まず、実施例が適用される現金回収のための現金輸送について説明する。図1は現金輸送の説明図で、現金輸送車101により物品販売店等の店舗103に設置された入金機(現金取扱装置)104から現金が回収され、現金センタ102に搬送される。また、入金機104と現金センタ102は、電話回線105により接続され、入金機104から現金センタ102に対して稼働状況を報告したり現金を回収するときに回収金額やその金種内訳等を報告するものとなっている。
図2は入金機の外観を示す斜視図であり、ここでは紙幣の入金機の例を示している。 入金機104には紙幣入金口201が設けられ、この紙幣入金口201から売上金等の紙幣を入金することができる。紙幣の入金は操作部203を操作することで行われ、入金した結果は、レシートプリンタ204によりレシートに印字して操作者に出力される。入金機104の前面には、扉205が設けられており、必要に応じて扉205を開き、入金された紙幣を収納している紙幣収納庫を取出すことができる。
図3は入金機104内部の構成を示す概略図で、紙幣入金口201に投入された紙幣は、1枚ずつ繰り出されて紙幣計数部302により計数され、紙幣一時保留部303に集積される。投入されたすべての紙幣の計数が完了すると、紙幣一時保留部303に集積された紙幣はその下側に配置された紙幣収納庫304に収納される。
図4は紙幣一時保留部303から紙幣収納庫304に紙幣を収納する仕組みを示す概略断面図で、紙幣計数部302の紙幣搬送路501により、搬送された紙幣Bは紙幣一時保留部303に搬送され送込まれる。この紙幣一時保留部303の底部には紙幣収納庫304との間を仕切る仕切板502a、502bが設けられていて、紙幣一時保留部303に送込まれた紙幣Bはこの仕切り板502a、502b上に集積されて一時保留される。 仕切り板502a、502bは下方に回動するように構成され、仕切り板502a、502bがそれぞれ回動して紙幣一時保留部303の底部を開放することにより、紙幣Bは紙幣収納庫304内に落下して収納される。
この紙幣収納庫304は、紙幣一時保留部303から落下する紙幣Bを集積させるための集積板503と、この集積板503を着脱可能に連結したバックアップ板504と、収納した紙幣Bの量に応じてバックアップ板504の位置を調整するバックアップ板位置調整機構505等によって構成されており、紙幣一時保留部303から紙幣収納庫304に落下した紙幣Bは、集積板503を介してバックアップ板504により受止められるが、その際バックアップ板位置調整機構505がスプリングによりバックアップ板504および集積板503の位置を調整することで、落下したすべての紙幣Bが紙幣収納庫304の内部に収納されるようになっている。
紙幣一時保留部303から紙幣収納庫304への紙幣Bの収納が完了すると、仕切り板502a、502bが元の位置に戻り、紙幣一時保留部303の底部を閉じる。
以上のようにして入金機104に投入された紙幣は、すべて紙幣収納庫304に収納され、この入金機104から入金された紙幣を回収するときは、図2に示した入金機104の扉205を開いて紙幣収納庫304を抜取る。
図5は紙幣収納庫304の斜視図で、この図に示したように紙幣収納庫304の上端は、紙幣一時保留部303から落下する紙幣Bを受け入れるための開口部701として形成されており、この開口部701を閉じる蓋702は取手部702aを有し、この取手部702aを持って蓋702を紙幣収納庫304に設けられている蓋挿入部に挿入することによって開口部701を閉じることができ、紙幣収納庫304を入金機104から取り外すときは、蓋702を紙幣収納庫304に装着して取外す。
ここで紙幣収納庫304の密閉性について説明する。本実施例における紙幣収納庫304は、入金機104から取外すとき、運搬するとき、及び現金輸送車101に搭載された後述する紙幣格納庫に紙幣を回収するとき等に誤って蓋702が開いたり、あるいは故意に蓋702を開いて現金が取出せないような構造になっている。
