JP6679671B2 - 赤外線低放射性塗料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、赤外線低放射性塗料組成物に関する。
夏場において、住宅等の建築構造物や自動車等の車両は、その外側表面が太陽光によって熱せられることにより、内部空間の温度が上昇することとなる。ここで、内部空間の温度上昇を抑制又は緩和するために、エアコン等の空調設備が一般に用いられる。しかしながら、空調設備は、電力、ガソリン等のエネルギー消費量が大きいため、COガスの排出量も増加し、環境に対する負荷が大きい。
上記のような内部空間の温度上昇をもたらす熱の移動方法としては、物同士が直接接触することにより熱が移動する伝導、空気を媒体とし熱が移動する対流、及び電磁波の放射により熱が移動する放射の3つの方法がある。このうち、放射による熱の移動は、全体の75%を占める。そのため、建築構造物や自動車等の車両において、熱放射を制御することができれば、内部空間の温度の上昇を抑制することができる。これにより、電力、ガソリン等のエネルギー消費量を抑制することができ、環境負荷を低減することができる。
塗料組成物を用いて遮熱性を有する塗膜を形成することによって温度上昇を抑制する試みは、これまでにも検討されてきた。例えば特開2006−045447号公報(特許文献1)には、中空球状又は鱗片状の低熱伝導体を含む遮熱塗料組成物が記載されている(請求項1)。この遮熱塗料組成物は、高い遮熱性を有し、また太陽光等の熱エネルギーを効率良く反射することによって、熱エネルギーの侵入を防ぐ塗膜を形成することができると記載される([0001]段落等)。
特開2014−184673号公報(特許文献2)には、平坦表面を有する鱗片状粉末を20体積%以上含有する遮熱塗膜であって、上記鱗片状粉末は熱線に対する反射率が95%以上の金属(例えばアルミニウム等)からなる遮熱塗膜の製造に用いられる遮熱塗料組成物が記載されている(請求項5)。この特許文献2には、上記鱗片状粉末を用いることによって、乱反射する熱線を低減することができ、高い遮熱特性が発現すると記載される([0011]、[0019]段落等)。また、特開2007−016558号公報(特許文献3)には、アルミニウム、ステンレス等の金属顔料を含有し、熱放射率が0.5未満である裏面塗膜層を有することを特徴とする建材ボードが記載されている(請求項1、3)。しかし、いずれの場合も、得られた塗膜は、耐候性や耐薬品性を満足するものではなかった。
特開2006−045447号公報 特開2014−184673号公報 特開2007−016558号公報
上記特許文献1に記載される遮熱塗料組成物は、塗装膜厚200〜300μmが好ましいと記載されており(実施例では200±20μm;[0027]段落)、一般的な塗料に比べて高膜厚に塗装しなければならず、塗装工程及び乾燥工程における工数が多大となるという技術的課題があった。また、この遮熱塗料組成物は、熱の伝導を抑えることができる一方で、熱の移動方法の大部分を占める放射による熱の移動は抑えられず、一旦太陽光の熱エネルギーを吸収した塗膜の温度上昇により、内部空間への熱放射が起こり、結果内部空間の温度上昇を引き起こしてしまうという技術的課題もあった。また、特許文献2の遮熱塗料組成物、特許文献3の建材ボードは、いずれも、耐候性や耐薬品性を満足するものではないという技術的課題があった。
本発明は上記課題を解決するものであり、その目的とするところは、熱の移動のうち、熱放射を制御することができる、赤外線低放射性塗料組成物を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は下記態様を提供する。
[1]
基体樹脂及びアルミニウム顔料を含む、赤外線低放射性塗料組成物であって、
上記赤外線低放射性塗料組成物中に含まれるアルミニウム顔料の量は、基体樹脂の樹脂固形分100質量部に対して10〜100質量部の範囲内であり、
上記アルミニウム顔料は、樹脂被覆アルミニウム顔料を、アルミニウム顔料の全量100質量部に対して60質量部以上を含む、
赤外線低放射性塗料組成物。
[2]
上記アルミニウム顔料は、アスペクト比が30〜200の範囲内である、上記赤外線低放射性塗料組成物。
[3]
上記アルミニウム顔料は、樹脂被覆アルミニウム顔料及びリーフィングアルミニウム顔料を含む、上記赤外線低放射性塗料組成物。
[4]
上記樹脂被覆アルミニウム顔料及びリーフィングアルミニウム顔料の質量比は、樹脂被覆アルミニウム顔料:リーフィングアルミニウム顔料=60:40〜99:1の範囲内である、上記赤外線低放射性塗料組成物。
[5]
上記基体樹脂は、
アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、ポリエーテル樹脂及びフッ素樹脂からなる群から選択される1種又はそれ以上、並びに、
架橋剤、
を含む、
上記赤外線低放射性塗料組成物。
[6]
上記赤外線低放射性塗料組成物は、さらに着色顔料を含み、
上記着色顔料は、カーボンブラックを含む、
上記赤外線低放射性塗料組成物。
[7]
上記赤外線低放射性塗料組成物は、1種又はそれ以上の有機溶媒を含む溶剤型塗料組成物である、赤外線低放射性塗料組成物。
[8]
上記樹脂被覆アルミニウム顔料における樹脂被覆量は、上記樹脂被覆アルミニウム顔料中のアルミニウム100質量部に対して、2〜50質量部である、上記赤外線低放射性塗料組成物。
[9]
上記赤外線低放射性塗料組成物の塗膜は、明度L値が40以上100以下である、赤外線低放射性塗料組成物。
[10]
上記赤外線低放射性塗料組成物の塗膜を有する、赤外線低放射性物品。
上記赤外線低放射性塗料組成物は、熱放射を制御する性能を有する塗膜を提供する。上記赤外線低放射性塗料組成物を物品に塗装することによって、物品に断熱性能を付与することができる。上記赤外線低放射性塗料組成物は、断熱材の代替技術として用いることができる。
上記赤外線低放射性塗料組成物は、基体樹脂及びアルミニウム顔料を含む。そして、上記赤外線低放射性塗料組成物中に含まれるアルミニウム顔料の量は、基体樹脂の樹脂固形分100質量部に対して10〜100質量部の範囲内であり、また、上記アルミニウム顔料は、樹脂被覆アルミニウム顔料を、アルミニウム顔料の全量100質量部に対して60質量部以上含む。以下、上記赤外線低放射性塗料組成物について詳述する。
基体樹脂
上記赤外線低放射性塗料組成物は、基体樹脂を含む。基体樹脂は、塗膜を形成する樹脂である。基体樹脂として、塗料組成物分野で用いられる樹脂を用いることができる。このような樹脂として、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができる。基体樹脂は、1種のみを単独で用いてもよく、2種又はそれ以上を併用してもよい。また、基体樹脂は、上記樹脂に加えて、必要に応じて、架橋剤(例えば、アミノ樹脂、(ブロック)ポリイソシアネート化合物、アミン架橋剤、ポリアミド架橋剤、多価カルボン酸架橋剤等)を併用してもよい。また、上記基体樹脂は、主剤及び硬化剤から構成される2液型ポリウレタン樹脂であってもよい。
アクリル樹脂
アクリル樹脂は、モノマー混合物を、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、高温加圧連続重合等の、周知の重合方法により得ることができる。アクリル樹脂として、例えば、酸基含有アクリル樹脂、水酸基含有アクリル樹脂、グリシジル基含有アクリル樹脂等が挙げられる。なお本明細書において、(メタ)アクリルは、アクリル及びメタクリルの両方を意味するものとする。
