JP5411813B2 - 非水電解質二次電池及びそれを有する電池システム - Google Patents

非水電解質二次電池及びそれを有する電池システム Download PDF

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Description

本発明は、非水電解質二次電池及びそれを有する電池システムに関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池は高いエネルギー密度を有し、例えば鉄道、電気自動車及び電力貯蔵等の用途に用いることができる電池として注目されている。例えば、非水電解質二次電池を適用可能な電気自動車の種類としては、例えばエンジンを搭載しないゼロエミッション電気自動車、エンジン及び非水電解質二次電池の両方を搭載したハイブリッド電気自動車、さらには系統電力から直接充電するプラグインハイブリッド電気自動車等がある。また、電力を貯蔵し、系統電力が遮断された非常時に電力を供給する定置式電力貯蔵システムとしての用途も期待されている。また、スマートグリッド用途としても期待されている。
このような多様な用途に対し、非水電解質二次電池には高い出力性能が要求されている。具体的には、例えばリチウムイオン二次電池を自動車等の移動体用の電源として用いた場合、起動停止時に0.1時間率以上の出力性能、停電時の電力バックアップや負荷平準化を目的とした定置用の電源として用いた場合、1時間率から0.2時間率の出力性能が要求されている。
なお、「1時間率」とは、リチウムイオン二次電池の定格容量を1時間で満たす又は使い切るときの充電又は放電の速度を表す。従って、0.2時間率では1時間率の電流の5倍、0.1時間率では1時間率の電流の10倍に相当する大電流にて充電又は放電する速度である。
非水電解質二次電池の充電又は放電時の電流量を増大させると、電極単位面積当たりの電流(即ち電流密度)が増大するために、例えば反応抵抗、電気抵抗、イオン拡散抵抗等による電圧低下が起きることがある。特に、正極に酸化物を含有させた場合に、電気抵抗、イオン拡散抵抗等が大きいため、電圧低下が顕著に発生することがある。
これらの課題を解決するために、電極の厚さを薄くして電池内の電極枚数を増やすことにより、電極面積を拡大する方法が一般的に採られている。この方法によれば、電極に流れる電流密度が小さくなるので、電極へのリチウムイオン(非水電解質二次電池がリチウムイオン二次電池の場合)の挿入及び脱離反応に要する過電圧が低くなり、高電圧で大電流を取り出すことが可能となる。しかしながら、電極の厚さを薄くすることで非水電解質二次電池に通常用いられる例えばセパレータ、正極集電体及び負極集電体等の使用量が増えるため、非水電解質二次電池のエネルギー密度が低下することがある。
そこで、正極に例えば炭素繊維等を含有させ、正極の抵抗を低下させることにより、エネルギー密度を向上させる技術が特許文献1〜9に開示されている。
特願2004−186075号公報 特開2005−123107号公報 特開2008−41502号公報 特開2000−133245号公報 特開2000−340227号公報 特開平11−345607号公報 特開2001−126733号公報 特開2006−164859号公報 特開2007−48692号公報
しかしながら、例えば炭素繊維等を大量に正極に含有させることにより正極の抵抗を低下させることができるものの、例えば炭素繊維等は非水電解質二次電池中で電子を発生させるものではない。従って、例えば炭素繊維等を単に大量に含有させるだけでは、単位重量あたりの電池容量(即ち電池容量密度)が低下するという課題がある。
また、含有させる炭素繊維等についての例えば長さ等の物性によって、非水電解質二次電池の単位重量あたりのエネルギー貯蔵量(即ちエネルギー密度)が大きく異なるという課題もある。
本発明は上記の課題を解決するべくなされたものであり、その目的は、高いエネルギー密度と高い電池容量密度とを両立させた非水電解質二次電池及びそれを有する電池システムを提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、特定の関係を有する、正極活物質と導電性繊維とを正極に含有させることにより、高いエネルギー密度と高い電池容量密度とを両立させた非水電解質二次電池及びそれを有する電池システムを提供することができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、高いエネルギー密度と高い電池容量密度とを両立させた非水電解質二次電池及びそれを有する電池システムを提供することができる。
本発明における導電性繊維の長さが最短の状態を模式的に示した図である。 本発明における導電性繊維の長さが最長の状態を模式的に示した図である。 本発明の非水電解質二次電池における正極の様子を模式的に示した図である。 従来の非水電解質二次電池における正極の様子を模式的に示した図である。 正極活物質の「粒径」についての粒度分布、並びに正極活物質が2個近接した時の粒径を有する正極活物質の「2倍相当径」についての仮想的粒度分布を示すグラフである。 導電性繊維の粒度分布を示すグラフである。 図5に示すグラフと図6に示すグラフとを同軸上に重ね合わせたグラフである。 第一実施形態に係る本発明の非水電解質二次電池の断面を模式的に示した図である。 第一実施形態に係る本発明の非水電解質二次電池を有する電気システムS1の構成を模式的に示した図である。 第二実施形態に係る本発明の非水電解質二次電池を有する電気システムS1の構成を模式的に示した図である。 気相成長炭素繊維の混合量と、混合物における抵抗値との関係を示したグラフである。
以下、本発明を実施するための形態(以下、適宜「本実施形態」と言う。)を詳細に説明するが、本実施形態は以下の内容に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更して実施することができる。
本実施形態において、「非水電解質二次電池」とは、電極が非水電解液からのイオンを吸蔵、並びに電極から非水電解液へイオンを放出することにより、電気エネルギーを貯蔵及び利用可能とする電気化学デバイスの総称である。
以下、非水電解質二次電池としてリチウムイオン二次電池を例に、本実施形態を説明する。しかしながら、本実施形態における非水電解質二次電池は、リチウムイオン二次電池に限定されず、リチウムイオン以外の化学種、例えばナトリウムやカリウム等の1族元素イオン、マグネシウムやカルシウム等の2族元素イオン、鉄を代表とする8族元素イオン、銅を代表とする11族元素のイオン、亜鉛を代表とする12族元素のイオン、アルミニウムを代表とする13族元素イオンなどにおいても、粒状あるいは粉状の正極活物質または負極活物質を用いる場合に本発明を適用することができる。さらに、リチウムイオン二次電池においても、高抵抗な負極活物質粒子を用いた場合に本発明を適用すると、負極の出力性能を改善し、高エネルギー密度のリチウムイオン二次電池を提供することができる。
[1.非水電解質二次電池]
本実施形態の非水電解質二次電池は、正極と、負極と、非水電解質を含有する非水電解液と、を有するものである。リチウムイオン二次電池で用いられる正極活物質は、遷移金属やケイ素等の金属の酸化物であることが一般的であり、それらは高抵抗な材料であり、電池容量を支配している。そこで、以下の記載では正極に本発明を適用する方法について説明する。
[1−1.正極]
本実施形態の非水電解質二次電池が有する正極は、正極活物質及び導電性繊維を含有する。そして、(a)上記正極活物質の粒径xについての粒度分布を表すグラフにおいてピークが単一である場合には上記ピークを、また、ピークが2以上存在する場合には上記2以上のピークのうちの最大の粒径を有するピークを、平均粒径R1と標準偏差σ1とで規定される正規分布関数F(x)で近似する。さらに、(b)上記導電性繊維の長さyについての粒度分布を表すグラフにおいてピークが単一である場合には上記ピークを、また、ピークが2以上存在する場合には上記2以上のピークのうちの最大の長さを有するピークを、平均粒径R’と標準偏差σ’とで規定される正規分布関数G(y)で近似する。この時、本実施形態の非水電解質二次電池が有する正極においては、(c)上記R1、上記σ1、上記R’及び上記σ’が、下記式(1)及び(2):
R1−n×σ1=R’−n×σ’ ・・・式(1)
2(R1+n’×σ1)=R’+n’×σ’ ・・・式(2)
(ただし、n及びn’は、それぞれ独立して、3以下の正の定数を表す。)
を満たしているものである。なお、F(x)とG(y)は、それぞれの全数に対する相対的な比率を示すものである。
〔正極活物質〕
正極が含有する正極活物質としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。正極活物質の具体例としては、代表的なものとしてLiCoO、LiNiO、LiMnが挙げられるほか、LiMnO、LiMn、LiMnO、LiMn12、LiMn2−x (ただし、MはCo,Ni,Fe,Cr,Zn,Taからなる群より選ばれる1種又は2種以上の原子を表わし、xは0.01以上0.2以下の数を表す。)、LiMn(ただし、MはFe,Co,Ni,Cu,Znからなる群より選ばれる1種又は2種以上の原子を表す。)、Li1−x Mn(ただし、MはMg,B,Al,Fe,Co,Ni,Cr,Zn,Caからなる群より選ばれる1種又は2種以上の原子を表わし、xは0.01以上0.1以下の数を表す。)、LiNi1−x (ただし、MはCo,Fe,Gaからなる群より選ばれる1種又は2種以上の原子を表わし、xは0.01以上0.2以下の数を表す。)、LiFeO、Fe(SO、LiCo1−x (ただし、MはNi,Fe,Mnからなる群より選ばれる1種又は2種以上の原子を表わし、xは0.01以上0.2以下の数を表す。)、LiNi1−x (ただし、MはMn,Fe,Co,Al,Ga,Ca,Mgからなる群より選ばれる1種又は2種以上の原子を表わし、xは0.01以上0.2以下の数を表す。)、Fe(MoO、FeF、LiFePO、LiMnPO等も正極活物質の具体例として挙げられる。なお、正極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
正極活物質の形状及び大きさは、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常は粒状である。また、正極活物質の大きさ(即ち粒径)としては、以下に記載する「粒度分布測定法」により測定される、正極活物質の平均粒径R1と粒径の標準偏差σ1とが、以下に記載する範囲にあることが好ましい。ただし、正極活物質の形状が無定形であっても、その粒子の形を球に近似し、その直径を粒径とする。本発明では、粒径分布を正規分布関数に近似するので、平均粒径とメジアン径とが同じものであると近似することができる。