すなわち、紙幣収納庫304の紙幣の出し入れは上端部の開口部701によってのみ可能になっている。この開口部701は蓋702により閉止されるが、この蓋702は紙幣収納庫304に装着しないと入金機104や、後述する現金輸送車101の紙幣格納庫906のセット台908等から紙幣収納庫304が取外せず、また紙幣収納庫304を入金機104やセット台908にセットしないと蓋702が紙幣収納庫304から取外せないようにロックする構造が採用されている。この構造については後で説明する。
図6は入金機104内に紙幣収納庫304を装着するための構造を示す斜視図で、入金機104内には紙幣収納庫304をセットする収納庫セット台1801が設けられている。同図(a)に示したように収納庫セット台1801はセットプレート部1806とこのセットプレート部1806の下部に設けられた断面コの字形のガイドプレート部1805を有し、紙幣収納庫304を入金機104に装着するときは入金機104の扉205を開き、紙幣収納庫304を破線で示した矢印1802方向にガイドプレート部1805に沿ってセットプレート部1806に突当るまで押込むものとなっている。セットプレート部1806には、蓋解除バー1803a、1803b及びその中間に位置する収納庫固定部1804が設けられており、紙幣収納庫304を収納庫セット台1801に押込むと、蓋解除バー1803a、1803b及び収納庫固定部1804が紙幣収納庫304の内部に挿入される。
また、同図(b)に示したように紙幣収納庫304のセットプレート部1806側の内壁面には蓋解除バー1803a、1803b及び収納庫固定部1804に対応する3本の中空上のガイド2101が平行に設けられ、これらのガイド2101は、紙幣収納庫304に収納される紙幣Bをガイドする機能と共に、紙幣収納庫304を収納庫セット台1801に押込んだときに紙幣収納庫304の内部に進入してくる蓋解除バー1803a、1803b及び収納庫固定部1804を保護して紙幣Bを収納するときに障害になることを防止している。また、紙幣収納庫304のセットプレート部1806側の内壁には蓋解除バー1803a、1803b及び収納庫固定部1804をそれぞれガイド2101内に出入させるための後述する窓孔が設けられている。
図7は紙幣収納庫304の蓋702をロックする構造を示す側断面図で、紙幣収納庫304の開口部701は、蓋702を矢印1902方向に挿入して装着することにより閉じることができる。蓋702の先端部には係合部702bが下方に曲折形成され、前記3本のガイド2101のうちの両側2本のガイド210内には蓋ロックレバー1901が回転可能に軸支されている。この蓋ロックレバー1901は図示しないトーションスプリング等により矢印1903方向に付勢されており、同図(a)に示したように蓋702を装着した状態では蓋ロックレバー1901の先端が蓋702の係合部702bに係合して蓋702をロックし、これにより蓋702を引抜いて取外すことができないようにしている。
紙幣収納庫304のセットプレート部1806側の内壁には蓋解除バー1803a、1803bをガイド2101内に出入させる窓孔1904が設けられ、紙幣収納庫304を紙幣ガイドプレート部1805に沿って矢印1802方向に装着すると、窓孔1904から蓋解除バー1803a、1803bがそれぞれガイド2101内に進入する。そして紙幣収納庫304をガイドプレート部1805に沿ってセットプレート部1806まで押込むと、同図(b)に示したようにガイド2101内に進入した蓋解除バー1803が蓋ロックレバー1901の後端を矢印1907方向に押上げて、蓋ロックレバー1901を回動させ、その結果、蓋ロックレバー1901の先端が蓋702の係合部702bから外れて蓋702のロックが解除される。ロックが解除された蓋702は、同図(c)に示したように矢印1908方向にスライドして引抜き、開口部701を開放することができる。
以上のように収納庫セット台1801に紙幣収納庫304を押込むことで、紙幣収納庫304の蓋702は抜取ることができる。
一方、このとき紙幣収納庫304は収納庫固定部1804により収納庫セット台1801に固定され、取外しできなくなる。次にその構造を説明する。図8は収納庫固定部1804を固定する構造を示す側断面図で、収納庫固定部1804の一側には収納庫ロックレバー2001が軸支されていて、この収納庫ロックレバー2001は図示しないトーションスプリング等により同図(a)に示したように矢印2002方向に付勢されており、そして紙幣収納庫304のセットプレート部1806側の内壁には収納庫固定部1804を中央のガイド2101内に出入させる窓孔2004が設けられている。
