JP5414046B2 - 静電塗布方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、静電塗布方法及び装置に関する。
液晶やプラズマに変わる次世代のディスプレイを実現する手段として、有機ELディスプレイが研究されている[非特許文献1,2]。この有機ELのディスプレイとしての利点は高い光の利用効率、速い応答速度、そして広い視野角があげられる。有機ELでは、使用する有機材料に対応して低分子系と高分子系に分類される。
真空蒸着を基本とするドライプロセスで成膜される低分子系有機ELは既に自動車のインパネや携帯電話のメイン/サブディスプレイなどの分野で実用化されている。しかし、初期の設備投資額や製造時のランニングコストが高いという点が課題とされてきた。一方、高分子系は有機材料を有機溶媒に溶かして、スピンコート法やスクリーン印刷などのウエットプロセスで作製が可能である[非特許文献3-6]。そのため、比較的簡便な製造装置で大面積な有機ELを低コスト実現できると期待され、様々な研究が進められてきている。
有機ELにおける光の取り出し方向には、有機層の「下」からと「上」からの2種類がある。光の取り出し方向によって、それぞれボトムエミッションとトップエミッションと呼ばれている。製造工程が比較的簡単なボトムエミッション方式は、有機層から取り出された光を基板の「下」から取り出す方式である。しかし、有機層の下部には駆動用の画素回路が存在するため、光が散乱してしまい、有機層で発生した光の利用効率が低い。これに対して、トップエミッション方式は有機層の上部から光を取り出すために、画素回路で光の損失の影響がない。そのため、有機層からの発光を外部に効率よく取り出し、低い消費電力を実現できる。つまり、将来の有機ELディスプレイでは、高分子型のトップエミッション有機ELの実現が重要になってくる。
トップエミッション型有機ELの上部電極としては、塗布法による成膜が可能な透明なポリアニリン系導電性高分子の利用が幅広く検討されている。
特許文献1には、パターニングされた陽極層2を含む基板6上に導電性高分子層4として、ショウノウ−スルホン酸(CSA)を混入したポリアニリン(PAn)溶液をスピンコート等により積層し、クリーンオーブンにより乾燥し、500オングストロームのCSAドープPAn層を成膜することが記載されている。
特許文献2にも、有機系電極材料の一例としてポリアニリンが記載されている。
しかし、ポリアニリン系導電性高分子は水溶性であり、一般的な非水溶性の有機材料上に通常のスピンコートや印刷などの方法で塗布する場合は、導電性高分子がはじかれてしまい成膜が困難という問題がある。
ところで、有機EL等の発光素子を構成する有機薄膜を、有機薄膜を形成するための有機材料を溶媒に溶解した溶液を噴霧して形成すること、さらに、噴霧した液滴を帯電させて塗布する静電塗布も知られている(特許文献3〜6)。
特開平11−195491号公報 特開2009−4327号公報 特開2001−353454号公報 特開2003−133069号公報 特開2004−160388号公報 特開2009−48961号公報
C. W. Tang, and S. A. VanSlyke, Appl. Phys. Lett., 5, 913 (1987). 時任静士,安達千波矢,村田英幸,有機ELディスプレイ,オーム社,2004. P. Yimsiri, and M. R. Mackley, Chem. Eng. Sci., 61, 3496 (2005). M. Shakutui, K. Fujita, and T. Tsutsui, Jpn. J. Appl. Phys., 45, L790 (2006). K. Mori, T. Ning, M. Ichikawa, T. Koyama, and Y. Taniguchi, Jpn. J. Appl. Phys., 39, L942 (2000). M. Ooe, R. Satoh, S. Naka, H. Okada, and H. Onnagawa, Jpn. J. Appl. Phys., 42, 4529 (2003).
