JP5420509B2 - 落石防止装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、斜面上で落石が発生した場合において、落石が道路等に転がり出ないようにする落石防止装置並びにその製造方法及び、エネルギー制御式落石防護網工法に関するものである。
斜面上に設置する落石防止工法としては、従来、金網及び格子状に組んだ縦横ロープからなる、適宜な強度の防護体で当該斜面全体を覆い、前記防護体を、斜面に設置した固定装置で固定し、当該斜面で生じた落石を斜面と防護体の間に挟み込んで下方まで誘導し、道路上等に転がり出ないようにする覆い式落石防護網工法が採用されている。
或いは、長大な斜面の上方部に、落石発生源がある場合は、斜面上に複数本の支柱を水平に立設し、その支柱から、前記防護体を斜面の法尻まで吊り下げ、落石発生源から落石が発生した場合に、前記支柱によって、防護体の上方部に設けられた開口部に受け入れた後、落石を、斜面と防護体の間に挟み込んで、下方まで誘導し、道路上等に転がり出ないようになっている、ポケット式落石防護網工法などが知られている。
特開2010−24729号公報
前記の従来技術には、以下のような問題点が指摘されている。
前記従来技術の、覆い式落石防護網工法は、金網及び縦横ロープからなる、前記防護体の許容強度と、金網及び縦横ロープの、エネルギー吸収能力を、基本的要素とする工法である。
従って、金網及びロープの許容強度を超えたり、金網及びロープの、エネルギー吸収能力の限界を超える規模の落石に対しては、効果を発揮することはできない。また、前記防護体の強度を強化するために、ロープとロープの間隔を狭めて、ロープ部材の数量を多くしたり、補強ロープを多くしたりして、強度の向上を図ろうとすると、施工性が低下したり、費用対効果の問題が生じる。一方、自然環境下の斜面では、思わぬ外力が発生することもあり、想定外の落石のエネルギーによって、大きな衝撃力に遭遇することになる。そのような事態が発生した場合、想定外の衝撃力によって、前記防護体の一部、或いは全体が耐え切れずに破損して、落石が発生することも懸念されている。
解決しようとする問題点は、落石のエネルギーをエネルギー制御装置を装備した落石防護網全体で、落石が落下する過程でそのエネルギーを制御・減衰することができるエネルギー制御式落石防護網工法を提供する点である。そして、本発明は、前記に掲げた従来技術が内包する問題点を、解決するためになされたもので、施工性、安全性の向上及び、落石の衝撃力を、落石防護体の許容強度以下に緩和することができるエネルギー制御装置を装備した、エネルギー制御式落防護網工法の提供を目的とする。また、ワイヤーロープや、金網等の落石防止線材に接続される緩衝線材部の摺動を許容する緩衝器具を備えた落石防止装置において、緩衝線材部との摩擦力を高め、また組立性に優れるようにする点である。
すなわち、本発明の請求項に係る発明は、以下の特徴を有するものである。
(態様1)
傾斜面上に複数の落石防止線材を設けて該傾斜面を覆い、前記落石防止線材を地面に設けた固定具に接続し、前記落石防止線材に所定以上の張力が発生した場合に該落石防止線材の緩衝線材部の摺動を許容する緩衝器具を設けた落石防止装置であって、
前記緩衝器具は、前記緩衝器具内に前記緩衝線材部が挿入される挿入孔と、前記挿入孔内の長手方向に沿って繰り返して配置されると共に前記緩衝線材部がそれぞれ貫通された第1の片及び第2の片とを備え、前記第1の片における前記緩衝線材部が貫通する第1の貫通部に対して、前記第2の片における前記緩衝線材部が貫通する第2の貫通部が偏位した状態で配置されていることを特徴とする落石防止装置。
(態様2)
前記第1の片と第2の片との間に前記緩衝線材部が貫通する第3の貫通部を備えた間隔保持リングが介在することを特徴とする態様1に記載の落石防止装置。
(態様3)
傾斜面上に複数の落石防止線材を設けて該傾斜面を覆い、前記落石防止線材を地面に設けた固定具に接続し、前記落石防止線材に所定以上の張力が発生した場合に該落石防止線材の緩衝線材部の摺動を許容する緩衝器具を設けた落石防止装置であって、
前記緩衝器具は、前記固定具側に基端側が連結され前記緩衝線材部が先端側から挿入される挿入孔を設けたケーシングを備え、
前記挿入孔には、前記緩衝線材部が貫通された第1の扁平板片及び第2の扁平板片が、前記挿入孔に嵌着した状態でかつ前記ケーシングの前記先端側から前記基端側に沿って繰り返して配置され、
前記第1の扁平板片には前記緩衝線材部が貫通する第1の貫通部が設けられる一方、前記第2の扁平板片には前記緩衝線材部が貫通する第2の貫通部が設けられ、かつ、
前記緩衝器具の前記挿入孔内に前記緩衝線材部を収容・固定した際に、前記第2の扁平板片の前記第2の貫通部が、前記第1の扁平板片の前記第1の貫通部に対して偏位するよう配設されていることを特徴とする落石防止装置。
(態様4)
前記ケーシングは、筒状であって、該ケーシングの中心線を含む分割面によって分割された一対の分割ケーシングによって構成され、
前記挿入孔は、前記分割面同士を互いに突き合わせて前記分割ケーシングを一体に固定することで形成され、
前記第1の扁平板片及び第2の扁平板片は、それぞれ前記緩衝線材部に直交する表面とその裏面を略楕円形又は略長方形に形成され、前記第1の扁平板片及び第2の扁平板片の外周面はそれぞれ前記ケーシングの前記挿入孔によって形成された内周面に嵌着され、前記第1の貫通部を前記第1の扁平板片の中央部に設け、前記第2の貫通部を前記第2の扁平板片の中央部から長辺方向に偏位したことを特徴とする態様3記載の落石防止装置。
(態様5)
前記第1の扁平板片と第2の扁平板片との間に前記緩衝線材部が貫通する第3の貫通部を備えた間隔保持リングが介在することを特徴とする態様3又は4に記載の落石防止装置。
(態様6)
傾斜面上に複数の落石防止線材を設けて該傾斜面を覆い、前記落石防止線材を地面に設けた固定具に接続し、前記落石防止線材に所定以上の張力が発生した場合に該落石防止線材の緩衝線材部の摺動を許容する緩衝器具を設けた落石防止装置の製造方法であって、
前記緩衝器具として、前記固定具側に基端側が連結され前記緩衝線材部を先端側から挿入可能な挿入孔を設けたケーシングと、複数の第1の扁平板片及び第2の扁平板片と、を用意し、
前記第1の扁平板片には、前記緩衝線材部が貫通する第1の貫通部を形成し、
前記第2の扁平板片には、前記ケーシングに組み付けられた際に、前記緩衝線材部が貫通する第2の貫通部を、前記第1の貫通部に対して偏位するよう形成し、
前記第1の扁平板片及び第2の扁平板片を、該ケーシングの前記先端側から前記基端側に沿って前記偏位を保ちつつ、前記挿入孔に嵌着させた状態で繰り返して配置したことを特徴とする落石防止装置の製造方法。
(態様7)
前記ケーシングは筒状に形成し、かつ、該ケーシングの中心線を含む分割面によって前記挿入孔と共に上下に分割されるとともに前記分割面を突き合わせて組み付け可能な分割ケーシングを用意し、
前記第1の扁平板片及び第2の扁平板片のそれぞれ前記緩衝線材部に直交する表面とその裏面とは、略楕円形又は略長方形をなすよう形成し、
前記第1の貫通部を前記第1の扁平板片の中央部に設け、前記第2の貫通部を前記第2の扁平板片の中央部から長辺方向に偏位した位置に設け、