ここで、前記のように紙幣収納庫304がガイドプレート部1805に沿って矢印1802方向に押込まれると、収納庫固定部1804が窓孔2004からガイド2101内に進入し、その際、収納庫ロックレバー2001は窓孔2004の内面により押下げられて、矢印2005方向に回動する。そして、同図(b)に示したように紙幣収納庫304が前記のようにセットプレート部1806に突当るまで押込まれると、収納庫ロックレバー2001は紙幣収納庫304の蓋702の先端部下側に入込む。
この状態で前記のように蓋702が矢印2006方向に引抜かれると、同図(c)に示したように収納庫ロックレバー2001はトーションスプリング等により矢印2002方向に回動して紙幣収納庫304の内壁に係合し、これにより紙幣収納庫304を収納庫セット台1801から取外せないように固定する。
以上のように紙幣収納庫304を収納庫セット台1801に押込むと、紙幣収納庫304の蓋702の引抜きが可能になり、そして蓋を引抜くと同時に紙幣収納庫304が収納庫セット台1801に固定される。
紙幣収納庫304内の紙幣の回収時に蓋702を紙幣収納庫304に挿入すると、蓋702の先端により収納庫ロックレバー2001の先端が押下げられ、図8(b)のように紙幣収納庫304の内壁から収納庫ロックレバー2001が外れるので、紙幣収納庫304を収納庫セット台1801から取外し可能になり、そして紙幣収納庫304を収納庫セット台1801から取外すことにより蓋解除バー1803が紙幣収納庫304から抜かれると、図7(a)のように蓋ロックレバー1901が回動して蓋702をロックし、蓋702の抜取りが阻止される状態になる。
図9は現金輸送車101の構造を示す斜視図で、図示したように現金輸送車101の後扉901を開くと、内部は隔壁902により後方の処理室903と前方の収納室904に分けられていて、収納室904の内部には紙幣格納庫906が設置されており、紙幣格納庫906の格納口907が隔壁902からやや突出すように設けられている。また、処理室903には収納庫セット台908が格納口907と対応するように設けられており、更に隔壁902沿って移動するシャッタ909が設けられていて、操作するとき以外は格納口907等をシャッタ909で閉じることができるようになっている。
現金輸送車101が店舗103からの回収作業を完了して現金センタ102に戻ったときは、シャッタ909を開いて収納室904から紙幣格納庫906を取出し、紙幣格納庫906に格納されている紙幣を計数して入金機104毎や流通店舗毎に集計する。
図10は紙幣格納庫906と収納庫セット台908を示す斜視図で、紙幣格納庫906は図9に示した処理室903側と収納室904側とが一点鎖線で示す位置で隔壁902により仕切られ、格納口907が処理室903側で開口するようにしている。格納口907と対応するように処理室903側に配置された収納庫セット台908には紙幣収納庫304を位置決めするための凹部状の収納庫セット部1001が設けられ、紙幣収納庫304から紙幣格納庫906に紙幣を回収するときは、紙幣収納庫304を収納庫セット部1001により位置決めして収納庫セット台908にセットするものとなっている。
この収納庫セット部1001には、前記入金機104における収納庫セット台1801のセットプレート部1806に設けられている蓋解除バー1803a、1803b及び収納庫固定部1804と同様の図示しない蓋解除バー及び収納庫固定部が設けられていて、紙幣収納庫304を収納庫セット台908に押込むと、前記図7での説明と同様に蓋702のロックが解除されて引抜きが可能になり、そして蓋702を引抜くと同時に紙幣収納庫304がロックされて収納庫セット台908に固定されるものとなっている。また紙幣収納庫304に蓋702を収納庫に挿入すると、前記図8での説明と同様に紙幣収納庫304のロックが解除されて収納庫セット台908からの取外し可能になり、そして紙幣収納庫304を収納庫セット台908から取外すと蓋702がロックされて抜取りができなくなる。
