JP5426100B2 - 成形構造体 - Google Patents

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本発明は、建築用、産業用、自動車用などの窓材さらには鏡などに用いられる親水性、防曇性、セルフクリーニング性を有する成形構造体に関する。
従来、ガラス表面に親水性,防曇性などを付与する技術としては、例えば特許文献1に開示されているような界面活性剤を含む防曇剤を、対象物にスプレーして水に対する濡れ性を向上させ、微細な水滴を生じさせない方法が知られている。
また、浴室に設置される鏡の防曇性を向上する技術としてでは、特許文献2に開示されているような、鏡裏面にヒータを配置することでヒータにより鏡表面を加熱し、常に露点以上の温度に保つ方法が知られている。
更に、このような親水性、防曇性、セルフクリーニング性を付与する技術としては、特許文献3に開示されているような、ガラス基板表面に光触媒機能を有するTiOを積層し、光触媒活性を利用して機能を向上させる技術が知られている。
ガラス表面にガラスとは異なる物質を積層または塗布して、機能を付与する技術としては、前述の光触媒機能を積層する技術のほか、特許文献4に開示されているように、シリカやジルコニア、チタニア、アルミナといった金属酸化物マトリックスと、光触媒活性を有する酸化チタンなどからなる超微粒子を組み合わせてガラス表面に薄膜として形成し、金属酸化物自体と親水性と光触媒により防曇性、セルフクリーニング性を向上させる技術が知られている。
一方、ガラス表面にガラスとは異なる物質を積層や塗布する技術のほかに、特許文献5に開示されているような微細な凹凸を形成することで防曇処理を行う技術が知られている。この技術は、ガラス表面層でイオン交換によってガラス強化層とともに微細な凹凸を形成し、ガラス強化層からのイオンの溶出と相まってガラス表面の親水性を向上させて防曇効果を高めるものである。
微細な凹凸を形成する技術としては、さらに特許文献6に開示されているように、Sn濃度が2%以下のガラスといった制約はあるものの、凹凸構造が原子間力顕微鏡で測定したときに凹凸の平均高さおよび平均幅や中心線平均粗さRaを所定値に形成することで、ガラス表面を親水化し、機能を向上させる技術が知られている。
微細な凹凸を形成するもう一つの技術としては、特許文献7に開示されているように、ナノメータサイズの微細な構造物によって親水性を維持できる技術が知られている。この技術は、可視光線の波長以下の短い凹凸構造を構成することにより、乱反射の影響を抑え反射防止機能を得る一方、被覆する基材の選択により超親水性を得ている。
特開2004−263008号公報 実公平7−42365号公報 特開2002−201045号公報 特開2004−2104号公報 特開2003−261358号公報 特開2000−262368号公報 特開2007−187868号公報
前述した特許文献1の技術では、手軽に表面を親水性に変えることが可能であるものの、所詮スプレーであるので効力の持続性に欠けるという問題がある。
特許文献2の技術は防曇効果が絶大であるが、価格が高く、さらに電力消費も大きく、用途は限られるという問題がある。
特許文献3の技術は、機能を発現させるためには、効率の良い光触媒活性が必要不可欠であり、光触媒材料に応じて十分な紫外線量が必要になるため、使用可能な場所が制約されるという問題がある。また、機能が失われた場合には、回復させるための紫外線量が必要であり、紫外線を補充するための設備が必要となることからコスト面でも不利になるという問題がある。
特許文献4の技術は、光触媒効果と金属酸化物の持つ親水性とを組み合わせたものであるが、前述したように十分な紫外線量が必要であるという問題点のほか、金属酸化物薄膜の構成が煩雑であることと、塗布作業が必要でコストがかかるという問題がある。またガラス表面は、汚れが付着した際、スポンジなどで磨き洗いをされる場合があり、その場合でも、薄膜の密着性や耐久性を確保するのは困難である。