前記緩衝線材部を前記第1の貫通部及び第2の貫通部に繰り返して挿入し、
前記緩衝線材部を水平状態に保ちながら前記第1の扁平板片及び第2の扁平板片を前記下側にある分割ケーシングの前記挿入孔に収納した後、該下側にある分割ケーシングに前記上側にある分割ケーシングを被せて一体化し、
前記第1の扁平板片及び第2の扁平板片の外周面をそれぞれ前記ケーシングの前記挿入孔によって形成された内周面に嵌着したことを特徴とする態様6に記載の落石防止装置の製造方法。
本願のその他の発明は、縦横ロープを斜面に固定する固定具にUボルト、接続端子、制御ロープ、緩衝金具で構成するエネルギー制御ユニットを連結し、前記緩衝金具は、制御ロープを緩衝金具内部で連続した波型に変形させて把持する機能を有し、該緩衝金具に、一方方向の変形把持力以上の力が作用した場合に、制御ロープを連続した波型に変形させながら、作用力の発生方向に移動する際に、作用エネルギーを、制御ロープを連続して波型に変形するに必要なエネルギーに変換して、作用エネルギーの減衰作用が発生するエネルギー制御ユニットを装備したエネルギー制御式落石防護網工法である。
本願のその他の発明は、斜面を金網で覆い、その上に格子状に組んだロープを配し、縦ロープの上端部及び横ロープの両端部を、斜面上に設置した固定具に、連結したエネルギー制御ユニットに連結し、更に、縦横ロープの交差部に、縦横ロープを、連続した波型に変形させて把持するクロス金具を配し、把持力以上の力が作用した場合において、縦横ロープを、連続した波型に変形させるに必要なエネルギーに変換させながら、クロス金具が、作用力方向に移動する際、作用力の減衰作用が発生するクロス金具を装備することを特徴とするエネルギー制御式落石防護網工法である。
本願のその他の発明は、斜面を覆う金網と、格子状に組んだロープからなる落石防護体を、上下2段に分けて斜面に敷設し、上下2段に分割した前記落石防護体を、斜面上の所定の箇所で一定の割合で上下段の落石防護体を、上段落石防護体が下になるように重ね合わせて敷設し、前記上段落石防護体の縦ロープの上端部及び横ロープの両端部を、斜面上に設置した固定具に連結したエネルギー制御ユニットに連結し、更に、前記上段落石防護体の縦ロープの下端部と、上段落石防護体の最下端横ロープを、三方クリップで連結し、前記上段落石防護体の横ロープは、斜面に設置した固定具と連結したエネルギー制御ユニットに接続する。
下段となる落防護体は、一定の割合で上段落石防護体と重ね合わせた箇所から、斜面の所定の箇所まで敷設し、下段落石防護体の縦ロープの上端部は、上段落石防護体の縦ロープの上端部を接続したエネルギー制御ユニットから伸ばした制御ロープに緩衝金具を介して連結し、更に、縦ロープの下端部は、斜面に設置した固定具に連結する。下段落石防護体の横ロープは、斜面に設置した固定具と連結したエネルギー制御ユニットに接続し、上下段の落石防護体の縦横ロープの交差部には、縦横ロープを連続した波型に変形させて把持するクロス金具を配し、把持力以上の力が作用した場合において、縦横ロープを、連続した波型に変形させるに必要なエネルギーに変換させながら、クロス金具が作用力方向に移動する際、作用力の減衰作用が発生するクロス金具を装備することを特徴としたエネルギー制御式落石防護網工法である。
本願のその他の発明は、斜面上に、複数本の支柱を水平に並べて立設し、金網と縦横ロープからなる落石防護体を、前記支柱から吊り下げ、横ロープの両端部を斜面上に設置した固定具に連結したエネルギー制御ユニットに連結し、縦横ロープの交差部には、縦横ロープを、連続した波型に変形させて把持するクロス金具を配し、把持力以上の力が作用した場合において、縦横ロープを、連続した波型に変形させるに必要なエネルギーに変換させながら、クロス金具が作用力方向に移動する際、作用力の減衰作用が発生するクロス金具を装備することを特徴とするエネルギー制御式落石防護網工法である。
本願のその他の発明は、斜面上に、複数本の支柱を水平に並べて立設し、金網と縦横ロープからなる落石防護体を、前記支柱から吊り下げ、斜面上の所定の箇所まで敷設し、横ロープの両端部を斜面上に設置した固定具に連結したエネルギー制御ユニットに連結する。さらに、前記の落石防護体とは別の落石防護体を、支柱から吊り下げた上段落石防護体の下部に、一定の割合で上方から被せるように重ね合わせて、斜面の所定位置まで敷設し、横ロープの両端部を、斜面上に設置した固定具に連結したエネルギー制御ユニットに連結する。又、下段落石防護体の縦ロープの上端部は、支柱に連結した制御ロープに緩衝金具を介して連結し、縦ロープの端部は、斜面に設置した固定具に連結する。
上下段の落石防護体の縦横ロープの交差部には、縦横ロープを、連続した波型に変形させて把持するクロス金具を配し、把持力以上の力が作用した場合において、縦横ロープを連続した波型に変形させるに必要なエネルギーに変換させながら、クロス金具が作用力方向に移動する際、作用力の減衰作用が発生するクロス金具を装備することを特徴とするエネルギー制御式落石防護網工法である。
本願のその他の発明は、上記のエネルギー制御式落石防護網工法において、前記縦横ロープを、前記斜面に固定するためには、前記斜面に設置した固定具に、前記エネルギー制御ユニットを連結し、そのエネルギー制御ユニットに、縦横ロープを固定し、各縦横ロープに所定以上の力が作用した場合に、当該箇所の斜面に設置した固定具と連結されたエネルギー制御ユニット内で、制御ロープを、連続した波型に変形させるに必要なエネルギーに変換しながら、作用力方向に移動する際、作用力の減衰作用が発生するエネルギー制御ユニットを装備することを特徴とするエネルギー制御式落石防護網工法である。
本発明によれば、緩衝線材部が偏位状態にある第1の貫通部、第2の貫通部を繰り返して波型となって貫通することで、一方の貫通部で案内された緩衝線材部を偏位している他方の貫通部で摩擦を確実に生成せしめて、所定以上の張力が発生した場合に該落石防止線材の緩衝線材部の摺動を許容することができる。
本発明によれば、緩衝線材部がケーシング内で偏位状態にある第1の貫通部、第2の貫通部を繰り返して波型となって貫通することで、一方の貫通部で案内された緩衝線材部を偏位している他方の貫通部で摩擦を確実に生成せしめて、所定以上の張力が発生した場合に該落石防止線材の緩衝線材部の摺動を許容することができる。
本発明によれば、第1の扁平板片及び第2の扁平板片は、略楕円形又は略長方形に形成されて、第1の扁平板片及び第2の扁平板片はケーシング内で位置決めされて嵌着できる。
本発明によれば、ケーシング内で確実に固定状態となり、前記摩擦の低減を阻止することができる。
本発明によれば、緩衝線材部を第1の貫通部、第2の貫通部に繰り返して挿入した後、第1の扁平板片及び第2の扁平板片が並設されている緩衝線材部を水平状態に保って第1の扁平板片及び第2の扁平板片を分割された下側にある分割ケーシングの挿入孔に収納する前では、第2の扁平板片は縦長に配置され、そして下側にある分割ケーシングに緩衝線材部、第1の扁平板片及び第2の扁平板片を収納した状態で、上側の分割ケーシングを被せると、簡単に第1の貫通部に対して第2の貫通部を偏位して配置して組み立てることができる。