なお、正極活物質の粒径は、通常、正極集電体に塗布される正極合剤層(後述する。)の厚さ以下とする。正極活物質の粒径が大きすぎる場合、当該正極合剤層の厚さが過度に厚くなり、非水電解液と正極集電体との間で行われるイオンの授受が行われにくくなり、エネルギー密度及び電池容量密度が低下する可能性がある。従って、正極活物質に正極合剤層の厚さ以上の粒径を有する粗粒がある場合、予め例えばふるい分級、風流分級等により当該粗粒を除去し、正極合剤層の厚さ以下の粒子のみとすることが好ましい。このような分級装置としては、例えば特開2000−199131号公報、特開2008−232466号公報等に記載の装置を用いることができる。
具体的な正極活物質の粒径は、メジアン径として、好ましくは0.01μm以上、また、その上限は、好ましくは30μm以下、より好ましくは10μm以下、特に好ましくは5μm以下である。特に、正極活物質の粒径が導電性繊維(後述する。)の長さよりも長い場合、より高いエネルギー密度とより高い電池容量密度とを両立することができる。しかし、正極活物質の粒径が小さすぎる場合、特に導電性繊維の長さよりも短い場合、導電性繊維及び正極活物質の充填性が低下し、電池容量が低下する可能性がある。また、正極活物質の粒径が大きすぎる場合、正極内部でのリチウムイオンの拡散が遅くなり、電池の充放電特性が低下する可能性がある。
また、正極活物質は被覆膜により覆われているとともに、少なくとも当該被覆膜を介して後述する導電性繊維、バインダ、正極集電体等と接触していることが好ましい。正極活物質が被覆膜を有することにより、正極活物質と導電性繊維との接着性を向上させることができる。
正極活物質を被覆する被覆膜の厚さは、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.05μm以上、また、上限は、好ましくは0.1μm以下である。被覆膜の厚さが薄すぎる場合、充放電に伴って正極活物質の体積が変化して被覆膜が徐々に破壊される可能性がある。また、被覆膜の厚さが厚すぎる場合、重放電時におけるリチウムイオンの拡散が阻害される可能性がある。
被覆膜を構成する材料としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、例えば有機材料、無機材料等が挙げられる。有機材料の具体例としては、例えばポリビニルアルコール等の有機化合物が挙げられる。また、無機材料の具体例としては、各種金属原子のフッ化物若しくは酸化物等が挙げられ、各種原子の具体例としては、Al,Fe,Mg等が挙げられる。中でも、被覆膜は、炭素材料、又は、Al,Fe,Mgからなる群より選ばれる原子のフッ化物若しくは酸化物を含むことが好ましい。被覆膜がこのような材料を含むことにより、正極活物質と導電性繊維との接着力を高めることができる。
また、被覆膜は、例えば炭素等の電気伝導性を有する材料を含む導電層であってもよい。正極活物質に導電層が設けられていることにより、正極の電気抵抗を減少させることができる。正極活物質を例えば炭素で被覆する場合、その被覆量は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、正極活物質の重量に対して、炭素の量が通常0.5重量%以上、また、その上限は、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下である。
なお、被覆膜を構成する材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。また、被覆膜自体も、1層を単独で設けてもよく、2層以上を積層して設けてもよい。
(正極活物質についての粒度分布測定)
正極活物質について粒度分布測定を行う際の測定装置としては、例えばレーザー散乱式粒度分布測定装置を用いることができる。このような測定装置を用いて正極活物質について粒度分布測定を行い、得られた結果に基づいて、横軸を正極活物質の粒径xとし、縦軸をその粒径を有する正極活物質の個数(若しくは比率)として、得られたデータをプロットしてグラフを作成する。作成されたグラフを、正極活物質の粒径xについての粒度分布グラフ(以下、適宜「x−グラフ」とする。)とする。また、より精密に測定する場合は、正極活物質の走査型電子顕微鏡写真を撮影し、多数個の粒子の直径を画像上で測定し、平均値(メジアン値)や長さの分布を求めることが可能である。画像処理ソフトがあれば、粒子の形状を円に近似し、短時間で平均直径を求めることができる。
x−グラフにおいて、1のみのピークが存在する場合には当該ピークの粒径を平均粒径R1とする。そして、当該ピークの波形を平均粒径R1と標準偏差σ1とで規定される正規分布関数F(x)で近似し、標準偏差σ1を算出する。近似に際して、x−グラフが平均粒径R1を基準として対称的なピーク形状になっていなくても、x−グラフが正規分布をなしているものとして近似を行う。具体的な近似の方法としては、最小二乗法を適用して線形・非線形関数にフィッティングする市販ソフトを用いて、近似の正規分布関数を得ることができる。
また、x−グラフにおいて2以上のピークが存在する場合には、当該2以上のピークの中で最大の粒径を有するピークの粒径を平均粒径R1とする。この際、当該ピーク以外のピークが存在しないものと考えたときに、やはり平均粒径R1を基準として対称的なピーク形状になっていなくても、x−グラフが正規分布をなしているものとして正規分布関数F(x)で近似する。具体的な近似の方法としては、最小二乗法を適用して線形・非線形関数にフィッティングする市販ソフトを用いて、近似の正規分布関数を得ることができる。そして、当該ピークの波形を平均粒径R1と標準偏差σ1とで規定される正規分布関数F(x)で近似し、標準偏差σ1を算出する。
以上の方法により、正極活物質の粒径xの粒度分布における、平均粒径R1及び標準偏差σ1を決定することができる。
以上の方法により決定された平均粒径R1は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、好ましくは0.01μm以上、また、その上限は、好ましくは30μm以下、より好ましくは10μm以下、特に好ましくは5μm以下である。特に、正極活物質の粒径と導電性繊維(後述する。)の長さの間に上記の関係があると、高いエネルギー密度とより高い電池容量密度とを両立することができる。平均粒径R1が小さすぎる場合、特に導電性繊維の長さよりも短い場合、導電性繊維及び正極活物質の充填性が低下し、電池容量が低下する可能性がある。逆に、平均粒径R1が大きすぎる場合、正極内部でのリチウムイオンの拡散が遅くなり、電池の充放電特性が低下する可能性がある。このように、正極活物質の粒径と導電性繊維の長さの関係に、適切な条件が存在している。
この要件は、複数の粒度分布を有している場合に、大きな平均粒径を有する正極活物質に対して通常課される条件である。従って、より小さな平均粒径を有する正極活物質は、大きな平均粒径を有する正極活物質の間隙に挿入される傾向があるので、通常は、大きな平均粒径を有する方に着目すればよい。
また、正極活物質についての標準偏差σ1は、大きすぎると粗大な粒子が増加することになり、薄い正極を製作することが困難になる可能性がある。その結果、正極内部のリチウムイオンの拡散距離が長くなり、電池の出力特性が低下する可能性がある。そこで、σ1/R1の比(即ち、σ1をR1で除した値)は、好ましくは1以下、より好ましくは1/2以下、特に好ましくは1/3以下である。下限値については、例えば製造方法及び製造設備に依存するため一概には言えないが、量産時の歩留まりを考慮して、1/10以上であることが好ましい。
〔導電性繊維〕
正極が含有する導電性繊維としての材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、上記正極活物質は酸化物系であり高い電気抵抗を有するため、このような高い電気抵抗に対しても高い電流を流すことができる導電性繊維(即ち、高い電気伝導性を有する導電性繊維。具体的には、粉体抵抗測定値として0.02Ωcm以下となる良導電性の繊維状材料。)を用いることが好ましい。導電性繊維の具体例としては、繊維状活性炭、気相成長炭素繊維、ピッチ(例えば石油、石炭、コールタール等の副生成物)を高温で炭化して製造した炭素繊維、アクリル繊維(Polyacrylonitrile)から製造した炭素繊維等の各種炭素繊維等が挙げられ、中でも本発明において用いられる導電性繊維は炭素繊維であることが好ましい。また、導電性繊維としては、例えば、正極の充放電電位(通常は2.5V以上4.2V以下)にて酸化溶解しにくい材料であり、かつ、正極活物質よりも電気抵抗の低い金属材料(例えばチタン、金等の耐食性金属);SiC、WC等のカーバイド;Si、BN等の窒化物;からなる繊維等を用いてもよい。なお、これらの導電性繊維の製造方法としては、例えば溶融法、化学気相成長法等の公知の製造方法が挙げられる。なお、導電性繊維は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
導電性繊維の平均繊維径は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、正極活物質の平均粒径よりも小さく、その1/10以下であることが特に好ましい。このような導電性繊維は、正極活物質の粒子同士の間隙に挿入され、正極密度を高くすることができるため特に好適である。正極活物質の好適な平均粒径は30μm以下であるので、導電性繊維の平均繊維径は、通常3μm以下、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下、特に好ましくは0.2μm以下である。また、その下限値は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、特に好ましくは0.1μm以上である。平均繊維径が小さすぎる場合、導電性繊維の製造歩留まりが低下し、正極に添加したときに導電性繊維が破断される可能性がある。逆に、平均繊維径が長すぎる、即ち大きくなり過ぎて正極活物質の平均粒径に近づくと、正極の密度が低くなり、電池の容量が低下する可能性がある。
正極の密度は、集電体表面を基準とする正極合剤の厚さから合剤体積を求め、正極合剤の重量を除することにより求められる。合剤の厚さは、例えばマイクロメータやレーザー式変位計を用いて測定することができる。正極合剤の重量は、集電体の単位面積当たりの重量を予め測定しておき、正極の単位面積当たりの重量から集電体の重量を差し引いて、計算することができる。
