以下、本発明の荷電粒子ビーム描画装置の第1の実施形態について説明する。図1は第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10の概略的な構成図である。第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、図1に示すように、例えばマスク(ブランク)、ウエハなどのような試料M上に荷電粒子ビーム10a1bを照射することによって、試料M上に目的のパターンを描画するための描画部10aが設けられている。
第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、荷電粒子ビーム10a1bとして例えば電子ビームが用いられるが、第2の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、代わりに、荷電粒子ビーム10a1bとして例えばイオンビーム等の電子ビーム以外の荷電粒子ビームを用いることも可能である。
第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、図1に示すように、荷電粒子銃10a1aと、荷電粒子銃10a1aから照射された荷電粒子ビーム10a1bを偏向する偏向器10a1c,10a1d,10a1e,10a1fと、偏向器10a1c,10a1d,10a1e,10a1fによって偏向された荷電粒子ビーム10a1bによる描画が行われる試料Mを載置する可動ステージ10a2aとが、描画部10aに設けられている。
詳細には、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、図1に示すように、描画部10aの一部を構成する描画室10a2に、例えば試料Mが載置された可動ステージ10a2aが配置されている。この可動ステージ10a2aは、例えば、X方向(図1の左右方向)およびY方向(図1の手前側−奥側方向)に移動可能に構成されている。
更に、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、図1に示すように、描画部10aの一部を構成する光学鏡筒10a1に、例えば荷電粒子銃10a1aと、偏向器10a1c,10a1d,10a1e,10a1fと、レンズ10a1g,10a1h,10a1i,10a1j,10a1kと、第1成形アパーチャ10a1lと、第2成形アパーチャ10a1mとが配置されている。
具体的には、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、図1に示すように、例えば、描画データDに基づき制御部10bの制御計算機10b1によって偏向制御回路10b2を介してブランキング偏向器10a1cを制御することにより、荷電粒子銃10a1aから照射された荷電粒子ビーム10a1bが、例えば第1成形アパーチャ10a1lの開口10a1l’(図2(A)参照)を透過せしめられて試料Mに照射されるか、あるいは、例えば第1成形アパーチャ10a1lの開口10a1l’以外の部分によって遮られて試料Mに照射されないかが、切り換えられる。つまり、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、ブランキング偏向器10a1cを制御することにより、例えば、荷電粒子ビーム10a1bのビーム照射時間を制御することができる。
また、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、図1に示すように、例えば、描画データDに基づき制御部10bの制御計算機10b1によって偏向制御回路10b3を介してビーム寸法可変偏向器10a1dを制御することにより、第1成形アパーチャ10a1lの開口10a1l’(図2(A)参照)を透過せしめられた荷電粒子ビーム10a1bが、ビーム寸法可変偏向器10a1dによって偏向される。次いで、ビーム寸法可変偏向器10a1dによって偏向された荷電粒子ビーム10a1bの全部または一部が、第2成形アパーチャ10a1mの開口10a1m’(図2(A)参照)を透過せしめられる。つまり、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、例えば、ビーム寸法可変偏向器10a1dによって荷電粒子ビーム10a1bが偏向される量、向きなどを調整することにより、試料Mに照射される荷電粒子ビーム10a1bの大きさ、形状などを調整することができる。
図2は第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10において荷電粒子ビーム10a1bの1回のショットで試料M上に描画することができるパターンPの一例を説明するための図である。第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、図1および図2(A)に示すように、荷電粒子ビーム10a1bによって試料M上にパターンP(図2(A)参照)が描画される時に、荷電粒子銃10a1a(図1参照)から照射された荷電粒子ビーム10a1bの一部が、第1成形アパーチャ10a1lの例えば正方形の開口10a1l’(図2(A)参照)を透過せしめられる。その結果、第1成形アパーチャ10a1lの開口10a1l’を透過せしめられた荷電粒子ビーム10a1bの水平断面形状が、例えば概略正方形になる。次いで、第1成形アパーチャ10a1lの開口10a1l’を透過せしめられた荷電粒子ビーム10a1bの全部または一部が、第2成形アパーチャ10a1mの開口10a1m’(図2(A)参照)を透過せしめられる。
また、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、図1および図2(A)に示すように、第1成形アパーチャ10a1lの開口10a1l’(図2(A)参照)を透過せしめられた荷電粒子ビーム10a1bを偏向器10a1d(図1参照)によって偏向することにより、第2成形アパーチャ10a1mの開口10a1m’(図2(A)参照)を透過せしめられる荷電粒子ビーム10a1bの水平断面形状を、例えば矩形(正方形または長方形)にしたり、例えば三角形にしたりすることができる。
更に、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、図1および図2(A)に示すように、第2成形アパーチャ10a1mの開口10a1m’(図2(A)参照)を透過せしめられた荷電粒子ビーム10a1bを、試料M上の所定の位置に所定のビーム照射時間だけ照射し続けることにより、第2成形アパーチャ10a1mの開口10a1m’(図2(A)参照)を透過せしめられた荷電粒子ビーム10a1bの水平断面形状と概略同一形状のパターンP(図2(A)参照)を試料M上に描画することができる。
つまり、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、図1および図2(A)に示すように、第1成形アパーチャ10a1lの開口10a1l’(図2(A)参照)を透過せしめられた荷電粒子ビーム10a1bが偏向器10a1d(図1参照)によって偏向される量および向きを制御することにより、例えば、図2(B)に示すような最大サイズの概略正方形のパターンP、最大サイズのパターンP(図2(B)参照)よりも小さい図2(C)、図2(D)および図2(E)に示すような概略矩形(正方形または長方形)のパターンP、最大サイズのパターンP(図2(B)参照)よりも小さい図2(F)、図2(G)、図2(H)および図2(I)に示すような概略三角形のパターンPなどを、荷電粒子ビーム10a1bの1回のショットで試料M上に描画することができる。
更に、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、図1に示すように、例えば、描画データDに基づき制御部10bの制御計算機10b1によって偏向制御回路10b4を介して主偏向器10a1eを制御することにより、第2成形アパーチャ10a1mの開口10a1m’(図2(A)参照)を透過せしめられた荷電粒子ビーム10a1bが、主偏向器10a1eによって偏向される。
また、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、図1に示すように、例えば、描画データDに基づき制御部10bの制御計算機10b1によって偏向制御回路10b5を介して副偏向器10a1fを制御することにより、主偏向器10a1eによって偏向された荷電粒子ビーム10a1bが、副偏向器10a1fによって更に偏向される。つまり、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、例えば、主偏向器10a1eおよび副偏向器10a1fによって荷電粒子ビーム10a1bが偏向される量、向きなどを調整することにより、試料Mに照射される荷電粒子ビーム10a1bの照射位置を調整することができる。
図1に示す例では、例えば、半導体集積回路の設計者などによって作成されたCADデータ(レイアウトデータ、設計データ)を荷電粒子ビーム描画装置10用のフォーマットに変換することにより得られた描画データDが、荷電粒子ビーム描画装置10の制御部10bの制御計算機10b1に入力される。一般的に、CADデータ(レイアウトデータ、設計データ)には、多数の微小なパターンが含まれており、CADデータ(レイアウトデータ、設計データ)のデータ量はかなりの大容量になっている。更に、一般的に、CADデータ(レイアウトデータ、設計データ)を他のフォーマットに変換しようとすると、変換後のデータのデータ量は更に増大してしまう。この点に鑑み、CADデータ(レイアウトデータ、設計データ)、および、荷電粒子ビーム描画装置10の制御部10bの制御計算機10b1に入力される描画データDでは、データの階層化が採用され、データ量の圧縮化が図られている。
