JP5419082B2 - 標準混合ガスリーク用微小孔フィルターの校正方法及び校正装置 - Google Patents
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Description
一方、本発明者は、非特許文献1において、純ガスを用いた分圧真空計の校正方法であって、焼結フィルターを用いて校正室に流れ込む気体が分子流となるようにしたものを提案している。しかしながら、非特許文献1の方法では、混合ガスを用いた校正を行うことができない。なぜなら、焼結フィルターの上流に、キャピラリーと副排気系を設けてあるため、これらの影響により、導入される混合ガスの流量比が、元の標準混合ガスの組成比と異なってしまうためである。さらに、提案した焼結フィルターは、微粒子の焼結体で構成されており、焼結条件などにより一つ一つの焼結フィルターでばらつきがあり、焼結フィルターを一個一個校正するための、校正方法及び校正装置の開発が必要であった。
また、本発明の微小孔フィルター校正方法は、微小孔フィルター上流に純ガスを導入し、下流に配置された真空容器を高真空ポンプで排気速度CPで排気したとき、上流圧力Puを隔膜真空計で、下流圧力Pdを全圧真空計で測定し、式CF=CPPd/Puを使って、CFを求めることを特徴とする。また、上流圧力Puを変えながらCFを求め、CFが一定となる圧力領域を、分子流が実現している領域として校正することを特徴とする。さらに、ガス種を変えてCFを測定し、その比が気体の質量数の1/2乗になっていることにより、分子流が実現していることとして校正することを特徴とする。
また、本発明の微小孔フィルター校正方法は、微小孔フィルター上流に標準混合ガスを導入し、下流に配置された真空容器を高真空ポンプでガス種iの排気速度CPiで排気したとき、上流の全圧Puを隔膜真空計で測定し、上流の全圧Puを変えながら下流のガス種iの分圧Pdiを分圧真空計で測定し、Pdi/Pu比が一定となる圧力領域を、分子流が実現している領域として校正することを特徴とする。さらに、CPi・Pdiの値と、CFi・Pu・miの値と、(ここで、CFiはガス種iの微小孔フィルターのコンダクタンス、miは標準混合ガスにおけるガス種iの濃度である)、を比較して、CFiが質量数の1/2乗に比例しているとした時、両者が等しくなる圧力範囲を、分子流が実現している圧力範囲として校正することを特徴とする。
また、本発明の微小孔フィルター校正方法は、微小孔フィルター上流に標準混合ガスを導入し、下流に配置された真空容器を高真空ポンプで排気速度CPiで排気したとき、上流の全圧Puを隔膜真空計で測定し、上流の全圧Puを変えながら下流の全圧Pdを全圧真空計で測定し、CFi・Pu・miの値、(ここで、CFiはガス種iの微小孔フィルターのコンダクタンス、miは標準混合ガスにおけるガス種iの濃度である)、をCFiが質量数の1/2乗に比例しているとして求め、この求めた値をさらにCPiで除した値を全てのガス種について求めて総和し、この総和した値が、全圧真空計で測定した下流の全圧Pdと等しくなっている圧力範囲を分子流が実現している圧力範囲として校正することを特徴とする。
微小孔フィルターの一例を、図3に示す。図3に示した例では、混合ガスがフィルター面に接する前に、中間流の影響を受けないように、フィルター面が前に突き出た形状になっている。
微小孔フィルターの校正とは、以下の2点を測定することである。
(1)分子流が実現される微小孔フィルター上流の圧力範囲
(2)微小孔フィルターの分子流コンダクタンス
コンダクタンスは、ユーザーの装置への適合性を判断する指標となり、また、微小孔フィルター上流圧力と温度を測定することにより、流量の絶対値を求めることができるようになる。
CF(Pu−Pd)=CPPd
ここで、Pu>>Pdであるから、CFPu=CPPdとみなすことができ、よって、
CF=CPPd/Pu ・・・(1)
と表すことができる。
分子流が成立していると、CFは圧力に依存せずに一定となる。高真空ポンプの排気速度CPは予め見積もっておく。例えば、ターボ分子ポンプを使用すれば、CPは10−2Pa以下の圧力に対して一定値となるので便利である。
図4のように、微小孔フィルター上流に純ガスを導入し、上流圧力Puを隔膜真空計で、下流圧力Pdを全圧真空計で測定する。(1)式を使ってCFを求める。さらに、図4のように上流圧力Puを変えながらCFを求め、CFが一定となる圧力領域で分子流が実現しているので、その圧力範囲を求める。また、ガス種を変えてCFを測定し、その比が気体の質量数の1/2乗になっていることからも、分子流が成立していることを示すことが出来る。
図5のように、微小孔フィルター上流に標準混合ガスを導入し、上流圧力Puを隔膜真空計で、下流圧力Pdを分圧真空計、または全圧真空計で測定する。
この時、標準混合ガス中のガス種iの流量Qiは、Puiを上流のガス種iの分圧、miを標準混合ガスにおけるガス種iの濃度、Pdiを下流のガス種iの分圧、CPiを高真空ポンプのガス種iの排気速度とすると、以下の式で表される。
<微小孔フィルターの上流から真空容器>
Qi=CFiPui=CFi・Pu・mi (∵Pu>>Pd)・・・(2)
<真空容器から排気>
Qi=CPi・Pdi ・・・(3)
(i)分圧真空計を使った校正
