本発明においては、段ボール製の箱体で、内側に中芯が露出して設けられた箱体を製造するための段ボールシートで、底部が組立式であっても底部の強度を十分得ることができ、製造コストも抑えることができる段ボールシートと、該段ボールシートにより得られる箱体と、該段ボールシートの製造方法を提供するという目的を以下のようにして実現した。
本発明に基づく段ボールシート10は、図1に示すように、全体に方形状のシート状を呈し、方形状のライナー(第1ライナー)12と、ライナー12の一方の面に接着された方形状の(「方形状の外形を有する」としてもよい)中芯14と、中芯14のライナー12が接着された面とは反対側の面に接着された方形状のライナー(第2ライナー)16とを有している。なお、図1において、Y1−Y2方向は、X1−X2方向に直角な方向である。
ここで、ライナー12とライナー16とは、紙製の板状のシート材である。また、中芯14は、断面波形形状のシート材であり、紙製の板状のシート材を断面略波形形状に形成したものである。なお、図1において、中芯14の段の方向(略波形形状における段の方向)(中芯14に形成されている溝部の方向)は、縦方向(Y1−Y2方向)に形成されている。
ライナー12の平面視における形状及び大きさは、中芯14の平面視における形状及び大きさと同一(略同一としてもよい)であり、ライナー12と中芯14とはともに横方向の長さがaで縦方向の長さb1で同一(略同一としてもよい)となっている。また、ライナー12と中芯14とは、ライナー12の各辺部12a、12b、12c、12dと中芯14における対応する各辺部14a、14b、14c、14dとが一致(略一致としてもよい)するように接着されている。つまり、平面視において、辺部12aは辺部14aと一致し、辺部12bは辺部14bと一致し、辺部12cは辺部14cと一致し、辺部12dは辺部14dと一致している。なお、ライナー12と中芯14とで、片面段ボール11を構成する。
一方、ライナー16は、横方向の長さはaでライナー12や中芯14の横方向の長さと同一(略同一としてもよい)であるものの、縦方向の長さb2は、ライナー12と中芯14の縦方向の長さb1よりも短く形成されている。つまり、長さb2<長さb1となっていて、長さb2は、長さb1の約半分となっている。
また、ライナー16の中芯14の段の方向(Y1−Y2方向)と直角の方向(X1−X2方向)の辺部16aは、中芯14における芯14の段の方向(Y1−Y2方向)と直角の方向(X1−X2向)の辺部14aと一致(略一致としてもよい)して形成され、これにより、中芯14においてライナー16が形成されていない領域、つまり、ライナー16の辺部16bと中芯14の辺部14b間には、中芯14が露出した状態となっている。なお、ライナー16は、ライナー16における左右両側の2つの辺部16c、16dも、中芯14における対応する辺部14c、14dと一致(略一致としてもよい)するように中芯14に接着されている。つまり、辺部16cは辺部14cと一致し、辺部16dは辺部14dと一致する。また、辺部16bの方向は、中芯14の段の方向と直角の方向である。ここで、辺部16aは、一方の横方向の辺部(一対の横方向の辺部における一方の横方向の辺部)に当たり、辺部16bは、他方の横方向の辺部(一対の横方向の辺部における他方の横方向の辺部)に当たる。
つまり、段ボールシート10において、ライナー16が設けられている領域R1は両面段ボールであり、ライナー16が設けられていない領域R2は片面段ボールとなっている。以上のように、段ボールシート10においては、両面段ボールにおいて、一方のライナー16の幅が他方のライナー12の幅よりも短く形成され、中芯14における段の方向における一方の側(Y1側)に偏って接着されて、他方の側には中芯14が露出した構成となっている。なお、段ボールシート10の大きさ、中芯14における段の数、中芯14における段の高さや単位長さ当たりの段の数は任意であり、中芯14の段高や段数としては、例えば、Eフルート、Fフルート、Gフルート等のものが挙げられる。
上記構成の段ボールシート10の製造方法について説明する。段ボールシート10を製造するための製造装置20は、図2、図3に示すように構成され、ライナー用の原紙が巻回されたライナー原紙22と、中芯用の原紙が巻回された中芯原紙24と、ライナー用の原紙が巻回されたライナー原紙26と、一対の段付きロール30、32と、糊付け装置34と、圧着ロール36と、一対の圧着ロール40、42と、糊付け装置44と、糊付け装置44の糊付けロール44bと隙間を介して対向した圧着ロール46と、一対の圧着ロール48、50とを有している。
ここで、ライナー原紙22は、ライナー12を製造するための原紙であり、中芯原紙24は、中芯14を製造するための原紙であり、ライナー原紙26は、ライナー16を製造するための原紙である。ライナー原紙22の幅と中芯原紙24の幅は同一(略同一としてもよい)に形成されているが、ライナー原紙26の幅は、ライナー原紙22や中芯原紙24の幅よりも小さく形成され、略半分の幅に形成されている。
また、一対の段付きロール30、32の外周面は山部と谷部とが交互に形成された波状形状に形成され、一対の段付きロール30、32における外周面においては、一方の山部と他方の谷部とが隙間を介して互いに噛み合い、段付きロール30の外周面と段付きロール32の外周面の間の隙間にライナー原紙を通過させることによってライナー原紙24が断面略波形形状の中芯形状に形成される。
また、糊付け装置34は、糊液(接着剤)が入れられた糊皿34aと、段付きロール32と対向し、糊皿34a内の糊液を転移させる糊付けロール34bとを有している。糊付けロール34bは、その表面が糊皿34aの糊液に接触している。この糊付け装置34により、中芯形状に形成された段の頂部に糊が塗布される。
また、圧着ロール36は、段付きロール32と隙間を介して対向し、段の頂部に糊が塗布された中芯原紙24とライナー原紙22とを接着する。
段付きロール30、32と、糊付けロール34bと、圧着ロール36は、片面段ボールシートを形成するシングルフェーサを構成するが、各ロールの回転軸は互いに平行に形成されている。なお、段付きロール32は、中芯原紙24との密着性が必要となるため、段付きロール32には、ノズル吸引方式等の中芯原紙を密着させる構成が付加される。
また、一対の圧着ロール40、42は、段付きロール32や圧着ロール36の原紙移送方向の下流側に設けられ、一対の圧着ロール40、42は、互いに間隔を介して対向して設けられ、それらの回転軸は互いに平行に設けられている。
