映像信号を表示する映像表示装置に関する。
表示装置の画素数よりも画素数の多い映像を入力する場合など、表示装置の表示画素数以上の周波数成分を有する映像を表示する場合に、折り返し歪みと呼ばれる歪みが発生し画質が劣化する。
この折り返し歪みの発生を防止するために、原画像データに対してローパスフィルタによるフィルタリング処理を施して、原画像データの高周波成分を除去することが知られている(特許文献1の従来の技術参照。)。
しかし、特許文献1に記載される方法では、画像縮小後の画素数相当の周波数(ナイキスト周波数)以上の周波数成分を除去している。ここで、画像縮小後の画素数は最も大きくても表示装置の表示画素数であるため、ナイキスト周波数以上の周波数成分を除去した場合、表示装置の観視者は、表示装置の表示画素数相当以上の高精細映像を知覚することはできないという課題があった。
本発明はこのような課題を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、より高精細な映像表示をおこなうことにある。
上記目的を達成するために、本発明の一実施の態様は、例えば、特許請求の範囲に記載されるように構成すればよい。
本発明によれば、より高精細な映像表示をおこなうことが可能となる。
以下、本発明の実施例を、図面を参照して説明する。
また、各図面において、同一の符号が付されている構成要素は同一の機能を有することとする。
また、本明細書の各記載及び各図面における「動き量」という表現は、映像信号に含まれる被写体の動き量を意味する。
図1に本発明の実施例1に係る映像表示装置の一例を示す。
映像表示装置100は、アンテナ101を介して放送波を受信する受信部103と、受信部103が受信した放送波に含まれる映像信号について画像処理をおこなう画像処理部103と、画像処理部103が画像処理した信号を表示する表示部108を有する。
受信部103は、アンテナ101から例えば、TV放送波を受信し、受信した放送波から、映像信号を抽出して画像処理部103に出力する。
画像処理部103は、画像処理部103に入力される映像信号に含まれる画像について、表示部108の表示画素数に適合するように画像のサイズを縮小する処理をおこなう。
なお、以下の説明では、画像処理部103に入力される映像信号は、表示部108の表示画素数よりも大きな画素数を有するものとする。
また、映像信号に含まれる画像について画素単位で種類の異なるローパスフィルタ(LPF)処理をおこなう。
ここで、画像処理部103の一例は、画素位置算出部105、動き探索部106、判定部107、動き適応スケーラー104により構成することができる。
動き適応スケーラー104は、複数の種類の異なるローパスフィルタLPF1、LPF2、・・・LPFnとスイッチ114を有し、判定部107の指示により、処理をおこなうローパスフィルタを切り替える。このとき、ローパスフィルタLPF1、LPF2、・・・LPFnは、それぞれ異なるローパスフィルタをおこない、このときあわせて画像の縮小処理をおこなう。当該画像の縮小処理の詳細は後述する。
画素位置算出部105は、画像処理対象の画像(画像処理対象フレーム、または、画像処理対象フィールド)における画像処理対象画素の位置を算出し、判定部107に出力する。
動き探索部106が算出する当該画像処理対象画素についての動きベクトル、動き量を算出して判定部107に出力する。ここで、画像処理対象画素についての動きベクトル、動き量とは、映像信号に含まれる被写体の動きに応じて算出することができ、画像処理対象画素毎や画像ブロック毎に算出することができる。以下においては、画素毎に算出するものとして説明する。ブロック毎に算出する場合は、当該画像処理対象画素が属する画像ブロックについて算出した動きベクトル、動き量を各画像処理対象画素についての動きベクトル、動き量として用いればよい。
判定部107は、画素位置算出部105が算出する画像処理対象画素についての画素位置の情報を取得し、動き探索部106が算出する当該画像処理対象画素についての動きベクトル、動き量をもちいて、前記動き適応スケーラー104におけるローパスフィルタ処理の種類を選択し、動き適応スケーラー104に指示信号を出力する。
ここで、ここで、動き探索部106がおこなう動き探索は、一般的に用いられる従来技術を用いてかまわない。
例えば、映像信号において当該画像処理対象の画像(画像処理対象フレーム、画像処理対象フィールド)の時間的に後に配置される画像(フレーム、フィールド)において、当該画像処理対象画素または当該画像処理対象画素を中心とするブロックの有する画素値に近い画素値を有する画素またはブロックを探索して、当該画像処理対象画素を始点とする動きベクトルを求める動きベクトルとする方式であってもよい。
また、映像信号において当該画像処理対象の画像(画像処理対象フレーム、画像処理対象フィールド)の時間的に前後に配置される一組の画像(フレーム、フィールド)のそれぞれにおいて、画素値近い一組の画素を選択して両者の間の動きベクトルを算出する。当該動きベクトルを当該一組の画像の各画素において算出することにより、前記画像処理対象の画像上の前記画像処理対象画素を通過する動きベクトルを算出し、これを求める動きベクトルとする方式であってもよい。
次に、画像処理部103の動き適応スケーラー104がおこなうローパスフィルタ処理、画像縮小処理について説明する。
画像処理部103の動き適応スケーラー104がおこなう画像縮小処理は。例えば、横方向の画素数がX、縦方向の画素数がYである映像信号201に対して、図2(a)に示されるように縦方向にα倍(α:縮小率、0より大きく1以下の値)、横方向にβ倍(β:縮小率、は0より大きく1以下の値)した映像信号202を生成する処理、図2(b)に示されるように縦方向のみα倍した映像信号203を生成する処理、図2(c)に示されるように横方向のみβ倍した映像信号204を生成する処理などがある。
具体的な処理を図3を用いて説明する、図3は、画像処理部103の動き適応スケーラー104がおこなう画像縮小処理を1次元方向で説明する図である。
画素列301は画像処理前の映像信号の1次元方向の画素列、画素列302は画像処理後の映像信号の1次元方向の画素列を示す。
画像処理部103の動き適応スケーラー104では、例えば、画素列301の画素311、312、313、314、315に、それぞれ係数a、b、c、d、eを乗じて、その和を画素列302の画素321の画素値とする。
ここで、係数a、b、c、d、eはタップ係数とよばれ、当該タップ係数を変化させることにより、さまざまなフィルタ処理をおこなうことができる。画像処理部103の動き適応スケーラー104では、タップフィルタの異なる複数のローパスフィルタLPF1、LPF2、・・・LPFnを切り替えることにより、種類の異なるローパスフィルタ処理を実現する。
同様に、画素列302の画素322、画素323についても、画素列301の複数の画素の画素値に係数を乗じた和から生成する。ことのき、画像処理部103の動き適応スケーラー104は、図3に示すように、画素列302の画素数を画素列301の画素数よりも少なく生成する、すなわち間引いて生成することによって画像縮小処理を実現する。
このとき、間引きの頻度を変えることにより、図2(a)〜(c)に示される倍率α、βなどを調整することが可能となる。
なお、実施例1に係る映像表示装置100の画像処理部103では、水平方向、垂直方向のいずれか一方にローパスフィルタ処理、画像縮小処理を行う。ここで、水平方向にローパスフィルタ処理を行う場合は、例えば、図4の(a)〜(d)に示すようなタップフィルタの係数を用いてローパスフィルタ処理を行えばよい。ここで、垂直方向にローパスフィルタ処理を行う場合は、例えば、図5の(a)〜(d)に示すようなタップフィルタの係数を用いてローパスフィルタ処理を行えばよい。
なお、図4、5に示すローパスフィルタは、簡便に構成できるローパスフィルタの一例を示したものであり、画像処理部103において行うローパスフィルタは、この例に限定されるものではない。従来から行われるローパスフィルタの設計方法で設計するローパスフィルタのタップ係数であれば、いずれのものを用いてもかまわない。
以下の実施例1の説明では、映像表示装置100の画像処理部103は、垂直方向にローパスフィルタ処理、画像縮小処理を行うものとして説明する。また、以下の実施例1の説明における映像中の物体の移動方向とは、ローパスフィルタ処理、画像縮小処理を行う方向についての移動方向、すなわち垂直方向とする。また、以下の実施例1の説明における表示部108の画素数とは、ローパスフィルタ処理、画像縮小処理を行う方向の画素数、すなわち垂直方向の画素数をいう。
次に、図6を用いて、本実施に係る映像表示装置100が、より高精細な映像表示をおこないうる原理について説明する。
図6は、映像表示装置100の表示部108が表示する画素を1次元に示しており、時間方向にT0(sec)だけ離れた2フレーム(フレーム1、フレーム2)の画素列と、表示部108を観視する観視者が知覚する画素列を示している。
以下の説明では、簡単のため、フレーム単位の画素列を用いて説明をおこなうが、これらは連続する画像であれば単位は特に問わない。すなわち、図6の説明で用いる2フレームについても連続して表示される2つの画像であれば、フレーム単位でなくともよい。
ここで、図6では、映像信号に表示される物体が静止ししている状態を示している。
このとき2フレームの画素値は、同一の画素値が表示されるため、観視者が知覚する画素数は、表示部108の画素数にと変わらない。
次に、図6の映像信号に表示される物体が、1フレームあたり、表示部の画素相当の単位(以下、「表示画素」と記載する。)で1/2画素の速度で移動する場合、すなわち1フレームあたりの動き量が1/2表示画素である場合(T0(sec)に1/2表示画素の速度で移動する場合)について、時間方向にT0(sec)だけ離れた2フレームの画素列と、表示部108を観視する観視者が知覚する画素列を図7に示す。
ここで、画像処理部103における画像縮小処理において、縦方向に前述の縮小率αで画像の縮小が行われているとすると、画像処理部103における画像縮小処理前の画像サイズにおいて動き探索を行って得た動き量が当該画像縮小処理前の画像の画素単位において(1/2)/α画素となる場合が、上述の「動き量が1/2表示画素である」ことに相当する。すなわち、表示画素単位の動き量は、入力画像における動き探索の結果(入力画像の画素単位の動き量)から縮小率αを用いて換算することにより、算出することが可能である。
図7において、物体の移動方向が図7の上方向である場合、観視者の視線は、表示部108に表示される物体の移動を追従することにより傾斜する。すると、図7に示されるように観視者が観視する画素数は、表示部108の画素数の2倍となる。
このように観視者が観視する画素数が2倍になるのは、1フレームあたり1/2表示画素の速度で移動する場合(T0(sec)に1/2表示画素の速度で移動する場合)だけでなく、1フレームあたり1/2+m表示画素の速度で移動する場合(T0(sec)に1/2+m表示画素の速度で移動する場合)も同様である(ここでmは1以上の整数。)。m表示画素だけ視線の傾斜が急峻になる以外は、1フレームあたり1/2表示画素の速度で移動する場合と同様だからである。
ここで、従来の映像表示装置では、図7のように観視者が観視する画素数が2倍となっても、解像度を2倍にすることはできない。これを、図8および図9を用いて説明する。
図8は、図7のフレーム1、フレーム2についての従来の映像表示装置の処理を示しており、画像縮小前の原信号の画素列、画像縮小後の表示信号の画素列を、それぞれ画素値を記載して示している。
