JP5422266B2 - 生体吸収性インプラント及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、生体吸収性インプラント及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、骨との結合能力に優れ、骨組織を速やかに再生することができる生体吸収性インプラント及びその製造方法に関する。
生体吸収性インプラントに関する先行技術としては、例えばセラミックススラリーに界面活性剤を添加し、攪拌して発泡させ、乾燥し、そして焼成してリン酸カルシウム多孔体を作成する技術が知られている(特許文献1参照)。
別の先行技術として、揮発性溶媒に有機ポリマーを溶解し、無機粉粒を分散させた懸濁液から繊維集合体を作り、加熱下で加圧成形して多孔質の繊維集合成形体とし、揮発性溶媒に浸漬して繊維同士を溶着させて多孔体を作成する有機−無機複合多孔体及びその製造技術が知られている(特許文献2参照)。
さらに別の先行技術として、外科及びその他の医療分野で使用する、生吸着性重合成分の表面に生物活性充填材を埋設した生分解性材料部材に関する技術(特許文献3参照)、多孔性のポリマー組成物又は熱可塑性組成物と成長促進組成物とを含む生体適合性インプラントに関する技術(特許文献4参照)、ラクタイド含有ポリマーから成る医療材料(特許文献5参照)、及び生体吸収性ポリマー及び生体活性セラミックフィラーの複合材料から成る生体吸収性インプラントに関する技術(特許文献6参照)も知られている。
特許第2597355号 特開2003−159321 特表2005−508219 特表2004−531292 WO99/61082 特表2006−516435
例えば、特許文献1に記載のものでは、セラミックススラリーの泡の形状がそのまま多孔体の骨格部分と成っているため、気孔の連通性に優れているが、セラミックスであるため脆く、カケ等が生じ易く、耐久性に問題がある。また、気孔の連通部分を大きくするために気孔率を高くすると、強度が極端に低下するという問題がある。
また、特許文献2に記載のものでは、繊維が絡み合った構造となっており、繊維の隙間が気孔部分となるため、気孔の連通性に優れており、また、ポリマーを基材としているためにセラミックスのような脆さがない。しかし、細い繊維の集合体であるため、強度的に不十分であるという問題がある。
そこで、本発明は、このような先行技術の問題点を解決して、骨癒合を促進させる大きな気孔連通部をもちしかも強度の高い生体吸収性インプラント及びその製造方法を提供することを目的としている。
前記の課題を解決するために、本発明の第1の発明による生体吸収性インプラントは、
生体吸収性ポリマー中に生体活性セラミックス粉末が均一に分散した複合体から成る多孔体であり、
前記吸収性ポリマーはポリ−L−乳酸であって、その重量平均分子量は30,000〜300,000であり、その結晶化度は30〜70%であり、
前記生体活性セラミックス粉末がβ-リン酸三カルシウムであって、前記生体吸収性ポリマーと前記生体活性セラミックスとの合計質量に対して前記生体活性セラミックスの含有量が20〜70質量%であり、生体活性セラミックス粉末の平均粒径が0.1〜5μmであり、
気孔率が45〜75%であり、
気孔同士の連通部分の径が100〜250μmであり、
連通した気孔が気孔全体の95%以上であり、
圧縮強度が〜25MPaであり、
前記多孔体において、圧縮方向の変位量が10%の時の圧縮強度が最大圧縮強度の50%以上であることを特徴としている。
本発明の第2の発明によれば、生体吸収性インプラントの製造方法が提供され、この方法は、生体吸収性ポリマーと生体活性セラミックス粉末を生体吸収性ポリマーの融点以上の温度で加熱混練して複合体を作製する工程1と、工程1で得られた複合体を粒径50〜600μmに顆粒化する工程2と、工程2で得られた複合体顆粒と粒径200〜650μmの水溶性物質の顆粒を混合する工程3と、工程3で得られた顆粒混合物をポリマーのガラス転移温度以上でしかも融点以下の成形温度で加熱しながら10〜100MPaの成形圧力で加圧し、成形体を作製する工程4と、工程4で得られた成形体を水に浸漬して水溶性物質を溶出する工程5と、を含むことを特徴としている。
本発明の第1の発明による生体吸収性インプラントにおいては、生体吸収性ポリマー中に生体活性セラミックス粉末が分散した複合体から成る多孔体であり、気孔率が45〜75%であり、気孔同士の連通部分の径が100〜250μmであり、連通した気孔が気孔全体の95%以上であり、圧縮強度が1MPa以上であるように構成したことにより、大きな気孔連通部が形成できしかも高い強度をもたらすことができ、その結果、補填操作時や補填後における破損を防ぐことができる。また、補填後には生体組織が容易に浸入して早期に骨癒合させることができ、生体吸収性インプラントして非常に有用なものを提供できるようになる。