図3は図1に示す描画データDの一例を概略的に示した図である。図3に示す例では、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10に適用される描画データD(図1参照)が、例えば、仮想チップ階層、仮想チップチップ階層よりも下位のチップ階層、チップ階層よりも下位の図形階層に階層化されている。
詳細には、図3に示す例では、例えば、描画データD(図1参照)の仮想チップ階層に仮想チップVCPが含まれている。更に、チップCPAと、チップCPBと、チップCPCと、チップCPDとが、仮想チップVCPに含まれている。
更に、図3に示す例では、例えば、多数の図形FGA1,FGA2,・・がチップCPAに含まれており、多数の図形FGB1,FGB2,・・がチップCPBに含まれており、多数の図形(図示せず)がチップCPCに含まれており、多数の図形(図示せず)がチップCPDに含まれている。
第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、図1および図3に示すように、描画データD(図1参照)に含まれる図形階層(図3参照)の多数の図形FGA1,FGA2,・・,FGB1,FGB2,・・(図3参照)に対応するパターンが、荷電粒子ビーム10a1b(図1参照)によって試料M(図1参照)上に描画される。
図4は描画データDに含まれる図形FGA1,FGA2,・・,FGB1,FGB2,・・に対応するパターンが荷電粒子ビーム10a1bによって描画される描画順序を説明するための図である。図4に示す例では、例えば8本のストライプSTR1,STR2,STR3,STR4,STR5,STR6,STR7,STR8と呼ばれる帯状の仮想領域が試料M上に設定されている。
図4に示す例では、例えば、荷電粒子ビーム10a1bが、ストライプSTR1内をX軸のマイナス側(図4の左側)からプラス側(図4の右側)に向かって走査され、例えば、チップCPA(図3参照)に含まれる多数の図形FGA1,FGA2,・・に対応するパターンが荷電粒子ビーム10a1bによって試料MのストライプSTR1内に描画され、チップCPB(図3参照)に含まれる多数の図形FGB1,FGB2,・・に対応するパターンが荷電粒子ビーム10a1bによって試料MのストライプSTR1内に描画される。次いで、例えば、荷電粒子ビーム10a1bが、ストライプSTR2内をX軸のプラス側(図4の右側)からマイナス側(図4の左側)に向かって走査され、描画データD(図1参照)に含まれる多数の図形(図示せず)に対応するパターンが荷電粒子ビーム10a1bによって試料MのストライプSTR2内に描画される。
次いで、図4に示す例では、例えば、荷電粒子ビーム10a1bが、ストライプSTR3内をX軸のマイナス側(図4の左側)からプラス側(図4の右側)に向かって走査され、描画データD(図1参照)に含まれる多数の図形(図示せず)に対応するパターンが荷電粒子ビーム10a1bによって試料MのストライプSTR3内に描画される。次いで、例えば、荷電粒子ビーム10a1bが、ストライプSTR4内をX軸のプラス側(図4の右側)からマイナス側(図4の左側)に向かって走査され、描画データD(図1参照)に含まれる多数の図形(図示せず)に対応するパターンが荷電粒子ビーム10a1bによって試料MのストライプSTR4内に描画される。
同様に、図4に示す例では、例えば、描画データD(図1参照)に含まれる多数の図形(図示せず)に対応するパターンが荷電粒子ビーム10a1bによって試料MのストライプSTR5,STR6,STR7,STR8内に描画される。
詳細には、図4に示す例では、例えば、荷電粒子ビーム10a1bによって試料MのストライプSTR1内にパターンが描画される時、可動ステージ10a2a(図1参照)がX軸のプラス側(図4の右側)からマイナス側(図4の左側)に向かって移動するように、描画データD(図1および図8参照)に基づき制御部10b(図1参照)の制御計算機10b1(図1および図8参照)のステージ制御部10b1i(図8参照)によってステージ制御回路10b6(図1参照)を介して可動ステージ10a2aが制御される。次いで、例えば、荷電粒子ビーム10a1bによって試料MのストライプSTR2(図4参照)内にパターンが描画される前に、可動ステージ10a2aがY軸のプラス側(図4の上側)からマイナス側(図4の下側)に向かって移動するように、描画データDに基づき制御部10bの制御計算機10b1のステージ制御部10b1iによってステージ制御回路10b6を介して可動ステージ10a2aが制御される。
次いで、図4に示す例では、例えば、荷電粒子ビーム10a1bによって試料MのストライプSTR2内にパターンが描画される時、可動ステージ10a2a(図1参照)がX軸のマイナス側(図4の左側)からプラス側(図4の右側)に向かって移動するように、描画データD(図1および図8参照)に基づき制御部10b(図1参照)の制御計算機10b1(図1および図8参照)のステージ制御部10b1i(図8参照)によってステージ制御回路10b6(図1参照)を介して可動ステージ10a2aが制御される。
図5は描画データDに含まれる図形FGA1,FGA2,・・,FGB1,FGB2,・・に対応するパターンPA1,PA2,・・,PB1,PB2,・・が荷電粒子ビーム10a1bによって描画される描画順序の一例を詳細に説明するための図である。
図5に示す例では、例えば、試料M(図4参照)上のストライプSTR1,STR2,STR3,STR4,STR5,STR6,STR7,STR8(図4参照)内の領域が、サブフィールドSFm,SFm+1,・・,SFn−1,SFn,・・と呼ばれる複数の矩形の仮想領域によって更に分割されている。詳細には、図5に示す例では、例えば、描画データD(図1参照)に含まれる図形FGA1(図3参照)に対応するパターンPA1が荷電粒子ビーム10a1bによって描画される場合、まず最初に、例えば、荷電粒子ビーム10a1bがサブフィールドSFm内に照射されるように、描画データD(図1および図8参照)に基づき制御部10b(図1参照)の制御計算機10b1(図1および図8参照)の主偏向制御部10b1g(図8参照)によって偏向制御回路10b4(図1参照)を介して主偏向器10a1e(図1参照)が制御される。
次いで、図5に示す例では、例えば、主偏向器10a1e(図1参照)の制御が完了すると(主偏向器10a1eのセトリング時間が経過すると)、荷電粒子ビーム10a1bによってパターンPA1が描画されるように、描画データD(図1および図8参照)に基づき制御部10b(図1参照)の制御計算機10b1(図1および図8参照)の副偏向制御部10b1h(図8参照)によって偏向制御回路10b5(図1参照)を介して副偏向器10a1f(図1参照)が制御される。次いで、例えば、副偏向器10a1fの制御が完了した時(副偏向器10a1fのセトリング時間が経過した時)にパターンPA1を描画するための荷電粒子ビーム10a1bの照射が開始されるように、描画データDに基づき制御部10bの制御計算機10b1のブランキング偏向制御部10b1e(図8参照)によって偏向制御回路10b2(図1参照)を介してブランキング偏向器10a1c(図1参照)が制御される。また、例えば、副偏向器10a1fの制御が完了した時(副偏向器10a1fのセトリング時間が経過した時)にパターンPA1を描画するための水平断面形状を有する荷電粒子ビーム10a1bが照射されるように、描画データDに基づき制御部10bの制御計算機10b1のビーム寸法可変偏向制御部10b1f(図8参照)によって偏向制御回路10b3(図1参照)を介してビーム寸法可変偏向器10a1d(図1参照)が制御される。
次いで、図5に示す例では、例えば、荷電粒子ビーム10a1bによるパターンPA1の描画が終了すると、荷電粒子ビーム10a1bの照射が停止されるように、描画データD(図1および図8参照)に基づき制御部10b(図1参照)の制御計算機10b1(図1および図8参照)のブランキング偏向制御部10b1e(図8参照)によって偏向制御回路10b2(図1参照)を介してブランキング偏向器10a1c(図1参照)が制御される。次いで、例えば、荷電粒子ビーム10a1bによって、描画データD(図1参照)に含まれる図形FGA2(図3参照)に対応するパターンPA2が描画されるように、描画データDに基づき制御部10bの制御計算機10b1の副偏向制御部10b1h(図8参照)によって偏向制御回路10b5(図1参照)を介して副偏向器10a1f(図1参照)が制御される。
次いで、図5に示す例では、例えば、副偏向器10a1f(図1参照)の制御が完了した時(副偏向器10a1fのセトリング時間が経過した時)にパターンPA2を描画するための荷電粒子ビーム10a1bの照射が開始されるように、描画データD(図1および図8参照)に基づき制御部10b(図1参照)の制御計算機10b1(図1および図8参照)のブランキング偏向制御部10b1e(図8参照)によって偏向制御回路10b2(図1参照)を介してブランキング偏向器10a1c(図1参照)が制御される。また、例えば、副偏向器10a1fの制御が完了した時(副偏向器10a1fのセトリング時間が経過した時)にパターンPA2を描画するための水平断面形状を有する荷電粒子ビーム10a1bが照射されるように、描画データDに基づき制御部10bの制御計算機10b1のビーム寸法可変偏向制御部10b1f(図8参照)によって偏向制御回路10b3(図1参照)を介してビーム寸法可変偏向器10a1d(図1参照)が制御される。
また、図5に示す例では、サブフィールドSFn−1内のすべてのパターン(図示せず)の描画が終了すると、荷電粒子ビーム10a1bがサブフィールドSFn内に照射され、描画データD(図1および図8参照)に含まれる図形FGB1,FGB2,・・(図3参照)に対応するパターンPB1,PB2,・・が描画されるように、上述した制御と同様の制御が実行される。
図6は描画データDに含まれる図形FGA1に対応するパターンPA1が荷電粒子ビーム10a1bによって描画される描画順序の一例を示した図である。詳細には、図6は第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10において描画データDに含まれる図形FGA1に対応するパターンPA1を荷電粒子ビーム10a1bによって試料M上に描画するために必要な荷電粒子ビーム10a1bのショット数の一例を説明するための図である。
