JP5412584B2 - 噴霧乾燥方法で成形された亜鉛系脱硫剤及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、亜鉛系脱硫剤に関し、より詳細には、噴霧乾燥方法で成形され、耐摩耗性が向上した亜鉛系脱硫剤に関する。
一般的に、高温乾式脱硫技術(Hot Gas Desulfurization)は、石炭のような固体化石燃料や石油コークス(petroleum coke)、産業廃棄物などのように炭素を含む燃料をガス化し、合成ガスを生成し、電力生産、水素生産、化学原料生産、輸送燃料生産などに利用する前に、高温高圧状態で合成ガスに含有された硫黄成分を除去(gas stream clean up)することを言う。
高温乾式脱硫工程に使用される脱硫剤は、燃料電池の燃料精製、石炭液化工程など他の化学産業工程で硫黄成分を除去するのに使用されることができ、窮極的に、酸性雨の原因になる硫酸化物(SOx)の発生を基本的に防止するのに使用されることができる。
従来、亜鉛系脱硫剤は、押出成形方法及び造粒化(granulation)方法で混練(paste)した後、粒子を製造し、固定層または移動層脱硫工程に適用する目的で開発されて来た。また、上記従来技術を改善するために、流動層、特に高速流動層脱硫工程が提案された。流動層工程は、気体と固体の接触性に優れていて、吸収と再生反応時に反応器の温度調節が容易であり、連続運転が可能であるという長所がある。
フィリップスペトローリアム(Phillips Petroleum)社のカレー(Khare)に付与された特許文献1は、酸化亜鉛、硅藻土及びアルミナゾルを混合し、押出成形した後、焼成過程を経て酸化ニッケル前駆体を担持し、さらに焼成した後、固定層及び移動層脱硫工程に適用するための脱硫剤を開示している。また、フィリップスペトローリアム(Phillips Petroleum)社のカレー(Khare)に付与された特許文献2は、上記と類似の組成を有する脱硫剤を流動層脱硫工程に適用するために造粒器(Granulator)で成形する方法を開示している。
しかし、前述したような従来の方法で製造された脱硫剤を流動層工程に適用するためには、粉砕及び選別など粒子のサイズを制御する過程を進行しなければならないので、非経済的であり、粉砕によって脱硫剤が不規則な形状を有し、流動層脱硫工程に適用する場合、摩耗損失が大きく、流動化や固体循環に問題が発生することができる。
カレー(Khare)などに付与された特許文献3も、 特許文献2とほぼ大同小異であるが、脱硫剤原料を乾燥混合(drymix)し、これに酸化ニッケル(NiO)前駆体を担持し、脱硫剤混練物(Paste)を作って造粒器(Granulator)で脱硫剤を製造する方法を開示している。しかし、高温高圧の流動層脱硫工程で脱硫剤が吸収と再生反応に繰り返して使用されるためには、高い硫黄吸収能はもちろん、球形の形状(shape)、流動化に適した粒子サイズ(size)、分布(size distribution)及び充填密度を保有しなければならないことにもかかわらず、従来の技術は、このような要求条件を満たしていないし、特に大量生産技術に適していないという問題点がある。
米国特許第5,281,445号明細書 米国特許第5,439,867号明細書 米国特許第6,056,871号明細書
本発明は、前述のような要求によってなされたものであって、本発明の目的は、噴霧乾燥技術(spray drying technology)を使用して、流動層または高速流動層脱硫工程に適した粒子形状(shape)、粒子サイズ(size)、粒子分布(size distribution)、強度(mechanical strength or attrition resistance)、反応性(reactivity)及び耐摩耗性を有する固体脱硫剤(regenerablesorbent)を提供することにある
本発明の他の目的は、合成ガスに含まれた硫化水素と選択的に反応して硫化水素を効率的に精製(clean−up)することができる物質として酸化亜鉛を活性成分として含む亜鉛系脱硫剤を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、活性成分を脱硫剤粒子内によく分布するように(uniform distribution)して活性成分の活用性を高め、反応に必要な広い比表面積を提供することができ、流動層または高速流動層脱硫工程に使用することができる強度を付与するためにカルシウムシリケート(calcium silicate)のような支持体、ハイドロタルサイト(hydrotalcite)及び無機結合剤(inorganic binders)を含む亜鉛系脱硫剤を提供することにある。
