JP5416575B2 - 粉体塗料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は粉体塗料組成物に関し、詳しくはアルミニウムロウ付け部への密着性に優れるとともに、耐粉塵爆発性にも優れる粉体塗料組成物に関するものである。
塗装時にVOCの排出がほとんど無いこと、被塗物に付着しなかった分を回収して再利用できること、一度に厚塗りが可能であること、などの理由から、従来の溶剤型塗料あるいは水性塗料に代えて粉体塗料の利用が進んでいる。このような粉体塗料としては、従来よりエポキシ系、塩化ビニル系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、アクリル系などの粉体塗料が知られている。中でもアクリル系粉体塗料は耐候性に優れているため、自動車部品など外観が重視される分野に広く用いられている。
ところが一般的なアクリル系粉体塗料は、アルミニウムロウ付け部への密着性が低く、アルミニウムロウ付け部をもつ被塗物には用いられないという不具合があった。そこで特開2001−294802号公報には、グリシジル基を有するアクリル樹脂と、アルキレン基の両末端にカルボキシル基つとともに炭素数14の二価カルボン酸と、を含み、二価カルボン酸をグリシジル基に対して 0.5〜 3.0当量配合してなるアクリル系粉体塗料組成物が提案されている。
このアクリル系粉体塗料組成物によれば、アルミニウムロウ付け部への密着性が向上するので、二輪車のラジエターや自動車のアルミニウム熱交換器などに塗装することで、耐水性及び耐食性に優れた塗膜を形成することができる。
また特開平09−053026号公報には、ポリエステル樹脂とブロックポリイソシアネートとを主成分とする粉体塗料が記載されている。
特開2001−294802号公報 特開平09−053026号公報
ところで粉体塗料においては、塗料粉末の粒径が大きいと、塗面の平滑性が低下したりピンホールが発生したりするため、塗料粉末の平均粒径は小さいほど好ましいとされている。特許文献2には平均粒径を10〜60μm、好ましくは15〜45μmとすることが記載されている。ところが塗料粉末の平均粒径を小さくするほど比表面積が大きくなって、最小着火エネルギーが低下し、粉塵爆発下限濃度が低下して耐粉塵爆発性が低下するため、塗装時あるいは回収時などにスパークが発生しないように注意しなければならないという不具合があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、アルミニウムロウ付け部をもつ被塗物への密着性を高く維持するとともに、塗膜の平滑性と耐粉塵爆発性という背反事象を共に向上させることを解決すべき課題とする。
上記課題を解決する本発明の粉体塗料組成物の特徴は、水酸基を含有するポリエステル樹脂と、ブロックポリイソシアネートと、を主成分とする粉体塗料組成物であって、不燃性の無機質粉末を70体積%〜80体積%の範囲で含み、さらにポリエチレンワックスを含む塗料粉末からなり、塗料粉末は、平均粒径D50が40μm〜50μmであり、粒径が10μm以下の微粒子が1質量%以下であることにある。
本発明の粉体塗料組成物によれば、上記した配合組成としたことにより、最小着火エネルギーと粉塵爆発下限濃度が上昇し耐粉塵爆発性が向上する。しかも形成される塗膜は表面平滑性に優れ、アルミニウムロウ付け部をもつ被塗物に対する密着性、耐候性、耐水性など各種塗膜性能に優れている。
本発明の粉体塗料組成物は、水酸基を含有するポリエステル樹脂と、ブロックポリイソシアネートと、を主成分としている。水酸基を含有するポリエステル樹脂としては末端水酸基タイプの飽和ポリエステル樹脂が望ましく、多塩基酸と多価アルコールとの縮合物を用いることができる。
多塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、メチルテレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸あるいはこれらの無水物、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ヘット酸あるいはこれらの無水物、マレイン酸、イタコン酸あるいはこれらの無水物、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、テトラブロモフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸あるいはこれらの無水物、シクロヘキサンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などから選択して用いることができる。
