JP5420313B2 - 接合光学素子を有する光学部品及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、接合光学素子を有する光学部品及びその製造方法に関する。
光学機器に用いられる光学系において光学性能向上(特に色収差補正効果)を得る手段として、異なる光学特性を有する2枚のレンズを貼り合せた接合光学素子がよく知られている。
例えば、特許文献1には、2枚の光学基材と、2枚の光学基材の間に厚みのある樹脂層を有する接合光学素子に関する技術が提案されている。
この接合光学素子は、2枚のレンズの貼り合せ面の形状を異なる面形状にすることで、このレンズ間に挟まれる樹脂層に厚みを持たせた構成を有している。これによって樹脂層はレンズとしての機能を有していて、光軸方向に厚みを有するレンズ形状となっている(このレンズとして機能する樹脂層を今後レンズ層と呼ぶ)。
一方、特許文献2には、光学素子を保持部材に保持する方法として、この貼り合わせレンズを構成するレンズ及び接着剤層全体を保持部材に保持するという技術が提案されている。なお、特許文献2の貼り合わせレンズでは、樹脂層は、光学基材同士を接着するための薄い接着剤層である。このため、樹脂層は、レンズとしての機能を有していない。
特開2001−42212号公報 特開2001−100070号公報
しかしながら、特許文献1のように、光学基材間に厚みのある樹脂層を有した接合光学素子を保持部材に保持すると、次のような課題が発生する。
すなわち、薄い樹脂層を有する接合光学素子では問題にならないが、レンズ層を有する接合光学素子では厚みがある。さらにレンズ層は有機材料であり、ガラスや金属よりも線膨張率が大きいため、レンズ層のように樹脂の量が多い場合、温湿度変化等の環境変化によって樹脂の膨張量が多くなり、寸法変化が顕著に現れる。
ここで、保持部材が接合光学素子の有する全ての基材を保持する場合を考える。このとき、環境変化によりレンズ層に寸法変化が生じると、レンズ層の寸法変化が接合光学素子の厚みを増加させ、保持部材と基材の間に応力が発生する。こうして、応力によって接合光学素子の基材面形状が変形し光学性能が悪化する。
本発明は斯かる上記の課題を解決するためになされたもので、環境変化に対して面形状精度を高く維持することのできる接合光学素子を有する光学部品及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、
光軸方向に対向配置された少なくとも第1の光学基材と第2の光学基材、及びこれら第1と第2の光学基材の間にエネルギー硬化型樹脂のレンズ層が介在された接合光学素子を有し、
前記接合光学素子を収容して保持する保持部材と、
前記保持部材に前記第1と第2の光学基材の一方のみを固定する固定手段と、を有する光学部品を提供する。
また、上記の光学部品において、
前記固定手段は接着剤であることが好ましい。
また、上記の光学部品において、
前記固定手段は、前記保持部材に取り付けられ前記一方の光学基材を位置決めする位置決め部材であることが好ましい。
また、上記の光学部品において、
前記位置決め部材は、前記保持部材に着脱自在に取り付けられ前記一方の光学基材と対向している他方の光学基材を前記光軸と直交する方向に位置決めすることが好ましい。
また、上記の光学部品において、
前記位置決め部材は、前記保持部材と一体的に固定され前記一方の光学基材と対向している他方の光学基材を前記光軸と直交する方向に位置決めすることが好ましい。
また、上記の光学部品において、
前記固定手段は、前記保持部材に取り付けられ前記一方の光学基材を位置決めするとともに、第3の光学基材を前記光軸と一致させた状態で位置決めする位置決め部材であることが好ましい。
また、本発明は、
光軸方向に対向配置された少なくとも第1の光学基材と第2の光学基材、及びこれら第1と第2の光学基材の間にエネルギー硬化型樹脂のレンズ層が介在された接合光学素子を有する光学部品の製造方法であって、
前記接合光学素子を保持部材に収容する工程と、
収容された前記接合光学素子のうち前記第1と第2の光学基材の一方のみを前記保持部材に固定する工程と、を有する光学部品の製造方法を提供する。
本発明によれば、環境変化に対して面形状精度を高く維持することのできる接合光学素子を有する光学部品及びその製造方法を提供することができる。
実施の形態1の2つの光学基材の断面図である。 2つの光学基材を接合してできた接合光学素子の断面図である。 保持部材の断面図である。 接合光学素子を保持部材に組み込んで得られた光学部品の断面図である。 実施の形態2の2つの光学基材の断面図である。 2つの光学基材を接合してできた接合光学素子の断面図である。 保持部材の断面図である。 接合光学素子を保持部材に組み込んで得られた光学部品の断面図である。 実施の形態3の接合する一方の光学基材とその保持部材の断面図である。 一方の光学基材を保持部材にかしめ固定した状態の中間光学部品の断面図である。 中間光学部品と他方の光学基材との断面図である。 中間光学部品に他方の光学基材を組み込んで得られた光学部品の断面図である。 実施の形態4の接合する2つの光学基材の断面図である。 2つの光学基材を接合してできた接合光学素子の断面図である。 中間光学部品の断面図である。 中間光学部品と中間光学部品を組み込んで得られた光学部品の断面図である。 実施の形態5の光学基材と保持部材の断面図である。 光学基材を保持部材に保持した中間光学部品の断面図である。 中間光学部品と光学基材の断面図である。 光学基材の平面図である。 中間光学部品に光学基材を接合して得られた光学部品の断面図である。
