JP5418106B2 - 回転子 - Google Patents

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Description

この発明は回転子に関し、より特定的にはヨークの外周に磁極面が設けられる回転子に関する。
磁石をヨーク内に配置した、いわゆる埋め込み磁石(IPM:Interior Permanent Magnet)型のモータ用回転子は、表面磁石(SPM:Surface Permanent Magnet)型のモータ用回転子に比べて接着不良などによる磁石剥離の危険性がないため、特にモータ高速回転時において構造信頼性が高くなる。また、ヨークに突極性、すなわち磁束を通し易い磁路と通し難い磁路との差を設けることで、リラクタンストルクを発生させマグネットトルクに重畳できる。これにより、低速時はマグネットトルク主体とし、高速時はマグネットトルクにリラクタンストルクを組み合わすことができ、幅広い回転領域で高効率なモータを得ることができる。一方、構造信頼性やリラクタンストルクの発生量は、磁石およびヨークの形状や配置などに大きく依存する。構造信頼性を高めるには、磁石を取り囲むヨークを強固にする必要があるものの、磁束短絡量の低減という相反する技術課題がある。IPM型回転子において、磁石の周辺を全てヨークで囲むと、磁束が短絡してしまいモータ出力が著しく低下する。これを回避するため、磁束短絡の要因となる磁石周辺のヨークを減らしたり、空隙部を設けるなどして磁束短絡量の低減を図るのが一般的である。しかし、それらの工夫は機械的な強度低下を招くため、所望の強度が得られる範囲内で、モータ出力を犠牲にしつつ磁気回路を工夫してきた。
この磁束短絡を回避する手段として、特許文献1の図8に示す手法が考案されている。特許文献1の図8では、磁石とヨークとを一体的に圧縮成形する回転子製造方法において、埋め込まれる磁石の形状を、回転子の径方向の断面において回転子中心側に凹む4つのアーク形状が端部で連なった環状とし、連なった端部を回転子の周側面に露出させている。この磁石の露出部は、N極とS極が切り替わるゼロクロス部(以下、「極間部」とする)に相当し、この部分の外周面のヨークを無くすことで磁束短絡が回避されている。また、磁石とヨークの接触部分の全面で粉末成形体どうしが噛み合っているため、強固な構造体が得られるとされている。
特開2005−20991号公報
しかし、特許文献1の図8に示される技術では、圧縮成形体のスプリングバック差に起因する成形亀裂が発生するという問題があり、IPM型回転子の磁石の露出部の幅をある寸法以上に大きくすることができず設計の自由度が低いものであった。以下に図13および図14を参照して、亀裂発生のメカニズムを説明する。
図13は、特許文献1の図8における回転子1の径方向の断面において、ヨーク2,3および磁石4がスプリングバックしたとき、ヨーク2,3および磁石4のそれぞれの変化を示す模式図である。図13(a)はスプリングバック前の回転子1であり、回転子1のヨーク2およびヨーク3を図13(b)、磁石4のみを図13(c)に示す。図13(b)に示されるヨーク2およびヨーク3はスプリングバックによって図13(d)に示されるように膨らむ。図13(c)に示される磁石4はスプリングバックによって図13(e)に示されるように膨らむ。磁石4のスプリングバック量の方がヨーク2およびヨーク3のスプリングバック量より大きいため、図13(d)および図13(e)を重ね合わせた図13(f)において、磁石4は回転子1の外周側にあるヨーク2からはみ出るようになる。実際にはヨーク2と磁石4とは結合しており、かつヨーク3と磁石4とは結合しているため、回転子1の外周に露出する露出部5がヨーク2の隙間から押し出されるように膨らむ。