導電性繊維の比表面積は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、大きいことが好ましい。具体的には、導電性繊維のBET比表面積は、好ましくは3m/g以上、より好ましくは5m/g以上、特に好ましくは10m/g以上、また、その上限は、好ましくは40m/g以下、より好ましくは30m/g以下の範囲である。導電性繊維の比表面積は、平均繊維径が小さくなるほど増加する傾向があるため、平均繊維径が10nm以上300nm以下の導電性繊維であれば、製造時の歩留まり低下を回避しつつ、通常は10m/g以上30m/g以下の比表面積を得ることができる。また、平均繊維径を10nm以上300nm以下にすれば、正極に添加し、加圧したときに導電性繊維が破断することも防止することができる。その結果、正極の抵抗増加を抑制することが可能となる。なお、BET比表面積は、例えばカウンタクローム社AUTOSORB−1を用いて測定することができる。
導電性繊維の種類及び物性は、上記のように本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、中でも、導電性繊維が炭素繊維であるとともに、当該炭素繊維のBET比表面積が5m/g以上40m/g以下であることが好ましい。導電性繊維は、繊維長が短くなるほど比表面積が大きくなる傾向があり、特に、正極活物質の平均粒径が10μm以下の場合に5m/g以上40m/g以下の範囲の炭素繊維を用いることにより、より多くの電子の授受が行うことができ、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度を向上させることができる。
導電性繊維の長さは、例えばボールミル、衝撃式粉砕機のパルベライザーや自由粉砕機、またミクロジェット等の公知の粉砕機、ならびに遠心分離機、湿式分級機、空気式分級機などの公知の分級機等を用いて、所望の範囲になるように調整する。このような分級装置としては、例えば特開2000−199131号公報、特開2008−232466号公報等に記載の装置を用いることができる。分級を多段階に行うことにより、繊維長の揃った導電性繊維を得やすいという利点がある。導電性繊維の平均長さは、具体的には、以下に記載する「粒度分布測定法」により測定される、導電性繊維の平均粒径(即ち平均繊維長)R’と標準偏差σ’とが、上記R1及びσ1を代入した上記式(1)及び(2)を満たすものになるように調整する。炭素繊維の長さは、レーザー散乱回折法によって測定することができる。より精密に測定する場合は、炭素繊維の走査型電子顕微鏡写真を撮影し、多数個の炭素繊維の長さを画像上で測定し、平均値(メジアン値)や長さの分布を求めることが可能である。画像処理ソフトがあれば、上記の測定を迅速に行うことができる。なお、本明細書では、導電性繊維の平均長さを平均粒径とも表記しているが、平均長さは導電性繊維の長軸方向の長さを意味している。
導電性繊維について粒度分布測定を行う際の測定装置としては、上記正極活物質について測定する際に用いる測定装置と同様のものを用いることができる。そして、上記正極活物質に関して説明した方法と同様の方法を用いて、平均粒径R’を有するピークを正規分布関数G(y)で近似することにより、導電性繊維の平均粒径R’及び標準偏差σ’を決定することができる。
〔式(1)及び(2)の意義〕
上記式(1)及び(2)で表されるように、導電性繊維の長さy(即ちR’及びσ’)は、正極活物質の粒径x(即ちR1及びσ1)によって制御されるものである。即ち、正極活物質の粒径xに依存するR1及びσ1が決定されれば、導電性繊維の長さyに依存するR’及びσ’が決定される。従って、様々な粒径を有する正極活物質の集合体であっても、様々な長さを有する導電性繊維の集合体を、適切に用いることができる。なお、1種の導電性繊維のみによっては上記式(1)及び(2)を満たすことができない場合、2種以上の導電性繊維を混合したものについてのR’及びσ’が上記式(1)及び(2)を満たすようにしてもよい。
ただし、本実施形態においては、あくまでも正極活物質についてのR1及びσ1、並びに導電性繊維についてのR’及びσ’が上記式(1)及び(2)を満たせばよく、導電性繊維についてのR’及びσ’に基づいてR1及びσ1を決定し、当該R1及びσ1を有する正極活物質を選択して用いてもよい。
以下、同一直径を有する1組の正極活物質粒子(以下、適宜「正極活物質のペア」と言う。)をモデルにして、上記式(1)及び(2)の意義を説明する。なお、モデルの簡略化のために、n=n’=2とする。
上記式(1)は、導電性繊維の長さの下限値を規定するための式である。R1−2σ1は正規分布関数F(x)におけるR1から負方向にσの2倍相当分ずれた後の粒径である。また、R’−2σ’は、正規分布関数G(y)におけるR’から負方向にσ’の2倍相当分ずれた後の粒径である。即ち、式(1)は、これらの2つの長さが等しいことを意味している。そして、上記R1、上記σ1、上記R’及び上記σ’が上記式(1)を満たすことにより、R1よりも小さな粒径を有する正極活物質のうち、R1を有する正極活物質の数に対して、86%の正極活物質に導電性繊維を接触させることができる。なお、本実施形態において「接触」とは、電子を授受できる(即ち電気的に導通している)程度に接触している状態を表すものとする。
図1は、2個の正極活物質11及び12と導電性繊維10とが接触した状態であって、導電性繊維10の長さが本実施形態において最短の状態を模式的に示したものである。図1において、上記式(1)を満たす導電性繊維10は、ペアをなした正極活物質11及び12と導電性繊維10との間に、導電性ネットワークを形成しうる程度に最短の長さ(即ち、1個分の正極活物質の粒径)になっている。
上記式(2)は、導電性繊維の長さの上限値を規定するための式である。2(R1+2σ1)は、正規分布関数F(x)における、R1から正方向にσの2倍相当分ずれた後の粒径を2倍したものである。ここで、導電性繊維の長さの最大値が2個の正極活物質の直径の和であることに基づき、該ずれた後の粒径を2倍している。そして、上記R1、上記σ1、上記R’及び上記σ’が式(2)を満たすことにより、R1よりも大きな粒径を有する正極活物質のうち、R1を有する正極活物質の数に対して、86%の正極活物質に導電性繊維を接触させることができる。
図2は、2個の正極活物質21及び22と導電性繊維20とが接触した状態であって、導電性繊維20の長さが本実施形態において最長の状態を模式的に示したものである。上記式(1)及び(2)を満たす導電性繊維20は、2つの正極活物質21及び22の直径の和に対して適切な長さを有しているので、他の正極活物質が、上記正極活物質21及び22が接触している導電性繊維にさらに接触することが可能となる。
仮に、導電性繊維20が正極活物質21及び22の粒径の和よりも長い場合(即ち過度に長い場合)、導電性繊維20の過度に長い部分が他の正極活物質の密着を妨げたり、導電性繊維20が破損し、導電性ネットワークに寄与しない無駄な導電性繊維が増加したりすることがある。しかしながら、図2に示した正極活物質21及び22のペアを作ることができれば、正極密度を高くすることが可能となり、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度を増加させることができる。
上記のモデルにおいて、n及びn’は、それぞれ独立して、3以下の数に設定すればよい。中でも、n及びn’は、それぞれ独立して、1.5以上2.5以下であることが好ましく、工業的な観点からは、n及びn’は2であることが特に好ましい。
〔正極活物質、導電性繊維及び正極集電体の理想的な配置〕
図3は、2個の正極活物質31と1個の導電性繊維30とからなる集合体が、例えばアルミニウム箔等の正極集電体33上に複数集合した、本実施形態の非水電解質二次電池における正極の様子を模式的に示した図である。
図3において、2個の正極活物質31と1個の導電性繊維30とはバインダ32を介して接触している。また、集合体同士もバインダ32を介して接触している。複数の正極活物質の粒子の間の電気的導通は、導電性繊維30によって実現される。バインダ32は、通常、電気伝導性の低い弾性体であるが、バインダ32に導電性があれば正極全体の導電性がさらに向上する。従って、本実施形態の非水電解質二次電池における正極において、正極活物質31及び導電性繊維30がそれぞれ接触することによって、正極全体の電気的導通を図ることができ、バインダ32がその電気的ネットワークの維持に役立っている。
説明を容易にするために、図3ではσ1=σ’=0である理想状態(即ち、全ての正極活物質31の粒径がR1であり、かつ、全ての導電性繊維30の長さがR’である状態)であるものとする。従って、R’は2R1となる。図3に示すように、2個の正極活物質31と接触している導電性繊維30は、隣接する導電性繊維若しくは他の正極活物質と交錯することなく、正極に充填されている。
一方、図4は、2個の正極活物質41と1個の導電性繊維40からなる集合体が、正極集電体43上に複数集合した、従来の非水電解質二次電池における正極の様子を模式的に示した図である。バインダ42は、正極活物質41または導電性繊維40に結着し、正極全体の構造を保持している。
図4に示すモデルにおいては、説明を容易にするために、導電性繊維40のR’を図3における導電性繊維30のR’の1.5倍とした3R1としている。図4に示すモデルにおいては、導電性繊維40の長さが2個の正極活物質41の直径の和よりも長いため、図3に示すモデルと比べて導電性繊維40が過度に長いものとなっている。そのため、2個の正極活物質41と接触している導電性繊維40は、隣接する別の導電性繊維若しくは他の正極活物質に接触する傾向が極めて大きいため、図3に示すモデルと比べて空隙容積が大きくなっている。即ち、図3の集電体33の模式図の平面と、図4の集電体43の模式図の平面を一致させ、図3と図4を重ね合わせると、概念的に図4の合剤層が厚くなっている。
発生した空隙容積を小さくするために正極を圧縮することも考えられるが、正極を圧縮することにより空隙容積が小さくなるものの、導電性繊維が別の導電性繊維若しくは正極活物質にさらに接触し、破損(例えば導電性繊維が途中で折れる等)する傾向がある。そして、破損した導電性繊維は正極活物質、他の導電性繊維及び正極集電体と電気的に導通していないことになり、無駄な導電性繊維の比率が増大する。その結果、正極単位体積当たりに充填可能な正極活物質が相対的に減少し、非水電解質二次電池における電池容量密度が低下する可能性が高い。
