JP5426342B2 - 回転電機の製造方法、固定子および回転電機 - Google Patents

回転電機の製造方法、固定子および回転電機 Download PDF

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Description

本発明は、複数の導線からなるコイルが鉄心に巻装されて構成される回転電機の製造方法、およびその製造方法を用いて製造した固定子および回転電機に関する。
従来、電気自動車やハイブリッド自動車などに用いられる回転電機としての電動機には、複数相、例えばU相、V相、W相の三相のコイルを鉄心に巻装して構成されるインバータ駆動方式の永久磁石型の電動機(以下、永久磁石電動機という)が知られている。このような永久磁石電動機では、高出力化のためにコイルに印加される電圧が高くなる傾向にあり、また、立ち上がりが急峻なインバータサージ電圧が印加されることから各相のコイルの分担電圧も高くなる傾向にある。このため、隣接するコイル間などに絶縁不良が生じた場合、短絡または部分放電が発生するおそれが高くなる。
そのため、回転電機を製造する製造工程において、各相のコイル間の絶縁状態を検査する絶縁試験を行うことが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図18は、永久磁石電動機の一般的な製造工程を概略的に示している。まず鉄心(ステータコア)に各相のコイルを装着し(S701)、各相のコイルのリード線に絶縁スリーブを挿入し(S702)、コイルエンドを成形し(S703)、各相のコイルの動力線かしめを行った後(S704)、コイルエンドのコイルを糸で巻く第1レーシングを行う(S705)。
続いて、ステップS706において三相コイル間の部分放電試験を行って異相のコイル間の絶縁状態を検査し、中性点かしめ(S707)、絶縁テープ巻き(S708)、第2レーシング(S709)を行った後に、ステータとコイル間の絶縁試験(S710)、総合絶縁試験(S711)、ワニス含浸(S712)を経て、モータが組み立てられる(S713)。
特開2004−274946号公報
ところで、上記したような構成の永久磁石電動機では、各相のコイルのリード線として絶縁被覆された複数本の導線が電気的に並列に接続された構成のものがある。その場合、コイルが鉄心に装着されると、導線の巻き始め部位(Ts)と別の導線の巻き終わり部位(Te)とが隣接する部分では、同相のコイル内においても電位の異なる導線同士が接触することにより、導線間に短絡または部分放電が発生するおそれがあった。
しかしながら、従来の回転電機の製造方法では、上記の状態に対応することができなかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、各相のコイルを構成する導線間に短絡または部分放電が発生するおそれを低減し、信頼性が高い回転電機を製造するための回転電機の製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記した製造方法により固定子および回転電機を製造することにより、信頼性の高い回転電機および固定子を提供することにある。
本発明の回転電機の製造方法は、電気的に並列に接続されて使用される複数の導線からなるコイルが鉄心に複数相巻装されて構成される回転電機の製造方法であって、前記コイルは、同相内に、それぞれ電気的に並列に接続される複数の同相異並列回路を備え、
前記鉄心に前記コイルを巻装するコイル巻装工程およびコイルエンドを成形するコイルエンド成形工程の後に、同相の前記コイル内における前記同相異並列回路間の絶縁状態を検査する同相異並列回路間絶縁試験工程を含むことを特徴とする。
本発明の回転電機は、上記した製造方法を用いて製造することを特徴とする。
本発明の固定子は、上記した製造方法を用いて製造することを特徴とする。
本発明の回転電機の製造方法によれば、コイルを鉄心に巻装した後に、同相のコイル内における導線間の絶縁状態を検査するので、各導線間の絶縁状態に異常がない、換言すると、導線間に短絡または部分放電が発生するおそれが低減された信頼性の高い回転電機を製造することができる。
本発明の回転電機によれば、導線間に短絡または部分放電が発生するおそれが低減された信頼性の高い回転電機を製造することができる。
本発明の固定子によれば、導線間に短絡または部分放電が発生するおそれが低減された信頼性の高い固定子を製造することができる。
本発明の第1実施形態による永久磁石電動機の製造工程を概略的に示す図 永久磁石電動機の構成を示す概略図 各相のコイルの電気的な等価回路を模式的に示す図 各相のコイルの構成を模式的に示す図 単位コイル内の接触状態を模式的に示す図 同相並列導線間絶縁試験の試験装置を概略的に示す図 本発明の第2実施形態による図1相当図 3相間絶縁試験の試験装置を概略的に示す図 各相のコイルのグループ分けを模式的に示す図 本発明の第3実施形態による図1相当図 図2相当図 図3相当図 同相異並列導線間絶縁試験の試験装置を概略的に示す図 本発明の第4実施形態による図1相当図 本発明の第5実施形態による図1相当図 図3相当図 本発明の第6実施形態による図1相当図 従来技術による図1相当図 本発明の第3実施形態の変形例による図2相当図
(第1実施形態)
以下、本発明を電気自動車やハイブリット自動車などに用いられるインバータ駆動方式の永久磁石電動機に適用した第1実施形態について、図1から図6に基づいて説明する。尚、以下の説明においては、永久磁石電動機の全体構成を示して本発明を適用する構成部位の詳細をまず説明し、その後、永久磁石電動機の製造工程について説明する。