第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、例えば描画データD(図1および図8参照)に含まれる図形FGA1(図3参照)に対応するパターンPA1(図5参照)が、最大サイズのパターンP(図2(B)参照)よりも大きい場合などに、図6に示すように、複数回の荷電粒子ビーム10a1b(図2(A)参照)のショットが行われる。換言すれば、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、例えば描画データD(図1および図8参照)に含まれる図形FGA1(図3参照)に対応するパターンPA1(図5参照)が、最大サイズのパターンP(図2(B)参照)よりも大きい場合などに、制御部10b(図1参照)の制御計算機10b1(図1参照)において、描画データD(図1および図8参照)に含まれる図形FGA1(図3参照)が、パターンPA1a,PA1b,PA1c,PA1d,PA1e,PA1f,PA1g,PA1h,PA1iに対応する複数の小さい図形(図示せず)に描画データ上で分割される。この分割処理が、一般に、「ショット分割」などと呼ばれている。
詳細には、図6に示す例では、例えば、まず最初に、図6(A)に示すように、1回目の荷電粒子ビーム10a1b(図2(A)参照)のショットにより、最大サイズのパターンP(図2(B)参照)と同一形状のパターンPA1aが試料M上に描画される。
更に詳細には、図6に示す例では、例えば、荷電粒子ビーム10a1b(図2(A)参照)をサブフィールドSFm(図5参照)に位置決めするための主偏向器10a1e(図1参照)の制御が完了すると(主偏向器10a1eのセトリング時間が経過すると)、1回目の荷電粒子ビーム10a1bのショットによってパターンPA1a(図6(A)参照)が描画されるように、描画データD(図1および図8参照)に基づき制御部10b(図1参照)の制御計算機10b1(図1および図8参照)の副偏向制御部10b1h(図8参照)によって偏向制御回路10b5(図1参照)を介して副偏向器10a1f(図1参照)が制御される。
次いで、例えば、副偏向器10a1f(図1参照)の制御が完了した時(副偏向器10a1fのセトリング時間が経過した時)にパターンPA1a(図6(A)参照)を描画するための荷電粒子ビーム10a1b(図2(A)参照)のショットが開始されるように、描画データD(図1および図8参照)に基づき制御部10b(図1参照)の制御計算機10b1(図1および図8参照)のブランキング偏向制御部10b1e(図8参照)によって偏向制御回路10b2(図1参照)を介してブランキング偏向器10a1c(図1参照)が制御される。また、例えば、副偏向器10a1fの制御が完了した時(副偏向器10a1fのセトリング時間が経過した時)にパターンPA1aを描画するための水平断面形状を有する荷電粒子ビーム10a1bが照射されるように、描画データDに基づき制御部10bの制御計算機10b1のビーム寸法可変偏向制御部10b1f(図8参照)によって偏向制御回路10b3(図1参照)を介してビーム寸法可変偏向器10a1d(図1参照)が制御される。
次いで、例えば、パターンPA1a(図6(A)参照)を描画するための荷電粒子ビーム10a1b(図2(A)参照)のビーム照射時間が終了すると、荷電粒子ビーム10a1bの照射が停止されるように、描画データD(図1および図8参照)に基づき制御部10b(図1参照)の制御計算機10b1(図1および図8参照)のブランキング偏向制御部10b1e(図8参照)によって偏向制御回路10b2(図1参照)を介してブランキング偏向器10a1c(図1参照)が制御される。
次いで、図6に示す例では、例えば、図6(B)に示すように、2回目の荷電粒子ビーム10a1b(図2(A)参照)のショットにより、最大サイズのパターンP(図2(B)参照)と同一形状のパターンPA1bが試料M上に描画される。次いで、例えば、図6(C)に示すように、3回目の荷電粒子ビーム10a1b(図2(A)参照)のショットにより、最大サイズのパターンP(図2(B)参照)より小さいパターンPA1cが試料M上に描画される。
次いで、図6に示す例では、例えば、図6(D)に示すように、4回目の荷電粒子ビーム10a1b(図2(A)参照)のショットにより、最大サイズのパターンP(図2(B)参照)と同一形状のパターンPA1dが試料M上に描画される。次いで、例えば、図6(E)に示すように、5回目の荷電粒子ビーム10a1b(図2(A)参照)のショットにより、最大サイズのパターンP(図2(B)参照)と同一形状のパターンPA1eが試料M上に描画される。次いで、例えば、図6(F)に示すように、6回目の荷電粒子ビーム10a1b(図2(A)参照)のショットにより、最大サイズのパターンP(図2(B)参照)より小さいパターンPA1fが試料M上に描画される。
次いで、図6に示す例では、例えば、図6(G)に示すように、7回目の荷電粒子ビーム10a1b(図2(A)参照)のショットにより、最大サイズのパターンP(図2(B)参照)より小さいパターンPA1gが試料M上に描画される。次いで、例えば、図6(H)に示すように、8回目の荷電粒子ビーム10a1b(図2(A)参照)のショットにより、最大サイズのパターンP(図2(B)参照)より小さいパターンPA1hが試料M上に描画される。次いで、例えば、図6(I)に示すように、9回目の荷電粒子ビーム10a1b(図2(A)参照)のショットにより、最大サイズのパターンP(図2(B)参照)より小さいパターンPA1iが試料M上に描画される。
その結果、図6に示す例では、描画データD(図1および図8参照)に含まれる図形FGA1(図3参照)に対応するパターンPA1が、荷電粒子ビーム10a1b(図2(A)参照)によって試料M上に描画される。
図6に示す例では、最大サイズのパターンP(図2(B)参照)と同一形状のパターンPA1a,PA1b,PA1d,PA1eを描画する荷電粒子ビーム10a1b(図2(A)参照)のショットを4回行っても試料M上にパターンPA1を描画することができず、試料M上にパターンPA1を描画するためには9回の荷電粒子ビーム10a1b(図2(A)参照)のショットが必要であることをわかりやすく説明するために、最大サイズのパターンP(図2(B)参照)と同一形状のパターンPA1a,PA1b,PA1d,PA1eを描画する荷電粒子ビーム10a1b(図2(A)参照)の4回のショットと、最大サイズのパターンP(図2(B)参照)より小さいパターンPA1c,PA1f,PA1g,PA1h,PA1iを描画する荷電粒子ビーム10a1b(図2(A)参照)の5回のショットとにショット分割されている。実際の荷電粒子ビーム描画装置10では、例えばパターンPA1i(図6(I)参照)のような微小パターンの描画を回避するように、ショット分割が実行される。つまり、例えば、荷電粒子ビーム10a1b(図2(A)参照)の9回のショットによってパターンPA1(図6(I)参照)を描画する場合には、パターンPA1をX方向(図6の左右方向)3列×Y方向(図6の上下方向)3列に9等分したパターンが、荷電粒子ビーム10a1b(図2(A)参照)の1回のショットによって描画される。
詳細には、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、図6(A)〜図6(I)に示すように、描画データD(図1および図8参照)に含まれる図形FGA1(図3参照)に対応するパターンPA1が、荷電粒子ビーム10a1b(図2(A)参照)によって試料M上に描画されている期間中、例えば、可動ステージ10a2a(図1参照)がX軸のプラス側(図4の右側)からマイナス側(図4の左側)に向かって例えば等速で移動するように、描画データD(図1および図8参照)に基づき制御部10b(図1参照)の制御計算機10b1(図1および図8参照)のステージ制御部10b1i(図8参照)によってステージ制御回路10b6(図1参照)を介して可動ステージ10a2aが制御される。
更に詳細には、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、図4に示すように、荷電粒子ビーム10a1bによって試料MのストライプSTR1内に例えばパターンPA1(図5および図6参照),PA2(図5参照),・・PB1(図5参照),PB2(図5参照),・・などの多数のパターンが描画されている期間中、例えば、可動ステージ10a2a(図1参照)がX軸のプラス側(図4の右側)からマイナス側(図4の左側)に向かって例えば等速で移動するように、描画データD(図1および図8参照)に基づき制御部10b(図1参照)の制御計算機10b1(図1および8参照)のステージ制御部10b1i(図8参照)によってステージ制御回路10b6(図1参照)を介して可動ステージ10a2aが制御される。
図7は図3に示す描画データ上の仮想チップVCPの詳細図である。図7に示す例では、例えば、仮想チップVCPに含まれているチップCPAが、例えば10個の概略帯状のフレームFRA1,FRA2,FRA3,FRA4,FRA5,FRA6,FRA7,FRA8,FRA9,FRA10と呼ばれる仮想領域に分割されている。また、仮想チップVCPに含まれているチップCPBが、例えば13個の概略帯状のフレームFRB1,FRB2,FRB3,FRB4,FRB5,FRB6,FRB7,FRB8,FRB9,FRB10,FRB11,FRB12,FRB13と呼ばれる仮想領域に分割されている。更に、仮想チップVCPに含まれているチップCPCが、例えば4個の概略帯状のフレームFRC1,FRC2,FRC3,FRC4と呼ばれる仮想領域に分割されている。また、仮想チップVCPに含まれているチップCPDが、例えば5個の概略帯状のフレームFRD1,FRD2,FRD3,FRD4,FRD5と呼ばれる仮想領域に分割されている。つまり、図7に示す例では、チップ階層(図3参照)よりも下位であって図形階層(図3参照)よりも上位のフレーム階層が設けられている。