酸基含有アクリル樹脂は、具体的には、カルボキシル基含有アクリル系モノマー等の酸基含有アクリル系モノマーと、必要に応じて上記酸基含有アクリル系モノマーと共重合可能な他のモノマーとを含むモノマー混合物を、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、高温加圧連続重合等の、周知の重合方法により得ることができる。
カルボキシル基含有アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。
上記他のモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド等の水酸基含有アクリル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、イタコン酸ジメチル等のイタコン酸エステル、マレイン酸ジメチル等のマレイン酸エステル、フマル酸ジメチル等のフマル酸エステル、酢酸ビニル;等が挙げられる。
水酸基含有アクリル樹脂は、具体的には、水酸基含有アクリル系モノマーと、必要に応じて上記水酸基含有アクリル系モノマーと共重合可能な他のモノマーとを含むモノマー混合物を、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、高温加圧連続重合等の、周知の重合方法により得ることができる。
上記水酸基含有アクリル系モノマーとしては、上述の水酸基含有アクリル系モノマーを用いることができる。
水酸基含有アクリル系モノマーと共重合可能な他のモノマーとして、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類;スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、イタコン酸ジメチル等のイタコン酸エステル、マレイン酸ジメチル等のマレイン酸エステル、フマル酸ジメチル等のフマル酸エステル、酢酸ビニル;等が挙げられる。
グリシジル基含有アクリル樹脂は、具体的には、グリシジル基含有アクリル系モノマーと、必要に応じて上記グリシジル基含有アクリル系モノマーと共重合可能な他のモノマーとを含むモノマー混合物を、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、高温加圧連続重合等の、周知の重合方法により得ることができる。
グリシジル基含有アクリル系モノマーとして、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキサニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
グリシジル基含有アクリル系モノマーと共重合可能な他のモノマーとして、例えば、上述の水酸基含有アクリル系モノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類;スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、イタコン酸ジメチル等のイタコン酸エステル、マレイン酸ジメチル等のマレイン酸エステル、フマル酸ジメチル等のフマル酸エステル、酢酸ビニル;等が挙げられる。
上記アクリル樹脂の数平均分子量は、2,000〜30,000の範囲内であることが好ましく、3,000〜20,000の範囲内であるのがより好ましい。アクリル樹脂の数平均分子量が上記範囲内であることによって、塗料組成物の塗装作業性及び硬化性を良好な範囲に設計することができる。本明細書における数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いたスチレンホモポリマー換算により測定することができる。
上記アクリル樹脂が酸基を有する場合は、酸価が2〜150mgKOH/gの範囲内であるのが好ましく、5〜120mgKOH/gの範囲内であるのがより好ましい。酸価が上記範囲内であることによって、塗料組成物は優れた硬化性を有し、かつ、優れた耐水性を有する塗膜を形成することができる利点がある。
上記アクリル樹脂が水酸基を有する場合は、水酸基価が20〜160mgKOH/gの範囲内であるのが好ましく、40〜140mgKOH/gの範囲内であるのがより好ましい。水酸基価が上記範囲内であることによって、塗料組成物は優れた硬化性を有し、かつ、優れた耐水性を有する塗膜を形成することができる利点がある。
樹脂の酸価及び水酸基価は、それぞれ固形分酸価及び固形分水酸基価を表し、JIS K 0070に記載された方法によって測定された値である。
上記アクリル樹脂がグリシジル基を有する場合は、エポキシ価が20〜180mgKOH/gの範囲内であるのが好ましく、40〜150mgKOH/gの範囲内であるのがより好ましい。樹脂のエポキシ価が上記範囲内であることによって、塗料組成物は優れた硬化性を有し、かつ、優れた耐水性を有する塗膜を形成することができる利点がある。樹脂のエポキシ価は、固形分エポキシ価を表し、JIS K 7236に記載された方法によって測定された値である。
上記アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、0〜90℃の範囲内であることが好ましく、10〜70℃の範囲内であるのがより好ましい。アクリル樹脂のTgが上記範囲内であることによって、塗料組成物から得られる塗膜は優れた物性を有する。上記ガラス転移温度(Tg)は、樹脂を構成する各モノマーの質量分率を、各モノマーから誘導される単独重合体(ホモポリマー)のTg(K:ケルビン)値で割ることによって得られるそれぞれの商の合計の逆数として計算することができる。
より詳細には、本発明において、樹脂のガラス転移温度(Tg)は、Foxの式(T.G.Fox;Bull.Am.Phys.Soc.,1(3),123(1956))によって算出することができる。
例えば、樹脂が、複数のアクリルモノマーの重合体である場合、下記一般式
1/Tg=w/Tg+w/Tg+・・・+wn/Tgn
で表されるTgを樹脂のTgとする。
Tg:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K)、w:モノマーAの質量分率
Tg:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K)、w:モノマーBの質量分率
Tg:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K)、w:モノマーNの質量分率
(w+w+・・・+w=1)
上記アクリル樹脂のSP値は、8.5〜13.0の範囲内であることが好ましく、9.0〜12.0の範囲内であるのがより好ましい。アクリル樹脂のSPが上記範囲内であることによって、塗料組成物から得られる塗膜の放射率を良好な範囲に設計することができる。
上記SP値とは、solubility parameter(溶解性パラメーター)の略であり、溶解性の尺度となるものである。SP値は数値が大きいほど極性が高く、逆に数値が小さいほど極性が低いことを示す。
例えば、SP値は次の方法によって実測することができる[参考文献:SUH、CLARKE、J.P.S.A−1、5、1671〜1681(1967)]。
サンプルとして、有機溶剤0.5gを100mlビーカーに秤量し、アセトン10mlを、ホールピペットを用いて加え、マグネティックスターラーにより溶解したものを使用する。このサンプルに対して測定温度20℃で、50mlビュレットを用いて貧溶媒を滴下し、濁りが生じた点を滴下量とする。貧溶媒は、高SP貧溶媒としてイオン交換水を用い、低SP貧溶媒としてn−ヘキサンを使用して、それぞれ濁点測定を行う。有機溶剤のSP値δは下記計算式によって与えられる。
δ=(Vml 1/2δml+Vmh 1/2δmh)/(Vml 1/2+Vmh 1/2
=V/(φ+φ
δ=φδ+φδ
Vi:溶媒の分子容(ml/mol)
φi:濁点における各溶媒の体積分率
δi:溶媒のSP値