ところが、特許文献3〜6に記載の通常の静電塗布装置では周囲の電荷分布などの影響を受けて、面内均一性の高い成膜が困難である。また、空間に広く分布して噴射されるので特定の領域に速い成膜速度での成膜が不可能であった。
また、特許文献5に記載の薄膜作成装置は、原料液を静電噴霧してエアロゾル化するノズルと薄膜作成する基板との間にヒーターが設けられており、噴射される領域が、このヒーターで特定されている。しかし、このヒーターは電荷に対する処理がなされておらず、また、電気的な加熱を施すヒーターであれば、導電性であることから帯電することはなく、静電噴霧したエアロゾルが付着する場合があり、成膜速度を低下させ、あるいは原材料の歩留りを低下させる原因となる。そのため、特許文献5には、ヒーターにフッ素樹脂やシリコーン樹脂製の付着防止膜を設けることが記載されている。しかし、付着防止膜を設けたヒーターも依然として帯電することは難しく、成膜速度の低下を有効に防止することはできない。
このように、特許文献5に記載の薄膜作成装置においても、比較的速い成膜速度で、面内均一性の高い薄膜の成膜が可能な薄膜の製造はできなかった。
そこで本発明の目的は、比較的速い成膜速度で、面内均一性の高い薄膜の成膜が可能な、薄膜の製造方法を提供することにある。さらに本発明の目的は、この製造方法に利用できる薄膜の製造装置を提供することにある。
本発明は以下のとおりである。
[1]
固形分を含む塗布液を電圧が印加されたノズルから放出して形成した帯電した塗布液粒子を、前記ノズルと反対の極に帯電した被塗布面に堆積させて、固形分含有層を形成する薄膜の製造方法であって、
前記帯電した塗布液粒子、前記本体が前記塗布液粒子と同一の極に帯電した導管の一方の開口から他方の開口を経由して前記被塗布面に堆積させること、及び
(1)前記被塗布面が、基板上に設けられた有機機能性層の面であり、
前記固形分が導電性高分子材料であって、前記有機機能性層上に導電性高分子層を形成して、基板上に有機機能性層及び導電性高分子層有する有機薄膜素子を得ること、又は
(2)前記被塗布面が、基板上に設けられた電極または有機機能性層の面であり、
前記固形分が有機材料であって、前記電極または有機機能性層上に有機機能性層を形成して、基板上に有機機能性層を有する有機薄膜素子を得ること、を特徴とする薄膜の製造方法。
[2]
前記導管の本体は非導電性材料からなり、前記塗布液粒子の導管内の通過により該塗布液粒子と同一の極に帯電する[1]に記載の製造方法。
[3]
前記導管の出口側の開口の形状に応じて固形分含有層を形成する[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]
前記導管の出口側の開口に対面する被塗布面を連続的または断続的に移動して前記開口より大きな面積の固形分含有層を形成する[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]
前記固形分が高分子材料、有機材料、無機材料またはそれらの混合物である[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。

塗布液供給手段、
前記塗布液供給手段から塗布液を放出するための少なくとも1つのノズル、
前記ノズルと被塗布物の間に電圧を印加するための電源、
前記ノズルと被塗布物の間に配置される、少なくとも2つの開口とこれら開口の間に延在する本体とからなり、前記本体が帯電し得る材料からなる導管を有する
静電塗布装置であって、
前記ノズルを隣接して複数有し、前記保持手段は、ノズルの隣接方向と垂直な方向に被塗布物を移動可能である、装置

前記導管が、合成樹脂製パイプまたはエラストマー製パイプである[]に記載の装置。

被塗布物を移動可能に保持するための保持手段をさらに有する[]または[]に記載の装置。

前記導管の帯電量を制御するための制御手段をさらに有する[]〜[]のいずれかに記載の装置。
10
高分子材料、有機材料、無機材料またはそれらの混合物である固形分を溶解または分散した溶液を塗布して薄膜を製造するために用いられる[]〜[]のいずれかに記載の装置。
本発明によれば、比較的速い成膜速度で面内均一性の高い薄膜の成膜が可能な、薄膜の製造方法を提供することができる。さらに本発明によれば、この製造方法に利用できる薄膜製造装置も提供できる。
静電塗布法の概略図である。 本発明の薄膜製造装置の一例を示す。 実施例1で得たアルミホイル上に静電塗布したサンプルの写真を示す。 実施例2で得た成膜したサンプルの透過率の測定結果を示す。
[薄膜の製造方法]
本発明の薄膜の製造方法は、固形分を含む塗布液を電圧が印加されたノズルから放出して形成した帯電した塗布液粒子を、前記ノズルと反対の極に帯電した被塗布面に堆積させて、固形分含有層を形成することで、薄膜を製造する方法である。この薄膜の製造方法は、静電塗布法として知られた方法である。