本発明によれば、緩衝線材部の連続した波型の摺動をエネルギー制御ユニットにより許容して、落石の防止を図ることができる。
本発明によれば、エネルギー制御ユニット、クロス金具によって落石の防止を図ることができる。
本発明によれば、ネルギー制御ユニットの緩衝線材部の連続した波型の摺動をクロス金具により許容して、落石の防止を図ることができる。
本発明によれば、エネルギー制御ユニットにおいて連続した波型の摺動を許容して落石を防止することができる
本発明の実施例1を示す全体正面図である。 同エネルギー制御ユニットの全体斜視図である。 同固定具側からのエネルギー制御ユニットの分解斜視図である。 同接続端子板側からのエネルギー制御ユニットの分解斜視図である。 同緩衝器具の分解斜視図である。 同緩衝器具の斜視図である。 同緩衝器具の組立順序を示す斜視図である。 同緩衝器具の組立前の断面図である。 同緩衝器具の組立状態の断面図である。 同第1,2の扁平板片及び間隔保持リングの組立配置状態の断面図である。 同接続端子の組立順序を示す斜視図である。 本発明の実施例2を示す分解斜視図である。 本発明の実施例3を示す分解斜視図である。 本発明の実施例4を示す組み込み後の正面図である。 本発明の実施例4を示す組み込み前の正面図である。 本発明の実施例5を示す断面図である。 本発明の実施例6を示す断面図である。
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
本発明の実施形態について、以下図面を参照しながら説明する、本発明の落石防止装置を構成する部材は、後述するように、縦ロープである縦向き落石防止線材1、横ロープである横向き落石防止線材2、金網である網3、ロックアンカーからなる固定部5,6,7、エネルギー制御ユニット8、縦補強ロープである縦向き補強落石防止線材9、横補強ロープである横向き補強落石防止線材10、クロス金具16、十字クリップ17及び三方クリップ19からなる。
以下、各部材についてその詳細を説明する。図1に示すように、格子状に配したワイヤーロープからなる縦向き落石防止線材1、横向き落石防止線材2と網3である金網からなる斜面覆い部4と、覆い部4を固定するアンカーである上部、一側及び他側固定部5,6,7及び覆い部4と固定部5,6,7の間に介する落石エネルギーを制御、緩和して覆い部4と固定部5,6,7、を落石の衝撃力から防御するエネルギー制御ユニット8から構成される。エネルギー制御ユニット8は、図2に例示する通り、接続端子12、アンカー接続Uボルト13、ロープ接続ボルト14、制御ロープである緩衝線材部15、緩衝金具である緩衝器具11から構成される。このエネルギー制御ユニット8は、ユニット構成部材の緩衝器具11で、緩衝線材部15を緩衝器具11内部で連続した波型に変形させて、把持する機能を有し、緩衝器具11に、把持力以上の張力が作用した場合に、その力を当該緩衝線材部15を連続した波型に変形させるエネルギーに変換しながら張力の発生方向に移動するようにしたものである。
そして横向き落石防止線材2の一側端部、他側端部側を傾斜面(地盤)に打ち込んで固定したアンカー等の一側及び他側固定具6,7にそれぞれ接続し、縦向き落石防止線材1の上端部側を傾斜面(地盤)に打ち込んで固定したアンカー等の上側固定具5にそれぞれ接続して浮き石の道路等への落下を防止している。
さらに、隣接する左右一対の縦向き落石防止線材1の中間に、これら縦向き落石防止線材1と平行に縦向き補強落石防止線材9が配置されている。また隣接する上下一対の横向き落石防止線材2の中間に、これら横向き落石防止線材2と平行に横向き補強落石防止線材10が配置されている。
そして、縦向き落石防止線材1の上端部側には縦向きのエネルギー制御ユニット8が接続される。このエネルギー制御ユニット8は、図2に示すとおり、緩衝器具11、接続端子12、アンカー接続Uボルト13、ロープ接続ボルト14、緩衝線材部15から構成されている。同様に、横向き落石防止線材2の一側、他側にもエネルギー制御ユニット8が装着している。
このエネルギー制御ユニット8は網3内で落石が生じると、緩衝器具11に所定の荷重が作用した時点で、負荷方向へ、緩衝線部材15に沿って緩衝器具11が移動を開始し、縦向き落石防止線材1などに所定の荷重以上の落石エネルギーが作用している間、所定の荷重を保ったまま移動を続け、移動することで、落石エネルギーを緩衝器具11の移動エネルギーに変換し、落石エネルギーを制御、減衰させるという機能を有している。そして、緩衝器具11は、当該縦向き落石防止線材1などに作用している落石エネルギーが所定荷重以下又は、消滅した時点で移動を停止するようになっている。
そして、緩衝器具11の基端11A側には緩衝線部材15、接続端子12、Uボルト13を介して上部固定部5が接続され、緩衝器具11の先端11Bにはロープ接続ボルト14を介して縦向き落石防止線材1の端部となる上端部1A側が接続されている。
縦向き補強落石防止線材9と横向き落石防止線材2との交点には、十文字型摺動案内金具となるクロス金具16が配置される。クロス金具16は同一発明者による特開2010−24729号公報に開示してあるように交差する縦向き補強落石防止線材9と横向き落石防止線材2はそれぞれ長手方向に摩擦抵抗を有して摺動できるようになっている。
縦向き補強落石防止線材9と横向き落石防止線材2又は横向き補強落石防止線材10のようにクロス金具16以外の交点には、十文字型固定金具となる十字クリップ17が配置される。
縦向き補強落石防止線材9の上端部と最上段の横向き落石防止線材2との交点、縦向き補強落石防止線材9の下端部と最下段の横向き落石防止線材2との交点などには、三方固定金具などと称せられる三方クリップ19が配置されている。この三方クリップ19によって縦向き補強落石防止線材9、横向き補強落石防止線材10の端部が固定できるようになっている。
さらに、上部固定具5にアンカーナット20を介して固定された接続治具21にアンカー接続U字ボルト13が接続され、このアンカー接続U字ボルト13の両端に接続端子12が固定具であるナット13Aを介して固定され、この接続端子12に緩衝線材部15の基端15A側が接続されている。緩衝線材部15の先端15Bは、接続端子12の前方にある緩衝器具11に貫挿している。
縦向き落石防止線材1の上端部1Aは、接続端子22に接続され、この接続端子22は、左右一対の接続ボルト14を介して緩衝器具11のケーシング24に接続されている。緩衝器具11は、略筒形状のケーシング24と、このケーシング24に該ケーシング24の長手方向に並設状態で収納されるコマなどと称せられる片である第1の扁平板片25、第2の扁平板片26と備えている。ケーシング24は、その長手方向にある中心線X上に緩衝線材部15が貫挿する挿入孔を形成する貫通部27が設けられており、ケーシング24の中心線X上にあってその基端側及び先端側にある貫通部27の基端側口28、先端側口29の円形断面積は、これら基端側口28、先端側口29間の貫通部27の断面積(後述する中間貫通部37の楕円形断面積)より小さく形成されており、貫通部27の断面は楕円形に形成されている。またケーシング24は、中心線Xを含んだ分割面30,31によって上下に2分割されて、一対の分割ケーシング32,33を有している。これら分割ケーシング32,33は、対向する分割面30,31の四隅が接続具であるボルト・ナット34により連結できるようになっており、また、一対の分割ケーシング32,33にはそれぞれロープ接続ボルト14が貫通する受け孔35が設けられ、この貫通したボルト14はナット36で受け孔35に固定されて接続されている。そして、貫通部27における基端側口28、先端側口29間に位置する断面が楕円形の中間貫通部37は、断面の長辺である長径Yが一対の分割ケーシング32,33の分割方向に向いており、このため断面の短辺である短径Zが分割面30,31と一致するようになっている。