ml:低SP貧溶媒混合系
mh:高SP貧溶媒混合系
なお、アクリル樹脂が、複数種のアクリル樹脂を含む場合、アクリル樹脂のSP値は、各単量体のSP値を用いて、アクリル樹脂(A)成分中における固形分質量比を元に平均値を算出することによって、求めることができる。
上記赤外線低放射性塗料組成物が溶剤型塗料組成物である場合は、アクリル樹脂として、溶液重合アクリル樹脂を用いるのが好ましい。より好ましい溶液重合アクリル樹脂として、例えば、スチレンを含むモノマー混合物の溶液重合アクリル樹脂であり、モノマー混合物中に含まれるスチレンの量は5〜40質量%の範囲内である態様が挙げられる。このような溶液重合アクリル樹脂を用いて溶剤型赤外線低放射性塗料組成物を調製することによって、塗料組成物から得られる塗膜の、耐候性、耐水性、耐薬品性がより良好となる利点がある。
上記アクリル樹脂は、必要に応じて、架橋剤を併用してもよい。架橋剤として、例えば、アミノ樹脂、ブロック化ポリイソシアネート化合物等を用いることができる。他の1態様として、酸基含有アクリル樹脂とグリシジル基含有アクリル樹脂とを用いて、酸基/グリシジル基硬化系として用いてもよい。
上記アクリル樹脂の形態は、塗料組成物の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、塗料組成物が水性塗料組成物である場合は、必要に応じた乳化剤等を用いて、当分野で知られた手法により、上記アクリル樹脂をエマルション化してもよい。
ポリエステル樹脂
上記ポリエステル樹脂として、例えば、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。このようなポリエステル樹脂は、例えば、多塩基酸と多価アルコールとを縮合して調製することができる。
上記多塩基酸として、例えば、飽和多塩基酸、不飽和多塩基酸等が挙げられる。飽和多塩基酸の具体例として、例えば、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、コハク酸等が挙げられる。不飽和多塩基酸の具体例として、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。
上記多価アルコールとして、例えば、二価アルコール、三価又はそれ以上のアルコール等が挙げられる。二価アルコールとして、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。三価又はそれ以上のアルコールとして、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
また、上記に従い調製したポリエステル樹脂に、ラクトン、油脂又は脂肪酸、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等を用いて変性した変性ポリエステル樹脂を用いることもできる。
上記ポリエステル樹脂は、数平均分子量が2,000〜6,000の範囲内であることが好ましく、2,000〜5,000の範囲内であるのがより好ましい。ポリエステル樹脂の数平均分子量が上記範囲内であることによって、塗料組成物の塗装作業性及び硬化性を良好な範囲に設計することができる。
また、上記ポリエステル樹脂は、水酸基価が20〜120mgKOH/gの範囲内であるのが好ましく、40〜90mgKOH/gの範囲内であるのがより好ましい。
上記ポリエステル樹脂の酸価は、2〜50mgKOH/gの範囲内であるのが好ましく、5〜40mgKOH/gの範囲内であるのがより好ましい。ポリエステル樹脂の水酸基価及び酸価が上記範囲内であることによって、塗料組成物は優れた硬化性を示し、かつ、塗料組成物から得られる塗膜の耐水性等の物理的性能を良好な範囲に設計することができる。
上記ポリエステル樹脂の溶解性パラメータ(SP)は、9.0〜13.0の範囲内であることが好ましく、9.5〜12.0の範囲内であるのがより好ましい。ポリエステル樹脂のSPが上記範囲内であることによって、塗料組成物から得られる塗膜の放射率を良好な範囲に設計することができる。
アルキド樹脂
上記アルキド樹脂として、例えば、上記多塩基酸及び多価アルコールの反応に、さらに、油脂・油脂脂肪酸(大豆油、アマニ油、ヤシ油、ステアリン酸等)、天然樹脂(ロジン、コハク等)等の変性剤を反応させて得られたアルキド樹脂を用いることができる。
ポリウレタン樹脂
ポリウレタン樹脂として、例えば、水酸基を有するアクリル樹脂、水酸基を有するポリエステル樹脂、水酸基を有するポリエーテル樹脂、水酸基を有するポリカーボネート樹脂等の各種ポリオール成分と、ポリイソシアネート化合物との反応によって得られる、ウレタン結合を有する樹脂を挙げることができる。
上記ポリイソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、及びその混合物(TDI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(4,4’−MDI)、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート(2,4’−MDI)、及びその混合物(MDI)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジシクロへキシルメタン・ジイソシアネート(水素化HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、へキサメチレンジイソシアネート(HDI)、水素化キシリレンジイソシアネート(HXDI)等を挙げることができる。
基体樹脂としてのポリウレタン樹脂は、主剤及び硬化剤から構成される2液型ポリウレタン樹脂であってもよい。基体樹脂としてのポリウレタン樹脂はまた、上記ポリオール成分とポリイソシアネート化合物とを予め反応させて得られたプレポリマーであってもよい。
ポリエーテル樹脂
ポリエーテル樹脂としては、エーテル結合を有する重合体又は共重合体であり、ポリオキシエチレン系ポリエーテル、ポリオキシプロピレン系ポリエーテル、ポリオキシブチレン系ポリエーテルもしくはビスフェノールAあるいはビスフェノールF等の芳香族ポリヒドロキシ化合物から誘導されるポリエーテル等の1分子当たりに少なくとも2個の水酸基を有するポリエーテル樹脂を、又は上記ポリエーテル樹脂とコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の多価カルボン酸類、あるいは、これらの酸無水物等の反応性誘導体とを反応させて得られるカルボキシル基含有ポリエーテル樹脂等を挙げることができる。
フッ素樹脂
フッ素樹脂としては、熱可塑性フッ素樹脂であっても、熱硬化性フッ素樹脂であってもよい。該フッ素樹脂には、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等の含フッ素モノマーの単独重合、あるいは他のモノマーとの共重合によって得られる含フッ素ポリマーの全てが含まれる。これらの中でも、耐候性に優れた塗膜を得る観点から、ポリフッ化ビニル及びポリフッ化ビニリデンが好ましく、ポリフッ化ビニリデンがより好ましい。ポリフッ化ビニリデンは、フッ化ビニリデンの重合体であり、例えば、高温高圧下でラジカル重合開始剤等を用いた重合により得られるものである。ポリフッ化ビニリデンの重量平均分子量は300,000〜700,000であるのが好ましい。
フッ素樹脂として市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、アーケマ・インコーポレイテッド社製のカイナー500(熱可塑性のポリフッ化ビニリデン)、ソルベイソレクシス社製のハイラー5000(ポリフッ化ビニリデン)、旭硝子社製のルミフロン200(熱硬化性フッ素樹脂)等が挙げられる。