静電塗布法では、例えば、図1に示すように、固形分を含む塗布液を充填したシリンジ先端のノズルに電圧を印加することで、ノズルから放出される塗布液を帯電させる。例えば、電気的にマイナス側に接続した被塗布面に、プラスに帯電した塗布液を噴霧または噴射することで静電塗布を行うことができる。帯電の極性は逆であってもよい。このような状態で塗布液をノズルから噴霧または噴射させると、塗布液の液滴同士が電気的に反発しあうように噴出して、徐々に分裂を繰り返して塗布液に含まれる溶媒が蒸発しやすくなる。そのため、電圧、塗布流量、ノズルから被塗布面への距離等の条件を適切に設定すれば、塗布液が乾燥した状態で被塗布面上に塗布される。従って、静電塗布法は、ウエットプロセスと蒸着法の中間的な性質の成膜プロセスである。このように、静電塗布法では、溶媒が蒸発して塗布液に含まれる固形分が被塗布面上に堆積する。そのため、固形分からなる層の積層化が可能であり、また塗布液に含まれる固形分を無駄なく使える点がスピンコート法よりも優れている。
そして、本発明では、上記静電塗布法において、帯電した塗布液粒子を、少なくとも2つの開口とこれら開口の間に延在する本体とからなり、前記本体が前記塗布液粒子と同一の極に帯電した導管の一方の開口から他方の開口を経由して前記被塗布面に堆積させることを特徴とする。
上記静電塗布法では、ノズルの先端から被塗布面の距離は、塗布液からの溶媒の蒸発が良好にできる程度に設定される。一方、ノズルの先端から被塗布面の距離が長くなればそれだけ、噴射され帯電した塗布液粒子は広がり、被塗布面に堆積する領域は広くなる。しかし、被塗布面に堆積する領域は広くなると堆積速度、即ち成膜速度は低下する。また、成膜を必要としない面へも固形分が堆積することとなり、コスト面でもデメリットとなる。そこで本発明では、上記のように、塗布液粒子と同一の極に帯電した導管を用いて、導管内壁に塗布液粒子が付着することを抑制しながら、帯電した塗布液粒子を所望の被塗布面に誘導し、固形分を堆積させることで、成膜速度低下防止と原材料の有効利用を図るものである。
前記導管は、少なくとも2つの開口とこれら開口の間に延在する本体とからなるものである。典型的には両端に開口を有するパイプ状のものであることができる。この場合、一方の開口はノズルの先端付近にあり、帯電した塗布液粒子の入口となり、他方の開口は、被塗布面近傍にあって帯電した塗布液粒子の出口となる。また、導管は、3つ以上の開口を有し、途中に分岐があるものであっても良い。例えば、導管は、3つの開口を有するT字型のパイプであり、対向する2つの開口は、帯電した塗布液粒子の入口と出口であり、残りの開口は例えば、キャリアガス等の入口に用いることもできる。
前記導管は、その本体が非導電性材料からなることが好ましい。非導電性材料からなることで、導管自体も帯電しやすく、その結果、導管内を通過する塗布液粒子と同一の極に帯電することで、導管内を通過する塗布液粒子の導管内壁への付着を抑制することができる。その結果、成膜速度低下防止と原材料の有効利用が可能となる。導管の本体が非導電性材料からなる場合、導管内を帯電した塗布液粒子を通過させると、ほぼ瞬時に導管の本体も導管内を通過する塗布液粒子と同一の極に帯電する。
前記導管を構成する材料は帯電しやすい非導電性材料という観点から、合成樹脂、エラストマー等であることが好ましい。より具体的には、導管に適した材料としては、例えば、アクリル、塩化ビニール、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル、ゴム、テフロン、セロファン、セルロイドなどが挙げられる。但し、これらの材料に限定される意図ではない。
導管の入口から出口までの経路の形状は、直線状であっても、曲線状であってもよいが、均一な塗布面を形成するという観点からは、直線状であることが好ましい。また、導管の内径は、入口から出口まで同一であっても違っていても良い。例えば、入口の内径に比べて出口の内径が小さくても大きくても良い。ノズルから噴霧または噴射される塗布液の流量と被塗布面の面積等を考慮して適宜決定できる。
また、導管の入口及び出口の開口の断面形状にも特に制限はない。例えば、円形、方形、矩形、多角形等適宜選択できる。但し、導管の出口側の開口の断面形状は、形成する固形分含有層の平面形状を考慮して決定され、また、被塗布面への塗布量が均一になるように、または均一になりやすいように適宜決定される。
形成される固形分含有層の平面形状が導管の出口側の開口の断面形状と対応している場合には、所望の塗布量となるまで、塗布液を静電塗布すればよい。また、形成される固形分含有層の平面形状が導管の出口側の開口の断面形状より大きい場合には、所定の範囲で、ノズル及び導管を移動するか、あるいは導管の出口側の開口に対面する被塗布面を連続的または断続的に移動して、開口より大きな面積の固形分含有層を、所望の範囲で形成することができる。また、複数のノズル及び導管を並列に設けることもでき、さらに複数のノズル及び導管の整列方向と直行する方向に被塗布面を連続的または断続的に移動して、より広い平面の固形分含有層を形成することもできる。
塗布液に含有される固形分は、形成されるべき固形分含有層に応じて適宜決定でき、例えば、高分子材料、有機材料、無機材料またはそれらの混合物であることができる。また、これら以外の材料を用いることも、固形分として被塗布面に堆積する材料であれば用いることができる。高分子材料の例としては、後述する導電性高分子材料を挙げることができ、導電性高分子材料以外に、デンドリマー、合成高分子材料、生体高分子材料、無機高分子材料等を挙げることができる。また、高分子材料以外の有機材料としては、低分子有機材料、超分子材料、炭素分子材料等を挙げることができる。また、無機材料としては、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化インジウムスズ、酸化亜鉛、酸化珪素、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、シリコンカーバイト等を挙げることができる。