永久磁石電動機1は、図2に示すように、固定子2および回転子3を備えている。固定子2は、例えば電磁鋼板をプレスなどにより打ち抜いて形成された複数枚の鉄心片が積層された円環形状をなす固定子鉄心4を有している。固定子鉄心4は、内周側に、後述する三相のコイル(U相コイル5、V相コイル6、W相コイル7)が挿入されるスロット8が複数個、例えば48個形成されている。固定子鉄心4には、径方向外周側から内周側に向かってU相コイル5、V相コイル6、W相コイル7が順に巻装されている。以下、U相コイル5、V相コイル6、W相コイル7に共通の事項を説明する場合には、符号を付さず、単に各相のコイルという。
回転子3は、例えば電磁鋼板をプレスなどにより打ち抜いて形成された複数枚の鉄心片が積層された円環形状をなす回転子鉄心9と、回転子鉄心9の内周側に設けられている回転軸10とを備えている。回転子3は、その外周面と固定子2の内周面との間に僅かな隙間(所謂エアギャップ)を隔てて配置され、固定子2に対して相対的に回転可能になっている。回転軸10は、回転子鉄心9を鉄心材の積層方向に貫いており、回転子鉄心9に固定されている。
回転子鉄心9の外周部には、外周に向かうに従って対向距離が順次大となる一対の磁性体スロット11が複数対、例えば八対、周方向に一定の間隔を存して設けられており、回転子鉄心9を鉄心材の積層方向(軸方向)に貫いている。磁性体スロット11には永久磁石12が挿入されている。永久磁石12は、互いに隣接する永久磁石12に対して、回転子鉄心9の外周側に対する極性(N極、S極)が逆になるように配置され、永久磁石電動機1の磁極を形成している。
各相のコイルは、図3に示すように、それぞれ複数個、例えば8個の単位コイルが直列に接続されて形成されている。これらの各相のコイルは、一方の端部に電源端子(U相電源端子13、V相電源端子14、W相電源端子15)が形成されており、他方の端部に、各相のコイルが互いに接続された中性点Nが形成されている。これらU相電源端子13、V相電源端子14、W相電源端子15は、図示しない外部のインバータ回路に接続され、例えば三相交流電源が供給される。尚、以下の説明においてU相電源端子13、V相電源端子14、W相電源端子15に共通の事項を説明する場合には、符号を付さず、単に各相の電源端子という。
さて、各相のコイルは、図3には電気的構成として1本の線で示したものの、実際には複数本の導線から形成されており、例えばU相コイル5の場合、図4に示すように、3本の導線51、52、53により形成されている。各導線51、52、53は、例えば銅などの導体を線状に形成し、その外周にエナメルなどの絶縁被覆を施したものである。これら各導線51、52、53は、U相電源端子13と中性点Nとの間に電気的に並列に接続されている。つまり、各導線51、52、53は、本発明でいう同相並列導線に相当する。また、V相コイル6およびW相コイル7も、U相コイル5と同様に、同相並列導線に相当する3本の導線(61、62、63、71、72、73。図8参照)からそれぞれ形成されている。尚、以下の説明において各導線51、52、53、61、62、63、71、72、73に共通の事項を説明する場合には、符号を付さず、単に各導線という。
各相のコイルを形成している各導線は、例えばU相コイルの場合、固定子鉄心4に巻装された状態では、図5に示すように、U相電源端子13に近い側の部位である巻き始め部Tsと、隣接する単位コイル側に引き出された部位である巻き終わり部Teとが近接した状態になっている。換言すると、実運転時に電位が高い部位(Ts)と、Tsに比べて相対的に電位が低い部位(Te)とが近接した状態になっている。このため、各導線の絶縁状態に異常が生じた場合、その絶縁異常部位が接触し、短絡または部分放電が発生するおそれがある。尚、説明の簡略化のために図5には2個の単位コイル間を模式的に示しているが、TsとTeとは、固定子鉄心4の各スロット8に存在しており、各相のコイルにおいて、また各スロット8において近接した状態になっている。
ところで、導線間に短絡が発生した場合には、短絡した部分におけるコイルの巻数が見かけ上少なくなり、コイルとしての機能が低下するおそれがある。また、部分放電が発生した場合には、その部分の耐久性が低下するおそれがある。つまり、絶縁状態に異常が生じると、電動機としての特性や性能の劣化を招くおそれがある。そこで、本実施形態では、永久磁石電動機1の製造工程において、各導線間、すなわち各同相並列導線間の絶縁状態を検査する同相並列導線間絶縁試験工程(後述する図1のステップS104)を実施している。
図1は、永久磁石電動機1の製造工程、特に固定子2の製造工程を示している。尚、固定子鉄心4は、以下の製造工程が行われる前の段階で、絶縁紙などにより各相のコイルと固定子鉄心4との間を絶縁する所謂スロット絶縁が行われているものとする。
永久磁石電動機1の製造工程では、まず固定子鉄心4に各相のコイルを巻装するコイル巻装工程が行われる(S101)。各相のコイルは、固定子鉄心4の外周側(スロット8の奥側)から順にU相コイル5、V相コイル6、W相コイル7が巻装される。このとき、例えばU相コイル5を巻装した後に、固定子鉄心4の軸方向の両端部に突出したコイル部位を固定子鉄心4の外周側へ拡開して次のV相コイル6を巻装し易くするとともに、図示しない相間絶縁紙を挿入してV相コイル6との間の絶縁が図られている。同様に、V相コイル6の巻装後にも、V相コイル6の拡開および図示しない相間絶縁紙の挿入が行われており、V相コイル6とW相コイル7との間の絶縁が図られている。
続いて、ステップS101で拡開した各相のコイルを、回転子鉄心9の内周側の所定の位置に配置してコイルエンドを成形するコイルエンド成形工程が行われる(S102)。その後、コイルエンドに位置する各相のコイルを糸で緊縛(レーシング)する第1レーシング工程が行われる(S103)。このレーシング工程では、各相のコイルの両端部(後述する電源端子側および中性点側の端部)を除いて、各相のコイルの大部分が固定子鉄心4の所定の位置に配置される。