図14は、図13(f)において露出部5付近を拡大した図である。破線は一体成形時における磁石4の露出部5近傍の外縁周辺部6を示している。外縁周辺部6が表すように、露出部5近傍は回転子1の中心側から押し出されるように膨らむため、外縁周辺部6の外周側には矢印で示される引張応力f1が、中心側には同様に矢印で示される圧縮応力f2が発生する。一般的に磁石およびヨークの引張応力に対する強度は、圧縮応力に対する強度に比べて非常に小さい。さらに、磁石の引張応力に対する強度は、ヨークのそれに比べて小さい。そのため、磁石4の露出部5近傍に引張応力f1が発生することによって、磁石4に亀裂が発生し、回転子1の機械強度が著しく低下する。
それゆえに、この発明の主たる目的は、スプリングバック時の亀裂の発生を回避し構造信頼性の高い回転子を提供することである。
上述の目的を達成するために、請求項1に記載の回転子は、ヨークとヨークに埋め込まれる磁石とを含み、円筒状に形成される回転子であって、当該回転子の径方向の断面において、磁石は、環状をなす環状部と、環状部から当該回転子の外周に向かって突出する端部とを含み、端部は、当該回転子の外周に露出する露出部と、環状部と露出部との間に形成されるくびれとを有する。
請求項2に記載の回転子は、当該回転子の磁極数をPとすると、Pが4以上10以下の整数であり、回転子の径方向の断面の各露出部を弧とする扇形の中心角をα°とすると、αは
であることを特徴とする。
請求項1に記載の回転子では、磁石の端部がくびれを有する。この回転子において、ヨークと磁石とが別々にスプリングバックしたと考え、それらを重ね合わせると、磁石のスプリングバック量の方が大きいため、くびれより外周側にある磁石とヨークとの間に仮想的に空間が生じる。実際にはヨークと磁石とは結合しているため、この仮想空間によってくびれ近傍の磁石は回転子の周方向および中心方向に引っ張られる。そのため、磁石の露出部が回転子の中心側から押し出される力は小さくなり、露出部に発生する引張応力は緩和される。よって、磁石への亀裂の発生を回避することができる。したがって、スプリングバック時に亀裂が発生しない、構造信頼性の高い回転子が得られる。
請求項2に記載の回転子では、αを下記の数1の範囲とし、隣り合う各ヨークの間の露出部の幅を広くすることで、N極からS極へと磁極が切り替わる部分の着磁波形を、あたかも表面磁石型リング磁石を極異方性的に着磁した様に、略正弦波状に滑らかにすることができる。
一般的に、回転子の磁極が固定子の磁極を乗り越えるときに必要な回転トルクをコギングトルクと称する。コギングトルクが大きいモータは回転時に振動や騒音が大きくなってしまう。コギングトルクの低減方法は種々あるが、磁石の着磁波形に関しては広く一般的に正弦着磁が良いとされている。なお、磁極を乗り越える力は極間部で最大となるため、極間部の磁石の露出部の幅を広くするとともに、その部分を略正弦着磁することでコギングトルクを効果的に低減することができる。
この発明によれば、スプリングバック時に亀裂が発生せず、構造信頼性の高い回転子が得られる。
この発明の一実施形態の回転子を示す斜視図である。 図1の回転子の径方向の断面図である。 図2の断面図において端部22付近を拡大した断面図である。 図1の回転子の製造に用いられる圧縮成形装置の一例を示し、(a)は上パンチを示す斜視図であり、(b)は下パンチおよびダイを示す斜視図である。 図4の圧縮成形装置による図1の回転子の製造工程を示す断面図解図である。 図1の回転子においてヨークと磁石とがスプリングバックしたときのそれぞれの変化を示す断面模式図である。 図6(e)の露出部24付近を拡大した断面模式図である。 (a)は図1の回転子のスプリングバック時の応力分布図であり、(b)は従来技術の回転子のスプリングバック時の応力分布図である。 図1の回転子を固定子に組み込んだ状態を示す断面図である。 図9の回転子および固定子を含むモータのコギングトルクを示すグラフである。 従来技術の回転子を固定子に組み込んだ状態を示す断面図である。 図11の回転子および固定子を含むモータのコギングトルクを示すグラフである。 従来技術の回転子においてヨークと磁石とがスプリングバックしたときのそれぞれの変化を示す断面模式図である。 図13(f)の露出部5付近を拡大した断面模式図である。
