JP5411580B2 - 粘着シートおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アクリル系重合体を含む粘着剤組成物の水分散液から形成された粘着剤層を備えた粘着シートおよびその製造方法に関する。
粘着剤組成物の水分散液から形成された粘着剤(以下、水分散型粘着剤とも言う。)は、粘着剤の分散媒として水を用いることから、粘着剤組成物の有機溶媒溶液から形成された粘着剤(以下、溶剤型粘着剤とも言う。)よりも環境への負荷が少ない。このため、各種産業用途に用いられる粘着シートにおいても、水分散型粘着剤を用いることが望ましい。水分散型粘着剤に関する技術文献としては、特許文献1〜4が例示される。
特開平9−143444号公報 特開平6−73347号公報 特開平5−170805号公報 特開2008−115315号公報
一方、一般的に、水分散型粘着剤を用いた粘着シートでは、溶剤型粘着剤を用いた粘着シートと比べて耐水性(耐水接着性、耐水白化性等)に乏しい。そこで、水分散型粘着剤の耐水性向上が検討されてきた。例えば、上記特許文献1および2には、重合時に反応性乳化剤を使用する、シリコーン系界面活性剤を添加する等、粘着剤の組成を工夫することで耐水性を向上させる技術が記載されている。
本発明は、これらの従来の技術とは異なる方法により耐水性を向上させた粘着シートを提供することを一つの目的とする。また、かかる粘着シートの製造方法を提供することを他の一つの目的とする。
粘着剤に含まれる重合体(アクリル系重合体等)の合成にしばしば使用される乳化剤は、粘着剤の耐水性を低減させる主要な原因となり得る。
本発明者らは、乳化剤を用いて得られたアクリル系重合体のエマルション(水分散液)を用いてなる粘着剤組成物を適用しても、基材と粘着剤層との間にポリイソシアネート層が設けられた粘着シートによれば、耐水性を向上させられることを見出した。
本発明によると、基材とアクリル系粘着剤層とを備える粘着シートが提供される。上記アクリル系粘着剤層は、ノニオン系乳化剤を用いて合成されたアクリル系重合体の水分散液から形成されている。上記粘着剤層の厚さは、乾燥後で100μm以下である。また、上記基材の少なくとも第1面にはポリイソシアネート層が設けられており、その層の上に上記粘着剤層が設けられている。すなわち、上記ポリイソシアネート層は、上記基材と上記粘着剤層との間に直接挟まれた態様をなしている。ここで、ポリイソシアネート(多官能イソシアネートともいう。)とは、2個以上のイソシアネート基を有する化合物を意味する。また、ポリイソシアネート層とは、かかるポリイソシアネートを含む層を意味する。
このような粘着シートによると、ポリイソシアネート層のイソシアネート基が粘着剤中に存在する親水性官能基(水酸基等)と反応することにより粘着剤の親水性が低下するため、粘着シート自体の耐水性が向上し得る。したがって、本発明によると、水分散型粘着剤(従来と同様の方法により製造された水分散型粘着剤であり得る。)から形成された粘着剤層を備える構成でありながら、耐水性がより高い粘着シートが提供され得る。
ここに開示される粘着シートの好ましい一態様では、上記ポリイソシアネート層が、上記基材上に、0.01〜10g/mの付与量となるように形成されている。これにより、望ましい接着性を維持しながら耐水性(耐水白化性、耐水接着性等)と他の粘着性能(接着性等)をより高いレベルでバランスよく両立させた粘着シートが形成され得る。
また、他の好ましい一態様では、上記ポリイソシアネート層が、ブロック剤でイソシアネート基がブロック(保護)されているブロック型ポリイソシアネートを含む。ここで、該ブロック型ポリイソシアネートの解離温度(保護基が外れ、イソシアネート基が再生する温度)は、100℃以上200℃以下であることが好ましい。かかるポリイソシアネートは、取扱性およびポットライフ(品質保持性)に優れるので、粘着シートの生産性の観点から好ましい。
また、本発明によると、ここに開示されるいずれかの粘着シートの製造方法が提供される。その方法は、基材の少なくとも第1面に、ポリイソシアネート層を形成することを含む。また、そのポリイソシアネート層の上に、ノニオン系乳化剤を用いて得られたアクリル系重合体エマルションから形成されるアクリル系粘着剤層を積層することを含む。かかる製造方法によると、より優れた耐水性を有する粘着シートを効率よく製造することができる。
本発明に係る粘着シートの一構成例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る粘着シートの他の一構成例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る粘着シートの他の一構成例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る粘着シートの他の一構成例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の説明において、同様の作用を奏する部材または部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。
