以下、図面を参照して本発明におけるインクジェット記録システムの実施の形態を説明する。なお、本発明は以下の図示例に限定されるものではない。
はじめに図1で示される本発明のインクジェット記録システムの第一の実施形態について説明する。本実施例では、複数のインクジェット記録装置が無線によって接続される形態を示す。
図1では本実施例のインクジェット記録システムにおいて、他のインクジェット記録装置の印字動作を制御するマスタとして動作するインクジェット記録装置100(以下に、マスタIJP(Ink Jet Printer)100という)と、マスタIJP100で制御されスレーブとして動作するインクジェット記録装置200(以下に、スレーブIJP200という)の全体構成を示す。
マスタIJP100には、被印字物50に印字をする際にインクが噴出される印字ヘッド11と、被印字物50を検知するための被印字物センサ12が備えられている。また、マスタIJP100と対向する位置には、スレーブIJP200が配置されている。スレーブIJP200には被印字物50に印字をする際にインクが噴出される印字ヘッド21が備えられている。
本実施形態では、コンベア40の左右にマスタIJP100とスレーブIJP200が設置され、コンベア40で搬送される被印字物50の側面に印字が行われるように各インクジェット記録装置の印字ヘッドが設置されている。
マスタIJP100に接続された被印字物センサ12により、コンベア40で搬送される被印字物50が検知されると、マスタIJP100では印字を行うための処理が開始されるとともに、スレーブIJP200の印字開始のトリガとなる印字開始指示信号60を無線で直接スレーブIJP200に送信される。スレーブIJP200に前記印字開始指示信号60が受信されると印字を行うための処理が開始される。
次に、本実施例におけるマスタIJP100の構成及び動作について図3を用いて説明する。図3はマスタIJP100の構成例を示したブロック図である。本実施例において、マスタIJP100とスレーブIJP200は同様の構成をとるものであるため、ここではマスタIJP100についてのみ説明する。
マスタIJP100にはマスタIJP100全体の制御を行う制御装置101が備えられ、制御装置101はCPU(Central Processing Unit)などから構成される。制御装置101はバスを介してプログラム格納装置102、メモリ103、表示装置104、タッチパネル105、操作装置106、被印字物検知装置108、偏向電圧発生装置110、帯電電圧発生装置111、励振電圧発生装置112、無線通信装置113、圧力検出装置117、温度検出装置118、インク供給ポンプ121、インク回収ポンプ129と接続されている。
制御装置101において実行されるプログラムや、マスタIJP100を動作させるために必要なデータ及び表示用データは、プログラム格納装置102にあらかじめ記憶されている。
そして、制御装置101により呼び出されたプログラム格納装置102に記憶されているプログラムは、メモリ103のプログラム実行領域で実行される。また、メモリ103にはデータ記憶領域があり、データ記憶領域では使用者が登録した印字内容に関する情報が記憶される。
表示装置104はプログラム格納装置102に記憶された表示用データを表示形式に変換して表示する装置である。使用者は表示装置104に表示された画面により、マスタIJP100の稼動情報などを認識する。
表示装置104には、タッチパネル105が重ねて設置されており、使用者がその表面にタッチした時、タッチした位置に対応した電圧値が出力される。この電圧値は制御装置101で読み取られて、タッチされた位置座標が検出される。よって使用者がタッチパネル105を介して表示装置104に表示されたアイコンやボタンにタッチすることにより、制御装置101でタッチした位置座標により使用者の入力が判定され、対応したプログラムがプログラム格納装置102より呼び出されて実行される。
操作装置106は使用者がマスタIJP100を操作する際に使用される操作部分であり、マスタIJP100の電源のオン/オフを切り替える電源ボタン107から構成される。図3に示す本ブロック図では操作装置として電源ボタンのみを示しているが、これはボタンの数を限定するものではない。また必要に応じて数字や文字を入力するためのキーボードや10キーを搭載することも可能である。
つづいて印字動作について図3に示すブロック図を用いて説明する。被印字物137はコンベア136により所定の速度で搬送される。コンベア136の周辺には、被印字物センサが備えられており、被印字物センサ134で前記コンベア136で搬送される被印字物137が検知される。被印字物検知センサ134は被印字物検知装置108と接続されており、また被印字物検知装置108はセレクタ109を介して制御装置101と接続されている。セレクタ109はマスタかスレーブに設定されるインクジェット記録装置の設定状況に応じて、被印字物検知装置108から送信される被印字物検知信号と無線通信装置113から送信される印字開始指示信号60の何れかが制御装置101に送信されるようにする装置である。
被印字物センサ134で被印字物137が検知されると、被印字物検知装置108に被印字物検知信号が送信される。被印字物検知装置108ではセレクタ109に被印字物検知信号が送信され、セレクタ109により被印字物検知信号が制御装置101へと送信される。制御装置101では被印字物検知信号が受信されると、被印字物137への印字を行うための制御が開始される。
制御装置101にはインク供給ポンプ121が接続され、またインク供給ポンプ121にはインクタンク119が接続されている。制御装置101からの制御によってインク供給ポンプ121が駆動されると、インクタンク119内のインク120がインク供給用配管122を通りノズル123に供給される。