ここで、原信号は図8に示す画素列の方向について表示部の画素数の2倍の画素数を有するものとする。このとき、画像縮小処理により、原信号の映像信号を図8に示す画素列の方向について1/2倍に縮小して表示している。
また、図8に示す従来の映像表示装置では、原信号の映像信号を1/2倍に縮小する際に、折り返し歪みの発生による画質の劣化を防止するため、ローパスフィルタ処理をおこない、表示部の表示画素数相当の周波数成分を除去する。このローパスフィルタ処理とカットする周波数帯域の詳細については後述する。
図8に示す処理はその一例を示しており、原信号における連続する2画素の平均値を表示信号の画素値とする平滑化フィルタ処理により、画素数を1/2倍に縮小した表示信号を生成している。このとき、物体の移動を考慮せず、フレーム1、フレーム2のそれぞれの表示信号を観視した場合は、表示部における画素数以上の高精細な解像度は観視できないが、折り返し歪みのない画像を観視することができる。
図8に示す処理により生成された表示信号のフレーム1、フレーム2の画素列の画素値、および観視者が観視する画素値を図9に示す。
ここで、図8における原信号の画素列の画素値は、原信号の1画素周期による画素値の増減の情報を含む、1と2の繰り返しと、3と4の繰り返しとからなっている。これに対し、図9に示すように、表示物体の移動よって視線が傾斜する場合に観視される画素列の画素値は、1.5が連続する部分と、3.5が連続する部分がからなり、原信号の1画素周期による画素値の増減の情報は失われている。これは、図8に示すローパスフィルタ処理により、原信号から表示部の画素数に相当する周波数以上の周波数成分が低減されたためである。したがって、図9において観視される画素列の画素数は、2倍になっても解像度が表示部の画素数の2倍にはならない。
次に、実施例1に係る映像表示装置100では、図7のように観視者が観視する画素数が2倍になった場合に、解像度を2倍にすることができる。これを、図10および図11を用いて説明する。
次に、図10は、図7のフレーム1、フレーム2についての実施例1に係る映像表示装置100の画像処理部103の処理を示しており、画像縮小前の原信号の画素列、画像縮小後の表示信号の画素列を、それぞれ画素値を記載して示している。
ここで、原信号は図10に示す画素列の方向について表示部の画素数の2倍の画素数を有するものとする。このとき、画像縮小処理により、原信号の映像信号を図10に示す画素列の方向について1/2倍に縮小して表示している。
また、図10に示す実施例1に係る映像表示装置100では、原信号の映像信号を1/2倍に縮小する際に、表示部の表示画素数相当の周波数以上の成分も表示する。
図10の例では、原信号における連続する2画素うち、1つの画素の画素値をそのまま、表示信号の画素値とすることにより、画素数を1/2倍に縮小した表示信号を生成している。すなわち本図の場合は、単純に2画素につき1画素を間引いて縮小画像を生成している。このとき、物体の移動を考慮せず、フレーム1、フレーム2のそれぞれの表示信号を観視した場合は、一般に知られるように、表示部における画素数以上の周波数成分は折り返し歪みとなって、画質が劣化した画像が観視されることになる。
次に、図10に示す処理により生成された表示信号のフレーム1、フレーム2の画素列の画素値、および観視者が観視する画素値を図10に示す。
ここで、図10における原信号の画素列の画素値は、原信号の1画素周期による画素値の増減の情報を含む、1と2の繰り返しと、3と4の繰り返しとからなっている。これに対し、図11に示すように、表示物体の移動よって視線が傾斜する場合に観視される画素列の画素値は、原信号の画素列の画素値と同様の1画素周期による画素値の増減の情報を含む、1と2の繰り返しと、3と4の繰り返しとなる。
すなわち、図10に示す処理においては、表示部108の画素数以上の周波数成分を除去しなかったため、観視する画素数が、表示部108の画素数以上となった場合に、失われていない高周波成分を復元することが可能となるためである。
図10および図11に示す実施例1に係る映像表示装置100の処理をおこなう場合は、観視者は、表示部108の画素数の倍の解像度を有する高精細な映像を観視することが可能となる。
次に、図10および図11に示す実施例1に係る映像表示装置100の処理の効果がない場合について、図6、図12、図13をもちいて説明する。
図6はすでに説明したとおり、映像信号中の物体が静止している状態を示している。この場合、観視者に観視される画素数は表示部108の画素数と同じである。観視される画素数が増加しないため、観視される解像度を増加させることはできない。
さらに、図10に示すように映像信号中の表示部108の画素数相当の周波数成分を除去せず表示部108に表示すれば、表示される画像には折返し成分が含まれ、画質が低下する。
また、図12に示すように、映像信号中の物体が、1フレームあたり1表示画素の速度で移動する場合(T0(sec)に1表示画素の速度で移動する場合)は、複数のフレームの画素が観視者の視線上に重なってしまい、観視される画素数は表示部108の画素数から増加することはない。よって、図6と同様に、観視される画素数が増加しないため、解像度を増加させることはできない。
また、この場合、観視者が観視する画像は、最後のフレームそのものであるので、最後に表示したフレームについて、図10に示すように映像信号中の表示部108の画素数相当の周波数成分を除去せず表示部108に表示すれば、表示される画像には折返し成分が含まれ、画質が低下する。
また、図13に示すように、映像信号中に1フレームあたりm表示画素の速度で移動する場合(T0(sec)にm表示画素の速度で移動する場合)も同様に、観視される画素数は表示部108の画素数から増加することはなく、観視される解像度が増加することはない。
以上、図10、図11、図6、図12、図13を用いて説明したとおり、映像信号中の物体のフレーム間の動き量もしくは移動速度により、観視される画像の解像度および画質は異なるものとなる。
そのため、実施例1に係る映像表示装置100では、画像処理部103において、映像中の画素ごとの動き探索結果に応じて異なるローパスフィルタ処理をおこなうことにより、映像信号中の周波数成分を調整して、表示部108に表示し、高精細な映像表示を好適におこなうことを可能とする。
次に、この画像処理部103におけるローパスフィルタ処理および映像信号の周波数成分について、図14、図15、図16、図17を用いて説明する。
まず、図14には、TV放送波などに含まれる一般的な映像信号の信号強度の最大値を1とした場合の周波数成分を示している。ここで、図14の縦軸は正規化された信号強度、横軸は周波数であり、周波数成分の原点は直流(DC)成分と呼ばれる。また、図に示すfn1は、ナイキスト周波数を示している。
ナイキスト周波数とは、本実施例においては、表示部108の有する表示画素相当の周波数をいい、表示部108が垂直方向768画素で構成される表示部の場合のナイキスト周波数は768TV本相当の周波数となる。
次に、表示部の画素数と、映像信号の折り返し成分との関係について、図15を用いて説明する。
図15(a)に示される斜線部は、図14の映像信号をナイキスト周波数がfn1相当となる画素数の表示部に表示する場合の折り返し成分を示している。
ここで、図15(a)に示すナイキスト周波数がfn1相当の画素数よりも半分の画素数を有する表示部に画像を縮小して表示する場合は、fn2 = fn1であるfn2がナイキスト周波数となり、図15(b)に示す斜線部が折り返し成分となる。
ここで、実施例1に係る映像表示装置100の表示部108が、ナイキスト周波数がfn2相当の画素数を有する場合について、上記に説明したとおり、図6、図12、図13に示すような、映像信号中の物体の動き量が0である場合や、1フレームあたりm表示画素(mは1以上の整数)の速度で移動する場合(T0(sec)にm表示画素の速度で移動する場合)は、観視される画像の折り返し歪みを低減するために、映像信号の周波数成分において、ナイキスト周波数fn2より高周波の成分を除去することが望ましい。
また、図11に示すような、1フレームあたり1/2+m表示画素(ここで、mは0以上の整数。)の速度で移動する場合(T0(sec)に1/2+m表示画素の速度で移動する場合)は、表示部の画素数の2倍の解像度の画層が観視者に観視されるように、映像信号の周波数成分において、ナイキスト周波数fn2の2倍、すなわちfn1まで折り返し成分を通過させることが望ましい。
よって、実施例1に係る映像表示装置100は、画像処理部103におけるローパスフィルタ処理を映像信号における画素ごとの動きベクトルの動き量に応じて切り替えることによって、図15(c)に示すように、通過する折り返し成分の最大周波数fcを可変とすることにより、表示部108における高精細な映像表示を好適におこなうことを可能とする。
すなわち、実施例1に係る映像表示装置100の画像処理部103におけるローパスフィルタ処理、すなわち、動き適応スケーラー104の複数のローパスフィルタの特性を図16に示すような複数の特性とすることにより、これを実現する。
図16は、ローパスフィルタの周波数成分の通過特性を示している。縦軸はローパスフィルタのゲイン、横軸は周波数である。一般にローパスフィルタの特性において、ゲインが0.5となる周波数、すなわち周波数成分の通過率が50%となる周波数をカットオフ周波数(遮断周波数)とよぶ。
よって、図15(a)に示すような周波数fn1より高周波成分である斜線部の折り返し成分を除去するためには、画像処理部103の判定部107は、図16(a)に示すような、カットオフ周波数が周波数fn1であるローパスフィルタの選択を動き適応スケーラー104に指示し、動き適応スケーラー104のスイッチが当該ローパスフィルタを複数のローパスフィルタLPF1、LPF2、・・・LPFnから選択すればよい。
同様に、図15(b)に示すような周波数fn2より高周波成分である斜線部の折り返し成分を除去するためには、画像処理部103の判定部107は、図16(b)に示すような、カットオフ周波数が周波数fn2であるローパスフィルタの選択を動き適応スケーラー104に指示し、動き適応スケーラー104のスイッチが当該ローパスフィルタを複数のローパスフィルタLPF1、LPF2、・・・LPFnから選択すればよい。
さらに、図15(c)に示すように、周波数fmaxを可変として、周波数fmaxより高周波成分である斜線部の折り返し成分を除去するためには、画像処理部103の判定部107は、図16(c)に示すような、カットオフ周波数を周波数fcvが所望の周波数fmaxとなるように、ローパスフィルタの選択を動き適応スケーラー104に指示し、動き適応スケーラー104のスイッチが当該ローパスフィルタを複数のローパスフィルタLPF1、LPF2、・・・LPFnから選択すればよい。
ここで、実施例1に係る映像表示装置100において、図14の映像信号に対して、図15(a)、図15(b)、図15(c)のそれぞれの特性のローパスフィルタを選択して処理した場合の、映像信号の周波数成分の通過成分をそれぞれ、図17(a)、図17(b)、図17(c)に示す。それぞれの通過成分の最大周波数fmaxは、図に示すとおりとなる。図17(a)においては最大周波数fmax = fn1、図17(b)においては最大周波数fmax = fn2となる。
いずれの映像信号の周波数成分においても、ローパスフィルタ処理により、最大周波数fmaxより大きい周波数成分が除去され、最大周波数fmax以下の周波数成分が通過している。
次に、図18、図19、図20、図21、を用いて、実施例1に係る映像表示装置100の画像処理部103におけるローパスフィルタ処理の特性を、映像信号中の動き量と比較して説明する。