ここまでの工程では各相のコイルには電源端子および中性点がまだ形成されていないため、コイルの両端部は、各導線が解けた状態(物理的、電気的に接触していない状態)になっている。このように、各導線が解けた状態で、導線間(同相並列導線間)の絶縁試験を実施する同相並列導線間絶縁試験工程が行われる(S104)。この同相並列導線間絶縁試験では、各相のコイル毎に、各導線間の絶縁試験、具体的には、各導線間に対する耐電圧試験や部分放電試験などが行われる。尚、これら耐電圧試験や部分放電試験などを含む絶縁試験そのものは、周知の技術であるので詳細な説明は省略する。
図6は、同相並列導線間の絶縁試験の全体構成を示している。この図6では、説明の簡略化のために、U相コイル5のみを模式的に示している。絶縁試験装置16は、上記した耐電圧試験や部分放電試験などを行う試験装置であり、必要に応じて複数台或いは複数種類の絶縁試験装置16が用いられる。各導線は、この絶縁試験に先立って、各相のコイルの両端側の部位の絶縁被覆が除去され、導体が露出した状態になっている。各相のコイルは、固定子鉄心4から引き出されて、外部に設けられた絶縁試験装置16に接続される。この状態で、上記した絶縁試験が行われる。このとき、各導線に印加する電圧の大きさなどの試験条件は、各導線の種類(材質、太さなど)、或いは実運転時の印加電圧の大きさなどに応じて適宜設定すればよい。
さて、U相コイル5の場合、上記のように3本の導線51、52、53で形成されていることから、絶縁状態を検査する組み合わせ数は、導線51−52間、導線52−53間、導線53−51間の3個になる。また、V相コイル6およびW相コイル7も、それぞれ3本の導線で形成されていることから、その組み合わせ数はそれぞれ3個である。つまり、永久磁石電動機1の製造工程において、1回の同相並列導線間絶縁試験で絶縁状態を検査する導線間の組み合わせ数は、3個×3相分=9個になる。本実施形態では、これら全ての組み合わせに対して絶縁状態を検査している。
このように、同相並列導線間絶縁試験工程では、各相のコイルを形成する導線間の絶縁状態が検査される。尚、絶縁試験に不合格であった場合、各相のコイルは取り外され、新たなコイルが巻装される。
同相並列導線間絶縁試験工程が終了すると、図1に示すように、各相のコイルの一方の端部に各相の電源端子(図3参照)を接続する3相リード線かしめ工程(S105)、各相のコイルの他方の端部をまとめて中性点N(図3参照)を形成する中性点かしめ工程(S106)、および中性点Nの形成時に絶縁被覆が除去された部位を絶縁テープなどで覆う中性点絶縁工程(S107)を経て、中性点Nをコイルエンドの所定の位置に配置して糸で緊縛する第2レーシング工程が行われる(S108)。尚、ステップS105と、ステップS106およびS107とは、工程順を入れ替えてもよい。
その後、絶縁抵抗、耐電圧試験、各相のコイルと固定子鉄心4との間の部分放電試験、インパルス試験などを行う総合絶縁試験・検査工程(S109)、各相のコイルを固定子鉄心4に固定するワニス含浸工程(S110)、例えば目視検査などにより固定子2の状態を検査するステータ検査(S111)を経て、固定子2が完成する。そして、完成した固定子2を回転子3とともに図示しない筐体に組み込むことにより、永久磁石電動機1(図2参照)が製造される。尚、ワニス含浸工程後に総合絶縁試験を再度行ってもよい。
このように、本実施形態では、コイル巻装工程の後であって、3相リード線かしめ工程および中性点かしめ工程の前、すなわち、各導線の端部が解けた状態で同相並列導線間絶縁試験工程を実施することにより、導線間の絶縁状態を検査している。
以上説明した第1実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
永久磁石電動機1の製造工程において各相のコイルを形成する導線間の絶縁状態を検査する同相並列導線間絶縁試験工程を実施するので、各導線間に絶縁状態の異常がなく、短絡または部分放電が発生するおそれが低減された高品質な固定子2を製造することができる。
また、この固定子2を用いて永久磁石電動機1を製造することにより、信頼性の高い永久磁石電動機1を製造することができ、実運転時における永久磁石電動機1の性能、特性あるいは耐久性などが低下するおそれを低減することができる。
コイル巻装工程の後に同相並列導線間絶縁試験工程を行っているので、コイル巻装工程において不具合が発生した場合であっても、その不具合を検出することができる。特に、コイルエンド成形工程および第1レーシング工程の後に絶縁試験を実施することにより、実運転時の形態に近い状態での検査を行うことができる。
同相並列導線間絶縁試験工程では、各相のコイルを形成する導線間の全ての組み合わせについて絶縁を検査しているので、より高品質な固定子2および永久磁石電動機1を製造することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図7から図9に基づいて説明する。第2実施形態は、永久磁石電動機の製造工程に3相間絶縁試験工程を含んでいる点が第1実施形態と異なっている。尚、第1実施形態と実質的に同一の構成、および実質的に同一の製造工程(ステップ)には同一の符号を付し、説明を省略する。また、第2実施形態の永久磁石電動機の構成は第1実施形態と同一であるので、図2も参照しながら説明する。
図7は、第2実施形態による永久磁石電動機の製造工程を示している。まず第1実施形態と同様に、コイル巻装工程(S101)、コイルエンド成形工程(S102)、第1レーシング工程を経て(S103)、同相並列導線間の絶縁試験が行われた後(S104)、各相のコイルに電源端子を装着する3相リード線かしめ工程が行われる(S105)。