従って、上記説明したように、上記式(1)及び(2)を満たす正極活物質及び導電性繊維を用いることにより、高いエネルギー密度と高い電池容量密度とを両立させた非水電解質二次電池及びそれを有する電池システムを製造することができる。
以下、図3に示すモデルについて、図5〜図7を参照しながらより具体的に説明する。
図5は、正極活物質の「粒径」についての粒度分布(太実線)、並びに正極活物質が2個近接した時の粒径(2個の粒子の直径の和)を有する正極活物質の「2倍相当径」についての仮想的粒度分布(点線)を示すものである。横軸を粒径x、縦軸を粒子数の比率とする。太実線で表されるグラフについて、粒子数の比率が粒径4μmの時に最大となることから、平均粒径R1を4μmとする。また、太実線で表されるグラフを正規分布関数F(x)で近似した場合の標準偏差σ1は1μmとする。
図6は、導電性繊維の粒度分布を示すものである。ここで、横軸の粒径とは導電性繊維の長さを意味している。この図においては、上記式(1)及び(2)のnとn’とをn=n’=2として簡略化し、R1−2σ1=R’−2σ’及び2(R1+2σ1)=R’+2σ’を満たすように、R’及びσ’を設定している。図6に示すグラフにおいて、図5におけるR1及びσ1を用いて、R’=7/4×R1=7(μm)、σ’=5/2×σ1=2.5(μm)として、正規分布関数を描いている。なお、粒径が負の領域(x<0)に粒子数の比率が与えられているが、これは便宜上の計算値であって、現実に負の長さの導電性繊維が存在する意味ではない。
図5に示す2つのグラフと、図6に示すグラフとを同軸上に重ね合わせたものが、図7に示すグラフである。図7においては、R’−2σ’がR1−2σ1に(●のポイント)、2(R1+2σ1)がR’+2σ’に(○のポイント)、それぞれ一致している。そして、●と○との間、即ち粒径が2μm以上12μm以下では、概ね導電性繊維の比率の方が大きいことがわかる。
このようにして、正極活物質の粒度分布に基づいた粒度分布を有する導電性繊維を選択して使用することができる。また、上記式(1)及び(2)を満たす導電性繊維を用いることにより、最小量の導電性繊維を用いて、2つの正極活物質を導電性繊維で導通させることができ、正極の抵抗を低下させることができる。その結果、電池のエネルギー密度を低下させることなく、高い電池容量密度を維持することができる(即ち、大電流の充放電が可能となる。)。
〔好ましい態様〕
本実施形態の非水電解質二次電池が有する正極は、正極活物質及び導電性繊維を含有するものである。含有する正極活物質と導電性繊維との関係については上記の通りであるが、中でも、含有する正極活物質と導電性繊維とは、下記式(3)及び(4)を満たすことが好ましい。即ち、上記正極活物質の上記粒径xについての上記粒度分布を表す上記グラフが2以上のピークを有し、上記正極活物質の上記粒径xについての上記粒度分布を表す上記グラフが有する上記2以上のピークのうちの最小の粒径を有するピークを、平均粒径R2と標準偏差σ2とで規定される正規分布関数で近似した時に、上記R1、上記σ1、上記R’、上記σ’、上記R2及び上記σ2が、下記式(3)及び(4):
F(R2−n×σ2)≦G(R’−n×σ’) ・・・式(3)
F(2×(R1+n’×σ1))≧G(R’+n’×σ’) ・・・式(4)
(ただし、n及びn’は、上記式(1)及び上記式(2)における上記n及び上記n’と同じものを表す。)
を満たしていることが好ましい。
式(3)は、導電性繊維の長さに下限値を設けることにより、電池のエネルギー密度を下げないことを目的としている。仮に、式(3)の不等号が逆となった場合、即ち短すぎる導電性繊維があると、それは図1に示したような電子のネットワークを形成しにくくなり、無駄な導電性繊維が増える傾向にある。その結果、電池のエネルギー密度(単位体積当たりの容量)が減少することがある。また、仮に式(4)の不等号が逆となった場合、導電性繊維が長すぎて、図4に示すような現象が生じる可能性がある。
なお、式(3)が満たされるときに、上記式(4)に関して説明した不具合が生じない理由は、粒径の小さな正極活物質は、粒径の大きな正極活物質の間隙に入り込んで、小さな粒径と大きな粒径との正極活物質の間を導電性繊維が電気的に接続する形態をとるためである。即ち、小さな正極活物質粒子は大きな正極活物質粒子の間隙に入りやすく、図2に示したような小さな粒子同士が対になることが実質的になく、一方が小さい粒子、他方が大きな粒子の組み合わせを取るためである。
上記式(3)において、R2は、正極活物質の粒径xについての粒度分布を表すグラフが2以上のピークを有する場合であって、当該2以上のピークのうちの最小の粒径を有するピークの当該粒径を表す。また、σ2は、当該ピークを正規分布関数F(x)で近似したときの標準偏差を表す。R2及びσ2の具体的な算出方法は、上記R1及びσ1の算出方法と同様である。
含有する正極活物質と導電性繊維とが、上記式(1)及び(2)に加えて上記式(3)及び(4)をも満たすことにより、近似した正規分布関数G(x)の形状をより厳密に制御でき、より高い電池容量密度及びエネルギー密度を有する非水電解質二次電池を製造することが可能となる。
〔正極が含有する正極活物質及び導電性繊維の比率〕
本実施形態の非水電解質二次電池において、正極活物質及び導電性繊維は、本発明の効果を著しく損なわない限り、正極に対して任意の量を含有することができる。ただし、導電性繊維の含有量はできるだけ少ない量とすることが好ましい。具体的には、導電性繊維の量は、正極を製造するために正極集電体に塗布する正極合剤(後述する。)の全重量に対して、好ましくは2.5%以上、より好ましくは3.5%以上、また、その上限は、好ましくは8.5%以下、より好ましくは7%以下である。導電性繊維の量が少なすぎる場合は正極が高抵抗となる可能性があり、多すぎる場合、電池のエネルギー密度(単位体積又は単位重量当たりの容量)が低下する可能性がある。
〔その他の成分〕
本実施形態の非水電解質二次電池における正極は、上記の正極活物質及び導電性繊維以外にも、本発明の効果を著しく損なわない限り任意の成分を含有することができる。特に、正極は、通常、例えば下記正極集電体上に、例えば正極活物質、導電性繊維等を含有する正極合剤を塗布することにより製造される(説明は後述する。)。従って、通常は、当該正極合剤中に、任意の成分を含有させることになる。
正極集電体の材質としては、電子が移動できる材質であり、かつ、正極の作動電位で腐食等が起こらない材料である限り任意のものを用いることができるが、例えばアルミニウム、ステンレス、チタン等を用いることができる。また、その形状も、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、例えば厚さが10μm以上100μm以下の箔状集電体、厚さが10μm以上100μm以下で孔径0.1mm以上10mm以下の穿孔箔状集電体、エキスパンドメタル、発泡金属板等が挙げられる。
任意の成分としては、例えばバインダ、導電助剤等が挙げられる。このような任意の成分は、1種が単独で含有されていてもよく、2種以上が任意の比率及び組み合わせで含有されていてもよい。
バインダとしては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができるが、例えばフッ素系バインダ、ゴム系バインダ等が挙げられる。特に、上記正極活物質と上記導電性繊維とをバインダによって容易に接触させることが可能となる観点から、正極合剤にバインダを含有させることが好ましい。バインダの具体例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。
正極合剤にバインダを含有させる場合のバインダ重量組成は、通常はバインダの分子構造や分子量等の物性に依存するので一概には言えず本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、正極合剤の全量に対して、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上である。重量組成が低すぎる場合、正極活物質の粒子間の結合力が弱まり、サイクル特性等の電池性能が低下する可能性がある。また、重量組成が高すぎる場合、正極の電気抵抗が高くなり電池の出力が低下したり、電池のエネルギー密度が減少したりする可能性がある。
導電助剤としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意の材料を用いることができるが、例えばカーボンブラック、活性炭等の高比表面積の炭素材料等を用いることができる。これらの炭素材料を用いることにより、正極活物質及び導電性繊維の導電性に炭素材料が補助的に作用し、導電性繊維のみの場合と比べて導電性がさらに向上するという利点がある。
[1−2.負極]
本実施形態の非水電解質二次電池が有する負極は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の成分を含有することができる。ただし、通常は、当該負極は負極活物質と負極集電体とを含有するものである。
〔負極活物質〕
負極活物質は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、例えばリチウムと合金化するアルミニウム、シリコン、スズ等を負極活物質として用いることができるほか、リチウムイオンを電気化学的に吸蔵・放出可能な黒鉛や非晶質炭素からなる炭素材料等も使用可能である。中でも、負極活物質として炭素材料を主成分とする(具体的には、負極活物質中、50重量%以上が炭素材料)の場合に、本発明の効果を最大限奏することができる。
上記炭素材料としては、例えばグラフェン構造を有する炭素材料が挙げられる。このような炭素材料としては、例えば、リチウムイオンを電気化学的に吸蔵・放出可能な天然黒鉛、人造黒鉛、メソフェーズ炭素、膨張黒鉛、炭素繊維、気相成長法炭素繊維、ピッチ系炭素材料、ニードルコークス、石油コークス、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、カーボンブラックの等の炭素材料、あるいは5員環又は6員環の環式炭化水素又は環式含酸素有機化合物を熱分解によって合成した非晶質炭素材料等が挙げられる。
また、負極活物質としては、例えば黒鉛、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素等のいずれの炭素材料を用いてもよく、これらの炭素材料に対して上記金属を混合若しくは複合させたものを用いてもよい。なお、負極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