まず、図18は従来の映像表示装置におけるローパスフィルタ処理の特性と映像信号中の動き量の関係を示したものである。縦軸は、表示部に表示される映像信号の最大周波数を示している。
このとき、映像表示装置におけるローパスフィルタ処理のカットオフ周波数よりも映像表示装置に入力される映像信号の最大周波数が大きいことが明らかな場合は、縦軸はローパスフィルタのカットオフ周波数を示すこととなる。
また、横軸は、映像信号中の連続する2枚の画像間の動き量(垂直方向または水平方向の動きベクトルの大きさまたは、連続する2枚の画像間における映像の移動速度)を表示画素単位で示したときの整数画素を除いた小数部分の量を示している。例えば、動き量がm+γ表示画素(mは0以上の整数、γは0以上1以下の値)である場合、図18の横軸はγを示している。ここで、以下の説明では、上記mを動き量の整数画素成分、上記γを動き量の小数画素成分と呼ぶこととする。
また、fnは表示部の画素数相当のナイキスト周波数である。
このとき、図18に示される従来の映像表示装置におけるローパスフィルタ処理の特性では、映像信号にナイキスト周波数fnよりも高周波成分が存在していたとしても、映像信号中の動き量にかかわらず、ローパスフィルタ処理によってナイキスト周波数fnよりも高周波成分を除去する。
したがって、図18に示す動き量の小数画素成分が0.5表示画素(1/2表示画素)である場合は、図7に示すように観視される画素数が2倍となるが、ローパスフィルタ処理によってナイキスト周波数fn2よりも高周波成分を除去されているために、観視される解像度は向上せず、観視者は映像を高精細に観視することはできない。
これに対し、実施例1に係る映像表示装置100の画像処理部103におけるローパスフィルタ処理の特性を図19に示す。縦軸、横軸については図18と同一である。
図19の例では、映像信号の動き量の小数成分が0の場合は、折り返し歪みの発生を防止するために、映像信号の最大周波数が表示部108のナイキスト周波数fnとなるようにローパスフィルタ処理をおこなう。次に、観視される画素数が2倍となる動き量の小数部分が0.5表示画素の場合は、映像信号の最大周波数をナイキスト周波数fnの2倍である2fnとなるようにローパスフィルタ処理をおこない、観視される解像度を2倍としている。さらに、映像信号の動き量の小数成分が1表示画素の場合は、再び折り返し歪みの発生を防止するために、映像信号の最大周波数がナイキスト周波数fnとなるようにローパスフィルタ処理をおこなう。
ここで、図19においては、画像処理部103に入力される映像信号が表示部108のナイキスト周波数の2倍以上の周波数成分を有している前提で、動き量の小数部分が0.5表示画素の場合は、映像信号の最大周波数をナイキスト周波数fnの2倍である2fnとなるようにしている。
ここで、画像処理部103に入力される映像信号が表示部108のナイキスト周波数の2倍以上の周波数成分を有していない場合は、動き量の小数部分が0.5表示画素の場合に映像信号の周波数成分の高周波成分を除去せず最大まで通過させることにより、観視される解像度を、2倍まで達しなくとも、できるだけ向上させることができる。
すなわち、図19に示される実施例1に係るローパスフィルタ処理では、映像信号の動き量の小数成分が0または1表示画素である場合、すなわち動き量が1表示画素の整数倍である場合に比べて、観視される画素数が2倍となる、動き量の小数部分が0.5表示画素の場合の映像信号の最大周波数またはローパスフィルタのカットオフ波長をより高周波にする。
これにより、実施例1に係る映像表示装置100は、動き量の小数部分が0.5表示画素の場合に観視される解像度を向上させ、高精細な映像表示を実現することが可能となる。
また、図19に示される実施例1に係るローパスフィルタ処理では、映像信号の動き量に応じて、映像信号の周波数成分の最大周波数が表示部のナイキスト周波数より高周波となるようにローパスフィルタのカットオフ周波数を選択し、かつ、映像信号の動き量が1表示画素の整数倍である場合には、表示部のナイキスト周波数以上の映像信号の周波数成分を除去するローパスフィルタ処理をおこなう。
これにより、実施例1に係る映像表示装置100は、高精細な映像表示と折り返し歪みによる画質の劣化の防止を両立することができる。
また、言い換えれば、図19に示される実施例1に係るローパスフィルタ処理では、映像信号の動き量に応じて、表示部のナイキスト周波数より高周波部分にける映像信号の周波数成分の除去帯域を変化させ、映像信号の動き量が1表示画素の整数倍である場合には、映像信号の動き量が1表示画素の整数倍である場合以外の場合に比べて、より広い帯域の高周波成分を除去するローパスフィルタ処理をおこなう。
これにより、実施例1に係る映像表示装置100は、高精細な映像表示と折り返し歪みによる画質の劣化の防止を両立することができる。
ここで、図18、図19の横軸を動き量そのものとした場合のローパスフィルタ処理の特性は、それぞれ図20(a)、図20(b)に示すものとなる。
図20(a)は、従来の映像表示装置のローパスフィルタ処理の特性を示し、映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数である縦軸の周波数は表示部のナイキスト周波数fnで一定である。
これに対し、図20(b)は、実施例1に係る映像表示装置100の画像処理部103のローパスフィルタ処理の特性を示し、映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を、動き量が1表示画素の整数倍の場合にはナイキスト周波数fnとし、動き量が1表示画素の整数倍以外の場合には、ナイキスト周波数fn以上とする周期的な特性となる。この場合の周期は、映像信号の動き量の変化において1表示画素周期である。
すなわち、図20(b)に示されるように、実施例1に係る映像表示装置100は、画像処理部103のローパスフィルタ処理の特性において、映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を、動き量が1表示画素の整数倍の場合に極小値とし、動き量の小数成分が0.5表示画素である場合に極大値となる動き量の変化に対する1表示画素周期の特性とする。
これにより、実施例1に係る映像表示装置100は、高精細な映像表示と折り返し歪みの発生の防止を両立した映像表示を実現することを可能としている。
なお、この場合極小値とは、動き量の増加に対する変化量が減少から増加に変化する値をいい、極大値とは、動き量の増加に対する変化量が増加から減少に変化する値をいう。
また、言い換えれば、実施例1に係る映像表示装置100は、画像処理部103のローパスフィルタ処理において、表示部のナイキスト周波数より高周波部分にける映像信号の周波数成分の除去帯域を、映像信号の動き量に対して1表示画素周期で変化させ、映像信号の動き量が1表示画素の整数倍である場合に、映像信号の動き量が1表示画素の整数倍である場合以外の場合に比べてより広い帯域の高周波成分を除去するローパスフィルタ処理をおこなう。
これにより、実施例1に係る映像表示装置100は、高精細な映像表示と折り返し歪みによる画質の劣化の防止を両立することができる。
以上説明した図18、図19、図20に示す映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数は、表示部108が表示する表示映像から確認することができる。表示映像から映像信号の最大周波数を確認するには、例えば、株式会社次世代PDP開発センター(Advanced PDP Development Center Corporation)が提案する「動画解像度(APDC方式)」(Moving Picture Resolution Measurement System / the APDC Method)と呼ばれる測定方法(動画解像度評価パターンを所定の速度で動かし、カメラの動きを画像の動き速度に合わせて撮像する方法)において、動画解像度評価パターンの表示速度を、上記図18、図19、図20に示す動き量に調整したうえで測定することにより、測定が可能となる。
しかし、表示部108を構成する表示デバイスによっては、映像信号の動き量が大きくなるにつれて、表示部108に表示される表示映像の最大周波数が低下する場合がある。この場合は、図20(a)、図20(b)に示される映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を表示映像の最大周波数として確認すると、それぞれ図21(a)、図21(b)に示すようになる。
この場合、表示部に表示される表示映像の最大周波数は、図20(a)、図20(b)と比較して動き量が大きくなるにつれて傾斜した値となる。
しかし、この場合であっても、実施例1に係る映像表示装置100は、図20(b)に示すように、表示部108に表示する表示映像の最大周波数を、動き量が1表示画素の整数倍の場合に極小値とし、動き量の小数成分が0.5表示画素である場合に極大値となる動き量の変化に対する1表示画素周期の特性とする。
これにより、実施例1に係る映像表示装置100は、高精細な映像表示と折り返し歪みの発生の防止を両立した映像表示を実現することを可能としている。
また、実施例1に係る映像表示装置100は、図20(b)に示すように、表示部108に表示する表示映像の最大周波数について、例えば、動き量m表示画素(mは0以上の整数)の場合の表示映像の最大周波数および動き量m+1表示画素の場合の表示映像の最大周波数よりも、動き量m+0.5表示画素の場合の表示映像の最大周波数がより高周波となるように表示する。
これにより、実施例1に係る映像表示装置100は、高精細な映像表示と折り返し歪みの発生の防止を両立した映像表示を実現することを可能としている。
なお、実施例1に係る映像表示装置100において、図20(b)のように、映像信号の動き量が大きくなるにつれて、表示部108に表示される表示映像の最大周波数が低下する場合であっても、図20(b)に示すように動き量が1表示画素の整数倍であるとき、表示映像の最大周波数を結んだ線H01は、映像信号の動き量に対する最大周波数の低下と同じ傾きを示す。
このとき、映像信号の動き量をvとし、この直線を動き量を変数とする関数の値f(v)とする。ここで、図21(b)において、表示部108の画素数に相当するナイキスト周波数fnに対するf(v)の比の逆数であるfn/f(v)を、表示部108に表示される表示映像から測定する最大周波数に乗ずることにより、図20(b)に示される画像処理部103のローパスフィルタ処理後の映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を算出することが可能である。
なお、以上の説明において、画像処理部103が画像処理する信号は、受信部103から画像処理部103に入力される映像信号であるとして説明したが、映像表示装置100が、他の機器からの映像信号の入力を受ける入力部109を有する場合は、画像処理部103が画像処理する信号は、入力部109から画像処理部103に入力される映像信号であってもよい。
この場合、映像表示装置100は、他の機器から入力される映像信号についても、より高精細に表示することが可能である。
また、映像表示装置100が、セットワークに接続されるサーバからネットワークを介して映像信号を取得するネットワークインターフェース部110を有する場合は、画像処理部103が画像処理する信号は、ネットワークインターフェース部110から画像処理部103に入力される映像信号であってもよい。
この場合、映像表示装置100は、セットワークに接続されるサーバからネットワークを介して取得する映像信号についても、より高精細に表示することが可能である。