また多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、ビス-ヒドロキシエチルテレフタレート、シクロヘキサンジメタノール、オクタンジオール、ジエチルプロパンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2,4-トリメチルペンタンジオール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジオールなどから選択して用いることができる。
さらに、ポリエステル樹脂の原料として、ジメタノールプロピオン酸、ヒドロキシピバレートのように一分子中にカルボキシル基と水酸基とを有する化合物、分岐脂肪酸のグリシジルエステルなどのモノエポキシ化合物、メタノール、プロパノール、ブタノールなどの1価アルコール、安息香酸、p-tert-ブチル安息香酸など1価の塩基酸、ひまし油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸などの脂肪酸類を用いることもできる。
このポリエステル樹脂は、水酸基価が20以上、好ましくは約30〜50の水酸基価を有するように、多塩基酸成分と多価アルコール成分のモル比を選定して合成されたものが好ましい。また貯蔵安定性や塗膜外観などの面から、軟化点が80〜150℃の範囲内にあるものが望ましい。
ブロックポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの環状脂肪族ジイソシアネート類、トリレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート類などの有機イソシアネートを、カプロラクタム、オキシムなど活性水素を有する公知のブロック剤でブロック化したものを用いることができる。またこれらの有機イソシアネートに多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂あるいは水などが付加結合した付加物を、公知のブロック剤でブロック化したものを用いることもできる。軟化点がポリエステル樹脂と同等のものが特に望ましい。
水酸基を含有するポリエステル樹脂とブロックポリイソシアネートとの混合比率は、NCOインデックスが通常90〜110、好ましくは100〜105の範囲となるように混合される。
本発明の粉体塗料組成物は、不燃性の無機質粉末を70体積%〜80体積%の範囲で含んでいる。不燃性の無機質粉末としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、石膏、クレー、珪藻土、アルミナホワイト、塩基性炭酸マグネシウムなどの体質顔料、チタニア、アルミナ、ジルコニア、シリカなどの金属酸化物、などの粉末が例示される。この無機質粉末の含有量が70体積%より少ないと耐粉塵爆発性が低下し、80体積%より多く含有すると耐水性や耐食性などの塗膜物性や塗膜外観品質が低下する。
ところが無機質粉末を70体積%〜80体積%と多量に含むと、塗装後の加熱時における塗料の流動性が低下し、形成される塗膜の外観品質が低下するという不具合があった。そこで本発明の粉体塗料組成物は、ポリエチレンワックスを含んでいる。ポリエチレンワックスを含むことで、塗装後の加熱時における塗料の溶融粘度が低下して流動性が改善され、平滑性に優れた塗膜を形成することができる。
ポリエチレンワックスとしては、ビックケミー・ジャパン社などから市販されているものを用いることができ、その添加量は 0.5〜 2.0質量%の範囲が好ましい。 0.5質量%未満では塗膜の平滑性が低下し、 2.0質量%を超えて添加しても効果が飽和するとともに、塗膜物性が低下する場合がある。