以下、図面を参照してこの発明の実施形態について説明する。
図1にこの発明の一実施形態の回転子10を示す。回転子10はいわゆる永久磁石埋め込み(IPM:Interior Permanent Magnet)型であり、ヨーク12,14および磁石16を含む。ヨーク12,14および磁石16は一体的に形成され、全体として円筒形になる。ヨーク12は回転子10の外周側に設けられ、ヨーク14は回転子10の回転中心側に設けられる。すなわち、ヨーク12およびヨーク14は、磁石16を挟むように設けられ、ヨーク12は磁石16の外側に、ヨーク14は磁石16の内側にそれぞれ設けられる。さらに、ヨーク14には回転子10の回転軸(不図示)が挿通される挿通孔18が設けられる。
図2には、回転子10の径方向の断面図を示す。磁石16は回転子10の径方向の断面において、四角形の辺が内側に湾曲した形の環状部20、および環状部20から回転子10の外周に向かって突出する端部22を含む。端部22は回転子10の外周上に露出する露出部24と、環状部20と露出部24との間に形成されるくびれ26とを有する。なお、図2の磁石16において、環状部20と端部22との境界線28が破線で示される。ここで、境界線28から中心側を環状部20、境界線28から外周側を端部22とする。また、図2には磁石16の磁化方向が矢印で示される。
図3は図2において端部22付近を拡大した図である。回転子10の磁極数をPとし、回転子10の径方向の断面における各露出部24を弧とする扇形の中心角をα°とすると、αは下記の数1の範囲であることが望ましい。
なお、Pは4以上10以下の任意の整数であることが望ましく、この実施形態においては、Pは4である。
次に、図4および図5を参照して、この発明の回転子10の製造方法を示す。図4(a)は回転子10の製造に用いる上側のパンチを示す斜視図であり、磁石16を形成するための上パンチ30と、ヨーク12を形成するための上パンチ32と、ヨーク14を形成するための上パンチ34とを備える。上パンチ34には、後述の下パンチ42に対応した孔Hが設けられている。図4(b)は、図4(a)の上側のパンチに対応する下側のパンチである。下側のパンチは、磁石16を形成するための下パンチ36と、ヨーク12を形成するための下パンチ38と、ヨーク14を形成するための下パンチ40と、挿通孔18を形成するための下パンチ42とを備える。また、図4(b)では、下パンチ38,40,42はダイ44に収容されている。このような上パンチ30,32,34と下パンチ36,38,40,42とダイ44とを含んで成形装置50が構成される。図4(a)のA−A断面および図4(b)のB−B断面において、図5(a)〜(e)に回転子10の成形方法を示す。
図5(a)〜(e)は回転子10の成形装置50の挙動を表している。初めに図5(a)のように、下パンチ36を下げて磁石16の成形キャビティを形成し、磁石粉末と結合剤とを混ぜ合わせた磁石粉末コンパウンド46を充填する。次に図5(b)のように、上パンチ30を下降させて予備加圧し、回転子10の所望厚さよりも厚い予備成形体を形成する。次に、図5(c)のように下パンチ38を下げてヨーク12の成形キャビティを形成し、同様に下パンチ40を下げてヨーク14の成形キャビティを形成する。そして、両方の成形キャビティに軟磁性材の粉末と結合剤とを混ぜ合わせた軟磁性粉末コンパウンド48を充填し、図5(d)のように上パンチ32および上パンチ34を下降させて予備成形する。その後、図5(e)のように上パンチ30で磁石粉末コンパウンド46を本成形し、上パンチ32と上パンチ34とで軟磁性粉末コンパウンド48を本成形する。なお、磁石粉末として異方性磁石を用いる場合は、最終加圧時に磁界を印加する。最後に上パンチ30、上パンチ32、および上パンチ34を引き上げ、下パンチ36、下パンチ38および下パンチ40を上昇させて成形装置50から成形体を取り出し、加熱処理をしながら硬化処理する。ついで回転軸を挿通および固定し、着磁を施すことにより、ヨーク12,14および磁石16を含む回転子10が得られる。