インク供給ポンプ121とノズル123の間のインク供給用配管122には、インク供給用配管122の圧力を調整し、ノズル123に一定の圧力でインクを供給するための減圧弁132が設けられている。また、インク供給用配管122には、供給されるインク圧力を計測するための圧力センサ133が設けられている。圧力センサ133は圧力検出装置117に接続されており、また、圧力検出装置117は制御装置101に接続されている。圧力センサ133で計測されるインク圧力は圧力検出装置117に送信され、更に圧力検出装置117から制御装置101に送信される。温度センサ134は周囲の温度を計測する装置である。計測された周囲温度は温度検出装置118に送信され、更に温度検出装置118から制御装置101に送信される。
ノズル123はインクタンク119により供給されるインク120を噴出する装置であり、ノズル123には電気的信号を機械的信号に変換する圧電素子124が取り付けられている。そして、圧電素子124には励振電圧発生装置112が接続されている。制御装置101により、励振電圧発生装置112が制御されて、励振電圧信号が圧電素子124に印加されると、インク120が粒子化されてインク粒子125となり、ノズル123から噴出される。
噴出されるインク粒子125の飛翔経路中には、コの字状の帯電電極126が設置されている。帯電電極126は帯電電圧発生装置111と接続されており、帯電電圧発生装置111は制御装置101と接続されている。制御装置101により帯電電圧発生装置111が制御されて、印字する文字情報に対応する帯電電圧がインク粒子125に印加される。更に、噴出されるインク粒子125の飛翔経路中には、偏向電極127が設置されている。偏向電極127は偏向電圧発生装置110と接続されており、偏向電圧発生装置110は制御装置101と接続されている。制御装置101により偏向電圧発生装置110が制御されて、帯電されたインク粒子125に偏向電圧が印加される。インク粒子125は偏向電圧により形成された偏向電界を通過する際に帯電量に応じて偏向され、偏向されたインク粒子125は被印字物137に印字される。このとき、印字に使用されないインク粒子125をインク回収口128で回収される。
インク回収口128はインク回収ポンプ129と接続されており、インク回収ポンプ129は制御装置101と接続されている。制御装置101の制御によりインク回収ポンプ129が駆動されると、回収されたインク粒子125はインク回収用配管130を通り、インクタンク119に戻されて再び印字に利用される。
次にマスタIJP100に備えられる通信装置について図3のブロック図を用いて説明する。マスタIJP100には無線通信装置113が備えられており、無線通信装置113は制御装置101に接続されている。無線通信装置113は通信制御装置114、無線装置115、アンテナ116とから構成される。通信制御装置114は制御装置101と無線装置115の間において、本発明におけるマスタIJP100で使用される無線通信規格で規定されるデータの送受信を行う装置である。無線装置115は通信制御装置114から送られたデータ、あるいは、通信制御装置114へ送られるデータが変復調される装置である。送信時には通信制御装置114から送られるデータが変調され、送信周波数帯に変換されてアンテナ116に送られ、受信時にはアンテナ116で受信された信号が復調され、データに変換されて通信制御装置114に送られる。アンテナ116はマスタIJP100と無線通信経路となる空間のインターフェースとなる装置であり、送信時には無線装置115から送られる電気信号が電波として空間中に放出され、受信時には空間中の電波が吸収され、電気信号として無線装置115に送られる。
次に、マスタIJPとスレーブIJPが同期を取って印字を行う方法について図4、図5を用いて説明する。図4にインクジェット記録装置の機器モードを設定するための環境設定画面の例を、図5にインクジェット記録装置が無線接続を行うための接続先機器設定画面の例を示す。
マスタIJP100の使用者はマスタIJP100を操作し、表示装置104に図4に示す環境設定画面400を表示する。使用者は表示画面104に表示された環境設定画面400から、操作しているインクジェット記録装置をマスタにするかスレーブにするかを「0:マスタ」「1:スレーブ」により選択する。マスタIJP100では、この環境設定画面400でマスタが選択されている。
マスタIJP100には、制御装置101の内部に機器モードに関する情報を保持するメモリ101aが備えられており、マスタとして動作するかスレーブとして動作するかの情報が保持されている。制御装置101で機器モードメモリ101aの情報が参照され、マスタとして動作するか、スレーブとして動作するかが判定される。
次にマスタIJP100の使用者は無線機能を使用可能とするために、図4に示す環境設定画面400で「無線オン」を実行する。「無線オン」が実行されるとマスタIJP100において、無線通信装置113の機能が使用可能になる。
使用者がマスタIJP100と接続する他のインクジェット記録装置を選択するためには、図4に示す環境設定画面400で「探索」を実行する。このとき、マスタIJP100またはスレーブIJP200のいずれに設定されている場合であっても、「探索」を実行することは可能である。マスタIJP100により、近隣にある他のインクジェット記録装置が探索され、図5に示す接続先機器設定画面500により、接続可能であるインクジェット記録装置の名称と機器モードの一覧が表示される。