そして、中間貫通部37に並設した第1の扁平板片25、第2の扁平板片26を中心線Xに沿って繰り返して複数収納するものであり、実施例では、先端側口29より基端側口28に沿ってスペーサなどと称される間隔保持リング38、第2の扁平板片26、間隔保持リング38、第1の扁平板片25、間隔保持リング38、第2の扁平板片26、間隔保持リング38、第1の扁平板片25・・・のように繰り返して配置されている。
第1の扁平板片25、第2の扁平板片26は、中心線X方向の厚みが薄い扁平板状であって、直交する表面及びその裏面は、その外周面25A,26Aが中間貫通部37の内周面40に嵌着するように中間貫通部37の断面と合同な楕円形に形成されている。そして、第1の扁平板片25の中央、すなわち長径Yと短径Zとの交点に緩衝線材部15が貫通する第1の貫通部41が中心線X方向に形成されている。
また、第1の扁平板片25の中央、すなわち中心線X上に緩衝線部材15が貫通可能な第1の貫通部41が形成されておりそして、第2の扁平板片26の中央より偏位して、すなわち中心線Xと平行となって第2の貫通部42が設けられている。この第2の貫通部42の直径は、第1の貫通部41の直径と同じ大きさであって、これら第1の貫通部41の直径、第2の貫通部42の直径と、緩衝線部材15の直径は略同じであって、緩衝線部材15は第1の貫通部41、第2の貫通部42に対してほとんど隙間のない嵌合状態で、しかも緩衝線部材15は第1の貫通部41、第2の貫通部42に対して摺動できるようになっている。尚、実施例では偏位は、中央(中心線X)より長径Y方向であって、その偏位長さHは第2の貫通部42の直径のほぼ半分に形成されている。
さらに、間隔保持リング38は中心線X方向の厚みが薄い扁平板状であって、直交する表面及びその裏面は、円形をなしており、中央に緩衝線材部15が遊挿する第3の貫通部43を設けており、この第3の貫通部43の直径は第1の貫通部41、第2の貫通部42より大きく形成されたものであって、間隔保持リング38の外径は短径Zと同じか或いは小さく形成されている。実施例では間隔保持リング38の外径は短径Z方向の長さより短く、中間貫通部37に収納されている間隔保持リング38の中央が常時中心線Xより偏位することで、後述するように緩衝線部材15が斜め上向きや斜め下向きに配置できるようになっている。
尚、実施例では第1の扁平板片25は3枚、第2の扁平板片26は4枚、間隔保持リング38は8枚配置されており、これらの中心線X方向の総和長さ(全長)は、中間貫通部37の中心線X方向の長さと同じになって、中心線X方向では大きな隙間がないようになっている。
そして、緩衝器具11の組立は、予め基端15Aを接続端子12に連結すべき緩衝線材部15の先端15Bを、間隔保持リング38の第3の貫通部43、第2の扁平板片26の第2の貫通部42、間隔保持リングの第3の貫通部43、第1の扁平板片25の第1の貫通部41、間隔保持リング38の第3の貫通部43、第2の扁平板片26の第2の貫通部42、間隔保持リング38の第3の貫通部43、第1の扁平板片25の第1の貫通部41、・・・の順に貫挿して、緩衝線材部15の両側に間隔保持リング38を配置した一群が形成される。緩衝線材部15が水平状態にあってこの一群が水平状態に並設している場合では、図8に示すように第1の扁平板片25、第2の扁平板片26、間隔保持リング38は、緩衝線材部15に吊り下がった状態であり、この吊り下がった状態では、第1の貫通部41は第1の扁平板片25の中央に配置されているので、第1の扁平板片25の中央に緩衝線材部15は貫通している。一方、第2の貫通部42は、第2の扁平板片26の長径Yの一方に偏位しているので、第2の扁平板片26の重心位置は長径Yの他方に偏位することとなり、このため吊り下がった状態では、長径Yの一方が上向きとなり、長径Yの他方が下向きとなる。尚、第3の貫通部43の直径は緩衝線部材15より幾分大きいものであって、このため緩衝線部材15は第3の貫通部43に遊挿されており、したがって、間隔保持リング38は緩衝線部材15に対して偏心して垂れ下がった状態となる。
次に第1の扁平板片25、第2の扁平板片26及び間隔保持リング38を緩衝線材部15に沿って直列に並べた一群を、一対の分割ケーシング32,33により挟み込むようにして前記一群の外周面25A,26Aの一方及び他方、実施例では外周面25A,26Aの下側及び外周面25A,26Aの上側を、下側にある分割ケーシング32の中間貫通部37、上側にある分割ケーシング33の中間貫通部37に嵌合させると、第1の扁平板片25の第1の外周面25Aの上部が上方に位置する分割ケーシング32の中間貫通部37の内周面40に当接し、また第2の扁平板片26の第2の外周面26Aの下部が下方に位置する分割ケーシング33の中間貫通部37の内周面40に当接する。この際、緩衝線材部15は直線状であり、この状態では緩衝線材部15と第1の扁平板片25、第2の扁平板片26との間に大きな摩擦は生ずることはない。
次に、図9に示すように一対の分割ケーシング32,33の四隅をボルト・ナット34で締め付け一対の分割面30,31を狭めることで、第1の扁平板片25の第1の外周面25Aの上部、下部が一対の分割ケーシング32,33の中間貫通部37の内周面40にそれぞれ当接して、第1の扁平板片25はケーシング24の中間貫通部37に嵌着する。同時に、第2の扁平板片26の第2の外周面26Aの上部、下部が上下一対の分割ケーシング32,33の中間貫通部37の内周面40にそれぞれ当接して、第2の扁平板片26はケーシング24の中間貫通部37に嵌着する。この結果、第2の貫通部42のみが緩衝器具11の中心線Xより上側に偏位した状態となって(偏位長さH)、緩衝線材部15は緩衝器具11に把持されるようになっている。
このため、直線状であった緩衝線材部15は、緩衝器具11の中心線X上にある先端側口29から間隔保持リング38の第3の貫通部43を介して第2の貫通部42に至り、さらに隣接する別の第3の貫通部43を介して第1の貫通部41に至る際、斜め上向き部15Cを介して偏位した第2の貫通部42側に貫通する。さらに第2の貫通部42から第3の貫通部43を介して第1の貫通部41へ至る際には、第3の貫通部43において緩衝線材部15は斜め下向き部15Dを介することになる。このように第2の貫通部42の前後の第3の貫通部43では、緩衝器具11の斜め上向き部15C、斜め下向き部15Dが繰り返して配される。そして、斜め上向き部15Cと第2の貫通部42との接触角部P、斜め下向き部15Dと第2の貫通部42との接触角部Q、斜め下向き部15Dと第1の貫通部41との接触角部R、第1の貫通部41と次の斜め上向き部15Cとの接触角部Sなどにおいて、緩衝線材部15が角部に食い込むような状態となって高い摩擦力を生成することができる。