特許文献5の技術では、ガラス表面の凹凸形成がイオン交換を利用したもので小さいため、さらに化学強化層のKの作用で親水化を図るもので、厳密に凹凸だけの効果で親水化されているとは言い難い。
特許文献6の技術では、ガラス表面のSn濃度が2%以下としているが、文献中にも記載されている通り、一般的に使われているガラス表面は、Sn濃度が10%以上であることから、特殊なガラスに関する技術であるという問題がある。また、ナノメータサイズの構造物であることから、凹凸構造の凸部に大きな力がかかるために破壊されやすく、自動車ミラー、建築用資材等へ適用する場合、基材表面に汚れが付着し、スポンジなどで磨き洗いされる場合の耐久性を確保することは困難である。
特許文献7の技術では、自動車用のミラーや建築資材等へ適用する場合、可視光線を念頭におく必要があり、凹凸構造から生じる回折光や、乱反射を抑え透過光成分のみを利用するためには、凹凸のピッチを300nm以下にしなければならないという制約ある。そのため、前述の特許文献6と同様、耐久性を確保することが困難である。さらに、耐久性だけでなく、破壊された箇所は可視光の波長以上のピッチとなってランダムに破壊されるため、光散乱の影響が発生し、基材の透過特性を失うという問題もある。
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、その目的は、スプレーや薄膜の塗布や、電気的な手段に頼ることなく、基材表面の構造だけで、親水性、防曇性、セルフクリーニング性を発現する成形構造体を低コストで、かつ自動車のミラーや建築用資材として十分な耐久性を持ち、さらに良好な光学透過特性を持つ成形構造体を提供することを目的とする。
本発明は、以下のものに関する。
(1)基材と、この基材表面に形成される溝とを備え、上記溝が、溝の最大幅を可視光の最短波長以下とし、隣接する溝間の最小幅を可視光の最長波長以上とする成形構造体。
(2)項(1)において、基材が、透明である成形構造体。
(3)項(1)又は(2)において、溝が、基材を除去加工して得られる成形構造体。
(4)項(1)乃至(3)の何れかにおいて、溝が、略円形の連続螺旋状又は複数の相似形状である成形構造体。
(5)項(1)乃至(4)の何れかにおいて、基材が、裏面に反射材を有する成形構造体。
本発明によれば、親水性、防曇性、セルフクリーニング性を発現する成形構造体を実現できる。また、本発明による溝構造は、隣接する溝間の幅を大きくとることができるため、高い耐久性の親水性基材を実現できる。更に、光の回折、屈折により、可視光帯域の波長の干渉や散乱の影響を低減できる。
基材が透明である場合は、表面に溝が形成されてあっても、基材自体の透明性を損なうことがない。
溝が略円形の連続螺旋状又は複数の相似形状である場合は、熱と回転ステージを利用することができ、低コストで溝が形成された成形構造体を提供することが可能になる。
基材が裏面に反射材を有する場合は、防曇性を有する鏡も実現可能になり、自動車のミラーや建築資材等においても適用できるようになる成形構造体を提供することが可能になる。
本発明における基材とは、熱成形できる素材、又は活性エネルギー線によって重合して硬化する素材が考えられ、その一例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ガラス強化ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶性ポリマー、フッ素樹脂、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミド、アクリロニトリル等の熱可塑性樹脂、及びこれらを2種以上ブレンドした材料、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂、及びこれらを2種以上ブレンドした材料、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート樹脂等の光硬化性樹脂を用いることができる。