本発明の噴霧乾燥方法で成形された亜鉛系脱硫剤は、炭素を含む燃料のガス化によって生成される合成ガスから硫黄成分を除去する亜鉛系脱硫剤として固体脱硫剤原料がスラリー化され、噴霧乾燥方法で成形されて製造されて、上記固体脱硫剤原料は、固体脱硫剤原料のうち活性成分30〜60wt%、支持体30〜60wt%、再生増進剤5〜15wt%、及び無機結合剤5〜15wt%で構成される。
上記活性成分は、酸化亜鉛であり、上記支持体は、合成カルシウムシリケートであり、上記再生増進剤は、酸化ニッケルであることができる。
上記無機結合剤は、類似ベーマイト、ハイドロタルサイト、ベントナイト及びカオリンの中から選択された少なくとも1つを含む。
上記ハイドロタルサイトは、酸化カルシウムに対する酸化マグネシウムの比が0.3〜0.7であることが好ましい。
上記亜鉛系脱硫剤は、平均粒子サイズが70〜150μmであり、粒子分布が30〜300μmであり、粒子の形状が球形であり、充填密度が0.7g/ccであり、摩耗指数が40%以下であるものに成形されることが好ましい。
上記亜鉛系脱硫剤は、硫黄吸収能が10gS/100gまたは上記固体脱硫剤原料対比10wt%以上であることが好ましいい
上記固体脱硫剤原料が均質にスラリー化されるように、上記固体脱硫剤原料重量に対して0.5〜10wt%の陰イオン系分散剤、0.1〜1wt%の消泡剤、0.5〜5wt%の有機結合剤で構成される有機添加剤が添加されることができる。
上記有機結合剤は、ポリビニルアルコール系、ポリグリコール系及びメチルセルロース系の中から少なくとも1つを含む。
本発明の噴霧乾燥方法で成形された亜鉛系脱硫剤製造方法は、a)固体脱硫剤原料のうち活性成分30〜60wt%、支持体30〜60wt%、再生増進剤5〜15wt%、及び無機結合剤5〜15wt%で構成された固体脱硫剤原料を用意する段階と、b)上記固体脱硫剤原料を水に添加して混合し、湿式粉砕し、スラリーとして製造するスラリー化段階と、c)上記スラリーを噴霧乾燥方法で成形し、脱硫剤造粒体として製造する噴霧乾燥段階とを含む。
上記b)段階は、分散剤と有機結合剤を含む有機添加剤を上記スラリーに混合し、上記スラリーに含まれた固体脱硫剤原料を分散させて均質化させる段階を含む。
上記c)段階は、加圧ノズルが設置された噴霧乾燥器を使用して向流式で上記スラリーを噴霧乾燥することができる。
本発明の亜鉛系脱硫剤は、スラリーを噴霧乾燥器を使用して成形し、乾燥焼成処理して製造されるので、化石燃料をガス化して生成された合成ガスを石炭ガス化複合発電(IGCC)、燃料電池用合成ガス、化合物原料などに使用するために、高温、高圧の条件で合成ガスに含まれた硫化水素など硫黄成分を除去する流動層脱硫工程に使用されることができる。
本発明の亜鉛系脱硫剤は、350〜650℃範囲で運転することができ、ガス化器で生成された合成ガスを最小の熱損失で使用することができ、廃水のような2次環境汚染物質が発生しないので、経済的に合成ガスを精製することができるという利点がある。
本発明の実施例によって製造された亜鉛系脱硫剤の走査電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例によって製造された亜鉛系脱硫剤の走査電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例によって製造された亜鉛系脱硫剤の走査電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例によって製造された亜鉛系脱硫剤の走査電子顕微鏡写真である。
本発明の脱硫剤は、流動層または高速流動層工程に適した形状(shape)、粒子サイズ(size)及び粒子分布(size distribution)を有する流動化が可能な固体脱硫剤粒子(free flow solid sorbent particles)特性と合成ガスに含まれた硫化水素に効率的に反応する固体脱硫剤を製造するために噴霧乾燥技術を使用して脱硫剤を製造する。