例えば、図5はマスタIJP100の周辺で、IJP1(機器モード:スレーブ)、IJP2(機器モード:スレーブ)、IJP3(機器モード:マスタ)という名称の3台のインクジェット記録装置とAP1という名称の無線中継装置が見つかった場合を示す。ここでインクジェット記録装置の名称はそれぞれのインクジェット記録装置を識別するために使用者により登録されるものであり、使用者が表示装置104に登録画面を表示し、タッチパネル105から名称を入力することにより登録される。入力された名称は制御装置101により、メモリ103のデータ記憶領域に保存される。
マスタIJP100の使用者が図5に示す接続先機器設定画面500より接続する機器を選択し、「接続」を実行すると、マスタIJP100において選択された機器との接続処理が実施される。このとき、マスタIJP100として運転している場合であっても、スレーブIJP200として運転している場合であっても、「接続」を実行することが可能である。接続処理が完了すると選択したインクジェット記録装置間で無線通信を行うことが可能となる。
つづいて、図10、図11を用いて、マスタIJPとスレーブIJPが動作の同期をとって、印字を行う時の動作例を説明する。
はじめに、マスタIJPに設定されたインクジェット記録装置において、マスタIJPとスレーブIJPとが同期をとって印字を行う時の動作を図10を用いて説明する。
インクジェット記録装置の使用者により表示装置104に環境設定画面400が表示されると処理が開始される(ステップS1001)。環境設定画面400で使用者によりインクジェット記録装置をマスタにすることが選択されると、インクジェット記録装置の機器モードメモリ101aにマスタIJP100として登録される(ステップS1002)。
使用者により接続先機器設定画面500が表示され、接続先機器との接続処理が実施されると、マスタIJP100がスレーブIJP200と無線通信で接続される状態となる(ステップS1003)。
使用者がタッチパネル105を介して、表示装置104に表示された「インク噴出」のアイコンにタッチすると、マスタIJP10及びスレーブIJP20でインク噴出が開始され、印字の準備が完了する(ステップS1004)。
印字の準備が完了したのち、使用者はコンベア136の起動ボタン(図示せず)を押し、コンベアを起動させる(ステップS1005)。コンベアが起動すると、コンベア136上の被印字物137がライン上を流れるようになる。
コンベア136で搬送される被印字物137が被印字物センサ134により検知されると、被印字物センサ134により被印字物検知信号が被印字物検知装置108に送信される。被印字物検知装置108では、被印字物検知信号がセレクタ109を介して制御装置101に送信され、制御装置101で被印字物検知信号が受信される(ステップS1006)。
制御装置101で被印字物検知信号が受信されると、被印字物137への印字を行うための処理が開始される。また、制御装置101により、前記被印字物検知信号が無線通信装置113に送信される。無線通信装置113では被印字物検知信号が受信されると、無線通信装置113により印字開始指示信号60がスレーブIJP200に送信される。これよりスレーブIJP200で印字開始指示信号60が受信されると印字処理が開始される(ステップS1007)。
マスタIJP100で印字が行われる(ステップS1008)。
スレーブIJP200で印字動作が終了すると、スレーブIJP200から印字完了信号が送信され、マスタIJP100の無線通信装置113で印字完了信号が受信される。無線通信装置113により印字完了信号が制御装置101で受信される(ステップS1009)。
マスタIJP100の制御装置101が印字完了信号を受け取ると1回の印字処理が完了する。使用者が印字を終了することを選択すると、印字処理が終了される(ステップS1010)。使用者が印字を継続することを選択すると、処理はステップS1006に移行し、以後ステップS1006から処理が繰り返される。
ここでマスタIJP100が送信する印字開始指示信号60は、リアルタイム性が要求されるため、誤り検出コードのチェックによる再送信要求のないものとする。
再送信要求とは、送信側で、送信するデータに対してある演算を実施したもの(誤り検出コードと称す)を送信するデータに付加して送信し、受信側で、受信したデータより、誤り検出コードを再計算することにより、受信したデータが正しいかどうか判定し、正しくない場合には、送信側にデータの再送信を要求する方式である。
また誤り検出コードのチェックによる再送信要求を行わない場合、通信経路でデータの誤りが発生した場合、受信側で誤ったデータを受信してしまうため、印字開始指示信号60は誤り訂正が可能なものとする。
誤り訂正とは、送信するデータに通信経路でデータの誤りが発生した場合にも受信側でデータの誤りを修復できるように、あらかじめ送信するデータに誤り訂正用の情報を付加しておく方式である。例えば、1ビットのデータを送信する際に送信側から同じデータを3ビット送信しておき、受信側で受信した3ビットのデータから多数決により1ビットのデータを検出することにより、3ビットのうち1ビットにデータの誤りが発生した場合でも、受信側では残りの2ビットから正しいデータを検出することが可能である。
次に、スレーブIJPに設定されたインクジェット記録装置において、マスタIJPと同期がとられて印字が行われる時の動作を図11を用いて説明する。
インクジェット記録装置の使用者により表示装置104に環境設定画面400が表示されると処理が開始される(ステップS1101)。環境設定画面400で使用者によりインクジェット記録装置をスレーブにすることが選択されると、インクジェット記録装置の機器モードメモリ101aにスレーブIJP200として登録される(ステップS1102)。