また、ガラス等の無機系透明材料を用いることも可能であり、ここで言うガラスとは、ケイ砂(SiO)を主成分とするものであれば、ソーダガラス、クリスタルガラス、硼珪酸ガラス等、特に限定されずに使うことができる。
本発明における溝は、基材表面に形成された構造によって生じる光の回折、屈折から発生する干渉波長または散乱を制御するものである。本発明の成形構造体は、図1に示すように、基材1の表面に溝4が形成され、その最大の溝幅wは可視光の最短波長以下で保たれ、且つ、隣接する溝間最小幅dを可視光の最長波長以上で構成されている。
周期的な溝構造から生じる波動の回折・屈折による干渉の影響は下記式(1)で定義できる。
ここで、dは隣接する溝間の幅であり、λは波長、αは入射角、βは出射角、nは整数であり、干渉波長は隣接する溝間の幅で決定されることが分かる。
そのため、隣接する溝間の幅を可視光線の最長波長以上にした場合、可視光域での干渉の影響を低減することが出来る。
[数1] dsinα+dsinβ=nλ・・・式(1)
溝幅は可視光線の最短波長以下にすることにより、回折の式(2)から、可視光が凹部に入射した時に回折される角度θは180度以上になり、回折や屈折の影響なく、良好な透過特性を持った成形構造体が実現できる。
式(1)、(2)において、媒質nに波長λの光が入射すると、媒質内を通過する波長λは媒質nだけ短くなる。すなわち、基材表面に形成される最適な溝形状は、媒質nによって決定される。
[数2] θ=sin−1(nλ/d)・・・式(2)
図2(a)〜(e)に、隣接する溝間の幅を変化させた時の、光の回折、屈折によって生じる干渉の影響の計算例を示す。図2に示す計算では、(a)が溝構造なし、(b)が隣接する溝間の幅を300nm、(c)が隣接する溝間の幅を500nm、(d)が隣接する溝間の幅を1μm、(e)が隣接する溝間の幅を4μmとした。この時、溝幅は(b)〜(e)まで全て、250nm、深さは240nmで行った。計算に使用した波長は、λ=400nmを用いた。
尚、計算例は、図中下方から光が入射し、媒質内を通過し、Z=4μmから上方へ出射していく時の波動の状態を示す。
図2(a)に凹凸構造のない平面基材の計算例を示す。この計算例では、回折、屈折の影響が発生しないことから、波動が直進していることがわかる。すなわち、基材が透明材料の場合は、透明性が維持されるのは言うまでもない。
図2(b)は隣接する溝間の幅が300nmの場合の計算例を示す。このピッチは、可視光の最短波長以下である。この場合は、実回折波が発生しないため反射防止効果が得られ、また回折、屈折の影響がなく波動が直進することが確認できる。
図2(c)は隣接する溝間の幅が500nmの場合の計算例を示す。このピッチは、可視光の波長領域内である。この場合は、溝構造によって波動が乱され、回折や干渉が発生していることから、高透過性を得ることができず、透明材料の場合は透明性が維持できないことを示している。
図2(d)は隣接する溝間の幅が1μmの場合の計算例を示す。このピッチは、可視光の最長波長以上である。この場合は、凹凸構造によって波動が乱されず、ほぼ直進することがわかる。
図2(e)は隣接する溝間の幅が4μmの場合の計算例を示す、この場合は、凹凸構造による波動の乱れが、1μmの場合に比べてさらに少なくなり、直進することがわかる。すなわち、凹部のピッチが1μmや4μmのように可視光の最長波長以上である場合には、光の回折、屈折、干渉が抑えられることがわかり、基材が透明材料の場合には、透明性が維持されることを示している。
以上から、溝構造における光の回折、屈折によって生じる干渉の影響を低減するには、溝幅が可視光の最短波長以下で、且つ、隣接する溝間の幅が可視光の最大波長以上で構成することが有効である。更に、溝構造の基材表面をスポンジで磨き洗いする際の耐久性を向上させるには、溝と溝との間の相対的に凸となる部分の幅を出来る限り大きくする、すなわち、溝幅が出来る限り小さく、凹部のピッチを出来る限り大きくすることが必要である。