具体的に、本発明は、固体脱硫剤原料の組成(composition)、固体脱硫剤原料の配合比(formulation)及び均質化(homogenizing)を通じて製造されたスラリーを噴霧乾燥方法で成形し、乾燥焼成させて、耐摩耗性が向上した脱硫剤を製造する。スラリーは、固体脱硫剤原料、分散剤(固体原料、粒子分散及び流動性制御機能)、消泡剤(噴霧乾燥成形過程で気泡による粒子の形状変形を防止する)及び有機結合剤など有機添加剤を水に添加し、混合して製造されることができる。
本発明による固体脱硫剤原料は、活性成分、支持体、無機結合剤及び再生増進剤を含む。
上記活性成分は、合成ガス中に含有された硫化水素などと選択的に反応し、金属硫化物(metal sulfide)を生成することによって、合成ガスに含有された硫黄不純物を効率的に除去することができる金属酸化物(metal oxides)であることができる。活性成分は、全体固体脱硫剤原料のうち30〜60wt%(重さ重量百分率)であることができ、好ましくは、活性成分は、全体固体脱硫剤原料のうち25〜40wt%である。
活性成分としての金属酸化物は、酸化亜鉛(ZnO)及び酸化亜鉛に転換されることができる前駆体を含む。活性成分は、合成原料または自然産原料であることができ、99%以上の純度を有することが好ましいが、これに制限されるものではない。
本発明に好ましく使用されることができる活性成分は、例えば、粒子サイズが1μm以下であり且つ99%以上の純度を有する酸化亜鉛(ZnO、>99%、<1μm、Honzo Chemical Co.)であることができる。
固体脱硫剤原料は、活性成分を脱硫剤粒子内によく分布するようにして活性成分の活用性を高め、反応に必要な広い比表面積を提供することができるものであって、アルミナ(alumina)とシリカ(silica)を含むセラミック類(ceramic)、天然または合成ゼオライト(naturalor synthesized zeolite)を30〜60wt%含むことができる。
上記支持体は、二酸化ケイ素(SiO)が主成分である合成カルシウムシリケート系であることができる。合成カルシウムシリケートは、全体固体脱硫剤原料のうち30〜60wt%であることができる。
本発明に好ましくは使用されることができる合成カルシウムシリケートは、セルライトサ(Celite Corp.)の平均粒径70μサイズの商業用合成カルシウムシリケートC級(Micro Cel−C、pH=10、50.0%、SiO、1.8%Al、0.6%
Fe、27.0% CaO、0.5% MgO、1.3% NaO+KO、18.0%
Ignition loss)またはE級(MicroCel−E、pH=8.4、47.0%、SiO、2.5%
Al、0.7% Fe、32.0% CaO、0.6% MgO、1.2%
NaO+KO、16.0% Ignition loss)であることができる。
上記無機結合剤(inorganic binders)は、脱硫剤原料の間に緻密に充填され、高密度の脱硫剤を製造することができ、活性成分と支持体の間を良好に結合させて、脱硫剤の強度を向上させる役目をする。
本発明に好ましく使用されることができる無機結合剤は、アルミナ結合剤、ハイドロタルサイト(hydrotalcite)、ベントナイト(bentonite)及びカオリン(kaolin)のうち1つまたは1つ以上の混合物であることができる。
アルミナ結合剤の例としては、水溶液でアルミナゾルと類似の特性を有するベーマイト(boehmite、aluminum oxyhydroxide、またはALOOH)が挙げられる。好ましい例としては、ラロシュケミカルス(LaRoche Chemicals)社の類似ベーマイト(pseudo−Boehmit:Versal900、サイズ60−65μm)が挙げられる。
ハイドロタルサイトは、酸化カルシウムに対する酸化マグネシウムの比が0.3〜0.7であるものを使用することができ、好ましくは、酸化カルシウムに対する酸化マグネシウムの比が0.5であることが好ましい。
粘土類結合剤であるカオリンは、すべての類型のカオリンを使用することができ、これに対する特別な制限はない。本発明に好ましく使用されることができるカオリンは、エンゲルハード(Engelhard)社のカオリン(ASP−200:38.5% Al、45.4%
