以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
まず、本発明の実施の形態を適用可能な管制HMIにおける4DTについて説明する。
図1は、4DTイメージ(出発空港から目的空港までの運航の場合)を示す図である。
図1に示すように、将来の航空交通では、航空機の一連の運航を空間・時間の4次元で表現した4DTが運用の中心になる。各航空機の運航情報は4DTに集約され、常に更新される。そのため、運航に関わるステークホルダ(管制官、運航者、空港ビル等)は4DTを参照して戦略的(長期的)に計画立案でき、従来の戦術的(短期的)な計画に基づく運用に比べ、業務効率化を図ることができる。また、運航に変更が生じた場合、即座に4DTは更新され、ステークホルダは最新の運航情報を入手し、早期に計画を修正、変更することができる。
例えば、出発機(A機)の目的空港の管制官は、A機が出発空港で地上走行を開始する前から、目的空港へのアプローチや着陸の経路や時刻を把握できる。また、遅延が発生した場合にも、到着遅れを早期に把握でき、A機の予定着陸時刻を他の予定到着機に割り当て、当該空港の滑走路利用効率を低下させない管制運用を戦略的に実施できる。このように、4DTを中心に航空交通の効率的な運用を実施することをTBO(Trajectory・Based・Operation、軌道ベース運用)と呼ぶ。
航空交通管制は、洋上管制、航空路管制、ターミナル管制、飛行場管制に分割され、それぞれの管制機関が連携することで、航空機の安全で遅延のない運航を支えている。現在、管制機関間の連携、及び、航空機との調整は、FPL(Flight・Plan、飛行計画)に基づく音声交信と部分的なデータ通信によって実施されている。
図2は、TBOに基づく管制運用イメージを示す図である。
図2に示すように、将来のTBOでは、各管制機関が4DTを参照・更新することによって一元的な運航管理が可能となる。また、従来の音声交信の一部が4DTに基づくデータ通信/データリンクに置き換わっていくことが想定され、管制官と運航者の作業負荷の軽減に役立つと考えられる。また、悪天や突発的事由による運航の急な変更も早期に把握することができ、従来よりも早期の計画変更が可能になり、より効率的な管制運用が可能になる。
4DTは、レーダやWAM(Wide・Area・Multilateration)、ADS−B(Automatic・Dependent・Surveillance・Broadcast)等の各種センサによって取得した航空機位置とFPLに基づいて管制支援システムによって計算されるが、管制官や運航者等の運航に係る意思決定者による確定・変更・修正等のシステム入力によって更新される。また、航空機との通信・データリンクによって取得する航空機意図情報のシステム入力による4DT更新も考えられる。
つまり、4DTとは、運航者や管制官の意図を具現化したシステム計算結果であり、将来時刻の(FPLと管制承認に基づく)計画値又は(計画値に基づく)予測値である。よって、TBOにおける管制業務とは、4DT(計画値又は予測値)に対して現在時刻の航空機の挙動を管制し、4DTを更新し、航空交通全体のバランス化と効率化を実現することである。
次に、TBOにおける管制官に対する4DT表示を実現する場合の課題(要件)について説明する。
最新の航空機は、FMS(Flight・Management・System)等により自機の運航に係る計画を基に4DTを計算し、コクピットのディスプレイに表示する。これと同様の形式で、管制画面上に、単一航空機の4DTについて経路(Waypoint/Fix等の経由点の連結)と各経由点の通過情報(時刻・高度等)を表示する方法(以下、方法a)が考えられる。この方法aは、交通量が多くない状況では、管制画面上の各航空機の4DT表示をON/OFFすることで交通状況を把握するのに役立つ。しかし、大規模空港や繁忙空域では、管制官の作業負荷が増える懸念もあり、有効な4DT表示とはいえない。また、管制官は複数の航空機の運航を制御する必要があるため、管制画面上では、他の航空機との間隔等が確認できなければならないが、この方法aでは、単一航空機の情報しか表示できない。
現状では、センサで検出した、又は、センサ検出情報を追尾処理した各機の情報(識別情報、位置、速度等)をFPL等と統合した情報を主として管制画面に表示している。そこで、上記の方法aを応用し、管制画面上の複数航空機(例えば、管制対象空港・空域の全航空機)の4DTについて経路(Waypoint/Fix等の経由点の連結)と各経由点の通過情報(時刻・高度等)を管制画面に表示する方法(以下、方法b)が考えられる。しかし、この方法bでは、管制画面上に大量の情報が表示され、表示情報が重畳する等、視認性が悪い。
戦術的(短期的)な交通制御を行うターミナル管制官や飛行場管制官は、即座の意思決定が求められる。そのため、上記の方法a,bは適切ではない。ここで、TBOにおけるターミナル・飛行場の管制官への4DT表示は、戦術的な管制に有用なものであり、かつ、一見して複数の航空機同士の関係性を認識できるものである必要がある。
従来の管制支援システムでは、管制主画面の各ターゲット(航空機)のデータブロック(各機の情報を表示する領域)に、経由点通過時刻について現状のまま飛行又は走行する場合の通過時刻と計画/予測通過時刻との差を表示する方法(以下、方法c)が用いられている。この方法cでは、各航空機について4DTを簡易的に表示しているといえる。しかし、この方法cでは、航空機同士の関係性認識に難がある。例えば、2本の経路が合流する状況において、経路Xの航空機A1と経路Yの航空機B1が共に計画/予測時刻から遅延している場合、A1とB1のいずれを先に合流させるかは管制官判断に任せられることになる。
また、従来のタイムラインによる順序付け・間隔付け結果(航空機を予定到着時刻順に並べたリスト)を、管制副画面又は主画面上のウィンドウに表示する方法(以下、方法d)では、管制官が管制主画面から視線を一旦外す必要があり、一見して複数の航空機同士の関係性を認識できるものではない。
特許文献1に記載の方法(以下、方法e)では、前述したように、複数アプローチ経路が合流する場合の状況認識向上を目的として、自経路に他経路の航空機位置を鏡像として表示し、合流における管制間隔確保を支援する。しかし、現在位置の鏡像を表示するので、計画/予測情報が管制官に示されない。そのため、方法cと同じく、合流方法は管制官判断に任せられる。さらに、ターミナル空域や飛行場付近の空域では、到着機と出発機の位置や速度等の関係を認識して、到着機と出発機の両方を管制する必要があるが、方法eでは出発機が考慮されていない。出発機以外にも、空港面の他の航空機や車両が滑走路を走行するタイミング、滑走路の閉鎖状況等を考慮して、到着機を管制する必要があるが、方法eでは何ら考慮されていない。
特許文献2に記載の方法(以下、方法f)では、前述したように、指定の通過位置における、航空機の推定到達時刻と目的到達時刻との時刻差Tに速度Vを乗算して距離L(=T×V)に変換し、自機の位置を表す自機シンボルに距離Lを付加して表示する。しかし、方法fでは、自機の目的到達時刻に基づいた表示しか行われず、他機を含む交通全体の調和が意図されていない。また、目的到達時刻と推定到達時刻との差分は表示するが、交通全体の調和のために、自機がどのように移動すべきかといった支援情報が表示されない。
仮に、上記の方法a〜fを、TBOにおけるターミナル・飛行場の管制官への4DT表示に適用したとしても、戦術的な管制に十分有用なシステムを実現することはできないし、一見して複数の航空機同士の関係性を認識できるシステムを実現することもできない。これに対し、本発明の実施の形態によれば、後述するように、戦術的な管制に有用であり、かつ、一見して複数の航空機同士の関係性を認識できるシステムを提供することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、具体的に説明する。
実施の形態1.