この状態では、固定子鉄心4に巻装された各相のコイルは、コイルエンドにおいて内周側或いは外周側に配置された異相のコイルと近接している(図2参照)。異相のコイル間、つまりU相コイル5とV相コイル6との間、V相コイル6とW相コイル7は、上記したように図示しない相間絶縁紙が挿入されているものの、コイル巻装工程において各相のコイルを固定子鉄心4の外周側へ拡開したとき、或いはコイルエンド成形工程において内周側へ寄せたときに、互いに接触状態になるおそれがある。このため、各相のコイル、より正確には各相のコイルを形成する導線は、その絶縁状態に異常が生じた場合、永久磁石電動機の運転時に異相のコイル間で短絡または部分放電が発生するおそれがある。
そこで、本実施形態では、永久磁石電動機の製造工程において、コイル巻装工程の後に、異相のコイル間の絶縁状態を検査する3相間絶縁試験工程を実施している。
3相間絶縁試験工程(S201)では、図8に示すように、各相のコイルが絶縁試験装置16に接続され、U相コイル5−V相コイル6間、V相コイル6−W相コイル7間、W相コイル7−U相コイル5間に対して、同相並列導線間絶縁試験(S104)と同様の耐電圧試験や部分放電試験を含む絶縁試験が行われる。尚、試験内容および試験条件は、かならずしも同相並列導線間絶縁試験と同一である必要はない。
ところで、この3相間絶縁試験工程において検査が可能な導線間の組み合わせ数は、例えばU相コイル5−V相コイル6間の絶縁試験を行う場合、U相コイル5の各導線とV相コイル6の各導線との間、すなわち、導線51−61間、導線51−62間、導線51−63間、導線52−61間、導線52−62間、導線52−63間、導線53−61間、導線53−62間、導線53−63間の9個になる。また、V相コイル6−W相コイル7間、W相コイル7−U相コイル5間にもそれぞれ9個の組み合わせが存在することから、異相間の絶縁試験の組み合わせ数は、合計27個になる。尚、各相のコイルを形成する導線の数が多くなるほど、その組み合わせ数は増加する。
このように絶縁試験を行う組み合わせ数が多い場合、全ての組み合わせについて絶縁試験を行うと作業工数が大幅に増加することになる。そこで、本実施形態では、各相のコイルを形成する導線をいくつかのグループに区分し、このグループ間の絶縁状態を検査することにより絶縁試験を簡略化して作業工数の削減を図っている。
図9は、グループ分けの一例を示している。本実施形態では、固定子鉄心4の最外周側に位置するU相コイル5の各導線を2つのグループUG1、UG2に区分し、V相コイル6の各導線を1つのグループVG1に区分し、固定子鉄心4の最内周側に位置するW相コイル7の各導線を2つのグループWG1、WG2に区分し、それぞれのグループ間の絶縁状態を検査している。このとき、グループ分けする導線は、例えばかしめにより短絡することによりグループ分けされている。これにより、絶縁試験を行うグループ(G)間の組み合わせ数は、UG1−VG1間、UG1−WG1間、UG1−WG2間、UG2−VG1間、UG2−WG1間、UG2−WG2間、VG1−WG1間、VG1−WG2間の8個となる。
このように、各導線をグループ分けして絶縁試験を行うことにより、全ての導線の組み合わせについて絶縁試験を行う場合(27個)に比べて、作業工数を大幅に少なくすることが可能になる。また、絶縁試験装置16に接続される導線の数も減少し、絶縁試験装置16の大形化を招くこともない。
この場合、本実施形態におけるようにグループ分けして絶縁試験を行う方式では、導線間の全ての組み合わせについて絶縁試験を行う方式に比べて、作業時間を短縮することを優先しているものであるが、この場合でも、所望の信頼性のレベルを確保する組み合わせ数に設定することにより、信頼性を損なうことなく作業効率の向上を図ることができる。
3相間絶縁試験工程が終了すると、図7に示すように、中性点かしめ工程(S106)、中性点を絶縁する中性点絶縁工程(S107)が行われ、第2レーシング工程(S108)、総合絶縁試験・検査工程(S109)、ワニス含浸工程(S110)、ステータ検査工程(S111)を経て、固定子2が完成する。そして、完成した固定子2を回転子3とともに図示しない筐体に組み込むことにより、永久磁石電動機が製造される。
このように、第2実施形態では、同相並列導線間絶縁試験工程を実施しているので、同相のコイルにおける導線間の絶縁異常が検査された高品質な固定子および永久磁石電動機を製造することができるなど、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
特に、第2実施形態では、異相のコイル間、すなわち、異相のコイルを形成している各導線間の絶縁異常を検査する3相間絶縁試験工程を実施しているので、品質および信頼性をさらに向上させた固定子、引いては永久磁石電動機を製造することができる。
3相間絶縁試験工程においては、導線間の全ての組み合わせについて絶縁試験を行うのではなく、各相の導線を単数又は複数のグループにグループ分けし、グループ間の絶縁状態を検査している。これにより、3相間絶縁試験工程における作業工数を削減することができる。また、グループ分けすることにより、絶縁試験装置16に接続する導線の数が減少するので、絶縁試験装置16の大型化を招くことがない。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について、図10から図13に基づいて説明する。第3実施形態では、後述するように各相のコイルの構成が第1実施形態と異なっており、この構成の違いに伴って、後述する同相異並列回路間絶縁試験が追加されている。尚、第1実施形態と実質的に同一の構成、および実質的に同一の製造工程(ステップ)には同一の符号を付し、説明を省略する。
第3実施形態における永久磁石電動機の固定子21は、図11および図12に示すように、固定子鉄心22にU相コイル5、V相コイル6、W相コイル7を備えている。U相コイル5は、直列に接続された4個の単位コイル(5a1、5a2、5a3、5a4)で形成されるコイル群5aと、同じく直列に接続された4個の単位コイル(5b1、5b2、5b3、5b4)で形成されたコイル群5bとの並列回路により形成されている。これら各コイル群5a、5bは、第1実施形態と同様に電気的に並列に接続された3本の導線(同相並列導線)によりそれぞれ形成されており、U相電源端子13と中性点Na、Nbとの間に並列に接続されている。
