JP5419017B2 - 遊技装置及び遊技場システム - Google Patents
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Description
パチンコ機は、遊技者が発射ハンドルを操作して遊技球を盤面に発射させ、この発射した遊技球が所定の入賞口に入賞することで、所定数の入賞球が払い出されるという遊技機である。
特定遊技とは、始動口に入賞した遊技球を検出することで抽せんを行い、この抽せんの結果、大当りになると大当り状態に移行し、盤面に配設され扉状に形成された大入賞口が所定期間及び所定回数開放されて、遊技球の入賞率が高まる遊技状態をいう。
また、1回の大当り状態における大入賞口の開閉回数をラウンド数といい、パチンコ機の機種ごとにラウンド数が決められている。例えば、従来では15ラウンドのみ(一種類)の機種が多かったが、近年では、5ラウンドと8ラウンドと16ラウンドのように、ラウンド数の異なる複数種類の大当り状態を実行可能なパチンコ機が登場してきている。
そこで、カウントした特賞出玉が、大当り状態のどの種類の特賞出玉かを判定することができ、この判定した大当り状態の種類と該特賞出玉とを対応付けて記憶する遊技機管理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
この技術によれば、大当り状態の種類ごとに特賞出玉を管理できるので、各種類における特賞出玉の平均値を有用な釘調データとして使用することができる。
同技術では、カウントした特賞出玉が大当り状態のどの種類の特賞出玉かを判定しているが、この判定を行うために、大当り状態の種類ごとに設定出玉数を設け、特賞出玉と設定出玉数との誤差が所定範囲内にあるか否かを判断して、該特賞出玉をいずれかの種類に振り分けていた。
そして、この振り分けに使用する設定出玉数には、メーカから発表された特賞中の出玉を、そのまま用いていた。このメーカ発表値は、遊技店がパチンコ機を導入する際に該メーカから渡されるデータである。このため、導入後、そのパチンコ機が稼動を開始して実際に払出す出玉数とは相違していた。しかも、釘調整は、毎日の出玉に応じて調整すべきものであるため、メーカ発表値は参考程度にしかならず、正確さに欠けていた。
さらに、従業員の設定出玉数の入力操作が間違っていると、特賞出玉の平均値を正確に算出できず、的確な釘調整が行えなくなるという問題があった。
また、閾値が自動的に設定されるので、従業員の入力間違いがなくなり、より正確な平均特賞出玉を算出できる。
さらに、遊技装置が、パチンコ機の稼動実績にもとづいて閾値を設定することから、この設定した閾値を用いて算出された正確な平均特賞出玉により、的確な釘調整を実行できる。
まず、本発明の遊技装置及び遊技場システムの実施形態について、図1を参照して説明する。
図1は、本実施形態の遊技場システムの構成を示す概略図である。
図1に示すように、遊技場システム1は、複数のパチンコ機10と、これらパチンコ機10毎に設けられた複数の台コンピュータ20と、パチンコ機10の島単位に設けられた複数の島コンピュータ30と、これら島コンピュータ30に接続されたホールコンピュータ40とを備えている。
さらに、盤面11には、該盤面11から前方へ立設された多数の釘17が、列状又は分散して配設されており、盤面11の上方から落下してきた遊技球の進行方向を変化させている。特に、入賞口13や始動口14の上部開口の直上には、命釘17−1と呼ばれる一又は二本の釘が立設されており、この命釘17−1の傾斜角度が入賞口13等への入賞の確率に影響を与えている。
このパチンコ機10は、通常のパチンコ機と同様の構成、機能を備えており、遊技球を使用した遊技の内容や方法も既存のパチンコ機と同様のものとなっている。
また、島コンピュータ30は、ホールコンピュータ40から送られてきた信号を、台コンピュータ20を介してパチンコ機10へ送ることができる。