図3は、本実施の形態に係る画面出力システム100の構成を示すブロック図である。
図3において、画面出力システム100は、運航情報処理部101、追尾処理部102、環境情報処理部103、空間情報格納部104、運航ルール情報格納部105、移動体性能情報格納部106、4DT計算部107、4DT格納部108、表示処理部109、ユーザ入力処理部110、データリンク情報処理部111を備える。
図示していないが、画面出力システム100は、処理装置、記憶装置、入力装置、出力装置等のハードウェアを備える。ハードウェアは画面出力システム100の各部によって利用される。例えば、処理装置は、画面出力システム100の各部でデータや情報の演算、加工、読み取り、書き込み等を行うために利用される。記憶装置は、そのデータや情報を記憶するために利用される。また、入力装置は、そのデータや情報を入力するために、出力装置は、そのデータや情報を出力するために利用される。
運航情報処理部101は、移動体の運航(又は運行)計画及びその更新情報を外部システム又は運航者から入力装置を介して取得し、4DT計算部107へ出力する。
追尾処理部102は、移動体位置を検出するセンサからの検出位置又は外部システムからの検出位置等の入力を、入力装置を介して受け付け、追尾処理した移動体の位置情報を4DT計算部107へ出力する。
環境情報処理部103は、移動体の運航に関わる環境情報をセンサ又は外部システムから入力装置を介して取得し、4DT計算部107へ出力する。本実施の形態を航空交通の管制に適用する場合、環境情報としては、例えば、気象情報(風ベクトル、気温、気圧、降雨降水、天候等)が考えられる。本実施の形態を海上交通の管制に適用する場合、環境情報としては、例えば、気象情報に加えて潮流や水温等の情報が考えられる。
空間情報格納部104は、移動体の運航に関わる空間情報を記憶装置により格納する。空間情報とは、地図や計画経路の情報である。
運航ルール情報格納部105は、移動体の運航に関するルールを制約条件として記憶装置により格納する。
移動体性能情報格納部106は、移動体の個別情報(大きさや質量等)や移動に関わる性能情報(速度や加速度等)を記憶装置により格納する。
4DT計算部107は、運航情報処理部101、追尾処理部102、環境情報処理部103から出力される情報、空間情報格納部104、運航ルール情報格納部105、移動体性能情報格納部106に格納された情報を入力し、入力した情報から、後述する範囲情報121及び経路情報122を生成して4DT格納部108に格納する。そして、4DT計算部107は、4DT格納部108から範囲情報121及び経路情報122を読み出し、これらの情報に基づいて移動体の4DTを処理装置により計算する。また、必要に応じて、4DT支援情報(警報、推奨情報等)を処理装置により生成する。4DT計算部107は、計算結果や4DT支援情報を4DT格納部108及び表示処理部109へ出力する。
4DT格納部108は、4DT計算部107により生成される範囲情報121及び経路情報122を事前に(4DTの計算、4DT支援情報の生成のために)記憶装置により格納する。また、4DT格納部108は、4DT計算部107の計算結果、4DT計算部107から出力される4DT支援情報を記憶装置により格納する。
表示処理部109は、4DT計算部107の計算結果を入力として、表示情報を出力装置(表示デバイス)へ出力する。
ユーザ入力処理部110は、ユーザのシステム入力を、入力装置を介して受け付け、4DT計算部107へ出力する。ユーザ入力処理部110は、システム入力がデータリンクに関わる情報の場合は、システム入力をデータリンク情報処理部111へ出力する。
データリンク情報処理部111は、移動体からのデータリンク情報を入力として4DT計算部107と表示処理部109へ出力する。また、データリンク情報処理部111は、ユーザのシステム入力の内容と4DT計算部107の計算結果を移動体へ送信する。データリンク情報処理部111は、データリンク情報の検証も行う。
図3に示すように、4DT計算部107は、予測部131、特定部132、計算部133、生成部134を備える。
前述したように、4DT格納部108(記憶装置)は、範囲情報121と経路情報122とを予め記憶する。
範囲情報121は、少なくとも1つの移動体について、移動体が所定箇所Lに進入することが制限される予定の時刻の範囲を示す情報である。本実施の形態を航空交通の管制に適用する場合、移動体としては、航空機が考えられ、所定箇所Lとしては、空港の滑走路やスポット、航路上の特定の地点等が考えられる。本実施の形態を海上交通の管制に適用する場合、移動体としては、船舶が考えられ、所定箇所Lとしては、港や海上の係留施設(ドック)、航路上の特定の地点等が考えられる。なお、本実施の形態は、航空交通や海上交通の管制以外に適用することも可能であり、移動体としては、航空機や船舶以外に、車両、飛翔体、列車等が考えられる。
範囲情報121は、例えば、移動体が所定箇所Lに進入することが制限される予定の時刻の範囲として、他の移動体が所定箇所Lを使用する予定の時刻の範囲を示す情報を含む。範囲情報121は、例えば、他の移動体が所定箇所Lを使用する予定の時刻の範囲として、他の移動体が所定箇所Lを横断する予定の時刻の範囲を示す情報を含む。移動体が航空機であり、所定箇所Lが滑走路である場合、範囲情報121は、例えば、他の移動体が所定箇所Lを使用する予定の時刻の範囲として、他の航空機が離陸や着陸のために滑走路を占有する予定の時刻の範囲を示す情報、車両が滑走路を走行する予定の時刻の範囲を示す情報を含む。
また、範囲情報121は、例えば、移動体が所定箇所Lに進入することが制限される予定の時刻の範囲として、所定箇所Lが閉鎖される予定の時刻の範囲を示す情報を含む。
経路情報122は、移動体が所定箇所Lまで移動する経路を示す情報である。
予測部131は、4DT格納部108に記憶された経路情報122に基づき、移動体が現在時刻にいる位置(現在位置)から経路情報122が示す経路上を移動した場合に所定箇所Lに到着する時刻を処理装置により予測する。即ち、予測部131は、移動体の所定箇所Lへの到着時刻を予測する。
特定部132は、4DT格納部108に記憶された範囲情報121に基づき、現在時刻と、移動体が現在時刻に実際にいる位置から移動した場合に所定箇所Lに到着することが予測部131により予測される時刻以降の所定時刻との間で、移動体が所定箇所Lに進入することが制限される予定の時刻の範囲を処理装置により特定する。即ち、特定部132は、現在時刻から、移動体の実際の現在位置に対して予測部131により予測された到着時刻以降の所定時刻まで(例えば、その日が終わるまで、あるいは、予測された到着時刻のn分後(nは0以上の実数))の間で、移動体の所定箇所Lへの進入が制限されることが予定されている時刻の範囲を特定する。
計算部133は、移動体が現在時刻にいると仮定した位置から移動した場合に所定箇所Lに到着することが予測部131により予測される時刻の範囲と、特定部132により特定された時刻の範囲(即ち、範囲情報121が示す時刻の範囲)とが一致する、移動体が現在時刻にいると仮定した位置の範囲を処理装置により計算する。即ち、計算部133は、移動体の現在位置がどの範囲にあれば、予測部131により予測される到着時刻の範囲が特定部132により特定された時刻の範囲と一致するかを計算する。
生成部134は、4DT格納部108に記憶された経路情報122が示す経路上に、計算部133により計算された位置の範囲を表示する画面を処理装置により生成し、表示処理部109を介して出力装置に出力する。なお、生成部134は、予測部131による予測の誤差等を考慮して、生成する画面上で、計算部133により計算された位置の範囲を前後に予め定められた距離(絶対的又は相対的な距離)拡大して表示するようにしてもよい。
上記のように、本実施の形態では、移動体が所定箇所Lまで移動する経路上に、移動体が所定箇所Lに進入することが制限される予定の時刻の範囲に対応する位置の範囲を表示する画面が出力される。よって、本実施の形態によれば、移動体が所定箇所Lに進入すべきでない時刻の範囲を容易に把握できるようになる。このため、移動体の移動速度や移動方向等の調整を適切に(誤りが起こりにくい)、効率よく行うことができる。