図8は図1に示す第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10の制御部10bの制御計算機10b1の詳細を示した図である。図9は図8に示すデータ並列処理部10b1b1(および、それと同様に構成されたデータ並列処理部10b1b2,10b1b3,10b1b4,10b1b5,10b1b6,10b1b7,10b1b8)を詳細に示した図である。
第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、描画データD(図8参照)が制御計算機10b1(図8参照)に入力されると、例えば、ショット分割部10b1cによって、描画データD(図8参照)に含まれる図形FGA1,FGA2,・・,FGB1,FGB2,・・(図3参照)が、荷電粒子ビーム10a1b(図2(A)参照)の1回のショットによって描画可能なパターン(例えばパターンPA1a,PA1b,PA1c,PA1d,PA1ePA1f,PA1g,PA1h,PA1i(図6参照))に対応する複数の図形(図示せず)に分割される。
また、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、描画データD(図8参照)が、制御計算機10b1(図8参照)に入力されると、例えば、入力部10b1a(図8参照)によって、仮想チップフレーム作成部10b1j(図8参照)を介して複数のデータ並列処理部10b1b1,10b1b2,10b1b3,10b1b4,10b1b5,10b1b6,10b1b7,10b1b8(図8参照)に振り分けられる。仮想チップフレーム作成部10b1j(図8参照)では、仮想チップVCP(図7参照)が例えば8個の概略帯状の仮想チップフレームVFR1,VFR2,VFR3,VFR4,VFR5,VFR6,VFR7,VFR8(図7参照)に分割される。図8および図9に示す例では、例えば、データ並列処理部10b1b1,10b1b2,10b1b3,10b1b4,10b1b5,10b1b6,10b1b7,10b1b8(図8および図9参照)が同様に構成されている。
詳細には、図8に示す例では、描画データD(図8参照)のうち、仮想チップVCP(図3および図7参照)に含まれている仮想チップフレームVFR1(図7参照)に関するデータが、データ並列処理部10b1b1(図8参照)に振り分けられる。また、描画データD(図8参照)のうち、仮想チップVCP(図3および図7参照)に含まれている仮想チップフレームVFR2(図7参照)に関するデータが、データ並列処理部10b1b2(図8参照)に振り分けられる。更に、描画データD(図8参照)のうち、仮想チップVCP(図3および図7参照)に含まれている仮想チップフレームVFR3(図7参照)に関するデータが、データ並列処理部10b1b3(図8参照)に振り分けられる。また、描画データD(図8参照)のうち、仮想チップVCP(図3および図7参照)に含まれている仮想チップフレームVFR4(図7参照)に関するデータが、データ並列処理部10b1b4(図8参照)に振り分けられる。
更に、図8に示す例では、描画データD(図8参照)のうち、仮想チップVCP(図3および図7参照)に含まれている仮想チップフレームVFR5(図7参照)に関するデータが、データ並列処理部10b1b5(図8参照)に振り分けられる。また、描画データD(図8参照)のうち、仮想チップVCP(図3および図7参照)に含まれている仮想チップフレームVFR6(図7参照)に関するデータが、データ並列処理部10b1b6(図8参照)に振り分けられる。更に、描画データD(図8参照)のうち、仮想チップVCP(図3および図7参照)に含まれている仮想チップフレームVFR7(図7参照)に関するデータが、データ並列処理部10b1b7(図8参照)に振り分けられる。また、描画データD(図8参照)のうち、仮想チップVCP(図3および図7参照)に含まれている仮想チップフレームVFR8(図7参照)に関するデータが、データ並列処理部10b1b8(図8参照)に振り分けられる。
図10〜図12は第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10のデータ並列処理部10b1b1,10b1b2,10b1b3,10b1b4,10b1b5,10b1b6,10b1b7,10b1b8による描画データ処理方法を示した図である。図10〜図12に示す例では、例えば、時間ta0(図10(A)および図12参照)に描画データD(図8参照)の処理が開始される。
詳細には、図10〜図12に示す例では、描画データDのうち、仮想チップVCP(図7参照)の仮想チップフレームVFR1(図7参照)に含まれているチップCPA(図7参照)のフレームFRA1(図7参照)に関するデータ、チップCPB(図7参照)のフレームFRB1(図7参照)に関するデータ、チップCPA(図7参照)のフレームFRA2(図7参照)に関するデータ、チップCPB(図7参照)のフレームFRB2(図7参照)に関するデータ、チップCPA(図7参照)のフレームFRA3(図7参照)に関するデータ、および、チップCPB(図7参照)のフレームFRB3(図7参照)に関するデータが、データ並列処理部10b1b1(図8参照)に入力され、図10(A)に示すように、チップCPAのフレームFRA1、チップCPBのフレームFRB1、チップCPAのフレームFRA2、チップCPBのフレームFRB2、チップCPAのフレームFRA3、チップCPBのフレームFRB3毎に、データ並列処理部10b1b1(図8参照)のフォーマット検査部10b1ba(図9参照)によってフォーマット検査され、データ並列処理部10b1b1(図8参照)のショット密度計算部10b1bb(図9参照)によってショット密度の計算が実行され、データ並列処理部10b1b1(図8参照)のパターン面積密度計算部10b1bc(図9参照)によってパターン面積密度の計算が実行される(これらの処理が、図12中の処理FRVFR1に相当する)。
具体的には、フォーマット検査では、入力された描画データD(図8参照)のフォーマットが荷電粒子ビーム描画装置10のフォーマットに整合しているか等のチェックが行われる。また、ショット密度計算では、例えばショット分割部10b1c(図8参照)によるショット分割後における所定面積当たりの荷電粒子ビーム10a1b(図2(A)参照)のショット数が算出される。ショット密度計算において算出されるショット密度は、例えば可動ステージ10a2a(図1参照)の移動速度を算出するためなどに用いられる(詳細については、例えば特開2007−200968号公報の段落〔0024〕等参照)。更に、パターン面積密度計算では、例えばメッシュのような所定面積当たりに占める図形FGA1,FGA2,・・(図3参照)の面積の割合が算出される。パターン面積密度計算において算出されるパターン面積密度は、例えば近接効果補正などを実行するために用いられる。
次いで、図10〜図12に示す例では、例えば、時間ta1(図10(A)および図12参照)に、データ並列処理部10b1b1(図8参照)のショット密度計算部10b1bb(図9参照)による仮想チップフレームVFR1(図7参照)全体のショット密度の計算、および、データ並列処理部10b1b1(図8参照)のパターン面積密度計算部10b1bc(図9参照)による仮想チップフレームVFR1(図7参照)全体のパターン面積密度の計算の処理dsVFR1(図12参照)が実行される。
次いで、図10〜図12に示す例では、例えば、時間ta2(図12参照)に、データ並列処理部10b1b1(図8参照)によるデータ処理結果に基づき、データ並列処理部10b1b1(図8参照)の補正処理部10b1bd(図9参照)によって、仮想チップフレームVFR1(図7参照)のデータに関する補正処理exVFR1(図12参照)が実行される。
第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、データ並列処理部10b1b1(図8参照)の補正処理部10b1bd(図9参照)による補正処理exVFR1(図12参照)として、例えば近接効果補正が実行される。
図14は近接効果を説明するための一例を示した図である。図14に示す例では、図14(A)に示すように、例えば、図形FGA21および図形FGA22が仮想チップフレームVFR1(図7参照)に含まれている。また、図14に示す例では、図14(B)に示すように、仮に近接効果補正処理が行われることなく、図形FGA21(図14(A)参照)に対応するパターンPA21が荷電粒子ビーム10a1b(図1参照)によって試料M(図1参照)上に描画されると共に、図形FGA22(図14(A)参照)に対応するパターンPA22が荷電粒子ビーム10a1b(図1参照)によって試料M(図1参照)上に描画される場合に、パターンPA21およびパターンPA22の相互近接効果によって、パターンPA21に太りPA21aが生じてしまうと共に、パターンPA22に太りPA22aが生じてしまう。また、パターンPA21の自己近接効果によってパターンPA21の角部に細りPA21bが生じてしまうと共に、パターンPA22の自己近接効果によってパターンPA22の角部に細りPA22bが生じてしまう。このように、実際に描画されるパターンPA21,PA22の形状が近接効果によって図形FGA21,FGA22(図14(A)参照)の形状に対応する目標のパターンの形状からずれてしまうのを回避するために、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、図14(C)に示すような近接効果補正処理exVFR1(図12参照)が行われる。