使用者により接続先機器設定画面500が表示され、接続先機器との接続処理が実施されると、スレーブIJP200がマスタIJP100と無線通信で接続される状態となる(ステップS1103)。
使用者がタッチパネル105を介して、表示装置104に表示された「インク噴出」のアイコンにタッチすると、スレーブIJP20及びマスタIJP10でインク噴出が開始され、印字の準備が完了する(ステップS1104)。
印字の準備が完了したのち、使用者はコンベア136の起動ボタン(図示せず)を押し、コンベアを起動させる(ステップS1105)。コンベアが起動すると、コンベア136上の被印字物137がライン上を流れるようになる。
スレーブIJP200では、マスタIJP100から送信された印字開始指示信号60を受信すると、無線通信装置113により印字開始指示信号60がセレクタ109を介して制御装置101へ送信される。制御装置101で印字開始指示信号60が受信されると、被印字物137への印字を行うための処理が開始される(ステップS1106)。
スレーブIJP200において、被印字物137に対し印字が行われる(ステップS1107)。
スレーブIJP200で印字動作が終了すると、制御装置101により印字完了信号が無線通信装置113に送信される。無線通信装置113ではマスタIJP100が印字完了信号を受信可能かどうか確認するためにマスタIJP100に送信要求信号が送信される。マスタIJP100でスレーブIJP200から送信された送信要求信号を受信されると、マスタIJP100がスレーブIJP200からの送信データを受信可能な場合は、無線通信装置113から送信可能信号がスレーブIJP200に送信される。
マスタIJP10が別の処理を実施しているなどの理由で、スレーブ20から送信された送信データを受信できない場合は、マスタIJP10は、実施している処理が終了し、受信可能な状態となった後、無線通信装置113から送信可能信号をスレーブIJP20に送信する。
スレーブIJP200でマスタIJP100から送信された送信可能信号が受されると、無線通信装置113から印字完了信号がマスタIJP100に送信されて(ステップS1108)、一回の印字処理が完了する。
使用者がマスタIJP100において印字を終了することを選択すると、印字処理が終了される(ステップS1110)。使用者がマスタIJP100において、印字を継続することを選択すると、処理はステップS1106に移行し、以後ステップS1106から処理が繰り返される。
印字動作の同期については以下に説明するように設定される。マスタIJP100において、被印字物センサ135により被印字物が検知された時刻をa0、被印字物センサ135から送信された被印字物検知信号が制御装置101で受信された時刻をa1、制御装置101により印字動作の処理が開始され、被印字物137への印字処理が完了された時刻をa2とする。マスタIJP100ではa0、a1、a2の時刻がメモリ103に記録されるようになっている。
また、スレーブIJP200において、マスタIJP100により送信された印字開始指示信号60が制御装置101に受信された時刻をb1とし、制御装置101により印字動作の処理が開始され、被印字物137へ印字処理が完了された時刻をb2とする。スレーブIJP200ではb1、b2の時刻がメモリ103に記録されるようになっている。
使用者はマスタIJP100においてa1からa2の印字処理時間Aを設定することができ、またスレーブIJP200においてはb1からb2の印字処理時間Bを設定することができる。これより、インクジェット記録装置間で連動される印字動作の動作設定することができる。
さらに、スレーブIJP200で印字完了信号がマスタIJP100に送信される際には、スレーブIJP200の時刻b1、b2の情報もマスタIJP100に送信されるようになっている。これにより、たとえば同じタイミングでマスタIJP100とスレーブIJP200で印字されるように設定する場合は、マスタIJP100でマスタIJP100の印字完了時刻a2とスレーブIJP200の印字完了時刻b2が比較されるようになっており、同期が正常になされているかを判別することができる。時刻a2と時刻b2にずれが生じている場合には、印字動作が停止されるように設定することができ、非同期状態で起こる誤った印字動作が継続されるのを防止することができる。
マスタIJP100とスレーブIJP200でタイミングをずらして印字を行う場合には、予めマスタIJP100に、正常に同期されているときのマスタIJP100の印字完了時刻a2とスレーブIJP200の印字完了時刻b2の差分時間を記憶させておき、実際の時刻a2とb2の差分時間と比較が行われることで、同期が正常になされているか確認することができる。
このときも、差分時間に誤差が生じている場合には、印字動作が停止されるように設定することができ、非同期状態で起こる誤った印字動作が継続されるのを防止することができる。
次にマスタIJPでスレーブIJPの印字内容を切り替る方法について図6、7を用いて説明する。図6にインクジェット記録装置の印字内容の切り替えを行うための印字内容設定画面の例を示す。図7に図6で入力した印字内容に対する印字仕様の設定を行うための印字仕様設定画面の例を示す。
マスタIJP100でスレーブIJP200の印字内容を切り替える方法には、(1)あらかじめスレーブIJP200のメモリ103のデータ記憶領域に登録してある印字内容を呼び出す場合、(2)マスタIJP100で作成した印字内容をスレーブIJP200に送信する場合がある。