尚、本発明にて述べる可視光は、個人差があるものの、概ね短波長では360〜400nm、長波長では800から830nmの範囲を示している。
また、溝幅は、400nm以下、特に360nm以下が好ましく、隣接する溝間の幅は800nm以上、特に830nm以上であることが望ましい。
本発明における溝は、基材自体の表面に形成されるものであり、基材表面に溝を形成するために表面に基材とは異なる物質を積層、塗布等により加えるものは除外される。但し、加工の途中段階では他物質を積層されるか、塗布され、最終的には基材自体で凹凸が形成されるものは、本発明に同じものである。
本発明における透明の基材は、前述した基材のうち、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート、アクリロニトリル、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート樹脂、ガラス等を用いることができる。
本発明における成形構造体は、親水性を有する。ここで述べる親水性とは、数μリットルの液滴を基板上に滴下したときの液滴端部と基板とのなす接触角の大小のことをいうのではなく、比較的大量の水を基板上にかけたとき、例えば3秒後でも水が凝集しないで膜状に維持される、すなわち水膜が途切れないように維持される状態のことを言う。
凹凸のある表面の濡れ性を考える場合、Cassie−Baxterの取り扱いとなる場合と、Wenzelの取り扱いになる場合とがある。
Cassie−Baxterの取り扱いとは、凹凸構造の溝が深くなり、毛管現象によって水が深い溝の底まで到達できず、水滴の下に空気が残る場合である。この場合には、平らな表面上での接触角よりも凹凸表面上での接触角が大きくなってしまう。したがって、本発明のような凹凸のある基材表面で、数μリットルの液滴を基板上に滴下したときの液滴端部と基板とのなす接触角を測定する場合は、Cassie−Baxterの取り扱いとなる。しかしながら、現実の生活レベルでは数μリットルの液滴が一滴だけ滴下されるケースは稀で、ほとんどの場合が水を大量にかけた状態になるので、Cassie−Baxterの取り扱いを使って、その表面の親水性や濡れ性を正しく評価することはできないと言える。
一方、Wenzelの取り扱いとは、凹凸構造の上に置かれた液体がその固体表面と完全に接触する場合である。これは、前述したCassie−Baxterの取り扱いのような空気の介在がない状態で、表面の凹凸構造によって、実表面積が見掛けの表面積に比べて大きくなると、濡れが強調される。現実の生活レベルでは、水を大量にかけ、表面に付着した水はその自重の影響で、空気をほとんど追い出す状態となる。したがって、本発明における親水性の評価では、このようなWenzelの取り扱いで評価した場合に、水膜が途切れないように維持される状態を親水性があるものとして扱う。
本発明における除去加工とは、基材表面に直接、溝を形成する方法であれば限定されない。除去加工によって溝を形成する方法としては、サンドブラストやケミカルエッチングや機械的エッチングが用いられる。また最近ではナノスケールの微細加工として、光リソグラフィー法、電子線リソグラフィー法によりパターンを基材表面に転写し、さらに反応性イオンエッチング(RIE)により凹凸を形成する方法が用いられる。さらに熱リソグラフィー法を用いてガラスに直接除去加工する方法が用いてもよい。
さらに、基材とは別の素材に溝を形成してマスターとし、そのマスターを反転した後、その反転物の形状を基材に転写する加工方法を用いることができる。
サンドブラストは、圧縮空気と研磨材を混合してノズルから噴射させる工法で、噴射された研磨材が基材に高速に衝突することにより除去加工を行うものである。研磨材としては、微粒子のシリカ、微粒子のアルミナ等を使用することができる。