また、本発明の第2の発明によれば、生体吸収性インプラントの製造方法においては、生体吸収性ポリマーと生体活性セラミックス粉末を生体吸収性ポリマーの融点以上の温度で加熱混練して複合体を作製し、この複合体を粒径50μm以上に顆粒化し、こうして得た複合体顆粒と粒径200μm以上の可溶性物質の顆粒を混合して得られた顆粒混合物をポリマーのガラス転移温度以上でしかも融点以下の成形温度で加熱しながら10MPa以上の成形圧力で加圧し、成形体を作製し、そしてこの成形体を前記可溶性物質が溶解する溶媒に浸漬して可溶性物質を溶出することにより多孔体としている。これにより、可溶性物質の顆粒同士が接していた部分が気孔の連通部分となり、複合体顆粒の粒径を50μm以上とすることで、可溶性物質の顆粒同士の隙間に複合体顆粒が入り込み難くなり、広いすなわち大きな連通部分を確保することができるようになる。また成形圧力を10MPa以上とし、成形温度をポリマーのガラス転移温度以上でしかも融点以下とすることにより、複合体の潰れ具合を制御し、可溶性物質の顆粒同士の隙間への複合体の圧入状態を調整することができ、連通部分の径の微調整が可能となる。その結果、実質的に全ての可溶性物質の顆粒が互いに連結した状態となり、連通した気孔は気孔全体の95%以上を確保することができるようになる。
本発明における成形温度の設定例を示すグラフ。 気孔部分を模式的に示す図。 図2の細部IIIの拡大図。
本発明に係る生体吸収性インプラントは、生体吸収性ポリマーと前記生体吸収性ポリマーに分散した生体活性セラミックスとを含有して成る多孔体から形成される。この多孔体は、生体吸収性ポリマーと前記生体吸収性ポリマーに分散した生体活性セラミックスとを含有して成る複合体に多数の気孔が形成された多孔体であり、換言すると、前記複合体を主骨格とする多孔体である。そして、本発明に係る生体吸収性インプラントは、この多孔体のまま、又は、この多孔体を成形等して、形成される。
前記多孔体は、前記複合体を主骨格とし、前記複合体の表面及び内部に複数の気孔が形成された多孔質構造を有している。この多孔質構造は、複数の気孔が連通した連通部が形成された連通孔を有している。多孔質構造が連通孔を有していると、生体吸収性インプラントとされた多孔体内に生体組織が侵入可能になる。気孔同士の連通は規則的であっても不規則的であってよい。また、一部の気孔は独立して、すなわち、他の気孔と連通していなくてもよく、一部の気孔は数個の他の気孔と連通していてもよい。
このような多孔質構造を有する多孔体の気孔率は、45〜75%である。前記気孔率が45%未満であると、後述する連通部の径が著しく小さくなって生体吸収性インプラントとされたときに高い骨癒合性を発揮することができないことがあり、一方、75%を超えると、前記複合体量が少なくなって強度が著しく低下することがある。前記骨癒合性と前記強度とをより一層高い水準で両立することができる点で、前記気孔率は、45〜65%であるのが好ましく、45〜55%であるのが特に好ましい。多孔体の気孔率は、多孔体に含有される前記生体吸収性ポリマー及び前記生体活性セラミックスの各質量割合とそれぞれの密度とから算出される真密度と、多孔体の質量及び体積から算出される見掛け密度とから、式 (1−見掛け密度/真密度)×100(%)により、算出される。
前記多孔体において、気孔が連通して成る連通部の径(以下、連通径と称することがある。)は100〜250μmである。前記連通径が100μmを下回ると、生体組織の侵入が容易でない場合があるため好ましくない、又、250μmを越えると、多孔体の強度が不足する場合があるため好ましくない。生体組織の侵入性と多孔体強度のバランスの点で前記連通径は、100〜200μmであるのが好ましい。
前記連通径は、隣接する気孔が連通して形成された、前記気孔径よりも径の小さな部分、通常、最も径の小さくなる部分であり、水銀ポロシメーターによって平均換算直径として測定される。
前記多孔体は、その圧縮強度が1MPa以上である。前記圧縮強度が1MPa以上であると生体吸収性インプラントとされたときに生体内に補填される部位及び多様な用途等にかかわらず損壊しにくくなる。したがって、この多孔体で形成される生体吸収性インプラントは、多様な補填部位及び多様な用途に問題なく使用することができる。前記圧縮強度は、8MPa以上であるのが好ましく、その上限値は特に限定されないが、例えば、25MPaとすることができる。圧縮強度は、直径10mm×高さ10mmの円柱体を成す多孔体又は測定対象の多孔体と同様にして前記寸法の円柱体を成す試験体を作製し、この多孔体又は試験体をロードセルを用いて1mm/minの速さで圧縮応力を負荷して、応力−ひずみ曲線を作成し、この曲線において応力が最大となった点から算出される。