図5のように上流の全圧Puを変化させながら、分圧真空計で真空容器内の分圧Pdiを測定し、Pdi/Pu比が一定となる圧力領域で、分子流が実現しているので、その圧力範囲を求める。さらに、(3)式を使ってQiを求め、この値と、CFiが質量数の1/2乗に比例しているとして(2)式を使って求めた値を比較し、両者が等しくなることからも、分子流が実現していることを示すことが出来る。
(ii)全圧真空計を使った校正
真空容器内の圧力Pdは、各ガス種の分圧の和になる。
よって、(2)式を使って、各ガス種のPuiとCFiから、CFiが質量数の1/2乗に比例しているとして、各ガス種の流量Qiを計算し、さらに(3)式を使って各ガス種の分圧Pdiを求め、(4)式を使って和を取ることによりPdを求める。この求めた値と、全圧真空計の測定値とを比較し、両者が等しくなることからも、分子流が実現していることを示すことが出来る。
<Iの校正方法>
使用ガス:純ガス
計測器:全圧真空計
長所:測定の再現性が良く、不確かさが小さい。コンダクタンスを精度良く測定できる。
短所:混合ガスの挙動を測定していない。
<IIの校正方法>
使用ガス:標準混合ガス
計測器:分圧真空計
長所:混合ガスそれぞれの気体の挙動を直接測定できる。
短所:測定のバラツキが大きく、再現性が悪い。不確かさが大きい。
<IIIの校正方法>
使用ガス:標準混合ガス
計測器:全圧真空計
長所:測定の再現性が良く、不確かさが小さい。
短所:混合ガスの挙動を間接的に測定しているものの、気体それぞれの挙動まではわからない。
四重極質量分析計の構成手順
(1)ユーザーが保有する真空装置の排気速度や希望する圧力範囲といった条件から、微小孔フィルターを選択し、装置に接続する。
(2)任意の標準混合ガスを、微小孔フィルター上流に導入し、微小孔フィルター上流の圧力を、分子流が実現する圧力範囲内に設定する。
(3)<a:流量比、または分圧比に対して校正する場合>
ガス種Aの流量、標準混合ガスの濃度、質量数をQA、mA、MA、ガス種Bの流量、標準混合ガスの濃度、質量数をQB、mB、MBとすると、ガス種AとBの流量比は
このとき、四重極質量分析計でガス種Aとガス種Bの信号強度の比IA/IBを測定し、数式1の値と比較して四重極質量分析計の信号強度の比を流量比に対して校正する。また、ガス種AとBの排気速度の比SA/SBが既知であれば、
微小孔フィルターの校正証明書に窒素(M=28)のコンダクタンスCN2が記載されている場合、校正時の温度をTCとすると、任意の気体iのコンダクタンスCiは、
任意の気体iの流量Qiは、微小孔フィルター上流圧力PUを測定することにより、任意の気体iの濃度miとコンダクタンスCiから、以下のように求められる。
Claims (4)
- 微小孔フィルターの上流管路に、標準混合ガス及び純ガスのガス導入系と、容積輸送式真空ポンプと、上流圧力Pu測定用隔膜真空計とを接続し、微小孔フィルターの下流管路に、真空容器を接続し、前記真空容器には排気用高真空ポンプと、下流圧力Pd測定用全圧真空計と、下流圧力Pd測定用分圧真空計とを接続した微小孔フィルター校正装置において、微小孔フィルターを介して、真空容器に気体を導入した際、真空容器内部の圧力が、全圧真空計、分圧真空計の動作圧力範囲内にあるように、高真空ポンプの排気速度を選択して微小孔フィルターで分子流が実現されているかどうかを校正することを特徴とする微小孔フィルター校正装置。
- 微小孔フィルター上流に純ガスを導入し、下流に配置された真空容器を高真空ポンプで排気速度CPで排気したとき、上流圧力Puを隔膜真空計で、下流圧力Pdを全圧真空計で測定し、式CF=CPPd/Puを使って、上流圧力Puを変えながらCFを求め、CFが一定となる圧力領域を、分子流が実現している領域として校正することを特徴とする微小孔フィルター校正方法。
- 微小孔フィルター上流に標準混合ガスを導入し、下流に配置された真空容器を高真空ポンプでガス種iの排気速度CPiで排気したとき、上流の全圧Puを隔膜真空計で測定し、上流の全圧Puを変えながら下流のガス種iの分圧Pdiを分圧真空計で測定し、Pdi/Pu比が一定となる圧力領域を、分子流が実現している領域として校正し、さらに、CPi・Pdiの値と、CFi・Pu・miの値と、ここで、CFiはガス種iの微小孔フィルターのコンダクタンス、miは標準混合ガスにおけるガス種iの濃度である、を比較して両者が等しくなっている圧力範囲を、分子流が実現している圧力範囲として校正することを特徴とする微小孔フィルター校正方法。
- 微小孔フィルター上流に標準混合ガスを導入し、下流に配置された真空容器を高真空ポンプで排気速度CPiで排気したとき、上流の全圧Puを隔膜真空計で測定し、上流の全圧Puを変えながら下流の全圧Pdを全圧真空計で測定し、CFi・Pu・miの値、ここで、CFiはガス種iの微小孔フィルターのコンダクタンス、miは標準混合ガスにおけるガス種iの濃度である、を求め、この求めた値をさらにCPiで除した値を全てのガス種iについて求めて総和し、この総和した値が、全圧真空計で測定した下流の全圧Pdと等しくなっている圧力範囲を分子流が実現している圧力範囲として校正することを特徴とする微小孔フィルター校正方法。
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