架橋剤
上記基体樹脂は、必要に応じて架橋剤を併用してもよい。架橋剤としては、加熱により上記樹脂と反応して硬化させることができるものであれば特に制限なく使用することができる。架橋剤として、アミノ樹脂及びブロック化ポリイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋剤を好適に使用することができる。
アミノ樹脂としては、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等のアミノ成分とアルデヒドとの反応によって得られるメチロール化アミノ樹脂が挙げられる。上記反応に用いられるアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンツアルデヒド等が挙げられる。また、上記メチロール化アミノ樹脂を適当なアルコールによってエーテル化したものもアミノ樹脂として使用できる。エーテル化に用いられるアルコールの例としてはメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール等が挙げられる。
ブロック化ポリイソシアネート化合物は、上記ポリイソシアネート化合物のフリーのイソシアネート基をブロック化剤によってブロック化することによって調製される化合物である。
イソシアネート基をブロックするブロック化剤としては、例えばフェノール、クレゾール、キシレノール等のフェノール系;ε−カプロラクタム;δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等ラクタム系;メタノール、エタノール、n−,i−又はt−ブチルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール等のアルコール系;ホルムアミドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサンオキシム等オキシム系;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等の活性メチレン系等のブロック化剤を好適に使用することができる。上記ポリイソシアネート化合物と上記ブロック化剤とを混合することによって容易に上記ポリイソシアネート化合物のフリーのイソシアネート基をブロックすることができる。
アミン架橋剤として、脂肪族アミン架橋剤及び芳香族アミン架橋剤が挙げられる。ポリアミド架橋剤として、ダイマー酸とポリアミン(脂肪族アミン又は芳香族アミン)との縮合反応によって調製される架橋剤が挙げられる。多価カルボン酸架橋剤として、ポリオールと酸無水物との縮合反応によって調製される架橋剤が挙げられる。これらのアミン架橋剤、ポリアミド架橋剤及び多価カルボン酸架橋剤は、主としてエポキシ樹脂に対する架橋剤として用いられる。
上記樹脂と架橋剤との配合割合は、樹脂及び架橋剤の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、上記樹脂/架橋剤=50/50〜95/5の範囲内であってよく、60/40〜90/10の範囲内であってよい。
上記基体樹脂の好ましい1態様として、
アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、ポリエーテル樹脂、フッ素樹脂からなる群から選択される1種又はそれ以上、並びに、
架橋剤、
を含む態様が挙げられる。
上記基体樹脂のより好ましい1態様として、アクリル樹脂及びポリエステル樹脂からなる群から選択される1種又はそれ以上、並びに、
架橋剤、
を含む態様が挙げられる。
上記基体樹脂の好ましい他の1態様として、酸基含有アクリル樹脂とグリシジル基含有アクリル樹脂とを用いて、酸基/グリシジル基硬化系とする態様が挙げられる。
上記態様の基体樹脂を用いることによって、塗膜物性に優れた塗膜を形成することができる利点がある。
アルミニウム顔料
上記赤外線低放射性塗料組成物は、アルミニウム顔料を含む。上記アルミニウム顔料は、樹脂被覆アルミニウム顔料を、アルミニウム顔料の全量100質量部に対して60質量部以上含むことを条件とする。
上記赤外線低放射性塗料組成物中に含まれるアルミニウム顔料の量は、上記基体樹脂の樹脂固形分100質量部に対して10〜100質量部の範囲内である。アルミニウム顔料の量は15〜70質量部の範囲内であるのが好ましい。アルミニウム顔料の量が10質量部未満である場合は、赤外線放射率を有効に低減することが困難となるおそれがある。また、アルミニウム顔料の量が100質量部を超える場合は、塗料組成物の性状が悪化し、塗装等が困難となるおそれがある。
アルミニウム顔料としては、例えば、アルミニウムを、ボールミル又はアトライターミル中において、粉砕媒液の存在下で、粉砕助剤を用いて粉砕・摩砕して製造される、鱗片状アルミニウム顔料が挙げられる。粉砕助剤としては、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸の他、脂肪族アミン、脂肪族アミド、脂肪族アルコール等が使用される。粉砕媒液としては、ミネラルスピリット等の脂肪族系炭化水素等が使用される。
上記アルミニウム顔料は、樹脂被覆アルミニウム顔料と、樹脂被覆を有しないアルミニウム顔料とに大別することができる。樹脂被覆アルミニウム顔料は、基材粒子であるアルミニウム顔料に樹脂被覆を形成することによって調製される。樹脂被覆アルミニウム顔料の基材粒子として、上記のように粉砕・摩砕して製造される、鱗片状アルミニウム顔料の粒子が挙げられる。鱗片状アルミニウム顔料は、その表面に無機顔料又は有機顔料が付着された着色アルミニウム顔料であってもよい。
上記樹脂被覆アルミニウム顔料は、基材粒子である鱗片状アルミニウム顔料の表面に、単層又は複層(2層以上)の樹脂被覆層を形成することによって調製することができる。そして、上記樹脂被覆アルミニウム顔料を構成する樹脂被覆層は、2以上の重合性二重結合を有するモノマー及びオリゴマーから選ばれた1種又はそれ以上を含む重合性化合物を重合させることによって調製することができる。
上記2以上の重合性二重結合を有するモノマーとしては、例えば、多官能(メタ)アクリルモノマー(具体的には、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、1,9−ナノンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−へキサンジオールジメタクリレート、1,9−ナノンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート等)が挙げられる。他の例として、例えば、非環式不飽和化合物(例えばジビニルベンゼン等)等も好適に用いることができる。
2以上の重合性二重結合を有するオリゴマーとしては、例えば、エポキシ化1,2−ポリブタジエン、アクリル変性ポリエステル、アクリル変性ポリエーテル、アクリル変性ウレタン、アクリル変性エポキシ、アクリル変性スピラン(いずれも重合度2〜20程度)等を挙げることができる。中でもアクリル変性ポリエステル、重合度3〜10のエポキシ化1,2−ポリブタジエンが好ましい。上記オリゴマーを用いることによって、反応効率を向上させることができる利点がある。
樹脂被覆層を形成する重合において、上記2以上の重合性二重結合を有するモノマー及び/又はオリゴマー以外の重合性化合物を、必要に応じて併用してもよい。このような重合性化合物として、例えば、環式不飽和化合物(例えばシクロヘキセン)、非環式不飽和化合物(例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、シクロヘキセンビニルモノオキシド、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアリルベンゼン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド等)、不飽和二重結合基含有カルボン酸((メタ)アクリル酸等)、不飽和二重結合基含有リン酸((メタ)アクリロイロキシアルキルホスフェート等)等の、1つの重合性二重結合を有するモノマー等を挙げることができる。