図4は、画面出力システム100のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4において、画面出力システム100は、コンピュータであり、LCD901(Liquid・Crystal・Display)、キーボード902(K/B)、マウス903、FDD904(Flexible・Disk・Drive)、CDD905(Compact・Disc・Drive)、プリンタ906といったハードウェアデバイスを備えている。これらのハードウェアデバイスはケーブルや信号線で接続されている。LCD901の代わりに、CRT(Cathode・Ray・Tube)、あるいは、その他の表示装置が用いられてもよい。マウス903の代わりに、タッチパネル、タッチパッド、トラックボール、ペンタブレット、あるいは、その他のポインティングデバイスが用いられてもよい。
画面出力システム100は、プログラムを実行するCPU911(Central・Processing・Unit)を備えている。CPU911は、処理装置の一例である。CPU911は、バス912を介してROM913(Read・Only・Memory)、RAM914(Random・Access・Memory)、通信ボード915、LCD901、キーボード902、マウス903、FDD904、CDD905、プリンタ906、HDD920(Hard・Disk・Drive)と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。HDD920の代わりに、フラッシュメモリ、光ディスク装置、メモリカードリーダライタ、あるいは、その他の記録媒体が用いられてもよい。
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、FDD904、CDD905、HDD920は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置の一例である。通信ボード915、キーボード902、マウス903、FDD904、CDD905は、入力装置の一例である。また、通信ボード915、LCD901、プリンタ906は、出力装置の一例である。
通信ボード915は、LAN(Local・Area・Network)等に接続されている。通信ボード915は、LANに限らず、IP−VPN(Internet・Protocol・Virtual・Private・Network)、広域LAN、ATM(Asynchronous・Transfer・Mode)ネットワークといったWAN(Wide・Area・Network)、あるいは、インターネットに接続されていても構わない。LAN、WAN、インターネットは、ネットワークの一例である。
HDD920には、オペレーティングシステム921(OS)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、オペレーティングシステム921、ウィンドウシステム922により実行される。プログラム群923には、本実施の形態の説明において「〜部」として説明する機能を実行するプログラムが含まれている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。ファイル群924には、本実施の形態の説明において、「〜データ」、「〜情報」、「〜ID(識別子)」、「〜フラグ」、「〜結果」として説明するデータや情報や信号値や変数値やパラメータが、「〜ファイル」や「〜データベース」や「〜テーブル」の各項目として含まれている。「〜ファイル」や「〜データベース」や「〜テーブル」は、RAM914やHDD920等の記録媒体に記憶される。RAM914やHDD920等の記録媒体に記憶されたデータや情報や信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出、検索、参照、比較、演算、計算、制御、出力、印刷、表示といったCPU911の処理(動作)に用いられる。抽出、検索、参照、比較、演算、計算、制御、出力、印刷、表示といったCPU911の処理中、データや情報や信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
本実施の形態の説明において用いるブロック図やフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示す。データや信号は、RAM914等のメモリ、FDD904のフレキシブルディスク(FD)、CDD905のコンパクトディスク(CD)、HDD920の磁気ディスク、光ディスク、DVD(Digital・Versatile・Disc)、あるいは、その他の記録媒体に記録される。また、データや信号は、バス912、信号線、ケーブル、あるいは、その他の伝送媒体により伝送される。
本実施の形態の説明において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜工程」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。即ち、「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。あるいは、「〜部」として説明するものは、ソフトウェアのみ、あるいは、素子、デバイス、基板、配線といったハードウェアのみで実現されていても構わない。あるいは、「〜部」として説明するものは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、あるいは、ソフトウェアとハードウェアとファームウェアとの組み合わせで実現されていても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、フレキシブルディスク、コンパクトディスク、磁気ディスク、光ディスク、DVD等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。即ち、プログラムは、本実施の形態の説明で述べる「〜部」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、プログラムは、本実施の形態の説明で述べる「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
以下では、画面出力システム100を、図1に示したターミナル管制又は飛行場管制に適用する例について説明する。なお、前述したように、画面出力システム100の適用対象は、航空交通の管制に限るものではない。
図5は、画面出力システム100の動作(本実施の形態に係る画面出力方法、本実施の形態に係るプログラムの処理手順)を示すフローチャートである。
ステップS101(処理開始)において、4DT計算部107は、一定周期のトリガ、又は、運航情報処理部101、追尾処理部102、環境情報処理部103、ユーザ入力処理部110、データリンク情報処理部111からの入力に応じ、飛行中の各航空機(移動体の一例)の4DT(3次元空間上の経由地点における到達時刻や速度ベクトル等の連結)に係る処理を開始する。
このとき、4DT計算部107は、運航情報処理部101の出力する運航計画や運航ルール情報格納部105の制約条件等に基づき、航空機が滑走路(所定箇所Lの一例)を横断する予定の時刻の範囲、航空機が離陸のために滑走路を占有する予定の時刻の範囲、車両が滑走路を走行する予定の時刻の範囲、滑走路が閉鎖される予定の時刻の範囲等を特定する。そして、4DT計算部107は、特定した時刻の範囲を示す範囲情報121を4DT格納部108に格納する。この結果、各航空機が滑走路に進入することが制限される予定の時刻の範囲を示す範囲情報121が4DT格納部108に記憶される。
ステップS102(初期4DTの生成)において、まず、4DT計算部107は、飛行中の(滑走路に向かっている)航空機ごとに、3次元経路を処理装置により生成する。
具体的には、4DT計算部107は、各航空機について、運航情報処理部101の出力する航空機の運航計画と追尾処理部102の出力する航空機の現在位置等に基づき、空間情報格納部104の計画経路のうち、航空機がとる3次元経路(航空機が滑走路まで移動する経路)を求める。そして、4DT計算部107は、求めた3次元経路を示す経路情報122を、航空機ごとに4DT格納部108に格納する。
なお、4DT計算部107は、運航情報処理部101の出力する航空機の運航計画に対し、追尾処理部102の出力する航空機の現在位置と予測位置、及び、空間情報格納部104の計画経路を用いて整合性を確認してもよい。この場合、4DT計算部107は、さらに、移動体性能情報格納部106の航空機の運航性能情報を用いて、整合性を確認して、航空機の3次元経路を生成する。整合性が取れている場合は、計画経路がそのまま航空機の3次元経路となり、整合性が取れていない場合は、修正した計画経路が航空機の3次元経路となる。
次に、4DT計算部107は、飛行中の航空機ごとに、経由点到達時刻を処理装置により計算する。