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
[実施の形態1]
図1は、接合する2つの光学基材11,12の断面図であり、図2は、2つの光学基材11,12を接合してできた接合光学素子13の断面図である。また、図3は、保持部材15の断面図、図4は、接合光学素子13を保持部材15に組み込んで得られた光学部品10の断面図である。
図1において、第1の光学基材としての光学基材11は、両凹レンズ形状をなしている。この光学基材11は、接合面11と反接合面11とを有している。
ここで、接合面11とは、樹脂が接合される光学面のことをいう。また、反接合面11とは、接合面11と光学基材11を挟んで対向する光学面のことをいう。他の実施の形態においても同様である。
接合面11は、近似曲率半径R1aが8mmの非球面形状をなしている。また、反接合面11は、近似曲率半径R1bが38mmの非球面形状をなしている。ただし、接合面11と反接合面11の形状は非球面形状に限らない。
例えば、接合面11と反接合面11の一方が非球面形状で、他方が球面形状であってもよい。さらに、接合面11と反接合面11の両方が球面形状であってもよい。他の実施の形態においても同様である。
この光学基材11は、中心肉厚tが0.8mm、外径Dがφ10mmのガラスレンズである。この光学基材11の側面は、平滑な面になっている。この側面が、後述する保持部材15に当接するようにして保持部材15に光学基材11を嵌合するためである。(平滑な面に加工する理由は他の実施の形態においても同様である。)また、この光学基材11として、光学硝材S−BSL7((株)オハラ製)を用いた。
第2の光学基材としての光学基材12は、凸メニスカスレンズ形状をなしている。この光学基材12は、接合面12と反接合面12とを有している。
接合面12は、近似曲率半径R2aが6.4mmの非球面形状をなしている。また、反接合面12は、近似曲率半径R2bが16mmの非球面形状をなしている。ただし、接合面12と反接合面12の形状は非球面形状に限らない。
例えば、接合面12と反接合面12の一方が非球面形状で、他方が球面形状であってもよい。さらに、接合面12と反接合面12の両方が球面形状であってもよい。他の実施の形態においても同様である。
この光学基材12は、中心肉厚tが2.4mm、外径Dがφ10mmのガラスレンズである。この光学基材12には、光学硝材S−LAM60((株)オハラ製)を用いた。
なお、本実施の形態では、2つの光学基材11,12を接合する場合について説明したが、これに限らない。例えば、3つ以上の光学基材を接合する場合にも適用することができる。他の実施の形態においても同様である。
次に、接合光学素子13の製造工程を説明する。
まず、図1に示すように、光学基材11と光学基材12とを、夫々の接合面11と接合面12とが対向した状態で保持する。このとき、光学基材11は成形装置の保持部(不図示)に載置されている。また、光学基材12は成形装置の他方の保持部(不図示)に真空吸着により固定されている。
なお、光学基材11及び光学基材12の夫々の光軸O−Oは、接合完了時に一致するように高精度に位置決めされている。
次いで、エネルギー硬化型樹脂(本実施の形態では紫外線硬化型樹脂、以下、「樹脂」という)1を、光学基材11の接合面11に所望量吐出する。
次いで、図2に示すように、この光学基材11に対し光学基材12を光軸O−O方向に接近移動させて樹脂1を押延する。光学基材11と光学基材12の中心肉厚が、所定の値になった位置で光学基材12の移動を停止する。
この状態で、光学基材11の下方から、この光学基材11を通して紫外線ランプ14により紫外線を照射する。ただし、光学基材12の上方から、この光学基材12を通して紫外線を照射してもよい。他の実施の形態においても同様である。
このときの紫外線は、その照度:15±2mW/cmのほぼ均一な照度分布を持ち、これを200秒照射した。こうして、樹脂1を硬化してレンズ層2を得た。
また、光学基材11、12と樹脂1の密着性を上げるため、接合前に、夫々の接合面11、12をシランカップリング剤で処理した。この光学基材と樹脂の密着性を上げるための処理は、シランカップリング剤による処理の代わりに紫外線オゾン処理による親水処理を用いても良く、また、紫外線オゾン処理やプラズマ処理による親水処理を施した後、シランカップリング剤による処理を行っても良い。この処理は他の実施の形態においても同様に行っている。
得られた接合光学素子13は、レンズ層2の形状が、中心樹脂厚(光軸O−O方向の厚さ)tが0.2mm、レンズ層2の光学有効径D(φ8.5mm)における最大径での樹脂厚tが約0.6mmであった。また、レンズ層2の外径は、接合光学素子13の光学有効径以上で、かつ保持部材15に接しない程度の径となっている。このレンズ層2の外径については他の実施の形態においても同様である。
次に、図3に示すように、保持部材15は、アルミニウム製の略円筒形状をなしている。
この保持部材15は、内側に、上端に開口する内径(Φ1)の第1の嵌合孔16と、この第1の嵌合孔16よりも小さい内径(Φ2)の第2の嵌合孔17と、この第2の嵌合孔17よりも小さい内径(Φ3)の非嵌合孔18と、が形成されている。この非嵌合孔18は、下端開口側が径大のテーパ面に形成されている。
本実施の形態では、第2の嵌合孔17に、接合光学素子13の光学基材11が適度な嵌め合い公差で嵌合される。また、第1の嵌合孔16と第2の嵌合孔17との境界において傾斜面19が形成されている。