本発明の製造方法では、例えば、被塗布面が、基板上に設けられた電極または有機機能性層の面であり、固形分が有機材料であって、前記電極または有機機能性層上に有機機能性層を形成して、基板上に有機機能性層を有する有機薄膜素子を得ることができる。
あるいは本発明の製造方法では、例えば、被塗布面が、基板上に設けられた有機機能性層の面であり、固形分が導電性高分子材料であって、前記有機機能性層上に導電性高分子層を形成して、基板上に有機機能性層及び導電性高分子層有する有機薄膜素子を得ることができる。
本発明の製造方法により固形分含有層として導電性高分子層または有機材料層を形成することで、種々の有機薄膜素子を製造方法できる。有機薄膜素子は、基板上に電極または有機機能性層を有し、さらに前記電極または有機機能性層上に導電性高分子層または有機材料層を有するものであれば特に制限はない。有機薄膜素子としては、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機材料を用いた太陽電池、トランジスタ、メモリ、センサ等を挙げることができる。即ち、有機薄膜素子は有機エレクトロルミネッセンス素子であることができ、その場合、有機機能性層は発光層である。また、有機薄膜素子は有機材料を用いた太陽電池であることができ、その場合、有機機能性層は光電荷分離層である。
有機材料を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子は、所謂、トップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子である。この素子は、下から、ガラス基板、陰極(例えば、Al層)、電子注入層(例えば、LiF)、電子輸送層(例えば、PBD(2-(4-biphenylyl)-5-(4-tert-butylphenyl)-1,3,4-oxadiazole))、発光層(例えば、PFO(poly(9,9-di-n-octylfluorenyl-2,7-diyl)))及び導電性高分子層を有する。但し、この例は、一例であってこれに限定される意図ではない。導電性高分子層以外は、公知のトップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子の構成を適宜用いることもできる。
有機材料を用いた太陽電池は、例えば、ガラス基板、陰極(例えばAl層)、p型(例えば、P3HT(poly(3-hexylthiophene)))とn型(例えば、PCBM([6,6]-phenyl-C61-butyric acid methyl ester))の有機材料を混合した有機機能性層(光電荷分離層)及び導電性高分子層を有する。
有機材料を用いたトランジスタは、例えば、ガラス基板、ソースおよびドレイン電極、絶縁層、有機機能性層及びゲート電極から構成される。有機機能性層は有機半導体層であり、有機半導体には、例えば、ペンタセンやナフタレンなどキャリア移動度が高い有機材料が用いられる。また、ソース、ゲート及びドレインのいずれの電極も導電性高分子層であることができる。
有機材料を用いたメモリは、例えば、ガラス基板、電極、有機機能性層、電極から構成される。有機機能性層は有機半導体層であり、有機半導体には、例えば、P3HT(poly(3-hexylthiophene)などが用いられる。また、一方または両方の電極が導電性高分子層であることができる。
有機材料を用いたセンサは、例えば、ガラス基板、金属電極、有機層及び陽極から構成される。有機機能性層は有機光電変換層であり、有機光電変換層には、例えば、フルオレン系またはフタロシアニン系ポリマーなどが用いられる。陽極は導電性高分子層であることができる。
以下に、固形分が導電性高分子であり、本発明の製造方法により有機薄膜素子を製造する場合を例にさらに詳述する。固形分が導電性高分子以外の場合についても、以下の記載に基づいて適宜、本発明の製造方法を実施できる。
有機薄膜素子において、導電性高分子層を形成するための導電性高分子は、導電性を有する高分子物質であれば、特に制限無く利用できる。但し、光透過性に優れた導電性高分子層を形成することができる導電性高分子であることが、有機エレクトロルミネッセンス素子や有機材料を用いた太陽電池など、導電性高分子層に高い光透過性を要求する場合には好ましい。導電性高分子の例としては、例えば、ポリチオフェンベースの導電性高分子(ケミトレック社,エノコートHC-200,以下エノコートと略す)やポリアニリンベースの導電性高分子等を挙げることができる。
導電性高分子を溶解または分散した溶液には、導電性高分子を溶解または分散できる性質の溶媒を用いる。静電塗布の際に、導電性高分子を含有する液滴が小さければ小さい程、均一で平滑な導電性高分子層を形成することができるため、導電性高分子に対する溶解度が高い溶媒を用いることが好ましい。また、静電塗布の際に、噴霧後、被塗布表面に到達する間に溶媒が揮発しやすい方が、均一で平滑な導電性高分子層を形成することができることから、比較的低沸点の溶媒であることが好ましい。固形分が導電性高分子以外の材料である場合も、同様の観点で溶媒を選択することが適当である。