具体的には、4DT計算部107の予測部131が、各航空機について、追尾処理部102の出力する航空機の現在位置や速度等に基づき、4DT格納部108の経路情報122が示す3次元経路上の各経由点(滑走路を含む、3次元経路上で予め定められた地点)に到達する時刻の計画/予測値を計算する。その際、予測部131は、移動体性能情報格納部106の航空機の運航性能情報や環境情報処理部103の出力する環境情報を用いる。例えば、予測部131は、飛行する航空機の上昇や降下の際には、移動体性能情報格納部106の「高度」対「対気速度」の運航プロファイルを用いる。そして、予測部131は、環境情報処理部103の出力する風速ベクトル情報を用いて「対気速度」を対地速度に換算し、到達時刻を計算する。
このとき、予測部131は、運航ルール情報格納部105の制約条件等に基づき、到達時刻を計算した航空機が着陸のために滑走路を占有する予定の時刻の範囲を特定し、特定した時刻の範囲を示す情報を範囲情報121の一部として4DT格納部108に格納する。
次に、4DT計算部107は、飛行中の航空機ごとに、4DTへの統合を処理装置により行う。
具体的には、4DT計算部107の予測部131が、各航空機について、航空機の3次元経路と各経由点の到達時刻とを統合し、航空機の4次元の運航情報である4DTを得る。この4DTは、各航空機の、他航空機との干渉が考慮されていない初期4DTである。
ステップS103(複数4DT間の調整)において、4DT計算部107は、運航ルール情報格納部105のルールに基づき、複数4DT間の調整を処理装置により行う。例えば、4DT計算部107は、複数航空機の経由点の到達時刻を順序付けし、到達時刻間隔の制約を用いて間隔付けする。これによって各航空機の初期4DTの到達時刻の調整量が決まる。
ステップS104(4DTの生成)において、4DT計算部107は、各航空機の初期4DTに、ステップS103で決定した各種調整量を適用し、複数4DT間で調整のとれた4DTを処理装置により生成する。
ステップS105(処理終了)において、4DT計算部107は、ステップS104で生成した4DTに、複数の航空機同士の関係性等を示す情報を付加して出力する。
具体的には、4DT計算部107の特定部132が、飛行中の各航空機について、4DT格納部108に記憶された範囲情報121に基づき、現在時刻と、航空機が現在時刻に実際にいる位置から移動した場合に滑走路に到達することが予測部131により予測される時刻以降の所定時刻との間で、航空機が滑走路に進入することが制限される予定の時刻の範囲を特定する。例えば、特定部132は、現在時刻以降、同日中(即ち、その日が終わるまで)に、他の航空機が滑走路を横断する予定の時刻の範囲、他の航空機が離陸や着陸のために滑走路を占有する予定の時刻の範囲、車両が滑走路を走行する予定の時刻の範囲、滑走路が閉鎖される予定の時刻の範囲を特定する。
続いて、4DT計算部107の計算部133が、飛行中の各航空機について、航空機が現在時刻にいると仮定した位置から移動した場合に滑走路に到達することが予測部131により予測される時刻の範囲と、特定部132により特定された時刻の範囲とが一致する、航空機が現在時刻にいると仮定した位置の範囲を計算する。例えば、計算部133は、現在時刻において航空機がどの位置の範囲にいれば、航空機が滑走路に到達すると予測される時刻の範囲が、他の航空機が滑走路を横断する予定の時刻の範囲、他の航空機が離陸や着陸のために滑走路を占有する予定の時刻の範囲、車両が滑走路を走行する予定の時刻の範囲、滑走路が閉鎖される予定の時刻の範囲に一致するかを計算する。
続いて、4DT計算部107の生成部134が、飛行中の各航空機について、4DT格納部108に記憶された経路情報122が示す経路上に、計算部133により計算された位置の範囲を表示する画面を生成し、表示処理部109に出力する。例えば、生成部134が生成する画面では、飛行中の各航空機の3次元経路上に、他の航空機との関係性を示す情報として、現在時刻において航空機がどの位置の範囲にいると、航空機が滑走路に到達すると予測される時刻の範囲が、他の航空機が滑走路を横断する予定の時刻の範囲、他の航空機が離陸や着陸のために滑走路を占有する予定の時刻の範囲に一致することになるかが表示される。この画面では、飛行中の各航空機の3次元経路上に、さらに、現在時刻において航空機がどの位置の範囲にいると、航空機が滑走路に到達すると予測される時刻の範囲が、車両が滑走路を走行する予定の時刻の範囲、滑走路が閉鎖される予定の時刻の範囲に一致することになるかが表示される。
なお、ステップS103及びS104は省略してもよい。即ち、ステップS105において、4DT計算部107は、ステップS102で生成した初期4DTに、複数の航空機同士の関係性等を示す情報を付加して出力してもよい。
ステップS105において表示処理部109に出力される画面の4DT表示の具体例を、以下に示す。
図6は、画面出力システム100による各機の4DT表示の一例(計画/予測より遅延している場合、計画/予測より早着しそうな場合、計画/予測を遵守している場合)を示す図である。
図6の例では、移動体の種類(出発機、到着機、トーイング機等)に対応して、以下の要素が画面に表示される。なお、各要素は表示/非表示の設定が可能であるとする。
(1)基本経路:4DT計算のための基本経路である。STAR(Standard・Terminal・Arrival・Route)、SID(Standard・Instrument・Departure)、TRANSITION、航空路等の規定された経路、あるいは、4DT計算部107で生成(修正)された経路である。直線又は曲線で示される。
(2)現在位置:センサ等で取得又は追尾処理した現在時刻の航空機位置である。例えば、航空機のトランスポンダ又は重心位置とし、航空機種別ごとのトランスポンダ位置や重心位置を勘案して下記ターゲットマークの上に表示される。円又はその他の形状のマークで表される。
(3)ターゲットマーク:航空機を表す印である。飛行場面の表示に利用する場合、航空機の大きさを勘案してスケーリングするとよい。円又はその他の形状のマークで表される。
(4)計画/予測位置:運航計画上、現在時刻において航空機があるべき位置である。直線又はその他の形状のマークで表される。
(5)計画/予測経路:現在位置から計画/予測位置に至る経路である。直線又は曲線で示される。
(6)計画/予測との差異:航空機が計画/予測より早いか、遅いかを凹凸で表したものである。現在位置から計画/予測位置までの移動所要時間(時刻差)の換算値が、本数で表される。差異が一定値以下の場合は、非表示としてもよい。図6において、航空機が計画/予測より遅延している例では、2N秒の遅れ(Nは任意の単位時間)が発生していることがわかる。航空機が計画/予測より早着しそうな例では、N秒早いことがわかる。航空機が計画/予測を遵守している例では、差異がないため、何も表示されない。
(7)制約位置:運航上の制約を位置として表したものである。出発機のRLS(ReLeaSe)やVIFNO(Void・IF・Not・Off・by)やEDCT(Expected・Departure・Clearance・Time)、滑走路使用機の滑走路占有予定終了時刻、航空機のRTA(Required・Time・of・Arrival)、最大遅延可能時刻等の任意のパラメータ(情報)を用いて、制約位置が表される。直線又はその他の形状のマークで表される。任意の情報を用いて算出した制約位置を複数表示することができ、またフィルタリングにより、現在位置より最も遠い位置又は近い位置等の任意の制約位置のみを表示することもできる。さらに、制約位置を設定するパラメータごとに制約の強さを設定することができ、制約の強さに応じて、制約位置の表示色や太さ表示を変更してもよい。
(8)4DT幅:現在位置から制約位置までの幅である。航空機が滑走路を使用(出発機や到着機の場合は占有)する時刻の範囲が位置の範囲として表される。
図6の例において、4DT格納部108は、経路情報122として、航空機が滑走路まで移動する経路とともに、当該経路を当該航空機が移動するスケジュールを示す情報を記憶する。
4DT計算部107の生成部134は、4DT格納部108に記憶された経路情報122が示す経路上で、航空機の現在位置と4DT格納部108に記憶された経路情報122が示すスケジュールで計画された位置(計画/予測位置)との差異を表示する画面を生成する。
図7は、画面出力システム100による各機の4DT表示の変形例(航空機形状による現在針路表示)を示す図である。
図6のターゲットマークは円形状であるが、図7に示すように、ターゲットマークは航空機の形状であってもよい。この場合、航空機の移動方向がわかりやすくなる。