SiO、0.2% NaO、1.6% TiO、0.03% CaO、0.5% Fe、0.02%
MgO、0.15% KO、0.2% Ignition loss 13.6%)であることができる。
粘土類結合剤であるベントナイトは、自然産ソジウムベントナイト、合成ソジウムベントナイトを含むすべての商業用ベントナイトを使用することができ、これに対する特別な制限はない。本発明に好ましく使用されることができるベントナイトは、韓国の東海化学の合成ソジウムベントナイト(synthetic sodium bentonite:63.1% SiO、16.6% Al、3.28%
Fe、3.07% CaO、2.82% MgO、3.06% NaO、8.11% 水分)であることができる。
上記再生増進剤は、周期律表4族ないし12族転移金属酸化物、その硫化物またはこれらに転換されることができるすべての形態の転移金属であることができ、これに対する特別な制限はない。本発明に好ましく使用されることができる再生増進剤は、酸化ニッケル(NiO)であることができ、特に好ましい例としては、商業用酸化ニッケル(green、99%、−325mesh、Japanese Chemical industry Co.Ltd)及び商業用酸化ニッケル(green、77.3% Ni、0.8um、Seido Chemical Industry Co Ltd.、Japan)であることができる。
本発明による固体脱硫剤原料をコロイドスラリーで製造する過程において固体脱硫剤原料を均質化するために有機添加剤(organic additives)が使用されることができる。有機添加剤は、分散剤または分散剤の一種であるスラリー流動性改良剤、消泡剤と有機結合剤で構成されることができる。固体脱硫剤原料のみを水に交ぜた場合、可焼成が少なく、分散させにくいため、混合及びコロイドスラリーを製造しにくい問題があるが、この問題を有機添加剤が解消する。
分散剤(dispersant)は、スラリーのpH、粒子表面の電荷、分散、凝集を調節し、スラリーを高濃度化するものであって、相溶性が良い陰イオン系分散剤を使用することができ、特別な制限はない。分散剤の使用量は、固体(solid)脱硫原料の全体重量の0.1〜10wt%を使用することができ、好ましくは0.5〜10wt%を使用することができる。陰イオン系分散剤は、陰イオン系ポリカルボン酸塩分散剤であることができる。陰イオン系ポリカルボン酸塩分散剤は、例えば、灰分がなく、スラリーのpH4−11程度でセラミックの分散性に優れていて、25〜40wt%の高濃度スラリーの製造に適した韓国のサンノプコ(Sannopco Korea Ltd.)社のセラスパス(Cerasperse)5468−CF(40%、pH=6.8、粘度85cps、比重1.15、以下、SN5468分散剤という)であることができる。
消泡剤(defoamer)は、分散剤と有機結合剤を適用したスラリーで発生する気泡を除去する機能をし、金属せっけん系とポリエステル系の非イオン性界面活性剤であることができる。好ましい例として、消泡剤は、ポリエーテル系であるサンノプコ(Sannopco)社のHS−deformer 551であることができる(以下、HS551消泡剤という)。使用量は、添加した有機結合剤重量に対して0.1%以下を使用することが好ましく、さらに好ましくは、固体脱硫剤原料の重量を基準にして0.1〜1wt%範囲で使用する。また、HS551消泡剤は、粘度と比重がそれぞれ300cpsと0.99であり、pHに影響が少なく、相溶性が良いため、オイルスポット(Oil Spot)がほとんど形成されない。消泡剤の添加は、有機結合剤と一緒に、または有機結合剤を添加した後に噴霧乾燥成形の前に行うことが好ましい。必要な場合、フリマ社のコボールミル(高エネルギーボールミル)で原料を粉砕及び分散させる過程前に、高速撹拌する前にまたは高速撹拌中に少量添加し、粉砕及び分散効率を増加させることもできる。
有機結合剤(organic binder)は、ポリビニルアルコール系(PVA)、ポリグリコール系(PEG)またはメチルセルロース(methylcelluloses)系またはこれらの組合で構成された混合有機結合剤である。好ましい例として、低粘度の変性ポリエチレングリコール(Sannopco HS−BD−20A、45%、粘度800cps、pH8、比重0.99、以下、PEGという)を使用することができ、全体固体原料100を基準にして0.5〜5wt%を含む。スラリー製造段階で添加される有機結合剤は、スラリーの可焼成(plasticity)と流動性を付与し、窮極的には、噴霧乾燥成形で造粒された脱硫剤粒子(green body)に強度を付与することによって、予備乾燥及び焼成前に造粒体の取り扱いを容易にする。