また、映像表示装置100が、光ディスク、HDD(ハードディスク・ドライブ)などの磁気ディスク、半導体、などからなるリムーバブルメディアから映像信号を含む記録データを読み出す読出し部111と、読出し部111が読み出した記録データから映像信号を再生する再生制御部113とを有する場合は、画像処理部103が画像処理する信号は、再生制御部113から画像処理部103に入力される映像信号であってもよい。
この場合、映像表示装置100は、リムーバブルメディアに記録される記録データに含まれる映像信号についても、より高精細に表示することが可能である。
また、映像表示装置100が、HDD(ハードディスク・ドライブ)などの磁気ディスク、半導体、などからなる記録部112と、記録部112から映像信号を再生する再生制御部113とを有する場合は、画像処理部103が画像処理する信号は、再生制御部113から画像処理部103に入力される映像信号であってもよい。
この場合、映像表示装置100は、映像表示装置100が有する記録部に記録される記録データに含まれる映像信号についても、より高精細に表示することが可能である。
以上説明した実施例1に係る映像表示装置によれば、表示部の画素数よりも画素数の多い映像を入力する場合など、表示部の画素数相当のナイキスト周波数以上の周波数成分を有する映像信号が入力された場合に、映像信号の動き量に応じて種類の異なるローパスフィルタ処理をおこなうことにより、より高精細な映像表示をおこなうことが可能となる。また、折り返し歪みの発生を低減することが可能となる。
次に、本発明の実施例2に係る映像表示装置の一例について説明する。
本発明の実施例2に係る映像表示装置は、図1に示す実施例1の映像表示装置100に対して、画像処理部103のローパスフィルタ特性が異なるのみであり、その他の部分は共通する。
したがって、画像処理部103のローパスフィルタ特性以外の部分については説明を省略する。
ここで、図6と同様の映像信号に表示される物体が、1フレームあたり1/3表示画素の速度で移動する場合(T0(sec)に1/3表示画素の速度で移動する場合)の時間方向にそれぞれT0(sec)だけ離れた3フレームの画素列と、表示部108を観視する観視者が知覚する画素列を図22に示す。
すると、図6と同様の原理で、表示部108を観視する観視者が知覚する画素数は3倍になることがわかる。
この効果は、1フレームあたり1/3+m表示画素(mは0以上の整数)の速度で移動する場合(T0(sec)に1/3+m表示画素の速度で移動する場合)でも同様である。
このとき、図10と図11と同様の原理で、表示部108に入力する映像信号が、表示部108のナイキスト周波数の3倍の高周波成分を有していれば、図22において観視者が観視する解像度は3倍となる。
よって、実施例2に係る映像表示装置100は、映像信号の高精細表示効果と折り返し歪みの発生の防止を両立するために、画像処理部103のローパスフィルタ処理の特性において、映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を、図23に示す2301のような特性とする。
なお、図23に示す2302は、実施例1に係る映像表示装置におけるローパスフィルタ処理の特性を示している。
すなわち、図23に示す画像処理部103のローパスフィルタ処理の特性においては、動き量の小数画素成分が1/3表示画素、2/3表示画素の場合に、動き量の小数画素成分が0の場合よりも、映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を高くすることにより、図22に示す高解像度化効果を実現できる。
すなわち、実施例2に係る映像表示装置100は、図6の観視画素数2倍時のみならず、図22の観視画素数3倍時においても高解像度化を可能とするものである。
また、図23に示すように、動き量の小数画素成分が1/2表示画素の場合についても、動き量の小数画素成分が0の場合よりも、映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を高くすることにより、実施例1と同様に図11に示す高解像度化効果を実現できる。
このとき、動き量の小数画素成分が0または1表示画素の場合には、映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数がナイキスト周波数fnとなるようにローパスフィルタ処理を行い、折り返し歪みの発生による画質劣化を低減している。
また、上記の高解像度化効果を最大にするためには、動き量の小数画素成分が1/3表示画素、2/3表示画素の場合の映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数は、ナイキスト周波数fnの3倍程度であることが望ましい。
しかし、実施例2の映像表示装置100において、画像処理部103に入力される映像信号が表示部108のナイキスト周波数fnの3倍以上の周波数成分を有していない場合は、動き量の小数部分が1/3表示画素または2/3表示画素の場合に、映像信号の周波数成分の高周波成分を除去せず最大まで通過させることにより、観視される解像度を、3倍まで達しなくとも、できるだけ向上させることができる。
ここで、図23の横軸を動き量そのものとした場合はのローパスフィルタ処理の特性は、図20(c)に示すものとなる。
図20(c)に示されるように、実施例2に係る映像表示装置100の画像処理部103のローパスフィルタ処理の特性においては、実施例1と同じく、映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を、動き量が1表示画素の整数倍の場合にはナイキスト周波数fnとし、動き量が1表示画素の整数倍以外の場合には、ナイキスト周波数fn以上とする周期的な特性としている。この場合の周期は、映像信号の動き量の変化において1表示画素周期である。
これにより、実施例2に係る映像表示装置100は、高精細な映像表示と折り返し歪みの発生の防止を両立した映像表示を実現することを可能としている。
また、言い換えれば、実施例2に係る映像表示装置100は、画像処理部103のローパスフィルタ処理において、表示部のナイキスト周波数より高周波部分にける映像信号の周波数成分の除去帯域を、映像信号の動き量に対して1表示画素周期で変化させ、映像信号の動き量が1表示画素の整数倍である場合に、映像信号の動き量が1表示画素の整数倍である場合以外の場合に比べてより広い帯域の高周波成分を除去するローパスフィルタ処理をおこなう。
これにより、実施例2に係る映像表示装置100は、高精細な映像表示と折り返し歪みによる画質の劣化の防止を両立することができる。
なお、映像信号の動き量が大きくなるにつれて、表示部108に表示される表示映像の最大周波数が低下する場合は、図20(c)に示される映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を表示映像の最大周波数として確認すると、図21(c)に示すようになる。
ここで、図21(c)において、実施例1に示すfn/f(v)を、表示部108に表示される表示映像から測定する最大周波数に乗ずることにより、図20(c)に示される画像処理部103のローパスフィルタ処理後の映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を算出することが可能であることは、実施例1と同様である。
以上説明した実施例2に係る映像表示装置によれば、表示部の画素数よりも画素数の多い映像を入力する場合など、表示部の画素数相当のナイキスト周波数以上の周波数成分を有する映像信号が入力された場合に、映像信号の動き量に応じて種類の異なるローパスフィルタ処理をおこなうことにより、より高精細な映像表示をおこなうことが可能となる。また、折り返し歪みの発生を低減することが可能となる。
次に、本発明の実施例3に係る映像表示装置の一例について説明する。
本発明の実施例3に係る映像表示装置は、図1に示す実施例1の映像表示装置100に対して、画像処理部103のローパスフィルタ特性が異なるのみであり、その他の部分は共通する。
したがって、画像処理部103のローパスフィルタ特性以外の部分については説明を省略する。
実施例3に係る映像表示装置100は、図6および図22と同様の原理で、観視画素数4倍時においても高解像度化を可能とするものである。
ここで、観視画素数が4倍となるのは、映像信号において、1フレームあたり1/4+m表示画素(mは0以上の整数)の速度で移動する場合(T0(sec)に1/4+m表示画素の速度で移動する場合)である。
よって、実施例3に係る映像表示装置100は、映像信号の高精細表示効果と折り返し歪みの発生の防止を両立するために、画像処理部103のローパスフィルタ処理の特性において、映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を、図24に示す2401のような特性とする。
すなわち、図23に示す画像処理部103のローパスフィルタ処理の特性においては、動き量の小数画素成分が1/4表示画素、2/4表示画素、3/4表示画素の場合に、動き量の小数画素成分が0の場合よりも、映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を高くすることにより、観視画素数が4倍となる動き量における高解像度化効果を実現できる。
このとき、動き量の小数画素成分が0または1表示画素の場合には、映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数がナイキスト周波数fnとなるようにローパスフィルタ処理を行い、折り返し歪みの発生による画質劣化を低減している。
また、上記の高解像度化効果を最大にするためには、動き量の小数画素成分が1/4表示画素、2/4表示画素の場合の映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数は、ナイキスト周波数fnの4倍程度であることが望ましい。
また、動き量の小数画素成分が2/4表示画素の場合は、実施例1の図7と同様の状況となるので、観視画素数は2倍までとなるため、映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数は、ナイキスト周波数fnの2倍程度あれば十分である。
しかし、実施例2の映像表示装置100において、画像処理部103に入力される映像信号が表示部108のナイキスト周波数fnの4倍以上の周波数成分を有していない場合は、動き量の小数部分が1/4表示画素または3/4表示画素の場合に、映像信号の周波数成分の高周波成分を除去せず最大まで通過させることにより、観視される解像度を、4倍まで達しなくとも、できるだけ向上させることができる。
ここで、図24の横軸を動き量そのものとした場合のローパスフィルタ処理の特性は、図20(d)に示すものとなる。
図20(d)に示されるように、実施例3に係る映像表示装置100の画像処理部103のローパスフィルタ処理の特性においては、実施例1と同じく、映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を、動き量が1表示画素の整数倍の場合にはナイキスト周波数fnとし、動き量が1表示画素の整数倍以外の場合には、ナイキスト周波数fn以上とする周期的な特性としている。この場合の周期は、映像信号の動き量の変化において1表示画素周期である。
これにより、実施例3に係る映像表示装置100は、高精細な映像表示と折り返し歪みの発生の防止を両立した映像表示を実現することを可能としている。