また、糊付け装置44と圧着ロール46は、圧着ロール40、42の原紙移送方向の下流側に設けられ、糊付け装置44は、糊液(接着剤)が入れられた糊皿44aと、圧着ロール46と対向し、糊皿44a内の糊液を転移させる糊付けロール44bとを有している。糊付けロール44bは、その表面が糊皿44aの糊液に接触している。この糊付け装置44により、中芯形状に形成された段の頂部に糊が塗布される。また、圧着ロール46と糊付けロール44bとは間隔を介して対向し、それらの回転軸は互いに平行に設けられている。
なお、糊付けロール44bの外周面の軸線方向の長さ44bL(つまり、中芯原紙24に対して糊付けを行なう部分の軸線方向の長さ)は、ライナー原紙26の幅と同一(略同一としてもよい)に形成され、中芯原紙24にライナー原紙26が接触する領域のみに糊付けされるように形成されている。この糊付け装置44と圧着ロール46とは、グルーイングマシンを構成する。
また、一対の圧着ロール48、50は、糊付け装置44と圧着ロール46の原紙移送方向の下流側に設けられ、圧着ロール48、50は、互いに間隔を介して対向して設けられ、それらの回転軸は互いに平行に設けられている。一対の圧着ロール48、50により、中芯形状の中芯原紙24とライナー原紙26とが圧着することにより中芯原紙24とライナー原紙26とが接着されて、ライナー原紙22と中芯原紙24とライナー原紙26とが接着された帯状の段ボールシートが形成される。なお、ライナー原紙26と中芯原紙24の接着に当たっては、ライナー原紙26の長手方向の一方の辺部と中芯原紙24の長手方向の一方の辺部とを一致させて接着する。つまり、ライナー原紙26を中芯原紙24の幅方向の一方の側に偏った位置に接着させる。この圧着ロール48、50は、ダブルフェーサを構成する。
また、圧着ロール48、50の原紙移送方向の下流側には、帯状の段ボールシートを切断する切断装置(カッタ)(図示せず)が設けられ、該切断装置の下流側には所定の長さに切断された段ボールシートを積み上げるスタッカ(図示せず)が設けられる。
上記の構成の製造装置20においては、以下のような方法で段ボールシート10が製造される。つまり、段付きロール30、32により中芯原紙24が断面略波形形状に形成された後に、中芯原紙24に糊付け装置34により糊が塗布され、圧着ロール36及び段付きロール32と圧着ロール40、42により中芯原紙24とライナー原紙22が接着され(第1接着工程)、さらに、糊付け装置44により中芯原紙24のライナー原紙22側とは反対側に糊が塗布され(接着剤塗布工程)、圧着ロール48、50によりライナー原紙26と中芯原紙24とが圧着されて(圧着工程)、ライナー原紙26と中芯原紙24とが接着される(第2接着工程)。その後、切断装置により所定の長さに切断され(切断工程)、スタッカにより切断された段ボールシートが積み上げられる。この積み上げられた段ボールシートが図1に示す段ボールシート10に当たる。以上のようにして、段ボールシート10が製造される。
次に、段ボールシート10を使用した包装箱について説明する。包装箱(箱体)Pは、図4〜図6に示すように構成され、側面を形成するスリーブ状部105と、スリーブ状部105の下端から連設された底面部150と、背面部140の上端から連設された蓋部196と、蓋部196の先端から連設された差込み部198とを有している。包装箱Pは、上記構成の段ボールシート10により形成されている。
スリーブ状部105は、組立て状態では、底面部150の周囲から立設して形成され、正面部(第3側面部)110と、側面部(第2側面部)120と、側面部(第4側面部)130と、背面部(第1側面部)140と、糊代部142とを有している。
正面部110は、包装箱Pの正面を構成し、方形状(具体的には、長方形状)を呈している。
また、側面部120は、包装箱Pの右側面を構成し、包装箱Pの正面視における右側(右側面側)の辺部から折れ線を介して連設され、方形状(具体的には、長方形状)を呈している。
また、側面部130は、包装箱Pの左側面を構成し、包装箱Pの正面視における左側(左側面側)の辺部から折れ線を介して連設され、方形状(具体的には、長方形状)を呈し、側面部120と同大同形状に形成されている。
また、背面部140は、包装箱Pの背面を形成し、側面部130の背面側の辺部から折れ線を介して連設され、正面部110と同大同形状に形成されている。
また、糊代部142は、背面部140の右側面側の辺部から折れ線を介して連設され、縦方向に細長の帯状台形形状を呈している。糊代部142は、図4に示すように、その外側の面が側面部120の内側の面に接着されている。
ここで、スリーブ状部105は、内側の面の一部に中芯14が露出して形成されている。つまり、スリーブ状部105の下端から上方に形成された下側領域R11が、ライナー12と中芯14とライナー16により形成された両面段ボールにより形成され、スリーブ状部105の上端から下方に形成された上側領域R12が、ライナー12と中芯14により形成された片面段ボールにより形成され、下側領域R11と上側領域R12とがスリーブ状部105の上下方向の途中位置(上下方向の中心やや下側)の位置で隣接している。スリーブ状部105において、ライナー16の上辺16bは、スリーブ状部105の下辺と平行に形成されている。これにより、正面部110と側面部120、130と背面部140と糊代部142は、いずれも、両面段ボールにより形成された下側領域と片面段ボールにより形成された上側領域とを有している。また、スリーブ状部105において、片面段ボールの領域の中芯の段の方向は、縦方向となっていて、スリーブ状部105の下辺の方向に対して直角となっている。図6におけるライナー16の辺部16bは、図1におけるライナー16の辺部16bに当たる。
また、蓋部196と差込み部198は、スリーブ状部105の上端を被覆するものであり、蓋部196は、方形状(具体的には、長方形状)を呈し、背面部140から連設された辺部と該辺部と相対する辺部が、背面部140の横幅と同一の長さを有し、背面部140から連設された辺部に隣接する一対の辺部は、側面部120、130の上辺の長さと同一の長さを有している。また、差込み部198は、横長の略台形形状を有し、その横幅は、正面部110の内側に差込み可能な長さを有している。
ここで、蓋部196と差込み部198は、内側の面に中芯14が露出した片面段ボールにより構成されている。つまり、蓋部196と差込み部198は、外側の面を構成するライナー12と内側の面を構成する中芯14とから構成されている。
また、底面部150は、第1片部(底面部第2片部)160と、第2片部(底面部第3片部)170と、第3片部(底面部第1片部)180と、第4片部(底面部第4片部)190とを有し、包装箱Pの組立て状態においては、図5に示すように、略方形状を呈している。この底面部150は、いわゆるワンタッチ底組式(ワンタッチ底)と呼ばれるものである。