本発明による亜鉛系脱硫剤製造方法は、脱硫剤原料提供段階、スラリー化段階、噴霧乾燥段階及び焼成段階を含む。
上記脱硫剤原料提供段階は、上記固体脱硫剤原料を用意する段階である。
上記スラリー化段階は、用意された固体脱硫剤原料を組成によって水に添加して混合し、上記有機添加剤を添加して混合し(混合過程)、混合したスラリーの粒子を湿式粉砕(wetmilling)して微細化(comminution)し(粉砕過程)、スラリーの粒子を分散(dispersing)させて均質化(homogenizing)(分散過程)する。
粉砕過程は、固体脱硫剤原料を1μm以下の粒子に粉砕する工程である。粉砕過程は、エアジェットミル(air−jet mill)、ロールミル(roller mill)、ボールミル(ballmill)、摩耗ミル(attrition mill)、振動ミル(vibratory mill)、プラネタリーミル(Planetary mill)、またはビーズミル(bead mill)など多様な粉砕装備を使用して固体脱硫剤原料を機械的に粉砕する湿式粉砕技術(wet milling technique)を使用することができる。湿式粉砕技術は、粉砕効果が大きく、乾式粉砕時に発生する粒子の飛ばしなどがない。
本実施例において、湿式粉砕装備は、ビーズミル(highenergy bead mill)を使用する場合を例示して説明する。そのエネルギービーズミルは、回転子(rotor)と固定子(stator)との間隙があり、これに粉砕媒質(media)を粉砕装備容器体積の60〜80vol%充填し、粒子粉砕及びスラリー均質化を行うことができる。好ましくは、粉砕装備容器体積の65〜75vol%で粉砕媒質を充填することが好ましい。粉砕媒質(media)は、摩耗による脱硫剤原料の汚染を防止するためにイトリウムが安定化されたジルコニアボール(yttrium stabilized zirconia bead)を使用する。ボールのサイズは、0.3mm〜1.25mmサイズの単一サイズボールであることが好ましい。
粉砕過程でスラリーに含まれた固体原料の粒子を1μm以下の粒子に作るために、2〜3回湿式粉砕(wet milling)過程を進行することができる。複数の湿式粉砕過程で次の粉砕過程のためにスラリーがポンプを通じて移送可能になるように蒸留水または改良剤(または分散剤)と消泡剤を添加し、スラリーの濃度または流動性調節することができる。
製造されたすべてのスラリーには有機結合剤を添加して、必要によって分散剤と消泡剤を添加するか、スラリーの濃度を調整するために水を添加し、スラリーの特性を調整する。そして、老化(aging)過程を経て異物を除去した後、異物が除去されたスラリーをポンプを介して移送し、噴霧乾燥器に輸送する。有機結合剤は、様々な有機結合剤を使用することができるが、変性ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)を0.5〜5vol%使用した。噴霧乾燥器に輸送される最終スラリーの流動性に対する特別な制限はなく、ポンプを介して移送可能などんな粘度も可能である。本実施例では、スラリーの粘度は300cP以上にした。
使用した固体脱硫剤原料粒子のサイズが数マイクロメートル以下のサイズなら、粉砕過程は省略されることができる。スラリーに含まれた異物の除去は、真空濾過過程によって行われることができる。異物は、粉塵、乾燥したスラリー固まり、粒子が大きい原料などを含む。
上記噴霧乾燥段階は、スラリー化段階を通して安定し、均質であり、且つ分散した流動性スラリーを噴霧乾燥器で成形し、球形の脱硫剤造粒体(green body)として製造する段階である。噴霧乾燥器の運転条件は、脱硫剤の粒度分布が30〜400μmになるように選定することができる。脱硫剤粒子の形状(Shape)、粒子サイズ(Size)と粒子分布(Size Distribution)、脱硫剤の組職(morphology or texture)に影響を及ぼす因子としては、スラリーの濃度と粘度、分散程度、スラリーの注入圧力と量、噴霧乾燥器の乾燥容量及び温度などがある。このような変数は、噴霧乾燥器の噴霧形態(アトマイザーまたはノズル)によって異なる。