このような観点から、導電性高分子の種類にもよるが、溶媒としては、2-エトキシエタノール、2-メトキシエタノール、純水、クロロホルム、キシレン、トルエン、アセトン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、テトラクロロエチレン、ヘキサン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸、アセトニトリル、ジエチルエーテル、ジメチルスルホスキド等を用いることができる。固形分が導電性高分子以外の材料である場合にも、固形分を構成する材料の溶媒への溶解性等を考慮して、上記例示した溶媒の中から、適宜選択することが適当できる。
導電性高分子を溶解または分散した溶液の固形分(導電性高分子)濃度は、静電塗布の条件や導電性高分子及び溶媒の種類によって適宜設定できる。例えば、溶液の固形分(例えば、導電性高分子)濃度は、0.01質量%から10質量%の範囲とすることができ、0.1質量%から1質量%の範囲が好ましい。均一な固形分含有層を形成するという観点からは、導電性高分子等の固形分を均一に溶解した溶液を塗布液に用いることが好ましく、均一な溶解液が得られるという観点から、溶媒と固形分濃度を選択することが好ましい。
静電塗布の条件は、導電性高分子の種類、溶媒の種類、有機機能性層の種類(表面状態)や面積等を考慮して適宜決定できる。噴霧された液滴が被塗布表面に到達する間により細かい粒子となり、その結果、溶媒の揮発が促進され、液滴が被塗布表面に到達したときには、液滴に含まれる溶媒の量がより低減される状態を形成できるように、静電塗布の条件を決定することが好ましい。噴霧された液滴が被塗布表面に到達する間により細かい粒子となるためには、液滴により多くの電荷が注入され、電気的な反発により液滴がより細かくなるようにすることが好ましい。そのような観点から、噴霧用のノズルと被塗布表面との距離は、例えば、1〜30cmの範囲とし、5〜20cmの範囲が好ましい。噴霧用のノズルと被塗布表面との間に印加される電圧は、1〜40kVの範囲とすることができ、5〜20kVの範囲が好ましい。尚、上記の数値範囲は、いずれもこれらの範囲に限定されるものではない。また、固形分が導電性高分子以外の材料である場合も、同様の条件で、または例示した条件を参照して、静電塗布を実施することが適当である。
さらに、導電性高分子を溶解または分散した溶液の噴霧量(塗布液の流量)も特に限定されるものではなく、導電性高分子の種類、溶媒の種類、有機機能性層の種類や面積、噴霧用のノズルと被塗布表面との距離、噴霧用のノズルと被塗布表面との間に印加される電圧などに応じて適宜選択できる。固形分が導電性高分子以外の材料である場合も同様である。後述する実施例でも示すが、良好な固形分含有層の形成には、主に、塗布液の溶媒種類と固形分濃度、固形分の溶解状態、噴霧量(塗布液の流量)さらには、印加される電圧及びノズルと被塗布表面との距離が影響を与える。従って、これらの因子を適宜調整して、良好な固形分含有層を形成できる条件を設定することができる。
静電塗布後に得られた固形分含有層または固形分含有層を有する素子等を加熱処理することもできる。加熱処理することにより、導電性高分子層(中に溶媒が残留する場合には、溶媒を除去することができ、その結果、導電性高分子層の導電性をより高めることができる。加熱処理の条件は、使用する溶媒の種類や素子を構成する材料の種類(耐熱性)等を考慮して適宜選択できるが、導電性高分子層の場合は、例えば、20〜150℃の範囲とすることができ、80〜120℃の範囲が好ましい。静電塗布後の加熱処理は、固形分含有層を形成する材料や固形分含有層を設けた製品の用途や要求される性能に応じて適宜決定できる。導電性高分子層以外の固形分含有層の場合には、特に、固形分の耐熱性を考慮して、上記例示した温度範囲より高温での処理ができる場合もあり、また、上記例示した温度範囲より低温での処理が好ましい場合もあり得る。
[静電塗布装置]
本発明の静電塗布装置は、以下の要素を含むものである。
(1)塗布液供給手段、
(2)前記塗布液供給手段から塗布液を放出するための少なくとも1つのノズルを、
(3)前記ノズルと被塗布物の間に電圧を印加するための電源、
(4)前記ノズルと被塗布物の間に配置される、少なくとも2つの開口とこれら開口の間に延在する本体とからなり、前記本体が帯電し得る材料からなる導管
(1)塗布液供給手段
図2に示す塗布液供給手段は、プラスチックシリンジ10であるが、プラスチック以外の材質のシリンジであってもよい。シリンジ10は、シリンジ内の塗布液Tをノズル20から押し出すための手段11を有する。塗布液供給手段は、シリンジではなく、塗布液を保持できる容器であって、この容器からノズルへ塗布液を搬送できる手段を有するものであってものよい。容器からノズルへ通じるチューブとこのチューブで塗布液を搬送するポンプ(例えば、ペリスタポンプ)であってもよい。
(2)ノズル