このポリエチレンワックスは、融点がポリエステル樹脂及びブロックポリイソシアネートの融点より高いものが望ましい。ポリエステル樹脂及びブロックポリイソシアネートの融点より低い融点をもつポリエチレンワックスでは、塗膜の平滑性が低下する。この原因は、先ずポリエチレンワックスが溶融すると、ポリエステル樹脂及びブロックポリイソシアネートの固体粒子どうしに滑りが生じ、膜厚が不均一になるためと考えられている。先ずポリエステル樹脂及びブロックポリイソシアネートが溶融し、その後にポリエチレンワックスが溶融することで溶融粘度が平均的に低下して平滑な塗面が形成され、その後にブロック解離することで平滑な塗面を維持したまま反応硬化するものと考えられる。なおポリエチレンワックスの融点は、ブロックポリイソシアネートのブロック解離温度より低いことが必要であることは言うまでもない。
本発明の粉体塗料組成物は、塗料粉末の平均粒径D50が40μm〜50μm、粒径が10μm以下の微粒子が1質量%以下となるように調整されている。このように平均粒径D50を一般的な粉体塗料より大きくするとともに、10μm以下の微粒子の含有量を抑制したことで、耐粉塵爆発性が向上し安全性が高められている。塗料粉末の平均粒径D50が40μm未満であると耐粉塵爆発性が低下し、10μm以下の微粒子の含有量が1質量%以下であっても耐粉塵爆発性が低下する。塗料粉末の平均粒径D50が大きいと一般に塗膜の平滑性が低下するが、本発明の粉体塗料組成物によればポリエチレンワックスの添加によって塗膜の平滑性が優れたものとなる。しかし塗料粉末の平均粒径D50が50μmを超えると、ポリエチレンワックスの効果が及ばず塗膜の平滑性が低下してしまう。
また粒径が10μm以下の微粒子が1質量%を超えて含まれると、平均粒径D50を40μm以上としても耐粉塵爆発性が低下する。なお本発明の粉体塗料組成物の耐粉塵爆発性は、下記に規定する最小着火エネルギー又は粉塵爆発下限濃度を指標とし、最小着火エネルギーが30mJ〜100mJの範囲にあり、かつ粉塵爆発下限濃度が70g/m3以上である場合を合格とした。
最小着火エネルギー:国際規格IEC 61241-2-3(1994-09)Section 3に準拠した最小着火エネルギー測定装置(MIKE3型)を用い、所定の試料量と放電エネルギーによる試験を10回行って着火の有無を調べる。10回のうち1回でも着火すれば、その条件で着火性があるものとみなす。次に、試料量と放電エネルギーを種々変化させて同じ操作を繰り返し、試料毎に所定の放電エネルギーによる着火の有無を判定し、必要であれば着火遅延時間を変更して着火の有無を判定する。試料量と放電エネルギーとの関係をグラフにプロットし、着火領域と非着火領域の範囲を明記する。求める最小着火エネルギーは、着火した最小の放電エネルギーと着火しない最大着火エネルギーとの間に存在する。
粉塵爆発下限濃度:JIS Z 8818:2002「可燃性粉塵の爆発下限濃度測定方法」に準拠し、一定量の塗料粉末を筒内に吹き上げるとほぼ同時に、放電火花を発生させ、このとき粉塵雲が爆発するか否かを目視により判定する。必要に応じて空気の圧力等を変化させてこの操作を繰り返し、爆発性を示す最低粉塵濃度を粉塵爆発下限濃度(見掛けの粉塵爆発下限濃度)とする。
本発明の粉体塗料組成物は、上記した必須成分以外にカーボンブラック、酸化鉄、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン系顔料、アゾ系顔料などの着色顔料、アクリル樹脂、ポリシロキサンなどの表面調整剤、シリカ粉末、アルミナ粉末、アルミナシリカ粉末、二酸化チタン粉末などから選ばれる流動調整剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ワキ防止剤などの各種添加剤を含むことができる。
本発明の粉体塗料組成物は、ドライブレンド工程、溶融混練工程、冷却工程、粗粉砕工程、微粉砕工程、分級濾過工程をこの順で行うことで製造することができる。ドライブレンド工程では、ポリエステル樹脂、ブロックポリイソシアネート、無機質顔料、着色顔料、ポリエチレンワックスなど、流動調整剤を除く各成分がヘンシェルミキサーやスーパーミキサーなどを用いてドライブレンドされる。