尚、図11に示すように、例えば緩衝線材部15の接続端子12は、緩衝線材部15が接続される接続端子12であるソケット44とクサビ状プラグ45から構成されている。そして、ソケット44に緩衝線材部15であるワイヤーロープを挿入し、次にワイヤーロープにプラグ45をワイヤーロープの端面の装着し、さらにワイヤーロープにプラグ45を装着した状態でソケット44に挿入する。そして、ソケット44にボルトと支持板のプラグ圧入装置46を取り付け、ナット46Aをインパクトレンチ(図示せず)で締め付けてプラグ45とソケット44を圧着し、ソケット44からプラグ圧入装置46を取り外して完了するものである。このような接続端子12の加工方法にあっては、施工が容易であること、高接続強度であり、接続が確実に行えること及び、高強度部材となる。
なお、クロス金具16については、同一発明者による特開2010−24729号公報(上記特許文献1)に開示された構成・作用を参照されたい。
次に前記構成についてその作用を説明する。エネルギー制御ユニット8の組立にあっては、緩衝線部材15に図7に示す順序で中心孔コマである第1の扁平板片25、偏心孔コマである第2の扁平板片26、間隔保持リング38からなる制御用のパーツを貫通させて装着する。次に緩衝線部材15と制御パーツを装着した状態で、緩衝器具11における下方にある分割ケーシング33のパーツ収納溝である中間貫通部37に制御用のパーツを装着する。次に、同型で対の上方にある分割ケーシング32で蓋をするようにして重ね合わせ合体させる。合体させた緩衝器具11の分割ケーシング32,33をボルト・ナット34で連結し、ナットの締付トルクによって張力制御能力を調整する。
そして、緩衝器具11は同型の金具2個を一対として構成するもので、一対の分割ケーシング32,33を第1の扁平板片25などの制御パーツを挿入した緩衝線部材15を中間貫通部37に格納した後、4本のボルトナット34で所定のトルクで固定する。そして、エネルギー制御ユニット8と縦向き落石防止線材1の上端部1A側などを接続するものであり、この接続は、図4に示すように縦向き落石防止線材1などに装着した接続端子12と緩衝器具11を全ネジボルトからなるロープ接続ボルト14とナット14Aで接続する。
そして、工法においては、斜面を覆う金網3と格子状に組んだロープからなる落石防止線材1,2からなる落石防護体で斜面を覆い、縦向き落石防止線材1の上端部及び、横向き落石防止線材2の両端部を斜面上に設置した固定部5,6,7に連結したエネルギー制御ユニット8に連結する。格子状に組んだ落石防止線材1,2の交差部にクロス金具16を配し、格子状に組んだ落石防止線材1,2の中間に縦横の補強落石防止線材9,10を格子状に配する。そして、格子状に組んだ縦横の補強落石防止線材9,10の交差部に十字クリップ17を配し、落石防止線材1の下端部と最下段の落石防止線材2及び、落石防止線材1の両端部と最上下段の落石防止線材2、さらに、補強落石防止線材10の両端部と左右端の落石防止線材1を三方クリップ19で連結している。
このようにして、縦向き落石防止線材1、横向き落石防止線材2をエネルギー制御ユニット8に接続した後、接続ボルト14のナット14Aの締付加減で縦向き落石防止線材1、横向き落石防止線材2の弛みや張り具合を調整する機能を有する。
エネルギー制御ユニット8とアンカーである固定部5,6,7の接続は以下のように行われる。エネルギー制御ユニット8は、図3に示すとおり、エネルギー制御ユニット8の接続端子12とアンカー接続Uボルト13によって、接続治具21を介して固定部5,6,7に接続する。
縦横ワイヤーロープをエネルギー制御ユニット8に接続した後、アンカー接続Uボルト13のナット21の締付加減で、縦向き落石防止線材1、横向き落石防止線材2の弛みや、張り具合を調整する機能を有する。中心に緩衝線部材15を貫通させるための第1の貫通部41がある楕円形をした「中心孔コマ」となる第1の扁平板片25実施例では3個と、コマの中心から長径Y方向である長辺方向に偏心した箇所に緩衝線部材15を貫通させるための第2の貫通部がある楕円形をした「偏心孔コマ」となる第2の扁平板片26実施例では4個コマとコマの間隔及び両端のコマと緩衝器具11の間隔を保持するための間隔保持リング38実施例では8個)と、から構成されている。
中心孔コマである第1の扁平板片25、偏心孔コマである第2の扁平板片26とも楕円形状である理由は、偏心孔コマである第2の扁平板片26の向きをそろえるための手段で合理的な方法であり、第1の扁平板片25、第2の扁平板片26の軽量化を図る目的をもっている。
一方、図10に示すように、第1の扁平板片25、第2の扁平板片26と緩衝器具11の収納溝である中間貫通部37を楕円形としたことで、偏心孔コマである第2の扁平板片26を緩衝器具11の溝にセットした際に傾くことを物理的に防止することで、中止孔コマである第1の扁平板片25と偏心孔コマである第2の扁平板片26を緩衝器具11の溝にセットした際に傾くことを防止することで、第1の扁平板片25と第2の扁平板片26の貫通孔の誤差を合理的に均一とすることが出来る。そして、一群となっている制御パーツを緩衝線部材15に挿入した状態は、中心孔コマと偏心孔コマの頂点に段差が生じた状態となる。このような状態のとき緩衝線部材15は、直線の状態にあるが上下の緩衝器具11の分割ケーシング32,33をボルト・ナット34で締め付けると中心孔コマ、偏心孔コマが図8の状態になり緩衝線部材15も図9に示すとおり波型に変形した形状になる。
したがって、縦向き落石防止線材1、横向き落石防止線材2に落石エネルギーによる負荷が生じると、縦向き落石防止線材1、横向き落石防止線材2に接続された緩衝器具11が、緩衝線部材15を図9に示すとおり、波状に変形させながら緩衝線部材15に沿って移動する。
このときに落石エネルギーを緩衝器具11が緩衝線部材15を波型に変形させながら移動するエネルギーに変換することで落石エネルギーを制御、減衰させる機能が生じる。
このように、落石が発生し、落石防止用の網3、格子状に配置した縦向き落石防止線材1、横向き落石防止線材2に所定以上の張力が発生すると、端部に設けた緩衝器具11において、緩衝線材部15に対して、緩衝器具11のケーシング24が上部固定部5と反対側に移動する。また一側固定具6と反対方向、他側固定具7と反対方向に移動する。このケーシング24の移動の際、緩衝線材部15と複数の第2の扁平板片26などとの摩擦摺動により、落石の衝撃エネルギーを吸収でき、縦向き落石防止線材1や横向き落石防止線材2の破断を防止し、アンカーである固定具5,6,7に作用する負荷を一定限度に制御し、それらの破損などを回避することができる。
また、上述した摩擦摺動を利用する緩衝器具11と接続端子12、アンカー接続Uボルト13などのユニットにより、岩塊の落下エネルギーを吸収しながら、岩塊を斜面上で停止させたり、岩塊を本防止構造化端部の安全な場所まで誘導し、岩塊の道路上への飛び出しや、施設などへの衝突を回避することができる。