まずはじめに、図6を用いて、あらかじめスレーブIJP200のメモリ103のデータ記憶領域に登録してある印字内容を呼び出す場合について説明する。
マスタIJP100で、スレーブIJP200と無線通信を行うための接続処理が完了した状態において、使用者はマスタIJP100を操作し、表示装置104に図6に示す印字内容設定画面600を表示させる。
あらかじめスレーブIJP200のメモリ103のデータ記憶領域に登録してある印字内容を呼び出す場合、使用者は登録番号の欄に呼び出す印字内容の登録番号を入力し、「登録番号」を実行する。マスタIJP100の制御装置101は、「登録番号」が実行されると、登録番号情報をマスタIJP100の無線通信装置113に送信し、マスタIJP100の無線通信装置113により登録番号情報がスレーブIJP200に送信される。
スレーブIJP200に、マスタIJP100から送信された登録番号情報が受信されると、スレーブIJP200の無線通信装置113により登録番号情報を受信したことをスレーブIJP200の制御装置101に通知される。スレーブIJP200の制御装置101にこの通知が受信されると、メモリ103に登録された印字内容から該当する登録番号の印字内容を呼び出され、次回の印字内容として設定される。
次に、マスタIJPで作成した印字内容をスレーブIJPに送信する場合について、図6および図7を用いて説明する。マスタIJP100で作成した印字内容をスレーブIJP200に送信する場合、使用者は印字内容設定画面600に印字内容を入力し、更に入力した印字内容に対する印字仕様を設定するために、「印字仕様」を実行し、表示装置104に図7に示す印字仕様設定画面700を表示する。使用者は、印字内容に従い、印字内容設定画面700の各項目を入力する。
ここで、「文字サイズ」は印字する文字のサイズを横×縦のドット数で表したものであり、本例では5×5、5×8、7×10から選択可能である。「文字間」は印字する文字と文字の間のスペースをドット数で表したものであり、本例では0〜3の範囲で選択可能である。
「文字高さ」は印字する文字の高さに関する設定であり、本例では0〜99の範囲で選択可能である。「文字幅」は印字される文字の幅に関する設定であり、本例では0〜99の範囲で選択可能である。「文字姿勢」は印字される文字の向きに関する設定であり、本例では正立と倒立(反転)を選択可能である。「粒子使用率」はノズル123から噴出されるインク粒子125が使用される割合に関する設定であり、例えば、粒子使用率が1/3である場合、インク粒子3粒子のうち1粒子が印字に使用され、残りの2粒子がインク回収口128から回収されることを表す。本例では1/1〜1/16の範囲で選択可能である。本設定画面では、設定項目として図7に示す6項目を示しているが、これは設定項目を限定するものではない。必要に応じて、印字仕様に関する設定項目を追加、削除することも可能であり、各項目の選択内容を変更することも可能である。
使用者は、印字内容設定画面700の各項目を入力した後、印字内容設定画面600に戻り、「印字内容」を実行する。
マスタIJP100の制御装置101は、「印字内容」が実行されると、印字内容情報はマスタIJP100の無線通信装置113に送信される。つづいてマスタIJP100の無線通信装置113は印字内容情報がスレーブIJP200に送信される。
スレーブIJP200で、マスタIJP100から送信された印字内容情報が受信されると、スレーブIJP200の無線通信装置113により印字内容情報を受信したことをスレーブIJP200の制御装置101に通知される。スレーブIJP200の制御装置101でこの通知が受信されると、スレーブIJP200の無線通信装置113に受信された印字内容が次回の印字内容として設定される。
使用者が、「登録番号」あるいは「印字内容」を実行した後、スレーブIJP200に送信した印字内容を印字に反映させる場合、印字内容設定画面600より、「切替」を実行する。
マスタIJP100の制御装置101は、「切替」が実行されると、切替情報がマスタIJP100の無線通信装置113に送信される。マスタIJP100の無線通信装置113により切替情報がスレーブIJP200に送信される。
スレーブIJP200で、マスタIJP100から送信された切替情報が受信されると、スレーブIJP200の無線通信装置113により切替情報を受信したことがスレーブIJP200の制御装置101に通知される。スレーブIJP200の制御装置101でこの通知が受信されると、設定された次回の印字内容を印字するための処理が開始される。
ここでマスタIJP100が送信する登録番号情報、印字内容情報、切替情報は、データの信頼性が要求されるため、誤り検出コードのチェックによる再送信要求があり、誤り訂正の可能なものとする。またマスタIJP100とスレーブIJP200間の距離や設置状態などにより無線通信環境も変わるため、誤り訂正の訂正能力はいくつかのレベルを選択可能とする。
図12、図13に示すフローチャートを用いて、以下にマスタIJPでスレーブIJPの印字内容の切り替えを行う時の動作を説明する。
はじめにマスタIJP100において、印字内容の切り替えを行う時の動作を図12を用いて説明する。
マスタIJP100とスレーブIJP200が無線通信を行うための接続処理を完了している状態で、マスタIJP100の使用者が表示装置104に印字内容設定画面600を表示すると本処理は開始される(ステップS1201)。
使用者が印字内容設定画面600の登録番号の欄に呼び出す印字内容の登録番号を入力し、「登録番号」を実行するか、あるいは、印字内容設定画面600または印字仕様設定画面700において印字内容または印字仕様を入力し、「印字内容」を実行すると、マスタIJP100からスレーブIJP200に印字の変更内容(登録番号情報、印字内容情報)が送信される(ステップS1202)。