詳細には、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、データ並列処理部10b1b1(図8参照)のショット密度計算部10b1bb(図9参照)による仮想チップフレームVFR1(図7参照)全体のショット密度の計算、および、データ並列処理部10b1b1(図8参照)のパターン面積密度計算部10b1bc(図9参照)による仮想チップフレームVFR1(図7参照)全体のパターン面積密度の計算の処理dsVFR1(図12参照)によって、例えば、図14(C)に示すように、パターンPA21,PA22がメッシュ状に分割され、各メッシュ内のパターン面積密度が算出される。次いで、データ並列処理部10b1b1(図8参照)の補正処理部10b1bd(図9参照)によって近接効果補正処理exVFR1(図12参照)が実行される。詳細には、例えば、隣接メッシュ(図14(C)参照)間で面積密度が変化する部分の寸法変動を低減するための平滑化が行われ、荷電粒子ビーム10a1b(図1参照)の照射量マップ(図示せず)が作成される。更に、例えば、その照射量マップに基づいて、荷電粒子ビーム10a1b(図1参照)の1回のショットの照射量(ビーム照射時間)が補正される(詳細については、例えば特開2008−34781号公報参照)。
つまり、第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、このような近接効果補正処理exVFR1(図12参照)を行うことにより、目標のパターンの形状に対する実際に描画されるパターンの形状のずれを低減することができる。
第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、データ並列処理部10b1b1(図8参照)の補正処理部10b1bd(図9参照)による補正処理exVFR1(図12参照)として、例えば近接効果補正処理が実行されるが、第3の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、データ並列処理部10b1b1(図8参照)の補正処理部10b1bd(図9参照)による補正処理exVFR1(図12参照)として、例えば、近接効果補正処理の代わりに、あるいは、近接効果補正処理に加えて、例えばかぶり(フォギング効果)補正処理が実行される。
図15はかぶり(フォギング効果)を説明するための一例を示した図である。詳細には、図15は図1の一部の概略拡大図である。図15に示す例では、例えば仮想チップフレームVFR1(図7参照)に含まれる図形FGA1(図3参照)に対応するパターンPA1(図5参照)を描画するために照射された荷電粒子ビーム10a1bに含まれる一部の荷電粒子10a1b1が、マスク基板M2上に塗布されたレジスト膜M1内において前方散乱する。更に、前方散乱した荷電粒子10a1b1のうちの一部の荷電粒子10a1b2が、マスク基板M2の上面によって反射されて後方散乱し、上述した近接効果の主な原因になる。
更に、図15に示す例では、後方散乱した荷電粒子10a1b2のうちの一部の荷電粒子10a1b3がレジスト膜M1を抜け、例えば描画室10a2の天井面あるいは光学鏡筒10a1の下部の部品の下面に到達する。また、描画室10a2の天井面あるいは光学鏡筒10a1の下部の部品の下面に到達した荷電粒子10a1b3のうちの一部の荷電粒子10a1b4が反射され、広範囲にわたって試料M上に再照射され、かぶり(フォギング効果)の原因になる。その結果、実際に描画されるパターンPA1(図5参照)の形状が、図形FGA1(図3参照)の形状に対応する目標のパターンの形状からずれてしまうおそれがある。
この点に鑑み、第3の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、実際に描画されるパターンPA1(図5参照)の形状がかぶり(フォギング効果)によって図形FGA1(図3参照)の形状に対応する目標のパターンの形状からずれてしまうのを回避するために、データ並列処理部10b1b1(図8参照)の補正処理部10b1bd(図9参照)によってかぶり補正処理exVFR1(図12参照)が実行される。具体的には、データ並列処理部10b1b1(図8参照)の補正処理部10b1bd(図9参照)によるかぶり補正処理exVFR1(図12参照)では、例えば、データ並列処理部10b1b1(図8参照)によるデータ処理dsVFR1(図12参照)の結果が利用され、更に、再照射される荷電粒子10a1b4のエネルギー分布が算出され、そのエネルギー分布に基づいて、図形FGA1(図3参照)の形状に対応するパターンPA1(図5参照)を描画するための荷電粒子ビーム10a1b(図1参照)の照射量などが補正される(詳細については、例えば特開2007−258659号公報参照)。
第1の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、データ並列処理部10b1b1(図8参照)の補正処理部10b1bd(図9参照)による補正処理exVFR1(図12参照)として例えば近接効果補正処理が実行され、第3の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、データ並列処理部10b1b1(図8参照)の補正処理部10b1bd(図9参照)による補正処理exVFR1(図12参照)として例えば近接効果補正処理および/またはかぶり(フォギング効果)補正処理が実行されるが、第4の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、データ並列処理部10b1b1(図8参照)の補正処理部10b1bd(図9参照)による補正処理exVFR1(図12参照)として、例えば、近接効果補正処理および/またはかぶり(フォギング効果)補正処理の代わりに、あるいは、近接効果補正処理および/またはかぶり(フォギング効果)補正処理に加えて、例えば帯電補正処理などのような他の補正処理が実行される。
具体的には、第4の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10のデータ並列処理部10b1b1(図8参照)の補正処理部10b1bd(図9参照)による帯電補正処理exVFR1(図12参照)では、例えば、データ並列処理部10b1b1(図8参照)による仮想チップフレームVFR1全体のショット密度計算およびパターン面積密度計算の処理dsVFR1(図12参照)の結果が利用され、更に、パターンPA1,PA2,・・(図5参照)の描画順序、描画位置、電荷分布データ、荷電粒子ビーム10a1b(図1参照)の照射量(ドーズ量)、メッシュ(図14(C)参照)毎の照射電荷分布などに基づき、荷電粒子ビーム10a1b(図1参照)の照射位置などが補正される(詳細については、例えば特開2007−324175号公報参照)。
図10〜図12の説明に戻り、図10〜図12に示す例では、データ並列処理部10b1b1(図8参照)による処理に並列して、データ並列処理部10b1b2,10b1b3,10b1b4,10b1b5,10b1b6,10b1b7,10b1b8(図8参照)による処理が実行される。
詳細には、図10〜図12に示す例では、例えば、時間tb0(図10(B)および図12参照)に、描画データDのうち、仮想チップVCP(図7参照)の仮想チップフレームVFR2(図7参照)に含まれているチップCPA(図7参照)のフレームFRA4(図7参照)に関するデータ、チップCPB(図7参照)のフレームFRB4(図7参照)に関するデータ、チップCPA(図7参照)のフレームFRA5(図7参照)に関するデータ、チップCPB(図7参照)のフレームFRB5(図7参照)に関するデータ、チップCPA(図7参照)のフレームFRA6(図7参照)に関するデータ、および、チップCPB(図7参照)のフレームFRB6(図7参照)に関するデータが、データ並列処理部10b1b2(図8参照)に入力され、図10(B)に示すように、チップCPAのフレームFRA4、チップCPBのフレームFRB4、チップCPAのフレームFRA5、チップCPBのフレームFRB5、チップCPAのフレームFRA6、チップCPBのフレームFRB6毎に、データ並列処理部10b1b2(図8参照)のフォーマット検査部10b1ba(図9参照)によってフォーマット検査され、データ並列処理部10b1b2(図8参照)のショット密度計算部10b1bb(図9参照)によってショット密度の計算が実行され、データ並列処理部10b1b2(図8参照)のパターン面積密度計算部10b1bc(図9参照)によってパターン面積密度の計算が実行される(これらの処理が、図12中の処理FRVFR2に相当する)。
次いで、図10〜図12に示す例では、例えば、時間tb1(図10(B)および図12参照)に、データ並列処理部10b1b2(図8参照)のショット密度計算部10b1bb(図9参照)による仮想チップフレームVFR2(図7参照)全体のショット密度の計算、および、データ並列処理部10b1b2(図8参照)のパターン面積密度計算部10b1bc(図9参照)による仮想チップフレームVFR2(図7参照)全体のパターン面積密度の計算の処理dsVFR2(図12参照)が実行される。
次いで、図10〜図12に示す例では、例えば、時間tb2(図12参照)に、データ並列処理部10b1b2(図8参照)によるデータ処理結果に基づき、データ並列処理部10b1b2(図8参照)の補正処理部10b1bd(図9参照)によって、仮想チップフレームVFR2(図7参照)のデータに関する補正処理exVFR2(図12参照)が実行される。