以上のように、前記実施例では、エネルギー制御ユニット8は、接続端子12、アンカー接続Uボルト13、ロープ接続ボルト14、制御ロープである緩衝線材部15、緩衝金具である緩衝器具11から構成されることで、単独で予め斜面に設置したロックアンカーである上部、一側及び他側固定部5,6,7にアンカー接続Uボルト13を介して連結しておくことができ、そしてエネルギー制御ユニット8は、予め工場で製作し、品質管理を行うことができる。そのため現場での組立作業や、陰湿管理のための業務が軽減できる。
さらに、傾斜面上に縦向き落石防止線材1、横向き落石防止線材2、網3等の落石防止線材を設けて該傾斜面を覆い、前記落石防止線材を地面に設けた固定部5,6,7に接続し、前記落石防止線材に所定以上の張力が発生した場合に該落石防止線材の緩衝線材部15の摺動を許容する緩衝器具11を設けたことにより、PCネット工法では落石が網3内で発生した場合、エネルギー制御ユニット8によって、落石エネルギーをコントロールすることで斜面上に配した落石防護材の破損、破断及び、損傷等の発生を防御し、落石を斜面と斜面上に配したPCネットの間に挟んだ状態で落下させる過程で、落石エネルギーを徐々に減衰させながら斜面途上での捕捉、又は、道路わきの平坦地に安全に着地させ、落石災害を防止する機能を有する。
そして、エネルギー制御機能ユニット8によるメリットは、PCネット内で落石が生じた後の現状復旧には、緩衝器具11に移動が生じた当該ユニット8を交換するだけでよく、格子状に配した縦向き落石防止線材1、横向き落石防止線材2や縦向き補強落石防止線材9、横向き補強落石防止線材10には、エネルギー制御ユニット8の機能によって損傷や破断は生じないため張替えの必要はない。又、落石エネルギーを例えば50KN〜60KNの間で制御できるためアンカーである固定部5,6,7に作用する荷重も同程度であるから、アンカーの引き抜けや、損傷は生じない。さらに、工場生産製品のため品質管理は工場で行い、現場での管理は不要である。
そして、緩衝器具11は、緩衝線材部15が貫通し該緩衝線材部15の長手方向に沿って並設すると共に、縦向き落石防止線材1や横向き落石防止線材2側に対して固定した第1の扁平板片25及び第2の扁平板片26を繰り返して配置し、前記第1の扁平板片25における前記緩衝線材部15が貫通する第1の貫通部41に対して、前記第2の扁平板片26における前記緩衝線材部15が貫通する第2の貫通部42に対して偏位して設けたことで、波型となって緩衝線材部15と第2の貫通部42との間に確実に摩擦を生成せしめることができる。
また、前記緩衝器具11は、緩衝線材部15が挿入される貫通部27を設けたケーシング24と、該ケーシング24の中心線Xに沿って中間貫通部37に嵌着状態で並設した第1の扁平板片25及び第2の扁平板片26を繰り返して配置し、第1の扁平板片25における緩衝線材部15が貫通する第1の貫通部41に対して、第2の扁平板片26における緩衝線材部15が貫通する第2の貫通部42に対して偏位していることにより、ケーシング24に収納された状態で、波型となった緩衝線材部15と第2の貫通部42との間に確実に摩擦を生成せしめることができる。
さらに、前記ケーシング24は筒状であって、その中心線Xを含む分割面30,31によって分割された分割ケーシング32,33を突き合わせて一体に固定され、第1の扁平板片25及び第2の扁平板片26は、それぞれ前記緩衝線材部15に直交する表面とその裏面を略楕円形に形成され、第1の扁平板片25及び第2の扁平板片26の外周面25A,26Aをそれぞれ前記ケーシング24の内周面40に嵌着され、第1の貫通部41を第1の扁平板片25の中央部に設け、第2の貫通部42を第2の扁平板片26の長辺Y方向に偏位して設けたことで、第1の扁平板片25及び第2の扁平板片26をケーシング24に正確に収納でき、この結果第1の貫通部41と、この第1の貫通部41と偏位する第2の貫通部42を所定の偏位長さHを確実に設定することができる。
しかも、前記第1の扁平板片25と第2の扁平板片26との間に緩衝線材部15が貫通する第3の貫通部43を有する間隔保持リング38を介在することにより、第2の貫通部42から第1の貫通部41に直接緩衝線材部15を貫通させずに、第3の貫通部43を介在させることで、第1の斜め上向き部15C、第1の斜め下向き部15Dなどの傾斜角度を緩和することで、前記角における緩衝線材部15の破損、さらには破断などを阻止することができる。
さらに、前記ケーシング24は筒状であって、その中心線Xを含む分割面30,31によって貫通部37と共に上下に分割された分割ケーシング32,33を突き合わせて一体に固定され、第1の扁平板片25及び第2の扁平板片26は、それぞれ緩衝線材部15に直交する表面とその裏面を略楕円形に形成され、前記緩衝線材部15を第1の貫通部41、第2の貫通部42に繰り返して挿入した後、緩衝線材部15を水平状態に保って前記第1の扁平板片25及び第2の扁平板片26を前記分割された下側にある分割ケーシング33の貫通部27に収納した後、該下側にある分割ケーシング33に上側にある分割ケーシング32を被せて一体化して、前記第1の扁平板片25及び第2の扁平板片26の外周面25A,26Aをそれぞれ前記ケーシング24の内周面40に嵌着され、前記第1の貫通部41を前記第1の扁平板片25の中央部に設け、前記第2の貫通部42を前記第2の扁平板片26の長辺方向(長径方向Y)に偏位したことで、予め緩衝線材部15セットされた一群を分割ケーシング33にセットし、さらに分割ケーシング32を被せた後に、分割ケーシング32,33を一体に固定することで、第2の貫通部42を第1の貫通部41に偏位するように簡単に組立を行うことができる。
尚、落石エネルギー制御機能は、実物大で行った落石落下実験結果の範囲内では、落石エネルギーの大きさに応じてエネルギー制御ユニット81個当たり、約50KN〜60KNの範囲内で制御することが判明した。又、同上の実物大で行った落石落下実験からエネルギー制御ユニット8によって約80%の落石エネルギーを減衰することが出来ていることが判明した。
さらに、縦横ロープである落石防止線材1,2を斜面に固定する固定部5,6,7にUボルト13、接続端子12、制御ロープである緩衝線部材15、緩衝金具11で構成するエネルギー制御ユニットを連結し、前記緩衝金具11は、制御ロープである緩衝線部材15を緩衝金具11内部で連続した波型に変形把持する機能を有し、該緩衝金具11に、一方方向の変形把持力以上の力が作用した場合に、制御ロープである緩衝線部材15を連続した波型に変形させながら、作用力の発生方向に移動する際に、作用エネルギーを制御ロープを連続して波型に変形するに必要なエネルギーに変換して、作用エネルギーの減衰作用が発生するエネルギー制御ユニットを装備したエネルギー制御式落石防護網工法とすることで、所定以上の張力が発生した場合に該落石防止線材の緩衝線材部15の連続した波型の摺動をエネルギー制御ユニットにより許容して、落石の防止を図ることができる。