図11は紙幣収納庫304を収納庫セット台908にセットした状態を示す斜視図で、紙幣収納庫304を開口部701が紙幣格納庫906の格納口907と対向するように収納庫セット台908の収納庫セット部908にセットすると、前記のように紙幣収納庫304の蓋702のロックが解除されるので、この蓋702を引抜くことで紙幣収納庫304の開口部701が開放され、同時に紙幣収納庫304を収納庫セット台908から外せないように固定される。
紙幣格納庫906内には操作レバー1101が設けられており、その操作部が紙幣格納庫906の外側に露出している。後述する構造により操作レバー1101を手前側つまり矢印1102の方向に引いた後、操作レバー1101を押し戻すことにより紙幣収納庫304から収納されている紙幣Bを一括して取出し、紙幣格納庫906に移動して回収することができるようにしている。
この場合、蓋702の取手部702aは操作レバー1101を矢印1102方向に引くときにその通過を妨害する位置にあって、蓋702を抜かないと操作レバー1101が矢印1102方向に引けない構造とし、これにより蓋702を抜き忘れたまま、操作レバー1101を引くという誤操作を防止するようにしており、また操作レバー1101を戻さないと蓋702を紙幣収納庫304に装着することができず、紙幣収納庫304は収納庫セット台から外せないので、操作レバー1101により紙幣Bを移動している途中で紙幣回収庫304を取外してしまうという誤操作を防止できるものとなっている。
図12は紙幣回収システムの実施例を示す概略側断面図で、前記のように紙幣収納庫304は開口部701が紙幣格納庫906の格納口907と対向するように収納庫セット台908から外せないように固定されており、紙幣収納庫304の格納口907の上端には集積板挿入窓1203が設けられている。
ここで、紙幣格納庫906にはすでに別の入金機の紙幣格納庫906から回収した紙幣Baが収納され、紙幣Baはその回収単位毎に集積板503a、503bにより区分けされている。これらの紙幣Baと集積板503a、503bは紙幣格納庫906内に設けられたバックアップ機構1201により格納口907方向に押圧され、最後に格納された集積板503aが常に格納口907を閉塞するようになっている。
前記のように蓋702を引き抜くと、紙幣収納庫304の開口部701が開放されると共に、操作レバー1101を操作して紙幣収納庫304の紙幣Bを紙幣格納庫906に移動することができるようになる。
この操作レバー1101には紙幣格納庫906に位置する紙幣回収部1202(図15参照)が取り付けられており、操作レバー1101を操作することにより紙幣回収部1202が紙幣格納庫906の内部から紙幣収納庫304の内部に移動し、紙幣収納庫304内にある集積板503を引掛ける構造となっている。
また、操作レバー1101には紙幣格納庫906に位置する紙幣支え部1205が設けられていて、紙幣収納庫304から紙幣格納庫906に紙幣Bを移動するとき、紙幣支え部1205により紙幣格納庫906の格納口907等に紙幣Bが引掛らないように紙幣Bを支える構造となっている。この紙幣支え部1205については後で詳細に説明する。
上述した構成による実施例の作用を説明する。図13及び図14は紙幣収納庫304の紙幣Bを紙幣格納庫906に回収する手順を示す概略側断面図である。図13(a)に示したように操作レバー1101を矢印1102方向に移動させて紙幣回収部1202を紙幣収納庫304の内部に進入させ、紙幣収納庫304の最も奥に到達させた後、同図(b)に示したように操作レバー1101を戻して行く。紙幣回収部1202が集積板503の位置まで戻ると、紙幣回収部1202が集積板503に引掛るので、更に操作レバー1101を同図(c)に示したように初期位置まで戻すと、紙幣回収部1202は集積板503を引っかけたままその前方にある紙幣Bと一緒に紙幣格納庫906内に移動させて収納するが、このとき紙幣Bの下端部は紙幣支え部1205により支えられて紙幣収納庫304から紙幣格納庫906内にスムーズに移動する。