前記多孔体において、圧縮方向の変位量が10%の時の圧縮強度が前記最大圧縮強度の50%以上であると、補填時及び補填後に荷重がかかった際に容易に崩壊しない点で好ましい。
前記生体吸収性ポリマーは、より生体吸収性に優れ、生体内でより容易に分解・吸収されより速やかに生体組織に置換される生体吸収性インプラントとすることができる点で、ポリ乳酸、ポリグリコール酸及びポリ−ε−カプロラクトンの少なくとも一種の重合体であるのが好ましく、補填時の損壊等が生じにくい生体吸収性インプラントとすることができる点で、ポリ−L−乳酸が特に好ましい。
本発明の生体吸収性インプラントは、生体吸収性ポリマー中に生体活性セラミックス粉末を均一に分散させた複合体から成る多孔体を有している。生体吸収性ポリマーとしては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ−ε−カプロラクトン及びポリブチルサクシネートからなる群より選択される少なくとも一種の重合体、並びに/又は、乳酸、グリコール酸、ε−カプロラクトン、及びポリ−L−乳酸が用いられ得る。)
前記生体吸収性ポリマーは、使用する目的に応じて、使用するポリマーの種類及び平均分子量等によって生体吸収性インプラントの分解速度及び強度等を適宜に調整することができる。例えば、前記生体吸収性ポリマーがポリ−L−乳酸である場合には、その重量平均分子量は、30,000〜300,000であるのが好ましい。前記範囲内で重量平均分子量を調整することにより分解速度を調整することができるから、生体内で適度な速度で分解・吸収され、生体組織への置換が十分かつ速やかな生体吸収性インプラントとすることができる。分子量が30万以上になると、生体内での分解吸収が遅く、生体骨への置換が速やかに行われないため好ましくない。一方、分子量が3万を下回ると、生体内での分解吸収が早くなりすぎ、骨欠損部に充分な新生骨が形成される前に移植した材料が分解吸収されてしまい、骨欠損部の治療が充分に行えないため好ましくない。
また、ポリ−L−乳酸の結晶化度は、前記重量平均分子量と同様の理由から、30〜70%であるのが好ましく、30〜65%であるのがさらに好ましく、30〜55%であるのが特に好ましい。結晶化度が70%を超えると、生体内での分解吸収が遅く、生体骨への置換が速やかに行われないため好ましくない。又、30%を下回ると、生体内での分解吸収が早くなりすぎ、骨欠損部に充分な新生骨が形成される前に移植した材料が分解吸収されてしまい、骨欠損部の治療が充分に行えないため好ましくない。前記重量平均分子量はゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された標準ポリスチレン換算分子量であり、前記結晶化度は示差走査熱量計により測定される結晶融解に伴う吸熱量及び結晶生成に伴う発熱量から算出された値である。
前記生体活性セラミックスは、生体吸収性インプラントを生体内に補填後、生体組織に結合され、置換されるセラミックスであればよく、リン酸カルシウム系セラミック、炭酸カルシウム系セラミック、バイオガラス等が挙げられる。前記生体活性セラミックスは、リン酸カルシウム系セラミック及び炭酸カルシウム系セラミック、バイオガラスからなる群より選択される少なくとも一種であるのが好ましく、これらの中でも、生体内で速やかに分解・吸収され、生体組織に置換される生体吸収性インプラントとすることができる点で、リン酸カルシウム系セラミックが好ましい。リン酸カルシウム系セラミックとしては、例えば、α−リン酸三カルシウム、β−リン酸三カルシウム、水酸アパタイト、リン酸四カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム等が挙げられ、生体内で特に速やかに分解・吸収される生体吸収性インプラントとすることができる点で、β−リン酸三カルシウムが特に好ましい。前記炭酸カルシウム系セラミックとしては、例えば、炭酸カルシウム等が挙げられ、前記バイオガラスとしては、例えば、SiO−CaO−NaO−P系ガラス、SiO−CaO−NaO−P−KO−MgO系ガラス、及び、SiO−CaO−Al−P系ガラス等が挙げられる。前記生体活性セラミックスは、一種単独で使用することもできるし、また、二種以上を併用することもできる。
前記セラミックスは、前記生体吸収性ポリマーと実質的に均一に混合可能な点で、前記セラミックスを粉砕又は破砕等して成るセラミックス粉末であるのがよい。セラミックス粉末の形態及び平均粒径は、前記生体吸収性ポリマーと実質的に均一に混合可能な形状及び平均粒径であればよく、例えば、球状、楕円状、扁平球状及び多面体状等の形状が挙げられ、例えば、その平均粒径は0.1〜5μmの範囲内にあるのがよい。平均粒径が5μmを超えると、セラミックス粒子が粗大であり生体吸収性ポリマー中での均一な分散が困難になるため好ましくない。又、0.1μmを下回ると、セラミックス粒子同士が凝集してしまい、生体吸収性ポリマー中での均一な分散が困難になるため好ましくない。なお、前記の平均粒径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(商品名「LA−750」、株式会社堀場製作所製)によって測定することができる。