ケミカルエッチングとは、ガラスと例えば酸、アルカリ、過酸化物の溶液に浸漬あるいはその溶液を加熱した際に発生する蒸気に接触させ、その化学反応によって表面処理を行う方法である。使用する溶液としては、塩酸、硫酸、硫化アンモニウム、フッ酸、フッ化ホウ素、ケイフッ化水素酸等の水溶液がある。
機械的エッチングとは、機械的に表面を研磨あるいは侵食させる方法であるが、金属酸化物粒子、研磨紙、研磨材、ナイロン不織布、たわしなど基材表面に目視で確認できないくらいの微細に加工できるものなら何を使用しても構わない。また、研磨材としては、微粒子のシリカ、微粒子のアルミナ等を使用することができる。
光リソグラフィー法や電子線リソグラフィー法を用いてパターンを転写し、RIEまでの一連のプロセスは以下の通りである。基材上に、例えばスピンコートにより感光性のフォトレジストを塗布し、さらに予め別の手段で製作したフォトマスクを重ねる。そして、この段階でレーザー光や電子線を用いて露光する。光リソグラフィー法では、転写の解像度を向上させるため、エキシマレーザ等の短波長のレーザー光源が用いられる。電子線リソグラフィー法は、レーザー光も用いる方法よりもさらに高解像度を得られる。またビーム自体が細いので、フォトマスクが不要になるといった利点があるが、一方で、高真空雰囲気や高電圧等の設備が必要で、大面積への加工には不向きである。このような方法での露光を行い、感光した箇所を取り除くことでパターンの転写が完了する。その後、RIEを行い、フォトレジストやフォトマスクを除去して、所望の溝を得ることができる。
RIEとは、真空中で発生させたプラズマからイオンを取り出しエッチングを行う方法である。プラズマが起きると、化学的に活性なラジカルやイオンが出来、+イオンは負の電位である基材に向けて加速され、高速で基材に激突し、ラジカルは基材と反応し、蒸発し、基材が気化してエッチングが進行する。この反応はイオンの当たるところ(直進方向)で、活発に起こり、側面ではわずかしか起きない。その結果、イオンの飛行方向にエッチングが進行し、パターンに忠実なエッチングが行われる。
熱リソグラフィー法は、図3、図4に示すように、半導体レーザー8を対物レンズ7等のレンズを使用して収束させ、レーザー光6を反射及び透過させる偏光ビームスプリッター14を有するレーザーユニット5等を用いるもので、レーザー光6の集光スポット11内に生じた温度分布13を利用する方法である。光を物体に照射した場合、その物体が光を吸収すると、光のエネルギーは熱に変換される。レンズによって集光された光強度分布はガウス分布となるため、物体が光を吸収した発熱で生じる温度分布13も同様となる。したがって、ある温度以上の領域をスポットの大きさよりも小さくすることができ、その微小領域12内で化学的、物理的な反応を起こさせることによって微細な除去加工が可能になる。レーザー光6を当てる基材1は、テーブル10に回転可能に保持された回転ステージ9に載置し、基材1を回転させながらレーザー光6を当てることで連続した溝を形成可能となる。尚、熱の分布はレーザー光のパワーや基板の移動速度に依存するため、所望の溝形状に応じて選択する必要があることは言うまでもない。
尚、深さは溝構造に依存して、親水性や回折、屈折による干渉の影響にも依存するため、アスペクト比(幅/深さ)が0.1〜10であることが望ましい。
より具体的には、熱リソグラフィー法を用いて作成する場合、まず基材表面に異種材料をスパッタリング、蒸着、スピンコート、その他コーティング技術を用いて、表面に異種材料で構成される多層構造膜を形成する。そして、この多層構造膜に熱リソグラフィー法を使って、所定の集光箇所を急激に加熱し、多層構造膜と共に基板の表層側の一部が除去されることで凹凸が基材上に形成される。尚、保護マスクとして働いた多層構造膜は、エッチング、研磨によって除去されることで、最終的には基材と溝とが単一体である成形構造体を得ることができる。
転写して基材に所定の溝を形成する方法としては、まずマスターを作製する。