また、言い換えれば、実施例3に係る映像表示装置100は、画像処理部103のローパスフィルタ処理において、表示部のナイキスト周波数より高周波部分にける映像信号の周波数成分の除去帯域を、映像信号の動き量に対して1表示画素周期で変化させ、映像信号の動き量が1表示画素の整数倍である場合に、映像信号の動き量が1表示画素の整数倍である場合以外の場合に比べてより広い帯域の高周波成分を除去するローパスフィルタ処理をおこなう。
これにより、実施例3に係る映像表示装置100は、高精細な映像表示と折り返し歪みによる画質の劣化の防止を両立することができる。
なお、映像信号の動き量が大きくなるにつれて、表示部108に表示される表示映像の最大周波数が低下する場合は、図20(d)に示される映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を表示映像の最大周波数として確認すると、図21(d)に示すようになる。
ここで、図21(d)において、実施例1に示すfn/f(v)を、表示部108に表示される表示映像から測定する最大周波数に乗ずることにより、図20(d)に示される画像処理部103のローパスフィルタ処理後の映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を算出することが可能であることは、実施例1と同様である。
以上説明した実施例3に係る映像表示装置によれば、表示部の画素数よりも画素数の多い映像を入力する場合など、表示部の画素数相当のナイキスト周波数以上の周波数成分を有する映像信号が入力された場合に、映像信号の動き量に応じて種類の異なるローパスフィルタ処理をおこなうことにより、より高精細な映像表示をおこなうことが可能となる。また、折り返し歪みの発生を低減することが可能となる。
次に、本発明の実施例4に係る映像表示装置の一例について説明する。
本発明の実施例4に係る映像表示装置は、図1に示す実施例1の映像表示装置100に対して、画像処理部103のローパスフィルタ特性が異なるのみであり、その他の部分は共通する。
したがって、画像処理部103のローパスフィルタ特性以外の部分については説明を省略する。
実施例4に係る映像表示装置100は、図6および図22と同様の原理で、観視画素数5倍時においても高解像度化を可能とするものである。
ここで、観視画素数が5倍となるのは、映像信号において、1フレームあたり1/5+m表示画素(mは0以上の整数)の速度で移動する場合(T0(sec)に1/5+m表示画素の速度で移動する場合)である。
よって、実施例4に係る映像表示装置100は、映像信号の高精細表示効果と折り返し歪みの発生の防止を両立するために、画像処理部103のローパスフィルタ処理の特性において、映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を、図25に示す2501のような特性とする。
すなわち、図23に示す画像処理部103のローパスフィルタ処理の特性においては、動き量の小数画素成分が1/5表示画素、2/5表示画素、3/5表示画素、4/5表示画素の場合に、動き量の小数画素成分が0の場合よりも、映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を高くすることにより、観視画素数が5倍となる動き量における高解像度化効果を実現できる。
このとき、動き量の小数画素成分が0または1表示画素の場合には、映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数がナイキスト周波数fnとなるようにローパスフィルタ処理を行い、折り返し歪みの発生による画質劣化を低減している。
また、上記の高解像度化効果を最大にするためには、動き量の小数画素成分が1/5表示画素、2/5表示画素、3/5表示画素、4/5表示画素の場合の映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数は、ナイキスト周波数fnの5倍程度であることが望ましい。
しかし、実施例4の映像表示装置100において、画像処理部103に入力される映像信号が表示部108のナイキスト周波数fnの5倍以上の周波数成分を有していない場合は、動き量の小数部分が1/5表示画素、2/5表示画素、3/5表示画素、4/5表示画素の場合に、映像信号の周波数成分の高周波成分を除去せず最大まで通過させることにより、観視される解像度を、5倍まで達しなくとも、できるだけ向上させることができる。
ここで、図25の横軸を動き量そのものとした場合のローパスフィルタ処理の特性は、図20(e)に示すものとなる。
図20(e)に示されるように、実施例3に係る映像表示装置100の画像処理部103のローパスフィルタ処理の特性においては、実施例1と同じく、映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を、動き量が1表示画素の整数倍の場合にはナイキスト周波数fnとし、動き量が1表示画素の整数倍以外の場合には、ナイキスト周波数fn以上とする周期的な特性としている。この場合の周期は、映像信号の動き量の変化において1表示画素周期である。
これにより、実施例4に係る映像表示装置100は、高精細な映像表示と折り返し歪みの発生の防止を両立した映像表示を実現することを可能としている。
また、言い換えれば、実施例3に係る映像表示装置100は、画像処理部103のローパスフィルタ処理において、表示部のナイキスト周波数より高周波部分にける映像信号の周波数成分の除去帯域を、映像信号の動き量に対して1表示画素周期で変化させ、映像信号の動き量が1表示画素の整数倍である場合に、映像信号の動き量が1表示画素の整数倍である場合以外の場合に比べてより広い帯域の高周波成分を除去するローパスフィルタ処理をおこなう。
これにより、実施例4に係る映像表示装置100は、高精細な映像表示と折り返し歪みによる画質の劣化の防止を両立することができる。
なお、映像信号の動き量が大きくなるにつれて、表示部108に表示される表示映像の最大周波数が低下する場合は、図20(e)に示される映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を表示映像の最大周波数として確認すると、図21(e)に示すようになる。
ここで、図21(e)において、実施例1に示すfn/f(v)を、表示部108に表示される表示映像から測定する最大周波数に乗ずることにより、図20(e)に示される画像処理部103のローパスフィルタ処理後の映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を算出することが可能であることは、実施例1と同様である。
以上説明した実施例4に係る映像表示装置によれば、表示部の画素数よりも画素数の多い映像を入力する場合など、表示部の画素数相当のナイキスト周波数以上の周波数成分を有する映像信号が入力された場合に、映像信号の動き量に応じて種類の異なるローパスフィルタ処理をおこなうことにより、より高精細な映像表示をおこなうことが可能となる。また、折り返し歪みの発生を低減することが可能となる。
次に、本発明の実施例5に係る映像表示装置の一例について説明する。
本発明の実施例5に係る映像表示装置は、図1に示す実施例1の映像表示装置100に対して、画像処理部103のローパスフィルタ特性が異なるのみであり、その他の部分は共通する。
したがって、画像処理部103のローパスフィルタ特性以外の部分については説明を省略する。
実施例5に係る映像表示装置100は、図6および図22と同様の原理で、観視画素数i倍時(iは3以上の整数)において、高解像度化を可能とし、かつローパスフィルタ処理の特性を簡略化し、ローパスフィルタ特性の切替処理にかかる処理量を低減したものである。
ここで、図26に示すとおり、映像信号において、1フレームあたり1/i+m表示画素(mは0以上の整数)の速度で移動する場合(T0(sec)に1/i +m表示画素の速度で移動する場合)に、原理上、観視画素数がi倍となる。
ここで、実施例5に係る映像表示装置100は、映像信号の高精細表示効果とを実現するために、画像処理部103のローパスフィルタ処理の特性において、映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を、図27に示す2701のような特性とする。
すなわち、図27に示す画像処理部103のローパスフィルタ処理の特性においては、動き量の小数画素成分が1/i表示画素、2/i表示画素…i-2/i表示画素、i-1/i表示画素のいずれの場合も、動き量の小数画素成分が0の場合よりも、映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を高くすることにより、観視画素数がi倍となる動き量における高解像度化効果を実現できる。
このとき、動き量の小数画素成分が0または1表示画素の場合には、映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数がナイキスト周波数fnとなるようにローパスフィルタ処理を行い、折り返し歪みの発生による画質劣化を低減している。
ここで。図27の例では、映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を、動き量の小数画素成分が0の場合は、ナイキスト周波数fnとし、動き量の小数画素成分が1/i表示画素の場合は、周波数fnのi倍とし、
動き量の小数画素成分が1/i表示画素〜i-1/i表示画素までは、映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を一定とし、動き量の小数画素成分が1の場合に再び、ナイキスト周波数fnとしている。
これにより、図23、図24,図25に示すローパスフィルタ処理の特性と比較して、ローパスフィルタ処理を切り替えを行う必要のない動き量(動き量の小数画素成分が1/i表示画素〜i-1/i表示画素まで)が多く、ローパスフィルタ処理の切り替えにかかる処理量を低減することが可能である。
また、ローパスフィルタ処理の特性そのものを簡便化することが可能となる。
ここで、仮にiを無限大と考えた場合は、1/i表示画素は0画素に近づき、i-1/i表示画素は1に近づく。また、図27に示すi×fnは無限大となり、これはローパスフィルタによる高周波成分除去を行わないことを意味する。
すなわちこの場合は、実施例5に係る映像表示装置100は、映像信号の動き量が1表示画素の整数倍の場合は、映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数をナイキスト周波数fnとし、その他の場合にはローパスフィルタ処理をオフとする単純なローパスフィルタ処理の特性となる。
ここで、図25の横軸を動き量そのものとした場合はローパスフィルタ処理の特性は、図20(f)に示すものとなる。
図20(f)に示されるように、実施例3に係る映像表示装置100の画像処理部103のローパスフィルタ処理の特性においては、実施例1と同じく、映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を、動き量が1表示画素の整数倍の場合にはナイキスト周波数fnとし、動き量が1表示画素の整数倍以外の場合には、ナイキスト周波数fn以上とする周期的な特性としている。この場合の周期は、映像信号の動き量の変化において1表示画素周期である。
これにより、実施例5に係る映像表示装置100は、高精細な映像表示を比較的簡便なローパスフィルタ処理の切替により実現することを可能としている。
