JP5421303B2 - ラチェット式テンショナ - Google Patents
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Description
加えて、ばね制止片がC型リングからラチェット付勢用ばねに向けて持ち上がる細首状連結部を介してC型リングに一体形成されていることにより、ばね制止片がC型リングに対して細首状連結部を介して持ち上がっている分だけラチェット付勢用ばねからの繰り返し荷重に対する弾発力を発生するため、ラチェットの出没動作により伸縮変動するラチェット付勢用ばねをばね制止片に対して確実に着座させることができる。
さらに、前述した逆止弁ユニットを備えたラチェット式テンショナの場合、その具体的なユニット形態は、プランジャ収容穴の底部に組み込まれて高圧油室内の圧油の油供給路への逆流を阻止するものであれば、如何なる形態のものであっても良く、例えば、油供給路に連通して高圧油室側へ圧油を供給するボールシートとこのボールシートの弁座に対向するチェックボールとこのチェックボールをボールシートに押圧付勢するボール付勢用ばねとチェックボールの移動量を規制する鐘状リテーナとを備えたものであっても何ら構わない。
ここで、図1は、本発明の理解を助けるための参考例であるラチェット式テンショナ100の使用態様図であり、図2は、図1に示すラチェット式テンショナ100を拡大した断面図であり、図3は、ラック歯とラチェット歯の拡大図であり、図4は、ラチェットとラチェット付勢用ばねとばね制止用座金との分解図であり、図5は、ばね制止用座金の組み付け直前の状態を示す説明図であり、図6は、ばね制止用座金の組み付け時の状態を示す説明図であり、図7は、ばね制止用座金の組み付け直後の状態を示す説明図であり、図8は、エンジン始動時のプランジャ突出動作に伴う噛み合い状態を示す図であり、図9は、エンジン始動時のプランジャ後退動作に伴う噛み合い状態を示す図であり、図10は、チェーン張力過多によるプランジャ後退開始時の噛み合い状態を示す図であり、図11は、チェーン張力過多によるプランジャ後退動作中の噛み外れ状態を示す図であり、図12は、チェーン張力過多によるプランジャ後退終了時の噛み合い状態を示す図であり、図13は、本発明の実施例であるラチェット式テンショナ200の要部拡大図であり、図14は、ラチェットとラチェット付勢用ばねとばね制止用座金との分解図であり、図15であり、ばね制止用座金の組み付け直前の状態を示す説明図であり、図16は、ばね制止用座金の組み付け時の状態を示す説明図であり、図17は、ばね制止用座金の組み付け直後の状態を示す説明図である。
なお、タイミングチェーンCの張り側にはタイミングチェーンCの走行を案内する固定ガイドGがエンジン本体側に取り付けられている。
前述した逆止弁ユニット140の具体的なユニット構造については、プランジャ収容穴112の底部に組み込まれて高圧油室R内から油供給路111へ圧油の逆流を阻止するものであれば、公知の如何なるものであっても差し支えないが、本発明の理解を助けるための参考例では、前述したハウジング本体110の油供給路111に繋がる油路141aを有するボールシート141と、このボールシート141の弁座141bに着座するチェックボール142と、このチェックボール142をボールシート141に押圧付勢するボール付勢用ばね143と、このボール付勢用ばね143を支持し且つチェックボール142の移動量を規制する鐘状リテーナ144とから構成された逆止弁ユニット140が採用されている。
前述したラチェット150は、図4に示すように、ラチェット外径寸法Dより大きなラチェット全長寸法Wを備え、これによって、ラチェット150に過剰な荷重が負荷された場合であっても、ラチェット収容穴113内の摺動方向に対して生じがちなラチェット150の傾きを抑制してラチェット150の偏摩耗を防止し、プランジャ120とラチェット150からなるラチェット機構をより円滑に作動させるようになっている。
また、本発明の理解を助けるための参考例におけるラチェット150は、プランジャ側面に刻設したラック歯122に向けて均等に噛み合い荷重を分散して噛み合うため、図3および図4に示すように、ラック歯122と等ピッチの歯間隔および同一の歯丈を備えた3枚のラチェット歯151がプランジャ側先端領域に設けられている。