図8は、画面出力システム100による各機の4DT表示の変形例(計画/予測針路表示)を示す図である。
図6の計画/予測位置や制約位置は直線状であるが、図8に示すように、計画/予測位置や制約位置は航空機の針路に合わせた三角形状であってもよい。この場合、航空機の移動方向がわかりやすくなる。
図9は、画面出力システム100による各機の4DT表示の一例(先行する到着機Aの滑走路占有を後続の到着機Bが妨害する場合)を示す図である。
図9の例では、移動体の種類に対応して、以下の要素が画面に表示される。なお、各要素は表示/非表示の設定が可能であるとする。前述した例と同様の要素については、説明を省略する。
(1)滑走路:航空機が着陸する滑走路である。
(6)到着機Aの制約位置:図9の例では、到着機Aの滑走路占有予定終了時刻が位置として表されている。
(7)到着機Aの4DT幅:図9の例では、到着機Aが着陸のために滑走路を占有する時刻の範囲が位置の範囲として表されている。
(12)到着機Bの制約位置:図9の例では、到着機Bの滑走路占有予定終了時刻が位置として表されている。
(13)到着機Bの4DT幅:図9の例では、到着機Bが着陸のために滑走路を占有する時刻の範囲が位置の範囲として表されている。
(14)制約違反領域:制約違反が発生している領域である。到着機間で滑走路占有時間帯が重なってはならないので、図9の例では、滑走路占有に関わる違反が表されている。
図9の例では、後続の到着機Bの計画/予測位置が、到着機Aの制約位置よりも後方になるように計算及び表示されている。そのため、到着機Bの到着を遅らせるように、到着機Bの計画/予測との差異が表示されている。一方、到着機Aについては、計画/予測位置と現在位置に差がないことが表されている。
このように、「計画/予測と現在の情報(位置だけとは限らない)が一致する」と(閾値内で)判定できる場合には、「計画/予測と現在の情報のいずれか一方を表示する」ようにしてもよい。特定条件下での表示省略により、視認性を向上させる狙いである。
上記のように、到着機の制約位置で滑走路占有終了予定時刻を表現する場合、後続機は先行機の制約位置を超えてはならない。図9の例では、制約違反が発生しているため、違反した後続の到着機Bのターゲットマークが強調表示されている。また、制約違反領域が強調表示されている。さらに、違反を解消するために管制指示されるべき内容の表示として、到着機Bの計画/予測との差異が強調表示されている。強調表示は任意の方法で行ってよいが、例えば、線や枠の太さを太くしたり、色を変えたりする方法を用いることが考えられる。
なお、後続機が先行機の制約位置を超える場合に、後続機の4DT表示を先行機の4DT表示と重ねるのではなく、後続機の4DT表示を先行機の4DT表示の横(進行方向と垂直方向)にずらすようにしてもよい。
図10は、画面出力システム100による各機の4DT表示の一例(基本経路が曲線の場合)を示す図である。
図10の例では、以下の要素が画面に表示される。なお、各要素は表示/非表示の設定が可能であるとする。前述した例と同様の要素については、説明を省略する。
(1)基本経路:図10の例では、基本経路が直線+曲線+直線で構成されている。
(2)経由地点:基本経路を連結する地点である。
(6)航空機Aの計画/予測経路:基本経路が曲線の部分では、4DTは曲線に沿って航空機Aが移動することを前提に計算されるため、計画/予測経路は曲線になる。また、基本経路が直線と曲線で構成される部分も、同様に計算されるので、計画/予測経路は直線と曲線で構成される。
図11は、画面出力システム100による各機の4DT表示の変形例(横幅に航空機性能を反映する場合)を示す図である。
図11に示すように、各機の現在位置から制約位置までの間の領域に枠を表示し、この枠の横幅(縦幅は4DT幅に相当する)を航空機の運航性能に応じた幅で表示してもよい。例えば、各機の4DT表示の横幅を、航空機のRNP(Required・Navigation・Performance)値に応じた幅に設定することができる。RNP値は、基本経路からの位置ずれの許容値(単位はマイル)であり、各航空機に対して個別に設定される。
図11の例では、航空機A001,C001のRNP値はほとんど同じであるが、航空機B001のRNP値は大きい(例えば、性能が悪い航空機に対しては、大きいRNP値が設定される)。航空機A001,B001の基本経路からの位置ずれは許容範囲内であるが、航空機C001の基本経路からの位置ずれは許容範囲外となっている。そのため、航空機C001の4DT表示(現在位置から制約位置までの間の領域)の色が変えられている。これにより、航空機C001がRNP値の制約を遵守できていないことの注意喚起がなされる。図11の例では、さらに、航空機C001のターゲットマークが強調表示されている。また、航空機C001のデータブロックに、航空機C001の識別情報(例えば、便名)とともに、航空機C001がRNP値の制約を遵守できていないことを示す「RNP・VIO」というメッセージが表示されている。
図11の例では、各機の計画/予測位置及び制約位置を表す線の長さも、RNP値に応じた長さに設定している。
ここでは、基本経路を細い線で表しているが、例えば、RNAVに応じた幅の線で表してもよい。そして、RNP値に応じた横幅をもつ航空機の枠全体が、RNAVに応じた幅をもつ基本経路の線より外側にある場合に、その航空機がRNP値の制約を遵守できていないことの注意喚起を行うようにしてもよい。
図12は、画面出力システム100による各機の4DT表示の一例(航空機A001が計画/予測よりも遅れている場合)を示す図である。図13は、画面出力システム100による各機の4DT表示の一例(ユーザ操作による意図を反映して航空機B001を遅らせる場合)を示す図である。
図12及び図13の例では、以下の要素が画面に表示される。なお、各要素は表示/非表示の設定が可能であるとする。前述した例と同様の要素については、説明を省略する。(3)航空機A001の計画/予測位置:図12及び図13の例では、ユーザ操作によるシステム入力により変更可能である。
(6)航空機A001のデータブロック:航空機A001の情報を表示する領域である。図12及び図13の例では、航空機A001の識別情報(例えば、便名)が表示されている。
(8)航空機A001の計画/予測位置:図12及び図13の例では、ユーザ操作によるシステム入力により変更可能である。
(11)航空機A001のデータブロック:航空機B001の情報を表示する領域である。図12及び図13の例では、航空機B001の識別情報(例えば、便名)が表示されている。
上記のユーザ操作によるシステム入力は、マウス903によるアイコンの移動、又は、キーボード902等からのシステム入力等である。
図12の例において、管制官が航空機A001の計画/予測位置(横バー)を現在位置に近づけるように移動させると、図13の例のように、画面出力システム100が、ユーザ操作を確定した条件で、各種制約を遵守するように4DTを再計算する。
図14は、画面出力システム100による各機の4DT表示の一例を示す図である。
図14の例では、以下の要素が画面に表示される。なお、各要素は表示/非表示の設定が可能であるとする。前述した例と同様の要素については、説明を省略する。
(1)基本経路X:合流前の基本経路である。
(2)基本経路Y:合流前の基本経路である。
(3)合流地点P:基本経路X,Yが合流する地点である。
(4)基本経路Z:合流後の基本経路である。
(5)基本経路Yの航空機4DT表示:基本経路Y上にある航空機A001の4DT表示である。
(6)基本経路Yの航空機4DT表示の写像:基本経路Y上にある航空機A001の4DT表示の写像を基本経路X上に表示したものである。写像は実像との差異が判るような表示とする。写像と実像で色や形状を変えること等が考えられる。
(7)基本経路Xの航空機4DT表示:基本経路X上にある航空機A002の4DT表示である。
(8)基本経路Xの航空機4DT表示の写像:基本経路X上にある航空機A002の4DT表示の写像を基本経路Y上に表示したものである。写像は実像との差異が判るような表示とする。写像と実像で色や形状を変えること等が考えられる。
図14の例では、他経路で表示する写像についても、現在位置に加えて、計画/予測位置を表示することによって、他経路の航空機の将来挙動を管制官が推測することが容易になる。
図15は、実際の状況の一例を示す図である。図16は、画面出力システム100による各機の4DT表示の一例を示す図である。