つぎに、使用者が印字内容設定画面600から「切替」を実行すると、マスタIJP100からスレーブIJP200に切替情報が送信され(ステップS1203)、本処理は終了となる(ステップS1204)。
次に、スレーブIJP200において、印字内容が切り替えられる時の動作を図13を用いて説明する。
マスタIJP100とスレーブIJP200が無線通信を行うための接続処理を完了している状態で、マスタIJP100の使用者が表示装置104に印字内容設定画面600を表示すると本処理は開始される(ステップS1301)。
スレーブIJP200で、マスタIJP100から送信された印字の変更内容が受信される(ステップS1302)。
受信された印字の変更内容が登録番号情報である場合、スレーブIJP200では登録されている印字内容から該当する登録番号の印字内容が呼び出され、次回の印字内容として設定される。
受信された印字の変更内容が印字内容情報である場合、スレーブIJP200では受信された印字内容が次回の印字内容として設定される(ステップS1303)。
マスタIJP100から送信される切替情報がスレーブIJP200で受信される(ステップS1304)。
スレーブIJP200で切替情報が受信されると、ステップS1303で設定される次回の印字内容へ切り替えが実施され(ステップS1305)、本処理は終了となる(ステップS1306)。
次にインクジェット記録装置において稼動情報を表示する方法、及び、インクジェット記録装置と接続している他のインクジェット記録装置の稼動情報を取得し、表示装置に表示する方法について図8、図9を用いて説明する。
図8にインクジェット記録装置が稼動情報を表示装置に表示するための稼動情報管理画面の例を示す。また、図9にマスタIJPとスレーブIJPの稼動情報を同時に表示した場合の稼動情報管理画面例を示す。
マスタIJP100において稼動情報を表示する場合、使用者はマスタIJP100を操作し、表示装置104に図8に示す稼動情報管理画面800を表示する。「機器名称」は使用者が操作しているマスタIJP100の名称である。「運転時間」は使用者が操作しているマスタIJP100の運転時間であり、運転時間の経過と共に増加する。「印字回数」は使用者が操作しているマスタIJP100で印字された回数であり、印字動作を行うごとに増加する。「運転時間」および「印字回数」は使用者が値を変更することも可能であり、タッチパネル105より値を入力した後、「確定」を実行することによりデータが更新される。これより、例えば新規の印字作業を行う際には、使用者がこれまでの累計データをリセットすることによって、「印字回数」や「運転時間」などのカウントをゼロ点から始めることができる。
「インク種類」は使用者が操作しているマスタIJP100で使用しているインクの型式である。「インク圧力」は使用者が操作しているマスタIJP100のインク圧力であり、圧力センサ133により計測される。「温度」は使用者が操作しているマスタIJP100の内部温度であり、温度センサ134により計測される。本稼動情報管理画面800では、表示項目として図8に示す6項目を示しているが、これは表示項目を限定するものではない。必要に応じて、他の稼動情報や機器固有の情報を追加、削除することも可能である。
使用者が表示装置104に稼動情報管理画面800を表示することを選択すると、制御装置101により、メモリ103に保存してある稼動情報が表示装置104に表示される。稼動情報は時間の経過や印字動作を行うごとにメモリ103に保存されるため、定期的に更新され、最新の稼動情報が表示装置104に表示される。このとき、マスタIJP100として運転している場合であっても、スレーブIJP200として運転している場合であっても、同様の方法で稼動情報管理画面800に稼動情報を表示させることができる。
つづいて、インクジェット記録装置と接続されている他のインクジェット記録装置の稼動情報を取得し、表示装置に表示する場合について説明する。
マスタIJP100とスレーブIJP200との間で無線通信を行うための接続処理が完了した状態で、使用者がマスタIJP100の図8に示す稼動情報管理画面800で「取得」を実行すると、マスタIJP100の表示装置104に図9に示す稼動情報管理画面900が表示される。図9に示す稼動情報管理画面900は、マスタIJP100の稼動情報と共に無線通信を行うための接続処理が完了したスレーブIJP200の稼動情報を表示した例である。
ここで稼動情報管理画面900に表示された各項目は図8に示す稼動情報管理画面800に表示された各項目と同一のものである。機器名称において、ここではマスタIJP100の名称はIJP0であり、スレーブIJP200の名称はIJP1である。IJP1の列に表示された項目が無線通信を行うための接続処理が完了したスレーブIJP200の稼動情報である。
図14、図15に示すフローチャートを用いて、マスタIJPがスレーブIJPから稼動情報を取得し、表示装置に表示する時の動作例を説明する。
はじめに、マスタIJPがスレーブIJPから稼動情報を取得し、表示装置に表示する時の動作を図14を用いて説明する。
マスタIJP100とスレーブIJP200が無線通信を行うための接続処理を完了している状態で、マスタIJP100の使用者が表示装置104に稼動情報管理画面800を表示すると本処理は開始される(ステップS1401)。
使用者が稼動情報管理画面800で「取得」を実行すると、制御装置101から無線通信装置113に稼動情報要求信号が送信される。そして無線通信装置113によりスレーブIJP200に稼動情報要求信号が送信される(ステップS1402)。