これにより、エンジン始動時にプランジャ120の後退変位を抑制してタイミングチェーンのバタツキ音を低減するとともにエンジン始動後のチェーン張力過多によってプランジャ120の後退変位を許容してプランジャ120の焼き付きを防止し、特殊な高荷重対応のプランジャ付勢用ばね130やオリフィス機構やオイルリザーブ機構を必要とせず、部品点数や製造コストを低減してテンショナ自体を小型化している。
(ばね制止用座金170の具体的な構造について)
すなわち、ばね制止用座金170は、図4に示すように、ラチェット収容穴113の後端領域に縮径状態で嵌め込まれてラチェット収容穴113の係止用円周溝113a内で拡径することにより係止されるC型リング171とこのC型リング171からリング中央領域に延びてラチェット付勢用ばね160を着座させるばね制止片172とを有している。
これにより、ラチェット150の摺動方向と直交するラチェット収容穴113の径方向に拡径されたばね制止用座金のC型リング171が、ラチェット収容穴113の係止用円周溝113a内に位置決め係止され、ばね制止片172が、ラチェット付勢用ばね160から受けた衝撃をC型リング171に伝播させずに遮断している。
ここで、図5の(a)は、ばね制止用座金170の組み付け直前のC型リング171が拡径した状態を示したものであり、図5の(b)は、ラチェット収容穴113の後端領域に嵌め込む直前の状態を示したものである。図6の(a)は、ばね制止用座金170の組み付け時にC型リング171が縮径した状態を示したものであり、図6の(b)は、ラチェット収容穴113の後端領域に嵌め込む途中の状態を示したものである。図7の(a)は、ばね制止用座金170の組み付け着後にC型リング171が拡径した状態を示したものであり、図7の(b)は、ラチェット収容穴113の後端領域に嵌め込んだ状態を示したものである。
したがって、本発明の理解を助けるための参考例のラチェット式テンショナ100におけるばね制止用座金170は、図5に示すばね制止用座金170のC型リング171が拡径した状態から組み付けを開始し、図6に示すように、C型リング171の縮径用ピン係合穴174に係合させた縮径用工具ピンTでC型リング171のリング両端を相互に引き寄せて縮径させた状態でラチェット収容穴153の係止用円周溝153a内に嵌め込んだ後、図7に示すように、C型リング171のリング両端をラチェット収容穴153の係止用円周溝153a内で拡径させて係合させることにより、ラチェット収容穴113の後端領域に確実に嵌め込まれる。
なお、保守メンテナンス時にばね制止用座金170を取り外す際には、上述した手順を逆に操作すれば良いことは言うまでもない。
本実施例のラチェット式テンショナ100におけるプランジャ120のラック歯122とラチェット150のラチェット歯151とラチェット付勢用ばね160との相互関係、すなわち、これらが奏するチェット機能について、図3および図8乃至図12に基づいて更に詳しく説明する。
まず、図8で示すように、エンジン始動時およびエンジン始動後の通常運転時においてプランジャ120が突出する際、常に、f1>Fsとなり、プランジャ120は、ラチェット150を押し戻しながら前進する。
ここで、本発明の理解を助けるための参考例で用いたラチェット付勢用ばね160の付勢力Fsは、図9で示すようなエンジン始動時に走行チェーン側からプランジャ120を後退させる反力F1で発生するラチェット150の摺動方向の分力f1より大きく設定されているとともに、図10で示すようなエンジン始動後のチェーン張力過多時に走行チェーン側からプランジャ120を後退させる反力F2で発生するラチェット150の摺動方向の分力f2より小さく設定されている。
さらに、図10に示すようなエンジン始動後のチェーン張力過多時に走行チェーン側からプランジャ120を後退させる反力F2が発生すると、前述したラチェット150の摺動方向の分力f2がラチェット付勢用ばね160の付勢力Fsよりも大きくなり、図11に示すようにラチェット150のラチェット歯151とプランジャ120のラック歯122とが噛み外れ、ラチェット付勢用ばね160の付勢力Fsがラチェットの摺動方向の分力f2よりも相対的に大きくなるまでプランジャ120をラック歯122の1歯分もしくは数歯分だけ後退させるため、エンジン始動後のチェーン張力過多によってバックラッシュが生じたプランジャ120の後退方向の動きを規制せず図12に示すような後退変位を許容するようになっている。