上記および図5においては、磁石粉末コンパウンド46で予備成形体を構成した後に軟磁性粉末コンパウンド48を充填しているが、軟磁性粉末コンパウンド48で予備成形体を構成した後に磁石粉末コンパウンド46を充填してもよい。
なお、磁石粉末と結合剤を混ぜ合わせ、それを圧縮したものは一般的にボンド磁石と呼ばれる。軟磁性粉末と結合剤を混ぜ合わせ、それを圧縮したものは一般的に圧粉磁心と呼ばれる。
磁石粉末としては以下のものを用いるのが好ましい。まずは、Sm(サマリウム)を主とする希土類元素とCo(コバルト)を主とする遷移金属とを基本成分とするSm−Co系磁石粉末である。次に、R(Y(イットリウム)を含む希土類元素のうち少なくとも1種類)とT(Fe(鉄)を主とする遷移金属)とB(ボロン)とを基本成分とするR−T−B系磁石粉末である。他には、Smを主とする希土類元素とTとN(窒素)とを基本成分とするR−T−N系磁石粉末である。さらにはこれらの混合磁石粉末が好ましい。
軟磁性粉末としては、アトマイズ鉄粉、Fe−Co合金粉末、およびナノ結晶粉末などの高透磁率の材料が用いられる。
結合剤としては、熱硬化性樹脂が好ましい。例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、およびポリエステル樹脂等が適宜使用できる。なお、結合剤の含有量は、磁石粉末に対しては0.1〜5質量%が好ましく、1〜4質量%がより好ましい。軟磁性粉末に対する含有量は0.1〜3質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。結合剤の含有量が少ないと機械強度が低下し、結合剤の含有量が多いと磁気特性が低下するためである。
磁石粉末と結合材を混ぜ合わせた磁石粉末コンパウンド46、および軟磁性粉末と結合材を混ぜ合わせた軟磁性粉末コンパウンド48には酸化防止剤や潤滑剤が含まれていてもよい。また、安定化剤、成形助剤等の各種添加剤を添加することもできる。
このように製造された回転子10では、成形装置50から取り出す際、それぞれの材料が持つ弾性によるスプリングバックが起こる。次に図6を参照してスプリングバック時の回転子10の挙動を説明する。
図6は、この実施形態においてヨーク12,14および磁石16がスプリングバックしたとき、ヨーク12,14および磁石16のそれぞれの変化を示す模式図である。
図6(a)に示されるヨーク12およびヨーク14はスプリングバックによって図6(c)に示されるように膨らむ。図6(b)に示される磁石16はスプリングバックによって図6(d)に示されるように膨らむ。
通常、ボンド磁石のスプリングバック量はスプリングバック前の体積の約0.4%、圧粉磁心のスプリングバック量はスプリングバック前の体積の約0.2%である。つまり、磁石16のスプリングバック量の方がヨーク12およびヨーク14のスプリングバック量よりも大きくなる。
それゆえに、図6(c)に示されるスプリングバック後のヨーク12およびヨーク14と、図6(d)に示されるスプリングバック後の磁石16とを重ね合わせた図6(e)では、磁石16は回転子10の外周側にあるヨーク12からはみ出るようになる。このとき、ヨーク12と磁石16とが重なった重複部70、ヨーク14と磁石16との間の空間部72、およびヨーク12と磁石16との間の空間部74が現れる。実際にはヨーク12と磁石16とは結合しており、かつヨーク14と磁石16とは結合しているため、重複部70、空間部72および空間部74は次のような役割をする箇所となる。