また、言い換えれば、実施例5に係る映像表示装置100は、画像処理部103のローパスフィルタ処理において、表示部のナイキスト周波数より高周波部分にける映像信号の周波数成分の除去帯域を、映像信号の動き量に対して1表示画素周期で変化させ、映像信号の動き量が1表示画素の整数倍である場合に、映像信号の動き量が1表示画素の整数倍である場合以外の場合に比べてより広い帯域の高周波成分を除去するローパスフィルタ処理をおこなう。
これにより、実施例5に係る映像表示装置100は、高精細な映像表示を比較的簡便なローパスフィルタ処理の切替により実現することを可能としている。
なお、映像信号の動き量が大きくなるにつれて、表示部108に表示される表示映像の最大周波数が低下する場合は、図20(f)に示される映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を表示映像の最大周波数として確認すると、図21(f)に示すようになる。
ここで、図21(f)において、実施例1に示すfn/f(v)を、表示部108に表示される表示映像から測定する最大周波数に乗ずることにより、図20(e)に示される画像処理部103のローパスフィルタ処理後の映像信号の最大周波数またはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を算出することが可能であることは、実施例1と同様である。
以上説明した実施例5に係る映像表示装置によれば、表示部の画素数よりも画素数の多い映像を入力する場合など、表示部の画素数相当のナイキスト周波数以上の周波数成分を有する映像信号が入力された場合に、より簡便なローパスフィルタ処理の切替により、高精細な映像表示をおこなうことが可能となる。
次に、本発明の実施例6に係る映像表示装置の一例について、図28を用いて説明する。
本発明の実施例6に係る映像表示装置は、実施例1乃至実施例5の映像表示装置100に対して、画像処理部103を、図28に示す画像処理部2801としたものである。画像処理部以外の構成は共通する。
したがって、画像処理部以外の部分については説明を省略する。
画像処理部2801は、図1に示される画像処理部103の動き適応スケーラー104がおこなうローパスフィルタ処理、画像縮小処理を、水平方向と垂直方向とにそれぞれ行うものである。
ここで、図28に示す画像処理部2801の一例は、動き探索部106、水平方向のローパスフィルタ処理、画像縮小処理を行う水平方向動き適応スケーラー2802、画像処理対象の画像における画像処理対象画素の水平位置を算出する水平画素位置算出部2803、判定部2804、垂直方向のローパスフィルタ処理、画像縮小処理を行う水平方向動き適応スケーラー2805、画像処理対象の画像における画像処理対象画素の垂直位置を算出する垂直画素位置算出部2806、判定部2807から構成される。
ここで、動き探索部106は実施例1と同様であるため、説明を省略する。
次に、水平画素位置算出部2803は、画像処理対象の画像における画像処理対象画素の水平位置を算出し、判定部2804に出力する。
判定部2804は、水平画素位置算出部2803が算出する画像処理対象画素についての水平方向の画素位置の情報を取得し、動き探索部106が算出する当該画像処理対象画素についての動きベクトル、動き量のうち、水平方向の成分をもちいて、前記水平方向動き適応スケーラー2802における水平方向のローパスフィルタ処理の種類を選択し、水平方向動き適応スケーラー2802に指示信号を出力する。
動き適応スケーラー2802は、複数の種類の異なるローパスフィルタLPFH1、LPFH2、・・・LPFHnとスイッチ2805を有し、判定部2804の指示により、処理をおこなうローパスフィルタを切り替える。
複数の種類の異なるローパスフィルタLPFH1、LPFH2、・・・LPFHnを構成するフィルタのタップフィルタの係数の一例は、例えば、図4の(a)〜(d)に示されるフィルタを用いればよい。
次に、垂直画素位置算出部2807は、画像処理対象の画像における画像処理対象画素の垂直位置を算出し、判定部2808に出力する。
判定部2808は、垂直画素位置算出部2807が算出する画像処理対象画素についての垂直方向の画素位置の情報を取得し、動き探索部106が算出する当該画像処理対象画素についての動きベクトル、動き量のうち、垂直方向の成分をもちいて、前記垂直方向動き適応スケーラー2806における垂直方向のローパスフィルタ処理の種類を選択し、垂直方向動き適応スケーラー2806に指示信号を出力する。
動き適応スケーラー2806は、複数の種類の異なるローパスフィルタLPFV1、LPFV2、・・・LPFVnとスイッチ2809を有し、判定部2808の指示により、処理をおこなうローパスフィルタを切り替える。
複数の種類の異なるローパスフィルタLPFV1、LPFV2、・・・LPFVnを構成するフィルタのタップフィルタの係数の一例は、例えば、図5の(a)〜(d)に示されるフィルタを用いればよい。
ここで、この画像処理部2801において、水平画素位置算出部2803、判定部2804、水平方向動き適応スケーラー2802からなる1次元のスケーラーの処理は、垂直画素位置算出部2807、判定部2808、前記垂直方向動き適応スケーラー2806からなる1次元のスケーラーの処理は、実施例1乃至実施例5に示す画像処理部の処理を、それぞれ、水平方向、垂直方向に行うものである。
よって、映像信号中の物体の動き量の水平方向成分、垂直方向成分の大きさに応じて、それぞれの方向のローパスフィルタ処理を独立に切り替えることにより、それぞれの方向について実施例1乃至実施例5に示す高精細な映像表示の効果を実現することができる。
以上説明した実施例6に係る映像表示装置によれば、実施例1乃至実施例5に示す高精細な映像表示の効果を1次元方向のみならず2次元方向において実現できる。
すなわち、表示部の画素数よりも画素数の多い映像を入力する場合など、表示部の画素数相当のナイキスト周波数以上の周波数成分を有する映像信号が入力された場合に、映像信号の動き量、動き方向に応じて、垂直方向、水平方向のそれぞれに種類の異なるローパスフィルタ処理をおこなうことにより、より高精細な映像表示をおこなうことが可能となる。また、折り返し歪みの発生を低減することが可能となる。
次に、本発明の実施例7に係る映像表示装置の一例について、図29を用いて説明する。
本発明の実施例7に係る映像表示装置は、実施例1乃至実施例6の映像表示装置100に対して、画像処理部103を、図29に示す画像処理部2901としたものである。画像処理部以外の構成は共通する。
したがって、画像処理部以外の部分については説明を省略する。
画像処理部2901は、画素位置算出部105、動き探索部106、動き適応スケーラー(ローパスフィルター)2902、係数発生部2903により構成することができる。
ここで、画素位置算出部105、動き探索部106の動作については、実施例1と同様であるので説明を省略する。
次に、動き適応スケーラー(ローパスフィルター)2902は、実施例1の動き適応スケーラー104と異なり、複数のローパスフィルタを切り替えるのではなく、係数発生部2903が生成する係数に従って、図EEE1または図4に示されるようなタップフィルタの係数を変更することにより、複数の種類のローパスフィルタ処理および画像縮小処理を選択的に行うものである。
なお、係数発生部2903は、画素位置算出部105が算出する画像処理対象画素についての画素位置の情報を取得し、動き探索部106が算出する当該画像処理対象画素についての動きベクトル、動き量をもちいて、前記動き適応スケーラー(ローパスフィルター)2902におけるローパスフィルタ処理の種類を選択し、動き適応スケーラー(ローパスフィルター)2902のタップフィルタを変更するための係数を算出して出力する。
例えば、実施例7の画像処理部2901が、実施例1乃至実施例5に示す画像処理部103と同様の1次元方向のローパスフィルタ処理を行う場合は、例えば、水平方向のローパスフィルタ処理であれば、係数発生部2903の算出するタップフィルタの係数の一例は、例えば、図4の(a)〜(d)に示されるフィルタとすればよい。また例えば、垂直方向のローパスフィルタ処理であれば、係数発生部2903の算出するタップフィルタの係数の一例は、例えば、図5の(a)〜(d)に示されるフィルタとすればよい。
さらに、例えば、実施例7の画像処理部2901が、実施例6に示す画像処理部103と同様の2元方向のローパスフィルタ処理を行う場合は、例えば、係数発生部2903の算出するタップフィルタの係数の一例は、例えば、図30の(a)〜(d)に示されるフィルタとすればよい。なお、図30(a)は、水平方向に図4(a)のローパスフィルタ、垂直方向に図5(b)のローパスフィルタを行う場合の例である。図30(b)は、水平方向に図4(b)のローパスフィルタ、垂直方向に図5(c)のローパスフィルタを行う場合の例である。図30(c)は、水平方向に図4(c)のローパスフィルタ、垂直方向に図5(d)のローパスフィルタを行う場合の例である。図30(d)は、水平方向に図4(d)のローパスフィルタ、垂直方向に図5(a)のローパスフィルタを行う場合の例である。
以上説明した実施例7に係る映像表示装置は、実施例1乃至実施例6における効果に加えて、画像処理部における複数の種類のローパスフィルタ処理の切り替え処理を、より少ないハードウェア構成で実現することが可能であるという効果を有する。
次に、本発明の実施例8に係る映像表示装置の一例について説明する。
本発明の実施例8に係る映像表示装置3100は、図1に示す実施例1の映像表示装置100に対して、新たに画像高解像度化部3101を備える点で相違する。
また、画像処理部3102は、図1に示す実施例1〜5の画像処理部103または、図28に示す実施例6に係る画像処理部2801、図29に示す実施例7に係る画像処理部2901のいずれかである。これらの画像処理部の処理の詳細は、各実施例と同様であるため説明を省略する。
また、映像表示装置3100のその他の部分は実施例1の映像表示装置100と共通するため、説明を省略する。
実施例1〜実施例7では、各実施例の画像処理部は、入力される映像信号に含まれる画像について、表示部108の表示画素数に適合するように画像のサイズを縮小する処理をおこなっている。
すなわち、実施例1〜実施例7では、表示部108の表示画素数よりも、映像表示装置100が受信などにより取得する画像の画素数が大きいことが前提である。
これに対し、本実施例では、映像表示装置3100が受信などにより取得する映像信号を、画像高解像度化部3101が高解像度化しながら、画素数を増加させ、当該画素数を増加させた映像を画像処理部3102に入力する。
これにより、例えば、映像表示装置3100が受信などにより取得する映像信号の画素数が、表示部108の表示画素数と同じもしくはこれより少ない場合であっても、表示部の画素数相当のナイキスト周波数以上の高精細な映像表示をおこなうことが可能となる。
このとき、高精細な映像表示の効果を得るためには、画像高解像度化部3101は、高解像度化後の映像の画素数が、縦方向または横方向のいずれかにおいて、表示部の画像数よりも多くなるように、映像の高解像度化処理を行う必要がある。
また、画像高解像度化部3101が高解像度化した映像信号が表示部108の表示画素数よりも大きい場合は、表示の際に折返し歪みが発生する可能性があるが、画像処理部3102において、実施例1〜実施例7に示したローパスフィルタ処理を行うことにより、これを低減することが可能となる。
ここで、実施例8に係る映像表示装置3100が取り扱う画像サイズについて図41を用いて説明する。図41の各例に示す画像高解像度化処理とは、実施例8に係る映像表示装置3100の画像高解像度化部3101において行われる画像高解像度化処理である。図41の各例に示す画像縮小処理とは、実施例8に係る映像表示装置3100の画像処理部3102において行われる画像縮小処理である。