前記複合体は、前記生体吸収性ポリマーと前記生体活性セラミックスとに加えて、本発明の目的を損なわない範囲で、これら以外の成分例えば分散剤等を含有してもよい。
前記複合体において、前記生体活性セラミックスは、前記生体吸収性ポリマーと前記生体活性セラミックスとの合計質量に対して、20〜70質量%含有されているのが好ましい。前記範囲で生体活性セラミックスが生体吸収性ポリマーに含有されると生体吸収性インプラントが高い骨癒合性を発揮する。前記生体活性セラミックスは、前記生体吸収性ポリマーと前記生体活性セラミックスとの合計質量に対して、70質量%を越えると多孔体が脆く崩壊しやすくなるため好ましくない。又、20質量%を下回ると十分な生体活性が得られないため好ましくない。樹脂材料に無機粒子を混ぜ込んでいくと、ある割合までは強度が向上するが、同時に柔軟性が低下し、割合が過剰になると脆く低強度となる。例えば、含有量30質量%の生体吸収性インプラントよりも60質量%品のものの方が高強度であっても、変位10%時の強度割合は低下(柔軟性が低下)することがある。
前記複合体において、前記生体吸収性ポリマー中における前記生体活性セラミックスの分散状態は、その表面及び内部に実質的に均一に分散しているのが好ましい。前記生体活性セラミックスが前記生体吸収性ポリマー中に「実質的に均一に分散している」とは、前記複合体の表面及び内部を複数観察したときに、各観測点において、本発明の目的を達成することができる限りにおいて前記生体活性セラミックスが不均一な存在率等で分散していてもよく、前記生体活性セラミックスが正確に一定の存在率等で分散していることを要するものではない。
前記生体吸収性インプラントは、前記特性を満足する前記多孔体のままとされ、又は、前記多孔体を所望の形状に成形して製造される。したがって、本発明に係る生体吸収性インプラントもこの多孔体と同様に前記特性を満足している。前記所望の形状は、補填される部位の形状と同様の形状、又は、この形状に相当する形状例えば相似形等が挙げられ、具体的には、顆粒状、粉末状、繊維状、ブロック状又はフィルム状等が挙げられる。
本発明に係る生体吸収性インプラントは、前記多孔体から形成され、前記特性を有し、特に、前記範囲の比較的大きな連通径、気孔率及び気孔径を有しているから、生体内に埋設されると、生体組織が容易に侵入して速やかに置換され早期に癒合することができる。また、本発明に係る生体吸収性インプラントは、前記多孔体から形成され、前記特性を有し、特に、前記範囲の圧縮強度を有しているから、補填時にも、また多様な補填部位及び用途等に使用されても、損壊しにくい。したがって、本発明に係る生体吸収性インプラントは、生体内に補填される生体インプラントとして、非常に有用である。そして、前記特性を満足する前記多孔体は、優れた骨癒合性と高い強度とを併せ持つ生体吸収性インプラント又はその材料として非常に好適に用いられる。
本発明の生体吸収性インプラントは次のようにして製造される。
まず生体吸収性ポリマーと生体活性セラミックス粉末を生体吸収性ポリマーの融点以上の温度で加熱混練して複合体を作製する。次に、この複合体を粒径50μm以上に顆粒化する。こうして得た複合体顆粒と粒径200μm以上の可溶性物質の顆粒を混合して顆粒混合物を作る。
生体吸収性重合体粉末等と生体活性セラミック粉末とを用いてなる前記「複合体顆粒」の形成方法は特に限定されず、例えば、生体吸収性重合体粉末等と生体活性セラミック粉末とをドライブレンド等により混合し、その後、押出機等を用いて、生体吸収性重合体の融点等に基づく所定温度で溶融混練し、次いで、凍結粉砕等により粉砕する方法などが挙げられる。複合顆粒の形成に生体吸収性重合体粉末を用いる場合、この粉末の平均粒径は、重合体の種類等にもより特に限定されないが、100〜500μm、特に200〜400μmとすることができる。また、生体活性セラミック粉末の平均粒径も、セラミックの種類等にもより特に限定されないが、0.5〜10μm、特に1〜5μmとすることができる。