同様に、V相コイル6は、直列に接続された4個の単位コイル(6a1、6a2、6a3、6a4、および6b1、6b2、6b3、6b4)で形成されるコイル群6aおよび6bにより形成され、W相コイル7は、直列に接続された4個の単位コイル(7a1、7a2、7a3、7a4、および7b1、7b2、7b3、7b4)で形成されたコイル群7aおよび7bにより形成されている。また、V相コイル6およびW相コイル7は、それぞれV相電源端子14およびW相電源端子15と中性点Na、Nbとの間に並列に接続されている。
つまり、固定子鉄心22には、各相の電源端子と中性点との間に、コイル群5a、6a、7aと、およびコイル群5b、6b、7bとが並列に接続(ダブルスター接続)されている。これら各相のコイル群5a、5b、6a、6b、7a、7bは、本発明でいう同相異並列回路に相当する。また、U相コイル5のコイル群5a−5b間、V相コイル6のコイル群6a−6b間、W相コイル7のコイル群7a−7b間が、本発明でいう同相異並列回路間に相当する。尚、以下の説明では、コイル群5a、5b、6a、6b、7a、7bに共通の事項を説明する場合には、符号を付さず、単に各コイル群という。
図10は、第3実施形態による永久磁石電動機の製造工程を示している。
まず第1実施形態と同様に、コイル巻装工程(S101)、コイルエンド成形工程(S102)、第1レーシング工程を経て(S103)、同相並列導線間絶縁試験工程が行われる(S104)。この場合、同相並列導線間絶縁試験工程では、各コイル群に対して、泰一実施形態と同様の絶縁試験が実施される。このとき、第1実施形態のように導線の全ての組み合わせに対して絶縁試験を行ってもよく、第2実施形態のように導線をいくつかのグループに分け、グループ間の組み合わせに対して絶縁試験を行ってもよい。
ところで、固定子鉄心22に巻装された各相のコイルは、図11に示すように、各コイル群が隣接している。この場合、図示しない絶縁紙が挿入されているものの、ステップS101コイル巻装工程において各相のコイルを固定子鉄心22の外周側へ拡開したとき、或いは、ステップS102のコイルエンド成形工程において内周側へ寄せたときに、隣接するコイル群同士、例えばU相コイル5のコイル群5aとコイル群5bとが接触するおそれがある。換言すると、コイル群間の絶縁状態に異常があると、永久磁石電動機の実運転時にコイル群間に短絡または部分放電が発生するおそれがある。
そこで、永久磁石電動機の製造工程では、各コイル群間、すなわち各同相異並列回路間の絶縁状態を検査する同相異並列回路間絶縁試験工程が行われる。
同相並列導線間絶縁試験工程が終了すると、図10に示すように、各相のコイルをかしめて中性点を形成する中性点形成工程(S301)が行われる。後述する同相異並列回路間の絶縁試験は、例えばU相のコイル群5aとコイル群5bとの間の絶縁状態を検査する試験である。そのため、同相異並列回路間絶縁試験工程に先立って、まず中性点Na、Nb(図12参照)が形成される。
中性点Na、Nbが形成されると、同相異並列回路間絶縁試験工程が行われる(S302)。この同相異並列回路間絶縁試験工程では、図13に示すように、例えばU相のコイル群5a、5b、および中性点Na、Nbが絶縁試験装置16に接続され、U相のコイル群5a−5b間に対して、耐電圧試験や部分放電試験を含む絶縁試験が行われる。この場合、第1実施形態のようにコイル群5aとコイル群5bの各導線間の全ての組み合わせについて絶縁試験を行ってもよく、第2実施形態のようにコイル群5a、5bの各導線をグループ分けし、グループ間に対して絶縁試験を行ってもよい。
U相コイル5の絶縁状態が検査されると、続いてV相コイル6およびW相コイル7についても絶縁状態が検査される。尚、各相の試験順はこれに限定されず順番を入れ替えてもよい。また、各相のコイル群を全て絶縁試験装置16に接続することにより、或いは、複数台の絶縁試験装置16を用いることにより、同時に絶縁試験を行ってもよい。
同相異並列回路間絶縁試験工程が終了すると、図10に示すように、各相のコイルに電源端子を装着する3相リード線かしめ工程(S105)、および中性点を絶縁する中性点絶縁工程(S107)が行われる。尚、これらS105の工程とS107の工程とは、工程順を入れ替えてもよい。その後、第2レーシング工程(S108)、総合絶縁試験・検査工程(S109)、ワニス含浸工程(S110)、ステータ検査工程(S111)を経て、固定子21が完成する。そして、完成した固定子21を回転子とともに図示しない筐体に組み込むことにより、永久磁石電動機が製造される。
このように、第3実施形態では、同相並列導線間絶縁試験工程を実施しているので、同相のコイルにおける導線間の絶縁異常が検査された高品質な固定子21および永久磁石電動機を製造することができるなど、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
特に、第3実施形態では、各相のコイルが複数のコイル群(同相異並列回路)で形成された構成において、これらコイル群間の絶縁状態を検査する同相異並列回路間絶縁試験工程を実施しているので、コイル群間の絶縁状態に異常が生じていない、すなわち、コイル群間に短絡または部分放電が発生するおそれが低減された高品質な固定子21および永久磁石電動機を製造することができる。
また、各絶縁試験工程においては、導線の全ての組み合わせに対して絶縁試験を行った場合には永久磁石電動機の品質をさらに向上させることができ、導線をグループ化して絶縁試験を行った場合には作業工数を大幅に削減することができる。
(第3実施形態の変形例)