図41において、画像4101、画像4104、画像4106は、画像高解像度化部3101に入力される画像である。画像4102、画像4105、画像4107は、画像高解像度化部3101により高解像度化された後の画像である。また、画像4103は、画像処理部3102において縮小されたのち、表示部に表示される画像である。
ここで、Yは画像4101、画像4104、画像4106の画像の縦方向の画素数、Xは画像4101、画像4104、画像4106の画像の横方向の画素数である。
また、aは画像高解像度化部3101における高解像度化処理の画像の縦方向の拡大率、bは画像高解像度化部3101における高解像度化処理の画像の横方向の拡大率である。
また、αは画像処理部3102における高解像度化処理の画像の縦方向の縮小率、βは画像処理部3102における高解像度化処理の画像の横方向の縮小率である。
まず、図41(a)の例について説明する。図41(a)の例では、画像4101と画像4103の画像の画素数が同じ場合を示している。すなわち、Y=Y×a×α、X=X×b×βであり、a=1/α、b=1/βである。
実施例8に係る映像表示装置3100では、図41(a)に示すように、映像表示装置3100が受信などにより取得する映像信号の画素数が、表示部108の表示画素数と同じ場合であっても、画像高解像度化部3101における高解像度化処理をおこなうことによって、実施例1〜7と同様に、より高精細な映像表示をおこなうことができる。
次に、図41(b)の例について説明する。図41(b)の例では、画像4104が画像4103のよりも画素数が小さい場合を示している。すなわち、Y<Y×a×α、X<X×b×βであり、a>1/α、b>1/βである。
実施例8に係る映像表示装置3100では、図41(b)に示すように、映像表示装置3100が受信などにより取得する映像信号の画素数が、表示部108の表示画素数とよりも小さい場合であっても、画像高解像度化部3101における高解像度化処理をおこなうことによって、実施例1〜7と同様に、より高精細な映像表示をおこなうことができる。
次に、図41(c)の例について説明する。図41(c)の例では、画像4106が画像4103のよりも画素数が大きい場合を示している。すなわち、Y>Y×a×α、X>X×b×βであり、a<1/α、b<1/βである。
実施例8に係る映像表示装置3100では、図41(c)に示すように、映像表示装置3100が受信などにより取得する映像信号の画素数が、表示部108の表示画素数とよりも大きい場合に、実施例1〜7と同様に、より高精細な映像表示をおこなうことができるが、画像高解像度化部3101における高解像度化処理により、一旦画像の画素数を画像4107の大きさまで拡大した後、縮小処理を行う。これにより、高解像度化処理を伴わない実施例1〜7に比べて、縮小処理に前後の画素数の差が大きくなり、より高精細な映像表示をおこなうことができる。この原理については、実施例1〜7に示したとおりであるので、説明を省略する。
次に、図32〜図40を用いて本実施例に係る画像高解像度化部3101について説明する。
次に、実施例8に係る画像高解像度化部3101による高解像度化処理の詳細について説明する。
以下の画像高解像度化部3101の説明において、画像高解像度化部3101に入力する画像は、フレーム単位、フィールド単位のいずれでもかまわないが、説明の簡略化のためフレーム単位の画像であるとして説明する。
まず、画像高解像度化部3101は、例えば、(1)位置推定、(2)広帯域補間、(3)加重和、の3つの処理により高解像度化を行う。ここで、(1)位置推定は、入力された複数の画像フレームの各画像データを用いて、各画像データのサンプリング位相(標本化位置)の差を推定するものである。(2)広帯域補間は、各画像データを折返し成分も含め、原信号の高周波成分をすべて透過する帯域の広いローパスフィルタを用いて画素数(サンプリング点)を補間して増やし、画像データを高密度化するものである。(3)加重和は、各高密度化データのサンプリング位相に応じた重み係数により加重和をとることによって、画素サンプリングの際に生じた折返し成分を打ち消して除去するとともに、同時に原信号の高周波成分を復元するものである。
図33に、この高解像度化技術の概要を示す。同図(a)に示すように、異なる時間軸上のフレーム#1(3301)、フレーム#2(3302)、フレーム#3(3303)が入力され、これらを合成して出力フレーム(3306)を得ることを想定する。簡単のため、まず被写体が水平方向に移動(3304)した場合を考え、水平線(3305)の上の1次元の信号処理によって高解像度化することを考える。このとき、同図(b)と同図(d)に示すように、フレーム#2(3302)とフレーム#1(3301)では、被写体の移動(3304)の量に応じて信号波形の位置ずれが生じる。上記(1)位置推定によってこの位置ずれ量を求め、同図(c)に示すように、位置ずれが無くなるようにフレーム#2(3302)を動き補償(3307)するとともに、各フレームの画素(3308)のサンプリング位相(3309)(3310)の間の位相差θ(3311)を求める。この位相差θ(3311)に基づき、上記(2)広帯域補間および(3)加重和を行うことにより、同図(e)に示すように、元の画素(3308)のちょうど中間(位相差θ=π)の位置に新規画素(3312)を生成することにより、高解像度化を実現する。 (3)加重和については後述する。なお、実際には被写体の動きが平行移動だけでなく、回転や拡大・縮小などの動きを伴うことも考えられるが、フレーム間の時間間隔が微小な場合や被写体の動きが遅い場合には、これらの動きも局所的な平行移動に近似して考えることができる。
このとき、画像高解像度化部3101の第一の構成例は、参考文献1、参考文献2もしくは非特許文献2に記載の高解像度処理を行う構成とすることである。この場合、上記(3)の加重和を行う際に、図34に示すように、少なくとも3枚のフレーム画像の信号を用いれば、1次元方向の2倍の高解像度化が可能である。
〔参考文献1〕特開平8−336046号
〔参考文献2〕特開平9−69755号
ここで、図34をもちいて、画像高解像度化部3101の第一の構成例における高解像度化処理ついて説明する。図34は、1次元の周波数領域で、各成分の周波数スペクトルを示した図である。同図において、周波数軸からの距離が信号強度を表し、周波数軸を中心とした回転角が位相を表す。上記(3)の加重和について、以下に詳しく説明する。
上記(2)の広帯域補間にて、ナイキスト周波数の2倍の帯域(周波数0〜サンプリング周波数fsまでの帯域)を透過する広帯域ローパスフィルタによって画素補間すると、原信号と同じ成分(以下、原成分)と、サンプリング位相に応じた折返し成分の和が得られる。このとき、3枚のフレーム画像の信号に対して上記(2)広帯域補間の処理を行うと、図34(a)に示すように、各フレームの原成分(3401)(3402)(3403)の位相はすべて一致し、折返し成分(3404)(3405)(3406)の位相は各フレームのサンプリング位相の差に応じて回転することがよく知られている。それぞれの位相関係をわかりやすくするために、各フレームの原成分の位相関係を同図(b)に示し、各フレームの折返し成分の位相関係を同図(c)に示す。
ここで、3枚のフレーム画像の信号に対して、乗算する係数を適切に選択して上記(3)加重和を行うことにより、各フレームの折返し成分(3404)(3405)(3406)を互いに打ち消して除去することができ、原成分だけを抽出できる。このとき、各フレームの折返し成分(3404)(3405)(3406)のベクトル和を0にする、すなわち、Re軸(実軸)の成分とIm軸(虚軸)の成分を両方ともに0とするためには、少なくとも3つの折返し成分が必要となる。従って、少なくとも3枚のフレーム画像の信号を用いることにより、2倍の高解像度化を実現すること、すなわち1個の折返し成分を除去することができる。
次に、図32に画像高解像度化部3101の第二の構成例を示す。この場合、少なくとも2枚のフレーム画像の信号を用いれば、1次元方向の2倍の高解像度化が可能である。以下に詳細を説明する。
まず、画像高解像度化部3101の入力部3200に複数の画像が入力される。
次に、位置推定部3201により、入力部3200に入力されたフレーム#1上の処理対象の画素のサンプリング位相(標本化位置)を基準として、フレーム#2上の対応する画素の位置を推定し、サンプリング位相差θ3202を求める。なお、このサンプリング位相差θ3202は、動きベクトル情報と等価な情報である。サンプリング位相差θ3202の算出は、例えば、動き探索処理を行うことで可能である。
次に、動き補償・アップレート部3215のアップレート器3203,3204により、位相差θ3202の情報を用いてフレーム#2を動き補償してフレーム#1と位置を合わせるとともに、フレーム#1とフレーム#2の画素数をそれぞれ2倍に増して高密度化する。位相シフト部3216では、この高密度化したデータの位相を一定量だけシフトする。ここで、データの位相を一定量だけシフトする手段として、π/2位相シフト器3206,3208を用いることができる。また、π/2位相シフト器3206,3208で生じる遅延を補償するために、遅延器3205,3207により高密度化したフレーム#1とフレーム#2の信号を遅延させる。折返し成分除去部3217では、遅延器3205,3207とヒルベルト変換器3206,3208の各出力信号に対して、係数決定器3209にて位相差θ3202をもとに生成した係数C0,C2,C1,C3を乗算器3210,3211,3212,3213にてそれぞれ乗算し、加算器3214にてこれらの信号を加算して出力を得る。この出力は、出力部3218から出力される。
なお、位置推定部3201は、上記従来技術をそのまま用いて実現することができる。アップレート器3203,3204、π/2位相シフト器3206,3208、折返し成分除去部3217の各詳細については後述する。
図35に、図32の画像高解像度化部3101の第二の構成例における動作を示す。同図は、図32に示した遅延器3205,3207とπ/2位相シフト器3206,3208の各出力を1次元の周波数領域で示したものである。同図(a)において、遅延器3205,3207から出力されたアップレート後のフレーム#1とフレーム#2の信号はそれぞれ、原成分3501,3502と、元のサンプリング周波数(fs)から折り返された折返し成分3505,3506を加えた信号となる。このとき、折返し成分3506は上述の位相差θ3202だけ位相が回転している。一方、π/2位相シフト器3206,3208から出力されたアップレート後のフレーム#1とフレーム#2の信号はそれぞれ、π/2位相シフト後の原成分3503,3504と、π/2位相シフト後の折返し成分3507,3508を加えた信号となる。同図(b)および同図(c)は、同図(a)に示した各成分の位相関係をわかりやすくするために、原成分と折返し成分をそれぞれ抜き出して示したものである。ここで、同図(b)に示す4つの成分のベクトル和を取ったときに、Re軸の成分を1とし、Im軸の成分を0とするとともに、同図(c)に示す4つの成分のベクトル和を取ったときに、Re軸とIm軸の両方の成分を0とするように、各成分に乗算する係数を決定して加重和をとれば、折返し成分を打ち消してキャンセルし、原成分だけを抽出することができる。すなわち、2枚のフレーム画像だけを用いて、1次元方向の2倍の高解像度化行う画像信号処理装置を実現できる。この係数決定方法の詳細については後述する。