また、斜面を金網である網3で覆い、その上に格子状に組んだロープである落石防止線材1,2を配し、縦ロープである落石防止線材1の上端部1A及び横ロープである落石防止線材2の両端部を、斜面上に設置した固定部5,6,7に、連結したUボルト13、接続端子12、制御ロープである緩衝線部材15、緩衝金具11で構成するエネルギー制御ユニット8に連結し、更に、縦横ロープである落石防止線材1,2の交差部に、落石防止線材1,2を、連続した波型に変形させて把持するクロス金具16を配し、把持力以上の力が作用した場合において、縦横ロープである落石防止線材1,2を、連続した波型に変形させるに必要なエネルギーに変換させながら、クロス金具16が、作用力方向に移動する際、作用力の減衰作用が発生するクロス金具16を装備することにより、所定以上の張力が発生した場合に該落石防止線材1,2におけるエネルギー制御ユニット8の緩衝線材部15の連続した波型の摺動をクロス金具16により許容して、落石の防止を図ることができる。
しかも、前記縦横ロープである落石防止線材1,2を、前記斜面に固定するためには、前記斜面に設置した固定部5,6,7に、エネルギー制御ユニット8を連結し、そのエネルギー制御ユニット8に、落石防止線材1,2を固定し、各落石防止線材1,2に一定以上の力が作用した場合に、当該箇所の斜面に設置した固定部5,6,7と連結されたエネルギー制御ユニット8内で、制御ロープである緩衝線材部15を、連続した波型に変形させるに必要なエネルギーに変換しながら、作用力方向に移動する際、作用力の減衰作用が発生するエネルギー制御ユニット8を装備することで、落石の防止を確実に図ることができる。
以下に、他の実施例について説明する。尚、前記実施例1と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
12に示すようにコマが円形の場合でもよい。第1の貫通部41´を設けた第1の扁平板片25´と、偏位長さがHの第2の貫通部42´を設けた第2の扁平板片26´を実施例1と同様に設けた場合である。
13に示す実施例3においては、前記実施例1と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。実施例3においては、第1の扁平板片25´´及び第2の扁平板片26´´の表面及び裏面を長方形に形成し、そして第1の貫通部41´´を第1の扁平板片25´´の表面及び裏面の中央部間に設け、また第2の貫通部42´´を中央部よりも長辺方向の一方に偏位させたもので、ケーシング24に形成される貫通部27の中間貫通部の断面も第1の扁平板片25´´及び第2の扁平板片26´´が嵌着するように長方形に形成されている。尚、偏位長さはH´に形成されている。
したがって、中間貫通部37に第1の扁平板片25´´及び第2の扁平板片26´´が嵌着した状態では、第1の貫通部41´´は中心線X上にあるものの、第2の貫通孔42´´は中心線Xより偏位することとなり、この結果、緩衝線材部はケーシング24波型形状に配置されており、実施例1と同様な作用効果を奏することができる。
1415に示す実施例4においては、斜面を覆う金網である網3と、格子状に組んだロープからなる落石防止線材1,2からなる落石防止体である斜面覆い部を、上下2段に分けて斜面に敷設し、上下2段に分割した上段落石防止体である上段斜面覆い部4A、下段落石防止体である下段斜面覆い部4Bを、斜面上の所定の箇所で一定の割合で上段斜面覆い部4A、下段斜面覆い部4Bを、上段斜面覆い部4Aが下になるように重ね合わせて敷設し、上段斜面覆い部4Aの縦向きの落石防止線材1の上端部1A及び横向きの落石防止線材2の両端部を、斜面上に設置した固定部5,6,7に連結した、エネルギー制御ユニット8にそれぞれ連結し、更に、前記上段斜面覆い部4Aの縦向き落石防止線材1の下端部1Bと、上段斜面覆い部4Aの最下端横ロープである最下端横向き落石防止線材2Xを、三方クリップ19で連結し、前記上段斜面覆い部4Aの横向き落石防止線材2は、斜面に設置した固定部6,7と連結したエネルギー制御ユニット8に接続し、
下段となる落防護体である下段斜面覆い部4Bは、一定の割合で上段斜面覆い部4Aと重ね合わせた箇所から、斜面の所定の箇所まで敷設し、下段斜面覆い部4Bの縦ロープである縦向きの落石防止線材1´の上端部1A´は、一点鎖線で示すように上段斜面覆い部4Aの落石防止線材1の上端部1Aを接続したエネルギー制御ユニット8から伸ばした制御ロープである緩衝線材部15に緩衝金具である緩衝器具11を介して連結している。更に、縦向きの落石防止線材1の下端部1Bは、斜面に設置した固定部(図示せず)に連結し、下段斜面覆い部4Bの横向き落石防止線材2´の両端部は、斜面に設置した固定部6´,7´と連結したエネルギー制御ユニット8´に接続し、上段斜面覆い部4Aと下段斜面覆い部4Bの縦横の落石防止線材1,2,1´,2´の交差部には、縦横の落石防止線材1,2,1´,2´を連続した波型に変形させて把持するクロス金具16,16´をそれぞれ配し、把持力以上の力が作用した場合において、落石防止線材1,2,1´,2´を、連続した波型に変形させるに必要なエネルギーに変換させながら、クロス金具16,16´が作用力方向に移動する際、作用力の減衰作用が発生するエネルギー制御ユニット8,8´を装備している。
尚、図中の符号51は控えロープ、52は間隔保持ロープ、53は落石防止線材1のエネルギー制御ユニット8側の一部を形成する吊索(吊ロープ)であり、エネルギー制御ユニット8と落石防止線材1の中継金具54との間に介在している。
このような実施例4においても、所定以上の張力が発生した場合に該落石防止線材1,2,1´,2´におけるエネルギー制御ユニット8,8´の緩衝線材部15の連続した波型の摺動をクロス金具16,16´により許容して、落石の防止を図ることができる。
16に示す実施例5においては、斜面上方に落石発生源があり、道路わきに十分なスペースがある場合などに設置されるものであり、斜面上に、複数本の支柱71を水平に並べて立設し、金網である網3と縦横ロープである落石防止線材1,2からなる落石防止体である斜面覆い部4を、前記支柱71から吊り下げ、落石防止線材2の両端部を斜面上に設置した固定部6に連結したエネルギー制御ユニット8に連結し、落石防止線材1,2の交差部には、落石防止線材1,2を、連続した波型に変形させて把持するクロス金具16を配し、把持力以上の力が作用した場合において、落石防止線材1,2を、連続した波型に変形させるに必要なエネルギーに変換させながら、クロス金具16が作用力方向に移動する際、作用力の減衰作用が発生するエネルギー制御ユニット8´´を、上部の固定部5と支柱71の上部との間に装備するものである。
したがって、このような実施例5においては、落石を道路側で下段の斜面覆い部4で抱持できるようにしたもので、エネルギー制御ユニット8´´において連続した波型の摺動を許容することができる。