これにより、エンジン始動時に走行チェーン側からプランジャ120を後退させる反力F1が発生してもプランジャ120のラック歯122とラチェット150のラチェット歯151との噛み外れを阻止するようになっている。
f2=F2×cosθ×sinθ×μ
f2>Fs
となる。
なお、ここで言うμとは、プランジャ120のラック歯122とラチェット150のラチェット歯151との間の摩擦係数である。
f1=F1×cosθ×sinθ×μ
f1<Fs
となる。
なお、ここで言うμとは、プランジャ120のラック歯122とラチェット150のラチェット歯151との間の摩擦係数である。
なお、図10乃至図12のプランジャ先端側に示す仮想線は、エンジン始動後にチェーン張力過多が発生した時、すなわち、図10に示す状態のプランジャ120の先端位置を示している。また、図11乃至図12のラチェット近傍側に示す仮想線は、エンジン始動後にチェーン張力過多が発生した時、すなわち、図8に示す状態のラチェット150の位置を示している。
なお、本発明の実施例であるばね制止用座金270以外の装置構成については、上述した本発明の理解を助けるための参考例であるラチェット式テンショナ100における同一の部材に付した100番台の符号を200番台の符号に読み換えることにより、その重複する説明を省略する。
これにより、ラチェット250の摺動方向と直交するラチェット収容穴213の径方向に拡径されたばね制止用座金のC型リング271が、ラチェット収容穴213の係止用円周溝213a内に位置決め係止され、ばね制止片272が、ラチェット付勢用ばね260から受けた衝撃をC型リング271に伝播させずに遮断している。
これにより、ばね制止片272がC型リング271に対して細首状連結部273を介して持ち上がっている分だけラチェット付勢用ばね260からの繰り返し荷重に対する弾発力を発生するようになっている。
これにより、ばね制止片272が細首状連結部273とC型リング271のリング両端との間で両持ち状態になってラチェット付勢用ばね260からの繰り返し荷重に対する細首状連結部273の曲げ応力が回避されるようになっている。
これにより、ばね制止用座金270の組み付け時などに縮径用ピン係合穴274に係合させた縮径用工具ピンTでばね制止用座金270のC型リング271を任意に拡縮させることが可能になっている。
110 、210 ・・・ ハウジング本体
111 、211 ・・・ 油供給路
112 、212 ・・・ プランジャ収容穴
113 、213 ・・・ ラチェット収容穴
113a、213a・・・
係止用円周溝
114 、214
・・・ ピン挿入穴
120 、220 ・・・ プランジャ
121 、221 ・・・ 中空部
122 、222 ・・・ ラック歯
122a・・・ ストップ面
122b・・・ 摺動面
130 、230 ・・・ プランジャ付勢用ばね
140 、240 ・・・ 逆止弁ユニット
141 、241 ・・・ ボールシート
141a、241a・・・ 油路
141b、241b・・・ 弁座
142 、242 ・・・ チェックボール
143 、243 ・・・ ボール付勢用ばね
144 、244 ・・・ 鐘状リテーナ
150 、250 ・・・ ラチェット
151 、251 ・・・ ラチェット歯
151a・・・ ストップ対向面
151b・・・ 摺動対向面
153 、253 ・・・ ばね収容穴
160 、260 ・・・ ラチェット付勢用ばね
170 、270 ・・・ ばね制止用座金
171 、271 ・・・ C型リング
172 、272 ・・・ ばね制止片
273 ・・・ 細首状連結部
174、274 ・・・ 縮径用ピン係合穴
S1 ・・・ 駆動側スプロケット
S2 ・・・ 被駆動側スプロケット
C ・・・ タイミングチェーン
L ・・・ 可動レバー
G ・・・ 固定ガイド
P ・・・ ピストン部高圧油室
R ・・・ 高圧油室
D ・・・ ラチェット外径寸法
W ・・・ ラチェット全長寸法
Fs ・・・ ラチェット付勢用ばねの付勢力
F1 ・・・ エンジン始動時にプランジャを後退させる反力
F2 ・・・ エンジン始動後のチェーン張力過多時にプランジャを後退させる反力
f1 ・・・ 反力F1で発生するラチェットの摺動方向の分力
