側で排出ピン7の基端7aを支持し、排出ピン7が第2ローラ2から受ける力で排出ピン7を第2ローラ2に対して偏心回転させ、排出ピン7の先端7bを打ち抜き穴6から出入りさせる偏心回転機構(リング8)を備える。これにより、打ち抜き穴6に留まるスクラップBを排出ピン7により打ち抜き穴6の外に排出できる。
(2) 偏心回転機構を、排出ピン7の基端7aを支持し、第2ローラ2の内径よりも小さな外径を有するリング8としたため、簡単な構成で排出ピン7の往復運動を実現でき、作動不良が発生しにくく、生産性の向上を図ることができる。また、排出ピン7の往復運動を第2ローラ2の回転運動と同期させることができるため、高速成形に対する追従性を高め、生産性の向上を図ることができる。
(4) 回転位置規定部材9を回動自在に支持する軸部材11を設けたため、リング8の内周8bと回転位置規定部材9とを転がり接触させ、摺動摩擦を最小限に抑えることができる。よって、摩耗を抑制でき、耐久性の向上を図ることができる。
(5) リング8を第2ローラ2の軸方向に10分割したため、打ち抜き穴6の位相ずれに伴う排出ピン7の変形や破損を防止できる。また、打ち抜き穴6の配置変更に対して簡単に対応可能となる。
(7) 打ち抜き穴6に排出ピン7を配置し、この排出ピン7が第2ローラ2から受ける力で排出ピン7を第2ローラ2に対して偏心回転させ、排出ピン7の先端7bを打ち抜き穴6から出入りさせる。これにより、打ち抜き穴6に留まるスクラップBを排出ピン7により打ち抜き穴6の外に排出できる。
以下、実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施例1では、第1ローラ1と第2ローラ2を上下に並べて配置した例を示したが、図4に示すように、第1ローラ1と第2ローラ2の軸方向を重力方向に左右に並べて配置してもよい。この場合、リング8と圧接する回転位置規定部材9を、第3象限(例えば、打ち抜き刃3が対応する打ち抜き穴6内に最も進入する位置から225°進んだ位置)に配置し、第3象限のみ排出ピン7の先端7bが打ち抜き穴6から突出するように第2ローラ2の回転中心O2に対するリングO3の偏心量ΔLを設定する。これにより、打ち抜き穴6から飛び出したスクラップBがワークAに付着するのを抑制できる。
また、実施例では、打ち抜き刃3は、周方向に60°ピッチで6個並んだものが軸方向に10列配置されているものとしたが、打ち抜き刃3および打ち抜き孔6の個数、ピッチは、必要に応じて増減することは可能である。
B スクラップ
1 第1ローラ
2 第2ローラ
3 打ち抜き刃
6 打ち抜き穴
7 排出ピン
8 リング(偏心回転機構)
9 回転位置規定部材
Claims (5)
- 外周に打ち抜き刃を有する第1ローラと外周に前記打ち抜き刃と対応する打ち抜き穴を有する第2ローラとを備え、互いに逆方向に同一周速度で回転する両ローラ間に平板状のワークを通過させて打ち抜き加工を行う打ち抜き加工装置において、
前記第2ローラを円筒状として前記打ち抜き穴を貫通穴とし、
前記打ち抜き穴に配置した排出ピンと、
前記第2ローラの内側で前記排出ピンの基端を支持し、前記排出ピンが第2ローラから受ける力で排出ピンを第2ローラに対して偏心回転させ、排出ピンの先端を打ち抜き穴から出入りさせる偏心回転機構と、
を設け、
前記偏心回転機構を、前記第2ローラの内径よりも小さな外径を有する環状部材とし、
前記環状部材を、前記第2ローラの軸方向に分割したことを特徴とする打ち抜き加工装置。 - 請求項1に記載の打ち抜き加工装置において、
前記偏心回転機構の回転位置を規制する回転可能な回転位置規定部材を設けたことを特徴とする打ち抜き加工装置。 - 請求項2に記載の打ち抜き加工装置において、
前記回転位置規定部材を回動自在に支持する軸部材を設けたことを特徴とする打ち抜き加工装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の打ち抜き加工装置において、
前記偏心回転機構は、前記第2ローラの周方向位置であって、前記打ち抜き刃が前記打ち抜き穴に最も進入する打ち抜き位置に対して前記第2ローラが180°回転した位置で、前記排出ピンの先端の打ち抜き穴からの突出量を最大とすることを特徴とする打ち抜き加工装置。 - 外周に打ち抜き刃を有する第1ローラと外周に前記打ち抜き刃と対応する打ち抜き穴を有する第2ローラとを互いに逆方向の同一角速度で回転させつつ、両ローラ間に平板状のワークを通過させて打ち抜き加工を行う打ち抜き加工方法において、
前記打ち抜き穴に排出ピンを配置すると共に、前記第2ローラの内側に排出ピンの基端を支持し、第2ローラと異なる円心を有する偏心回転機構を配置し、排出ピンが第2ローラから受ける力で偏心回転機構が第2ローラに対して偏心回転することにより、排出ピンを第2ローラの回転運動と同期して往復運動させ、排出ピンの先端を打ち抜き穴から出入りさせ、
前記偏心回転機構を、前記排出ピンの基端を支持し、前記第2ローラの内径よりも小さな外径を有する環状部材とし、前記環状部材を、前記第2ローラの軸方向に分割したことを特徴とする打ち抜き加工方法。
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