このようにして紙幣Bを集積板503と共に紙幣格納庫906内にスムーズに移動させると、このときすでに紙幣格納庫906に収納されている紙幣Baと集積板503a、503bは紙幣Bによりさらに紙幣格納庫906内部の奥に押込まれ、これによりバックアップ機構1201は連動して収縮し、紙幣B、集積板503が紙幣格納庫906に回収されるが、このとき紙幣収納庫304のバックアップ板504は集積板503と連結されているので、集積板503と共に紙幣回収部1202により開口部701側に移動する。
図14(a)に示したようにこの格納口907の上端には集積板挿入窓1203が設けられていて、この集積板挿入窓1203からは新しい集積板503cを集積板503とバックアップ板504との間に挿入することができるので、前記のように集積板503とバックアップ板504が紙幣格納庫906に収納されたら、集積板挿入窓1203から新しい集積板503cを矢印1204に沿って集積板503とバックアップ板504との間に挿入すると、この集積板503cにより集積板503とバックアップ板504との連結が解除されると共に、新たに集積板503cがバックアップ板504に連結される。
こうして集積板503との連結が解除され、新たに集積板503cと連結したバックアップ板504は、同図(b)に示したようにバックアップ板位置調整機構505により紙幣収納庫304の内部に引き戻され、同時に集積板503cも紙幣収納庫304内に収納される。
以上のようにして、紙幣収納庫304から紙幣格納庫906への紙幣Bの移動、回収が完了した後、同図(c)に示したように紙幣収納庫304に蓋702を装着すると、紙幣収納庫304のロックが解除されるので、紙幣収納庫304を収納庫セット台908から取り外す。取り外した紙幣収納庫304は、一旦現金輸送車101の処理室903内に保管され、現金輸送車101が次の店舗103を訪問し、その店舗103に設置してある入金機104から現金を回収する際、その入金機104の紙幣収納庫304と交換される。これにより1個の紙幣収納庫304を現金輸送車101に搭載するだけで各店舗103の入金機104から順次紙幣の回収を行うことができる。
図15は紙幣支え部1205の詳細を説明するための要部斜視図であり、紙幣支え部1205は前記のように紙幣格納庫906に紙幣を移動するとき、紙幣Bを支えて紙幣格納庫906の入口等に引掛からないようにするために設けられていることは既に説明した通りである。
この図15に示したように紙幣収納庫304を収納庫セット台908にセットしたとき、紙幣収納庫304に収納されている紙幣Bは紙幣収納庫304内に設けられている3本の平行なガイド2101とバックアップ板504に連結された集積板503により保持されており、この3本の平行なガイド2101と端面が対向するように紙幣格納庫906の底面2102は3つに分割されており、これにより形成されるレール状部分の間に紙幣支え部1205が配置されている。
また、操作レバー1101は操作部と反対側の端部が枠状に形成され、この枠状部分の下部がレール状部分に設けられた長孔に移動自在に配置されていて、この枠状部分の下部に紙幣支え部1205の下面が取付けられている。一方、紙幣回収部1202は紙幣収納庫304の奥に進入した後、集積板503を引掛けて紙幣格納庫906の内部に戻るように移動させるため、前記枠状部分の両側部から格納口907側に突出するように設けられている。
そこで図15(a)に示した状態において、操作レバー1101を矢印1102方向(図13(a)参照)に引くと、図15(b)に示したように紙幣支え部1205が紙幣収納庫304内の3本のガイド2101間に進入して紙幣Bの下側に入込む。
次に操作レバー1101を矢印1102(図13(c)参照)のように戻すとき、紙幣Bの下側に進入した紙幣支え部1205は集積板503、バックアップ板504、及び紙幣Bと共に紙幣格納庫906側に移動する。このとき、紙幣収納庫304のガイド2101、紙幣支え部1205、紙幣格納庫906の底面2102は順次高さが低くなるように配置されており、紙幣Bの移動に伴って、紙幣Bが側壁から紙幣支え部1205、底面2102と順に下方にずれながらスムーズに移動することができ、これにより紙幣Bが移動するとき紙幣格納庫906の格納口907に引掛って脱落することを防止することができる。