このホールコンピュータ40は、図4に示すように、通信部41と、記憶部42と、入力操作部43と、出力表示部44と、制御部45とを有している。
通信部41は、島コンピュータ30に接続されており、所定の信号を送受信する。
「スタート」は、1分間当たりの平均スタート回数(平均始動入賞回数)を示す。
「ベース」は、大当り状態及び確率変動状態にない通常状態での出玉率を示す。
「BY」は、通常状態での有効スタート入賞以外の出玉率を示すものであり、次式を用いて算出できる。
「BY」=「ベース」−「スタート」×賞球数 ・・・(式1)
「TY」は、大当り状態の種類における特賞出玉の平均を示す。
なお、図5に示した釘調データの「TY」の欄には、発生回数が最も多い大当り状態の種類(同図では、8ラウンドの大当り状態)における特賞出玉の平均を示しているが、これに限るものではなく、例えば、複数の大当り状態の種類ごと(例えば、5ラウンドと8ラウンドと16ラウンドのそれぞれ)の特賞出玉の平均を欄分けして示すことができる。そして、この場合、各欄ごとにラウンド数を項目名として記載することができる。また、同図に示すように、「TY」の欄に、発生回数が最も多い大当り状態の種類における特賞出玉の平均を示す場合でも、ラウンド数を項目名として記載することができる。
特賞出玉履歴は、図6に示すように、「番号」と、「特賞出玉」とを項目として構成されている。「番号」は、大当り状態ごとに付された通し番号である。「特賞出玉」は、大当り状態ごとに算出された特賞出玉数を示す。
出力表示部44は、入力操作部43での入力指示にもとづいて、所定のデータ、例えば、釘調データ(図5参照)や特賞出玉履歴(図6参照)などを表示する。
大当り信号、アウト信号、セーフ信号が、図7に示すような波形で、パチンコ機10から出力され通信部41で受信されたものとする。
制御部45は、大当り信号が出力されている間を大当り状態とし、この大当り状態が開始してから終了するまでの間に出力されたアウト信号のパルス数(図7のaにおけるパルス数)及びセーフ信号のパルス数(図7のbにおけるパルス数)をそれぞれカウントする。そして、カウントしたアウト信号のパルス数に1パルスあたりのアウト玉数(例えば、10個)を乗算して該大当り状態におけるアウト玉数を算出し、カウントしたセーフ信号のパルス数に1パルスあたりのセーフ玉数(例えば、10個)を乗算して該大当り状態におけるセーフ玉数を算出し、該大当り状態におけるアウト玉数からセーフ玉数を減算して得られた差を、該大当り状態における特賞出玉とする。
なお、本実施形態においては、アウト信号とセーフ信号を用いて大当り状態における払出玉数(特賞玉数)を算出するため、それらアウト信号とセーフ信号を、「払出玉数に関する所定の信号」というものとする。
なお、本実施形態においては、台コンピュータ20、島コンピュータ30、ホールコンピュータ40、その他遊技場システム1に接続可能な装置や機器を、「遊技装置」というものとする。
次に、本実施形態の遊技装置が実行する平均特賞出玉算出方法について、図面を参照して説明する。
なお、ここでは、平均特賞出玉算出方法を、次の三つの処理に分けて説明する。
(1)閾値自動設定処理
(2)最大回数平均特賞出玉算出処理
(3)閾値補正処理
なお、これら(1)〜(3)の各処理は、遊技機ごと、機種ごと、島ごと、遊技場ごとに実行することができる。
閾値自動設定処理は、特賞出玉履歴(図6参照)として管理されている複数の特賞出玉を大当り状態の種類ごとに振り分ける際の指標となる閾値を自動的に算出し設定する処理である。
この閾値自動設定処理は、過去に算出された複数の特賞出玉における所定値以上の数値差の有無にもとづいて閾値を設定するものである。
図8は、閾値自動設定処理の全体の流れを示すフローチャート、図9は、閾値自動設定処理を実行することにより得られるデータを示す図、図10は、閾値自動設定処理のうち特賞出玉振分処理の手順を示すフローチャート、図11は、閾値自動設定処理のうち閾値算出処理の手順を示すフローチャートである。