図36に、図32の画像高解像度化部3101の第二の構成例に用いるアップレート器3203,3204の動作を示す。同図において、横軸は周波数を、縦軸は利得(入力信号振幅に対する出力信号振幅の比の値)を表し、アップレート器3203,3204の「周波数-利得」特性を示している。ここで、アップレート器3203,3204では、もとの信号のサンプリング周波数(fs)に対して2倍の周波数(2fs)を新しいサンプリング周波数とし、もとの画素間隔のちょうど中間の位置に新しい画素のサンプリング点(=ゼロ点)を挿入することによって画素数を2倍にして高密度化するとともに、-fs〜+fsの間の周波数をすべて利得2.0の通過帯域とするフィルタをかける。このとき、同図に示すように、デジタル信号の対称性により、2fsの整数倍の周波数ごとに繰り返す特性となる。
図37に、図32の画像高解像度化部3101の第二の構成例に用いるアップレート器3203,3204の具体例を示す。同図は、図36に示した周波数特性を逆フーリエ変換して得られるフィルタのタップ係数を示している。このとき、各タップ係数Ck(ただし、kは整数)は一般的に知られているsinc関数となり、サンプリングの位相差θ3202を補償するために(-θ)だけシフトし、Ck=2sin(πk+θ)/(πk+θ)とすればよい。なお、アップレート器3203では、位相差θ3202を0とおき、Ck=2sin(πk)/(πk)とすればよい。また、位相差θ(102)を、整数画素単位(2π)の位相差+小数画素単位の位相差で表すことにより、整数画素単位の位相差の補償については単純な画素シフトにより実現し、小数画素単位の位相差の補償については上記アップレート器3203,3204のフィルタを用いてもよい。
図38に、図32の画像高解像度化部3101の第二の構成例に用いるπ/2位相シフト器3206,3208の動作例を示す。π/2位相シフト器3206,3208として、一般に知られているヒルベルト変換器を用いることができる。同図(a)において、横軸は周波数を、縦軸は利得(入力信号振幅に対する出力信号振幅の比の値)を表し、ヒルベルト変換器の「周波数-利得」特性を示している。ここで、ヒルベルト変換器では、もとの信号のサンプリング周波数(fs)に対して2倍の周波数(2fs)を新しいサンプリング周波数として、-fs〜+fsの間の0を除く周波数成分をすべて利得1.0の通過帯域とする。また、同図(b)において、横軸は周波数を、縦軸は位相差(入力信号位相に対する出力信号位相の差)を表し、ヒルベルト変換器の「周波数-位相差」特性を示している。ここで、0〜fsの間の周波数成分についてはπ/2だけ位相を遅らせ、0〜-fsの間の周波数成分についてはπ/2だけ位相を進ませる。このとき、同図に示すように、デジタル信号の対称性により、2fsの整数倍の周波数ごとに繰り返す特性となる。
図39に図32の画像高解像度化部3101の第二の構成例に用いるπ/2位相シフト器3206,3208をヒルベルト変換器で構成した例を示す。同図は、図38に示した周波数特性を逆フーリエ変換して得られるフィルタのタップ係数を示している。このとき、各タップ係数Ckは、k=2m(ただしmは整数)のときはCk=0とし、k=2m+1のときはCk=-2/(πk)とすればよい。
なお、本発明の第1の実施例に用いるπ/2位相シフト器3206,3208は、微分器を用いることも可能である。この場合、正弦波を表す一般式cos(ωt+α)をtで微分して1/ωを乗じると、d(cos(ωt+α))/dt*(1/ω)=-sin(ωt+α)=cos(ωt+α+π/2)となり、π/2位相シフトの機能を実現できる。すなわち、対象とする画素の値と隣接画素の値との差分を取ったのちに、1/ωの「周波数-振幅」特性を持ったフィルタを掛けることによってπ/2位相シフトの機能を実現してもよい。
図40に、図32の画像高解像度化部3101の第二の構成例に用いる係数決定器(109)の動作と具体例を示す。同図(a)に示すように、図35(b)に示した4つの成分のベクトル和を取ったときに、Re軸の成分を1とし、Im軸の成分を0とするとともに、図35(c)に示した4つの成分のベクトル和を取ったときに、Re軸とIm軸の両方の成分を0とするように、各成分に乗算する係数を決定すれば、2枚のフレーム画像だけを用いて、1次元方向の2倍の高解像度化行う画像信号処理装置を実現できる。図1に示すように、遅延器(105)の出力(アップレート後のフレーム#1の原成分と折返し成分の和)に対する係数をC0、π/2位相シフト器3206の出力(アップレート後のフレーム#1の原成分と折返し成分のそれぞれのπ/2位相シフト結果の和)に対する係数をC1、遅延器3207の出力(アップレート後のフレーム#2の原成分と折返し成分の和)に対する係数をC2、ヒルベルト変換器3206の出力(アップレート後のフレーム#2の原成分と折返し成分のそれぞれのπ/2位相シフト結果の和)に対する係数をC3、として図40(a)の条件を満たすようにすると、図35(b)および図35(c)に示した各成分の位相関係から、図40(b)に示す連立方程式を得ることができ、これを解くと図40(c)に示す結果を導くことができる。係数決定器3209は、このようにして得た係数C0、C1、C2、C3を出力すればよい。一例として、位相差θ3202をπ/8ごとに0〜2πまで変化させたときの係数C0、C1、C2、C3の値を、図40(d)に示す。これは、もとのフレーム#2の信号を、1/16画素の精度で位置推定し、フレーム#1に対して動き補償した場合に相当する。
なお、アップレート器3203,3204およびπ/2位相シフト器3206,3207は、理想的な特性を得るためには無限大のタップ数を必要とするが、タップ数を有限個で打ち切って簡略化しても実用上問題ない。このとき、一般的な窓関数(例えばハニング窓関数やハミング窓関数など)を用いてもよい。簡略化したヒルベルト変換器の各タップの係数を、C0を中心として左右点対象の値、すなわちC(-k)=-Ck(kは整数)とすれば、位相を一定量だけシフトすることができる。
以上説明したように、図31の画像高解像度化部3101の構成を図32乃至図40において説明した構成とすることにより、複数の画像から高解像度化した画像を生成することが可能となる。
特に、図32に示した画像高解像度化部3101の第二の構成によれば、2枚の画像から1枚の高解像画像を生成することが可能となる。
以上説明した画像高解像度化部3101における高解像度画像の生成処理を繰り返すことにより、複数の画像からなる映像を複数の高解像度画像からなる高画素数映像へと変換することが可能となる。
実施例8に係る映像表示装置では、以上説明した処理により、画像高解像度化部3101において映像信号を高解像度化して映像信号の画素数を増加させたのち、画像処理部3102に画素数を増加させた映像を入力する。
この画素数を増加した映像に対し、画像処理部3102が、実施例1〜実施例7に説明した処理を行うことにより、映像表示装置3100が受信などにより取得する映像信号の画素数が、表示部108の表示画素数と同じもしくはこれより少ない場合であっても、表示部の画素数相当のナイキスト周波数以上の高精細な映像表示をおこなうことが可能となる。
以上説明した実施例8に係る映像表示装置によれば、表示部の画素数と画素数が同じ、もしくは画素数の少ない映像信号を入力する場合であっても、高解像度化処理を行い、映像信号の動き量に応じて種類の異なるローパスフィルタ処理をおこなうことにより、より高精細な映像表示をおこなうことが可能となる。また、折り返し歪みの発生を低減することが可能となる。
本発明の実施例1に係る映像表示装置の一例の説明図である。
本発明の実施例1に係る画像縮小処理の一例の説明図である。
本発明の実施例1に係るローパスフィルタ処理の一例の説明図である。
本発明の実施例1に係るローパスフィルタ処理のタップフィルタ係数の一例の説明図である。
本発明の実施例1に係るローパスフィルタ処理のタップフィルタ係数の一例の説明図である。
観視される画素列の一例の説明図である。
観視される画素列の一例の説明図である。
従来の映像表示装置における画像縮小処理とローパスフィルタ処理の一例の説明図である。
従来の映像表示装置において観視される画素列の一例の説明図である。
本発明の実施例1に係る映像表示装置における画像縮小処理とローパスフィルタ処理の一例の説明図である。
本発明の実施例1に係る映像表示装置において観視される画素列の一例の説明図である。
観視される画素列の一例の説明図である。
観視される画素列の一例の説明図である。
映像信号の信号強度と周波数の関係の一例の説明図である。
映像信号の信号強度における折り返し成分の一例の説明図である。
本発明の実施例1におけるローパスフィルタ特性の一例の説明図である。
本発明の実施例1における映像信号の信号強度の一例の説明図である。
従来の映像表示装置における映像信号の最大周波数またはローパスフィルタのカットオフ周波数の一例の説明図である。
本発明の実施例1に係る映像表示装置における映像信号の最大周波数またはローパスフィルタのカットオフ周波数の一例の説明図である。
映像表示装置における映像信号の最大周波数またはローパスフィルタのカットオフ周波数の一例の説明図である。
映像表示装置における表示最大周波数の一例の説明図である。
観視される画素列の一例の説明図である。
本発明の実施例2におけるローパスフィルタ特性の一例の説明図である。
本発明の実施例3におけるローパスフィルタ特性の一例の説明図である。
本発明の実施例4におけるローパスフィルタ特性の一例の説明図である。
観視される画素列の一例の説明図である。
本発明の実施例5におけるローパスフィルタ特性の一例の説明図である。
本発明の実施例6に係る映像表示装置の画像処理部の一例の説明図である。
本発明の実施例7に係る映像表示装置の画像処理部の一例の説明図である。
本発明の実施例7に係るローパスフィルタ処理のタップフィルタ係数の一例の説明図である。
本発明の実施例8に係る映像表示装置の一例の説明図である。
本発明の実施例8に係る画像高解像度化部の一例の説明図である。
本発明の実施例8に係る画像高解像度化処理の説明図である。
本発明の実施例8に係る画像高解像度化処理の説明図である。
本発明の実施例8に係る画像高解像度化処理の説明図である。
本発明の実施例8に係るアップレート器の説明図である。
本発明の実施例8に係るアップレート器の説明図である。
本発明の実施例8に係る位相シフト器の説明図である。
本発明の実施例8に係る位相シフト器の説明図である。
本発明の実施例8に係る係数決定器の説明図である。
本発明の実施例8に係る画像高解像度化処理及び画像縮小処理の一例の説明図である。
符号の説明
100…映像表示装置、101…アンテナ、102…受信部、103…画像処理部、104…動き適応スケーラー、105…画素位置算出部、106…動き探索部、107…判定部、108…表示部、109…入力部、110…ネットワークインターフェース部、111…読み出し部、112…記録部、113…再生制御部、114…スイッチ、2801…画像処理部、2802…水平方向動き適応スケーラー、2803…水平方向画素位置算出部、2804…判定部、2805…スイッチ、2806…垂直方向動き適応スケーラー、2807…垂直方向画素位置算出部、2808…判定部、2809…スイッチ、2901…画像処理部、2902…動き適応スケーラー、2903…係数算出部、3200…入力部、3201…位置推定部、3203…アップレート器、3204…アップレート器、3205…遅延器、3206…ヒルベルト変換器、3207…遅延器、3208…ヒルベルト変換器、3209…係数決定器、3210…乗算器、3211…乗算器、3212…乗算器、3213…乗算器、3214…加算器、3215…動き補償・アップレート部、3216…位相シフト部、3217…折返し成分除去部