本発明の粘着シートは、基材と粘着剤層とに加えて、ポリイソシアネートを含む層(ポリシソシアネート層)を有する。かかるポリイソシアネート層を基材シートの片面に有し、そのポリイソシアネート層の上に粘着剤組成物の水分散液から形成された粘着剤層を備える粘着シートであり得る。あるいは、かかるポリイソシアネート層を基材シートの各面それぞれに有し、各ポリイソシアネート層の上に更に粘着剤層が積層された態様の粘着シートであってもよい。ここでいう粘着シートの概念には、粘着テープ、粘着ラベル、粘着フィルム等と称されるものが包含され得る。なお、上記粘着剤層は連続的に形成されたものに限定されず、例えば点状、ストライプ状等の規則的あるいはランダムなパターンに形成された粘着剤層であってもよい。また、本発明により提供される粘着シートは、ロール状であってもよく、枚葉状であってもよい。あるいは、さらに種々の形状に加工された形態の粘着シートであってもよい。
ここに開示される粘着シートは、例えば、図1〜4に模式的に示される断面構造を有するものであり得る。
図1、図2は、両面が粘着性を有する粘着シートの構成例である。図1に示す粘着シート11は、基材1の各面それぞれにポリイソシアネート層2が設けられ、各ポリイソシアネート層2の上に粘着剤層3が設けられ、各粘着剤層3が、少なくとも該粘着剤層側が剥離可能な剥離ライナー4によって保護された構成を有している。図2に示す粘着シート12は、基材1の各面それぞれにポリイソシアネート層2が設けられ、各ポリイソシアネート層2の上に粘着剤層3が設けられ、第1の粘着剤層が、両面が剥離可能な剥離ライナー4により保護された構成を有している。かかる粘着シート12は、券回することにより第2の粘着剤層もまた剥離ライナー4によって保護された構成とすることができる。なお、図1、図2において、基材1の各面に設けられるポリイソシアネート層2は、同一のものであってもよく、異なるものであってもよい。同様に、基材1の各面に設けられる粘着剤層3は、同一のものであってもよく、異なるものであってもよい。
図3、図4は、片面が粘着性の粘着シートの構成例である。図3に示す粘着シート13は、基材1の第1の面にポリイソシアネート層2が設けられ、そのポリイソシアネート層2の上に粘着剤層3が設けられ、その粘着剤層3の表面(接着面)が、少なくとも該粘着剤層側が剥離可能な剥離ライナー4によって保護された構成を有する。図4に示す粘着シート14は、基材1の第1の面にポリイソシアネート層2が設けられ、そのポリイソシアネート層2の上に粘着剤層3が設けられた構成を有する。基材1の第2の面は剥離可能となっており、粘着シート14を券回するとこの剥離可能な第2の面に粘着剤層3が当接して該粘着層の表面(接着面)が基材1の第2の面で保護された構成とすることができる。
ここに開示される技術におけるポリイソシアネートは、イソシアネート基を2個以上(典型的には2〜10個、好ましくは2〜4個、例えば2〜3個)有する化合物である。上記ポリイソシアネートは、常温で固体であっても、液体であってもよい。ポリイソシアネートは、基材にそのまま直接付与することができる。あるいは必要に応じて、該ポリイソシアネートを含む水分散液や有機溶媒溶液として付与してもよい。水分散液は、有機溶媒を使用せず、取り扱いやすいので好ましい。また、かかる水分散液や溶液に、必要に応じて他の成分を添加してもよい。常温で固体のポリイソシアネートによると、乾燥後のポリイソシアネート層の上に粘着剤の水分散液を直接付与しやすいので好ましい。常温で液体のポリイソシアネートを用いる場合は、そのポリイソシアネートに加えて、常温で固体のポリエステル樹脂やアクリル樹脂等を含む溶液を基材に付与して乾燥することにより表面を非粘着化すると、その後の粘着剤の積層を簡便に行うことができる。かかる溶液を調製するための溶媒としては、例えば、トルエン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、酢酸ブチル等が挙げられる。
上記ポリイソシアネートの例としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト等や、かかる多官能性イソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体等が挙げられる。使用し得る市販品としては、日本ポリウレタン工業株式会社製の商品名「ミリオネートMT」、同「コロネートL」、同「コロネートHL」、同「コロネートHX」、三井化学ポリウレタン株式会社製の商品名「タケネートD110N」、同「タケネートD140N」、同「タケネートD170N」等がある。
好ましい一態様では、上記ポリイソシアネートとして、ブロック型ポリイソシアネートを使用する。ブロック型ポリイソシアネートは、イソシアネート基がブロック剤(フェノール等)により保護されているため、常温での反応性が非ブロック型ポリイソシアネートに比べて低くなっている。そのため、作業時間の長さや作業環境の湿気による劣化が起こりにくく、好適に使用することができる。ブロック型ポリイソシアネートを用いる場合は、得られた粘着シートを該ポリイソシアネートの解離温度以上の温度まで加熱することにより、イソシアネート基を脱保護して粘着剤層中に存在する親水基(水酸基等)と反応させることができる。かかるブロック型ポリイソシアネートを含む市販品としては、三井化学ポリウレタン株式会社製の商品名「タケネートWB700」、同「タケネートB830」、同「タケネートB882N」、同「タケネートWB920」、日本ポリウレタン工業株式会社製の商品名「コロネート2513」等が挙げられる。生産性等の観点から、上記ブロック型ポリイソシアネートの好ましい解離温度は、凡そ100℃以上200℃以下である。