さらに、第2の嵌合孔17と非嵌合孔18との境界において、光軸O−Oと直交する方向に延びる環状の当て付け面18aが形成されている。この当て付け面18aに、接合光学素子13が当接してその光軸O−O方向の位置を規制する。
なお、本実施の形態では、保持部材15の形状は円筒形状として説明したが、これに限らない。例えば、光学基材11の側面に第2の嵌合孔17が適合し、かつ保持できるような部分があればよい。このため、例えば、光学基材11の側面に適合する部分が、円周方向に複数に分割されていてもよい。これは他の実施の形態においても同様である。
次に、保持部材15に接合光学素子13を組み込む工程について説明する。
図4に示すように、接合光学素子13は保持部材15に組み込まれて光学部品10が完成する。
まず、保持部材15の第2の嵌合孔17に、接合光学素子13における光学基材11を嵌合する。この第2の嵌合孔17に、光学基材11が嵌合されることで、保持部材15に対する接合光学素子13の光軸O−Oと直交する方向の位置が位置決めされる。
本実施の形態では、第2の嵌合孔17の内径(Φ2)はφ10mmであり、また、前述したように、光学基材11の外径Dはφ10mmである。そこで、第2の嵌合孔17と光学基材11の側面とが、適度な嵌め合い公差で嵌合される。
また、第2の嵌合孔17の光軸O−O方向の長さH1(図3参照)は、光学基材11の側面での肉厚H2(図4参照)よりも短い。
また、保持部材15の第1の嵌合孔16の内径(Φ1)はφ12mmであり、第1の嵌合孔16は光学基材11と接触しない。さらに、接合光学素子13における光学基材11の反接合面11の光学有効径外の部分が保持部材15の当て付け面18aに当接して、接合光学素子13の光軸O−O方向の位置が位置決めされる。
この光軸O−O方向の位置決めのため、当て付け面18aの内径(Φ3)は、光学基材11の外径D(φ10mm)よりも小径(φ8mm)に形成されている。これは他の実施の形態においても同様である。
保持部材15に接合光学素子13を組み込んだ後、光学基材11の側面と保持部材15の第1の嵌合孔16との間の隙間に、固定手段としてのウレタン系の接着剤3を注入する。さらに、保持部材15及び接合光学素子13を、恒温槽に入れて50℃で2時間加熱し、接着剤3を固化する。こうして、所望の光学部品10が得られる。
本実施の形態によれば、保持部材15に光学基材12が接触していないので、温湿度環境が変化してレンズ層2の寸法変化が生じたとしても、保持部材15が寸法変化を規制しないために接合光学素子13に対して応力がかかることを防止する。こうして、接合光学素子13の光学面の形状変化を防止することができる。
[実施の形態2]
図5は、接合する2つの光学基材21,22の断面図であり、図6は、2つの光学基材21,22を接合してできた接合光学素子23の断面図である。また、図7は、保持部材25の断面図であり、図8は、接合光学素子23を保持部材25に組み込んで得られた光学部品20の断面図である。
図5において、第1の光学基材としての光学基材21は、凹メニスカスレンズ形状をなしている。この光学基材21は、接合面21と反接合面21とを有している。接合面21の外周部には、光軸O−Oと直交する方向に延びる環状の平坦面21が形成されている。
接合面21は、近似曲率半径R1aが12mmの非球面形状をなしている。また、反接合面21は、近似曲率半径R1bが20mmの非球面形状をなしている。
この光学基材21は、中心肉厚tが1mm、外径Dがφ15mmのガラスレンズである。この光学基材21の側面は、平滑な面になっている。また、この光学基材21として、光学硝材S−BSL7((株)オハラ製)を用いた。
第2の光学基材としての光学基材22は、両凸レンズ形状をなしている。この光学基材22は、接合面22と反接合面22とを有している。
接合面22は、近似曲率半径R2aが13mmの非球面形状をなしている。また、反接合面22は、近似曲率半径R2bが80mmの非球面形状をなしている。この光学基材22は、中心肉厚tが5mm、外径Dがφ12mmのガラスレンズである。この光学基材22として、光学硝材S−LAM60((株)オハラ製)を用いた。
次に、接合光学素子23の製造工程を説明する。
まず、図5に示すように、光学基材21と光学基材22とを、夫々の接合面21と接合面22とが対向した状態で保持する。このとき、光学基材21は成形装置の保持部(不図示)に載置されている。また、光学基材22は成形装置の他方の保持部(不図示)に真空吸着により固定されている。
なお、各光学基材21,22の夫々の光軸O−Oは、接合完了時に一致するように高精度に位置決めされている。
次いで、エネルギー硬化型樹脂(本実施の形態では紫外線硬化型樹脂、以下、「樹脂」という)1を、光学基材21の接合面21に所望量吐出する。
次いで、図6に示すように、この光学基材21に対し光学基材22を光軸O−O方向に接近移動させて樹脂1を押延する。
この状態で、光学基材21の下方から、この光学基材21を通して紫外線ランプ24により紫外線を照射する。このときの紫外線は、その照度:10±1mW/cmのほぼ均一な照度分布を持ち、これを100秒照射した。こうして、樹脂1を硬化してレンズ層2を得た。
得られた接合光学素子23は、レンズ層2の形状が、中心樹脂厚(光軸O−O方向の厚さ)tが0.8mm、レンズ層2の光学有効径D(φ10.5mm)における最大径での樹脂厚tが約0.3mmであった。
次に、図7に示すように、保持部材25は、アルミニウム製の略円筒形状をなしている。