ここで、第1片部160は、正面部110の下端から直線状の折れ線を介して連設され、略長方形状に形成され、第1片部160の上面の一部が包装箱Pの内底面の一部を形成している。また、第1片部160の角部(正面部110と側面部120の境界位置の角部)からは第1片部160の正面部110との境界をなす辺部に対して斜めに所定間隔で切込みが形成された(つまり、折曲しやすいように切込みが形成されている)折れ線160−1(この折れ線160−1は、上面側が山折れ線となっている)が形成され、包装箱Pを折り畳む際に、容易に折り畳むことができるようになっている。第1片部160は、折れ線160−1を介して本体部162と先端部(第1端部領域)164とに区画される。本体部162の先端の先端部164側には、他方の本体部192と互いに係止するように切欠部162aが形成されている。包装箱Pの組立て状態において、先端部164の上面は、第2片部170の下面に接着されている。
また、第2片部170は、側面部120の下端から直線状の折れ線を介して連設され、先端側にいくほど幅狭となる略台形形状に形成され、その上面の一部が包装箱Pの内底面の一部を形成している。
また、第3片部180は、側面部130の下端から直線状の折れ線を介して連設され、先端側にいくほど幅狭となる略台形形状に形成され、その上面の一部が包装箱Pの内底面の一部を形成している。この第3片部180は、底面部150の組立て状態においては、第2片部170と点対称に形成され、包装箱Pの展開状態においては、第2辺部170と同一形状に形成されている。
また、第4片部190は、背面部140の下端から直線状の折れ線を介して連設され、底面部150の組立て状態においては、第1片部160と点対称に形成され、包装箱Pの展開状態においては、第1辺部160と同一形状に形成されている。すなわち、第4片部190は、背面部140の下端から折れ線を介して連設され、略長方形状に形成され、第4片部190の上面の一部が包装箱Pの内底面の一部を形成している。また、第4片部190の角部(背面部140と側面部130の境界位置の角部)からは第4片部190の背面部140との境界をなす辺部に対して斜めに所定間隔で切込みが形成された(つまり、折曲しやすいように切込みが形成されている)折れ線190−1(この折れ線190−1は、上面側が山折れ線となっている)が形成され、包装箱Pを折り畳む際に、容易に折り畳むことができるようになっている。第4片部190は、折れ線190−1を介して本体部192と先端部(第2端部領域)194とに区画される。本体部192の先端の先端部194側には、他方の本体部162と互いに係止するように切欠部192aが形成されている。包装箱Pの組立て状態において、先端部194の上面は、第3片部180の下面に接着されている。
ここで、底面部150を構成する第1片部160と第2片部170と第3片部180と第4片部190とは、ともに両面段ボールにより形成されている。つまり、底面部150は、包装箱Pを組み立てた際に外側の面となるライナー12と、内側の面となるライナー16と、ライナー12とライナー16とにより挟設された中芯14とから構成されている。
以上のように、底面部150とスリーブ状部105の底面部150側の領域が両面段ボールにより形成され、スリーブ状部105の両面段ボールで形成された領域以外の領域が片面段ボールにより形成され、中芯14がスリーブ状部105の内側の面に形成され、中芯14における段の方向が縦方向に形成されている。
包装箱Pの製造に当たっては、段ボールシート10を図6に示す展開状態に形成して、展開状態の段ボールシート10を組み立てることにより包装箱Pを製造する。なお、展開状態の包装箱Pを製造するに当たっては、段ボールシート10をスリーブ状部105の上下方向の途中位置に下側領域R11と上側領域R12の境界位置(すなわち、ライナー16の上辺16b)があるように型抜き加工(トムソン加工)して形成する。
上記構成の包装箱Pは、スリーブ状部105と底面部150とにより構成される収納空間に被収納物を収納して使用するが、スリーブ状部105の内面の上側には中芯14が露出し、中芯14の段の方向が縦方向に形成されているので、この中芯14が内部に収納した被収納物に接触して、被収納物の滑り止めとすることができ(特に、段の方向が縦方向なので、横方向への滑り止めに特に効果がある)、被収納部の陳列・保管や運搬に際して、収納された被収納物が倒れるのを防止することができる。
また、スリーブ状部105の下側部分と底面部150は、両面段ボールにより形成されているので、包装箱Pの底部の強度を十分得ることができ、特に、底面部が組立て式であっても強度を十分得ることができ、被収納物の重みで底が抜けてしまうおそれがない。また、底面部150のみが両面段ボールにより形成されている場合には、特に、スリーブ状部105と底面部150の境界位置の強度が十分とならないおそれがあるが、スリーブ状部105の下側部分も両面段ボールにより形成されているので、該境界位置の強度も十分となり、箱体全体としての強度も十分得ることができる。
また、包装箱Pを構成する段ボールシート10は、ライナー12と中芯14とライナー16の三層に形成されているので、製造コストを抑えることが可能となる。つまり、特許文献2のように両面段ボールの一方の面にさらに中芯を設ける場合に比べて、製造コストを抑えることが可能となる。
次に、段ボールシート10を使用した包装箱の他の例について説明する。包装箱(箱体)Qは、図7〜図12等に示すように構成され、内箱部A1と、外箱部A2とを有していて、それぞれが1枚のシート状のブランク(具体的には、紙製のブランク)により形成されており、具体的には、内箱部A1は、上記構成の段ボールシート10により形成され、外箱部A2は、両面段ボールにより形成されている。なお、外箱部A2は、厚紙等の他の紙製のブランクにより形成してもよい。
内箱部A1は、全体に上部が開口した容器状を呈し、図10、図12等に示すように、スリーブ状部(内側スリーブ状部)205と、底面部250とを有している。スリーブ状部205は、組立て状態では、底面部250の周囲から立設して形成され、正面部(第3内箱部側面部)210と、側面部(第2内箱部側面部、分離部形成内箱部側面部)220と、側面部(第4内箱部側面部、分離部形成内箱部側面部)230と、背面部(第1内箱部側面部)240と、糊代部(内箱部糊代部)242とを有していて、その展開状態は、図12に示すように形成されている。
ここで、正面部210は、内箱部A1の正面を形成し、方形状(具体的には、横長長方形状)を呈している。