溶融混練工程では、ドライブレンドされた粉末混合物がニーダーやエクストルーダーなどを用いて溶融混練される。溶融混練時の温度は、ポリエチレンワックスの融点未満の温度で行うことが望ましい。溶融混練物はその後の冷却工程において室温(常温)まで冷却されるが、短時間で室温まで冷却することが望ましいので、冷却ロールで薄く板状にして冷却速度を早めることが望ましい。
粗粉砕工程では、冷却された固形物が5〜15mmのペレット状に粉砕される。この粗粉砕機は、一般に冷却装置の中に組み込まれている。微粉砕工程では、ペレット状の粗粉末に流動調整剤がドライブレンドされた後、ハンマーミル、ピンミルなどの衝撃式粉砕機によってほぼ目的とする平均粒径D50となるように微粉砕される。
その後、エア分級機、振動篩いなどによって、平均粒径D50が40μm〜50μm、粒径が10μm以下の微粒子が1質量%以下となるように分級し、本発明の粉体塗料組成物が製造される。
本発明の粉体塗料組成物は、従来と同様に静電塗装法、流動浸漬塗装法などによって、各種金属材料あるいはセラミックス材料からなる被塗物に塗装することができるが、中でもアルミニウムロウ付け部をもつアルミニウム質の被塗物への塗装に適している。アルミニウムロウ付け部は細孔を有する場合が多く、塗装時に細孔内の空気が抜ける際に塗膜にピンホールが生じる場合がある。しかし本発明の粉体塗料組成物は溶融時の空気抜け性に優れるため、ピンホールが生じにくく平滑性に優れ外観品質に優れた塗膜を形成することができる。すなわち本発明の粉体塗料組成物はアルミニウム及びアルミニウム合金への密着性に優れるばかりか、アルミニウムロウ付け部への密着性にも優れ、しかも塗膜表面の平滑性に優れているため、アルミニウム製の二輪車のラジエターや自動車のアルミニウム熱交換器の塗装にきわめて有用である。
以下、実施例及び比較例によって本発明を具体的に説明する。
(1)塗料の製造
本実施例に係る粉体塗料組成物の配合比率(重量部)を表1に示す。表1に示す各原料は、下記のものを用いた。
ポリエステル樹脂:「ファインディックM-8020」、DIC社製、OH価=30、軟化点=110℃
ブロックポリイソシアネート:「VESTAGON-B1530」、EVONIC社製、融点=62〜82℃、ブロック剤=ε−カプロラクタム、ブロック解離温度=170℃以上
カーボンブラック:「MA-100」、三菱化学社製
炭酸カルシウム:「R-30」、丸尾カルシウム社製
沈降性硫酸バリウム:「#300」、堺化学工業社製
ポリエチレンワックス:「CERAFLOUR-961」、ビックケミー・ジャパン社製、融点=140℃
表面調整剤:「アクロナール4F」、BASF社製
流動性調整粉末:「ALU-C」、デュポン社製
先ず流動性調整粉末を除く各原料を表1に示す重量比で配合し、ヘンシェルミキサー(「FM-20B」三井三池製作所製)を用いて3分間ドライブレンドした。続いてエクストルーダー(「PR46」BUSS社製)を用い、130℃で溶融混練した後に冷却し、粗粉砕した。
次いで得られた粉末100重量部に対して流動性調整粉末0.2重量部をドライブレンドし、ピンミルを用いて常温粉砕した後、150メッシュの金網で分級し、さらにエア分級にて粒径が10μm以下の微粉を取り除いて本実施例の粉体塗料組成物を製造した。
(2)粒度分布の測定
得られた粉体塗料組成物について、「マイクロトラックMT-3300EX」(日機装社製)を用い、平均粒径D50と粒径が10μm以下の微粉の含有量を測定した。結果を表1に示す。なお本実施例の粉体塗料組成物には、沈降性炭酸バリウムが13体積%含まれ、炭酸カルシウムが60体積%含まれているので、不燃性の無機質粉末が合計で73体積%含まれている。また変性ポリエチレンワックスは、全体に0.8重量%含まれている。
(3)安全性試験
本実施例の粉体塗料組成物について、最小着火エネルギーと粉塵爆発下限濃度を測定した。結果を表1に示す。
最小着火エネルギーは、国際規格IEC 61241-2-3(1994-09)Section 3に準拠した最小着火エネルギー測定装置(MIKE3型)を用い、所定の試料量と放電エネルギーによる試験を10回行って着火の有無を調べる。10回のうち1回でも着火すれば、その条件で着火性があるものとみなす。次に、試料量と放電エネルギーを種々変化させて同じ操作を繰り返し、試料毎に所定の放電エネルギーによる着火の有無を判定し、必要であれば着火遅延時間を変更して着火の有無を判定する。試料量と放電エネルギーとの関係をグラフにプロットし、着火領域と非着火領域の範囲を明記する。求める最小着火エネルギーは、着火した最小の放電エネルギーと着火しない最大着火エネルギーとの間に存在する。