ノズル20は、塗布液供給手段から塗布液Tを放出するためのものであり、本発明の装置は少なくとも1つのノズルを有する。ノズルは複数であることもできる。ノズルは、ノズルから放出される塗布液に電圧を印加するために用いられるので、導電性材料、例えば、金属製であることができる。ノズルの内径は、放出される塗布液の流量や液滴のサイズ等を考慮して適宜決定されるが、例えば、0.01mm〜0.5mmの範囲である。但し、この範囲に限定される意図ではない。ノズルと塗布液供給手段とは直接またはチューブ等を介して間接的に連絡している。
(3)電源
電源30は、ノズル20と被塗布物40の間に電圧を印加するためのものである。被塗布物40は、電源30からの電圧を印加できる導電性材料の上に形成される。電源30は、ノズル10と被塗布物40の間に、例えば、1〜40kVの範囲の電圧、好ましくは、5〜20kVの範囲の電圧をかけられるものであることが適当である。
(4)導管
導管50は、ノズル20と被塗布物40の間に配置される。導管50は、少なくとも2つの開口51、52とこれら開口の間に延在する本体53とからなり、前記本体が帯電し得る材料からなる。導管は、前述の製造方法で説明したものと同様である。
本発明の装置は、被塗布物を移動可能に保持するための保持手段(図示せず)をさらに有することができる。この保持手段に、被塗布物を保持し、塗布しながら連続的または断続的に被塗布物を移動することで、所望の範囲の塗布層を形成できる。
本発明の装置は、ノズルを隣接して複数有し、上記保持手段は、ノズルの隣接方向と垂直な方向に被塗布物を移動可能としたものであることができる。隣接して複数のノズルを設け、これと垂直な方向に被塗布物を移動することで、隣接して設けた複数のノズルの幅と、移動距離の範囲からなる面に塗布層を形成できる。
本発明の装置は、導管の帯電量を制御するための制御手段をさらに有することができる。導管の帯電量を制御するための制御手段とは、例えば、イオナイザーから導管に帯電した空気を噴射することで導管の帯電量を制御できる。導管の帯電量を制御することで、導管と帯電した塗布液粒子の間の反発力を制御して、所望の噴霧状況を作り出すことが可能になる。
本発明の装置は、上記本発明の製造方法に用いられ、高分子材料、有機材料、無機材料またはそれらの混合物である固形分を溶解または分散した溶液を塗布して薄膜を製造するために用いられる。
以下に、本発明の有機光電変換膜の作製方法を、実施例をもとに説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定される意図ではない。また、以下の実施例では、図2に示す装置を用いて静電塗布を行った。
(実施例1)
静電塗布する有機溶液はpoly[9,9-dioctylfluorenyl-2,7-diyl]-co-1,4-benzo-(2,1,3)-thiadiazole (F8BT)を用いて、これをクロロホルム中に0.01質量%の割合で希釈した。作製した有機溶液をプラスシックシリンジに充填して10μl/minの速度で押し出した。また、プラスチックシリンジの先端に取り付けた金属ノズルに8 kVの電圧を印加して、グランドを基板上のITOに接続した。ここで、ステンレスノズルと基板の間に断面が4cm×3cmの長方形、長さ10cmのアクリルパイプを挿入した。また、ステンレスノズルと基板間の距離は10cmとして、成膜時間は3分間とし、大気中で行った。比較のためにアクリルパイプを用いない条件で同様の成膜を行った。
図3に上記条件で、ITOの代りにアルミホイル上に静電塗布したサンプルの写真を示す。この写真から従来の手法(アクリルパイプのような導管を使わない場合)では一様に広がった分布になっているのに対して、本特許の手法を用いることで成膜領域をアクリルパイプの内側に制御できていることが分かる。また、F8BT膜の色が濃く、この結果は成膜速度が向上していることを示している。さらに、外部の電気的な影響を受けにくくなっており、成膜の再現性などが向上した。
(実施例2)
基板としてソーダライムガラス(20mm×20mm×0.7mm)上にITOを150nmの膜厚で成膜したものを用いた。ここで、作製した基板を純水とアセトンで15分間ずつ超音波洗浄を行い、UVオゾンクリーナーを用いて表面の残留有機物を除去した。静電塗布する有機溶液はpoly[9,9-dioctylfluorenyl-2,7-diyl]-co-1,4-benzo-(2,1,3)-thiadiazole (F8BT)を用いて、これをクロロホルム中に0.01質量%の割合で希釈した。作製した有機溶液をプラスシックシリンジに充填して10μl/minの速度で押し出した。また、プラスチックシリンジの先端に取り付けた金属ノズルに8kVの電圧を印加して、グランドを基板上のITOに接続した。ここで、ステンレスノズルと基板の間に内径46mm、長さ10cmのアクリルパイプを挿入した。また、ステンレスノズルと基板間の距離は10cmとして、成膜時間は3分間とし、大気中で行った。比較のためにアクリルパイプを用いない条件で同様の成膜を行った。
図4に成膜したサンプルの透過率の測定結果を示す。F8BTは470nmに特異的な吸収を有しており、この透過率から膜厚を見積もった。アクリルパイプを用いた場合は470nmの透過率は79%であるのに対して、アクリルパイプを用いていない場合では93%となった。これは、アクリルパイプを用いることで同一の成膜条件であるにも関わらずF8BTの膜厚が増加して、透過率が減少したと結論付けられる。また、見積もった膜厚は42nm(アクリルパイプあり)と14nm(アクリルパイプなし)程度であり、成膜速度はアクリルパイプを用いることで3倍向上した。