負極活物質の形状及び大きさは、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、負極活物質の粒径は、通常、負極集電体に塗布される負極合剤層(後述する。)の厚さ以下とする。従って、負極活物質に負極合剤層の厚さ以上の粒径を有する粗粒がある場合、例えば予めふるい分級、風流分級等により粗粒を除去し、負極合剤層の厚さ以下の粒子のみとすることが好ましい。
〔負極集電体〕
負極集電体は、負極の作動電位で変質せず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。例えば、銅、ステンレス、ニッケルなどを用いることができる。なお、負極集電体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
また、形状は板状、多孔質状、穿孔を有するシート状など、任意であるが、一般的には箔状の集電体が用いられる。
〔その他の成分〕
本実施形態の非水電解質二次電池における負極は、通常、上記負極集電体上に例えば負極活物質等を含有する負極合剤を塗布することにより製造することができる(説明は後述する。)。従って、通常は、当該負極合剤中に任意の成分を含有させることになる。
なお、任意の成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
このような任意の成分としては、例えばバインダが挙げられる。特に、通常使用される上記負極活物質は粉末状であるため、負極合剤にバインダを含有させることにより、例えば負極活物質同士を容易に接触させることが可能となる。従って、負極にはバインダを含有させることが好ましい。含有させる際のバインダの種類及びその含有量は、例えば上記[1−1.正極]において説明したものと同様にすることができる。
また、負極には、導電助剤を含有させることができる。負極に導電助剤を含有させることにより、製造される非水電解質二次電池のより高いレートでの充放電が可能になる。導電助剤は、通常はリチウムイオンの吸蔵及び放出に関与せずに、あくまで電子の媒体として働くものであり、負極活物質におけるリチウムイオンの吸蔵・放出反応に通常は影響を与えないものである。
[1−3.非水電解液]
本実施形態の非水電解質二次電池は非水電解液を有するものである。非水電解液の成分は、非水電解質を含有し、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常は、非水電解質と溶媒とを含有するものである。
〔非水電解質〕
非水電解質は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。非水電解質の具体例としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、あるいはリチウムトリフルオロメタンスルホンイミド等のリチウムイミド塩等が挙げられる。また、非水電解質としては、固体高分子電解質(ポリマー電解質)を用いることもできる。固体高分子電解質の具体例としては、エチレンオキシド、アクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、メタクリル酸メチル、ヘキサフルオロプロピレンのポリエチレンオキサイド等のイオン導電性ポリマーが挙げられる。これらの固体高分子電解質を用いた場合、非水電解質二次電池に通常用いられるセパレータを設けなくてもよいという利点がある。なお、非水電解質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
〔溶媒〕
溶媒は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。溶媒の具体例としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、テトラヒドロフラン、1,2−ジエトキシエタン、クロルエチレンカーボネート、クロルプロピレンカーボネート等の非水溶媒が挙げられる。
また、溶媒としては、イオン性液体を用いることもできる。イオン性液体の具体例としては、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMI−BF)、リチウム塩LiN(SOCF(LiTFSI)とトリグライムとテトラグライムとの混合錯体、環状四級アンモニウム系陽イオン(例えばN−メチル−N−プロピルピロリジニウム等)、イミド系陰イオン(例えばビス(フルオロスルフォニル)イミド等)等が挙げられる。本実施形態の非水電解質二次電池においては、正極及び負極において分解しないものを選択すればよい。なお、溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
上記の非水電解質及び溶媒の組み合わせとして、エチレンカーボネート等の環状カーボネートと、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネートとを混合した溶媒に、電解質として六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、ホウフッ化リチウム(LiBF)等のリチウム塩を溶解させた溶液を非水電解液として好適に用いることができる。
このような非水電解液におけるリチウム塩の濃度は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、非水電解液の全量に対するリチウムイオンのモル濃度として、好ましくは0.5モル濃度以上、より好ましくは1モル濃度以上である。また、その上限は、好ましくはリチウム塩が可溶となる最大濃度以下であり、より好ましくは2モル濃度以下、特に好ましくは1.5モル濃度以下である。リチウム塩の濃度が低すぎる場合、電解液の導電率が下がり、電池の出力が低下する可能性がある。逆に濃度が高すぎる場合も、電解液の粘度が高くなり、電解液の導電率が低下し、電池の出力が低下する傾向になる。
[1−4.本発明の意義]
正極に炭素繊維等の導電性繊維を含有させる技術が既に知られている(例えば上記特許文献1〜9参照)。しかしながら、従来は、正極活物質の物性や粒径分布に関わらず任意の導電性繊維を含有させているだけであり、従来の技術によっては、電池容量密度が低下したり、エネルギー密度がばらついたりするという課題を有している。
本発明者らの検討によると、導電性繊維の長さを、最小値として正極活物質の直径、また、最大値として2個の正極活物質の直径の和とすることにより、正極密度を高くすることができ、その結果、非水電解質二次電池のエネルギー密度及び電池容量密度を増大させることができることがわかった。しかしながら、現実には、正極に含まれる導電性繊維の長さ及び正極活物質の粒径をそれぞれ全て同じものにすることは極めて難しい。また、もし全て同じものにしようとすると、製造工程が極めて煩雑なものとなり、得られる非水電解質二次電池の製造コストが著しく増大する。従って、単純に、導電性繊維の長さを、正極活物質の直径以上、2個の正極活物質の直径の和以下とすることは、工業的観点から極めて難しい。
そこで、通常使用される導電性繊維は様々な長さを有するものの混合物であり、また、正極活物質も様々な粒径を有するものの混合物であることを考慮し、上記式(1)及び式(2)が本発明者らによって規定されたのである。上記式(1)及び(2)を用いて正極活物質の粒径によって導電性繊維の繊維長を制御することにより、通常使用される様々な長さを有する導電性繊維の混合物、並びに様々な粒径を有する正極活物質の混合物であっても、煩雑な操作を行わずにこれらの混合物を用いて正極を作製することができ、結果として高いエネルギー密度と高い電池容量密度とを両立した非水電解質二次電池及びそれを用いた電池システムを安価に製造することができる。
[1−5.非水電解質二次電池の構造]
本実施形態の非水電解質二次電池は、上記正極と、上記負極と、上記非水電解液と、を有するものである。従って、それ以外の構成は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。以下、図8を参照しながら各実施形態に係る本実施形態の非水電解質二次電池の構造を説明するが、本実施形態の非水電解質二次電池は、図8で表される構造に限定されるものではない。
〔非水電解質二次電池の構造についての第一実施形態〕
図8は、第一実施形態に係る本実施形態の非水電解質二次電池の断面を模式的に示した図である。図8に示す非水電解質二次電池101は、電池容器102と、電池蓋103と、正極外部端子104と、負極外部端子105と、注液口106と、正極107と、負極108と、セパレータ109と、正極リード線110と、負極リード線111と、絶縁性シール材料112と、を備えて構成されている。
電池容器102は、その内部に正極107、負極108及び非水電解液等を有するものである。電池容器102の材質としては、例えばアルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼製等の、非水電解質に対して耐食性のある材料を用いることができる。また、電池容器102の形状は、正極107、負極108及びセパレータ109からなる電極群の形状に合わせ、例えば円筒型、偏平長円形状、角型等の形状とすることができる。
電池蓋103は、電池容器102内部に例えば正極107及び負極108等の必要なものを収納した後、電池容器102をその上部において密閉するものである。この際、密閉する方法としては、例えば溶接、かしめ等の方法を用いることができる。また、本実施形態においては、電池蓋103に、絶縁性シール材料112を介して正極外部端子104と、また、別の絶縁性シール材料112を介して負極外部端子105と、さらに正極外部端子104及び負極外部端子105の間に注液口106と、が設けられた構成となっている。電池蓋103の材質は、例えば電池容器102と同種のものを用いることができる。
正極外部端子104は、正極リード線110を介して正極107と導通されているものであり、負極外部端子105は、負極リード線111を介して負極108と導通されているものである。正極外部端子104及び負極外部端子105は、絶縁性シール材料112を介して電池蓋103に設けられているため、正極外部端子104及び負極外部端子105と電池蓋103とは相互に絶縁されたものとなっている。また、正極外部端子104及び負極外部端子105の材質としては、例えば鉄、アルミニウム、銅等の電気伝導性を有する材料を用いることができる。