また、図10〜図12に示す例では、例えば、時間tc0(図10(C)および図12参照)に、描画データDのうち、仮想チップVCP(図7参照)の仮想チップフレームVFR3(図7参照)に含まれているチップCPA(図7参照)のフレームFRA7(図7参照)に関するデータ、チップCPB(図7参照)のフレームFRB7(図7参照)に関するデータ、チップCPA(図7参照)のフレームFRA8(図7参照)に関するデータ、チップCPB(図7参照)のフレームFRB8(図7参照)に関するデータ、チップCPA(図7参照)のフレームFRA9(図7参照)に関するデータ、および、チップCPB(図7参照)のフレームFRB9(図7参照)に関するデータが、データ並列処理部10b1b3(図8参照)に入力され、図10(C)に示すように、チップCPAのフレームFRA7、チップCPBのフレームFRB7、チップCPAのフレームFRA8、チップCPBのフレームFRB8、チップCPAのフレームFRA9、チップCPBのフレームFRB9毎に、データ並列処理部10b1b3(図8参照)のフォーマット検査部10b1ba(図9参照)によってフォーマット検査され、データ並列処理部10b1b3(図8参照)のショット密度計算部10b1bb(図9参照)によってショット密度の計算が実行され、データ並列処理部10b1b3(図8参照)のパターン面積密度計算部10b1bc(図9参照)によってパターン面積密度の計算が実行される(これらの処理が、図12中の処理FRVFR3に相当する)。
次いで、図10〜図12に示す例では、例えば、時間tc1(図10(C)および図12参照)に、データ並列処理部10b1b3(図8参照)のショット密度計算部10b1bb(図9参照)による仮想チップフレームVFR3(図7参照)全体のショット密度の計算、および、データ並列処理部10b1b3(図8参照)のパターン面積密度計算部10b1bc(図9参照)による仮想チップフレームVFR3(図7参照)全体のパターン面積密度の計算の処理dsVFR3(図12参照)が実行される。
次いで、図10〜図12に示す例では、例えば、時間tc2(図12参照)に、データ並列処理部10b1b3(図8参照)によるデータ処理結果に基づき、データ並列処理部10b1b3(図8参照)の補正処理部10b1bd(図9参照)によって、仮想チップフレームVFR3(図7参照)のデータに関する補正処理exVFR3(図12参照)が実行される。
更に、図10〜図12に示す例では、例えば、時間td0(図10(D)および図12参照)に、描画データDのうち、仮想チップVCP(図7参照)の仮想チップフレームVFR4(図7参照)に含まれているチップCPA(図7参照)のフレームFRA10(図7参照)に関するデータ、チップCPB(図7参照)のフレームFRB10(図7参照)に関するデータ、チップCPB(図7参照)のフレームFRB11(図7参照)に関するデータ、および、チップCPB(図7参照)のフレームFRB12(図7参照)に関するデータが、データ並列処理部10b1b4(図8参照)に入力され、図10(D)に示すように、チップCPAのフレームFRA10、チップCPBのフレームFRB10、チップCPBのフレームFRB11、チップCPBのフレームFRB12毎に、データ並列処理部10b1b4(図8参照)のフォーマット検査部10b1ba(図9参照)によってフォーマット検査され、データ並列処理部10b1b4(図8参照)のショット密度計算部10b1bb(図9参照)によってショット密度の計算が実行され、データ並列処理部10b1b4(図8参照)のパターン面積密度計算部10b1bc(図9参照)によってパターン面積密度の計算が実行される(これらの処理が、図12中の処理FRVFR4に相当する)。
次いで、図10〜図12に示す例では、例えば、時間td1(図10(D)および図12参照)に、データ並列処理部10b1b4(図8参照)のショット密度計算部10b1bb(図9参照)による仮想チップフレームVFR4(図7参照)全体のショット密度の計算、および、データ並列処理部10b1b4(図8参照)のパターン面積密度計算部10b1bc(図9参照)による仮想チップフレームVFR4(図7参照)全体のパターン面積密度の計算の処理dsVFR4(図12参照)が実行される。
次いで、図10〜図12に示す例では、例えば、時間td2(図12参照)に、データ並列処理部10b1b4(図8参照)によるデータ処理結果に基づき、データ並列処理部10b1b4(図8参照)の補正処理部10b1bd(図9参照)によって、仮想チップフレームVFR4(図7参照)のデータに関する補正処理exVFR4(図12参照)が実行される。
更に、図10〜図12に示す例では、時間td3(図12参照)の時点でチップCPA(図7参照)のフレームFRA1,FRA2,FRA3,FRA4,FRA5,FRA6,FRA7,FRA8,FRA9,FRA10(図7参照)のそれぞれに対するデータ処理が終了している点に鑑み、例えば、時間td3(図12参照)に、データ並列処理部10b1b4(図8参照)によって、チップCPA(図7参照)中の全図形に基づくチップCPA(図7参照)全体のインターフレームチェックfcCPA(図12参照)が実行され、チップCPA(図7参照)中の全図形に基づくチップCPA(図7参照)全体のショット密度計算およびパターン面積密度計算の処理dsCPA(図12参照)が実行される。詳細には、インターフレームチェックfcCPA(図12参照)では、データ並列処理部10b1b4(図8参照)のフォーマット検査部10b1be(図9参照)によって、隣接する2つのフレームFRA1,FRA2,FRA3,FRA4,FRA5,FRA6,FRA7,FRA8,FRA9,FRA10(図7参照)にまたがる図形(図示せず)などに関する検査が実行される。また、データ処理dsCPA(図12参照)では、データ並列処理部10b1b4(図8参照)のショット密度計算部10b1bf(図9参照)によって、チップCPA(図7参照)全体のショット密度の計算が実行され、データ並列処理部10b1b4(図8参照)のパターン面積密度計算部10b1bg(図9参照)によって、チップCPA(図7参照)全体のパターン面積密度の計算が実行される。
また、図10〜図12に示す例では、例えば、時間te0(図11(A)および図12参照)に、描画データDのうち、仮想チップVCP(図7参照)の仮想チップフレームVFR5(図7参照)に含まれているチップCPB(図7参照)のフレームFRB13(図7参照)に関するデータ、および、チップCPC(図7参照)のフレームFRC1(図7参照)に関するデータが、データ並列処理部10b1b5(図8参照)に入力され、図11(A)に示すように、チップCPBのフレームFRB13、チップCPCのフレームFRC1毎に、データ並列処理部10b1b5(図8参照)のフォーマット検査部10b1ba(図9参照)によってフォーマット検査され、データ並列処理部10b1b5(図8参照)のショット密度計算部10b1bb(図9参照)によってショット密度の計算が実行され、データ並列処理部10b1b5(図8参照)のパターン面積密度計算部10b1bc(図9参照)によってパターン面積密度の計算が実行される(これらの処理が、図12中の処理FRVFR5に相当する)。
次いで、図10〜図12に示す例では、例えば、時間te1(図11(A)および図12参照)に、データ並列処理部10b1b5(図8参照)のショット密度計算部10b1bb(図9参照)による仮想チップフレームVFR5(図7参照)全体のショット密度の計算、および、データ並列処理部10b1b5(図8参照)のパターン面積密度計算部10b1bc(図9参照)による仮想チップフレームVFR5(図7参照)全体のパターン面積密度の計算の処理dsVFR5(図12参照)が実行される。
次いで、図10〜図12に示す例では、例えば、時間te2(図12参照)に、データ並列処理部10b1b5(図8参照)によるデータ処理結果に基づき、データ並列処理部10b1b5(図8参照)の補正処理部10b1bd(図9参照)によって、仮想チップフレームVFR5(図7参照)のデータに関する補正処理exVFR5(図12参照)が実行される。
更に、図10〜図12に示す例では、時間te3(図12参照)の時点でチップCPB(図7参照)のフレームFRB1,FRB2,FRB3,FRB4,FRB5,FRB6,FRB7,FRB8,FRB9,FRB10,FRB11,FRB12,FRB13(図7参照)のそれぞれに対するデータ処理が終了している点に鑑み、例えば、時間te3(図12参照)に、データ並列処理部10b1b5(図8参照)によって、チップCPB(図7参照)中の全図形に基づくチップCPB(図7参照)全体のインターフレームチェックfcCPB(図12参照)が実行され、チップCPB(図7参照)中の全図形に基づくチップCPB(図7参照)全体のショット密度計算およびパターン面積密度計算の処理dsCPB(図12参照)が実行される。詳細には、インターフレームチェックfcCPB(図12参照)では、データ並列処理部10b1b5(図8参照)のフォーマット検査部10b1be(図9参照)によって、隣接する2つのフレームFRB1,FRB2,FRB3,FRB4,FRB5,FRB6,FRB7,FRB8,FRB9,FRB10,FRB11,FRB12,FRB13(図7参照)にまたがる図形(図示せず)などに関する検査が実行される。また、データ処理dsCPB(図12参照)では、データ並列処理部10b1b5(図8参照)のショット密度計算部10b1bf(図9参照)によって、チップCPB(図7参照)全体のショット密度の計算が実行され、データ並列処理部10b1b5(図8参照)のパターン面積密度計算部10b1bg(図9参照)によって、チップCPB(図7参照)全体のパターン面積密度の計算が実行される。
更に、図10〜図12に示す例では、例えば、時間tf0(図11(B)および図12参照)に、描画データDのうち、仮想チップVCP(図7参照)の仮想チップフレームVFR6(図7参照)に含まれているチップCPC(図7参照)のフレームFRC2,FRC3,FRC4(図7参照)に関するデータが、データ並列処理部10b1b6(図8参照)に入力され、図11(B)に示すように、チップCPCのフレームFRC2,FRC3,FRC4毎に、データ並列処理部10b1b6(図8参照)のフォーマット検査部10b1ba(図9参照)によってフォーマット検査され、データ並列処理部10b1b6(図8参照)のショット密度計算部10b1bb(図9参照)によってショット密度の計算が実行され、データ並列処理部10b1b6(図8参照)のパターン面積密度計算部10b1bc(図9参照)によってパターン面積密度の計算が実行される(これらの処理が、図12中の処理FRVFR6に相当する)。