次に、実施例の主要部の詳細について説明する。
図16は集積板503の斜視図で、この集積板503の中央部には短手方向の切欠部を設けて、その切欠部の突当たり面にバックアップ板504に連結させるための連結部1506を形成すると共に、両側部に長手方向の切欠部を設けてその切欠部の対向面に係合部1602a、1602bを形成した構造として、紙幣収納庫304から紙幣Bと集積板503を引出すとき、操作レバー1101の紙幣回収部1202が係合部1602a、1602bに係合するものとなっている。また集積板503の一部には、入金機104を特定するための識別情報としてバーコード1401が貼付けられており、このバーコードを現金センタ102等に登録することで、紙幣を回収した入金機104を特定することが可能になる。
但し、本実施例では紙幣収納庫304から紙幣を回収した後、その紙幣収納庫304を次の店舗の入金機104の紙幣収納庫304と交換することを想定しているので、前記のように紙幣回収時に装着する集積板503は次の店舗の入金機104を特定するバーコード1401を貼付けたものとする。
図17は紙幣収納庫304の内部構造の詳細を示す側断面図で、この図では集積板503をバックアップ板504に連結保持する状態を説明するために集積板503を図16のX−X断面で示している。
紙幣Bはバックアップ板504に連結保持された集積板503と、紙幣収納庫304の開口部701付近に回動可能に設けられた紙幣押え爪1501a、1501bとにより保持されている。すなわちバックアップ板504はバックアップ板位置調整機構505により、紙幣Bを紙幣押え爪1501a、1501bの方向に押圧し、紙幣Bの整列した状態を保っている。紙幣押え爪1501a、1501bは矢印1502a、1502bで示したように集積板503側に回動可能となっており、開口部701から紙幣Bを挿入する方向には回転して挿入可能となるが、紙幣Bを取出す方向には紙幣Bを抑えて阻止する。この紙幣押え爪1501a、1501bは図示しないトーションスプリング等により矢印1502a、1502b方向と逆の方向に付勢されている。
バックアップ板504はスプリング1503a、1503bによりバックアップ板位置調整機構505と接続されており、バックアップ板504には集積板503を連結する連結軸1504が設けられその先端に形成された爪部が集積板503の連結部1506を引掛けて集積板503を連結保持している。この連結軸1504はバックアップ板504の中央部に設けられた透孔を貫通するように配置されていて、スプリング1505によってバックアップ板位置調整機構505側に付勢され、開口部701方向に移動可能となっている。また連結軸1504は長手方向の所定箇所で曲折できるようになっていて、バックアップ板504の透孔の内壁に圧接する板バネ等により直線状態を保持している。
図18は紙幣格納庫906の紙幣回収部1202の構造と紙幣収納庫304との関係を示す側断面図で、この第18図では集積板503を紙幣回収部1202により引出す手順を説明するために集積板503を図16のY−Y断面で示している。
紙幣回収部1202の先端部には集積板503と共に紙幣Bを紙幣収納庫304から引出すための引出し爪1601a、1601bが矢印1603a、1603bで示したように集積板503と逆側の方向に回動可能に取付けられており、この引出し爪1601a、1601bは図示しないトーションスプリング等により矢印1603a、1603b方向と逆の方向に付勢されている。また、紙幣回収部1202の先端部上下には紙幣押え爪1501a、1501bを押圧して回動させるための押圧部1604a、1604bが形成されている。
図19〜図27は上述した実施例の主要部による紙幣回収時の動作を示す側断面図で、これらの図により前記のように紙幣回収部1202が取付けられている操作レバー1101を操作して紙幣回収部1202により集積板503の係合部1602a、1602bを引っかけて紙幣格納庫906内に格納するまでの手順を説明する。尚、図19〜図22では集積板503を図16のY−Y断面で示して説明を行う。