この保持部材25は、内側に、上端に開口する内径(Φ1)の螺子孔26と、この螺子孔26よりも小さい内径(Φ2)の嵌合孔27と、この嵌合孔27よりも小さい内径(Φ3)の非嵌合孔28と、が形成されている。
本実施の形態では、嵌合孔27に、接合光学素子23の光学基材21が適度な嵌め合い公差で嵌合される。こうして、接合光学素子23の光軸O−Oと直交する方向の位置決めが行われる。また、螺子孔26と嵌合孔27との境界は、平坦な段差面に形成されている。
また、嵌合孔27と非嵌合孔28との境界は、光軸O−Oと直交する方向に延びる当て付け面28aが形成されている。さらに接合光学素子23における光学基材21の反接合面21が保持部材25の当て付け面28aの端縁部Aに当接して、光学基材21の光軸O−O方向の位置が位置決めされる。この端縁部Aとは、当てつけ面28aにおける非嵌合孔28との境界部分を言う。
次に、保持部材25に接合光学素子23を組み込む工程について説明する。
図8は、接合光学素子23を保持部材25に組み込んだ状態を示している。
まず、保持部材25の嵌合孔27に、接合光学素子23における光学基材21を嵌合する。この嵌合孔27に光学基材21が嵌合されることで、保持部材25に対する接合光学素子23の光軸O−Oと直交する方向の位置が位置決めされる。
本実施の形態では、嵌合孔27の内径はφ15mmであり、また、前述したように、光学基材21の外径Dはφ15mmである。そこで、嵌合孔27と光学基材21の側面とが、適度な嵌め合い公差で嵌合されるようになっている。
また、嵌合孔27の光軸O−O方向の長さH1は、光学基材21の側面での肉厚H2よりも短くなっている。
また、保持部材25の螺子孔26の内径Φ1はφ16mmであり、光学基材21の外径Dよりも大きい。このため、螺子孔26の内径部分と光学基材21の側面とは接触しない。
さらに、接合光学素子23における光学素子21の反接合面21の端縁部Aが保持部材25の当て付け面28aに当接して、接合光学素子23の光軸O−O方向の位置が位置決めされる。当て付け面28の端縁部Aの内径Φ3は、光学基材21の外径Dよりも小径(φ13.5mm)に形成されている。
次に、保持部材25に接合光学素子23を嵌合した後、螺子孔26に螺合する雄ネジ29aが形成された位置決め部材29で、一方の光学基材21の平坦面21を押圧する。すなわち、この位置決め部材29は、保持部材25に着脱自在に取り付けられている。
このとき、位置決め部材29の内径部分が、保持部材25に固定されない他方の光学基材22の側面と接することで、環境変化による光学基材22の光軸O−Oと直交する方向の動きを規制する役目をなしている。本実施の形態では、この位置決め部材29は、内径が光学基材22の外径Dと同径のφ12mmのリング形状をなす。また、組み込み後の状態では、光学基材22は位置決め部材29の内径に接している。
なお、位置決め部材29の内径は、光学基材21及び光学基材22の光軸O−Oと直交する方向のズレが許容可能な範囲で、光学基材22との間にクリアランス(隙間)を設けてもかまわない。
本実施の形態によれば、保持部材25及び位置決め部材29に光学基材22が固定されていないので、温湿度環境が変化してレンズ層2の寸法変化が生じたとしても、保持部材25及び位置決め部材29が光軸方向の寸法変化を規制しないために接合光学素子23に対して応力がかかることを防止する。こうして、接合光学素子23の光学面の形状変化を防止することができる。さらに、保持部材25に固定されていない他方の光学基材22と位置決め部材29とは摺動可能に接している。
このため、レンズ層2の環境変化による寸法変化によって、光学基材22が光軸O−O方向に動いたとしても、光軸O−Oと直交する方向の動きは位置決め部材29により拘束される。このため、光学基材21及び光学基材22の偏心精度を高く維持することができる。
[実施の形態3]
図9は、接合する一方の光学基材31とその保持部材35の断面図であり、図10は、一方の光学基材31を保持部材35にかしめ固定した状態の中間光学部品30’の断面図である。また、図11は、中間光学部品30’と他方の光学基材32との断面図であり、図12は、中間光学部品30’に他方の光学基材32を組み込んで得られた光学部品30の断面図である。
図9において、第1の光学基材としての光学基材31は、実施の形態2で説明した光学基材21と同一の凹メニスカスレンズ形状をなしている。
この光学基材31は、接合面31と反接合面31とを有している。接合面31の外周部には、光軸O−Oと直交する方向に延びる平坦面31が形成されている。
この接合面31は、近似曲率半径R1aが12mmの非球面形状をなしている。また、反接合面31は、近似曲率半径R1bが20mmの非球面形状をなしている。
この光学基材31は、中心肉厚tが1mm、外径Dがφ15mmのガラスレンズである。また、光学基材31の側面は、平滑な面になっている。また、この光学基材31として、光学硝材S−BSL7((株)オハラ製)を用いた。
また、保持部材35は、アルミニウム製の略円筒形状をなしている。この保持部材35は、内側に、上端に開口する内径(Φ1)の第1の嵌合孔36と、この第1の嵌合孔36よりも小さい内径(Φ2)の第2の嵌合孔37と、が形成されている。第1の嵌合孔36と第2の嵌合孔37の境界は、光軸O−Oと直交する平坦な当て付け面38に形成されている。
なお、第1の嵌合孔36と第2の嵌合孔37とは、機械加工によって同軸度が高精度に加工されている。
本実施の形態では、第1の嵌合孔36の内径はφ15mmに形成され、第2の嵌合孔37の内径はφ12mmに形成されている。