ヨーク12における重複部70は、磁石16がヨーク12を回転子10の径方向外向きに押し出す箇所となる。そのため、ヨーク12はスプリングバックを助長される。また、ヨーク12における空間部74は、磁石16がヨーク12を回転子10の周方向と径方向外向きとに引っ張る箇所となる。そのため、ヨーク12はスプリングバックを助長される。スプリングバックを助長される箇所には引張応力が発生するため、ヨーク12には引張応力が発生することになる。
ヨーク14における空間部72は、磁石16がヨーク14を回転子10の径方向外向きに引っ張る箇所となる。そのため、ヨーク14はスプリングバックを助長され、引張応力が発生する。
磁石16における重複部70は、磁石16がヨーク12によって中心方向に押さえ込まれる箇所となる。そのため、磁石16はスプリングバックを阻害される。また、磁石16における空間部72は、磁石16がヨーク12によって中心方向に引っ張られる箇所となる。そのため、磁石16はスプリングバックを阻害される。スプリングバックを阻害される箇所には圧縮応力が発生するため、上記の箇所には圧縮応力が発生する。ここで、磁石16における空間部74については、図7を参照して説明する。
図7は、図6(e)の露出部24付近を拡大した図である。図7に示す空間部74は、磁石16の端部22がヨーク12によって周方向および中心方向に引っ張られる箇所となる。図7には矢印で、端部22を引っ張る力Fが示される。ここで、空間部74は端部22がくびれ26を有することによって生じたものである。
従来技術では、図13および図14に示すようにくびれ26は設けられておらず、空間部74は生じえなかったため、磁石4はヨーク2の間から回転子1の径方向外向きに突出するように膨張していた。つまり露出部5近傍ではスプリングバックが助長され、露出部5に引張応力が発生することで亀裂が発生していた。
図7に戻って、端部22が周方向および中心方向に引っ張られることは、端部22が回転子10の径方向外向きにスプリングバックするのを阻害することであり、露出部24近傍には圧縮応力が発生し、従来発生していた引張応力が緩和される。これにより、露出部24に亀裂が発生することは回避される。つまり、端部22がくびれ26を有することで磁石16に亀裂が発生するのを回避できる。
図8(a)は、回転子10におけるスプリングバック時の応力の分布を示している。同様に図8(b)は、特許文献1の図8における回転子1の応力の分布を示している。これらの図において、薄灰色の箇所が圧縮応力の発生箇所であり、濃灰色の箇所が引張応力の発生箇所である。また、点が密なほど応力が大きいことを表している。
図8(a)と図8(b)とを比較すると、図8(b)の磁石4の露出部5近傍には引張応力が発生しているが、図8(a)の磁石16の露出部24近傍では引張応力は緩和され、圧縮応力が発生している。つまり、端部22が図7に示すくびれ26を有することにより、露出部24に発生する引張応力が緩和されることが示された。
図3に戻って、この実施形態では、回転子10の磁極数Pは4であり、回転子10の径方向の断面における露出部24を弧とする扇形の中心角αは数1の範囲であることが望ましい。IPM型の回転子10では隣り合う端部22の間のヨーク12に磁極があり、磁極の数が増えるほどヨーク12の部品点数が増える。そのため、量産性を考慮すると磁極数Pは4以上10以下であることが望ましい。
また、図13における従来の回転子1では、露出部5の幅を回転子1の全周の2%以下にしているが、回転子10では下記の数2とすることで露出部24の幅を回転子10の全周の2%よりも大きくとれる。この結果、極間部における磁石16の着磁波形を、あたかも表面磁石型リング磁石を極異方性的に着磁したように、略正弦波状に滑らかにすることができる。
さらに数3とすることで、ヨーク12の幅が隣接する固定子の極ピッチよりも小さくなり過ぎてリラクタンストルクが発生し難くなるのを回避することができる。