図15の例では、横断機TWG001,TWG002、出発機DEP001、到着機ARV001,ARV002が滑走路Rを使用することが予定されている状況になっている。
図16の例では、以下の要素が、図15の状況に対応する画面に表示される。なお、各要素は表示/非表示の設定が可能であるとする。前述した例と同様の要素については、説明を省略する。
(6)滑走路Rの出発機4DT表示:滑走路Rから離陸する予定の出発機DEP001の4DT表示である。出発機は到着機との差異が判るような表示とする。出発機と到着機で色や形状を変えること等が考えられる。
(7)滑走路Rの横断機4DT表示:滑走路Rを横断する予定の横断機TWG001,TWG002の4DT表示である。横断機と到着機で色や形状を変えること等が考えられる。
(8)滑走路Rの横断機4DT表示の写像:滑走路Rを横断する予定の横断機TWG001,TWG002の4DT表示の写像を基本経路Z上に表示したものである。写像は実像との差異が判るような表示とする。写像と実像で色や形状を変えること等が考えられる。横断機TWG001,TWG002の制約位置は、滑走路占有予定終了時刻を位置として表したものである。
(11)滑走路Rの出発機4DT表示の写像:滑走路Rを離陸する予定の出発機DEP001の4DT表示の写像を基本経路X,Y上に表示したものである。写像は実像との差異が判るような表示とする。写像と実像で色や形状を変えること等が考えられる。出発機DEP001の制約位置は、滑走路占有予定終了時刻を位置として表したものである。
図16の例では、出発機、横断機といった空港面の移動体のうち、滑走路Rを利用する移動体の写像も空域に表示される。滑走路Rを利用する移動体には、滑走路Rを走行する車両等も含まれる。
図16の例において、4DT格納部108は、範囲情報121として、到着機ARV001,ARV002が滑走路Rに進入することが制限される予定の時刻の範囲とともに、当該時刻の範囲で滑走路Rに進入することが制限される理由を示す情報を記憶する。
例えば、範囲情報121には、到着機ARV001,ARV002が滑走路Rに進入することが制限される予定の時刻の範囲として、横断機TWG001が滑走路Rを横断する予定の時刻の範囲を示すとともに、当該時刻の範囲で滑走路Rに進入することが制限される理由として、横断機TWG001が滑走路Rを横断することを示す情報が含まれる。同様に、範囲情報121には、横断機TWG002が滑走路Rを横断する予定の時刻の範囲を示すとともに、横断機TWG002が滑走路Rを横断することを示す情報が含まれる。同様に、範囲情報121には、出発機DEP001が離陸のために滑走路Rを占有する予定の時刻の範囲を示すとともに、出発機DEP001が離陸することを示す情報が含まれる。
4DT格納部108は、経路情報122として、到着機ARV001,ARV002が滑走路Rまで移動する経路を示す情報を記憶する。
4DT計算部107の予測部131は、4DT格納部108に記憶された経路情報122に基づき、到着機ARV001,ARV002が現在位置から基本経路X,Y,Z上を移動した場合に滑走路Rに着陸する時刻を予測する。このとき、予測部131は、到着機ARV001が滑走路Rに進入することが制限される予定の時刻の範囲として、到着機ARV002が着陸のために滑走路Rを占有する時刻の範囲(予測部131が予測した到着機ARV002の着陸時刻から滑走路占有予定終了時刻までの範囲)を示すとともに、当該時刻の範囲で滑走路Rに進入することが制限される理由として、到着機ARV002が着陸することを示す情報を、範囲情報121の一部として4DT格納部108に書き込む。また、予測部131は、到着機ARV002が滑走路Rに進入することが制限される予定の時刻の範囲として、到着機ARV001が着陸のために滑走路Rを占有する予定の時刻の範囲(予測部131が予測した到着機ARV001の着陸時刻から滑走路占有予定終了時刻までの範囲)を示すとともに、当該時刻の範囲で滑走路Rに進入することが制限される理由として、到着機ARV001が着陸することを示す情報を、範囲情報121の一部として4DT格納部108に書き込む。
4DT計算部107の特定部132は、4DT格納部108に記憶された範囲情報121に基づき、現在時刻と、到着機ARV001,ARV002が現在位置から移動した場合に滑走路Rに着陸することが予測部131により予測される時刻(即ち、予測部131により予測された到着機ARV001,ARV002の着陸時刻)以降の所定時刻との間で、到着機ARV001,ARV002が滑走路Rに進入することが制限される予定の時刻の範囲と理由とを特定する。
ここでは、特定部132は、現在時刻と、予測部131により予測された到着機ARV001,ARV002の着陸時刻以降の所定時刻との間(例えば、現在時刻以降、同日中)に滑走路Rを使用する他の航空機ごとに、滑走路Rを使用する予定の時刻の範囲と理由とを特定する。
4DT計算部107の計算部133は、特定部132により特定された時刻の範囲ごとに、到着機ARV001,ARV002が現在時刻にいると仮定した位置から移動した場合に滑走路Rに着陸することが予測部131により予測される時刻の範囲と、当該時刻の範囲とが一致する、到着機ARV001,ARV002が現在時刻にいると仮定した位置の範囲を計算するとともに、計算した位置の範囲に、特定部132により特定された理由を対応付ける。即ち、計算部133は、現在時刻において到着機ARV001,ARV002がどの位置の範囲にいれば、予測部131により予測される到着機ARV001,ARV002の着陸時刻の範囲と、範囲情報121が示す時刻の範囲とが一致することになるかを計算する。そして、計算部133は、範囲情報121が示す時刻の範囲について計算した位置の範囲に、範囲情報121が当該時刻の範囲とともに示す理由を対応付ける。
ここでは、到着機ARV001,ARV002が滑走路Rまで移動する経路が異なるため、計算部133は、経路ごとに、到着機ARV001,ARV002が現在時刻にいると仮定した位置の範囲を計算する。
例えば、計算部133は、仮に、到着機ARV001が滑走路Rに着陸すると予測される時刻を、出発機DEP001が離陸のために滑走路Rの占有を開始する予定の時刻に一致させようとしたとき、基本経路Yにおいて、到着機ARV001が現在どの地点にいるべきかを、到着機ARV001の現在の飛行速度や環境情報等から求める(逆算する)。求められた地点は、基本経路Y上における出発機DEP001の写像の現在位置となる。また、計算部133は、仮に、到着機ARV001が滑走路Rに着陸すると予測される時刻を、出発機DEP001が離陸のために滑走路Rの占有を終了する予定の時刻に一致させようとしたとき、基本経路Yにおいて、到着機ARV001が現在どの地点にいるべきかを、到着機ARV001の現在の飛行速度や環境情報等から求める(逆算する)。求められた地点は、基本経路Y上における出発機DEP001の写像の制約位置となる。これにより、基本経路Y上で出発機DEP001の写像を表示する位置を求めることができる。同様に、基本経路Y上で到着機ARV002の写像を表示する位置、基本経路Z上で横断機TWG001,TWG002の写像を表示する位置も、到着機ARV001を基準として求めることができる。
また、計算部133は、仮に、到着機ARV002が滑走路Rに着陸すると予測される時刻を、出発機DEP001が離陸のために滑走路Rの占有を開始する予定の時刻の範囲に一致させようとしたとき、基本経路Xにおいて、到着機ARV002が現在どの地点にいるべきかを、到着機ARV002の現在の飛行速度や環境情報等から求める(逆算する)。求められた地点は、基本経路X上における出発機DEP001の写像の現在位置となる。また、計算部133は、仮に、到着機ARV002が滑走路Rに着陸すると予測される時刻を、出発機DEP001が離陸のために滑走路Rの占有を終了する予定の時刻に一致させようとしたとき、基本経路Xにおいて、到着機ARV002が現在どの地点にいるべきかを、到着機ARV002の現在の飛行速度や環境情報等から求める(逆算する)。求められた地点は、基本経路X上における出発機DEP001の写像の制約位置となる。これにより、基本経路X上で出発機DEP001の写像を表示する位置を求めることができる。同様に、基本経路X上で到着機ARV001の写像を表示する位置も、到着機ARV002を基準として求めることができる。このとき、基本経路Z上で横断機TWG001,TWG002の写像を表示する位置は、既に到着機ARV001を基準として求められているため、計算不要である。