噴霧乾燥器に対する特別な制限はないが、噴霧乾燥段階で使用した噴霧乾燥器は、乾燥チャンバー(drying chamber)のサイズは、高さ2mと直径1mであり、円錐チャンバーを含む長さは、2.94mの電熱器で乾燥する自体的に設計製作された噴霧乾燥器である。この噴霧乾燥器は、下部に設置された加圧ノズル(acentrifugal pressure nozzle)を使用して向流式(counter−current fountain configuration)で噴霧乾燥することができるように設計された。
噴霧乾燥器で脱硫剤造粒体の平均粒子を約70〜150μmサイズに製造するために乾燥器の内部で噴射された粒子の滞留時間を増加させる必要がある。噴射された粒子の滞留時間増加のために、噴霧乾燥器の下部に設置された加圧ノズル(Centrifugal Pressure Nozzle)を使用して向流式(Counter−Current Fountain Configuration)で噴霧乾燥することが好ましい。好ましい噴霧乾燥器の運転条件は、注入圧力範囲6〜15kg/cm(10kg/cm)、加圧ノズルの内径0.51mm、噴霧乾燥器の入口温度260〜300℃、噴霧乾燥器の出口温度110〜130℃である。
上記焼成段階は、噴霧乾燥段階で成形製造された脱硫剤造粒体を110〜150℃空気雰囲気の還流乾燥器で2時間以上乾燥する段階である。乾燥した造粒体は、空気雰囲気で昇温速度2℃/minで350〜1000℃の温度で2時間以上焼成し、最終脱硫剤を製造する。具体的に、焼成段階は、350〜850℃の最終焼成温度まで昇温し、2時間以上焼成する。焼成過程で溶媒と有機添加剤を効率的に除去するために、200℃と500℃温度でそれぞれ1〜2時間程度維持した後、350〜850℃まで昇温させることが好ましい。
上記脱硫剤原料用意段階、スラリー化段階、噴霧乾燥段階及び焼成段階を経て最終製造された脱硫剤は、球形の形状(spherical shape)を有する粒子であって、粒子の平均サイズ(average particle size)が60〜180μm、さらに具体的には、70〜150μmであり、粒子分布が30〜400μm、さらに具体的に30〜300 μmであり、充填密度が0.7g/cc以上、さらに具体的に0.8g/ccである。
<実施例>
以下、本発明の好ましい実施例及び試験例について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。しかし、これらは、本発明を詳細に説明するために提供されるものに過ぎず、本発明の範囲がこれらに限定されるものではない。
<実施例1>脱硫剤A〜Dの製造
本実施例は、全体2kgの固体脱硫剤原料のうち活性成分として酸化亜鉛(ZnO)46.7%、支持体としてC級(Microcel−C)とE級(Microcel−E)合成カルシウムシリケート23.3〜32.6%、無機結合剤として14〜23.3%、増進剤として酸化ニッケル(NiO)を6.7%を組成比にする脱硫剤製造に関する例である。
スラリー濃度が約35%となるように水に原料を順次にまたは一時に添加し、分散剤(dispersant)、消泡剤(defoamer)を添加し、10,000〜25,000rpmに調整して撹拌することができる乳化攪拌器(homogenizer)で混合した。混合スラリー(mixed slurry)は、2次にわたって高エネルギービーズミル(high energy bead mill)を使用してコロイドスラリー(colloidal slurry)を製造した。
コロイドスラリーにポリエチレングリコール(PEG;Poly Ethylene Glycol)有機バインダー(organic binder[Sannopco Korea、HS−BD−20A])を約1.16wt%を添加し、よく撹拌した後、2時間以上老化させ、濾過し、異物を除去した。最終スラリーの濃度は、約26.5〜34.7wt%範囲に調整し、最終スラリーのpHは、室温で8.95〜10.29範囲になるようにc−NHOHを利用して調整した。