次に、上記した第3実施形態の変形例について、図19に基づいて説明する。本変形例では、各相のコイルを構成する単位コイルの配置が第3実施形態と異なっている。尚、第3実施形態と実質的に同一の構成には同一の符号を付すとともに、図11および図12をも参照しながら説明を省略する。
本変形例では、第3実施形態と同様に(図11参照)、U相コイル5、V相コイル6、W相コイル7は、直列に接続された4個の単位コイルで形成されるコイル群5a、6a、7aと、同じく直列に接続された4個の単位コイルで形成されたコイル群5b、6b、7bとの並列回路により形成されている。但し、第3実施形態では同一のコイル群(例えばコイル群5a)に属する各単位コイル(5a1、5a2、5a3、5a4)は互いに隣接して巻装されていたのに対し(図12参照)、本変形例では、図19に示すように、異なるコイル群の各単位コイルが交互に巻装されている。つまり、例えばコイル群5aを形成する各単位コイル5a1、5a2、5a3、5a4は、コイル群5bを形成する各単位コイル5b1、5b2、5b3、5b4の何れかに隣接した状態で固定子鉄心22に巻装されている(いわゆる隔極巻線、或いは隔極接続)。
このため、第3実施形態ではコイル群間に接触が発生するおそれがある部位は2箇所(電源端子側、中性点側の単位コイル間)であったのに対して、本変形例では、コイル群間において短絡または部分放電が発生するおそれがある部位の数が多くなっている。
このような構成の固定子であっても、同相異並列回路間絶縁試験を実施することにより、コイル群間の絶縁状態に異常が生じていない、すなわち、コイル群間(同相異並列回路間)に短絡または部分放電が発生するおそれが低減された高品質な固定子および永久磁石電動機を製造することができる。
特に、本変形例のような構成の場合、電位差が大きい単位コイル(例えば5a1と5b4)が隣接して配置されているので、その間の絶縁に異常が生じると部分放電が発生しやすくなるが、同相異並列回路間絶縁試験を実施することにより、そのおそれを低減することができる。
勿論、同相異並列回路間絶縁試験の実施対象となる固定子は、単位コイルの数や巻装方法が第3実施形態或いは本変形例に限定されず、3つ以上のコイル群が設けられた構成でもよいし、各コイル群には5個以上或いは3個以下の単位コイルが設けられた構成でもよい。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について、図14に基づいて説明する。第4実施形態では、永久磁石電動機の構成、および、固定子コイル絶縁試験工程を行う点が、第1実施形態と異なっている。尚、第4実施形態の永久磁石電動機の構成は第3実施形態と同一であるので、図12も参照しながら説明する。また、第1実施形態と実質的に同一の製造工程(ステップ)には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
第4実施形態の永久磁石電動機は、第3実施形態と同様に、3本の導線(同相並列導線)で形成されたコイル群(同相異並列回路)が、電源端子と中性点との間に複数設けられている(図12参照)。
図14は、第4実施形態による永久磁石電動機の製造工程を示している。
まず第1実施形態と同様に、コイル巻装工程(S101)、コイルエンド成形工程(S102)、第1レーシング工程が行われる(S103)。この状態では、各相のコイルには電源端子および中性点がまだ形成されていないため、両端部の各導線は解けた状態になっている。
このように、各導線が解けた状態で、固定子コイル絶縁試験工程が行われる(S401)。この固定子コイル絶縁試験工程では、実質的には同相並列導線間絶縁試験工程(第1実施形態のS104相当)、3相間絶縁試験工程(第2実施形態のS201相当)、および同相異並列回路間絶縁試験工程(第3実施形態のS302相当)が行われる。ただし、本実施形態では、各導線をグループ分けすることなく、全ての組み合わせについて絶縁試験を行っている。これにより、絶縁試験の作業工数は増加するものの、全ての導線間の絶縁状態が検査されるため、製造される固定子の品質、引いては永久磁石電動機の品質を高めることが可能になる。
固定子コイル絶縁試験工程が終了すると、各相のコイルに電源端子を装着する3相リード線かしめ工程(S105)、中性点かしめ工程(S106)、中性点を絶縁する中性点絶縁工程(S107)が行われる。尚、ステップS105の工程と、ステップS106およびS107の工程とは、工程順を入れ替えてもよい。その後、第2レーシング工程(S108)、総合絶縁試験・検査工程(S109)、ワニス含浸工程(S110)、ステータ検査工程(S111)を経て、固定子が完成する。そして、完成した固定子を回転子とともに筐体に組み込むことにより、永久磁石電動機が製造される。
このように、第3実施形態では、同相並列導線間絶縁試験工程を実施しているので、同相のコイルにおける導線間の絶縁異常が検査された高品質な固定子および永久磁石電動機を製造することができるなど、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
特に、第4実施形態では、同相並列導線間絶縁試験工程、同相異並列回路間絶縁試験工程、3相間絶縁試験工程の3種類の絶縁試験を行っているので、より高品質な固定子および永久磁石電動機を製造することができる。
また、同相内および異相間の絶縁試験においては、ともに全ての導線の組み合わせについて絶縁試験を行っているので、さらに永久磁石電動機の品質を向上させ、信頼性を高めることができる。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について、図15および図16に基づいて説明する。第5実施形態では、相ごとおよび同相異並列回路ごとに導線を短絡する短絡工程、および短絡工程で短絡した導線の短絡を解除する短絡解除工程を行う点が、第4実施形態と異なっている。尚、第5実施形態の永久磁石電動機の構成は第3実施形態と同一であるので、図12も参照しながら説明する。また、第1実施形態と実質的に同一の製造工程(ステップ)には同一の符号を付し、説明を省略する。