樹脂被覆層は、基材粒子(鱗片状アルミニウム顔料)を有機溶媒中に分散させた後、その分散液中に、2以上の重合性二重結合を有するモノマー及びオリゴマーから選ばれた1種又はそれ以上を含む重合性化合物を加えて重合反応させることによって、形成することができる。重合性化合物を添加するタイミング及び添加回数は特に限定されず、1回で全量を添加してもよく、数回に分けて添加してもよい。
重合反応及び基材粒子を分散させるのに用いる有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、クロルベンゼン、トリクロルベンゼン、パークロルエチレン、トリクロルエチレン等のハロゲン化炭化水素類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−n−プロピルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、テトラハイドロフラン、ジエチルエーテル、エチルプロピルエーテル等のエーテル類等を挙げることができる。
樹脂被覆層の形成において、重合開始剤を用いるのが好ましい。重合開始剤として、一般にラジカル発生剤として知られているラジカル開始剤を用いることができる。重合開始剤の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等のパーオキサイド類、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ化合物等が挙げられる。
樹脂被覆層の形成において、重合反応の温度は、使用する重合開始剤の種類に応じて適宜選択することができる。重合開始剤の半減期は一般に温度によって特定される。重合開始剤の半減期が5分以上になるような温度が好ましく、特に15分以上になる温度がより好ましい。またこの温度は、重合開始剤の半減期が20時間以下になるような温度が好ましく、特に10時間以下になるような温度がより好ましい。例えばアゾビスイソブチロニトリルを重合開始剤として用いる場合は、70〜90℃がより好ましい温度範囲となる。
樹脂被覆アルミニウム顔料を構成する樹脂被覆層の形成において、2以上の重合性二重結合を有するモノマー及びオリゴマーから選ばれた1種又はそれ以上を含む重合性化合物の量は、基材粒子である鱗片状アルミニウム顔料100質量部に対して、樹脂固形分量として2〜50質量部であることが好ましく、4〜40質量部であるのがより好ましい。上記範囲であることによって、塗膜の赤外線放射率及び耐候性、耐薬品性等の物理的性能を良好な範囲に設計することができる。
また、樹脂被覆アルミニウム顔料における樹脂被覆量は、基材粒子のアルミニウム100質量部に対して2〜50質量部であるのが好ましく、4〜40質量部であるのがより好ましい。樹脂被覆量が上記範囲内であることによって、得られる塗膜の耐候性、耐薬品性が向上する利点がある。また、基材粒子(鱗片状アルミニウム顔料)の表面に形成される樹脂被覆層の厚みは、特に限定されるものではないが、5〜150nmとすることが好ましく、10〜100nmとすることがより好ましい。
樹脂被覆アルミニウム顔料として市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、
東洋アルミニウム社製アルペーストPCFシリーズ、PCE−Aシリーズ、FZCシリーズ、FZHシリーズ、FZUシリーズ、FZシリーズ、BPAシリーズ、BPシリーズ、BPZシリーズ等;
旭化成社製アルミペーストTRシリーズ、LRシリーズ、THRシリーズ、PVシリーズ、HRシリーズ、CRシリーズ等;
が挙げられる。
アルミニウム顔料として、樹脂被覆アルミニウム顔料を、アルミニウム顔料の全量100質量部に対して60質量部以上含むものを用いることによって、得られる塗膜の耐候性が向上する利点がある。アルミニウム顔料の全量100質量部に対する樹脂被覆アルミニウム顔料の量は70〜100質量部であるのが好ましい。
上記アルミニウム顔料は、必要に応じて、樹脂被覆を有しないアルミニウム顔料を含んでもよい。但し、樹脂被覆を有しないアルミニウム顔料の量は、アルミニウム顔料の全量100質量部に対して、40質量部未満であることを条件とする。
上記樹脂被覆を有しないアルミニウム顔料は、上記粉砕助剤の種類によって、リーフィングアルミニウム顔料とノンリーフィングアルミニウム顔料に大別される。リーフィングアルミニウム顔料は、鱗片状アルミニウム顔料であって、塗料組成物に配合すると塗装して得られた塗膜の表面に配列(リーフィング)する性質を有するものである。リーフィングアルミニウム顔料の調製に用いられる粉砕助剤として、炭素数8以上である飽和脂肪酸(例えばステアリン酸等)等が挙げられる。
上記リーフィングアルミニウム顔料として、市販品を用いてもよい。市販品として、例えば、東洋アルミニウム社製リーフィングアルペースト0300M、0100M、0700M、0231M、0870MS、30T、0670TS等、旭化成社製リーフィングタイプアルミペースト2、4/62、4/85N、8、25−5H、4S、4FS、11H、13G、13T、13H、13GH、15T、15H、15GH、15TH、18T、18TH、13GS、18GS、13UV、18UV等が挙げられる。
ノンリーフィングアルミニウム顔料は、鱗片状アルミニウム顔料であって、流動性のある塗膜において塗膜表面に浮上せず、塗膜内部で分散する性質を有するアルミニウム顔料である。ノンリーフィングアルミニウム顔料の調製方法として、例えば、粉砕助剤としてオレイン酸等の不飽和脂肪酸を用いることによって調製することができる。他の調製方法として、亜鉛等の金属の塩及び極性溶媒を用いて表面処理を行うことによって調製することができる。
アルミニウム顔料として、樹脂被覆アルミニウム顔料と樹脂被覆を有しないアルミニウム顔料とを用いる場合は、樹脂被覆を有しないアルミニウム顔料としてリーフィングアルミニウム顔料を用いるのが好ましい。例えば、アルミニウム顔料として、樹脂被覆アルミニウム顔料及びリーフィングアルミニウム顔料を含むものを用いるのが好ましい。このようなアルミニウム顔料を用いることによって、アルミニウム顔料の含有量が比較的少ない状態であっても、良好な赤外線低放射性能を達成することができる利点がある。
リーフィングアルミニウム顔料が含まれる場合における、樹脂被覆アルミニウム顔料及びリーフィングアルミニウム顔料の質量比は、樹脂被覆アルミニウム顔料:リーフィングアルミニウム顔料=60:40〜99:1の範囲内であるのが好ましく、70:30〜90:10の範囲内であるのがより好ましい。質量比が上記範囲内であることによって、耐候性等の塗膜物性に影響を与えることなく、赤外線低放射性能を有する塗膜を形成することができる。
上記赤外線低放射性塗料組成物中に含まれるアルミニウム顔料は、平均粒子径が1〜150μmの範囲内であるのが好ましく、3〜100μmの範囲内であるのがより好ましく、5〜50μmの範囲内であるのがさらに好ましい。アルミニウム顔料の平均厚みは、0.05μm以上であることが好ましく、特に0.1μm以上であることがより好ましい。また、この平均厚みは、5μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。鱗片状アルミニウム顔料の形状が上記の範囲内であることによって、塗料組成物の製造が容易となり、また、赤外線低放射性能を得ることができる利点がある。