また、スラリーの粘度は、室温で520〜1490cPに調整した後、噴霧乾燥した。このように成形製造された脱硫剤造粒体(green body)を乾燥器で120℃に2時間以上予備乾燥した後、焼成炉(furnace)で650℃に2時間以上焼成させて脱硫剤を製造した。焼成温度に到逹する前に200℃、400℃及び500℃で1時間程度滞留し、昇温速度は約5℃/minであった。このように製造された脱硫剤は、活性成分の量によって脱硫剤A、B、CとDで表記した。
表1は、耐摩耗性を向上させるために本実施例によって製造された脱硫剤の組成と流動性コロイドスラリー(acqueous−colloidalslurry)の特性を要約したものである。
Figure 0005412584
<実施例2>脱硫剤A〜Dの物理化学的特性
この実施例では、製造された脱硫剤を選別せず、脱硫剤の形状、サイズ及び分布、充填密度(ASTM D4164−88)、BET、反応性などの特性を測定した結果である。初期の反応性と硫黄吸収力は、シミュレート石炭ガス(10.4vol% H、16.8vol% CO、6.1vol%
CO、10vol% vapor、3vol%HS、N Balance)で500℃、常圧で重さ重量分析機(Rheometrics STA−1500)で測定した結果である。試験に使用した試料の重さは、10mgで、全体流量は分当たり50mlである。
表2は、物理的条件を満たす脱硫剤の初期物理化学的特性を要約したもので、図1〜図4は、それぞれ脱硫剤A、B、C及びDの走査電子顕微鏡(SEM)写真である。本実施例の図1〜図4のように製造された脱硫剤の形状、粒子サイズ及び分布は、商業用流動層脱硫工程で要求する条件を満足するものであることが分かる。
Figure 0005412584
<実施例3>脱硫剤A〜Dの耐摩耗性特性
この実施例では、噴霧乾燥法で成形された脱硫剤の耐摩耗性(Attrition Resistance)を測定した。耐摩耗性は、流動層または高速流動層脱硫工程で要求される最も重要な指標の1つである。製造された脱硫剤の耐摩耗性は、米国材料試験協会(ASTM;American Society for Testing Materials)D5757−95を準用して製作された耐摩耗測定装置(3−hole attrition tester)を利用して規格で提示する試験方法と手順によって測定した。
計算方法は、ASTMで提示した5時間摩耗指標(AI)と5時間補集した微細粉末のうち最初1時間補集した微細粉末を除いて計算した修正摩耗指標(CAI)を提示する。また、5時間摩耗された微細粉末の量を時間で除算した摩耗率(AR)と修正摩耗率をも提示した。脱硫剤50gを分当たり10リットルの流量で5時間耐摩耗性を測定した結果を表3に要約した。
Figure 0005412584
本発明では、噴霧乾燥技術を利用して合成ガスに含まれた硫黄成分を除去することができる流動層工程に適した形態の高強度脱硫剤を製造することができることを示した。このような製造方法は、大量製造が容易であり、費用発生が相対的に少ないので、競争力ある技術である。
表2から分かるように、脱硫剤A〜Dは、流動層または高速流動層脱硫工程に適した物理的、化学的特徴を有している。特に耐摩耗性が大きく向上し、流動層工程内で早い固体循環による摩耗に起因する脱硫剤の損失が少なく発生し、脱硫剤の補充を減らすことができ、硫黄吸収能が高くて、脱硫剤の量を相対的に少なく使用することができ、工程を単純化(compact)することができるので経済的である。
また、流動層または高速流動層工程の設計時に脱硫剤の重さよりは体積に基づいて設計するので、脱硫剤の充填密度が高いほど脱硫剤の重量流速(mass flowrate)が大きくなり、工程での反応温度制御が容易になり、投資費用と運転費用を低減することができる。
また、本発明は、石炭ガス化複合発電(IGCC)のための精製に必要な脱硫剤の供給によって石炭ガス化複合発電の発電効率向上(45〜69%)寄与と化石燃料の使用に起因した環境汚染を大きく低減することができる。また、燃料電池燃料、石炭液化を用いた合成石油生産に必要な乾式精製技術を提供することができる。
以上で説明した本発明の詳細な説明では、本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者なら後述する特許請求範囲に記載された本発明の思想及び技術領域を逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更させることができることを理解することができる。したがって、本発明の技術的範囲は、明細書の詳細な説明に記載された内容に限定されるものではなく、特許請求範囲によって定められなければならない。