操作レバー1101を矢印1102(図13参照)方向に操作すると、紙幣回収部1202が図19に示したように矢印1605方向に紙幣収納庫304の開口部701から進入して、押圧部1604a、1604bにより紙幣押え爪1501a、1501bを矢印1502a、1502b方向に回動させ、紙幣押え爪1501a、1501bから紙幣Bを開放する。
そして紙幣回収部1202が更に進入すると、図20に示したように紙幣回収部1202の引出し爪1601a、1601bが集積板503の係合部1602a、1602bに当たって矢印1603a、1603b方向に回動し、これにより引出し爪1601a、1601bが係合部1602a、1602bを通過する。その後、紙幣回収部1202を紙幣収納庫304の最も奥まで進入させてから(図13参照)、操作レバー1101を戻す操作をして図21に示したように紙幣回収部1202を矢印1605a方向に移動させると、紙幣回収部1202の引出し爪1601a、1601bが集積板503の係合部1602a、1602bに係合する。
ここからさらに矢印1605a方向に紙幣回収部1202を移動させると、図22に示したように引出し爪1601a、1601bにより集積板503と共に紙幣Bが開口部701側に引出され、同時に集積板503は連結しているバックアップ板504を引出し、バックアップ板504はバックアップ板位置調整機構505を開口部701方向に引伸ばす。そして、更に紙幣回収部1202を矢印1605aの方向に移動させると、バックアップ板位置調整機構505は、紙幣収納庫304内の所定の位置で停止し、それ以降はバックアップ板504と接続したスプリング1503a、1503bが開口部701方向に伸長し、これによって紙幣回収部1202が紙幣格納庫906の初期位置まで戻された状態となる。すなわち、集積板503は紙幣Bと共に紙幣収納庫304の開口部701から引出され、そして紙幣Bは紙幣格納庫906に既に回収されている集積板503aに突当った後、更に紙幣回収部1202の移動により集積板503と共に紙幣格納庫906内に押込まれる。
このように紙幣回収部1202を紙幣格納庫906の初期位置まで戻した後、図23に示したように新しい集積板503cを集積板挿入窓1203から集積板503とバックアップ板504との間に矢印1606方向に挿入すると、集積板503cは集積板503を矢印1605aで示したように紙幣格納庫906内に更に押込みながら進入する。このとき、バックアップ板504の連結軸1504はスプリング1505を収縮させながら集積板503と共に矢印1605a方向に移動する。
そして、更に集積板503を矢印1606方向に挿入すると、図24に示したように集積板503cは連結軸1504を連結部1506で押し下げ、連結軸1504の先端部側を矢印1608で示したように下方に回動させて連結軸1504を集積板503から切り離す。集積板503から切り離された連結軸1504は、スプリング1505の力で引き戻され、図25に示したようにこのとき連結軸1504は矢印1609方向に回動して戻り、連結軸1504の先端の爪部が集積板503cの連結部1506に引掛かって係合し、これにより集積板503cはバックアップ板504に連結保持され、図26に示したようにバックアップ板504と共にスプリング1503a、1503bにより紙幣収納庫304内に引込まれる。
以上で、紙幣収納庫304から紙幣格納庫906に集積板503と共に紙幣Bを回収する処理が完了するが、回収された集積板503により格納口907を塞いでその奥の紙幣Bが紙幣格納庫906の外部に落ちることを防止するために集積板503を確実に紙幣格納庫906に係止する必要がある。
図27は紙幣格納庫906内の集積板503を係止する構造を示す側断面図で、紙幣格納庫906内の格納口907近傍の側壁(本図手前側と奥側)には矢印1702a、1702bで示すように回収された紙幣側に回動できるように集積板係止爪1701a、1701bが設けられており、これらの集積板係止爪1701a、1701bは図示しないトーションスプリング等により矢印1072a、1702b方向と逆の方向に付勢されている。