他の好ましい一態様では、上記ポリイソシアネートとして、水分散型ポリイソシアネートを使用する。水分散型のものは、取り扱いやすいため好ましい。例えば、自己乳化性を有する多官能イソシアネートの水分散液を用いることができる。かかる水分散液は、典型的には、自己乳化性を有する多官能イソシアネートを水中に攪拌分散させることにより得られる。市販品としては、三井化学ポリウレタン株式会社製の商品名「タケネートWD240」、日本ポリウレタン工業株式会社社製の商品名「アクアネート210」、旭化成株式会社製の商品名「デュラネート」等が挙げられる。また、水分散型かつブロック型の多官能イソシアネートを好ましく使用し得る。この種の水分散型ポリイソシアネートであってブロック基の解離温度が凡そ100℃以上200℃以下の範囲にあるものの市販品として、上記「タケネートWB700」および「タケネートWB920」が挙げられる。
上記のようなポリイソシアネートは、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。ポリイソシアネート層を基材に付与(典型的には塗布)する際は、公知乃至慣用の方法を採用することができる。例えば、ワイヤーバー、スプレーコーター、ファウンテンダイコーター、リップコーター、クローズドエッジダイコーター、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター等、のアプリケーターを用いることができる。また、ポリイソシアネートを含む溶液または水分散液等に基材を含浸させてもよい。特に、表面が平滑でない布や不織布等の基材を用いる場合には、含浸させる方法を好ましく採用し得る。ポリイソシアネート層は、典型的には連続的に形成されるが、これに限定されず、例えば点状、ストライプ状等の規則的あるいはランダムなパターンに形成されたものでもよい。
ここに開示される技術は、粘着剤層と基材との間にポリイソシアネート層を設けることに加えて、さらに該粘着剤層を形成する粘着剤組成物にポリイソシアネートを添加する態様でも好ましく実施され得る。特に、粘着剤層の厚さを50μm以上(典型的には50μm〜100μm)とする場合には、上記ポリイソシアネート層の形成および粘着剤組成物へのポリイソシアネート添加により、基材への接着性(投錨性)を確保しつつ耐水白化性をより向上させることができる。粘着剤組成物に添加するポリイソシアネートとポリイソシアネート層に含まれるポリイソシアネートとは、同じものであってもよく、異なるものであってもよい。
ポリイソシアネート層は、必要に応じて、通常50℃〜200℃程度、好ましくは60℃〜160℃程度の温度で乾燥させる。また、第1の温度、それとは異なる第2、第3の温度等、多段階の温度設定を採用し、各温度設定で段階的に乾燥させることもできる。ポリイソシアネート層の付与量は、該ポリイソシアネート層上に積層される粘着剤層に含まれる親水基の当量や該粘着剤層の厚さ等にもよるが、通常は乾燥した状態で凡そ0.01g/m〜10g/mであることが好ましい。この範囲より小さすぎると、望ましい耐水性向上効果が得られない場合がある。また、この範囲より大きすぎると、粘着力が低下することがある。
上記ポリイソシアネート層上に粘着剤層を積層する方法としては、特に制限されず、公知乃至慣用の方法を採用し得る。例えば、上述のようなアプリケーターを用いて粘着剤組成物の水分散液をポリイソシアネート層上に直接塗布することができる。あるいは、粘着剤組成物の水分散液を適当な剥離面上に塗布して乾燥させることにより上記剥離面上に粘着剤層を形成し、その粘着剤層をポリイソシアネート層上に重ね合わせて転写してもよい。より高い耐水性向上効果が得られやすいという観点からは、直接塗布がより好ましい。
粘着剤層の乾燥は、ポリイソシアネート層の乾燥と同様の態様を採用して行い得る。粘着剤層の乾燥後の厚さは、通常凡そ100μm以下、好ましくは凡そ0.1μm〜100μmとすることができる。上記範囲より小さすぎると、十分な接着性が得られないことがある。また、上記範囲より大きすぎると、耐水性向上効果が低減されることがある。
ここに開示される技術において、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物の水分散液は、乳化重合により得られたアクリル系重合体エマルションを含む。アクリル系重合体は、粘着剤層を構成するベースポリマー(粘着剤の基本成分、典型的には該粘着剤を構成するポリマー成分のうちの50質量%以上を占める成分)として用いられる。例えば、上記粘着剤の50質量%以上が上記アクリル重合体であることが好ましい。かかるアクリル系重合体としては、アルキル(メタ)アクリレートを主構成単量体成分(モノマー主成分、すなわちアクリル系重合体を構成するモノマーの総量のうち50質量%以上を占める成分)とするものを好ましく採用し得る。