(実施例3)
印加電圧依存性
基板としてソーダライムガラス(20mm×20mm×0.7mm)上にITOを150nmの膜厚で成膜したものを用いた。ここで、作製した基板を純水とアセトンで15分間ずつ超音波洗浄を行い、UVオゾンクリーナーを用いて表面の残留有機物を除去した。静電塗布する有機溶液はpoly[9,9-dioctylfluorenyl-2,7-diyl]-co-1,4-benzo-(2,1,3)-thiadiazole (F8BT)を用いて、これをクロロホルム中に0.01質量%の割合で希釈した。作製した有機溶液をプラスシックシリンジに充填して10μl/minの速度で押し出した。また、プラスチックシリンジの先端に取り付けた金属ノズルに2〜30kVの電圧を印加して、グランドを基板上のITOに接続した。ここで、ステンレスノズルと基板の間に内径46mm、長さ10cmのアクリルパイプを挿入した。また、ステンレスノズルと基板間の距離は10cmとして、成膜時間は3分間とし、大気中で行った。
作製したF8BT薄膜を光学顕微鏡で観察した結果、下記のような結果が得られた。
・2〜4kV:基板上にF8BT薄膜が成膜されなかった。
・5〜7kV:有機溶媒が蒸発しない状態で基板上にF8BT薄膜が成膜された。
・8kV〜30kV:良好な表面状態のF8BT薄膜が形成された。
以上の結果から、上記条件の下では、印加電圧は8kV以上が望ましいことが分かる。
この結果から、傾向として、電圧が低いと静電気力による有機液滴の分裂回数が多くならない。そのため、ステンレスノズルから噴射された有機液滴が十分に小さくならず有機溶媒が蒸発しにくくなっていると考えられる。それに対して、電圧が高いほどステンレスノズルから基板に到達するまでに有機液滴が分裂する回数が増加し、静電気力による分裂回数が多くなるほど一つ一つの粒子径が小さくなる。噴射している有機材料の粒子径が小さくなると、有機微粒子の体積に対する表面積の割合が大きくなり、有機溶媒が蒸発しやすくなると考えられる。従って、8kV未満の印加電圧であっても、例えば、ステンレスノズルと基板間の距離を延ばすことで、良好な表面状態のF8BT薄膜が形成されるようになると考えられる。
(実施例4)
F8BT溶液の供給速度依存性
基板としてソーダライムガラス(20mm×20mm×0.7mm)上にITOを150nmの膜厚で成膜したものを用いた。ここで、作製した基板を純水とアセトンで15分間ずつ超音波洗浄を行い、UVオゾンクリーナーを用いて表面の残留有機物を除去した。静電塗布する有機溶液はpoly[9,9-dioctylfluorenyl-2,7-diyl]-co-1,4-benzo-(2,1,3)-thiadiazole (F8BT)を用いて、これをクロロホルム中に0.01質量%の割合で希釈した。作製した有機溶液をプラスシックシリンジに充填して0.1〜100μl/minの速度で押し出した。また、プラスチックシリンジの先端に取り付けた金属ノズルに8kVの電圧を印加して、グランドを基板上のITOに接続した。ここで、ステンレスノズルと基板の間に内径46mm、長さ10cmのアクリルパイプを挿入した。また、ステンレスノズルと基板間の距離は10cmとして、成膜時間は3分間とし、大気中で行った。
作製したF8BT薄膜を光学顕微鏡で観察した結果、下記のような結果が得られた。
・50μl/min以下:良好な表面状態のF8BT薄膜が形成された。
・>50μl/min:有機溶媒が蒸発しない状態で基板上にF8BT薄膜が成膜された。
以上の結果から、上記条件の下では、F8BT溶液の供給速度は50μl/min以下が望ましいことが分かる。但し、電圧を8kVより高くするか、あるいはF8BT溶液の濃度等を調整することで、50μl/minを超える供給速度でも良好な表面状態のF8BT薄膜が形成されるものと考える。生産性を考慮すれば、より高い供給速度で、より高い成膜速度を実現することが望ましく、そのような観点から、塗布条件を適宜選択することが望ましい。
(実施例5)
F8BT溶液の濃度依存性
基板としてソーダライムガラス(20mm×20mm×0.7mm)上にITOを150nmの膜厚で成膜したものを用いた。ここで、作製した基板を純水とアセトンで15分間ずつ超音波洗浄を行い、UVオゾンクリーナーを用いて表面の残留有機物を除去した。静電塗布する有機溶液はpoly[9,9-dioctylfluorenyl-2,7-diyl]-co-1,4-benzo-(2,1,3)-thiadiazole (F8BT)を用いて、これをクロロホルム中に0.0001〜1質量%の割合で希釈した。作製した有機溶液をプラスシックシリンジに充填して10μl/minの速度で押し出した。また、プラスチックシリンジの先端に取り付けた金属ノズルに8 kVの電圧を印加して、グランドを基板上のITOに接続した。ここで、ステンレスノズルと基板の間に内径46mm、長さ10cmのアクリルパイプを挿入した。また、ステンレスノズルと基板間の距離は10cmとして、成膜時間は3分間とし、大気中で行った。
作製したF8BT薄膜を光学顕微鏡で観察した結果、下記のような結果が得られた。
・1質量%:完全に希釈されていないF8BTが基板上に堆積した。
・0.5質量%以下:良好な表面状態のF8BT薄膜が形成された。