マスターには、前述してきた除去加工を使い、マスターに所定の溝の最大幅と隣接する溝間の最小幅となり、基材が所期の機能を発現できるように溝を形成する。素材としては樹脂材料であっても無機材料であっても限定されないが、寸法精度などを考慮するとシリコン基板が望ましい。
次に、マスターからの反転物を作製する。マスターの形状を精密に反転できる方法であれば限定されないが、ニッケル電鋳などが用いられる。ニッケル電鋳は、スルファミン酸ニッケル浴中でマスター表面にメッキを施す方法である。そしてこのメッキをマスターから引き剥がすことで反転物を得ることができる。尚、スルファミン酸ニッケルは皮膜の内部応力が小さいため、素材から引き剥がしやすく電鋳には好適である。
さらに、この反転物を型として用いることで、溝を基材に転写し所定の成形構造体を得ることができる。型からの転写方法としては、型や基材を加熱して、プレス成形、射出成形、注入成形などが用いられる。
本発明における溝の配置は、縦横、斜め、曲線など特に限定されないが、図5に示すような略円形の配置の場合には、半径方向の凹部2のピッチdは可視光線の最長波長以上で保持され、凹部2の溝幅wは可視光線の最短波長以下に保たれて、凹部が渦巻状や同心円状に配置されている状態をいう。その略円形に配置された領域の幅や直径や範囲は特に限定されない。また、半円状や1/4円状であっても略円状の配置であるし、この配置から、三角形や四角形に切り取った場合も該当する。要するに、凹凸が略円形に配置されていれば、基材の外形は限定されない。このような配置は、基材を回転ステージに搭載して加工する場合や、加工手段を基材に対して回転させる場合に容易に作成することが可能であるが、これは、縦横(X−Y)方向に加工する場合に比べて加工時間が短くなり、加工コストを低減できるメリットがある。
溝の形状は、特に限定されるものではないが、丸溝であることが好ましく、成形を行いやすい。ここで述べる丸溝とは、基材が熱などで溶かされた作製された凹み形状のことを言い、その形状や深さは伝熱の状態により決定されるが、その最大幅が、可視光の最短波長以下であれば特に限定されない。また、この丸溝の配列が連続した線状であるとは、基材が熱などで溶かされ作製された凹部が略線状に連なった溝であることを言い、その形状や深さは伝熱の状態により決定される。尚、本発明における凹部は、丸溝のピッチP、丸溝の径をDとすると、P<Dのときは丸溝同士が重なり線状の凹部を形成することができる。
本発明における反射材とは、鏡として用いられるものであれば特に限定されない。鏡の製法は、湿式と乾式とに分類される。湿式では無電解メッキにより反射材として銀メッキを施すことが一般的である。乾式では真空炉中で、反射材としてアルミやクロムやプラチナ、チタンなどの金属、または、アルミやクロムや銀やチタンや鉄やプラチナを主成分とする合金をスパッタリングや蒸着により基板に堆積させる方法である。
[実施例1]
成形構造体の製造手順について説明する。最初に、スピンコータを用いてガラス板(石英ガラス)の上にフォトレジストを1μm塗布した。このとき使用したフォトレジストは東京応化製のOFRP800−5cpを用いた。次に、スパッタリング装置を用いて、熱リソグラフィー層の成膜を行った。ここで用いた熱リソグラフィー層は、酸化白金を主成分とする多層膜を成膜した。成膜後、図3に示す作製装置を用いてナノメータサイズの凹凸構造の描画を行った。
成形構造体を得るために、回転半径方向の凹部のピッチが1μmの凹凸パターンを描画した。このとき凹部になる溝幅は、150nm〜300nmで作製した。ここで、凹部は線状になるように、光のスポット径以下の微細なドット形状を描画し、ドット形状が繋がるようにして描画した。このときの描画条件は、描画時のレーザー強度15mW、回転速度3m/s、描画パルス幅は10ns、描画周波数30MHzの条件で行った。
次に、図3に示した作製装置を用いて作製した後、反応性エッチング装置を用いて、ガラス基板へのナノ凹凸構造の加工を行った。このとき用いた反応性ガスはCF、O、CHFなどのガスを用いた。ナノ凹凸構造の溝の深さは、およそ150nm〜300nmであった。