第5実施形態の永久磁石電動機は、第3実施形態と同様に、3本の導線(同相並列導線)で形成されたコイル群(同相異並列回路)が、電源端子と中性点との間に複数設けられている(図12参照)。
図15は、第5実施形態による永久磁石電動機の製造工程を示している。
まず第1実施形態と同様に、コイル巻装工程(S101)、コイルエンド成形工程(S102)、第1レーシング工程が行われる(S103)。この状態では、各相のコイルには電源端子および中性点がまだ形成されていないため、両端部の各導線は解けた状態になっている。この状態で、同相並列導線間絶縁試験工程が行われる(S104)。同相並列導線間絶縁試験工程では、導線の全ての組み合わせ、或いはグループ分けしたグループ間の組み合わせについて絶縁試験が行われる。
続いて、相ごとおよび同相異並列回路(コイル群)ごとに導線を短絡する短絡工程が行われる(S501)。この短絡工程では、相ごとおよびコイル群ごとに、コイル群の何れか一方の端部が短絡される。本実施形態では、図16に示すように、U相コイル5のコイル群は中性点が形成される側の端部UTa、UTb、V相コイル6のコイル群は電源端子が接続される側の端部VTa、YTb、W相コイル7のコイル群は電源端子が接続される側の端部WTa、WTbがそれぞれ短絡されている。このとき、各相のコイルは、コイルエンド、又はコイルエンドの近傍において短絡されている。
これらの短絡箇所(UTa、UTb、VTa、VTb、WTa、WTb)は、次の絶縁試験(S502)において各相のコイルの端部への接触が容易になる位置を基準にすればよく、必ずしも本実施形態と同じ箇所を短絡する必要はない。尚、図16では、説明の簡略化のために、それぞれ3本の導線で形成されている各相のコイルを、1本の実線で示している。
そして、図15に示すように、3相間・同相異並列回路間絶縁試験工程(S502)において、3相間絶縁試験工程(第2実施形態のS201相当)、および同相異並列回路間絶縁試験工程(第3実施形態のS302相当)が行われる。この3相間・同相異並列回路間絶縁試験工程では、各コイル群はいずれか一方の端部が短絡されているので、グループ分けされた導線間で絶縁試験を行うのと同等になり、作業工数の短縮を図ることが可能になる。
3相間・同相異並列回路間絶縁試験工程が終了すると、各相のコイルに電源端子を装着する3相リード線かしめ工程(S105)、中性点かしめ工程(S106)、中性点を絶縁する中性点絶縁工程(S107)が行われる。尚、ステップS105の工程と、ステップS106およびS107の工程とは、工程順を入れ替えてもよい。その後、第2レーシング工程(S108)、総合絶縁試験・検査工程(S109)、ワニス含浸工程(S110)、ステータ検査工程(S111)を経て、固定子が完成する。そして、完成した固定子を回転子とともに筐体に組み込むことにより、永久磁石電動機が製造される。
このように、第5実施形態では、同相並列導線間絶縁試験工程を実施しているので、同相のコイルにおける導線間の絶縁異常が検査された高品質な固定子および永久磁石電動機を製造することができるなど、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
特に、短絡工程では、各相のコイルをコイルエンド又はその近傍で短絡するので、実運転時に近い接続状態で絶縁試験を行うことができる。
また、各相のコイルは絶縁試験装置が設置されている場所までの長さが必要ではなくなるので、コイルの全長を短くすることが可能になり、コストの削減および資源の節約ができる。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について、図17に基づいて説明する。第6実施形態では、同相並列導線間試験の代わりに、同相異並列回路間絶縁試験を行う点が、第1実施形態と異なっている。尚、第6実施形態の永久磁石電動機の構成は第3実施形態と同一であるので、図12も参照しながら説明する。また、第1実施形態と実質的に同一の製造工程(ステップ)には同一の符号を付し、説明を省略する。
第6実施形態の永久磁石電動機は、第3実施形態と同様に、3本の導線(同相並列導線)で形成されたコイル群(同相異並列回路)が、電源端子と中性点との間に複数設けられている(図12参照)。
図17は、第6実施形態による永久磁石電動機の製造工程を示している。
まず第1実施形態と同様に、コイル巻装工程(S101)、コイルエンド成形工程(S102)、中性点かしめ工程(S106)、中性点を絶縁する中性点絶縁工程(S107)が行われる。尚、ステップS102の工程と、ステップS106およびS107の工程とは、工程順を入れ替えてもよい。
続いて、レーシング工程が行われる(S601)。このレーシング工程では、既に中性点かしめ工程(S106)およびと中性点絶縁工程(S107)とが行われていることから、中性点は、コイルエンドの所定の位置に配置され、各相のコイルとともに糸で緊縛して固定される。つまり、ステップS601のレーシング工程では、上記した第1レーシング工程(S103)と第2レーシング工程(S108)とがまとめて実施されている。
そして、同相異並列回路間絶縁試験工程が行われる(S602)。この同相異並列回路間絶縁試験工程は、第3実施形態のステップS302と実質的に同一内容の絶縁試験である。その後、各相のコイルに電源端子を接続する3相リード線かしめ工程(S603)が行われる。
このようにして同相異並列回路間絶縁試験工程が行われた後、総合絶縁試験・検査工程(S109)、ワニス含浸工程(S110)、ステータ検査工程(S111)を経て、固定子が完成する。そして、完成した固定子を回転子とともに筐体に組み込むことにより、永久磁石電動機が製造される。