以上の結果から、上記条件の下では、F8BT溶液の濃度としては0.5質量%以下が望ましい。しかし、F8BT溶液の濃度が薄くなると、成膜速度も低下することからこの範囲で可能な限り大きい供給速度が望ましく、また、F8BTに対する溶解性が良好な有機溶媒を選択することで、より高濃度のF8BT溶液を用いても、良好な表面状態のF8BT薄膜が形成される。
(実施例6)
金属ノズルと基板間の距離濃度依存性
基板としてソーダライムガラス(20mm×20mm×0.7mm)上にITOを150nmの膜厚で成膜したものを用いた。ここで、作製した基板を純水とアセトンで15分間ずつ超音波洗浄を行い、UVオゾンクリーナーを用いて表面の残留有機物を除去した。静電塗布する有機溶液はpoly[9,9-dioctylfluorenyl-2,7-diyl]-co-1,4-benzo-(2,1,3)-thiadiazole(F8BT)を用いて、これをクロロホルム中に0.01質量%の割合で希釈した。作製した有機溶液をプラスシックシリンジに充填して10μl/minの速度で押し出した。また、プラスチックシリンジの先端に取り付けた金属ノズルに8 kVの電圧を印加して、グランドを基板上のITOに接続した。ここで、ステンレスノズルと基板の間に内径46mm、長さ5,10,15,20,25,30cmのアクリルパイプを挿入した。また、ステンレスノズルと基板間の距離はアクリルパイプと同じとして、成膜時間は3分間とし、大気中で行った。
作製したF8BT薄膜を光学顕微鏡で観察した結果、下記のような結果が得られた。
・5cm:有機溶媒が蒸発しない状態で基板上にF8BT薄膜が成膜された。
・10〜30cm:良好な表面状態のF8BT薄膜が形成された。
以上の結果から、上記条件の下では、ステンレスノズルと基板間の距離は10cm以上が望ましい。但し、ステンレスノズルと基板間の距離以外の条件、例えば、より揮発性の高い溶媒を用いる等の調整をすることで、10cm未満の距離でも、良好な表面状態のF8BT薄膜が形成できると考えられる。
本発明は、有機薄膜素子等の薄膜製造に関する分野に有用である。
10 プラスチックシリンジ
11 押出手段
20 ノズル
30 電源
40 被塗布物
50 導管
T 塗布液

Claims (10)

  1. 固形分を含む塗布液を電圧が印加されたノズルから放出して形成した帯電した塗布液粒子を、前記ノズルと反対の極に帯電した被塗布面に堆積させて、固形分含有層を形成する薄膜の製造方法であって、
    前記帯電した塗布液粒子は、前記塗布液粒子と同一の極に帯電した導管の一方の開口から他方の開口を経由して前記被塗布面に堆積させること、及び
    (1)前記被塗布面が、基板上に設けられた有機機能性層の面であり、
    前記固形分が導電性高分子材料であって、前記有機機能性層上に導電性高分子層を形成して、基板上に有機機能性層及び導電性高分子層有する有機薄膜素子を得ること、又は
    (2)前記被塗布面が、基板上に設けられた電極または有機機能性層の面であり、
    前記固形分が有機材料であって、前記電極または有機機能性層上に有機機能性層を形成して、基板上に有機機能性層を有する有機薄膜素子を得ること、を特徴とする薄膜の製造方法。
  2. 前記導管の本体は非導電性材料からなり、前記塗布液粒子の導管内の通過により該塗布液粒子と同一の極に帯電する請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記導管の出口側の開口の形状に応じて固形分含有層を形成する請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記導管の出口側の開口に対面する被塗布面を連続的または断続的に移動して前記開口より大きな面積の固形分含有層を形成する請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記固形分が高分子材料、有機材料、無機材料またはそれらの混合物である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 塗布液供給手段、
    前記塗布液供給手段から塗布液を放出するための少なくとも1つのノズル、
    前記ノズルと被塗布物の間に電圧を印加するための電源、
    前記ノズルと被塗布物の間に配置される、少なくとも2つの開口とこれら開口の間に延在する本体とからなり、前記本体が帯電し得る材料からなる導管を有する
    静電塗布装置であって、
    前記ノズルを隣接して複数有し、前記保持手段は、ノズルの隣接方向と垂直な方向に被塗布物を移動可能である、装置
  7. 前記導管が、合成樹脂製パイプまたはエラストマー製パイプである請求項に記載の装置。
  8. 被塗布物を移動可能に保持するための保持手段をさらに有する請求項またはに記載の装置。
  9. 前記導管の帯電量を制御するための制御手段をさらに有する請求項6〜8のいずれかに記載の装置。
  10. 高分子材料、有機材料、無機材料またはそれらの混合物である固形分を溶解または分散した溶液を塗布して薄膜を製造するために用いられる請求項6〜9のいずれかに記載の装置。
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