本発明に係る製造方法においては、まず、生体吸収性ポリマー及び生体活性セラミックスを準備する。生体吸収性ポリマー及び生体活性セラミックスは、前記した、本発明に係る生体吸収性インプラントにおける生体吸収性ポリマー及び生体活性セラミックスと基本的に同様である。生体吸収性ポリマー及び生体活性セラミックスは、顆粒(粉末)、ペレット等の形態であってもよいが、これらを容易に混合することができる点で、顆粒であるのがよく、生体吸収性ポリマーよりも生体活性セラミックスの方が小さな粒径を有しているのがよい。生体吸収性ポリマー及び生体活性セラミックスは、例えば、凍結粉砕等の公知の粉砕方法又は破砕方法等で顆粒とされ、この顆粒を所望により例えば篩等によって分級することができる。生体吸収性ポリマーの顆粒は、その粒径が、例えば、100〜500μmに、生体活性セラミックスの粒径は、その粒径が、例えば、0.1〜100μm程度、好ましくは0.5〜10μm程度にすることができる。
本発明に係る製造方法においては、このようにして準備した生体吸収性ポリマー及び生体活性セラミックスを混合して、複合体を調製する。生体吸収性ポリマーと生体活性セラミックスとの混合は、例えば、加熱混練方法、より具体的には、ドライブレンド等によって混合した後に押出機等を用いて所定温度で溶融混練する方法が挙げられる。前記所定温度は、生体吸収性ポリマーの融点以上であると、生体吸収性ポリマー中に生体活性セラミックスが分散した複合体を調製することができる。この混合工程において、生体吸収性ポリマーと生体活性セラミックスとの混合割合は、これらの合計質量に対して、生体活性セラミックスが20〜70質量%であるのがよい。この範囲で生体活性セラミックスが生体吸収性ポリマーと混合されると、製造される生体吸収性インプラントが高い骨癒合性を発揮する。
本発明に係る製造方法においては、次いで、調製した複合体を粉砕又は破砕等して顆粒状にする。複合体は、凍結粉砕等の公知の粉砕方法又は破砕方法等で粉砕又は破砕されて顆粒とされ、この顆粒を所望により例えば篩等によって分級することができる。複合体の顆粒の粒径は、50μm以上にすることができ、その上限は600μmに設定することができる。
本発明に係る製造方法においては、このようにして調製した複合体の顆粒と可溶性物質の顆粒とを混合して顆粒混合物を調製する。混合方法は、複合体の顆粒と可溶性物質の顆粒とを混合できれば特に限定されず、ドライブレンド法等の乾式混合等が挙げられる。
この工程で用いられる可溶性物質からなる顆粒の粒径は200μm以上とするとよく、250〜650μm、特に350〜550μmであることが好ましい。可溶性物質の粒径が大きくなると、複合体顆粒との均一混合が困難となり、多孔体とした際の強度が低下する。平均粒径が250〜650μmであれば、所定の気孔率を有し、且つ所定孔径の気孔が三次元的に連通し、この連通部が十分な平均連通径を備える多孔体とすることができる。これにより、十分な強度を有し、補填操作時に損壊することがなく、ハンドリング性に優れ、且つ補填後、生体組織が容易に侵入し、生体組織に速やかに置換され、早期に癒合する生体吸収性インプラント材とすることができる。
可溶性物質は、後述する溶媒に溶解する物質であればよく、例えば、前記溶媒が水系溶媒である場合には水溶性化合物、前記溶媒が有機溶媒である場合には有機化合物等が挙げられる。前記水溶性化合物としては、例えば、糖類、セルロース類、タンパク質、無機化合物、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイド、スルホン化ポリイソプレン、スルホン化ポリイソプレン共重合体等が挙げられる。前記糖類としては、例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、デキストリン及び澱粉等の多糖類、ショ糖、麦芽糖、乳糖及びマンニット等が挙げられ、前記セルロース類としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース及びメチルセルロース等が挙げられ、前記無機化合物としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の塩類が挙げられる。前記有機化合物としては、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル等の樹脂等が挙げられる。これらの可溶性物質は、後述する顆粒混合物の成形時において、成形温度下で溶着する程度のガラス転移点又は融点を有していると、成形体中に気孔の連通部となる可溶性物質の溶着部である気孔形成部分が容易に形成されるので、前記可溶性物質は成形時の成形温度を考慮して選択されるのが好ましい。可溶性物質は、一種単独で使用することもできるし、また、二種以上を併用することもできる。
これらの可溶性物質は、複合体と容易に混合することができる点で、粉砕又は破砕等して顆粒にされる。可溶性物質は、凍結粉砕等の公知の粉砕方法又は破砕方法等で粉砕又は破砕されて顆粒にされ、この顆粒を所望により例えば篩等によって分級することができる。