また、側面部220は、正面部210の正面視における右側(右側面側)の端部から直線状の折れ線C3を介して連設されている。この側面部220は、本体部222と、分離部224とを有している。
ここで、側面部220の下端領域の一部に切目線(切断予定線)225により区画することにより分離部224が形成されている。本体部222は、側面部220における分離部224を除いた領域となる。
すなわち、側面部220は、方形状の正面側上部の角部を斜めに欠切するとともに、分離部224の下端位置に方形状の切欠部K32bを形成した形状を呈し、その正面側の上端は、正面部210の上端と接し、背面側の上端は、背面部240の上端と接している。
切目線225は、側面部220の下辺から上方に形成された略円弧状のミシン目(切断予定線)225aと、ミシン目225aの上端から横方向に形成された直線状の切込み225bと、切込み225bのミシン目225a側とは反対側の端部から下方に側面部220の下端まで形成された略円弧状のミシン目(切断予定線)225cとを有し、切目線225は、全体に略コ字状を呈している。ミシン目225aとミシン目225cは、略円弧状を呈するが、ともに外側に膨出した形状となっている。分離部224の下端には、切欠部K32bが形成されている。
この分離部224の形成位置は、外箱部A2の片部326の裏側の領域であり、分離部224は片部326の裏側に接着され、片部326を上側に回動させることにより、分離部224も片部326の裏側に接着したまま切目線225が破断されて、分離部224が本体部222から分離するように形成されている。分離部224は、片部326よりも小さく形成されていて、分離部224の外形が片部326の外形よりもはみだすことがない。
また、側面部230は、正面部210の正面視における左側(左側面側)の端部から直線状の折れ線C2を介して連設され、方形状の正面側上部の角部を斜めに欠切するとともに、分離部234の下端位置に方形状の切欠部K34bを形成した形状を呈し、本体部232と、分離部234とを有している。この側面部230の構成は、側面部220と前後方向に垂直な仮想的な平面である中心面を介して対称に形成されていて(つまり、内箱部A1の展開状態において、側面部230と側面部220とは対称に形成されている)、本体部232は本体部222と対称(展開状態では線対称)に形成され、分離部234は分離部224と対称(展開状態では線対称)に形成されていることから詳しい説明を省略する。
なお、側面部230の下端領域には、切目線235が形成され、切目線235は、側面部230の下辺から上方に形成された略円弧状のミシン目(切断予定線)235aと、ミシン目235aの上端から横方向に形成された直線状の切込み235bと、切込み235bのミシン目235a側とは反対側の端部から下方に側面部230の下端まで形成された略円弧状のミシン目(切断予定線)235cとを有し、切目線235は、全体に略コ字状を呈している。ミシン目235aとミシン目235cは、略円弧状を呈するが、ともに外側に膨出した形状となっている。分離部234の下端には、切欠部K34bが形成されている。本体部232と分離部234とは、切目線235により区画されている。
また、分離部234の形成位置は、外箱部A2の片部336の裏側の領域であり、分離部234は片部336の裏側に接着され、片部336を外側に回動させることにより、分離部234も片部336の裏側に接着したまま切目線235が破断されて、分離部234が本体部232から分離するように形成されている。
また、背面部240は、側面部220の右側面視における右端から直線状の折れ線C4を介して連設され、方形状(長方形状)を呈している。この背面部240の横幅は、正面部の横幅と同一に形成され、背面部240の縦幅は、側面部220、230の縦幅(最大縦幅)と同一に形成されている。
また、糊代部242は、側面部230の左側面視における左端から直線状の折れ線C1を介して連設され、縦方向に細長の帯状台形形状を呈している。この糊代部242は、図7に示すように、その外側の面が背面部240の内側の面に接着されている。
なお、スリーブ状部205において、折れ線C1と折れ線C2と折れ線C3と折れ線C4は互いに平行に形成されている。
ここで、スリーブ状部205は、内側の面の一部に中芯14が露出して形成されている。つまり、図13に示すように、スリーブ状部205の下端から上方に形成された下側領域R21が、ライナー12と中芯14とライナー16により形成された両面段ボールにより形成され、スリーブ状部205の上端から下方に形成された上側領域R22が、ライナー12と中芯14により形成された片面段ボールにより形成され、下側領域R21と上側領域R22とがスリーブ状部205の上下方向の途中位置(上下方向の中心やや下側)の位置で隣接している。また、スリーブ状部205において、片面段ボールの領域の中芯の段の方向は、縦方向となっていて、スリーブ状部105の下辺の方向に対して直角となっている。スリーブ状部205において、ライナー16の上辺16bは、スリーブ状部205の下辺と平行に形成されている。図13におけるライナー16の上辺16bは、図1におけるライナー16の上辺16bに当たる。
つまり、側面部220、230と背面部240においては、下側領域R21と上側領域22とが設けられているが、正面部210は両面段ボールのみにより形成されている。また、側面部220においては、切目線225は下側領域R21に形成され、側面部230においては、切目線235は下側領域R21に形成されている。つまり、分離部224、234は、下側領域R21に形成されている。
また、底面部250は、第1片部(底面部第2片部)260と、第2片部(底面部第3片部)270と、第3片部(底面部第1片部)280と、第4片部(底面部第4片部)290とを有し、包装箱Qの組立て状態においては、図9に示すように、略方形状を呈している。この底面部250は、いわゆるワンタッチ底組式(ワンタッチ底)と呼ばれるものである。
ここで、第1片部260は、側面部220の下端から直線状の折れ線を介して連設され、略長方形状に形成され、第1片部260の上面の一部が内箱部A1の内底面の一部を形成している。また、第1片部260の角部(背面部240と側面部220の境界位置の角部)からは第1片部260の側面部220との境界をなす辺部に対して斜めに所定間隔で切込みが形成された(つまり、折曲しやすいように切込みが形成されている)折れ線260−1(この折れ線260−1は、上面側が山折れ線となっている)が形成され、内箱部A1を折り畳む際に、容易に折り畳むことができるようになっている。第1片部260は、折れ線260−1を介して本体部262と先端部(第1端部領域)264とに区画される。本体部262の先端の先端部264側には、他方の本体部292と互いに係止するように切欠部262aが形成されている。また、本体部262の側面部220との境界位置には、細長長方形状の切欠部K32aが形成され、内箱部A1の展開状態では、切欠部K32aと切欠部K32bとで略凸状の切欠部K32が形成されている。切欠部K32により、片部326に指を係止しやすくなっている。包装箱Qの組立て状態において、先端部264の上面は、第3片部280の下面に接着されている。