ここで図9は、回転子10を、磁極数が6である固定子76に組み込んだ状態を示している。図10は、回転子10の直径が50mm、回転軸方向の長さが50mmであり、固定子76の直径が100mm、回転軸方向の長さが50mmであるとき、回転子10を固定子76に組み込んだモータのコギングトルクの値を示すグラフである。図10において横軸は、挿通孔18に挿通される回転軸を中心とした回転子10の回転角度であり、縦軸は横軸の回転角度に対応した、回転子10を固定子76に組み込んだモータのコギングトルクの値である。
中心角αが数1の範囲であれば、回転子10の露出部24の幅が特許文献1の図8における回転子1の露出部5の幅よりも広くなる。回転子10の外周面において磁極は各ヨーク12にあるため、隣り合うヨーク12の間の磁石14の露出部24の幅を広くすることで磁極が切り替わる部分の着磁波形を略正弦波状にでき、磁極の切り替わりが滑らかになる。よって回転子10を固定子76に組み込んだ場合、モータのコギングトルクが従来に比べて小さくなる。たとえばα=26°とし、固定子76を、コギングトルクを最も小さくするように構造設計すると、図10に示されるようにモータのコギングトルクは2mN・m以内に抑えられる。
また、図11は、特許文献1の図8の回転子1を、固定子76に組み込んだ状態を示している。図12は、図10と同様に、回転子1が直径50mm、回転軸方向の長さが50mmであるとき、固定子76に組み込んだモータのコギングトルクの値を示すグラフである。
従来の回転子1は、露出部5の幅を回転子1の全周の2%以下にしている。回転子1の外周面において磁極は各ヨーク2にあり、隣り合うヨーク2の間の磁石4の露出部5の幅が回転子10の露出部24よりも狭いため、磁極の切り替わりが急峻になる。磁極の切り替わりが急峻、つまり矩形的なほど回転子1の磁極が固定子76の磁極を乗り越える際に必要な力が大きくなり、コギングトルクが増大する。そのため、回転子1を固定子76に組み込んだ場合、モータのコギングトルクは回転子10を固定子76に組み込んだときに比べて大きくなる。固定子76を、コギングトルクを最も小さくするように構造設計しても、図12に示されるようにモータのコギングトルクは最大8mN・mになる。
よって、中心角αを数1の範囲、つまり露出部24の幅を回転子10全周の2%よりも大きくすることでモータのコギングトルクを小さくすることができる。
また、IPM型回転子において利用できるリラクタンストルクは、固定子の磁極から放出された励磁磁界が回転子の1つの極に入り、隣り合う別の固定子の磁極に戻ってくることで発生するトルクである。そのため、固定子の隣り合う極間の距離と、回転子外周に露出しているヨーク1箇所あたりの周方向の幅とをできる限り揃えることで、リラクタンストルクをより効率的に活用できる。一般的に回転子の周りに配置される固定子の極数は、集中巻きの場合、回転子の磁極の3/2倍程度とされる。
固定子76の極数をSとしたとき、固定子76の隣り合う極間の距離は、回転子10の中心を軸とした中心角で表すと、(360/S)°である。また、回転子10の外周に露出するヨーク12の1箇所あたりの周方向の幅を、回転子10の中心を軸とした中心角で表すと、(360/P−α)°である。このときαが数1の範囲であれば、固定子76の隣り合う極間の距離と、回転子10の外周に露出するヨーク12の1箇所あたりの周方向の幅とを近づけることができる。よって、リラクタンストルクをより効率的に活用することができる。
したがって、上述のようにαを数1の範囲とすることで、回転子10を固定子76に組み込んだとき、コギングトルクを小さくし、かつリラクタンストルクをより効率的に活用することができる。
上記の磁極数P、および露出部24を弧とする扇形の中心角をα°としたうえで、図3に示すように、回転子10の径方向の断面における各くびれ26の周方向の幅は、回転子10の中心を軸としてβ°の中心角を持つとする。