図6に作製した成形構造体のSEM写真を示す。回転半径方向の凹部のピッチが1μmで凹部の溝幅は250nm、深さは150nmであった。
[実施例2]
実施例1と同様に方法で、回転方向の凹部のピッチが2μmの凹凸パターンを描画した。
図7に作製した実施例のSEM写真を示す。回転半径方向のピッチが2μmで凹部の溝幅は250nm、深さは150nmであった。
[比較例]
比較例として、凹凸構造が形成されていない有限会社ホーマインターナショナル製の溶融石英ガラスを用いた。
(接触角測定)
比較例、実施例1、実施例2の接触角を測定した。接触角測定には、接触角測定装置エルマ製G−1/2MG型を使用し、液滴1μリットルを基材表面に滴下し測定した。その結果、比較例は58度、実施例1は43度、実施例2は44度であり、凹凸構造により若干接触角が低下した。但し、この測定方法は前述したCassie−Baxterの取り扱いとなり、後述するWenzelの取り扱いとは状態が異なる。本発明では、Wenzelの取り扱いでの状態を見て親水性を評価する。
(親水性評価)
比較例、実施例1、実施例2にコップ一杯の水をかけて、その後の水の凝集状態を観察した。その結果、比較例は水をかけた直後から水が凝集を始め、3分後には水が点々と弾いた状態が観察され、親水性は観察されなかった。実施例1、実施例2は、水をかけた直後から水が濡れ広がり、3分後でも濡れ広がりが維持され、水の凝集は観察されず、高い親水性が観察された。
(耐磨耗性評価)
実施例1、実施例2の表面に水をかけながらスポンジで100往復擦った後、その表面のSEM写真を図8、図9に示す。実施例1、実施例2ともに、凹凸構造は損なわれていないことがわかる。また、実施例1、実施例2ともに、親水性も維持されていることが観察された。以上のことから、このような凹凸構造は実用的な耐久性があると言える。
(透明性評価)
実施例1、実施例2の透明性の確認結果を図10に示す。図10(a)が回転半径方向の凹部のピッチが1μmで実施例1と同じ構造であり、図10(b)が回転半径方向の凹部のピッチが2μmで実施例2と同じ構造である。双方ともに表面に凹凸構造があるにも拘らず、透明性が維持されていることがわかる。
本発明の凹凸構造の模式図である。 凹凸構造による波動の状態を示す計算例である。 実施例の製造装置の模式図である。 製造装置のスポット内の光強度分布と熱分布を示す模式図である。 本発明の凹凸構造の別の模式図である。 実施例1の凹凸構造を示すSEM写真である。 実施例2の凹凸構造を示すSEM写真である。 耐磨耗性評価後の実施例1の凹凸構造を示すSEM写真である。 耐磨耗性評価後の実施例2の凹凸構造を示すSEM写真である。 実施例1、実施例2の透明性を示す写真である。
符号の説明
1…基材、2…凹部、3…凸部、4…溝、5…レーザーユニット、6…レーザー光、7…対物レンズ、8…半導体レーザー、9…回転ステージ、10…テーブル、11…集光スポット、12…微小領域、13…温度分布、14…偏光ビームスプリッター

Claims (6)

  1. 基材と、この基材表面に形成される溝とを備え、上記溝が、溝の最大幅を400nm以下とし、隣接する溝間の最小幅を800nm以上とするものであり、かつ、上記溝が、最大幅400nm以下の丸溝が基材自体の表面に連続配列して連なった線状の溝である成形構造体。
  2. 請求項1において、基材が、透明である成形構造体。
  3. 請求項1又は2において、溝が、基材を除去加工して得られる成形構造体。
  4. 請求項3において、基材がガラスであり、溝が、熱リソグラフィー層として酸化白金を含有する層を用いた熱リソグラフィー法により、基材を除去加工して得られる成形構造体。
  5. 請求項1乃至の何れかにおいて、溝が、略円形の連続螺旋状又は複数の相似形状である成形構造体。
  6. 請求項1乃至の何れかにおいて、基材が、裏面に反射材を有する成形構造体。
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