この第1と第2の嵌合孔36,37に、夫々光学基材31、32が適度な嵌め合い公差で嵌合されるように高精度に形成されている。
さらに、保持部材35の外径には、軸方向の中途から所定長さ部分が傾斜状に縮径され、その最小径の位置から保持部材35の上端に至るまで平行に延びる薄肉部35aが形成されている。この薄肉部35aが、後述するかしめ加工時のカシメ代となる。
次に、図10に示すように、第1の嵌合孔36に光学基材31が嵌挿されて光軸O−O方向と光軸O−Oと直交する方向の位置決めがなされる。このとき、第1の嵌合孔36に光学基材31が嵌合されて光軸O−Oと直交する方向の位置決めがなされる。また、当て付け面38に、光学基材31の平坦面31が当接して光軸O−O方向の位置決めがなされる。
また、保持部材35に光学基材31を固定するには、第1の嵌合孔36に光学基材31を嵌合した後、薄肉部35aを固定手段としてのかしめ手段により工具でかしめる。こうして、光学基材31を保持部材35に固定し、中間光学部品30’を作製する(図10参照)。
なお、本実施の形態では、光学基材31を、かしめ手段により保持部材35に固定したが、これに限らない。例えば、光学基材31と保持部材35を接着剤で固定してもよい。
次に、図11は、中間光学部品30’と他方の光学基材32との断面図を示している。
この図11において、第2の光学基材としての光学基材32は、実施の形態2で説明した光学基材22と同一の両凸レンズ形状をなしている。この光学基材32は、接合面32と反接合面32とを有している。
接合面32は、近似曲率半径R2aが13mmの非球面形状をなしている。また、反接合面32は、近似曲率半径R2bが80mmの非球面形状をなしている。
この光学基材32は、中心肉厚tが5mm、外径Dがφ12mmのガラスレンズである。また、光学基材32の側面は、平滑な面になっている。また、この光学基材32として、光学硝材S−LAM60((株)オハラ製)を用いた。
ここで、図11に示すように、中間光学部品30’を上下反転し、成形装置(不図示)に載せる。また、光学基材32を成形装置(不図示)の他方の保持部に真空吸着により固定する。
また、光学基材31及び光学基材32の夫々の光軸O−Oは、接合完了時に一致するように高精度に位置決めされている。次いで、エネルギー硬化型樹脂(本実施の形態では紫外線硬化型樹脂、以下、「樹脂」という)1を、光学基材31の接合面31に所望量吐出する。
次いで、図12に示すように、この光学基材31に対し光学基材32を光軸O−O方向に接近移動させ、第2の嵌合孔37内に光学基材32を嵌合する。さらに、この光学基材32を光学基材31に接近移動させて樹脂1を押延する。光学基材31と光学基材32の中心肉厚が、所定の値になった位置で光学基材32の移動を停止する。
この状態で、光学基材31の下方から、この光学基材31を通して紫外線ランプ34により紫外線を照射する。
このときの紫外線は、その照度:10±1mW/cmのほぼ均一な照度分布を持ち、これを100秒照射した。こうして、樹脂1を硬化してレンズ層2を得た。
得られた光学部品30は、レンズ層2の形状が、中心樹脂厚(光軸O−O方向の厚さ)tが0.8mm、レンズ層2の光学有効径D(φ10.5mm)における最大径での樹脂厚tが約0.3mmであった。
なお、保持部材35の第2の嵌合孔37(φ12mm)の寸法は、光学基材32の光軸O−Oと直交する方向のズレが許容可能な範囲で、光学基材32とのクリアランス(隙間)を設けるように調整しても良い。
本実施の形態によれば、保持部材35に光学基材32が固定されていないので、温湿度環境が変化してレンズ層2の寸法変化が生じたとしても、保持部材35が光軸方向の寸法変化を規制しないために接合光学素子33に対して応力がかかることを防止する。こうして、接合光学素子33の光学面の形状変化を防止することができる。
またさらに、光学基材31と光学基材32が、保持部材35に形成された第1と第2の嵌合孔36、37に嵌合されるので、光軸O−Oと直交する方向の位置精度をさらに向上させることができる。
[実施の形態4]
図13は、接合する2つの光学基材41,42の断面図であり、図14は、2つの光学基材41,42を接合してできた接合光学素子43の断面図である。また、図15は、中間光学部品40’と中間光学部品40”の断面図、図16は、中間光学部品40’と中間光学部品40”を組み込んで得られた光学部品40の断面図である。
図13において、第1の光学基材としての光学基材41は、両凹レンズ形状をなしている。この光学基材41は、接合面41と反接合面41とを有している。接合面41の外周部には、光軸O−Oと直交する方向に延びる平坦面41が形成されている。
接合面41は、近似曲率半径R1aが8mmの非球面形状をなしている。また、反接合面41は、近似曲率半径R1bが38mmの非球面形状をなしている。
この光学基材41は、中心肉厚tが0.8mm、外径Dがφ10mmのプラスチックレンズである。この光学基材41として、ポリカーボネート樹脂(ユピゼータEP5000:三菱ガス化学(株)社製)の熱可塑性樹脂を用いた。
第2の光学基材としての光学基材42は、凸メニスカスレンズ形状をなしている。この光学基材42は、接合面42と反接合面42とを有している。
接合面42は、近似曲率半径R2aが6.4mmの非球面形状をなしている。また、反接合面42は、近似曲率半径R2bが16mmの非球面形状をなしている。この光学基材42は、中心肉厚tが2.4mm、外径Dがφ14mmのプラスチックレンズである。この光学基材42として、シクロオレフィンポリマー樹脂(ゼオネックス480R:日本ゼオン(株)社製)の熱可塑性樹脂を用いた。