粉塵爆発下限濃度は、JIS Z 8818:2002「可燃性粉塵の爆発下限濃度測定方法」に準拠し、一定量の塗料粉末を筒内に吹き上げるとほぼ同時に、放電火花を発生させ、このとき粉塵雲が爆発するか否かを目視により判定する。必要に応じて空気の圧力等を変化させてこの操作を繰り返し、爆発性を示す最低粉塵濃度を粉塵爆発下限濃度(見掛けの粉塵爆発下限濃度)とする。
表1より、本実施例の粉体塗料組成物によれば、最小着火エネルギーが42mJであり、粉塵爆発下限濃度が70g/m3であるので、安全性に優れていることがわかる。
(4)塗膜性能試験1
1.0t×70×150mmのアルミニウム板(A1050P)を被塗物とし、本実施例の粉体塗料組成物を厚さ50〜70μmに静電塗装した後、180℃で20分間焼き付けた。得られたサンプルについて塗膜表面の平滑性と、耐カッピング性及び耐おもり落下性を評価した。結果を表1に示す。
塗膜表面の平滑性は目視で判定し、良い=○、やや劣る=△、劣る=×と評価した。耐カッピング性は、JIS K5600-5-2に準拠して行い、塗膜欠陥を起こさない最大押し込み深さを測定して、最大押し込み深さが7mm以上を合格とした。耐おもり落下性は、JIS K5600-5-3のデュポン式試験に準拠し、塗膜割れが発生しない最大高さを測定して、最大高さが50cm以上を合格とした。た。
(5)塗膜性能試験2
A4104ロウ材面をもつVBロウ付け後の1.0t×70×150mmのアルミニウム板(A1050P)を被塗物とし、塗膜性能試験1と同様に塗装した。得られたサンプルについて耐水性と耐食性を評価した。結果を表1に示す。
耐水性は、JIS K5600-6-2に準拠し、40℃のイオン交換水に120時間浸漬した後取り出して、試験片の水分を吸水紙で除き、直ちにJIS K5600-8-2に従って全表面のフクレ状態を判定した後24時間室温で放置し、JIS K5600-5-6のクロスカット法による付着性試験を行って、分類ゼロを合格とした。耐食性は、JIS K5600-7-1の耐中性塩水噴霧性に準じて行い、35℃、5%の塩水噴霧試験を120時間実施した後に水洗し、クロスカットからの腐食幅を測定して、腐食幅が0mmを合格とした。
<比較例1>
ポリエチレンワックスと沈降性硫酸バリウムとを含まず、炭酸カルシウムを50重量部配合したこと以外は実施例1と同様にして各原料をドライブレンドし、同様に溶融混練した後に粗粉砕し、得られた粉末100重量部に対して流動性調整粉末0.2重量部をドライブレンドし、ピンミルを用いて常温粉砕した後、150メッシュの金網で分級し比較例1の粉体塗料組成物を製造した。エア分級は行わなかった。
得られた粉体塗料組成物を用い、実施例1と同様に粒度分布を測定した。結果を表1に示す。なお比較例1の粉体塗料組成物には、不燃性の無機質粉末(炭酸カルシウム)が53体積%含まれている。またポリエチレンワックスは含まれていない。
また比較例1の粉体塗料組成物を用い、実施例1と同様に試験片を作製して各種試験を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
<比較例2>
ポリエチレンワックスを含まないこと以外は実施例1と同様にして各原料をドライブレンドし、同様に溶融混練した後に粗粉砕し、得られた粉末100重量部に対して流動性調整粉末0.2重量部をドライブレンドし、ピンミルを用いて常温粉砕した後、150メッシュの金網で分級し、さらにエア分級にて粒径が10μm以下の微粉を取り除いて、比較例2の粉体塗料組成物を製造した。
得られた粉体塗料組成物を用い、実施例1と同様に粒度分布を測定した。結果を表1に示す。また比較例2の粉体塗料組成物を用い、実施例1と同様に試験片を作製して各種試験を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