なお、本明細書中において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートを包括的に指す意味である。同様に、「(メタ)アクリロイル」はアクリロイルおよびメタアクリロイルを、「(メタ)アクリル」はアクリルおよびメタクリルを、それぞれ包括的に指す意味である。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、下記式(1)で表される化合物を好適に用いることができる。
CH=C(R)COOR (1)
ここで、上記式(1)中のRは水素原子またはメチル基である。また、Rは炭素原子数2〜18のアルキル基である。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ボルニル基、イソボルニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、イソステアリル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等のアルキル基が挙げられる。粘着剤の貯蔵弾性率等の観点から、これらのうちRが炭素原子数2〜18(以下、このような炭素原子数の範囲を「C2−18」と表すことがある。)のアルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。RがC2−10のアルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。特に好ましいRとして、ブチル基および2−エチルヘキシル基が例示される。
かかるアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。特に好ましいアルキル(メタ)アクリレートとしては、ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートが例示される。
好ましい一つの態様では、アクリル系重合体の合成に使用するアルキル(メタ)アクリレートの総量のうち凡そ50質量%以上(より好ましくは凡そ70質量%以上、例えば凡そ80質量%以上)が、上記式(1)におけるRがC2−18(好ましくはC2−10、より好ましくはC4−8)のアルキル(メタ)アクリレートである。このようなモノマー組成によると、常温付近における貯蔵弾性率が粘着剤として好適な範囲となるアクリル系重合体が得られやすい。使用するアルキル(メタ)アクリレートの実質的に全部がC2−18アルキル(メタ)アクリレートであってもよい。
アルキル系重合体を構成するモノマー成分としては、アルキル(メタ)アクリレートが主成分となる範囲で、アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な他のモノマー(「共重合性モノマー成分」と称する場合がある。)が用いられていてもよい。アクリル系重合体を構成するモノマー成分の総量に対するアルキル(メタ)アクリレートの割合は、凡そ80質量%以上(典型的には80〜99.8質量%)とすることができ、好ましくは凡そ85質量%以上(たとえば凡そ85〜99.5質量%)である。アルキル(メタ)アクリレートの割合が凡そ90質量%以上(凡そ90〜99質量%)であってもよい。
共重合性モノマー成分の割合は、モノマー成分の総量に対して、凡そ10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは凡そ5質量%以下である。上記共重合性モノマー成分は、アルキル系重合体に架橋点を導入したり、アクリル系重合体の凝集力を高めたりするために役立ち得る官能基を有するものが好ましい。かかる官能基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基、シアノ基、ケト基、窒素原子含有複素環、アルコキシシリル基等が挙げられる。
カルボキシル基含有共重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の、エチレン性不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の、エチレン性不飽和ジカルボン酸およびその無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等)が挙げられる。
水酸基含有共重合性モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ビニルアルコール、アリルアルコール等の、不飽和アルコール類;等が挙げられる。
アミド基含有共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
アミノ基含有共重合性モノマーとしては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エポキシ基含有共重合性モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等がある。
シアノ基含有共重合性モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