次に、接合光学素子43の製造工程を説明する。
図13に示すように、光学基材41と光学基材42とを、夫々の接合面41と接合面42とが対向した状態で保持する。このとき、光学基材41は成形装置の保持部(不図示)に載置されている。また、光学基材42は成形装置の他方の保持部(不図示)に真空吸着により固定されている。
また、光学基材41及び光学基材42の夫々の光軸O−Oは、接合完了時に一致するように高精度に位置決めされている。次いで、エネルギー硬化型樹脂(本実施の形態では紫外線硬化型樹脂、以下、「樹脂」という)1を、光学基材41の接合面41に所望量吐出する。
次いで、図14に示すように、光学基材41に対し光学基材42を光軸O−O方向に接近移動させて樹脂1を押延する。
この状態で、光学基材41の下方から、この光学基材41を通して紫外線ランプ44により紫外線を照射する。このときの紫外線は、その照度:10±2mW/cmのほぼ均一な照度分布を持ち、これを100秒照射した。こうして、樹脂1を硬化してレンズ層2を得た。
得られた接合光学素子43は、レンズ層2の形状が、中心樹脂厚(光軸O−O方向の厚さ)tが0.2mm、レンズ層2の光学有効径D(φ8.5mm)における最大径での樹脂厚tが約0.6mmであった。
次に、図15に示すように、光学基材41と光学基材42、及びレンズ層2からなる接合光学素子43を、保持部材45に嵌合する。この保持部材45は、プラスチック成形品からなる略円筒状をなしている。
この保持部材45は、内側に、上端に開口する内径(Φ1)の第1の嵌合孔46と、この第1の嵌合孔46よりも小さい内径(Φ2)の第2の嵌合孔47と、この第2の嵌合孔47よりも小さい内径(Φ3)の非嵌合孔48と、が形成されている。この非嵌合孔48は、下端開口側が径大のテーパ面に形成されている。
第2の嵌合孔47と非嵌合孔48との境界は、光軸O−Oと直交する方向に延びる当て付け面48aが形成されている。この当て付け面48aに、接合光学素子43が当接してその光軸O−O方向の位置を規制する。
なお、この保持部材45は、実施の形態1で説明した保持部材15と同形状のものである。
こうして、第2の嵌合孔47に、接合光学素子43の光学基材41が適度な嵌め合い公差で嵌合される。この保持部材45は、嵌合孔47に光学基材41が嵌挿することで光軸O−Oと直交する方向の位置が位置決めされる。
本実施の形態では、第2の嵌合孔47の内径(Φ2)がφ14mmであり、また、第2の嵌合孔47の光軸O−O方向の長さは、光学基材41の側面での肉厚よりも短い。また、保持部材45の第1の嵌合孔46の内径(Φ1)はφ15mmである。
次に、中間光学部品40”は、位置決め部材45’と第3の光学基材としてのレンズ61とを有している。
位置決め部材45’は、略円筒形状のプラスチック成形品からなっている。この位置決め部材45’は、外周の一端に鍔部49を有する段付き円筒状をなしている。
また、この位置決め部材45’は、内側に、第1の嵌合孔46’と、この第1の嵌合孔46’よりも小径の第2の嵌合孔47’とが形成されている。第1の嵌合孔46’と第2の嵌合孔47’との境界は、光軸O−Oと直交する方向に延びる平坦な当て付け面48’が形成されている。
この位置決め部材45’に、不図示の接着剤によりレンズ61を固定する。このとき、当て付け面48’は、レンズ61の光軸O−O方向の位置を決めている。
また、位置決め部材45’の第2の嵌合孔47’の内径D’は、光学基材42の外径Dと同じφ10mmである。さらに、位置決め部材45’の円筒部の外径Φ1’は、保持部材45の第1の嵌合孔46と嵌合するように、φ15mmに形成されている。
本実施の形態では、位置決め部材45’によりレンズ61を保持した場合について説明したが、これに限らない。例えば、レンズ61の代わりにレンズカバーなど、他の透明基材を保持してもよい。
こうして、図16に示すように、接合光学素子43が挿入された保持部材45に、レンズ61が固定された位置決め部材45’を嵌合する。このとき、位置決め部材45’の下端面45a’が、一方の光学基材41の平坦面41に当接する。
また、位置決め部材45’の第1の嵌合孔46’は、光学基材42の側面に接している。さらに、接合光学素子43とレンズ61の光軸O−Oは高精度に一致している。
なお、位置決め部材45’の第2の嵌合孔47’の寸法は、光学基材41及び光学基材42の光軸O−Oと直交する方向のズレが許容可能な範囲で、光学基材42とのクリアランス(隙間)を設けてもよい。
最後に、保持部材45と位置決め部材45’とを接着剤5で固着する。なお、本実施の形態では、接着剤5を用いたが、ネジやかしめ等の他の固着手段を用いてもよい。
本実施の形態では、光学基材41及び光学基材42にプラスチックレンズを用いた。このプラスチックレンズは、温湿度環境変化に対しレンズ層2と同等の寸法変化をおこすことが知られている。
しかし、本実施の形態によれば、保持部材45及び位置決め部材45’に光学基材42が固定されていないので、温湿度環境が変化してレンズ層2の寸法変化が生じたとしても、保持部材45及び位置決め部材45’が光軸方向の寸法変化を規制しないために接合光学素子43に対して応力がかかることを防止する。こうして、接合光学素子43の光学面の形状変化を防止することができる。
また、本実施の形態では、光学基材41の固定を、レンズ61を保持する位置決め部材45’で行った。これにより、中間接合光学素子40’と中間接合光学素子40”との偏心精度の向上を図ることができる。こうして、製造工程の簡略化を図ることができる。
[実施の形態5]