ホールコンピュータ40の制御部45は、パチンコ機10から出力された大当り信号、アウト信号、セーフ信号にもとづいて、所定期間内(例えば、一営業日における営業開始から終了までの間)に発生した複数の大当り状態ごとに、特賞出玉を算出し、この算出された特賞出玉を特賞出玉履歴として記憶部42に記憶させる(図6参照)。
ここでは、図6に示す50個の特賞出玉のデータを取り出したものとする。
次いで、制御部45は、取り出した特賞出玉のデータを、それら特賞出玉の示す数値順(昇順又は降順)に並べ替えて、特賞出玉の数列を形成する(ソート処理、ステップ11)。
このソート処理を実行する前の特賞出玉のデータ(特賞出玉履歴から取り出した状態の特賞出玉)を図9(a)に、ソート処理を実行した後の特賞出玉のデータ(昇順に並べた特賞出玉の数列)を図9(b)に示す。
例えば、図9(b)に示すソート結果では、特賞出玉の最少玉数が480であるため、1個から470個までの特賞出玉のデータ件数は、0件となる(図9(c)参照)。また、図9(b)では、特賞出玉が480個のデータ件数は1件、490個のデータ件数は3件、500個のデータ件数は6件、510個のデータ件数は3件、520個のデータ件数は1件、530個から710個までのデータ件数は0件となる。こうしてカウントされたデータ件数は、図9(c)に示すようにテーブル化されて記憶部42に記憶される。
なお、図9(b)に示す「480」、「490」、・・・と、図9(c)に示す「480」、「490」、・・・とは、同じ「特賞出玉」を示す数値であるが、前者は、一回の大当り状態における「特賞出玉」を示すのに対し、後者は、データ件数に対応した「特賞出玉」を示すものであるので、説明を明確にする観点から、後者を特に「特賞出玉発生値」ということとする。
例えば、特賞出玉発生値が1個の場合、データ件数は0件であるため、X=1、Y(1)=0となる。また、特賞出玉発生値が480個の場合、データ件数は1件であるため、X=480、Y(480)=1となる。さらに、特賞出玉発生値が490個の場合、データ件数は3件であるため、X=490、Y(490)=3となる。同様に、500個以上の特賞出玉発生値についても、その特賞出玉発生値をXに、データ件数をY(X)にそれぞれ代入する。この代入処理は、少なくともデータ件数が1件以上の特賞出玉発生値のすべてについて行う。
その後、制御部45は、特賞出玉振分処理(ステップ14)と、閾値算出処理(ステップ15)を実行する。これらの各処理については、後記の「(1−2)特賞出玉振分処理」、「(1−3)閾値算出処理」で詳述する。
なお、本実施形態においては、特賞出玉が10個単位で払出されることを想定しているが、10個単位に限るものではなく、パチンコ機10に設定された特賞出玉の単位玉数に応じて閾値自動設定処理及びこれを含む平均特賞出玉算出方法を実行することができる。
制御部45は、特賞出玉振分処理で用いる各変数に初期値を与える(図10のステップ20)。具体的には、A=0、S=1、T=1、X=0、Z=0となる。なお、各変数の意味については、それら変数を用いる段階で順次説明する。
次いで、制御部45は、X=X+10を行い(ステップ21)、続いて、Y(X)が0よりも大きいか否かを判断する(ステップ22)。これらステップ21及びステップ22の処理は、データ件数が1件以上となっている特賞出玉発生値を、ソートされた順番(昇順)で検索するものである。具体的には、特賞出玉発生値のうち「10個」から順番に、「20個」、「30個」、・・・について10個毎に検索し、データ件数が1件以上となっている特賞出玉発生値を抽出する。
一方、Y(X)が0よりも大きい場合(図9(c)の例では、特賞出玉発生値が480個の場合)、制御部45は、次いで、A(S,T)にXの値を与える(ステップ23)。ここで、変数A(S,T)は、データ件数が1件以上の特賞出玉発生値を示す。また、Sは、ラウンド数の異なる大当り状態のそれぞれに付される番号、Tは、一の大当り状態における特賞出玉発生値のそれぞれに付される通し番号を示す。具体的に、図9(c)のデータについてステップ23を実行すると、S=1、T=1、X=480であるので、A(S,T)=Xは、A(1,1)=480となる。