本発明に係る製造方法においては、次いで、得られた顆粒混合物を加熱下で加圧成形して、成形体を得る。成形方法は、特に限定されず、例えば、金型プレス等を用いる方法が挙げられる。成形温度は、複合体の顆粒が溶融する温度以上であればよく、例えば、前記生体吸収性ポリマーのガラス転移点Tg以上である。その上限値は特に限定されず、例えば、前記生体吸収性ポリマーの融点以下に設定することができる。成形温度については、成形温度が融点を超えると、成形時に生体吸収性ポリマーが溶融してしまい、成形が不可能となる。又、成形温度がガラス転移温度を下回ると、生体吸収性ポリマーが容易に変形せず、成形が不可能となる。例えば生体吸収性ポリマーがポリ−L−乳酸の場合、図1に示すようにDMAにより測定したガラス転移温度が60℃、融点が167℃であるため、成形温度は70〜160℃が好ましい。なお、生体吸収性ポリマーのガラス転移点Tgは、JIS K7121により測定することができる。成形圧力は、特に限定されず、10MPa以上とすることができ、その上限は例えば100MPaに設定することができる。10MPa未満を下回ると、複合体顆粒同士の溶着が不充分であり、得られる多孔体の強度が著しく低くなるため好ましくない。
このようにして成形された成形体は、複合体の生体吸収性ポリマーが溶着してなる骨格部分と可溶性物質が溶着してなる気孔形成部分とから成り、前記骨格部分の内部又は表面に前記生体活性セラミックスが実質的に均一に分散されている。
本発明に係る製造方法においては、次いで、得られた成形体を前記可溶性物質が溶解する溶媒に浸漬して、前記可溶性物質を溶出させる。成形体の浸漬方法は、特に限定されず、前記溶媒の中に成形体をそのまま浸漬させてもよく、また、前記溶媒を攪拌してもよい。このとき、溶媒に浸漬させる成形体は、前記可溶性物質を溶出することができる程度の量であればよく、例えば、溶媒の質量に対して1〜10質量%の割合である。浸漬条件は特に限定されず、例えば室温下で前記可溶性物質が溶出するまで行うことができる。
この工程において用いられる溶媒は、前記可溶性物質の種類に応じて選択される。例えば、可溶性物質として水溶性化合物を用いる場合には、この水溶性化合物を溶解させる水系溶媒、例えば、水、アルコール、アルコール水等が挙げられる。一方、可溶性物質として有機化合物を用いる場合には、この有機化合物を溶解させ、かつ前記生体吸収性ポリマーを溶解させない有機溶媒、例えば、前記生体吸収性ポリマーとしてポリ−L−乳酸を用いる場合には、アセトン、イソプロパノール等が挙げられる。生体吸収性インプラントは生体内に補填されるから、前記溶媒は、水系溶媒であるのが好ましく、水であるのが特に好ましい。
成形体を前記溶媒に浸漬させると、成形体を構成する可溶性物質すなわち前記気孔形成部分が徐々に溶出して、三次元的に連通した連通孔が形成され、複合体からなる骨格部分が残存した多孔質構造を有する多孔体となる。そして、この多孔体は、前記範囲の気孔率、気孔径及び連通径を有する複数の連通気孔を有し、1MPa以上の圧縮強度を発揮する。
本発明に係る製造方法においては、所望により、浸漬処理の後に、得られた多孔体の洗浄工程、乾燥工程等の後処理を行うこともできる。乾燥工程は、例えば、20〜60℃での減圧乾燥、加熱乾燥を採用できる。
本発明に係る製造方法においては、このようにして製造された多孔体又は乾燥した多孔体をそのまま、本発明に係る生体吸収性インプラントとすることができる。また、本発明に係る製造方法においては、所望により、前記のようにして製造された多孔体又は乾燥した多孔体を、補填部等の形状と同様の形状等に整形して、本発明に係る生体吸収性インプラントとすることもできる。
本発明に係る生体吸収性インプラント及びその製造方法は、前記開示内容に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
以下、幾つかの実施例を比較例と共に表1に示す。
Figure 0005422266
平均粒径約350μm、重量平均分子量280,000、結晶化度70%のポリ−L−乳酸(PLLAと表記することがある。)の顆粒と、平均粒径約2μmのβ−リン酸三カルシウム(以下、β−TCPと表記することがある。)の顆粒とを、質量比で70:30となるように混合し、200℃に加熱しながら混練して、ポリ−L−乳酸にβ−TCPが分散してなる複合体を作製した。この後、この複合体を凍結粉砕にて粉砕し、100〜600μmの粒径を有する顆粒を篩分けして、複合体の顆粒を得た。
この複合体の顆粒と、粒径350〜500μmのショ糖の顆粒とを、体積比で50:50となるように混合して、顆粒混合物を調製した。
次いで、この顆粒混合物を160℃で加熱しながら、40MPaの圧力で加圧成形して、成形体を得た。そして、この成形体1gを100mLの純水に12時間浸漬してショ糖を溶出させ、ポリ−L−乳酸/β−TCPからなる複合体を主骨格とする多孔体を得た。この多孔体を乾燥して、実施例1の生体吸収性インプラントを製造した。この生体吸収性インプラントを構成するポリ−L−乳酸の重量平均分子量は230,000、結晶化度は42%であった。