図17は、光学基材51と保持部材55の断面図、図18は、光学基材51を保持部材55に保持した中間光学部品50’の断面図である。また、図19は、中間光学部品50’と光学基材52の断面図、図20は、光学基材52の平面図、図21は、中間光学部品50’に光学基材52を接合して得られた光学部品50の断面図である。
図17において、第1の光学基材としての光学基材51は、凹メニスカスレンズ形状をなしている。この光学基材51は、接合面51と反接合面51とを有している。また、接合面51の外周部には、光軸O−Oと直交する方向に延びる平坦面51が形成されている。同様に、反接合面51の外周部には、平坦面51が形成されている。
接合面51は、近似曲率半径R1aが12mmの非球面形状をなしている。また、反接合面51は、近似曲率半径R1bが20mmの非球面形状をなしている。
この光学基材51は、中心肉厚tが1mm、外径Dがφ20mmのプラスチックレンズである。この光学基材51は、その側面が平滑な面になっている。また、この光学基材51として、ポリカーボネート樹脂(ユピゼータEP5000:三菱ガス化学(株)社製)の熱可塑性樹脂を用いた。
次に、保持部材55は、略円筒形状をなしている。この保持部材55は、熱可塑性樹脂からなる射出成形品である。この保持部材55は、内側に、上端に開口する内径(Φ1)の第1の嵌合孔56と、この第1の嵌合孔56よりも小さい内径(Φ2)の第2の嵌合孔57と、この第2の嵌合孔57よりも小さい内径(Φ3)の非嵌合孔58と、が形成されている。
この保持部材55は、第1の嵌合孔56が光学基材51の光軸O−Oと直交する方向の位置決めも行う。すなわち、本実施例において保持部材55は位置決め部材としても機能している。
また、第1の嵌合孔56、第2の嵌合孔57、及び非嵌合孔58の各境界は平坦な段差に形成されている。特に、第2の嵌合孔57と非嵌合孔58の境界には、光軸O−Oと直交する方向に延びる当て付け面58aが形成されている。
本実施の形態では、第2の嵌合孔57に光学基材51が適度な嵌め合い公差で嵌合されるように高精度に形成されている。
図18に示すように、中間光学部品50’は保持部材55と光学基材51とを有している。
保持部材55に光学基材51を組み込むには、光学基材51を保持部材55の第2の嵌合孔57に嵌合する。
このとき、光学基材51は、その側面が第2の嵌合孔57と嵌合することで光軸O−Oと直交する方向の位置が位置決めされる。本実施の形態では、第2の嵌合孔57の内径(Φ2)はφ20mmである。また、第2の嵌合孔57の光軸O−O方向の長さH1は、光学基材51の側面での肉厚H2よりも短い(図17参照)。
保持部材55の第1の嵌合孔56の内径(Φ1)はφ21mmである。さらに、保持部材55は、光学基材51の光軸O−O方向の位置を決めるため、光学基材51の外径よりも小径(φ18mm)の非嵌合孔58を有している。
光学基材51を第2の嵌合孔57に嵌合後、光学基材51と保持部材55とを固定手段としての接着剤6により固定する。接着剤6は、ウレタン系の熱硬化型接着剤を用いた。また、光学基材51と保持部材55の接着効果を高めるために、予め光学基材51の接着剤塗布部にはプライマー処理を施した。
こうして、図18に示すような中間光学部品50’が得られる。
図19は、中間光学部品50’に光学基材52を対向配置したときの断面図である。
次に、図19において、第2の光学基材としての光学基材52は、両凸レンズ形状をなしている。この光学基材52は、接合面52と反接合面52とを有している。
接合面52は、近似曲率半径R2aが13mmの非球面形状をなしている。また、反接合面52は、近似曲率半径R2bが80mmの非球面形状をなしている。この光学基材52は、中心肉厚tが5mmのプラスチックレンズである。
この光学基材52には、平坦面52を介して光学基材52の側面に等間隔に複数突出した凸部52a(本実施の形態では4個)が設けられている。ただし、この凸部52aは、光学基材52の側面上に連続的に(円周に沿って)輪帯状に設けられていてもよい。
そして、この凸部52aが第1の嵌合孔56と嵌合する。この凸部52aは、光軸O−O方向の一端側(接合面側)に突出する凸部端面52を有している。この凸部端面52は、接合時に他方の光学基材51と接触し、光軸O−O方向の位置を決定する役目をなす。
図20に示すように、凸部52aは光学基材52の側面において光軸O−Oと直交する方向に突出している。この凸部52aを含めた光学基材52の外径Dはφ21mmとなっている。また、光学基材52として、シクロオレフィンポリマー樹脂(ゼオネックス480R:日本ゼオン(株)社製)の熱可塑性樹脂を用いた。
この場合、保持部材55の第1の嵌合孔56(φ21mm)に光学基材52が精度良く嵌合されて、光軸O−Oと直交する方向の位置が位置決めされる。
次に、図19及び図21に基づき、光学部品50の製造工程を説明する。
図19に示すように、光学基材51と光学基材52とを、夫々の接合面51と接合面52とが対向した状態で保持する。このとき、中間光学部品50’は成形装置の保持部(図示せず)に載置されている。また、光学基材52は他方の成形装置の保持部(図示せず)に真空吸着により固定されている。
また、光学基材51と光学基材52の夫々の光軸O−Oは、接合完了時に一致するように高精度に位置決めされている。次いで、エネルギー硬化型樹脂(本実施の形態では紫外線硬化型樹脂、以下、「樹脂」という)1を、光学基材51の接合面51に所望量吐出する。
このとき、樹脂1の吐出量は、押延後の樹脂1が、光学基材51の光学有効径以上かつ光学基材51の外径未満となるようにする。