以上説明した第6実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
第6実施形態では、各コイル群間、すなわち、同相異並列回路間の絶縁状態を検査する同相異並列回路間絶縁試験工程を実施しているので、コイル群間の絶縁状態に異常が生じていない、換言すると、コイル群間に短絡または部分放電が発生するおそれが低減された高品質な永久磁石電動機および固定子を製造することができる。
特に、第6実施形態では、各コイル群間、すなわち、同相異並列回路間のみの絶縁状態を検査する同相異並列回路間絶縁試験工程を実施しているので、作業工数を削減することができる。
また、中性点かしめ工程後に同相異並列回路間絶縁試験工程を行っているので、各相のコイルの各導線は既に短絡されているので、各コイル間には1回の絶縁試験で十分であり、作業工数をさらに削減することができる。
(その他の実施形態)
本発明は、以上説明した各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能であり、例えば以下のように変形または拡張することができる。
インバータ駆動方式の3相の永久磁石電動機の製造工程に適用した例を示したが、相数や駆動方式などはこれに限定されず、例えば単相の回転電機、アウターロータ型電動機、誘導電動機、或いは発電機など、回転電機全般に適用することができる。
各相のコイルを形成する導線の数は、各実施形態に限定されない。導線の本数が増えた場合、各導線をグループ分けして絶縁状態を検査することにより、効果的に作業工数を削減することができる。このとき、導線をグループ分けする基準は、グループ間の絶縁状態を検査することで導線間の絶縁状態を検査することになるような組み合わせにすればよい。
また、各相のコイルを形成するコイル群の数(同相異並列回路の数)は、各実施形態に限定されない。また、各コイル群が多数で形成されている場合には、導線間の絶縁試験と同様に、各コイル群をグループ分けするようにしてもよい。
グループ分けをする場合、必ずしも各導線や各コイル群を物理的に接続する必要はなく、例えば2本の導線、或いは2つのコイル群を、接続端子に同時に接続することでグループ分けするようにしてもよい。或いは、各導線あるいは各コイル群のグループ分けは、第2実施形態において図9に示したように物理的に接続する代わりに、絶縁試験装置内で該当する導線やコイル群を電気的に接続するようにしてもよい。
必ずしも、各導線の組み合わせ全てについて絶縁試験を行う必要はなく、各導線のうちいくつかの導線を抽出し、抽出した導線間に対してのみ絶縁試験を行うようにしてもよい。例えば、3本の導線で構成されている場合、同相並列導線間絶縁試験工程において異常が検出されなかったときには(同相のコイル内の絶縁状態が正常)、3相間絶縁試験工程において、各相の導線から1本又は2本の導線を抽出し、それらの導線間で絶縁状態を検査することで異相間の絶縁状態を検査することが可能となり、作業工数を削減することができる。
絶縁試験装置に同時に接続する導線の数は、各実施形態に限定されない。また、絶縁試験の工程において、各導線の組み合わせを自動で切り替える治具を絶縁試験装置に付加すると、作業効率を大幅に改善することができる。
絶縁試験では、耐電圧試験や部分放電試験を必ずしも含む必要はなく、必要に応じて他の試験を追加してもよい。
図面中、1永久磁石電動機(回転電機)、2、21は固定子、4、22は固定子鉄心(鉄心)、5はU相コイル(コイル)、6はV相コイル(コイル)、7はW相コイル(コイル)、51、52、53、6b3、71、72、73、7a1、7a2、7a3、7b1、7b2、7b3は導線、5a、5b、6a、6b、7a、7bはコイル群(同相異並列回路)を示す。

Claims (7)

  1. 複数の導線を電気的に並列に接続してなるコイルが鉄心に複数相巻装されて構成される回転電機の製造方法であって、
    前記コイルは、同相内に、それぞれ電気的に並列に接続され、それぞれに中性点が形成される複数の同相異並列回路を備え、
    前記鉄心に前記コイルを巻装するコイル巻装工程およびコイルエンドを成形するコイルエンド成形工程の後に、同相の前記コイル内における前記同相異並列回路間の絶縁状態を検査する同相異並列回路間絶縁試験工程を含むことを特徴とする回転電機の製造方法。
  2. 各相の前記コイルをまとめて中性点を形成する中性点かしめ工程の前に、同相の前記コイル内において前記導線間の絶縁状態を検査する同相並列導線間絶縁試験工程を含むことを特徴とする請求項1記載の回転電機の製造方法。
  3. 異相の前記コイル間の絶縁状態を検査する異相間絶縁試験工程を含むことを特徴とする請求項1または2記載の回転電機の製造方法。
  4. 各相の前記コイルをかしめるかしめ工程と、前記同相異並列回路間絶縁試験工程と、前記かしめ工程においてかしめた各相の前記コイルのかしめを解除するかしめ解除工程と、を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の回転電機の製造方法。
  5. 前記同相異並列回路間絶縁試験工程において、前記コイルに設けられている複数の前記導線間の絶縁状態を、前記導線間の全ての組み合わせ、又はいくつかの組み合わせについて検査することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の回転電機の製造方法。
  6. 請求項1から5のいずれか一項記載の回転電機の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする回転電機。
  7. 請求項1から5のいずれか一項記載の回転電機の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする回転電機の固定子。
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