注液口106は、電池蓋103を貫通するように、正極外部端子104及び負極外部端子105の間に設けられている。注液口106が電池蓋103の上部に設けられていることにより、電極群(後述する。)を電池容器102に収納し密閉した後、非水電解液を注液口106より所定量充填した後に注液口105を密閉することにより、非水電解液の注液後に上記電極群を配設することによる非水電解液溢れ等を防止することができ、より容易に非水電解質二次電池を製造することが可能となる。
また、注液口106は、安全機構をそなえることもできる。安全機構の具体例としては、電池101内部の圧力を開放するための圧力弁等が挙げられる。
正極107は、非水電解質二次電池101内部の非水電解液との間でイオンの授受を行うものである。本実施形態に係る非水電解質二次電池101における正極107は、[1−1.正極]において記載したものである。さらに、負極108も、正極107と同様に非水電解質二次電池101内部の非水電解液との間でイオンの授受を行うものである。負極108も、[1−2.負極]において記載したものである。
セパレータ109は、正極107と負極108との間に設けられるものである。セパレータ109がこの位置に設けられることにより、正極107と負極108との短絡を防止することができる。なお、上記電極群の構造は、例えば図8に示した短冊状電極の積層したもの、あるいは円筒状、扁平状等の任意の形状に捲回したもの等の任意の形状とすることができる。また、上記電極群における、セパレータ109と正極107及び負極108との間並びに正極107及び負極108が通常有する細孔内に上記の非水電解液が保持されている。
また、上記電極群の末端に配設されている電極と電池容器102との間にも、セパレータ109が設けられている。セパレータ109がこの位置に設けられることにより、正極107と負極108との電池容器102を介した短絡を防止することができる。
セパレータ109の材質及び形状に特に制限はないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系高分子シート、あるいはポリオレフィン系高分子及び4フッ化ポリエチレン等のフッ素系高分子シートを溶着させたものをセパレータ109として用いることができる。また、非水電解質二次電池101の温度が上昇したときにセパレータ109が収縮することを防止するために、セパレータ109の表面にセラミックス及びバインダの混合物を薄層状に形成してもよい。
また、充放電時におけるリチウムイオンの透過性の観点から、セパレータ109は、細孔径が0.01μm以上10μm以下であることが特に好ましく、また、気孔率が通常20%以上90%以下であることが特に好ましい。なお、細孔径の測定は、例えばJIS K8117に記載の方法に従って測定することができる。本発明に適したセパレータのガーレ秒数は、2000秒/100ml以上が好ましく、また、その上限は、好ましくは10000秒/100ml以下、より好ましくは5000秒/100ml以下である。ガーレ秒数はJIS K8117に記載の方法に従って測定することができる。また、セパレータの気孔率は、水銀圧入法によるポロシメータを用いて測定することができる。
正極リード線110は、正極外部端子104と正極107とを導通させるものであり、負極リード線111は、負極外部端子105と負極108とを導通させるものである。正極リード線110及び負極リード線111は、電流を流したときにオーム損失を小さくすることができ、また、非水電解液と反応せず、電池容器102の腐食やリチウムイオンとの合金化によっても変質しない材質であればその形状及び材質は任意である。例えば、正極リード線110及び負極リード線111の形状としては、ワイヤ状、板状、箔状等の形状を採ることができる。
絶縁性シール材料112は、正極外部端子104と負極外部端子105との電池容器102を介した短絡を防止するためのものである。絶縁性シール材料112の材料としては、非水電解液と反応せず、また、気密性に優れた材料であれば任意のものを用いることができる。このような材料としては、例えばフッ素樹脂、熱硬化性樹脂、ガラスハーメチックシール等が挙げられる。
本実施形態の非水電解質二次電池は上記のような構成を有しているため、高いエネルギー密度と高い電池容量密度とを両立させた非水電解質二次電池及びそれを有する電池システムを提供することができる。
〔非水電解質二次電池の構造についての第一実施形態の変更例〕
以下、別の実施形態に係る本実施形態の非水電解質二次電池の構造について説明する。以下の記載において、図8における第一実施形態と同じものは、同じ符号で表すものとする。
図8に示す構成において、正極リード線110若しくは負極リード線111の途中、又は正極外部端子104及び正極リード線110の接続部、若しくは負極外部端子105及び負極リード線111の接続部に、電流遮断機構が設けられていてもよい。電流遮断機構は正温度係数(PTC;Positive temperature coefficient)抵抗素子を利用したものであり、電流遮断機構を設けることにより、非水電解質二次電池101の温度が上昇した場合に、非水電解質二次電池101の充放電を停止させ、非水電解質二次電池101を保護することが可能となる。
[2.非水電解質二次電池の製造方法]
本実施形態の非水電解質二次電池は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の方法で製造することができる。例えば、正極、負極及びセパレータからなる電極群を組み立て、当該電極群を電池容器に収納した後に電池蓋にて密閉し、さらに、注液口から非水電解液を注液してから注液口を密閉することにより、本実施形態の非水電解質二次電池を製造することができる。また、注液口を設けない場合、電池容器に非水電解液を注液した後に電極群を収納し、電池蓋にて密閉して非水電解質二次電池を製造してもよい。
また、電極群を構成する正極は、例えば以下に記載する方法により製造することができる。即ち、はじめに、正極活物質、導電性繊維及び必要に応じて上記バインダ、分散媒等のその他の成分を混合し、正極合剤(通常はスラリー)を調製する。得られた正極合剤を、正極集電体上に塗布した後に乾燥して正極合剤層を形成し、さらに例えばロールプレス等によって加圧成型することにより、正極を製造することができる。
正極活物質を被覆膜で被覆し、被覆膜を介して正極活物質と導電性繊維を接触させる場合、その被覆の方法は本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。例えば、所望の粒径を有する正極活物質と、被覆膜を構成する材料とを混合して焼成することにより、正極活物質を所望の材料にて被覆することができる。
正極合剤の調製方法に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない程度に正極活物質、導電性繊維及び必要に応じてバインダ、分散媒等のその他の成分を混合できればよい。特に、正極活物質及び導電性繊維の形状は通常粉体状であるため、正極合剤を調製するために分散媒を混合することが好ましい。分散媒の具体例としては、水、あるいはアルコール、1−メチル−2−ピロリドン等の有機溶媒が挙げられる。これらのその他の成分は、1種を単独で含んでもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで含んでもよい。
また、正極合剤の正極集電体への塗布方法も、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であり、例えばドクターブレード法、ディッピング法、スプレー法等の方法を用いることができる。また、塗布及び乾燥を複数回行うことにより、複数の正極合剤層を正極集電体上に積層化させることもできる。
また、負極についても、正極の場合と同様に製造することができる。
正極集電体へ正極合剤を塗布して正極合剤層を形成する場合の、当該正極合剤層の厚さは本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常は、[1−1.正極]において記載した正極活物質の粒径よりも厚いものとなる。ただし、正極合剤層の厚さが過度に厚い場合、非水電解液と正極集電体との間で行われるイオンの授受が行われにくくなり、エネルギー密度及び電池容量密度が低くなる可能性がある。
[3.電池システム]
本実施形態の電池システムは、本実施形態の非水電解質二次電池を有するものである。
以下、本実施形態の電気システムを具体的な実施形態を挙げて説明するが、本実施形態の電池システムは以下の具体例に限定されるものではなく、本実施形態の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変更して実施できる。
〔電池システムについての第一実施形態〕
第一実施形態に係る本実施形態の非水電解質二次電池を有する電気システムS1の構成を、図9に示す。電池システムS1は、本実施形態の非水電解質二次電池(電池1001a及び1001b)、充電制御器1016及び外部機器1019を有するものである。
電池システムS1において、電池1001a及び1001bは、それぞれ、電池容器1002と、電池蓋1003と、正極外部端子1004と、負極外部端子1005と、注液口1006と、正極1007と、負極1008と、セパレータ1009と、絶縁性シール材料1012と、を備えて構成されている。また、電池1001a及び電池1001bの内部には、それぞれ、上記非水電解液が充填されている。
なお、各部材について、[1−4.非水電解質二次電池の構造]に記載の名称と同様の名称を有するものは同じものを表すため、その説明を省略する。
充電制御器1016は、電力ケーブル1017及び1018を介して、外部に設置した機器(外部機器)1019と電力の授受を行うものである。充電制御器1016を設けることにより、電池1001a及び1001bの過充電を適切に防止することができる。このような充電制御器1016の具体的な構成は任意であり、公知の技術を適用することができる。
外部機器1019は、充電制御器1016に電力を供給するための例えば外部電源、回生モータ等の各種電気機器、並びに電池1001a及び1001bが外部機器1019に電力を供給するための例えばインバータ、コンバータ及び負荷等が含まれているものである。特に、例えばインバータ等は、外部機器が対応する交流、直流の種類に応じて設ければよい。外部機器1019の具体例としては、電気モータ等の駆動装置を有する鉄道車両、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、運搬機器、建設機械、介護機器、軽車両及び電動工具;ゲーム機、映像機、テレビ、掃除機、ロボット、携帯端末情報機器;等が挙げられる。なお、外部機器1019は、1種が単独で設けられてもよく、2種以上を任意に組み合わせて設けられていてもよい。