また、第2片部270は、正面部210の下端から直線状の折れ線を介して連設され、先端側にいくほど幅狭となる略台形形状に形成され、その上面の一部が内箱部A1の内底面の一部を形成している。
また、第3片部280は、背面部240の下端から直線状の折れ線を介して連設され、先端側にいくほど幅狭となる略台形形状に形成され、その上面の一部が内箱部A1の内底面の一部を形成している。この第3片部280は、底面部250の組立て状態においては、第2片部270と点対称に形成され、内箱部A1の展開状態においては、第2片部270と同一形状に形成されている。
また、第4片部290は、側面部230の下端から直線状の折れ線を介して連設され、底面部250の組立て状態においては、第1片部260と点対称に形成され、内箱部A1の展開状態においては、第1辺部260と同一形状に形成されている。すなわち、第4片部290は、側面部230の下端から折れ線を介して連設され、略長方形状に形成され、第4片部290の上面の一部が内箱部A1の内底面の一部を形成している。また、第4片部290の角部(正面部210と側面部230の境界位置の角部)からは第4片部290の側面部230との境界をなす辺部に対して斜めに所定間隔で切込みが形成された(つまり、折曲しやすいように切込みが形成されている)折れ線290−1(この折れ線290−1は、上面側が山折れ線となっている)が形成され、内箱部A1を折り畳む際に、容易に折り畳むことができるようになっている。第4片部290は、折れ線290−1を介して本体部292と先端部(第2端部領域)294とに区画される。本体部292の先端の先端部294側には、他方の本体部262と互いに係止するように切欠部292aが形成されている。また、本体部292の側面部230との境界位置には、細長長方形状の切欠部K34aが形成され、内箱部A1の展開状態では、切欠部K34aと切欠部K34bとで略凸状の切欠部K34が形成されている。切欠部K34により、片部336に指を係止しやすくなっている。包装箱Qの組立て状態において、先端部294の上面は、第2片部270の下面に接着されている。
ここで、底面部250を構成する第1片部260と第2片部270と第3片部280と第4片部290とは、ともに両面段ボールにより形成されている。つまり、底面部250は、包装箱Qを組み立てた際に外側の面となるライナー12と、内側の面となるライナー16と、ライナー12とライナー16とにより挟設された中芯14とから構成されている。
内箱部A1を箱状に組み立てた状態では、正面部210と背面部240とが互いに平行になり、側面部220と側面部230とが互いに平行になり、底面部250を構成する各部材は、正面部210、側面部220、230、背面部240に対して略直角(直角でもよい)となる。また、スリーブ状部205を構成する各部材(正面部210、側面部220、230、背面部240)における隣接する部材は互いに直角となっている。また、内箱部A1は、平板状に折り畳むことができ、正面部210と側面部230との角度を小さくし、背面部240と側面部220との角度を小さくさせることにより、底面部250を構成する各部がスリーブ状部205内に折り畳まれ、内箱部A1が全体に平板状に折り畳むことができる。また、内箱部A1を折り畳んだ状態では、底面部250を構成する各部は、スリーブ状部205内にスリーブ状部205を構成する正面部210、側面部220、230、背面部240に対して略平行な状態となる。
次に、外箱部A2は、内箱部A1を覆う箱体であり、図7〜図9、図11等に示すように、スリーブ状部(外側スリーブ状部)305と、上面部360、370、380、390とを有していて、その展開状態は、図11に示すように形成されている。
ここで、スリーブ状部305は、組み立てた状態では、四角形状の筒状を呈し、正面部(第3外箱部側面部)310と、側面部(第2外箱部側面部)320と、側面部(第4外箱部側面部)330と、背面部(第1外箱部側面部)340と、糊代部(外箱部糊代部)342を有している。
ここで、正面部310は、方形状(長方形状)の板状を呈している。この正面部310の横幅(折れ線C11と折れ線C12間の横方向(正面部110の上辺や下辺と平行な方向)の長さ)は、正面部210の横幅(折れ線C2と折れ線C3間の横方向(正面部210の上辺や下辺と平行な方向)の長さ)と略同一であるが、内箱部A1を外箱部A2内に収納することができるように、正面部210の横幅よりも若干大きく形成されている。
また、側面部320は、正面部310の正面視における右側(右側面側)の端部から直線状の折れ線C12を介して連設され、方形状を呈し、ミシン目(切目線、切断予定線)322とミシン目(切目線、切断予定線)324が形成されている。
ここで、ミシン目322は、側面部320の下辺から上方に形成され、略円弧状を呈し、ミシン目324側とは反対側に膨出した形状となっている。また、ミシン目324は、側面部320の下辺から上方に形成され、略円弧状を呈し、ミシン目322側とは反対側に膨出した形状となっている。以上のように、ミシン目322と、ミシン目324と、ミシン目322の上端とミシン目324の上端とを結ぶ仮想上の直線により囲まれた領域が、片部(回動片部)326となる。
なお、正面部310と側面部320の境界位置の折れ線C12には、所定間隔で切込みが形成されている。つまり、折曲しやすいように切込みが形成されている。また、側面部320と正面部310の間の位置における下側には、縦長の開口部K14が形成されている。
また、側面部330は、正面部310の正面視における左側(左側面側)の端部から直線状の折れ線C11を介して連設され、方形状を呈し、ミシン目332、334が形成されている。
この側面部330の構成は、側面部320と前後方向に垂直な仮想的な平面である中心面を介して対称に形成されている(つまり、外箱部A2の展開状態において、側面部330と側面部320とは線対称に形成されている)。ミシン目332は、側面部330の下辺から上方に形成され、略円弧状を呈し、ミシン目334側とは反対側に膨出した形状となっている。また、ミシン目334は、側面部330の下辺から上方に形成され、略円弧状を呈し、ミシン目332側とは反対側に膨出した形状となっている。以上のように、ミシン目332と、ミシン目334と、ミシン目332の上端とミシン目334の上端とを結ぶ仮想上の直線により囲まれた領域が、片部(回動片部)336となる。