そして、制御部45は、Y(X)が0よりも大きいか否かを判断する(ステップ26)。
判断の結果、Y(X)が0よりも大きくない場合、つまり、Y(X)=0の場合は、Z=Z+1を実行し(ステップ27)、ステップ25以降の処理を実行する。ここで、変数Zは、データ件数が0件である特賞出玉発生値が連続している数を示す。
なお、Zと比較される値は、本実施形態においては、「10」としているが、これは、複数種類の大当り状態における特賞出玉の各間の差が100以上あることを想定したものであり、特賞出玉の単位玉数である10個で除算して得られた「10」をZと比較する値としたものである。ただし、Zと比較する値は、「10」に限るものではなく、大当り状態の種類を区別可能な任意の数とすることができる。
一方、Zが「10」未満であるときは、S=S+1及びT=1を実行せずにステップ30へ移行する。
次いで、制御部45は、A(S,T)にXの値を与える(ステップ30)。
そして、制御部45は、Z=0を実行する(ステップ31)。これは、Zをリセットするためである。
さらに、制御部45は、XがMAXの示す値以上か否かを判断する(ステップ32)。
判断の結果、XがMAXの示す値以上の場合は、特賞出玉振分処理を終了し、続いて閾値算出処理(ステップ15)を実行する。
一方、XがMAXの示す値未満の場合は、ステップ24以降の処理を実行する。
なお、このように特賞出玉発生値のグループ分けができるのは、大当り状態の種類ごとにラウンド数が規定されているからである。つまり、1ラウンドにおける遊技球の払出玉数の上限は、法令で決まっているので、ラウンド数に応じた払出玉数もほぼ所定範囲内で発生する。このことから、特賞出玉は、各大当り状態の種類ごとに設定されたラウンド数に相当する払出玉数のいずれかに近い値として発生するため、大当り状態の種類ごとにグループ分けすることができる。
また、図9(b)〜(d)に示す処理結果は、特賞出玉を昇順に並べているが、昇順に限るものではなく、降順に並べることができる。降順の場合も、同じ閾値を得ることができる。
制御部45は、図11に示すように、各変数に初期値を与える(ステップ40)。
具体的には、B=0、S=1、T=1、U=1、V=0、D=0、E=0となる。なお、各変数の意味については、それら変数を用いる段階で順次説明する。
次いで、制御部45は、B(U)=B(U)+A(S,T)を行う(ステップ41)。ここで、変数B(U)は、大当り状態ごと(グループごと)の特賞出玉発生値の和を示す。
続いて、制御部45は、T=T+1を行う(ステップ42)。
そして、制御部45は、A(S,T)が0と同じか否かを判断する(ステップ43)。この判断は、特賞出玉発生値の和の算出を継続するか否かを判断するものである。
一方、A(S,T)が0と同じ場合は、制御部45は、次いで、C(U)=B(U)/(T−1)を実行する(ステップ44)。ここで、変数C(U)は、特賞出玉発生値の和を、その特賞出玉発生値の数で除算して得られた商、つまり、その大当り状態の種類(そのグループ)における特賞出玉発生値の平均値(相加平均)を示す。
さらに、Uが2の場合(二つめの大当り状態の種類の場合)、B(U)は、B(2)=720+780+790+800+810+820=4720となる。また、Tは、ステップ44においては、7となる。そして、C(U)=B(U)/(T−1)は、C(2)=4720/(7−1)=786.67となる。
また、Uが3の場合(三つめの大当り状態の種類の場合)、B(U)は、B(3)=1600+1610=3210となる。また、Tは、ステップ44においては、3となる。そして、C(U)=B(U)/(T−1)は、C(3)=3210/(3−1)=1605となる。
これらの算出結果を、図9(e)に示す。