電池1001a及び1001b、充電制御器1016並びに外部機器1019は、電力ケーブルにより電気的に接続されている。具体的には、電池1001aの負極外部端子1005と充電制御器1016が有する負極入力端子(図示しない。)とは、電力ケーブル1013により電気的に接続されている。また、電池1001aの正極外部端子1004と電池1001bの負極外部端子1005とも、電力ケーブル1014により電気的に接続されている。さらに、電池1001bの正極外部端子1004と充電制御器1016が有する正極入力端子(図示しない。)とも、電力ケーブル1015により電気的に接続されている。電池システムS1においては、このような配線構成を有することにより、電池1001a及び1001bを充電又は放電させることができる。
電池1001a及び1001bを充電するに際して、充電圧としては、電池1001a及び1001bを定格容量が得られる電圧で充電を行えばよい。例えば、1時間率の充電電流にて、4.1Vあるいは4.2Vの定電圧充電を0.5時間行うことにより充電することができる。充電条件は、通常は電池の材料、使用量等の設計によって決定されるので、電池の仕様ごとに最適な条件とすることが好ましい。
そして、例えば上記条件にて電池1001a及び1001bを、外部機器1019からの電力供給により充電した後、充電制御器1016を充電モードから放電モードに切り替えて、各電池1001a及び1001bが蓄電していた電力を外部機器1019に放電する。なお、通常は、放電圧が一定の下限電圧に到達したときに放電を停止させる。なお、充電モードと放電モードとの切り替えは、自動切り替えが可能なプログラムを用いて自動で行ってもよいし、また、手動で行ってもよいが、操作の簡便性の観点から、当該プログラムを用いて自動で行うことが好ましい。
本実施形態の電池システムS1は上記のような構成を有することにより、外部機器1019に対する適切な電力供給、並びに外部機器1019による電池1001a及び1001bの適切な充電が可能となる。
〔電池システムについての第二実施形態〕
次に、第二実施形態に係る本実施形態の非水電解質二次電池を有する電気システムS2の構成を、図10に示す。電池システムS2は、本実施形態の非水電解質二次電池(電池1101a及び1101b)、充電制御器1116、外部機器1119及び発電装置1122を有するものである。即ち、第二実施形態に係る電池システムS2は、上記第一実施形態に係る電池システムS1の構成に加えて、発電装置1122を有するものである。図中の番号は異なっていても、図9と図10にて対応する構成物は同一である。従って、上記電池システムS1と同様の部材及び充電等の条件等については、その説明を省略する。
発電装置1122は、再生可能エネルギーを生み出す機器として例えば風力発電機等を用いたものである。そして、発電装置1122は、電力ケーブル1120及び1121を介して、充電制御器1116に接続される構成となっている。再生可能エネルギーの具体例としては、上記の風力のほか、太陽光、地熱、波動エネルギー、例えば水素及び酸素等が有する化学エネルギー等を用いることができる。従って、発電装置1122は、これら再生可能エネルギーを用いた発電装置を用いることが好ましく、その具体例としては、上記の風力発電機のほか、太陽電池、地熱発電装置、燃料電池、タービン発電機等が挙げられる。なお、これらの発電装置は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
充電制御器1116及び発電装置1122の動作について説明する。発電装置1122が発電する際には、発電される電力量に応じて、充電制御器1116が充電モード若しくは放電モードに切り替わるようになっている。発電装置1122での発電量が外部機器1119での消費電力よりも多い場合、発電装置1122にて発電された電力が外部機器1119にて消費される一方で、電力の余剰分を電池1101a及び1101bに充電するために、充電制御器1116は充電モードに切り替わる。また、発電装置1122での発電量が外部機器1119での消費電力よりも少ない場合、外部機器1119における消費電力の不足分を電池1101a及び1101bから外部機器1119に供給するために、充電制御器1116は放電モードに切り替わるようになっている。
充電モード及び放電モードの切り替えは、自動切り替えが可能なプログラムを用いて自動で行ってもよいし、また、手動で行ってもよいが、操作の簡便性の観点から、当該プログラムを用いて自動で行うことが好ましい。
本実施形態の電池システムS2は上記のような構成を有しているため、再生可能エネルギーを用いた場合にも外部機器1119に安定した電力を供給できる。また、発電量のうちの余剰分を電池1101a及び1101bに充電することができるため、再生可能エネルギーを無駄なく利用することができるとともに、例えば石油等の化石燃料に依存しないクリーンな電池システムを構築することが可能となる。
〔用途〕
本実施形態の電池システムは、任意の用途に用いることができる。例えば、本実施形態の電池システムは、移動体に搭載して移動型電池システムとしたり、任意の場所に設置して定置型電池システムとしたりすることができる。なお、「移動体」とは、例えば電気自動車、ハイブリッド電気自動車、電池式電車、電池式運送車両、電池式建設機械等の移動可能なものを表す。また、「定置型」とは、例えばバックアップ電源、ロードレべリング電源、太陽光及び風力等の再生可能エネルギーを貯蔵する二次電池等の定置可能なものである。
以下、実施例を挙げて本実施形態をより詳細に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更して実施することができる。また、以下に記載する項目番号は、便宜上、上記の記載における項目番号に続けて記載したものとなっている。
[4.製造例]
平均粒径10μm及び標準偏差2μmの正極活物質LiNi1/3Mn1/3Co1/3と、以下の表1に記載の平均粒径(平均繊維長)及び標準偏差を有する気相成長炭素繊維(ミルド品;平均繊維径0.3μm)とをそれぞれ混合し、得られた混合物について抵抗を測定した。具体的な測定方法としては、正極活物質と気相成長炭素繊維とを、正極活物質に対して気相成長炭素繊維の混合量が所定の割合(図11に示す割合)となるように混合し、得られた混合物を十分に振とうした後に、混合物を圧縮して貫通抵抗を測定することにより行った。貫通抵抗の測定は、正極を2枚のインジウム板または金板の間に挿入し、インジウム板の間に抵抗計(敦賀電機株式会社製の低抵抗計 モデル3566)の計測プローブを取り付けて測定した。導電性繊維の粉体抵抗は、直径10mmの円柱状容器の間に導電性繊維を充填し、上下に円盤状金板を押しあてて、2枚のAu板の間の抵抗を測定した。さらに、気相成長炭素繊維の平均粒径の制御は、高速衝撃を利用した分級装置(セイシン企業製ラボクラッシールN−01)を用いた。
Figure 0005411813
結果を図11に示す。上記式(1)及び(2)を満たす気相成長炭素繊維が製造例1である。図11の製造例1においては、気相成長炭素繊維の混合量の増加に従って3重量%から抵抗が急激に低下し、10重量%以上の高い混合量ではほとんど抵抗が低下しなかった。従って、気相成長炭素繊維の混合量は3重量%〜10重量%が特に好適である。従って、気相成長炭素繊維を10重量%よりも多量に添加しても、正極活物質の組成が相対的に減少するので、電池のエネルギー密度を向上させることが極めて困難であることが推察された。
また、上記式(1)及び(2)を満たさないものであって、平均粒径が長すぎる気相成長炭素繊維が比較製造例1である。図11の比較製造例1においては、製造例1の場合と同様に、気相成長炭素繊維の混合量の増加に従って3重量%から抵抗が急激に低下し、10重量%以上の高い混合量ではほとんど抵抗が低下しなかった。しかしながら、抵抗を同じ値とするために必要な気相成長炭素繊維の量は製造例1のものよりも多かった。これは、平均粒径が長すぎるために正極活物質の充填率が低下し、かつ、気相成長炭素繊維が断線して導電性に寄与しない気相成長炭素繊維が増加したためであると考えられる。
さらに、上記式(1)及び(2)を満たさず、平均粒径が短すぎる気相成長炭素繊維が比較製造例2である。比較製造例2においては、混合量を相当増加させないと抵抗が低下しなかった。これは、複数の気相成長炭素繊維が数珠つなぎに重なりあうことによって、初めて導電性ネットワークが形成されるので、多量の気相成長炭素繊維が必要となったためであると考えられる。
図11に示すように、本実施形態の非水電解質二次電池に係る正極は、含有される導電性繊維の量が少量でも正極の抵抗を小さくすることができる。従って、このような正極を用いた非水電解質二次電池は、高いエネルギー密度と高い電池容量密度とを有することができる。
[5.実施例]
[5−1.実施例1]
(非水電解質二次電池の製造)
平均粒径10μm及び標準偏差2μmの正極活物質LiNi1/3Mn1/3Co1/3のと、平均粒径(平均繊維長)18μm及び標準偏差5μmの気相成長炭素繊維(ミルド品)と、バインダとしてポリフッ化ビニリデンとを、重量比として86:8:6となるように混合して正極合剤スラリーを作製し、当該正極合剤を正極集電体としてのアルミニウム箔(厚さ20μm)に塗布することにより正極を作製した。前記スラリーは、1−メチル−2−ピロリドンを溶媒として用いた。また、負極活物質として黒鉛粉末と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデンとを、重量比として93:7となるように混合して負極合剤スラリーを作製し、当該負極合剤を負極集電体としての銅箔(厚さ20μm)に塗布することにより負極を作製した。前記スラリーは、1−メチル−2−ピロリドンを溶媒として用いた。さらに、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とを体積比1:2となるように混合し、さらに、得られた混合液に対してLiPFを終濃度1Mとなるように混合し、非水電解液を作製した。そして、ポリエチレンの両面にポリプロピレンを張り合わせた三層型微多孔構造のセパレータ(宇部興産株式会社製、厚さ25μm)を用いた。
上記正極、上記セパレータ及び上記負極をこの順で積層し、上記非水電解液を用いて、角型の非水電解質二次電池A(以下、適宜単に「電池A」と言う。)を製造した。電池Aの容量は1時間率放電条件にて10Ahであった。
(電池システムの構築)