なお、本明細書中の平均粒子径は、体積平均粒子径D50であり、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(日機装社製、マイクロトラック)等の粒度測定装置を用いて測定することができる。
上記平均厚み(t)は次の手順により測定することができる。アセトンで希釈したアルミニウム顔料をガラス基板上に数滴滴下し、自然乾固させる。次に、原子間力顕微鏡を用いてこのガラス基板上に強制配向したアルミニウム顔料を20点抽出し、タッピングモードによってそれぞれの厚みを測定する。そして、測定した20点の厚みのうち、上位値及び下位値の各3点の厚みを除外した残りの14点の厚みの平均値を求め、その平均値を平均厚み(t)とする。
上記赤外線低放射性塗料組成物中に含まれるアルミニウム顔料は、アスペクト比が30〜200の範囲内であるのが好ましく、40〜100の範囲内であるのがより好ましい。なお、本明細書中において、アルミニウム顔料のアスペクト比は、上記平均粒子径(D50)を上記平均厚み(T)で除する(上記体積平均粒子径(D50)/平均厚み(t))ことによって算出される数値である。アルミニウム顔料のアスペクト比が上記範囲内であることによって、良好な赤外線低放射性能が得られる利点がある。
赤外線低放射性塗料組成物の調製
赤外線低放射性塗料組成物は、上記成分を、溶媒中に溶解又は分散させることによって調製することができる。上記赤外線低放射性塗料組成物の溶媒として、有機溶媒又は水系溶媒を用いることができる。
有機溶媒として、例えば、
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類;
酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、プロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;
ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1、3−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、1、3−オクチレングリコール等のグリコール類;
アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類;
ミネラルスピリット、灯油等の脂肪族炭化水素;
トルエン、キシレン、メシチレン、ドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒;
等が挙げられる。
水性溶媒として、例えば、水、及び水と水混和性有機溶媒との混合物等が挙げられる。水混和性有機溶媒として、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール類、酢酸エチル等のエステル類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エチレングリコール等のグリコール類、アセトン等のケトン類等が挙げられる。
上記溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種又はそれ以上を組み合わせて用いてもよい。
上記赤外線低放射性塗料組成物は、1種又はそれ以上の有機溶媒を含む溶剤型塗料組成物であってもよい。
上記赤外線低放射性塗料組成物は、必要に応じて添加剤を含んでもよい。添加剤として、例えば、上記顔料分散樹脂以外の樹脂成分、増粘剤、消泡剤、造膜助剤、凍結防止剤、タレ防止剤、沈降防止剤、着色顔料、架橋促進剤、硬化助剤、レベリング剤、表面調整剤、可塑剤、防腐剤、防カビ剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。例えば沈降防止剤として、脂肪族アミドの潤滑分散体であるポリアミドワックス、酸化ポリエチレンを主体としたコロイド状分散体であるポリエチレンワックス等を用いることができる。これらの添加剤は、当分野で通常用いられる範囲で用いることができ、例えば、上記基体樹脂100質量部(固形分基準)に対して15質量部以下の割合で配合することができる。
上記赤外線低放射性塗料組成物は、カーボンブラックを含む着色顔料を含んでもよい。上記赤外線低放射性塗料組成物が、カーボンブラックを含む着色顔料を含むことによって、塗膜の明度(L値)を低い範囲(例えばL値40〜70の範囲内)に設計することができる。塗膜のL値が低いことによって、例えば住宅等の建築構造物に形成する塗膜としての意匠性が向上する利点がある。
上記赤外線低放射性塗料組成物がカーボンブラックを含む場合におけるカーボンブラックの含有量は、基体樹脂の樹脂固形分100質量部に対して、2〜40質量部の範囲内であるのが好ましく、4〜20質量部の範囲内であるのがより好ましい。
例えば従来の遮熱塗料組成物において、カーボンブラックの使用は推奨されていない。カーボンブラックは熱吸収性能が非常に高いため、遮熱塗料組成物に用いる顔料として適していないと考えられているためである。例えば特開2004−082120号公報には、カーボンブラックの代わりに、特定の焼成顔料である黒色顔料を含む、熱線遮蔽塗料組成物が記載されている。この特開2004−082120号公報には、特定の焼成顔料である黒色顔料を用いることによって、太陽光線のうち熱源となる780〜2,100nmの波長域の近赤外線を効果的に反射することができ、これにより、太陽熱遮蔽塗料として優れた効果が発揮されたと記載される。
これに対して、上記赤外線低放射性塗料組成物は、赤外線低放射性能に優れることを特徴とする塗料組成物である。上記塗料組成物は、太陽熱遮断性能ではなく赤外線低放射性能を発揮する塗料組成物であるため、カーボンブラックのような熱吸収性能が非常に高い成分を含んでも問題ない。
上記赤外線低放射性塗料組成物は、このように、従来の遮熱塗料組成物のように赤外線波長域の吸収を抑制することを目的としたものではなく、赤外線波長域の放射を効果的に低減することにより、断熱性能を得ることを目的とした塗料組成物である。そして本発明は、赤外線低放射性能を達成するためには、特定のアルミニウム顔料を特定の割合で含む態様が、技術的に利点があることを、実験により見いだしたことに基づく発明である。上記赤外線低放射性塗料組成物は、耐候性が良好であり、かつ、赤外線放射量を低減する塗膜を形成できる塗料組成物である。上記赤外線低放射性塗料組成物の塗膜は、例えば、赤外線放射率が0.5未満であるのが好ましい。
上記赤外線低放射性塗料組成物を塗装して塗膜を形成することによって、熱放射を制御する性能を有する塗膜(熱放射制御塗膜)を形成することができる。これにより、被塗物である物品に対して、熱放射を抑制する機能を付与することができる。上記赤外線低放射性塗料組成物を塗装して塗膜を形成することによって、被塗物である物品に断熱性能を付与することができる。上記被塗物としては特に限定されず、例えば、自動車用、家電機器用、建材用、雑貨用などの、鋼板、リン酸亜鉛処理鋼板、リン酸鉄処理鋼板、アルミニウムまたはアルミニウム合金板などの金属板、これら金属板からなる部材、および、プラスチック部材、コンクリート部材、スレート部材などが挙げられる。
上記熱放射制御塗膜は、上記赤外線低放射性塗料組成物を被塗物に塗装し、必要に応じて加熱して硬化させることによって、形成することができる。上記赤外線低放射性塗料組成物は、例えば、スプレー塗装法、バーコーター塗装法、エアナイフ塗装法、グラビア塗装法、ハケ塗り法、エアーガン塗装法、エアー静電ガン塗装法、ディップ塗装法などの、当業者に知られた塗装方法によって塗装することができる。塗装膜厚は特に限定されないが、例えば15〜100μmに設定することができる。