本発明の亜鉛系脱硫剤は、化石燃料をガス化して生成された合成ガスを石炭ガス化複合発電(IGCC)、燃料電池用合成ガス、化合物原料などに使用するために、高温、高圧の条件で合成ガスに含まれた硫化水素など硫黄成分を除去する流動層脱硫工程に使用されることができる。

Claims (10)

  1. 炭素を含む燃料のガス化によって生成される合成ガスから硫黄成分を除去する亜鉛系脱硫剤として固体脱硫剤原料が湿式粉砕によりスラリー化され、噴霧乾燥方法で成形されて製造され、
    上記固体脱硫剤原料は、固体脱硫剤原料のうち活性成分30〜60wt%、支持体30〜60wt%、再生増進剤5〜15wt%、及び無機結合剤5〜15wt%で構成され
    上記無機結合剤は、類似ベーマイト、ハイドロタルサイト、ベントナイト及びカオリンの中から選択された少なくとも1つを含み、
    上記固体脱硫剤原料が均質にスラリー化されるように上記固体脱硫剤原料重量に対して0.5〜10wt%の陰イオン系分散剤、0.1〜1wt%の消泡剤、及び0.5〜5wt%の有機結合剤で構成される有機添加剤が添加されることを特徴とする
    噴霧乾燥方法で成形された亜鉛系脱硫剤。
  2. 上記活性成分は、酸化亜鉛であり、上記支持体は、合成カルシウムシリケートであり、上記再生増進剤は、酸化ニッケルであることを特徴とする請求項1に記載の噴霧乾燥方法で成形された亜鉛系脱硫剤。
  3. 上記ハイドロタルサイトは、
    酸化カルシウムに対する酸化マグネシウムの比が0.3〜0.7であることを特徴とする請求項1に記載の噴霧乾燥方法で成形された亜鉛系脱硫剤。
  4. 上記亜鉛系脱硫剤は、
    平均粒子サイズが70〜150μm、粒子分布が30〜300μmであるものに成形されることを特徴とする請求項1に記載の噴霧乾燥方法で成形された亜鉛系脱硫剤。
  5. 上記亜鉛系脱硫剤は、
    粒子の形状が球形であり、充填密度が0.7g/ccであるものに成形されることを特徴とする請求項1に記載の噴霧乾燥方法で成形された亜鉛系脱硫剤。
  6. 上記亜鉛系脱硫剤は、
    摩耗指数が40%以下であるものに成形されることを特徴とする請求項1に記載の噴霧乾燥方法で成形された亜鉛系脱硫剤。
  7. 硫黄吸収能が10g S/100gまたは上記固体脱硫剤原料対比10wt%以上であることを特徴とする請求項1に記載の噴霧乾燥方法で成形された亜鉛系脱硫剤。
  8. 上記有機結合剤は、
    ポリビニルアルコール系、ポリグリコール系及びメチルセルロース系の中から少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の噴霧乾燥方法で成形された亜鉛系脱硫剤。
  9. a)固体脱硫剤原料のうち活性成分30〜60wt%、支持体30〜60wt%、再生増進剤5〜15wt%、及び無機結合剤5〜15wt%で構成された固体脱硫剤原料を用意する段階と、
    b)上記固体脱硫剤原料を水に添加して混合し、湿式粉砕し、スラリーとして製造するスラリー化段階と、
    c)上記スラリーを噴霧乾燥方法で成形し、脱硫剤造粒体として製造する噴霧乾燥段階と、を含み、
    上記無機結合剤は、類似ベーマイト、ハイドロタルサイト、ベントナイト及びカオリンの中から選択された少なくとも1つを含み、
    上記b)段階は、有機添加剤を上記スラリーに混合し、上記スラリーに含まれた固体脱硫剤原料を分散させて均質化させる段階を含み、
    前記有機添加剤が、上記固体脱硫剤原料重量に対して0.5〜10wt%の陰イオン系分散剤、0.1〜1wt%の消泡剤、及び0.5〜5wt%の有機結合剤で構成されていることを特徴とする
    噴霧乾燥方法で亜鉛系脱硫剤を製造する方法。
  10. 上記c)段階は、
    加圧ノズルが設置された噴霧乾燥器を使用して向流式で上記スラリーを噴霧乾燥することを特徴とする請求項9に記載の噴霧乾燥方法で亜鉛系脱硫剤を製造する方法。
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