マスタIJP100の稼動情報要求信号に応じて、スレーブIJP200で稼動情報が送信されると、スレーブIJP200の稼動情報が無線通信装置113に受信され、無線通信装置から制御装置101に稼動情報が受信されたことが通知される。(ステップS1403)。
制御装置101でスレーブIJP200の稼動情報が受信された通知を受けると、制御装置により、スレーブIJP200の稼動情報がメモリ103に保存される(ステップS1404)。また、マスタIJP100ではマスタIJP100の稼動情報が取得され(ステップS1405)、マスタIJP100の稼動情報がメモリ103に保存される(ステップS1406)。
制御装置101により、メモリ103に保存されたマスタIJP100とスレーブIJP200の稼動情報が表示装置104に表示される(ステップS1407)。
ここで使用者が稼動情報管理画面900を閉じて、稼動管理を終了すると本処理は終了される(ステップS1409)。稼動管理を終了しない場合、マスタIJP100はS1402から処理を繰り返される。
次に、マスタIJPがスレーブIJPから稼動情報を取得し、表示装置に表示する時のスレーブIJPの動作を図15を用いて説明する。
マスタIJP100とスレーブIJP200が無線通信を行うための接続処理を完了している状態で、使用者がマスタIJP100の表示装置104に稼動情報管理画面800を表示すると本処理は開始される(ステップS1501)。
マスタIJP100の表示装置104に稼動情報管理画面800が表示されると、スレーブIJP200ではスレーブIJP200自身の稼動情報が取得される(ステップS1502)。
次に、スレーブIJP200ではステップS1502で取得したスレーブIJP200の稼動情報がメモリ103に保存される(ステップS1503)。
スレーブIJP200の無線通信装置113でマスタIJP100から送信された稼動情報要求信号が受信されると、無線通信装置113から制御装置101に稼動情報要求信号が送信される。制御装置101で稼動情報要求信号が受信されると、制御装置101によりメモリ103に保存されているスレーブIJP200の稼動情報が無線通信装置113に送信される。無線通信装置113では、マスタIJP100が稼動情報を受信可能かどうか確認するためにマスタIJP100に送信要求信号が送信される。マスタIJP100が受信可能な場合はマスタIJP100から送信可能信号が送信され、スレーブIJP200で送信可能信号が受信されると無線通信装置113からマスタIJP100に稼動情報が送信される(ステップS1505)。
マスタIJP100からの稼動情報要求信号が受信されない場合は、スレーブIJP200はステップS1502から処理を繰り返す(ステップS1504)。
以後スレーブIJP200はステップS1502から処理が繰り返される。
次にマスタIJPがスレーブIJPの稼動情報を変更する際の動作について図9、図17を用いて説明する。
マスタIJP100とスレーブIJP200で無線通信を行うための接続処理が完了した状態において、使用者はマスタIJP100を操作し、表示装置104に図9に示す稼動情報管理画面900を表示する。
図9に示す稼動情報管理画面900で使用者がタッチパネル105を操作することにより、スレーブIJP200の稼動情報を変更した後、「確定」を実行すると、制御装置101はメモリ103に保存されたスレーブIJP200の稼動情報を変更するとともに、スレーブIJP200に変更後の稼動情報を送信するために、無線通信装置113に変更後の稼動情報を送信する。無線通信装置113は変更後の稼動情報をスレーブIJP200に送信する。
スレーブIJP200が、マスタIJP100から送信された変更後の稼動情報を受信すると無線通信装置113は変更後の稼動情報を受信したことを制御装置101に通知する。制御装置101はこの通知を受信すると、メモリ103に保存された稼動情報を変更後の稼動情報により更新する。
これにより、複数のインクジェット記録装置の印字内容を変更することが必要な場合や、稼動情報を同時に変更することが必要な場合に、マスタIJP100がスレーブIJP200の印字内容を切り替えることや稼動情報を同時に変更することが可能となる。
次に、マスタIJPとスレーブIJPとが連動されて印字動作が行われている状況において、マスタIJP及びスレーブIJPの稼動情報に基づく印字動作の制御について説明する。
本実施例のマスタIJP100には、印字動作を正常に行うために、予めマスタIJP100の稼動情報に対して正常な動作が行えるように閾値を設定し、メモリ103に記憶させておくことができる。マスタIJP100の稼動情報には、運転時間、印字回数、インク残量、周囲温度などが含まれている。マスタIJP100の制御装置101により稼動情報を取得する際に各稼動情報において閾値と比較が行われ、いずれかの稼動情報において閾値に達している場合には、警報が表示されるように設定される。スレーブIJP200においても上記と同様の構成となっている。
以下に、マスタIJPとスレーブIJPが接続されて印字が行われている状況で、スレーブIJPの稼動状況が設定される閾値に達した場合の動作を図16、図18を用いて説明する。
図16は画面1600は使用者が操作しているマスタIJP100の稼動情報と、無線接続が完了したスレーブIJP200の稼動情報とを表示している際に、スレーブIJP200側で発生した警報を表示した場合の画面例である。
図18はマスタIJP100がスレーブIJP200から送信された警報に対して、マスタIJP100とスレーブIJP200の印字動作を停止する時の動作例を示すフローチャートであり、以下の説明は図18にそって行う。