ここでβは(α/2)°以上かつ(2α/3)°以下であることが望ましい。βが小さくなりすぎると、回転子10の径方向の断面におけるくびれ26の周方向の幅が細くなりすぎ、磁石16がくびれ26の部分で破断する可能性が生じてしまう。αは上述の条件下では下限は9°となるため、βを(α/2)°以上にすることで、βは4.5°以上となる。つまり、くびれ26の周方向の幅が小さくなりすぎるのを防ぐことができる。また、βが大きくなると、露出部24の周方向の幅とくびれ26の周方向の幅との差が小さくなるため、図6の空間部74が小さくなる。空間部74が小さくなりすぎると露出部24近傍に発生する引張応力が十分に緩和されず、磁石16に亀裂が発生する可能性が生じてしまう。ここで、βを(2α/3)°以下にすることで露出部24の周方向の幅とくびれ26の周方向の幅とに差を持たせ、露出部24近傍に発生する引張応力を十分に緩和できるだけの空間部74の大きさを生じさせることができる。したがって、βは上記の範囲であることが望ましい。
このように、βの範囲、つまりはくびれ26の周方向の幅の範囲を限定することで、さらに構造信頼性の高い回転子10を得ることができる。
さらに図3に示すように、回転子10の径方向の断面において、ヨーク12と端部22との境界線上の、くびれ26によって折れ曲がっている箇所を点Eとし、点Eから端部22の外形に沿って直線Fを引く。さらに、回転子10の径方向の断面において、ヨーク12の、回転子10の外周に露出する面の中点Gと、回転子10の中心とを通る直線Hを引く。そして、直線Fと直線Hの交わる角度のうち、小さい方の角度をγ°とする。
このとき、各くびれ26について、γは10°以上かつ(180/P)°以下であることが望ましい。γを10°以上とすることで磁石16がヨーク12を回転子10の周方向から掴む形になる。回転子10の回転時、ヨーク12には回転子10の径方向外向きの遠心力が発生する。この遠心力が、ボンド磁石と圧粉磁心との接合力を上回るとヨーク12は回転子10から外れる可能性があるが、磁石16がヨーク12を回転子10の周方向から掴む形となっているので、ヨーク12が遠心力によって回転子10から外れるのを防ぐことができる。また、γが大きくなりすぎると、ヨーク12と端部22との境界線が鋭角に折れ曲がるため、折れ曲がり付近のヨーク12および磁石16は非常に細くなる。そうすると、回転子10の製造時、仮成形体を組み合わせる際に欠損が生じやすくなってしまう。そのためγを(180/P)°以下にすることで、ヨーク12および磁石16の一部が細くなりすぎることを防止し、欠損発生を回避することができる。したがって、γは上記の範囲であることが望ましい。
このように、γの範囲を限定することで、製造時にヨーク12および磁石16に欠損が出ない、さらに構造信頼性の高い回転子を得ることができる。
さらに、上述の実施形態の回転子を用いたモータは、従来よりも効率良く駆動することができ、高い耐久性を得ることができる。
なお、上述の実施形態において、環状部20は四角形の辺を中心側に湾曲させた形としているが、これに類似する形状であれば、どのような形でもよい。
10 回転子
12,14 ヨーク
16 磁石
18 挿通孔
20 環状部
22 端部
24 露出部
26 くびれ
30,32,34 上パンチ
36,38,40,42 下パンチ
44 ダイ
50 成形装置

Claims (2)

  1. ヨークと前記ヨークに埋め込まれる磁石とを含み、円筒状に形成される回転子であって、
    当該回転子の径方向の断面において、前記磁石は、環状をなす環状部と、前記環状部から当該回転子の外周に向かって突出する端部とを含み、前記端部は、当該回転子の外周に露出する露出部と、前記環状部と前記露出部との間に形成されるくびれとを有する、回転子。
  2. 当該回転子の磁極数をPとすると、Pは4以上10以下の整数であり、前記断面の前記各露出部を弧とする扇形の中心角をα°とすると、αは
    の範囲である、請求項1に記載の回転子。
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