判断の結果、A(S,T)が0ではない場合、つまり、A(S,T)が1以上の場合は、ステップ41以降の処理を実行する。
一方、A(S,T)が0と同じである場合、制御部45は、V=V+1を実行する(ステップ47)。ここで、変数Vは、ステップ49の式「D=C(V)+C(V+1)」に用いるC(V)を特定する。
判断の結果、C(V)が0であるときは、閾値算出処理を終了する。
一方、C(V)が0ではないときは、制御部45は、続いて、D=C(V)+C(V+1)を実行する(ステップ49)。ここで、変数Dは、一の大当り状態の種類と次の大当り状態の種類(一のグループと次のグループ)のそれぞれについて算出された特賞出玉発生値の平均値の和を示す。
そして、制御部45は、E(V)=D/2を実行する(ステップ50)。ここで、変数E(V)は、閾値を示す。また、「E(V)=D/2」は、一の大当り状態の種類(一のグループ)の特賞出玉発生値の平均値と次の大当り状態の種類(次のグループ)の特賞出玉発生値の平均値とを加算して2で除算した商を閾値として算出するものである。
この閾値E(V)を算出すると、ステップ47以降の処理を実行する。
なお、本実施形態の「平均特賞出玉算出方法」は、ラウンド数の異なる大当り状態が三種類あることを前提としているが、大当り状態は、三種類に限るものではなく、二種類や四種類以上とすることもできる。
具体的に、大当り状態(グループ)が四種類の場合について、図11のステップ47〜ステップ50の処理は、次のように実行される。
C(1)=100
C(2)=200
C(3)=300
C(4)=400
ステップ48では、C(V+1)=C(1+1)=C(2)=200となり、0ではないので、ステップ49に進む。
ステップ49では、D=C(V)+C(V+1)=C(1)+C(2)=100+200=300となる。
ステップ50では、E(V)=D/2=300/2=150となり、グループC(1)とグループC(2)との間の閾値(一つ目の閾値)が算出される。
ステップ48では、C(V+1)=C(2+1)=C(3)=300となり、0ではないので、ステップ49に進む。
ステップ49では、D=C(V)+C(V+1)=C(2)+C(3)=200+300=500となる。
ステップ50では、E(V)=D/2=500/2=250となり、グループC(2)とグループC(3)との間の閾値(二つ目の閾値)が算出される。
ステップ48では、C(V+1)=C(3+1)=C(4)=400となり、0ではないので、ステップ49に進む。
ステップ49では、D=C(V)+C(V+1)=C(3)+C(4)=300+400=700となる。
ステップ50では、E(V)=D/2=700/2=350となり、グループC(3)とグループC(4)との間の閾値(二つ目の閾値)が算出される。
ステップ48では、C(V+1)=C(4+1)=C(5)=0となり、閾値算出処理が終了する。
このように、グループが四つある場合は、閾値が三つ算出される。また、グループが五つある場合は、閾値が四つ算出される。さらに、グループが六つある場合は、閾値が五つ算出される。つまり、ラウンド数の異なる大当り状態(グループ)が二種類以上ある場合には、各グループ間において、それぞれ閾値が算出される。
最大回数平均特賞出玉算出処理は、大当り状態の複数種類の中から最も発生回数の多い種類を選出し、この種類における特賞出玉の平均値を算出する処理である。また、発生回数が最も多い大当り状態の種類に振り分けられた特賞出玉の中から、異常値を示す特賞出玉を除外し、残る正常な特賞出玉により平均特賞出玉を算出するものである。これは、遊技中に玉詰まりなどの異常事態が発生し、この異常事態発生中に特賞出玉が取得されると、この特賞出玉も異常値を示すようになるが、こうした想定外の値を示す特賞出玉を用いて平均特賞出玉を算出すると、的確な釘調整が行えなくなるので、異常値を示す特賞出玉を除外するものである。