なお、基本経路Z上で横断機TWG001,TWG002の写像を表示する位置は、到着機ARV001ではなく、到着機ARV002を基準として求めてもよいし、その他の飛行中の航空機を基準として求めてもよいし、実際には存在しない架空の航空機(飛行速度等を予め定めておく)を基準として求めてもよいし、複数の航空機(例えば、到着機ARV001,ARV002の両方)を基準として求めてもよい。即ち、写像を表示する位置は、任意の1つ以上の航空機を基準として求めることができる。ここで、ある経路において、ある航空機の写像を表示する位置を、複数の航空機を基準として求めると、基準とした航空機ごとに、写像を表示する位置が異なることが考えられるが、そのような場合は、生成部134が生成する画面上で一部又は1つ以外の位置をフィルタリングにより非表示にしてもよい(例えば、ある経路において、ある航空機の写像を表示する位置を求めた場合、その経路上で、基準とした航空機の現在位置と最も近い位置にある写像のみを表示し、それ以外の写像は非表示とする)。
4DT計算部107の生成部134は、4DT格納部108に記憶された経路情報122が示す経路上に、到着機ARV001,ARV002の現在位置、及び、計算部133により計算された位置の範囲(4DT幅)を表示するとともに、当該位置の範囲に対応する理由を表示する画面を生成し、表示処理部109を介して出力装置に出力する。このとき、画面上で表示する位置の範囲は、航空機の現在位置を検出するセンサ等の誤差や、予測部131による予測の誤差等を考慮して、計算部133により計算された位置の範囲を前後に予め定められた距離(例えば、1マイルより短い絶対的な距離、あるいは、5%等、計算された位置の範囲に対して一定率の距離)拡大して表示するようにしてもよい。
ここでは、生成部134は、到着機ARV001,ARV002の現在位置に到着機ARV001,ARV002のマークを表示し、計算部133により計算された位置の範囲ごとに他の航空機のマークを表示する画面を生成する。到着機ARV001,ARV002が滑走路Rまで移動する経路が異なるため、生成部134は、到着機ARV001,ARV002の各々の現在位置に各々のマークを表示し、経路ごとに、計算部133により計算された位置の範囲に他の航空機のマークを表示する画面を生成する。
例えば、画面上では、基本経路X,Y上に、出発機DEP001の写像が表示されるとともに、その写像が出発機のものであることがターゲットマークの形状(ここでは、三角形状)や色等で表現される。同様に、画面上では、基本経路X上に、到着機ARV001の写像が表示されるとともに、その写像が到着機のものであることがターゲットマークの形状(ここでは、円形状)や色等で表現される。同様に、画面上では、基本経路Z上に、横断機TWG001,TWG002の写像が表示されるとともに、その写像が横断機のものであることがターゲットマークの形状(ここでは、三角形状)や色等で表現される。
なお、到着機ARV001,ARV002の現在位置と、先行する他の航空機(例えば、出発機DEP001)の写像とが重なっている場合には、図9の例のように、画面上で、到着機ARV001,ARV002の現在位置及びその近傍(いずれかのみでもよい)に注意を喚起するマーク(強調表示)が表示される。
図17は、画面出力システム100による各機の4DT表示の変形例(ターミナル管制アプローチ担当席への関係機の4DT表示)を示す図である。
図17に示すように、管制席(航空路/ターミナル空域/飛行場空域/飛行場面の限定領域を監視)に応じて表示対象のフィルタリング(表示/非表示の設定)を行う機能が設けられていてもよい。例えば、「管制指示の優先度」、「イベントに対する時間制約」等の条件に一致した航空機の表示をON/OFFする。
図17の例では、ターミナル管制アプローチ担当席から、図16の例における滑走路Rの出発機4DT表示と滑走路Rの横断機4DT表示とをOFFにしている。
図18は、画面出力システム100による各機の4DT表示の変形例(同一対象強調表示)を示す図である。
図18に示すように、同一対象機を結ぶ線を表示してもよい。なお、管制官操作に対してブリンク表示やターゲットのアイコン拡大等により同一対象機を強調表示するようにしてもよい。
図18の例では、図16の例における滑走路Rの出発機4DT表示の写像(及び実像)のいずれかの上に管制官がマウス903のポインタを合わせた場合や、マウス903のクリック等により選択した場合に、同一対象強調表示を行う。同様の操作と表示を到着機について行えるようにしてもよい。
なお、同一対象強調表示を、全てのターゲット(出発機、到着機等)に対して一括に行うようにしてもよい。
図19は、画面出力システム100による各機の4DT表示の一例(データブロック支援情報表示)を示す図である。
図19の例では、以下の要素が画面に表示される。なお、各要素は表示/非表示の設定が可能であるとする。前述した例と同様の要素については、説明を省略する。
(9)データブロック支援情報表示:現状と4DT(計画値又は予測値)の差異、又は、4DTへ合致させるための推奨情報を含む支援情報をデータブロックに表示したものである。例えば、航空機A002のデータブロックでは、「合流地点Pでの合流までに現状から30秒早める」、「そのために速度を10ノット(kt)上げる」という推奨情報が表示されている。
図20は、画面出力システム100による各機の4DT表示の変形例(データブロック支援情報表示における管制官入力表示)を示す図である。
図20に示すように、図19の例におけるデータブロック支援情報表示の推奨情報に対して、管制官が容認/否認の選択や修正の操作を行えるようにしてもよい。なお、推奨情報の表示後の一定時間内に管制官操作がない場合は、推奨情報が否認(もしくは容認)されたと判定するようにしてもよい。
図20の例では、まず、管制官がデータブロック支援情報表示をマウス903のクリック等により選択すると、“OK”、“Deny”、“Modify”の選択肢が表示される。管制官が“OK”をマウス903のクリック等により選択すると、推奨情報が容認されたと判定される。管制官が“Deny”をマウス903のクリック等により選択すると、推奨情報が否認されたと判定される。管制官が“Modify”をマウス903のクリック等により選択すると、修正値の候補が表示される。管制官が修正値をマウス903のクリック等により選択すると(あるいは、キーボード902等により修正値を入力すると)、選択(又は入力)された内容がデータブロック支援情報表示に反映される。
管制官入力操作は、地上と航空機でのデータリンクに繋がっていてもよい。また、慣熟訓練等において管制の特性を抽出し、パラメータ設定に利用するようにしてもよい。
図21は、画面出力システム100による各機の4DT表示の一例(ベクタリング経路推奨表示)を示す図である。
図21の例では、「先行している航空機A001の遅延が大きいため、後続の航空機A002を遅らせる」というルールに従い、航空機A002の合流地点Pへの到達を遅延させる。遅延させる方法として、ルールに従い「ベクタリングで経路延伸」させるという推奨情報を表示する。
図21の例では、以下の要素が画面に表示される。なお、各要素は表示/非表示の設定が可能であるとする。前述した例と同様の要素については、説明を省略する。
(9)航空機A002の針路変更位置推奨表示:「ベクタリングで経路延伸」させる位置を表したものである。
(10)航空機A002のベクタリング経路推奨表示:「ベクタリングで経路延伸」させる経路を表したものである。
図22は、画面出力システム100による各機の4DT表示の変形例(ベクタリング経路推奨表示)を示す図である。
図22に示すように、データブロック支援情報表示に、ベクタリングを推奨する旨の表示を追加してもよい。針路変更位置やベクタリング経路の長さ/時間は、パラメータ設定で変更可能とする。
ベクタリングを推奨する旨の表示は、画面出力システム100の4DT計算に基づいて、システム自動判定で行ってもよいし、管制官によるシステム入力(管制官が特定航空機を選択し、ベクタリング指示を行う旨を画面出力システム100に入力する)に基づいて行ってもよい。
図23は、画面出力システム100による各機の4DT表示の変形例(ベクタリング経路推奨表示)を示す図である。
図23に示すように、元々割り当てられている滑走路R1とは別の滑走路R2へアプローチすると仮定した、経由地点P2へ合流するための経路でベクタリングを推奨してもよい。この機能は、シミュレーションに用いてもよい。
なお、図23の例では、到着機ARV013が合流地点P1に近接しているので合流状態と判定し、写像を表示していない。これによって、合流地点P1にて、実像と写像が衝突するように誤認するのを防ぐことができる。これは、例えば、前述した表示対象のフィルタリングの機能により実現することができる。