前記図23で説明したように新しい集積板503cを集積板503とバックアップ板504との間に挿入することで集積板503が矢印1605方向に移動するとき、集積板503の係合部1602a、1602bにより集積板係止爪1701a、1701bが押されて矢印1702a、1702b方向に回動し、係合部1602a、1602bが通過すると、集積板係止爪1701a、1701bは係合部1602a、1602bに引掛かって係合する。これにより集積板503は格納口907を閉塞するように係止されるため、紙幣格納庫906内のバックアップ機構1201の押圧力によって紙幣Bおよび集積板503が紙幣格納庫906の外に飛び出すことを防止し、更に次の回収の際、紙幣回収部1202の引出し爪1601a、1601bが係合部1602a、1602bから離れても集積板503は格納口907に係止保持される。
以上説明した実施例によれば入金機から取外した紙幣収納庫を現金輸送車に搭載された収納庫セット台にセットし、操作レバーの簡単な操作で紙幣収納庫から現金輸送車の紙幣格納庫に一括して紙幣を短時間に移し替えて回収することができるため、回収処理に時間がかからず、効率よく紙幣の回収を行うことができるという効果が得られる。
また、紙幣を回収した紙幣収納庫を次の入金機の回収で使用することができるので、最初に交換する1個の紙幣収納庫だけを現金輸送車に搭載するだけで巡回することができ、1回の出動で多数の入金機から紙幣を回収することが可能となる。
また、紙幣収納庫から紙幣を取り出すとき、紙幣収納庫の底部に配置した集積板ごと取り出すので、紙幣収納庫の中の紙幣を取り残して次の入金機にセットしてしまう等の事故を防止することができ、更に紙幣収納庫から紙幣格納庫に紙幣を回収するとき、回収する紙幣と集積板とを同時に紙幣格納庫に移し替えるので、今回回収する紙幣が、既に紙幣格納庫に回収されている紙幣や、後から紙幣格納庫に格納される紙幣と混ざることも防止することができる。そのため、店舗の巡回が終わって現金センタに戻り、回収した現金を精算するとき、各入金機毎の切り分けが確実にできる。
また、紙幣収納庫から紙幣と共に集積板を紙幣格納庫に格納したとき、新しい集積板を装着することと連動して集積板が紙幣収納庫から外れるようにしたので、移し替えの途中で誤って紙幣収納庫を外してしまったり、一部の紙幣だけを移し替えて、残りを紙幣収納庫に戻してしまうことを防止することができる。
更にまた、集積板には入金機を特定するバーコードを貼り付け、これを事前に登録するようにしているため、回収した紙幣がどの入金機のものかを特定することができる。
尚、上述した実施例では、流通店舗に設置される入金機の場合を説明したが、入金機に限らず、釣銭準備金の出金と売上金の入金を1台で行う入出金機から現金を回収する場合にも適用でき、更に現金を取扱う装置から紙幣を回収するシステムであれば、例えば、金融機関に設置されるATMから現金を回収する場合にも応用できる。
前記バーコードを貼り付ける代わりに、区分するための情報が読み出せる媒体であれば、例えば、OCR文字やICタグ、磁気カードを用いることができる。
また、上述した実施例では、バックアップ板504に設けた連結軸1504の爪部が集積板503の連結部1506を引掛けて集積板503を連結保持するものとしたが、集積板503に回動可能な爪を設け、この爪が係合する係合部を連結軸1504に設けるものとしてもよい。
また、上述した実施例では、操作レバー1101に取り付けられた紙幣回収部1202の先端部に、集積板503と共に紙幣Bを紙幣収納庫304から引出すための回転可能な引出し爪1601a、1601bを設けるものとしたが、このような回転可能な引出し爪1601a、1601bに代えて、ドアノブに使用されているような横方向にスライドする引出し爪を紙幣回収部1202に設けると共に、この横方向にスライドする引出し爪と係合する係合部を集積板503に設けてもよく、また引出し爪と係合部の変わりにローラキャッチやボールキャッチのような構造を備えることも可能である。
更に、紙幣格納庫906や収納庫セット台1801を現金輸送車101に搭載せず、現金センタ102に設置すれば、紙幣収納庫304から紙幣をワンタッチで取出せるという効果がえられる。