f2 ・・・ 反力F2で発生するラチェットの摺動方向の分力
fh ・・・ 反力F2でプランジャのストップ面に作用する分力
θ ・・・ プランジャに形成されたストップ面の傾斜角
α ・・・ プランジャに形成された摺動面の傾斜角
T ・・・ 縮径用工具ピン
500 ・・・ 従来のラチェット式テンショナ
512 ・・・ ハウジング
514 ・・・ プランジャ
516 ・・・ 油室
518 ・・・ スプリング
520 ・・・ 副油室
524 ・・・ ロッド
526 ・・・ ピストン
528 ・・・ 大気室
530 ・・・ キャップ
532 ・・・ 大気連通孔
534 ・・・ 第2スプリング
536 ・・・ 噛合歯
538 ・・・ ラック
544 ・・・ 油路
548 ・・・ 油路
550 ・・・ 油溜り
Claims (7)
- 外部圧油の油供給路を形成したハウジング本体と該ハウジング本体のプランジャ収容穴から走行チェーンに向けて摺動自在に突出するプランジャと前記ハウジング本体のプランジャ収容穴とプランジャの中空部との間に形成される高圧油室に収納されてプランジャの突出方向に付勢するプランジャ付勢用ばねと前記ハウジング本体のラチェット収容穴に嵌挿されてプランジャの進退方向と直交する方向に摺動する円柱状のラチェットと該ラチェットのプランジャ側先端領域に設けたラチェット歯をプランジャ側面のラック歯に向けて付勢するラチェット付勢用ばねと前記ラチェット収容穴の後端領域に嵌め込まれてラチェット付勢用ばねを着座させるばね制止用座金とを備えたラチェット式テンショナにおいて、
前記ラチェット付勢用ばねが、前記ラチェットの内部に設けたばね収容穴内からラチェットの摺動方向に伸縮自在に一部突出させた状態で挿着されているとともに、
前記ばね制止用座金が、前記ラチェット収容穴の後端領域に縮径状態で嵌め込まれてラチェット収容穴の係止用円周溝内で拡径することにより係止されるC型リングと該C型リングからリング中央領域に延びてラチェット付勢用ばねを着座させるばね制止片とを有し、前記ばね制止片が、前記C型リングからラチェット付勢用ばねに向けて持ち上がる細首状連結部を介してC型リングに一体形成されていることを特徴とするラチェット式テンショナ。 - 前記ばね制止用座金が、前記C型リングのリング両端を縮径用工具ピンで相互に引き寄せて縮径させる縮径用ピン係合穴をリング両端にそれぞれ有していることを特徴とする請求項1に記載のラチェット式テンショナ。
- 前記ばね制止片が、前記ラチェット収容穴の後端領域でC型リングのリング両端と重なり合った状態で細首状連結部とC型リングのリング両端とで保持されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラチェット式テンショナ。
- 前記ラチェット付勢用ばねの付勢力が、エンジン始動時に走行チェーン側からプランジャを後退させる反力で発生するラチェットの摺動方向の分力より大きく設定されているとともにエンジン始動後のチェーン張力過多時に走行チェーン側からプランジャを後退させる反力で発生するラチェットの摺動方向の分力より小さく設定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載のラチェット式テンショナ。
- 前記プランジャのラック歯が、前記ラチェットの摺動方向に対してプランジャ前進側に傾斜するストップ面と前記ラチェットの摺動方向に対してプランジャ後退側に傾斜する摺動面とで凹凸状に形成されているとともに、
前記ラチェットのラチェット歯が、前記ラチェットの摺動方向に対してプランジャ前進側に傾斜するストップ対向面と前記ラチェットの摺動方向に対してプランジャ後退側に傾斜する摺動対向面とで凹凸状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載のラチェット式テンショナ。 - 前記ストップ面の傾斜角が、前記摺動面の傾斜角より小さく形成されていることを特徴とする請求項5記載のラチェット式テンショナ。
- 前記ラチェットが、ラチェット外径寸法より大きなラチェット全長寸法を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載のラチェット式テンショナ。
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