塗装により得られた塗膜を加熱して硬化させる際の加熱温度および加熱時間は、被塗物に応じて適宜選択することができる。加熱温度は、例えば70〜180℃であるのが好ましく、80〜140℃であるのがより好ましい。加熱時間は、例えば10〜60分間であるのが好ましく、15〜45分間であるのがより好ましい。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」及び「%」は、ことわりのない限り、質量基準による。
製造例1 アクリル樹脂Aの製造
撹拌機、温度調整器、冷却管、窒素導入管及び滴下ロートを備えた反応容器に、キシレン400質量部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら115℃まで昇温し保った。これに、スチレン275質量部、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート186質量部、ブチルアクリレート31質量部、2−エチルヘキシルアクリレート135質量部、メチルメタアクリレート365質量部及びメタクリル酸8部からなるモノマー溶液と、キシレン210質量部と開始剤であるt−アミルパーオキシー2ーエチルヘキサノエート23質量部からなる開始剤溶液を、別々の滴下ロートを通じて同時に3時間で等速滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌を継続した。次いで、キシレン30質量部とt−アミルパーオキシー2ーエチルヘキサノエート3質量部からなる開始剤溶液を30分間で等速滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌を継続し、アクリル樹脂A(樹脂固形分濃度:60質量%、数平均分子量:8,400、固形分酸価:5mgKOH/g、固形分水酸基価:80mgKOH/g、Tg:50℃、SP:10.4)を得た。
製造例2〜12 アクリル樹脂C〜Mの製造
モノマー溶液に含まれる各成分の種類及び量を下記表1に従い変更したこと以外は、製造例1(アクリル樹脂A)と同様にして、アクリル樹脂C〜Mを製造した。得られたアクリル樹脂の数平均分子量等の諸特数値を表1に示す。
製造例13 アクリル樹脂Nの製造
撹拌機、温度調整器、冷却管、窒素導入管及び滴下ロートを備えた反応容器に、キシレン490質量部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら122℃まで昇温し保った。これに、スチレン164質量部、n−ブチルメタクリレート220質量部、2−エチルヘキシルアクリレート212質量部、シクロヘキシルメタクリレート164質量部、エチルアクリレート35質量部、アクリル酸25質量部、無水マレイン酸180質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート240質量部からなるモノマー溶液と、キシレン100質量部と開始剤であるt−アミルパーオキシー2ーエチルヘキサノエート35質量部からなる開始剤溶液を、別々の滴下ロートを通じて同時に3時間で等速滴下した。滴下終了後、さらに30分間撹拌を継続した。次いで、キシレン30質量部とt−アミルパーオキシー2ーエチルヘキサノエート5質量部からなる開始剤溶液を30分間で等速滴下し、滴下終了後、さらに1時間撹拌を継続した。その後、メタノール99質量部を加え、70℃で23時間保ち、アクリル樹脂N(樹脂固形分濃度:55質量%、固形分酸価:118mgKOH/g、数平均分子量:4,300、Tg:15℃、SP:10.5)を得た。
製造例14 アクリル樹脂Oの製造
モノマー溶液に含まれる各成分の種類及び量を下記表1に従い変更したこと以外は、製造例13(アクリル樹脂N)と同様にして、アクリル樹脂Oを製造した。得られたアクリル樹脂の数平均分子量等の諸特数値を表1に示す。
Figure 0006679671
製造例15 ポリエステル樹脂Aの製造
撹拌機、温度調整器、還流冷却器、窒素導入管及び温度計を備えた反応容器に、イソフタル酸526質量部、アジピン酸52質量部、ネオペンチルグリコール176質量部、トリメチロールプロパン65質量部、1,6−ヘキサンジオール181質量部、ジ−n−ブチル錫オキサイド0.5質量部及びキシレン30質量部を混合し、窒素雰囲気下で220℃まで徐々に昇温し、生成する水を留去しながら、エステル化反応を行った。酸価が6になるまで反応を進行させ、その後、キシレン553質量部を加えて、ポリエステル樹脂(樹脂固形分濃度:60質量%、数平均分子量:4,450、固形分酸価:6mgKOH/g、固形分水酸基価:50mgKOH/g、SP:10.4)を得た。
製造例16〜19 ポリエステル樹脂B〜Eの製造
モノマー溶液に含まれる各成分の種類及び量を下記表2に従い変更したこと以外は、製造例15(ポリエステル樹脂A)と同様にして、ポリエステル樹脂B〜Eを製造した。得られたポリエステル樹脂の数平均分子量等の諸特数値を表1に示す。
Figure 0006679671
製造例20 アルキド樹脂の製造
撹拌機、温度調整器、還流冷却器、窒素導入管及び温度計を備えた反応容器に、大豆油脂肪酸372質量部、無水フタル酸375質量部、ペンタエリスリトール169質量部、エチレングリコール84質量部、ジ−n−ブチル錫オキサイド0.5質量部及びキシレン20質量部を混合し、窒素雰囲気下で220℃まで徐々に昇温し、生成する水を留去しながら、エステル化反応を行った後、キシレン600質量部を加えて、アルキド樹脂(樹脂固形分濃度:64質量%、固形分酸価:3mgKOH/g、固形分水酸基価:70mgKOH/g、数平均分子量:2,600)を得た
実施例1 赤外線低放射性塗料組成物の調製
アルミニウムペーストA(FZU20C、東洋アルミ社製、樹脂被覆鱗片状アルミニウム顔料;アルミニウム顔料濃度:49質量%、樹脂被覆量:13質量%/アルミ100g)38.6質量部(アルミニウム顔料の量:18.9質量部)、基体樹脂の一種である製造例1のアクリル樹脂A 101.5質量部(樹脂固形分量:60.9質量部)、キシレン44.0質量部を、ステンレスビーカーに入れて、ディスパーを用いて混合した。次に、架橋剤(基体樹脂の一種)としてスミジュールN3300(住化バイエルウレタン社製、ポリイソシアネート樹脂;樹脂固形分濃度:100質量%、NCO当量:194g/eq、)20.2質量部を加えて混合し、赤外線低放射性塗料組成物(固形分濃度:50質量%)を得た。
実施例2〜29及び比較例1〜8
各成分及び量を下記表のものに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、赤外線低放射性塗料組成物を調製した。
なお比較例2においては、各成分を入れて混合する時点で粘度が非常に高く、塗料組成物として調製することができなかった。
試験評価板の作製
SPCC鋼板を、サーフクリーナーEC90(日本ペイント・サーフケミカルズ社製)中に50℃で2分間浸漬して脱脂処理し、サーフファインGL−1(日本ペイント・サーフケミカルズ社製)で表面調整し、次いで、リン酸亜鉛化成処理液であるサーフダインSD−5000(日本ペイント・サーフケミカルズ社製、リン酸亜鉛化成処理液)中に40℃で2分間浸漬して、リン酸亜鉛化成処理を行った。
次いで、上記で調製した赤外線低放射性塗料組成物を、バーコーターを用いて、乾燥塗膜が30μmとなるように塗装した。次いで100℃で30分間加熱して、試験評価板を作製した。
上記実施例1〜29及び比較例1〜8で得られた試験評価板を用いて、下記の評価を行った。得られた評価結果を、下記表に示す。
赤外線放射率の測定
天板を有するヒーターHOT PLATE FHP−450S(Fine社製)を加熱した。天板の表面温度を、熱電対AP−210(安立計器社製)で測定したところ、85℃であった。