図24は、実際の状況の一例を示す図である。図25は、画面出力システム100による各機の4DT表示の一例(航空機VSL001の4DT組み込み前における4DT表示)を示す図である。図26は、画面出力システム100による各機の4DT表示の一例(航空機VSL001の4DT組み込み後における4DT表示)を示す図である。
図24の例では、詳細な運行計画をもたない訓練機等の航空機VSL001,VSL002、到着機ARV011,ARV012,ARV013が滑走路Rを使用することが予定されている状況になっている。
図25の例において、航空機VSL001,VSL002を4DT計算に組み込むと、画面出力システム100が、航空機VSL001,VSL002の4DTを計算し、図26の例のような画面を出力する。
図26の例では、以下の要素が、図24の状況に対応する画面に表示される。なお、各要素は表示/非表示の設定が可能であるとする。前述した例と同様の要素については、説明を省略する。
(5)航空機VSL001の4DT表示:滑走路Rに着陸する予定の航空機VSL001の4DT表示である。
(6)航空機VSL002の4DT表示:滑走路Rに着陸する予定の航空機VSL002の4DT表示である。
(7)航空機VSL001の4DT予測経路:航空機VSL001の合流地点Pまでの予測経路である。
(8)航空機VSL001の4DT表示の写像:滑走路Rに着陸する予定の航空機VSL001の写像を基本経路X上に表示したものである。写像は実像との差異が判るような表示とする。写像と実像で色や形状を変えること等が考えられる。
図27は、実際の状況の一例を示す図である。図28は、画面出力システム100による各機の4DT表示の一例(滑走路変更前における4DT表示)を示す図である。図29は、画面出力システム100による各機の4DT表示の一例(滑走路変更後における4DT表示)を示す図である。
図27の例では、到着機ARV011,ARV012,ARV013が滑走路Rを使用することが予定されている状況になっている。
図28の例において、風向きの変化等が理由で滑走路Rへの進入方向が変更されると、画面出力システム100が、新たな条件に従って4DTを再計算し、図29の例のような画面を出力する。
図30は、画面出力システム100による各機の4DT表示の一例(G/A支援表示)を示す図である。
図30の例では、以下の要素が画面に表示される。なお、各要素は表示/非表示の設定が可能であるとする。前述した例と同様の要素については、説明を省略する。
(2)到着機ARV001へのG/A支援表示:到着機ARV001が、管制官のシステム入力、又は、外部情報に基づくシステム判定によって、G/A(着陸せずに滑走路Rを通過し、再度着陸を試みる)の対象機となったことを示すアイコンである。なお、管制官からのG/Aの指示をマウス操作(ダブルクリック等)やペン操作で受け付けるように構成することができる。
(3)到着機ARV001のデータブロック:到着機ARV001の識別情報(例えば、便名)とともに、到着機ARV001がG/Aの対象機となったことを示す「G/A」というメッセージが表示されている。
(6)G/A経路:G/Aの経路である。
図30の例では、画面出力システム100が、G/Aの対象機について、着陸を前提とした4DTを取り消し、G/A後、再度滑走路Rに進入することを前提に4DTを再計算する。
図31は、画面出力システム100による各機の4DT表示の一例(滑走路閉鎖時間帯表示)を示す図である。
図31の例では、以下の要素が画面に表示される。なお、各要素は表示/非表示の設定が可能であるとする。前述した例と同様の要素については、説明を省略する。
(6)滑走路Rの閉鎖時間帯:滑走路Rの閉鎖時間帯である。滑走路Rにつながる基本経路X,Yの両方に表示される。
図31の例において、4DT格納部108が記憶する範囲情報121には、到着機ARV001,ARV002が滑走路Rに進入することが制限される予定の時刻の範囲として、滑走路Rが閉鎖される予定の時刻の範囲を示す情報が含まれる。
以下では、前述した各例において、4DT計算部107が実行する処理の具体例を説明する。
図32は、4DT計算部107が周期計算で実行する、航空機の各種位置情報を算出する処理(共有リソースごとに実施される定期処理のアルゴリズム)を示すフローチャートである。
図32に示すように、4DT計算部107は、定期的に、計算対象の航空機ごとに、現在位置を取得し、計画/予測位置及び制約位置を算出する。
図33は、4DT計算部107が定期処理とは別に、ペン操作やマウス操作、あるいは、共有リソース内での遅延等が発生し、先行又は後続の航空機が制約違反となる可能性がある場合に実行する処理(イベントアルゴリズム)を示すフローチャートである。
図33に示すように、4DT計算部107は、イベントが発生する度に、イベント対象の航空機の計画/予測位置を補正する。補正した方向が順方向(進行方向と逆)であれば、その航空機の制約位置を算出し、補正によって後続の航空機と競合しないか(制約違反が発生しないか)確認する。競合する場合は、イベント対象の航空機の計画/予測位置を再計算し、その航空機の制約位置の算出からやり直す。補正によって後続の航空機と競合することがなければ、処理を終了する。再計算の結果、処理を受け付けられないと判断した場合は、異常終了として例外処理を実施する。一方、補正した方向が順方向でなければ(進行方向であれば)、補正によって先行する航空機と競合しないか(制約違反が発生しないか)確認する。競合する場合は、先行する航空機の制約位置を変更し、それに合わせて、先行する航空機の計画/予測位置を再計算する。以降、再計算によって、さらに先行する航空機と競合しないか(制約違反が発生しないか)順次確認していく。全ての先行する航空機について競合しないことが確認できると、処理を終了する。再計算の結果、処理を受け付けられないと判断した場合は、異常終了として例外処理を実施する。
以上説明したように、本実施の形態に係る画面出力システム100は、以下のような表示を行うことができる。
・複数航空機の情報表示による航空機間の関係を認識できる表示
・4DT(現在情報と計画/予測情報)を認識できる表示
・視認性の良い(見づらくない、視線を外さない)表示
本実施の形態の対象となる移動体は、航空機に限らず、ヘリコプター、その他の飛行物体、空港面移動物体(車両等)、その他の移動体である。
本実施の形態によれば、各機の4DT表示として、各機の現在情報と計画/予測情報の両方を表示できる。また、関係機の4DT表示として、関係機(同一合流点通過機、同一滑走路使用機)の4DTを表示できる。また、支援情報の表示として、4DT計算による全対象機に対して調整された4DT計算結果(計画/予測情報)に、各機の状態を合致させる/近づけるための支援情報(経路、高度、針路、速度等の推奨情報)を表示できる。そして、これらの各表示を管制主画面上で行うことができる。なお、支援情報を主画面とは別の副画面や主画面上の別ウィンドウに表示しても構わない。
前述した各例において、図示したアイコン等は一例であり、別の形状や色で表現してもよい。
複数機の管制主画面表示において、移動体(航空機・車両)のプロパティ(例えば、到着/出発/滑走路横断/トーイング)に応じて、形状や色を分けて、視認性を向上させることが望ましい。
4DT表示と4DT写像表示の違いを認識させるために、形状や色を分けて、視認性を向上させることが望ましい。
支援表示においては注意喚起のための工夫を行うことが望ましい。例えば、推奨する管制指示の実施までの余裕時間や支援情報の重要性に応じて、該当の表示をブリンクさせたり、赤色等の注意をひきつけやすい色を使う等の工夫を行うことが考えられる。
管制官入力によって計算精度向上が期待できるが、入力すべき内容は計算精度向上に重要なものに絞り、管制官負荷の増大を防ぐことが望ましい。
管制官入力は計算精度向上に加え、地上と航空機の間のデータリンク(データ通信)と直結させることが望ましい。管制官入力の内容の選定ではデータリンクに繋がる内容とすることが望ましい。
管制官入力の収集・蓄積・解析は、管制官の特性や意図に沿ったパラメータ設定に有効利用することが望ましい。これによって、システム調整に係るパラメータ設定作業負荷の軽減が期待される。
4DT計算においては、前述したように、航空機性能、対象空間(空域・地上・経路・障害物)、気象(風ベクトル、悪天、乱気流)等の環境情報、及び、航空機移動に係るプロファイル(経路に対する速度、高度等の対応)を考慮することにより、正確な計算を行うことが可能となる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。