次いで、図10〜図12に示す例では、例えば、時間tf1(図11(B)および図12参照)に、データ並列処理部10b1b6(図8参照)のショット密度計算部10b1bb(図9参照)による仮想チップフレームVFR6(図7参照)全体のショット密度の計算、および、データ並列処理部10b1b6(図8参照)のパターン面積密度計算部10b1bc(図9参照)による仮想チップフレームVFR6(図7参照)全体のパターン面積密度の計算の処理dsVFR6(図12参照)が実行される。
次いで、図10〜図12に示す例では、例えば、時間tf2(図12参照)に、データ並列処理部10b1b6(図8参照)によるデータ処理結果に基づき、データ並列処理部10b1b6(図8参照)の補正処理部10b1bd(図9参照)によって、仮想チップフレームVFR6(図7参照)のデータに関する補正処理exVFR6(図12参照)が実行される。
更に、図10〜図12に示す例では、時間tf3(図12参照)の時点でチップCPC(図7参照)のフレームFRC1,FRC2,FRC3,FRC4(図7参照)のそれぞれに対するデータ処理が終了している点に鑑み、例えば、時間tf3(図12参照)に、データ並列処理部10b1b6(図8参照)によって、チップCPC(図7参照)中の全図形に基づくチップCPC(図7参照)全体のインターフレームチェックfcCPC(図12参照)が実行され、チップCPC(図7参照)中の全図形に基づくチップCPC(図7参照)全体のショット密度計算およびパターン面積密度計算の処理dsCPC(図12参照)が実行される。詳細には、インターフレームチェックfcCPC(図12参照)では、データ並列処理部10b1b6(図8参照)のフォーマット検査部10b1be(図9参照)によって、隣接する2つのフレームFRC1,FRC2,FRC3,FRC4(図7参照)にまたがる図形(図示せず)などに関する検査が実行される。また、データ処理dsCPC(図12参照)では、データ並列処理部10b1b6(図8参照)のショット密度計算部10b1bf(図9参照)によって、チップCPC(図7参照)全体のショット密度の計算が実行され、データ並列処理部10b1b6(図8参照)のパターン面積密度計算部10b1bg(図9参照)によって、チップCPC(図7参照)全体のパターン面積密度の計算が実行される。
また、図10〜図12に示す例では、例えば、時間tg0(図11(C)および図12参照)に、描画データDのうち、仮想チップVCP(図7参照)の仮想チップフレームVFR7(図7参照)に含まれているチップCPD(図7参照)のフレームFRD1,FRD2(図7参照)に関するデータが、データ並列処理部10b1b7(図8参照)に入力され、図11(C)に示すように、チップCPDのフレームFRD1,FRD2毎に、データ並列処理部10b1b7(図8参照)のフォーマット検査部10b1ba(図9参照)によってフォーマット検査され、データ並列処理部10b1b7(図8参照)のショット密度計算部10b1bb(図9参照)によってショット密度の計算が実行され、データ並列処理部10b1b7(図8参照)のパターン面積密度計算部10b1bc(図9参照)によってパターン面積密度の計算が実行される(これらの処理が、図12中の処理FRVFR7に相当する)。
次いで、図10〜図12に示す例では、例えば、時間tg1(図11(C)および図12参照)に、データ並列処理部10b1b7(図8参照)のショット密度計算部10b1bb(図9参照)による仮想チップフレームVFR7(図7参照)全体のショット密度の計算、および、データ並列処理部10b1b7(図8参照)のパターン面積密度計算部10b1bc(図9参照)による仮想チップフレームVFR7(図7参照)全体のパターン面積密度の計算の処理dsVFR7(図12参照)が実行される。
次いで、図10〜図12に示す例では、例えば、時間tg2(図12参照)に、データ並列処理部10b1b7(図8参照)によるデータ処理結果に基づき、データ並列処理部10b1b7(図8参照)の補正処理部10b1bd(図9参照)によって、仮想チップフレームVFR7(図7参照)のデータに関する補正処理exVFR7(図12参照)が実行される。
更に、図10〜図12に示す例では、例えば、時間th0(図11(D)および図12参照)に、描画データDのうち、仮想チップVCP(図7参照)の仮想チップフレームVFR8(図7参照)に含まれているチップCPD(図7参照)のフレームFRD3,FRD4,FRD5(図7参照)に関するデータが、データ並列処理部10b1b8(図8参照)に入力され、図11(D)に示すように、チップCPDのフレームFRD3,FRD4,FRD5毎に、データ並列処理部10b1b8(図8参照)のフォーマット検査部10b1ba(図9参照)によってフォーマット検査され、データ並列処理部10b1b8(図8参照)のショット密度計算部10b1bb(図9参照)によってショット密度の計算が実行され、データ並列処理部10b1b8(図8参照)のパターン面積密度計算部10b1bc(図9参照)によってパターン面積密度の計算が実行される(これらの処理が、図12中の処理FRVFR8に相当する)。
次いで、図10〜図12に示す例では、例えば、時間th1(図11(D)および図12参照)に、データ並列処理部10b1b8(図8参照)のショット密度計算部10b1bb(図9参照)による仮想チップフレームVFR8(図7参照)全体のショット密度の計算、および、データ並列処理部10b1b8(図8参照)のパターン面積密度計算部10b1bc(図9参照)による仮想チップフレームVFR8(図7参照)全体のパターン面積密度の計算の処理dsVFR8(図12参照)が実行される。
次いで、図10〜図12に示す例では、例えば、時間th2(図12参照)に、データ並列処理部10b1b8(図8参照)によるデータ処理結果に基づき、データ並列処理部10b1b8(図8参照)の補正処理部10b1bd(図9参照)によって、仮想チップフレームVFR8(図7参照)のデータに関する補正処理exVFR8(図12参照)が実行される。
更に、図10〜図12に示す例では、時間th3(図12参照)の時点でチップCPD(図7参照)のフレームFRD3,FRD4,FRD5(図7参照)のそれぞれに対するデータ処理が終了している点に鑑み、例えば、時間th3(図12参照)に、データ並列処理部10b1b8(図8参照)によって、チップCPD(図7参照)中の全図形に基づくチップCPD(図7参照)全体のインターフレームチェックfcCPD(図12参照)が実行され、チップCPD(図7参照)中の全図形に基づくチップCPD(図7参照)全体のショット密度計算およびパターン面積密度計算の処理dsCPD(図12参照)が実行される。詳細には、インターフレームチェックfcCPD(図12参照)では、データ並列処理部10b1b8(図8参照)のフォーマット検査部10b1be(図9参照)によって、隣接する2つのフレームFRD3,FRD4,FRD5(図7参照)にまたがる図形(図示せず)などに関する検査が実行される。また、データ処理dsCPD(図12参照)では、データ並列処理部10b1b8(図8参照)のショット密度計算部10b1bf(図9参照)によって、チップCPD(図7参照)全体のショット密度の計算が実行され、データ並列処理部10b1b8(図8参照)のパターン面積密度計算部10b1bg(図9参照)によって、チップCPD(図7参照)全体のパターン面積密度の計算が実行される。
換言すれば、第1から第4の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、仮想チップVCP(図7参照)全体のショット密度の計算およびパターン面積密度の計算の処理が終了した後に仮想チップVCP(図7参照)全体のデータ処理結果に基づいて仮想チップVCP(図7参照)全体のデータの補正処理が実行されるのではなく、仮想チップVCP(図7参照)が、補正処理に適したサイズの複数の仮想チップフレームVFR1,VFR2,VFR3,VFR4,VFR5,VFR6,VFR7,VFR8(図7参照)に分割され、各仮想チップフレームVFR1,VFR2,VFR3,VFR4,VFR5,VFR6,VFR7,VFR8(図7参照)全体のショット密度の計算およびパターン面積密度の計算の処理が終了した段階で、各仮想チップフレームVFR1,VFR2,VFR3,VFR4,VFR5,VFR6,VFR7,VFR8(図7参照)のデータ処理結果に基づいて、仮想チップフレームVFR1,VFR2,VFR3,VFR4,VFR5,VFR6,VFR7,VFR8(図7参照)毎にデータの補正処理が実行される。そのため、第1から第4の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10によれば、補正処理を早期に開始することができると共に、補正処理を並列処理によって実行することができる。
図13は補正処理が仮想チップVCP全体のショット密度の計算およびパターン面積密度の計算の処理が終了した後に仮想チップVCP全体のデータ処理結果に基づいて実行される例を示した図である。図13に示す例では、仮想チップフレームVFR1,VFR2,VFR3,VFR4,VFR5,VFR6,VFR7,VFR8(図7参照)毎に並列処理が実行されるのではなく、チップCPA,CPB,CPC,CPD(図7参照)毎に並列処理が実行される。更に、図13に示す例では、チップCPA,CPB,CPC,CPD(図7参照)毎の並列処理が終了した後に、仮想チップVCP(図7参照)全体のショット密度の計算およびパターン面積密度の計算の処理が実行され、それらの処理が終了した後に、仮想チップVCP(図7参照)全体のデータ処理結果に基づいて仮想チップVCP(図7参照)全体のデータの補正処理が実行される。そのため、図13に示す例では、補正処理を早期に開始することができない。また、補正処理が並列処理されない。そのため、図13に示す例では、図12に示す第1から第4の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10の例の総処理時間(時間ta0〜時間th4(図12参照))よりも総処理時間(時間ta0〜時間td5’(図13参照))が長くなってしまう。