なお、この側面部330の横幅(折れ線C11と折れ線C11とは反対側の辺部間の横方向(側面部330の上辺や下辺と平行な方向)の長さ)は、側面部230の横幅(折れ線C1と折れ線C2間の横方向(側面部230の下辺と平行な方向)の長さ)と略同一であるが、内箱部A1を外箱部A2内に収納することができるように、側面部230の横幅よりも若干大きく形成されている。
なお、正面部310と側面部330の境界位置の折れ線C11には、所定間隔で切込みが形成されている。つまり、折曲しやすいように切込みが形成されている。また、側面部330と正面部310の間の位置における下側には、縦長の切欠部K18が形成されている。
また、背面部340は、側面部320の右側面視における右端から直線状の折れ線C13を介して連設され、方形状を呈している。この背面部340の横幅(折れ線C13と折れ線C14間の横方向(背面部340の上辺や下辺と平行な方向)の長さ)は、背面部240の横幅(折れ線C4と反対側の辺部間の横方向(背面部240の上辺や下辺と平行な方向)の長さ)と略同一であるが、内箱部A1を外箱部A2内に収納することができるように、背面部240の横幅よりも若干大きく形成されている。
なお、側面部320と背面部340の境界位置の折れ線C13には、所定間隔で切込みが形成されている。つまり、折曲しやすいように切込みが形成されている。
また、糊代部342は、背面部340の側面部320側とは反対側の辺部から直線状の折れ線C14を介して連設され、縦方向に細長の帯状台形形状を呈している。この糊代部342は、図8に示すように、その内側の面が側面部330の外側の面に接着されている。この糊代部342の横幅は、当然側面部330の横幅よりも小さく形成されている。
なお、背面部340と糊代部342の境界位置の折れ線C14には、所定間隔で切込みが形成されている。つまり、折曲しやすいように切込みが形成されている。
また、正面部310と側面部320、330と背面部340の縦幅は同一に形成されていて、内箱部A1の縦幅と同一又は若干大きく形成されている。
なお、スリーブ状部305において、折れ線C11と折れ線C12と折れ線C13と折れ線C14は互いに平行に形成されている。
また、上面部360は、正面部310の上端から折れ線を介して連設され、方形状(長方形状)を呈している。また、上面部370は、側面部320の上端から折れ線を介して連設され、方形状(長方形状)を呈している。また、上面部380は、側面部330の上端から折れ線を介して連設され、方形状(長方形状)を呈している。また、上面部390は、背面部340の上端から折れ線を介して連設され、方形状(長方形状)を呈している。
これら4つの上面部360〜390は、外箱部A2の上面を開閉するものであり、特に、上面部370と上面部380を閉状態とすることにより外箱部A2の上面が塞がれる。つまり、上面部360〜390は、蓋部を構成する。なお、上面部360〜390は、予め上方に立設した状態になっていて、外箱部A2の上方が開口した状態になっている。なお、外箱部A2の展開状態においては、図11に示すように、上面部360〜390における隣接した上面部においては、隙間K24、K26、K28が形成されている。なお、蓋部としての上面部360〜390はスリーブ状部305の上端の各辺から連設されているが、少なくとも1つの上面部から連設されていればよい。
外箱部A2を箱状に組み立てた状態では、正面部310と背面部340とが互いに平行になり、側面部320と側面部330とが互いに平行になる。また、スリーブ状部305を構成する各部材(正面部310、側面部320、330、背面部340)における隣接する部材は互いに直角となっている。
なお、外箱部A2は、両面段ボールにより形成されており、該両面段ボールは、一対のライナーと該一対のライナー間に設けられた中芯とを有している。これにより、外箱部A2の外側の面には、一方のライナーが設けられ、内側の面には他方のライナーが設けられている。
包装箱Qの状態では、内箱部A1と外箱部A2とは、分離部224、234の箇所で互いに接着されている。つまり、分離部224の外側の面と側面部320の内側の面とが接着剤その他の接着手段により接着されるとともに、分離部234の外側の面と側面部330の内側の面とが接着剤その他の接着手段により接着されることにより、包装箱Qが全体に一体に形成される。つまり、分離部224の外側の面の全部又は一部の領域と側面部320の内側の面の間には接着剤層(図示せず)が設けられていて、同様に、分離部234の外側の面の全部又は一部の領域と側面部330の内側の面の間には接着剤層(図示せず)が設けられている。これにより、外箱部A2のスリーブ状部305は、内箱部A1におけるスリーブ状部205の外側の面に沿って設けられ、例えば、正面部210の外側の面に沿って正面部310が設けられ、側面部220の外側の面に沿って側面部320が設けられ、側面部230の外側の面に沿って側面部330が設けられ、背面部240の外側の面に沿って背面部340が設けられている。該接着剤層の接着力は、外箱部A2の片部326を外側に回動させた際に、同時に分離部224の周囲の切目線225が破れて、分離部224が内箱部A1から分離し、回動させた片部326に接着した状態で片部326に従動するように設定されていて、同様に、外箱部A2の片部336を外側に回動させた際に、同時に分離部234の周囲の切目線235が破れて、分離部234が内箱部A1から分離し、回動させた片部336に接着した状態で片部336に従動するように設定されている。
また、内箱部A1と外箱部A2とが接着された状態では、内箱部A1の下端と外箱部A2の下端とが同じ高さになるように形成されている。なお、内箱部A1と外箱部A2とは、分離部224、234の箇所以外は互いに接着されていない。以上のように、内箱部A1は外箱部A2の内側に収納した状態となっていて、内箱部A1の底面部250以外は外箱部A2に被覆された状態となっている。つまり、外箱部A2の下端の高さ方向の位置は、内箱部A1の下端の高さ方向の位置と略同一であり、上面部360〜390を封止した状態では内箱部A1においては底面部250のみが露出している。
以上のように、底面部250とスリーブ状部205の底面部250側の領域が両面段ボールにより形成され、スリーブ状部205の両面段ボールで形成された領域以外の領域が片面段ボールにより形成され、中芯14がスリーブ状部205の内側の面に形成され、中芯14における段の方向が縦方向に形成され、分離部224、234が両面段ボールで形成された領域に形成されている。