ケト基含有共重合性モノマーとしては、例えば、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリレート、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、アリルアセトアセテート、ビニルアセトアセテート等が挙げられる。
窒素原子含有複素環を有する共重合性モノマーとしては、例えば、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−ビニルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、N−(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
アルコキシシリル基含有共重合性モノマーとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−ビニルブチルトリメトキシシラン、4−ビニルブチルトリエトキシシラン、8−ビニルオクチルトリメトキシシラン、8−ビニルオクチルトリエトキシシラン、10−メタクリロキシデシルトリメトキシシラン、10−アクリロキシデシルトリメトキシシラン、10−メタクリロキシデシルトリエトキシシラン、10−アクリロキシデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
上述のような共重合性モノマーは、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。
アクリル系重合体(典型的にはエマルション)の水分散液は、公知乃至慣用の方法でモノマー成分をエマルション重合させることにより得られる。例えば、モノマー成分の一部または全部(典型的には全部)をあらかじめ適当量の乳化剤を用いて水に乳化させ、得られた乳化液(モノマーエマルション)を、水および開始剤等の成分を含む反応容器に、全モノマー成分を一度に供給する一括仕込み方式、連続供給(滴下)方式、分割供給(滴下)方式等を適宜採用して供給することができる。上記モノマーエマルションのモノマー濃度は、通常30〜90質量%とすることができる。
重合温度は、使用するモノマーの種類、重合開始剤の種類等に応じて適宜選択することができ、例えば凡そ20℃〜100℃(好ましくは凡そ30℃〜90℃、典型的には凡そ40℃〜80℃)程度とすることができる。また、重合時間は、通常3〜24時間程度とすることができる。
ここで、アクリル系重合体のガラス転移温度は、凡そ−20℃以下が好ましい。これより高すぎると、得られる粘着剤の接着性が低くなることがある。
また、アクリル系重合体を含む粘着剤組成物の水分散液は、固形分(不揮発性物質)の濃度が通常凡そ30〜70質量%程度であり、好ましくは凡そ40〜60質量%程度である。
ここに開示される技術では、アクリル系重合体エマルションの調整に当たり、ノニオン系乳化剤を使用する。中でも、反応性ノニオン系乳化剤の使用が好ましい。反応性および非反応性のノニオン系乳化剤を併用してもよい。
ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類(ポリオキシエチレンラウリルエーテル等)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類(ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー等が挙げられる。
あるいは、上記のようなノニオン系乳化剤にラジカル重合性基(プロペニル基、アリルエーテル基等)が導入された構造のラジカル重合性乳化剤(反応性乳化剤)を用いてもよい。市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製の商品名「アクアロンRN10」、同「20」、同「30」、同「40」、花王株式会社製の商品名「ラテムルPD420」、同「430」、同「450」等が挙げられる。
ノニオン系乳化剤として、反応性のもののみを使用してもよく、非反応性のもののみを使用してもよく、反応性および非反応性のノニオン系乳化剤を併用してもよい。通常は、HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)値が凡そ12〜19のノニオン系乳化剤が好ましく用いられる。
また、粘着剤の耐水性を著しく損なわない範囲において、必要に応じて、例えば重合性や流動性等を調節する等の目的で、ノニオン系乳化剤に加えて、アニオン系またはカチオン系の界面活性剤を添加してもよい。かかる界面活性剤は、主成分たるノニオン系乳化剤と併せて用いる副成分とし、その添加量は、通常凡そ0.5質量部以下とすることが好ましい。アニオン系界面活性剤の例としては、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(プロペニル化)アルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム等が挙げられる。カチオン系界面活性剤の例としては、アルキルアミン塩、トリメチルアルキルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩等が挙げられる。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、アクリル系重合体エマルションの調整(例えば、アクリル系重合体の合成)において、ノニオン系乳化剤のみを使用する。かかる態様によると、より耐水性に優れた粘着剤が実現され得る。乳化剤として反応性ノニオン系乳化剤のみを用いることが特に好ましい。