次いで、図21に示すように、保持部材55に固定された光学基材51に対し、光学基材52を光軸O−O方向に接近移動させる。こうして、光学基材52を保持部材55の第1の嵌合孔56に嵌合する。さらに、光学基材52を光軸O−O方向に光学基材51に向けて接近移動させて樹脂1を押延する。
このとき、光学基材52の凸部端面52が、光学基材51の平坦面51に接するまで樹脂1を押延する。この状態で、光学基材51の下方から、この光学基材51を通して紫外線ランプ54により紫外線を照射する。このときの紫外線は、その照度:10±2mW/cmのほぼ均一な照度分布を持ち、これを100秒照射した。こうして、樹脂1を硬化してレンズ層2を得た。
なお、光学基材52と、保持部材55の第1の嵌合孔56とは、固定されることなく光軸O−O方向に摺動自在となっている。
得られた光学部品50は、レンズ層2の形状が、中心樹脂厚(光軸O−O方向の厚さ)tが0.5mm、レンズ層2の光学有効径D(φ15mm)における最大径での樹脂厚tが0.25mmであった。
なお、保持部材55の第1の嵌合孔56(φ21mm)の寸法は、光軸O−Oと直交する方向のズレが許容可能な範囲で、光学基材52とクリアランス(隙間)を設けてもよい。
本実施の形態によれば、保持部材55に光学基材52が固定されていないので、温湿度環境が変化してレンズ層2の寸法変化が生じたとしても、保持部材55が光軸方向の寸法変化を規制しないために接合光学素子53に対して応力がかかることを防止する。こうして、接合光学素子53の光学面の形状変化を防止することができる。
また、本実施の形態によれば、光学基材52に凸部52aを設けたことにより、レンズ層2の環境変化による寸法変化により、光学基材52が光軸O−O方向に動いたとしても、第1の嵌合孔56との間の摺動抵抗が小さい。このため、光学基材52として、例えば剛性の低いプラスチック基材を用いても、変形を生じることがない。
また、本実施の形態によれば、一方の光学基材51を固定保持する保持部材55を、他方の光学基材52を位置決めする位置決め部材と一体的に構成したので、2つの光学基材51,52の光軸O−Oと直交する方向の位置精度をさらに向上することができる。
なお、本実施の形態では、光学基材52に凸部52aを設けた場合について説明したが、これに限らない。例えば、保持部材55の内径側に突起部を設けてもよい。これによっても、同様の効果が得られる。
1・・・樹脂
2・・・レンズ層
3,4,5・・・接着剤
10,20,30,40,50・・・光学部品
30’,40’,40”,50’・・・・中間光学部品
11,12,21,22,31,32,41,42,51,52・・・光学基材
11,12,21,22,31,32,41,42,51,52・・・接合面
11,12,21,22,31,32,41,42,51,52・・・反接合面
21,31,41,51,51,52・・・平坦面
13,23,33,43・・・接合光学素子
14,24,34,44,54・・・紫外線ランプ
15,25,35,45,55・・・保持部材
16‘,36,46,46’,56・・・第1の嵌合孔
17‘,37,47,47’,57・・・第2の嵌合孔
18‘,28,48,48’,58・・・非嵌合孔
18a,28a,38,48a,58a・・・当て付け面
19・・・傾斜面
26・・・螺子孔
27・・・嵌合孔
29,45’・・・位置決め部材
29a・・・雄ネジ
35a・・・薄肉部
45a・・・下端面
49・・・鍔部
52・・・凸部端面
52a・・・凸部
61・・・レンズ
A・・・端縁部
・・・中心樹脂厚
,t・・・中心肉厚
・・・樹脂厚
・・・光学有効径
,D・・・外径

Claims (2)

  1. 光軸方向に対向配置された少なくとも第1の光学基材と第2の光学基材、及びこれら第1と第2の光学基材の間にエネルギー硬化型樹脂のレンズ層が介在された接合光学素子を有し、
    前記接合光学素子を収容して保持する保持部材と、
    前記保持部材に前記第1と第2の光学基材の一方のみを固定する固定手段と、を有し、
    前記固定手段は接着剤であり、
    前記保持部材は、前記一方の光学基材と対向している他方の光学基材を、前記光軸方向に移動可能に前記光軸方向と直交する方向に位置決めし、
    前記他方の光学基材の側面は、突出して前記保持部材の内周面に当接する複数の凸部を有し、
    前記他方の光学基材の前記凸部は、前記光軸方向の一端側に突出して前記一方の光学基材に接触する凸部端面を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学部品。
  2. 光軸方向に対向配置された少なくとも第1の光学基材と第2の光学基材、及びこれら第1と第2の光学基材の間にエネルギー硬化型樹脂のレンズ層が介在された接合光学素子を有する光学部品の製造方法であって、
    前記接合光学素子を保持部材に収容する工程と、
    収容された前記接合光学素子のうち前記第1と第2の光学基材の一方のみを接着剤により前記保持部材に固定する工程と、
    突出して前記保持部材の内周面に当接する複数の凸部であって、前記光軸方向の一端側に突出して前記一方の光学基材に接触する凸部端面を有する複数の凸部を側面に有し、前記一方の光学基材と対向している他方の光学基材を、前記保持部材により、前記光軸方向に移動可能に前記光軸方向と直交する方向に位置決めする工程と、を有する
    ことを特徴とする光学部品の製造方法。
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