上記構成の包装箱Qの製造工程について説明する。まず、展開状態の内箱部A1と外箱部A2とを製造する。なお、展開状態の内箱部A1を製造するに当たっては、段ボールシート10をスリーブ状部205の上下方向の途中位置に下側領域R11と上側領域R12の境界位置(すなわち、ライナー16の上辺16b)があるように型抜き加工(トムソン加工)して形成する。
次に、外箱部A2の内側の面に内箱部A1の外側の面を接着させる(第1接着工程)。つまり、展開状態の外箱部A2の内側の面を上側にして、片部326における分離部224との接着領域と片部336における分離部234との接着領域に接着剤を塗布して、展開状態の内箱部A1を図13に示すように重ねる。内箱部A1において中芯14が露出した側は、上面側(つまり、外箱部A2側とは反対側)となる。内箱部A1と外箱部A2とを重ねた際に、外箱部A2のスリーブ状部305の下辺と内箱部A1のスリーブ状部205の下辺とが略一致する(一致するとしてもよい)ようにし、また、外箱部A2と内箱部A1とにおいて、対応する折れ線のうち少なくとも一対(すなわち、折れ線C11と折れ線C2、折れ線C12と折れ線C3、折れ線C13と折れ線C4における少なくともいずれか)が一致するようにして、折れ線C11と折れ線C2、折れ線C12と折れ線C3、折れ線C13と折れ線C4とが略一致するようにする。なお、外箱部A2のスリーブ状部305の下辺と内箱部A1のスリーブ状部205の下辺とを略一致させるので、内箱部が外箱部の下方から見えてしまい見栄えが悪くなることがない。
次に、内箱部A1の底面部250を構成する各部をスリーブ状部205に対して内側に折り返し、さらに、第1片部260の先端部264を本体部262に対して外側に折り返すとともに、第4片部290の先端部294を本体部292に対して外側に折り返して、図14に示す状態とする(折り返し工程)。つまり、第1片部260を側面部220との境界の折れ線を介して側面部220側に折り返し、第2片部270を正面部210との境界の折れ線を介して正面部210側に折り返し、第3片部280を背面部240との境界の折れ線を介して背面部240側に折り返し、第4片部290を側面部230との境界の折れ線を介して側面部230側に折り返し、さらに、先端部264を本体部262に対して折り返すとともに、先端部294を本体部292に対して折り返す。
次に、先端部294の領域に接着剤を塗布して(第1接着剤塗布工程)、側面部330を折れ線C11を介して正面部310の側に内側に折り返すことにより、側面部230を折れ線線C2を介して正面部210側に折り返して、図15に示す状態とする。すると、先端部294が第2片部270に接着される(第2接着工程)。
次に、先端部264の領域と、糊代部242の領域と、糊代部342の領域に接着剤を塗布して(第2接着剤塗布工程)、背面部340を折れ線C13を介して側面部320の側に内側に折り返すことにより、背面部240を折れ線線C4を介して側面部220側に折り返し、図16に示す状態とする。すると、先端部264と第3片部280が接着され、糊代部242が背面部240に接着され、糊代部342が側面部330に接着される(第4接着工程)。なお、糊代部242の代わりに、背面部240における糊代部242との接着領域に接着剤を塗布してもよく、また、糊代部342の代わりに、側面部330における糊代部342との接着領域に接着剤を塗布してもよい。以上のようにして、包装箱Qが製造される。なお、上記の製造は、組立て装置により自動で製造される。
なお、上記の製造工程において、第3片部280を背面部240側に折り返し、第1片部260を側面部220側に折り返し、さらに、先端部264を本体部262に対して折り返す工程は、側面部330を正面部310の側に折り返して、先端部294を第2片部270に接着した後で、先端部264の領域と、糊代部242の領域と、糊代部342の領域に接着剤を塗布する前に行ってもよい。第3片部280を背面部240側に折り返し、第1片部260を側面部220側に折り返し、さらに、先端部264を本体部262に対して折り返す工程と、その後に、先端部264と糊代部242、342に接着剤を塗布する工程が、第2折り返し・接着剤塗布工程となる。その場合、上記折り返し工程では、第2片部270と第4片部290を折り返して、先端部294を折り返し、その後、先端部294に接着剤を塗布することになる(第1折り返し・接着剤塗布工程)。
また、先端部294への接着剤の塗布は、第4片部290を折り返し先端部294を折り返した状態で行うとしたが、図13の状態で先端部294(又は第2片部270)に接着剤を塗布した後に、第4片部290を図14に示す状態としてもよい(第1接着剤塗布・折り返し工程)。
また、先端部264への接着剤の塗布は、第1片部260を折り返し先端部264を折り返した状態で行うとしたが、図13の状態で先端部264(又は第3片部280)に接着剤を塗布した後に、第1片部260を図14に示す状態としてもよい(第2接着剤塗布・折り返し工程)。なお、図13の状態で先端部264に接着剤を塗布した後に、第1片部260を図14に示す状態とするのは、側面部330を正面部310の側に折り返して、先端部294を第2片部270に接着した後でもよく、図13の状態で先端部294に接着剤を塗布した後に、第4片部290を図14に示す状態とするのと同時に行ってもよい。
上記構成の包装箱Qの使用状態について説明する。包装箱Qを使用しない状況では、包装箱Qは平板状に折り畳むことができるので、折り畳んで保管しておく。すなわち、外箱部A2がスリーブ状部305を有し、全体に略スリーブ状を呈しているので、包装箱Qの状態においても平板状に折り畳むことができ、正面部310を側面部330に対して略平行になるようにし、かつ、側面部320を背面部340に対して略平行になるようにすることにより、平板状に折り畳むことができる。
次に、包装箱Qを使用する際に、包装箱Qを組み立てる。すなわち、外箱部A2における正面部310と背面部340とが互いに平行になり、側面部320と側面部330とが互いに平行になるようにするとともに、内箱部A1における正面部210と背面部240とが互いに平行になり、側面部220と側面部230とが互いに平行になるようにし、底面部250がスリーブ状部205、305に直角になるようにすることにより包装箱Qが立体状に組み立てられる。