上述のような乳化剤は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。乳化剤の総添加量は、モノマー成分の総量100質量部に対して、凡そ0.1〜10質量部とすることが好ましく、凡そ0.3〜5質量部とすることが更に好ましい。上記範囲より多すぎると、その重合体をモノマー主成分とする粘着剤において、接着性が劣ったり、耐水性の向上効果が低くなったりする場合がある。また、上記範囲より少なすぎると、モノマーの乳化が不十分になることや重合安定性が低くなることがある。
また、エマルジョン液の安定化や粘度調節等のため、保護剤や分散剤として中性の水溶性ポリマーを、重合時や重合後(基材への付与前)に添加してもよい。使用する水溶性ポリマーは、重量平均分子量が10×10以下であることが望ましい。添加量は、耐水性向上効果を損なわない範囲とし、例えば、モノマー成分100質量部に対して、通常凡そ10質量部以下であり、好ましくは凡そ1質量部以下である。これよりも多すぎると、被着体への接着性や耐水接着性が低減することがある。
上記水溶性ポリマーとしては、例えば、酢酸基等のエステル基の一部がケン化により水酸基に誘導された態様のポリビニルアルコール系重合体(PVA)、メチルセルロース、エチルセルロース等の水溶性セルロース、澱粉等が挙げられる。上記PVAとしては、ケン化度が凡そ70以上100未満(典型的には70以上99以下)のものを使用することが出来る。ここで、ケン化度とは、酢酸基と水酸基の合計数に対する水酸基の百分率である。
ここで使用され得る各種水溶性ポリマーの市販品としては、例えば、株式会社クラレ製の商品名「PVA124」、同「PVA224E」、同「PVA235」;日本合成化学工業株式会社製の商品名「ゴーセノールNH26」、同「ゴーセノールGH23」、同「ゴーセノールZ320」;等が挙げられる。
重合時に用いる重合開始剤は、公知乃至慣用の重合開始剤から適宜選択することができる。例えば、アゾ系重合開始剤を好ましく使用し得る。アゾ系開始剤の具体例としては、2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、アゾビスブチロニトリル等が挙げられる。
使用し得る他の開始剤としては、例えば、過酸化物系開始剤、過酸化物と還元剤との組合せによるレドックス系開始剤等が挙げられる。過酸化物系開始剤の具体例としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素等が挙げられる。レドックス系開始剤としては、例えば、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムとの組合せが挙げられる。
なかでも、重合安定性や粘着剤の耐水性等の観点からは、非塩系の水溶性開始剤が好ましい。その例としては、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物等が挙げられる。
このような重合開始剤は、単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。重合開始剤の使用量は、通常の使用量であればよく、例えば、全モノマー成分100質量部に対して凡そ0.005〜1質量部(典型的には凡そ0.01〜1質量部)程度の範囲から選択することができる。
また、上記モノマー成分のエマルション重合にあたっては、該重合により生成するアクリル系重合体の分子量を調整するために、連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、1−ドデカンチオール、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸2−エチルへキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール等のメルカプタン類;アリールアルコールやアリールアクリレートなどのアリール基含有化合物類等を用いることができる。
かかる連鎖移動剤は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。連鎖移動剤の配合割合は、モノマー成分100質量部に対して、例えば、凡そ0.5質量部以下とすることが好ましい。
ここで開示される技術における粘着剤組成物は、アクリル系重合体の水分散液に加えて、さらに粘着付与樹脂を含有し得る。粘着付与樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ロジン系、テルペン系、炭化水素系(例えば、脂肪族系、脂環族系、芳香族系(キシレン等)、共重合系等の各種石油樹脂を含む)、エポキシ系、ポリアミド系、エラストラマー系、フェノール系、ケトン系等、の各種粘着付与樹脂を用いることができる。粘着付与樹脂は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
また、付与する際は、そのまま、あるいは水分散液として用いることができる。水分散液は、付与する際にムラが生じにくいため好ましい。