ポリ−L−乳酸の重量平均分子量はGPCにより測定した。GPC(東ソー社製、型式「HLC−8120GPC」)、及び、カラムとして、商品名「TSKgel Super HM−H」(東ソー社製)2本と、商品名「TSKgel Super 2000」(東ソー社製)1本とを直列に接続して使用した。測定は、クロロホルムを溶媒として、流速0.3mL/min、試料濃度0.5mg/mL、試料量10μL、カラム温度40℃の条件で行った。また、ポリ−L−乳酸結晶化度は、示差走査熱量計(リガク社製、型式「DSC8230」)を用いて、測定温度30〜200℃、昇温速度5℃/minの条件で測定した。
前記顆粒混合物を120℃で加熱しながら、20MPaの圧力で加圧成形した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の生体吸収性インプラントを製造した。この生体吸収性インプラントを構成するポリ−L−乳酸の重量平均分子量は250,000、結晶化度は40%であった。
前記複合体の顆粒とショ糖の顆粒との混合比を体積比で30:70、成形圧を60MPaに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の生体吸収性インプラントを製造した。実施例3の生体吸収性インプラントを構成するポリ−L−乳酸の重量平均分子量は220,000、結晶化度は45%であった。
前記複合体の顆粒の粒径を63〜600μm、成形圧を60MPaに変更した以外は、実施例1と同様にして実施例4の生体吸収性インプラントを製造した。実施例4の生体吸収性インプラントを構成するポリ−L−乳酸の重量平均分子量は230,000、結晶化度は41%であった。
前記ポリ−L−乳酸の顆粒と前記β−リン酸三カルシウムの顆粒との混合比を質量比で40:60、成形圧を60MPaに変更した以外は、実施例1と同様にして実施例5の生体吸収性インプラントを製造した。実施例5の生体吸収性インプラントを構成するポリ−L−乳酸の重量平均分子量は210,000、結晶化度は40%であった。
前記ポリ−L−乳酸の顆粒と前記β−リン酸三カルシウムの顆粒との混合比を質量比で80:20、成形圧を60MPaに変更した以外は、実施例1と同様にして実施例6の生体吸収性インプラントを製造した。実施例6の生体吸収性インプラントを構成するポリ−L−乳酸の重量平均分子量は240,000、結晶化度は43%であった。
前記複合体の顆粒の粒径を200〜500μm、ショ糖を粒径200〜500μm、成形圧を60MPaに変更した以外は、実施例1と同様にして実施例7の生体吸収性インプラントを製造した。実施例7の生体吸収性インプラントを構成するポリ−L−乳酸の重量平均分子量は220,000、結晶化度は38%であった。
ショ糖を粒径350〜500μmとし、前記顆粒混合物を120℃で加熱しながら、20MPaの圧力で加圧成形した以外は、実施例1と同様にして実施例8の生体吸収性インプラントを製造した。実施例8の生体吸収性インプラントを構成するポリ−L−乳酸の重量平均分子量は240,000、結晶化度は40%であった。
(比較例1)
前記複合体の顆粒の粒径を200μm以下、成形圧を60MPaに変更した以外は、実施例1と同様にして比較例1の生体吸収性インプラントを製造した。比較例1の生体吸収性インプラントを構成するポリ−L−乳酸の重量平均分子量は210,000、結晶化度は45%であった。
(比較例2)
ショ糖を粒径350μm以下、成形圧を60MPaに変更した以外は、実施例1と同様にして比較例2の生体吸収性インプラントを製造した。この生体吸収性インプラントを構成するポリ−L−乳酸の重量平均分子量は220,000、結晶化度は39%であった。
(比較例3)
前記顆粒混合物を120℃で加熱しながら、5MPaの圧力で加圧成形した以外は、実施例1と同様にして比較例3の生体吸収性インプラントを製造した。この生体吸収性インプラントを構成するポリ−L−乳酸の重量平均分子量は250,000、結晶化度は45%であった。
(比較例4)
前記顆粒混合物を50℃で加熱しながら、60MPaの圧力で加圧成形した以外は、実施例1と同様にして比較例4の生体吸収性インプラントを製造した。この生体吸収性インプラントを構成するポリ−L−乳酸の重量平均分子量は250,000、結晶化度は38%であった。
(比較例5)
前記複合体の顆粒の粒径を50μm以下、成形圧を60MPaに変更した以外は、実施例1と同様にして比較例5の生体吸収性インプラントを製造した。この生体吸収性インプラントを構成するポリ−L−乳酸の重量平均分子量は210,000、結晶化度は41%であった。