図12は、最大回数平均特賞出玉算出処理の実行手順を示すフローチャート、図13は、特賞出玉を大当り状態の種類ごとに振り分けた結果と、大当り状態の種類ごとの特賞出玉の件数を示す図である。
ホールコンピュータ40の記憶部42は、制御部45が閾値自動設定処理を実行して得られた閾値を記憶している(ステップ60)。
制御部45は、パチンコ機10から出力された大当り信号、アウト信号、セーフ信号にもとづいて、所定期間内(例えば、一営業日における営業開始から終了までの間)に発生した複数の大当り状態ごとに、特賞出玉を算出する。この算出された特賞出玉は、特賞出玉履歴として記憶部42に記憶される(図6参照)。
次いで、制御部45は、各特賞出玉発生値ごとに発生件数を算出し、大当り状態の種類ごと(グループごと)に発生件数を合計する(ステップ62)。
続いて、大当り状態の各種類のうち発生件数が最も多い種類(複数のグループのうち大当り状態が最も多く発生したグループ)を選出する(ステップ63)。
また、その大当り状態の種類(そのグループ)における特賞出玉の中に、所定以上の偏差データがあるか否かを判断する(ステップ65)。
判断の結果、所定以上の偏差データがあるときは、その偏差データを除いた特賞出玉を用いて、平均特賞出玉を算出し(ステップ66)、これを釘調データとして記憶部42に記憶させる(ステップ67)。
一方、所定以上の偏差データがないときは、すべての特賞出玉を用いて、平均特賞出玉を算出し(ステップ68)、これを釘調データとして記憶部42に記憶させる(ステップ67)。
次に、最大回数平均特賞出玉算出処理について、具体例をもって説明する。
記憶部42に記憶されている特賞出玉は、図5に示すように、50個のデータからなるものとする。また、閾値Eは、図9(f)に示すように、E(1)=643.33と、E(2)=1195.83の二つであるものとする。この場合、大当り状態の種類は、E(1)よりも特賞出玉が小さい第一種類と、E(1)よりも大きくE(2)よりも小さい第二種類と、E(3)よりも大きい第三種類の三種類となる。
制御部45は、二つの閾値を用いて、各特賞出玉を、三種類ある大当り状態のいずれかに振り分ける。例えば、番号1の特賞出玉800は、E(1)よりも大きくE(2)よりも小さいので第二種類に振り分けられる。また、番号3の特賞出玉500は、E(1)よりも小さいので第一種類に振り分けられる。さらに、番号15の特賞出玉1600は、E(2)よりも大きいので第三種類に振り分けられる。このように、振り分けられた結果を図13(a)に示す。
そして、制御部45は、大当り状態の各種類の中から発生件数が最も多い種類を選出する。図13(b)においては、第一種類の発生件数が14件、第二種類の発生件数が34件、第三種類の発生件数が2件となっているので、第二種類が、発生件数の最も多い種類として選出される。
標準偏差は、次の手順で算出することができる。
特賞出玉の相加平均を算出する(ステップ70)。第二種類の特賞出玉をX1〜Xn、特賞出玉の数をnで表すと、相加平均Mは、次式で算出できる。
M=(X1+X2+・・・+Xn)/n ・・・(式2)
X1=720
X2=X3=780
X4=X5=X6=X7=X8=X9=790
X10=X11=・・・=X26=800
X27=X28=X29=X30=X31=X32=810
X33=X34=820
n=34
M={(720×1)+(780×2)+(790×6)+(800×17)+(810×6)+(820×2)}/34
=797.6 ・・・(式3)
σ2={(X1−M)2+(X2−M)2+・・・+(Xn−M)2}/n
・・・(式4)
つまり、標本分散σ2は、特賞出玉の各データから相加平均を減算し、この減算により得られた差を二乗して合計し、この合計を特賞出玉のデータ件数で除算することにより算出できる。
σ2={Σ(Xi−M)2}/n ・・・(式5)
ただし、i=1〜n
σ2=[{(720-797.6)2×1}+{(780-797.6)2×2}+{(790-797.6)2×6}+{(800-797.6)2×17}+{(810-797.6)2×6}+{(820-797.6)2×2}]/34