17に示す実施例6においては、斜面上方に落石発生源があり、道路わきに十分なスペースがない場合などに設置されるものであり、斜面上に、支柱71を複数本水平に並べて立設し、金網である網3と縦横ロープである落石防止線材1,2からなる上段の落石防止体である斜面覆い部4Aを、前記支柱71から吊り下げ、斜面上の所定の箇所まで敷設し、横ロープである落石防止線材2の両端部を斜面上に設置した固定部6に連結したエネルギー制御ユニット8に連結し、もう一方の落石防護体上部である下段の斜面覆い部4Bを、支柱71から吊り下げた上段の斜面覆い部4Aの下部に、一定の割合で上方から被せるように重ね合わせて、斜面の所定位置まで敷設し、横ロープである落石防止線材2´の両端部を、斜面上に固定したエネルギー制御ユニット8´に連結し、下段の斜面覆い部4Bの落石防止線材1´の上端部1A´は、支柱71に連結した制御ロープである緩衝線材部15に緩衝金具である緩衝器具11を介して連結し、縦ロープの下端部1B´は、斜面に設置した固定部72に連結し、
上下段の上段の斜面覆い部4A、下段の斜面覆い部4Bの落石防止線材1,2、1´,2´の交差部には、落石防止線材1,2、1´,2´を、連続した波型に変形させて把持するクロス金具(図示せず)を配し、把持力以上の力が作用した場合において、落石防止線材1,2、1´,2´を連続した波型に変形させるに必要なエネルギーに変換させながら、クロス金具が作用力方向に移動する際、作用力の減衰作用が発生するエネルギー制御ユニット8´´を、上部の固定部5と支柱71の上部との間に装備するものである。
したがって、このような実施例5においては、落石を道路側で下段の斜面覆い部4Bで抱持できるようにしたもので、エネルギー制御ユニット8´´において連続した波型の摺動を許容することができる。
以上のように本発明に係る落石防止装置などは、各種の用途に適用できる。
1 縦向き落石防止線材(縦ロープ)
1A 上端部
2 横向き落石防止線材(横ロープ)
3 網(網体)
4 斜面覆い部(落石防止体)
4A 上段落石防護体
4B 下段落石防護体
5,6,7 固定部(固定具)
8 8´ 8´´ エネルギー制御ユニット
11 緩衝器具(緩衝金具)
12 接続端子
13 Uボルト
15 緩衝線材部(制御ロープ)
16 クロス金具
19 三方クリップ
24 ケーシング
25 第1の扁平板片(片)
26 第2の扁平板片(片)
25A,26A 外周面
30,31 分割面
32,33 分割ケーシング
38 間隔保持リング
40 内周面
41 第1の貫通部
42 第2の貫通部
43 第3の貫通部
71 支柱
H 偏位長さ

Claims (7)

  1. 傾斜面上に複数の落石防止線材を設けて該傾斜面を覆い、前記落石防止線材を地面に設けた固定具に接続し、前記落石防止線材に所定以上の張力が発生した場合に該落石防止線材の緩衝線材部の摺動を許容する緩衝器具を設けた落石防止装置であって
    前記緩衝器具は、前記緩衝器具内に前記緩衝線材部が挿入される挿入孔と、前記挿入孔内の長手方向に沿って繰り返して配置されると共に前記緩衝線材部がそれぞれ貫通された第1の片及び第2の片とを備え、前記第1の片における前記緩衝線材部が貫通する第1の貫通部に対して、前記第2の片における前記緩衝線材部が貫通する第2の貫通部が偏位した状態で配置されていることを特徴とする落石防止装置。
  2. 前記第1の片と第2の片との間に前記緩衝線材部が貫通する第3の貫通部を備えた間隔保持リングが介在することを特徴とする請求項1に記載の落石防止装置
  3. 傾斜面上に複数の落石防止線材を設けて該傾斜面を覆い、前記落石防止線材を地面に設けた固定具に接続し、前記落石防止線材に所定以上の張力が発生した場合に該落石防止線材の緩衝線材部の摺動を許容する緩衝器具を設けた落石防止装置であって
    前記緩衝器具は、前記固定具側に基端側が連結され前記緩衝線材部が先端側から挿入される挿入孔を設けたケーシングを備え、
    前記挿入孔には、前記緩衝線材部が貫通された第1の扁平板片及び第2の扁平板片が、前記挿入孔に嵌着した状態でかつ前記ケーシングの前記先端側から前記基端側に沿って繰り返して配置され、
    前記第1の扁平板片には前記緩衝線材部が貫通する第1の貫通部が設けられる一方、前記第2の扁平板片には前記緩衝線材部が貫通する第2の貫通部が設けられ、かつ、
    前記緩衝器具の前記挿入孔内に前記緩衝線材部を収容・固定した際に、前記第2の扁平板片の前記第2の貫通部が、前記第1の扁平板片の前記第1の貫通部に対して偏位するよう配設されていることを特徴とする落石防止装置。
  4. 前記ケーシングは、筒状であって、該ケーシングの中心線を含む分割面によって分割された一対の分割ケーシングによって構成され、
    前記挿入孔は、前記分割面同士を互いに突き合わせて前記分割ケーシングを一体に固定することで形成され、
    前記第1の扁平板片及び第2の扁平板片は、それぞれ前記緩衝線材部に直交する表面とその裏面を略楕円形又は略長方形に形成され、前記第1の扁平板片及び第2の扁平板片の外周面はそれぞれ前記ケーシングの前記挿入孔によって形成された内周面に嵌着され、前記第1の貫通部を前記第1の扁平板片の中央部に設け、前記第2の貫通部を前記第2の扁平板片の中央部から長辺方向に偏位したことを特徴とする請求項3記載の落石防止装置。
  5. 前記第1の扁平板片と第2の扁平板片との間に前記緩衝線材部が貫通する第3の貫通部を備えた間隔保リング介在することを特徴とする請求項3又は4に記載の落石防止装置。
  6. 傾斜面上に複数の落石防止線材を設けて該傾斜面を覆い、前記落石防止線材を地面に設けた固定具に接続し、前記落石防止線材に所定以上の張力が発生した場合に該落石防止線材の緩衝線材部の摺動を許容する緩衝器具を設けた落石防止装置の製造方法であって
    前記緩衝器具として、前記固定具側に基端側が連結され前記緩衝線材部を先端側から挿入可能な挿入孔を設けたケーシングと、複数の第1の扁平板片及び第2の扁平板片と、を用意し、
    前記第1の扁平板片には、前記緩衝線材部が貫通する第1の貫通部を形成し、
    前記第2の扁平板片には、前記ケーシングに組み付けられた際に、前記緩衝線材部が貫通する第2の貫通部を、前記第1の貫通部に対して偏位するよう形成し、
    前記第1の扁平板片及び第2の扁平板片を、該ケーシングの前記先端側から前記基端側に沿って前記偏位を保ちつつ、前記挿入孔に嵌着させた状態で繰り返して配置したことを特徴とする落石防止装置の製造方法。
  7. 前記ケーシングは筒状に形成し、かつ、該ケーシングの中心線を含む分割面によって前記挿入孔と共に上下に分割されるとともに前記分割面を突き合わせて組み付け可能な分割ケーシングを用意し、
    前記第1の扁平板片及び第2の扁平板片のそれぞれ前記緩衝線材部に直交する表面とその裏面とは、略楕円形又は略長方形をなすよう形成し、
    前記第1の貫通部を前記第1の扁平板片の中央部に設け、前記第2の貫通部を前記第2の扁平板片の中央部から長辺方向に偏位した位置に設け、
    前記緩衝線材部を前記第1の貫通部及び第2の貫通部に繰り返して挿入し、
    前記緩衝線材部を水平状態に保ちながら前記第1の扁平板片及び第2の扁平板片を前記下側にある分割ケーシングの前記挿入孔に収納した後、該下側にある分割ケーシングに前記上側にある分割ケーシングを被せて一体化し、
    前記第1の扁平板片及び第2の扁平板片の外周面をそれぞれ前記ケーシングの前記挿入孔によって形成された内周面に嵌着したことを特徴とする請求項6に記載の落石防止装置の製造方法
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