このようにして製造した実施例1〜8及び比較例1〜5の生体吸収性インプラントの気孔率、連通径、連通割合、圧縮強度及び強度割合を前記測定方法により測定し、その結果を第1表に示した。なお、連通径は、水銀ポロシメーター(マイクロメリティックス社製、型式「オートポアIV 9510」)を用いて、測定圧力2〜207MPaの条件で測定した。前記生体吸収性インプラントの気孔径は前記ショ糖の顆粒の粒径とほぼ同一であった。尚、表1中の強度割合とは最大圧縮強度に対する変位量10%での強度の割合を示す。
表1に示されるように、実施例1〜実施例8はいずれも、生体吸収性ポリマーと生体活性セラミックス粉末を生体吸収性ポリマーの融点以上の温度で加熱混練して複合体を作製し、複合体を粒径50μm以上に顆粒化し、複合体顆粒と粒径200μm以上の可溶性物質の顆粒を混合し、顆粒混合物をポリマーのガラス転移温度以上でしかも融点以下の成形温度で加熱しながら10MPa以上の成形圧力で加圧し、生体吸収性インプラントを製造している。したがって、実施例1〜8の生体吸収性インプラントはいずれも、気孔率が45〜75%の範囲内にあり、気孔同士の連通部分の径が100〜250μm以上であり、連通した気孔が気孔全体の95%以上であった。このように、これらの生体吸収性インプラントはいずれも、気孔率と気孔径と連通径とが比較的大きな値になっているから、生体内に補填されると、生体組織が容易に侵入することができ、その結果、優れた骨癒合性を発揮することが容易に推測される。また、これらの生体吸収性インプラントはいずれも、気孔率、気孔径及び連通径が比較的大きいにもかかわらず、1MPa以上の圧縮強度を有しており、補填時並びに補填後に多様な補填部位及び用途等にかかわらず損壊しにくいことが容易に推測される。
これに対して、比較例1の生体吸収性インプラントは、複合体の顆粒の粒径が小さいので、連通径が小さくなった。なお、比較例1では200μmより小さい複合体顆粒を使用しているため、50μmより小さい複合体顆粒も含まれている。このように連通径が小さいと、生体内に補填されても、生体組織が生体吸収性インプラントの内部にまで侵入しにくく、高い骨癒合性を発揮することができないと推測される。一方、比較例2の生体吸収性インプラントは、ショ糖の粒径が小さいので、連通径が小さかった。なお、比較例2では350μmより小さいショ糖を使用しているため、200μmより小さいショ糖も含まれている。
比較例3の生体吸収性インプラントは、成形圧が低く、複合体顆粒同士の溶着が不充分なため、圧縮強度が小さかった。比較例4の生体吸収性インプラントは、成形温度が低く、成形をすることができなかった。さらに、比較例5の生体吸収性インプラントは、複合体粒径が小さいので、連通径が小さくなった。
このように、気孔率、気孔径及び連通径のいずれかが前記範囲内にないと、生体内に補填されても、生体組織が生体吸収性インプラントに侵入することができず、優れた骨癒合性を発揮することができないと容易に推測される。

Claims (2)

  1. 生体吸収性ポリマー中に生体活性セラミックス粉末が均一に分散した複合体から成る多孔体であり、
    前記吸収性ポリマーはポリ−L−乳酸であって、その重量平均分子量は30,000〜300,000であり、その結晶化度は30〜70%であり、
    前記生体活性セラミックス粉末がβ-リン酸三カルシウムであって、前記生体吸収性ポリマーと前記生体活性セラミックスとの合計質量に対して前記生体活性セラミックスの含有量が20〜70質量%であり、生体活性セラミックス粉末の平均粒径が0.1〜5μmであり、
    気孔率が45〜75%であり、
    気孔同士の連通部分の径が100〜250μmであり、
    連通した気孔が気孔全体の95%以上であり、
    圧縮強度が〜25MPaであり、
    前記多孔体において、圧縮方向の変位量が10%の時の圧縮強度が最大圧縮強度の50%以上であることを特徴とする生体吸収性インプラント。
  2. 請求項1記載の生体吸収性インプラントの製造方法であって、
    前記生体吸収性ポリマーと前記生体活性セラミックス粉末を生体吸収性ポリマーの融点以上の温度で加熱混練して複合体を作製する工程1と、
    工程1で得られた複合体を粒径50〜600μmに顆粒化する工程2と、
    工程2で得られた複合体顆粒と粒径200〜650μmの水溶性物質の顆粒を混合する工程3と、
    工程3で得られた顆粒混合物をポリマーのガラス転移温度以上でしかも融点以下の成形温度で加熱しながら10〜100MPaの成形圧力で加圧し、成形体を作製する工程4と、
    工程4で得られた成形体を水に浸漬して水溶性物質を溶出する工程5と、
    を含むことを特徴とする生体吸収性インプラントの製造方法。
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