=265.05 ・・・(式6)
σ=(σ2)1/2 ・・・(式7)
つまり、標準偏差σは、標本分散σ2の正の平方根を計算することにより得ることができる。
σ=(265.05)1/2=16.3 ・・・(式8)
c=M±3σ ・・・(式9)
c=797.6±3×16.3=797.6±48.8
・・・(式10)
つまり、範囲cは、748.8〜846.4の間となる。
具体的に、図13(b)に示す第二種類における特賞出玉には、「720」、「780」、「790」、「800」、「810」、「820」があるが、範囲cに含まれる特賞出玉は、「780」、「790」、「800」、「810」、「820」の五つであり、「720」は、含まれないので、これを異常データとして除外する。
具体的には、次式により算出される。
M0={(780×2)+(790×6)+(800×17)+(810×6)+(820×2)}/33=800
・・・(式11)
このように、第二種類における特賞出玉の平均値M0の算出にあたっては、該第二種類における特賞出玉の中から範囲cに含まれない特賞出玉(ここでは、「720」)を異常データとして除外し、範囲cに含まれる特賞出玉(ここでは、「780」等の五つのデータ)を用いて当該平均値M0の算出を行っている。
ここで、異常データは、パチンコ機1にて玉詰まりなどの異常が発生したときに取得されるデータである。一方、特賞出玉の平均値M0は、パチンコ機1が正常に動作することを前提に算出されるデータであり、想定される平均値(例えば、8ラウンドのときは「800」など)からの偏倚を釘調整の指標とするものである。よって、想定される平均値から掛け離れた値を示す異常データを特賞出玉の平均値の算出に用いると、該平均値自体が異常値を示す不正確な値となり、釘調整の指標とすることができなくなる。
このことから、異常データを除外した特賞出玉を用いて平均値M0を算出することで、該特賞出玉の平均値M0を正確に求めることができ、釘調整に有用な釘調データを得ることができる。
この「TY」を指標として釘調整を行う場合、例えば、「TY」が795のように小さい値を示しているときは、パチンコ機10の盤面11に立設された釘17のうち大入賞口15への遊技球の入賞を左右するより釘17−2の傾斜角度を調整して、遊技球が大入賞口15に入りやすくなるようにする。一方、「TY」が815のように大きい値を示しているときは、より釘17−2の傾斜角度を調整して、遊技球が大入賞口15に入りにくくなるようにする。このような調整を行うことで出玉率を調節するものである。
閾値補正処理は、過去に設定した閾値Eaを、新たに算出した閾値Ebと置き換えて設定していくことで、閾値を補正する処理であり、特に、閾値Ebの算出に用いる特賞出玉に、閾値Eaの算出で用いた特賞出玉を含めることで、閾値Ebの精度を高めるものである。
この閾値補正処理について、図14を参照して説明する。図14は、閾値補正処理の実行手順を示すフローチャートである。
なお、ここでは、営業時間が終了するごとに(毎営業日ごとに)、該閾値補正処理を実行するものとする。
ホールコンピュータ40の制御部45は、記憶部42から特賞出玉のデータを所定数取り出し、閾値自動設定処理を実行して新たな閾値Ebを算出する(当日閾値取得、図14のステップ70)。
ここで、閾値Eaの算出に用いた特賞出玉が過去10営業日分の特賞出玉であるとすると、閾値Ebの算出に用いる特賞出玉は、その過去10営業日分の特賞出玉と、当日の特賞出玉の両方を含むものとする。このように、閾値Ebの算出に用いる特賞出玉に、閾値Eaの算出で用いた特賞出玉を含めることで、閾値Eaよりも精度の高い閾値Ebを算出できる。また、閾値Eの算出に用いる特賞出玉を増やすことで、閾値Eをより適切な値に近づけることができる。
確認の結果、記憶部42に閾値Eaが記憶されているときは、記憶部42から閾値Eaを削除するとともに、閾値Ebを新たに記憶部42に記憶させて、閾値Eの補正を行う(ステップ72、ステップ73)。