なお、実施例1と比較例1及び比較例2の粉体塗料組成物について、傾斜式溶融フロー試験を行った。この傾斜式溶融フロー試験は、JIS K5600-9-2「傾斜式溶融フロー試験」に準拠し、塗料粉末を0.5g秤量し、ペレット成型装置を用いて直径12.5mmのペレットを作製し、ペレットの厚み(mm)を測定する。180℃の雰囲気に設定された乾燥機内に、表面が約45°になるように保持されたSPC-SBの磨き鋼板(200×300×0.8t)を10分間以上配置し、その表面にペレットを乗せて20分間保持する。その後に取り出して冷却し、溶融して鋼板上を流れたペレットの距離を溶融長さ(mm)として測定する。そして下記の計算式に基づいて傾斜溶融フロー値を算出する。この測定を3回繰り返し、その平均値を傾斜溶融フロー値とした。傾斜溶融フロー値は8以上を合格とし、結果を表1に示す。
傾斜溶融フロー値=(溶融長さ−12.5)/ペレットの厚み
<比較例3>
ポリエチレンワックスと沈降性硫酸バリウムとを含まず、炭酸カルシウムを50重量部配合したこと以外は実施例1と同様にして各原料をドライブレンドし、同様に溶融混練した後に粗粉砕し、得られた粉末100重量部に対して流動性調整粉末0.2重量部をドライブレンドし、ピンミルを用いて常温粉砕した後、150メッシュの金網で分級し比較例3の粉体塗料組成物を製造した。エア分級は行わなかった。
得られた粉体塗料組成物を用い、実施例1と同様に粒度分布を測定した。結果を表1に示す。また比較例3の粉体塗料組成物を用い、実施例1と同様に試験片を作製して各種試験を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
<比較例4〜6>
実施例1と同様にして各原料をドライブレンドし、同様に溶融混練した後に粗粉砕し、得られた粉末100重量部に対して流動性調整粉末0.2重量部をドライブレンドし、ピンミルを用いて常温粉砕した後、150メッシュの金網で分級し、さらにエア分級にて粒径が10μm以下の微粉を取り除いて、比較例4〜6の粉体塗料組成物を製造した。分級の程度を実施例1より甘くし、平均粒径D50が実施例1より小さくなるように、あるいは粒径が10μm以下の微粉の量がを実施例1より多くなるようにした。
得られた粉体塗料組成物を用い、実施例1と同様に粒度分布を測定した。結果を表1に示す。また比較例4〜6の粉体塗料組成物を用い、実施例1と同様に試験片をそれぞれ作製して各種試験を実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
<評価>
Figure 0005416575
比較例1と比較例2との比較から、無機質粉末を70体積%以上含むと溶融傾斜フロー値が小さくなり、塗膜表面の平滑性が低下することがわかる。しかし比較例2と実施例1との比較から、ポリエチレンワックスを含むことで溶融傾斜フロー値が向上し、塗膜表面の平滑性が大きく向上することが明らかである。
また比較例1〜3の比較から、比較例1及び比較例3のように無機質粉末の含有量が少ないと比較例2に比べて耐水性と耐食性が低下し、しかも耐粉塵爆発性も低下することがわかる。
さらに実施例1と比較例4〜6との比較から、塗料粉末の平均粒径D50が40μm未満では耐粉塵爆発性が低下することが明らかであり、また比較例6のように平均粒径D50が40μm以上であっても、粒径が10μm以下の微粉が多く含まれると耐粉塵爆発性が低下することが明らかである。
本発明の粉体塗料組成物は、アルミニウム製の被塗物に限らず、各種被塗物に塗装することができる。

Claims (3)

  1. 水酸基を含有するポリエステル樹脂と、ブロックポリイソシアネートと、を主成分とする粉体塗料組成物であって、不燃性の無機質粉末を70体積%〜80体積%の範囲で含み、さらにポリエチレンワックスを含む塗料粉末からなり、
    該塗料粉末は、平均粒径D50が40μm〜50μmであり、粒径が10μm以下の微粒子が1質量%以下であることを特徴とする粉体塗料組成物。
  2. 前記ポリエチレンワックスの融点は、前記ポリエステル樹脂及び前記ブロックポリイソシアネートの融点より高い請求項1に記載の粉体塗料組成物。
  3. ロウ付け部をもつアルミニウム質の被塗物に塗装される請求項1又は請求項2に記載の粉体塗料組成物。
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