マスタIJP100とスレーブIJP200の間で無線通信を行うための接続処理が完了した状態において、スレーブIJP200側で周囲温度が閾値に達した場合に処理が開始される(S1801)。
スレーブIJP200側の制御装置101では、マスタIJP100に警報信号を送信するために、無線通信装置113に警報信号を送信する(S1802)。
無線通信装置113ではマスタIJP100が警報信号を受信可能かどうか確認するためにマスタIJP100に送信要求信号が送信され、マスタIJP100はスレーブIJP200から送信された送信要求信号を受信する。マスタIJP100がスレーブIJP200からの送信データを受信可能な場合は、マスタIJP100の無線通信装置113から送信可能信号がスレーブIJP200に送信される。スレーブIJP200でマスタIJP100から送信された送信可能信号が受信されると、スレーブIJP200の無線通信装置113によりマスタIJP100に前記警報信号が送信される(S1803)。
マスタIJP100の無線通信装置113にスレーブIJP200から送信された警報信号が受信されると、無線装置113により警報信号を受信したことを制御装置101に通知される(S1804)。
制御装置101でこの通知が受信されると、表示装置104に受信した警報信号に対応した警報が表示される。(S1805)
ここでマスタIJP100、スレーブIJP200の印字動作を停止するかどうか選択することができる(S1806)。
印字動作を停止させる場合は、まずマスタIJP100の制御装置101でマスタIJP100の印字動作を停止するための処理が開始されて印字動作が停止されるとともに(S1807)、スレーブIJP200に対する印字停止信号が無線通信装置113に送信されて、無線通信装置113により印字停止信号がスレーブIJP200に送信される(S1808)。
スレーブIJP200の無線通信装置113でマスタIJP100から送信された印字停止信号が受信されると、印字停止信号が受信されたことが無線通信装置113により制御装置101に通知される。制御装置101でこの通知が受信されると、スレーブIJP200の印字動作が停止される(S1809)。
ここでは、図16のように画面上に警報を表示させているが、これに限らず、音や光などによって警報を表示するものであってもよい。
本実施例で示したようにマスタIJPを指定し、マスタIJPとスレーブIJPの間で制御信号や稼動情報を送信することにより、インクジェット記録装置の制御のための主制御装置を不要とすることができ、インクジェット記録装置の設置に関する制約を減らすことが可能となる。
また複数のインクジェット記録装置の印字内容を変更することが必要な場合や、稼動情報を同時に変更することが必要な場合に、マスタIJPがスレーブIJPの印字内容を切り替えることや稼動情報を同時に変更することが可能となり、インクジェット記録装置間の情報変更における手間を軽減することができる。
また、インクジェット記録装置を連動させて行う印字動作において、インクジェット記録装置間の同期状態を管理することができ、非同期状態で行われる誤った印字動作が継続するのを防止し、印字効率を向上させることができる。
また、本実施例のように複数のインクジェット記録装置を無線で接続することにより、有線で接続される構成のときよりもインクジェット印字装置の設置の制約を減らすことができる。
以上、本発明におけるインクジェット記録システムの構成例、動作例を示したが、本実施例は本発明を限定するものではなく本発明の主旨を変えない限り、上記記載内容に限定されるものではない。また、本実施例では、インクジェット印字装置が無線で接続される構成としたが、これに限らず有線で接続される構成でもよいものである。
次に、図2を用いて本発明における第二の印字システムの実施の形態を説明する。第二の実施形態においては、第一の実施形態に示した構成に加えて、無線中継装置30が設置されている。この無線中継装置30は複数の無線通信装置が通信を行う際に無線通信の中継、および、それぞれの無線通信装置が送信した信号がぶつからないように無線通信のアクセス制御を行うものである。無線中継装置30の動作例として、無線中継装置30の通信範囲内に無線通信装置Aと無線通信装置Bがある場合、無線通信装置Aから無線通信装置Bに送信される信号は無線中継装置を経由して無線通信装置Bに送信される。
本発明における第二の印字システムの実施の形態では、マスタIJP100に接続された被印字物センサ12によりコンベア40で搬送される被印字物50が検知されると、マスタIJP100では印字を行うための処理が開始されるとともに、スレーブIJP200の印字開始のトリガとなる印字開始指示信号60が無線中継装置30を経由して無線でスレーブIJP200に送信される。スレーブIJP200に前記印字開始指示信号60が受信されると印字を行うための処理が開始される。
図2では無線中継装置30が単体で使用される場合を示しているが、無線中継装置同士を既存のネットワーク(例えばLAN(Local Area Network))に接続することにより、無線通信装置Aと無線通信装置Bが離れた場所にある場合にも通信することが可能である。上記の構成をとることにより、インクジェット記録装置の設置に関する制約を減らすことが可能となる。また、本実施例のように複数のインクジェット記録装置を無線で接続することにより、有線で接続される構成のときよりもインクジェット印字装置の設置の制約を減らすことができる。
以上、本発明におけるインクジェット記録システムの構成例、動作例を示したが、本実施例は本発明を限定するものではなく本発明の主旨を変えない限り、上記記載内容に限定されるものではない。