一方、記憶部42に閾値Eaが記憶されていないときは、閾値Ebを記憶部42に記憶させる(ステップ73)。
また、従業員が閾値を手入力する必要がなくなるので、その従業員による入力ミスの発生を回避できる。これにより、異常値を示す閾値を用いて平均特賞出玉を算出することが無くなるので、該平均特賞出玉を正確に求めることができる。
しかも、平均特賞出玉の算出に用いる特賞出玉を標準偏差の範囲内としたので、異常値を示す特賞出玉を除外し、正常な値を示す特賞出玉のみを使用して、平均特賞出玉をより正確に算出できる。例えば、遊技球の玉詰まりや遊技盤上で詰まった場合に異常値を示す特賞出玉を除くことができる。
例えば、上述した実施形態においては、閾値自動設定処理、最大回数平均特賞出玉算出処理、閾値補正処理の各処理を、ホールコンピュータが実行することとしたが、ホールコンピュータに限るものではなく、例えば、台コンピュータや島コンピュータなどの遊技装置が実行することもできる。
さらに、新台導入時の閾値の取得は、試打ちデータを使用することができ、これにより、新台導入日から閾値を設定できる。ただし、試打ちデータを使用しない場合には、初日の営業データを参照することで、翌営業日から閾値を設定でき、閾値に対応させた釘調データを取得することができる。
10 パチンコ機(遊技機)
40 ホールコンピュータ
45 制御部
Claims (6)
- 一回の大当り状態における所定の入賞口の開閉回数をラウンド数とし、該ラウンド数の異なる複数種類の大当り状態を有するパチンコ機からの所定の信号にもとづいて遊技データを集計する遊技装置であって、
前記大当り状態を示す大当り信号が出力されている間に出力された所定の信号にもとづいて該大当り状態における獲得遊技媒体数を算出し、過去に算出された複数の獲得遊技媒体数における所定値以上の数値差の有無にもとづいて閾値を設定し、所定期間内に発生した複数の大当り状態ごとに前記獲得遊技媒体数を算出し、この算出した複数の獲得遊技媒体数を前記閾値にもとづいてグループ分けし、前記グループにおける前記獲得遊技媒体数の平均値を算出する制御部を備えた
ことを特徴とする遊技装置。 - 前記制御部は、複数の前記グループのうち前記大当り状態が最も多く発生したグループにおける前記獲得遊技媒体数の平均値を算出する
ことを特徴とする請求項1記載の遊技装置。 - 前記制御部は、過去に算出された複数の獲得遊技媒体数を昇順又は降順に並べたときに隣接する獲得遊技媒体数間の数値差が所定数以上の数値差を示す箇所を境界として前記複数の獲得遊技媒体数を複数の群に分け、これら複数の群の各間を区分けする値を前記閾値として設定する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の遊技装置。 - 前記制御部は、各群ごとに前記獲得遊技媒体数の平均値を算出し、一の群の平均値と次の群の平均値とを加算して2で除算した商を前記閾値として設定する
ことを特徴とする請求項3記載の遊技装置。 - 前記制御部は、前記グループにおける前記獲得遊技媒体数の標準偏差を算出し、この標準偏差にもとづいて前記獲得遊技媒体数として許容し得る所定の範囲を設定し、この所定の範囲に含まれない獲得遊技媒体数を除外した残りの獲得遊技媒体数を用いて、該獲得遊技媒体数の平均を算出する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の遊技装置。 - 一回の大当り状態における所定の入賞口の開閉回数をラウンド数とし、該ラウンド数の異なる複数種類の大当り状態を有するパチンコ機と、このパチンコ機から出力された所定の信号を入力して遊技データを集計する遊技装置とを備えた遊技場システムであって、
前記遊技装置は、前記請求項1〜5のいずれかに記載の遊技装置である
ことを特徴とする遊技場システム。
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