つまり、従来においては、仮想チップVCP(図7参照)全体のデータ処理が終了した後でなければ、つまり、仮想チップVCP(図7参照)全体のデータ処理結果に基づかなければ、正確な補正処理を実行することができないと考えられていた。本発明者等の鋭意研究により、本発明者等は、補正の種類に応じて適切なサイズの仮想チップフレームVFR1,VFR2,VFR3,VFR4,VFR5,VFR6,VFR7,VFR8(図7参照)を設定すれば、仮想チップVCP(図7参照)全体のデータ処理結果に基づかなくても、仮想チップフレームVFR1,VFR2,VFR3,VFR4,VFR5,VFR6,VFR7,VFR8(図7参照)毎のデータ処理結果に基づいて各仮想チップフレームVFR1,VFR2,VFR3,VFR4,VFR5,VFR6,VFR7,VFR8(図7参照)に関するデータの補正処理を仮想チップフレームVFR1,VFR2,VFR3,VFR4,VFR5,VFR6,VFR7,VFR8(図7参照)毎に正確に実行できることを見い出したのである。
換言すれば、第1から第4の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10の図12に示す例では、少なくともチップCPA(図7参照)とチップCPB(図7参照)とが仮想チップVCP(図7参照)に含まれている描画データD(図8参照)が、荷電粒子ビーム描画装置10に入力される。次いで、仮想チップVCP(図7参照)が少なくとも仮想チップフレームVFR1(図7参照)と仮想チップフレームVFR2(図7参照)とに分割される。次いで、仮想チップフレームVFR1(図7参照)に含まれており、かつ、チップCPA,CPB(図7参照)に含まれている図形に基づくデータ処理FRVFR1,dsVFR1がデータ並列処理部10b1b1(図8参照)によって開始される。次いで、仮想チップフレームVFR2(図7参照)に含まれており、かつ、チップCPA,CPBに含まれている図形に基づくデータ処理FRVFR2,dsVFR2がデータ並列処理部10b1b2(図8参照)によって開始される。次いで、データ並列処理部10b1b1(図8参照)によるデータ処理FRVFR1,dsVFR1が終了した時であって、データ並列処理部10b1b2(図8参照)によるデータ処理FRVFR2,dsVFR2が終了する前に、データ並列処理部10b1b1(図8参照)によるデータ処理FRVFR1,dsVFR1の結果に基づく補正処理exVFR1がデータ並列処理部10b1b1の補正処理部10b1bdによって開始される。
また、第1から第4の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10の図12に示す例では、仮想チップフレームVFR1(図7参照)に含まれているチップCPA,CPB(図7参照)中の図形に基づくフレームFRA1,FRB1,FRA2,FRB2,FRA3,FRB3(図7参照)毎のフォーマット検査、ショット密度計算およびパターン面積密度計算の処理FRVFR1が、データ並列処理部10b1b2(図8参照)による処理FRVFR2と並列して、データ並列処理部10b1b1(図8参照)によって実行される。つまり、仮想チップフレームFRV2(図7参照)に含まれているチップCPA,CPB(図7参照)中の図形に基づくフレームFRA4,FRB4,FRA5,FRB5,FRA6,FRB6(図7参照)毎のフォーマット検査、ショット密度計算およびパターン面積密度計算の処理FRVFR2が、データ並列処理部10b1b1(図8参照)による処理FRVFR1と並列して、データ並列処理部10b1b2(図8参照)によって実行される。また、仮想チップフレームFRV1(図7参照)に含まれているチップCPA,CPB(図7参照)中の図形に基づくフレームFRA1,FRB1,FRA2,FRB2,FRA3,FRB3(図7参照)毎のフォーマット検査、ショット密度計算およびパターン面積密度計算の処理FRVFR1の終了後に、仮想チップフレームVFR1(図7参照)に含まれている全図形に基づく仮想チップフレームVFR1全体のショット密度計算およびパターン面積密度計算の処理dsVFR1が、データ並列処理部10b1b2(図8参照)による処理FRVFR2と並列して、データ並列処理部10b1b1(図8参照)によって実行される。更に、仮想チップフレームVFR2(図7参照)に含まれているチップCPA,CPB中の図形に基づくフレームFRA4,FRB4,FRA5,FRB5,FRA6,FRB6(図7参照)毎のフォーマット検査、ショット密度計算およびパターン面積密度計算の処理FRVFR2の終了後に、仮想チップフレームVFR2(図7参照)に含まれている全図形に基づく仮想チップフレームVFR2(図7参照)全体のショット密度計算およびパターン面積密度計算の処理dsVFR2が、データ並列処理部10b1b1(図8参照)による処理dsVFR1と並列して、データ並列処理部10b1b2(図8参照)によって実行される。
更に、第1から第4の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10の図12に示す例では、仮想チップフレームVFR1(図7参照)に含まれている全図形に基づく仮想チップフレームVFR1(図7参照)全体のショット密度計算およびパターン面積密度計算の処理dsVFR1が、データ並列処理部10b1b2(図8参照)による処理FRVFR2と並列して、データ並列処理部10b1b1(図7参照)によって実行される。また、仮想チップフレームVFR2(図7参照)に含まれている全図形に基づく仮想チップフレームVFR2(図7参照)全体のショット密度計算およびパターン面積密度計算の処理dsVFR2が、データ並列処理部10b1b1(図8参照)による処理dsVFR1と並列して、データ並列処理部10b1b2(図8参照)によって実行される。更に、仮想チップフレームVFR1(図7参照)に含まれている全図形に基づく仮想チップフレームVFR1全体のショット密度計算およびパターン面積密度計算の処理dsVFR1の終了後に、データ並列処理部10b1b1(図8参照)によるデータ処理FRVFR1,dsVFR1の結果に基づく補正処理exVFR1が、データ並列処理部10b1b2(図8参照)による処理dsVFR2と並列して、データ並列処理部10b1b1(図8参照)によって実行される。また、仮想チップフレームVFR2(図7参照)に含まれている全図形に基づく仮想チップフレームVFR2(図7参照)全体のショット密度計算およびパターン面積密度計算の処理dsVFR2の終了後に、データ並列処理部10b1b2(図8参照)によるデータ処理FRVFR2,dsVFR2の結果に基づく補正処理exVFR2が、データ並列処理部10b1b1(図8参照)による処理exVFR1と並列して、データ並列処理部10b1b2(図8参照)によって実行される。
また、第1から第4の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10の図12に示す例では、仮想チップフレームVFR5(図7参照)にチップCPAが含まれていないため、データ並列処理部10b1b4(図8参照)によるデータ処理FRVFR4,dsVFR4の結果に基づく補正処理exVFR4の終了後に、チップCPA(図7参照)中の全図形に基づくチップCPA(図7参照)全体のインターフレームチェックfcCPAとショット密度計算およびパターン面積密度計算の処理dsCPAとが、データ並列処理部10b1b4(図8参照)によって実行される。
図8の説明に戻り、図8に示す例では、例えば、ショット分割部10b1cによる処理結果、データ並列処理部10b1b1,10b1b2,10b1b3,10b1b4,10b1b5,10b1b6,10b1b7,10b1b8,10b1b9,10b1b10によるデータ処理結果、補正処理結果などに基づいて、ショットデータ生成部10b1dによってショットデータが生成される。
更に、図8に示す例では、例えば、ブランキング偏向制御部10b1e(図8参照)によって偏向制御回路10b2(図1参照)を介してブランキング偏向器10a1c(図1参照)が制御され、ビーム寸法可変偏向制御部10b1f(図8参照)によって偏向制御回路10b3(図1参照)を介してビーム寸法可変偏向器10a1d(図1参照)が制御され、主偏向制御部10b1g(図8参照)によって偏向制御回路10b4(図1参照)を介して主偏向器10a1e(図1参照)が制御され、副偏向制御部10b1h(図8参照)によって偏向制御回路10b5(図1参照)を介して副偏向器10a1f(図1参照)が制御され、ステージ制御部10b1i(図8参照)によってステージ制御回路10b6(図1参照)を介して可変ステージ10a2a(図1参照)が制御される。その結果、描画データに含まれる図形に対応するパターンが荷電粒子ビーム10a1b(図1参照)によって試料M(図1参照)上に描画される。
図7に示す例では、例えば4個のチップCPA,CPB,CPC,CPDが仮想チップVCPに含められている描画データD(図1参照)が第1から第4の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10に対して入力され、仮想チップVCPが例えば8個の仮想チップフレームVFR1,VFR2,VFR3,VFR4,VFR5,VFR6,VFR7,VFR8に分割されて描画データDが処理されているが、第1から第4の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10には、1個以上の任意の数の仮想チップを有し、仮想チップ内に1個以上の任意の数のチップが含められている描画データを入力可能であり、第1から第4の実施形態の荷電粒子ビーム描画装置10では、仮想チップを複数の仮想チップフレームに分割することなく描画データDを処理することも可能である。
第5の実施形態では、上述した第1から第4の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。