そして、図17に示すように、包装箱Qの上方から複数の被収納物(商品)Gを内箱部A1内に収納する。図17は、袋状の商品である例を示しているが、他の被収納物であってもよい。なお、上面部360〜390は、予め上方に立設した状態になっていて、外箱部A2の上方が開口した状態になっているので、被収納物Gはそのまま包装箱Qの上方から収納すればよい。その後、上面部360〜390を閉状態にして、図18に示すように、接着テープTを外箱部A2の正面部310から上面を経て背面部340側にまで接着させることにより、上面部360〜390を封止する。
以上のようにして、被収納物Gを包装箱Qに包装したら、被収納物Gを収納した包装箱Qを被収納物Gを陳列する場所に搬送する。なお、スリーブ状部205の下側の部分と底面部250とが両面段ボールにより形成されているので、内箱部A1の底部の強度を十分得ることができ、被収納物の重みで底が抜けてしまうおそれがない。
その後、被収納物Gを陳列する場合には、外箱部A2を内箱部A1から分離する。すなわち、図19に示すように、片部326の下端に指を係止して、上方(外側)に引き上げる。すると、ミシン目322、324が破断されて片部326が上方に回動する。同様に、片部336の下端に指を係止して、上方(外側)に引き上げる。すると、ミシン目332、334が破断されて片部336が上方に回動する。なお、片部326、336が回動する際の回動軸となる折れ線の箇所には、罫線を形成しておかなくても片部326、336を回動させることにより自然と折れ線が形成されるが、予め該折れ線の箇所に罫線を形成しておいてもよい。
すると、外箱部A2の片部326を上方に回動させた際に、同時に分離部224の周囲の切目線225が破れて、分離部224が内箱部A1から分離し、回動させた片部326に接着した状態で片部326に従動する。同様に、外箱部A2の片部336を外側に回動させた際に、同時に分離部234の周囲の切目線235が破れて、分離部234が内箱部A1から分離し、回動させた片部336に接着した状態で片部336に従動する。
そして、図20に示すように、外箱部A2を上方に引き上げることにより、被収納物Gを収納した状態で、かつ、分離部224、234が分離した状態の内箱部A1が残るので、商品Gを収納した状態で内箱部A1を陳列する。
商品Gを内箱部A1に詰めた状態から商品を取り出していくと、ある商品Gに隣接する他の商品Gや正面部210や背面部240との距離が大きくなり、商品Gが袋状のものである場合には、商品Gが倒れやすくなるが、本実施例においては、内箱部A1のスリーブ状部205の内側の面の上側の領域に中芯14が露出しているので、商品Gと中芯との接触面積が大きく、商品Gと中芯との摩擦によって容易には商品Gが倒れることがない。
本実施例の包装箱Qによれば、図7や図8に示すように、上方が開口した包装箱Qに対して上方から被収納物である商品を収納して、上面部360〜390を閉じて1つの接着テープTにより封止するのみであるので、容易に被収納物(商品)の梱包作業を行うことができる。
また、本実施例の包装箱Qによれば、片部326、336を外側に回動させて、分離部224、234を内箱部A1から分離して外箱部A2を上方に引き上げるのみで陳列することができるので、陳列作業を容易に行なうことができる。
また、特に、本実施例の包装箱Qにおいては、内箱部A1の内側に中芯が露出し、中芯の段の方向が縦方向となっているので、この中芯14が内部に収納した商品に接触して、被収納物の滑り止めとすることができ(特に、段の方向が縦方向なので、横方向への滑り止めに特に効果がある)、商品が袋状のもの等自立困難なものであっても、商品が倒れにくく、これにより、商品を内箱部から取り出すのが困難となったり、商品の陳列の見栄えが悪くなるという問題が解消される。また、内箱部A1の内側に中芯が露出しているので、商品の保管や運搬に際しても、中芯が滑り止めとして機能し、商品が倒れるのを防止することができる。
また、スリーブ状部205の下側の部分と底面部250とが両面段ボールにより形成されているので、内箱部A1の底部の強度を十分得ることができ、特に、底面部が組立て式であっても強度を十分得ることができ、被収納物の重みで底が抜けてしまうおそれがない。また、底面部250のみが両面段ボールにより形成されている場合には、特に、スリーブ状部205と底面部250の境界位置の強度が十分とならないおそれがあるが、スリーブ状部205の下側部分も両面段ボールにより形成されているので、該境界位置の強度も十分となり、箱体全体としての強度も十分得ることができる。
また、内箱部A1を構成する段ボールシート10は、ライナー12と中芯14とライナー16の三層に形成されているので、製造コストを抑えることが可能となる。つまり、特許文献2のように両面段ボールの一方の面にさらに中芯を設ける場合に比べて、製造コストを抑えることが可能となる。
さらに、本実施例の包装箱Qの製造方法によれば、上記のように、外箱部A2と内箱部A1とを重ねて接着した後に、接着剤を塗布した後に折り返す工程を2回行う(つまり、図14の状態から図15の状態への工程と、図15の状態から図16の状態への工程)ことにより製造することができるので、包装箱Qの製造が容易となる。
なお、上記の説明において、図13〜図16に示す工程で包装箱Qを製造するとして説明したが、外箱部A2と内箱部A1の展開状態を左右対称として製造してもよい。その場合には、内箱部A1においては、図12に示す状態の内箱部A1の表側の面に中芯14が露出する。その場合に製造された包装箱は、図7〜図10の構成に際して左右対称に形成されることになる。
上記の説明において、外箱部A2においては、スリーブ状部305を構成する正面部310と側面部320の境界位置に開口部K14が設けられ、正面部310と側面部330の境界位置に切欠部K18が設けられているとして説明したが、同様の構成の開口部又は切欠部を側面部320と背面部340の境界位置や側面部330と背面部340の境界位置に設けるようにしてもよい。なお、開口部K14の代わりに切欠部としてもよい。また、少なくとも、外箱部A2におけるスリーブ状部305を構成する各部(正面部310と、側面部320、330と、背面部340)の境界位置における少なくとも2つの境界位置に切欠部又は開口部を設ければ、少なくともスリーブ状部305を構成する各部のうちの3つの下端において外側と内側間を移動する余裕ができるので、外箱部A2を内箱部A1に対して容易に引き上げることができる。また、スリーブ状部305を構成する各部の境界位置の切欠部は、切込みであってもよい。
また、内箱部A1の底面部250において、第1片部260が側面部220から連設され、第4片部290が側面部230から連設されているとしたが、第1片部260と第4片部290の一方が正面部210から連設され、他方が背面部240から連設され、第2片部270と第3片部280の一方が側面部220から連設され、他方が側面部230から連設されるものとしてもよい。