次に、加熱された天板の上に、上記より得られた試験評価板を、試験評価板の鋼板面と天板面とが接触し、塗膜面が空気面に暴露される方向で設置した。試験評価板をヒーター上に置いてから60分後に、試験評価板の塗膜面の温度を、サーモグラフィーTVS−200EX(NEC Avio社製)を用いて測定した。
赤外線放射率εは、下記式より算出した。なお、室温は20℃(293K)とした。

赤外線放射率(ε)=(Tサーモ − Trt )/(T熱電対 − Trt

Tサーモ:赤外線放射率(ε)=1.0の設定において、サーモグラフィーTVS−200EXを用いて測定した塗板の表面温度(K)
Trt:測定時の室温(293K)
T熱電対:熱電対にて測定した塗板の表面温度(K)

測定した塗膜放射率(ε)について、下記基準により評価した。
◎:ε≦0.40 (0.40以下)
○:0.40<ε≦0.50 (0.40を超え0.50以下)
△:0.50<ε≦0.60 (0.50を超え0.60以下)
×:0.60<ε (0.60を超える)
耐候性評価(促進耐候性)
上記より得られた試験評価板を、サンシャインウェザオメーター(SWOM;スガ試験機社製)を用いて、1,000時間の促進耐候性試験を行った(運転条件:JIS K 5600に準拠)。促進耐候性試験前と、促進耐候性試験後の色相を、それぞれ色彩色差計CR−300(コニカミノルタ社製)にて測定し、色差(ΔE)を求めた。色差(ΔE)について、下記基準により評価した。
◎:ΔE≦2.0 (2.0以下)
○:2.0<ΔE≦3.0 (2.0を超え3.0以下)
△:3.0<ΔE≦5.0 (3.0を超え5.0以下)
×:5.0<ΔE (5.0を超える)

また、促進耐候性試験後の塗膜放射率を、上記方法にて測定し、放射率差(Δε)を求めた。放射率差(Δε)について、下記基準により評価した。
◎:Δε≦0.10 (0.10以下)
○:0.10<Δε≦0.20 (0.10を超え0.20以下)
△:0.20<Δε≦0.30 (0.10を超え0.30以下)
×:0.30<Δε (0.30を超える)
耐アルカリ性評価
上記より得られた試験評価板を、5%水酸化ナトリウム水溶液に、20℃にて48時間浸漬した。浸漬前と浸漬後の色相を、それぞれ色彩色差計CR−300(コニカミノルタ社製)にて測定し、色差(ΔE)を求めた。色差(ΔE)について、下記基準により評価した。
◎:ΔE≦2.0 (2.0以下)
○:2.0<ΔE≦3.0 (2.0を超え3.0以下)
△:3.0<ΔE≦5.0 (3.0を超え5.0以下)
×:5.0<ΔE (5.0を超える)
耐水性評価
上記より得られた試験評価板を、40℃に保持された水槽に10日間浸漬した。浸漬前と浸漬後の色相を、それぞれ色彩色差計CR−300(コニカミノルタ社製)にて測定し、色差(ΔE)を求めた。色差(ΔE)について、下記基準により評価した。
◎:ΔE≦1.0 (1.0以下)
○:1.0<ΔE≦2.0 (1.0を超え2.0以下)
△:2.0<ΔE≦4.0 (2.0を超え4.0以下)
×:4.0<ΔE (4.0を超える)
Figure 0006679671
Figure 0006679671
上記表中の各成分は以下の通りである。なお、PWCは、塗料組成物中の全固形分質量に対する顔料質量濃度を意味する。
Figure 0006679671
Figure 0006679671
実施例より得られた赤外線低放射性塗料組成物の塗膜はいずれも、赤外線放射率が低いことが確認された。これらの塗膜はさらに、耐候性、耐アルカリ性、耐水性も良好であることが確認された。
比較例1は、基体樹脂100部に対するアルミニウム顔料の量が10部に満たない例である。この例では、十分な赤外線放射率性能を得ることができなかった。
比較例2は、基体樹脂100部に対するアルミニウム顔料の量が100部を超える例である。この例では、塗料化することができなかった。
比較例3は、鱗片状であるものの樹脂被覆されていないアルミニウム顔料を用いている一方で、樹脂被覆アルミニウム顔料を用いていない例である。この例では、赤外線放射率性能が低く、また、耐候性、耐アルカリ性、耐水性も劣ることが確認された。
比較例4は、真球状であって、樹脂被覆を有しないアルミニウム顔料を用いている一方で、樹脂被覆アルミニウム顔料を用いていない例である。この例では、赤外線放射率性能が著しく低いことが確認された。
比較例5は、無機被覆のアルミニウム顔料を用いている一方で、樹脂被覆アルミニウム顔料を用いていない例である。この例では、赤外線放射率性能が低く、また、耐候性、耐アルカリ性、耐水性も劣ることが確認された。
比較例6は、アルミニウム顔料100質量部に含まれる樹脂被覆アルミニウム顔料の量が60質量部未満である例である。この例では、赤外線放射率性能が高いものの、耐候性、耐アルカリ性、耐水性も劣ることが確認された。
比較例7は、鱗片状であるものの樹脂被覆されていないリーフィングアルミニウム顔料を用いている一方で、樹脂被覆アルミニウム顔料を用いていない例である。この例では、赤外線放射率性能が高いものの、耐候性、耐アルカリ性、耐水性の劣ることが確認された
比較例8は、アルミニウム顔料を含まない例である。この例では、赤外線放射率性能が大きく劣ることが確認された。
上記赤外線低放射性塗料組成物を塗装して塗膜を形成することによって、熱放射を制御する性能を有する塗膜を形成することができる。これにより、被塗物である物品に対して、熱放射を抑制する機能を付与することができる。上記赤外線低放射性塗料組成物を塗装して塗膜を形成することによって、被塗物である物品に断熱性能を付与することができる。

Claims (7)

  1. 基体樹脂及びアルミニウム顔料を含む、赤外線低放射性塗料組成物であって、
    前記赤外線低放射性塗料組成物中に含まれるアルミニウム顔料の量は、基体樹脂の樹脂固形分100質量部に対して10〜100質量部の範囲内であり、
    前記アルミニウム顔料は、樹脂被覆アルミニウム顔料を、アルミニウム顔料の全量100質量部に対して60質量部以上を含み、
    前記アルミニウム顔料は、樹脂被覆アルミニウム顔料及びリーフィングアルミニウム顔料を含み、前記樹脂被覆アルミニウム顔料及びリーフィングアルミニウム顔料の質量比は、樹脂被覆アルミニウム顔料:リーフィングアルミニウム顔料=60:40〜99:1の範囲内であり、および
    前記赤外線低放射性塗料組成物は、1種又はそれ以上の有機溶媒を含む溶剤型塗料組成物である、
    赤外線低放射性塗料組成物。
  2. 前記アルミニウム顔料は、アスペクト比が30〜200の範囲内である、請求項1記載の赤外線低放射性塗料組成物。
  3. 前記基体樹脂は、
    アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、ポリエーテル樹脂及びフッ素樹脂からなる群から選択される1種又はそれ以上、並びに、
    架橋剤、
    を含む、
    請求項1または2に記載の赤外線低放射性塗料組成物。
  4. 前記赤外線低放射性塗料組成物は、さらに着色顔料を含み、
    前記着色顔料は、カーボンブラックを含む、
    請求項1〜いずれかに記載の赤外線低放射性塗料組成物。
  5. 前記樹脂被覆アルミニウム顔料における樹脂被覆量は、前記樹脂被覆アルミニウム顔料中のアルミニウム100質量部に対して、2〜50質量部である、請求項1〜いずれかに記載の赤外線低放射性塗料組成物。
  6. 請求項1〜いずれかに記載の赤外線低放射性塗料組成物の塗膜は、明度L値が40以上70以下である、請求項1〜いずれかに記載の赤外線低放射性塗料組成物。
  7. 請求項1〜いずれかに記載の赤外線低放射性塗料組成物の塗膜を有する、赤外線低放射性物品。
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