製造した電池Aを用いて、[3.電池システム]の〔電池システムについての第一実施形態〕記載の電池システムS1と同様の構成を有する電池システムAを構築した。
構築した電池システムAにおいて、電池Aを0.2時間率放電まで行ったところ、放電容量は、1時間率放電時の放電容量に対して90%との高い値を得た。
また、ケッチェンブラックを、導電性繊維に対し10重量%となるように正極にさらに含有させたところ、放電容量はさらに上昇し、92%であった。そして、ケッチェンブラックの代わりに等量の活性炭(比表面積1000m/g)を含有させたところ、放電容量は93%であった。
[5−2.実施例2]
実施例1にて製造した電池Aを用いて、[3.電池システム]の〔電池システムについての第二実施形態〕記載の電池システムS2と同様の構成を有する電池システムA’を構築した。
構築した電池システムA’において、電池A’を0.2時間率放電まで行ったところ、放電容量は、1時間率放電時の放電容量に対して90%との高い値を得た。また、発電装置1122として風力発電機を利用した場合、3時間率の充電を行うことができた。
[5−3.実施例3]
正極を以下の方法に従って作製したこと以外は実施例1と同様にして、電池B〜Eを製造した。
・電池B
正極活物質としてのスピネル結晶構造を有するマンガン酸リチウム(平均粒径15μm及び標準偏差3μm)と、平均粒径26μm及び標準偏差8μmの炭素繊維と、及びポリビニルアルコールとを、重量比として10:1:1となるように混合して焼成した。以上で述べた操作により、正極活物質表面を炭素繊維で被覆した正極活物質材料を作製した。
作製した正極活物質と炭素繊維からなる複合材料に、バインダとしてポリフッ化ビニリデンを添加し、その後は実施例1と同様の方法に従って正極Bを作製した。前記複合材料とバインダの重量組成は94:6とした。作製した正極Bを用いて製造した電池を電池Bとした。
・正極C
正極Bを作製する際に用いたポリビニルアルコールに代えてリン酸アルミニウムを用い、リン酸アルミニウムと正極活物質と炭素繊維との混合物を撹拌し、アルカリ(具体的には水酸化リチウム)を用いて沈殿した沈殿物をろ過して焼成した。そして、焼成したものを正極活物質材料とし、当該正極活物質材料に、導電性繊維としての炭素繊維(平均粒径26μm及び標準偏差8μm)及びバインダとしてのポリフッ化ビニリデンとを、重量比として86:8:6となるように混合して正極合剤スラリーを作製し、その後は実施例1と同様の方法に従って正極Cを作製した。作製した正極Cを用いて製造した電池を電池Cとした。
・電池D
正極Cを作製する際に用いたリン酸アルミニウムに代えてリン酸鉄を用いたこと以外は正極Cの場合と同様にして、正極Dを作製した。作製した正極Dを用いて製造した電池を電池Dとした。
・電池E
正極Cを作製する際に用いたリン酸アルミニウムに代えてリン酸マグネシウムを用いたこと以外は正極Cの場合と同様にして、正極Eを作製した。作製した正極Eを用いて製造した電池を電池Eとした。
上記の方法に従って製造した電池B〜Eのそれぞれを用いて、[3.電池システム]の〔電池システムについての第二実施形態〕記載の電池システムS2と同様の構成を有する電池システムB〜Eを構築した。
構築した電池システムB〜Eにおいて、電池B〜Eをそれぞれ0.2時間率放電まで行ったところ、放電容量は、1時間率放電時の放電容量に対して88〜90%との高い値を得た。また、発電装置1122として風力発電機を利用した場合、3時間率の充電を行うことができた。なお、風力発電機は太陽光、地熱、波力等の再生可能エネルギーを利用した発電機に置き換えることも可能である。
[5−4.実施例4]
・電池F
正極活物質及び導電性繊維として以下のものを用いたこと以外は実施例1と同様にして正極F、並びに正極Fを用いた電池Fを製造した。
即ち、正極活物質として、平均粒径10μm及び標準偏差2μmのLiNi1/3Mn1/3Co1/3と、平均粒径5μm及び標準偏差3μmのスピネル構造のマンガン酸リチウムとを、重量比で1:1となるように混合した混合物を用いた。また、導電性繊維として、平均粒径18μm及び標準偏差5μmの気相成長炭素繊維Aと、平均粒径10μm及び標準偏差6μmの気相成長炭素繊維Bとを重量比で2:1となるように混合した混合物を用いた。重量比を2:1とすることで、気相成長炭素繊維A及びBの本数がほぼ等数になるように調整した。上記気相成長炭素繊維A及びBの混合物は、n=2としたときにLiNi1/3Mn1/3Co1/3とスピネル構造のマンガン酸リチウムとに好適な粒度分布を有するものである。
上記正極活物質の混合物と、上記導電性繊維の混合物と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデンとを、重量比として86:8:6となるように混合し、その後は実施例1と同様に行った。
上記の方法に従って製造した電池Fを用いて、[3.電池システム]の〔電池システムについての第一実施形態〕記載の電池システムS1と同様の構成を有する電池システムFを構築した。
・電池G〜I
上記気相成長炭素繊維A及びBからなる炭素繊維の混合物に代えて、上記式(1)及び(2)においてn=0.5として決定されたR’及びσ’を有する気相成長炭素繊維を用いたこと以外は上記と同様にして、正極Gを作製した。さらに、n=0.5をn=1としたこと以外は正極Gと同様にして、正極Hを作製した。そして、n=0.5をn=3としたこと以外は正極Gの作製と同様にして、正極Iを作製した。これらの気相成長炭素繊維は、[4.製造例]に記載の分級装置と同様のものを用いて調製した。
作製した正極G〜Iを用いて、電池G〜Iを製造した。そして、製造した電池G〜Iを用いて、[3.電池システム]の〔電池システムについての第一実施形態〕記載の電池システムS1と同様の構成を有する電池システムG〜Iを構築した。
構築した電池システムG〜Iにおいて、電池を0.2時間率放電まで行ったところ、放電容量は、1時間率放電時の放電容量に対して、電池システムGの場合88%(n=0.5)、電池システムHの場合89%(n=1)、並びに電池システムIの場合91%(n=3)の高い値を得た。特にn=3である電池システムIにおいて放電容量が91%との高い値となり、nの値が小さくなるにつれて放電容量が小さくなる傾向があった。
10,20,30,40 導電性繊維
11,12,21,22,31,41 正極活物質
32,42 バインダ
33,43 正極集電体
101 非水電解質二次電池
102 電池容器
103 電池蓋
104 正極外部端子
105 負極外部端子
106 注液口
107 正極
108 負極
109 セパレータ
110 正極リード線
111 負極リード線
112 絶縁性シール材料
1001a 非水電解質二次電池(電池)
1001b 非水電解質二次電池(電池)
1002 電池容器
1003 電池蓋
1004 正極外部端子
1005 負極外部端子
1006 注液口
1007 正極
1008 負極
1009 セパレータ
1012 絶縁性シール材料
1013 電力ケーブル
1014 電力ケーブル
1015 電力ケーブル
1016 充電制御器
1017 電力ケーブル
1018 電力ケーブル
1019 外部機器
1101a 非水電解質二次電池(電池)
1101b 非水電解質二次電池(電池)
1102 電池容器
1104 正極外部端子
1105 負極外部端子
1106 注液口
1107 正極
1108 負極
1109 セパレータ
1112 絶縁性シール材料
1113 電力ケーブル
1114 電力ケーブル
1115 電力ケーブル
1116 充電制御器
1117 電力ケーブル
1118 電力ケーブル
1119 外部機器
1120 電力ケーブル
1121 電力ケーブル
1122 発電装置

Claims (6)

  1. 正極と、負極と、非水電解質を含有する非水電解液と、を有する非水電解質二次電池において、
    該正極が正極活物質及び導電性繊維を含有するとともに、
    該正極活物質の粒径xについての粒度分布を表すグラフにおいてピークが単一である場合には該ピークを、また、ピークが2以上存在する場合には該2以上のピークのうちの最大の粒径を有するピークを、平均粒径R1と標準偏差σ1とで規定される正規分布関数F(x)で近似し、
    また、該導電性繊維の長さyについての粒度分布を表すグラフにおいてピークが単一である場合には該ピークを、また、ピークが2以上存在する場合には該2以上のピークのうちの最大の長さを有するピークを、平均粒径R’と標準偏差σ’とで規定される正規分布関数G(y)で近似した時に、
    該R1、該σ1、該R’及び該σ’が、下記式(1)及び(2):
    R1−n×σ1=R’−n×σ’ ・・・式(1)
    2(R1+n’×σ1)=R’+n’×σ’ ・・・式(2)
    (ただし、n及びn’は、それぞれ独立して、3以下の正の定数を表す。)
    を満たしている
    ことを特徴とする、非水電解質二次電池。
  2. 該正極活物質の該粒径xについての該粒度分布を表す該グラフが2以上のピークを有し、
    該正極活物質の該粒径xについての該粒度分布を表す該グラフが有する該2以上のピークのうちの最小の粒径を有するピークを、平均粒径R2と標準偏差σ2とで規定される正規分布関数で近似した時に、
    該R1、該σ1、該R’、該σ’、該R2及び該σ2が、下記式(3)及び(4):
    F(R2−n×σ2)≦G(R’−n×σ’) ・・・式(3)
    F(2×(R1+n’×σ1))≧G(R’+n’×σ’) ・・・式(4)
    (ただし、n及びn’は、該式(1)及び該式(2)における該n及び該n’と同じものを表す。)
    を満たしている
    ことを特徴とする、請求項1記載の非水電解質二次電池。
  3. 該正極活物質と該導電性繊維とが、該正極活物質に被覆されている被覆膜を介して接触している
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の非水電解質二次電池。
  4. 該被覆膜が、炭素材料、又は、Al,Fe,Mgからなる群より選ばれる原子のフッ化物若しくは酸化物を含む
    ことを特徴とする、請求項3記載の非水電解質二次電池。
  5. 該導電性繊維が炭素繊維であるとともに、
    該炭素繊維のBET比表面積が5m/g以上40m/g以下である
    ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項記載の非水電解質二次電池。
  6. 請求項1〜5の何れか1項記載の非水電解質二次電池を有する
    ことを特徴とする、電池システム。
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