粘着付与樹脂の含有量は、耐水性を顕著に損なわない範囲とすることが好ましい。例えば、粘着剤組成分中の固形分(重合体)100質量部に対して、凡そ30質量部以下(典型的には0.1〜30質量部)、水分散液では凡そ10質量部以下(典型的には0.1〜10質量部)とすることが好ましい。
上記粘着剤組成物は、上記のような成分に加えて、必要に応じ、他の成分として更に分散剤、剥離調整剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、着色剤(顔料、染料等)、老化防止剤、界面活性剤等の各種添加剤を含有し得る。これらの添加剤の配合割合は、耐水性を損なわない範囲で適宜選択することができる。
ここに開示される粘着シートにおいて、粘着剤層を支持(裏打ち)する基材としては、例えば、プラスチックフィルム類、紙類、布類、ゴムシート類、発砲シート類、金属箔等、およびこれらの複合体を用いることができる。上記プラスチックフィルム類は、無延伸タイプであってもよく、延伸タイプ(一軸延伸タイプまたは二軸延伸タイプ)であってもよい。基材は、単層の形態を有していてもよく、積層された形態を有していてもよい。
上記プラスチックフィルム類としては、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等)製フィルム、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)製フィルム、塩化ビニル系樹脂製フィルム、酢酸ビニル系樹脂製フィルム、ポリイミド系樹脂製フィルム、ポリアミド系樹脂製フィルム、フッ素系樹脂製フィルム、その他セロハン類等が挙げられる。
上記紙類としては、例えば、和紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、合成紙、トップコート紙等が挙げられる。
上記布類としては、例えば、各種の繊維状物質の単独または混紡等による織布や不織布等が挙げられる。また、上記繊維状物質の具体例としては、天然繊維、半合成繊維または合成繊維のいずれでもよい。例えば、綿繊維、スフ、マニラ麻、パルプ、レーヨン、アセテート繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維等が挙げられる。
上記ゴムシート類としては、例えば、天然ゴムシート、ブチルゴムシート等が挙げられる。
上記発泡体シート類としては、例えば、発泡ポリウレタンシート、発泡ポリクロロプレンゴムシート等が挙げられる。
上記金属箔としては、例えば、アルミニウム箔、銅箔等が挙げられる。
上記基材には、必要に応じて、充填剤(無機充填剤、有機充填剤など)、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、着色剤(顔料、染料など)等の各種添加剤が配合されていてもよい。基材の表面(特に、粘着剤層が設けられる側の表面)には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、他の下塗り剤の塗布等の、公知または慣用の表面処理が施されていてもよい。このような表面処理は、例えば、粘着剤層の基材投錨性を高めるための処理であり得る。基材の厚さは目的に応じて適宜選択できるが、一般には凡そ10μm〜500μm(好ましくは凡そ10μm〜200μm)程度である。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において「部」および「%」は、特に断りがない限り質量基準である。
<例1>
厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(基材)の第1面にコロナ処理を施し、その第1面に、トルエンジイソシアネート3モルとトリメチロールプロパン1モルを反応させて得られた3官能イソシアネート化合物(下記式(I)で表される化合物)を7.5%含む酢酸エチル溶液をワイヤーバーで塗付し、85℃で3分間乾燥させてポリイソシアネート層が約0.5g/m積層された基材1−Aを得た。
反応容器に、蒸留水100部と反応性ノニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、商品名「アクアロンRN20」)3部とを加えた。これに2−エチルヘキシルアクリレート99部、アクリル酸1部、エチレングリコールジアクリレート0.02部、シランカップリング剤(信越化学社製、商品名「KBM−503」)0.1部を添加し、混合攪拌してモノマープレエマルションを調製した。
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、上記のモノマープレエマルションを投入し、攪拌しながら60℃で1時間窒素置換した。ここに、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミヂン]水和物(重合開始剤)0.05部を蒸留水2部に溶かした溶液を添加した。これを60〜65℃で5時間保持して重合反応を行った後、室温まで冷却した。この混合物をろ過してアクリル系粘着剤の水分散液(エマルション1−B)を得た。
上記エマルション1−Bを上記基材1−Aのポリイソシアネート層の上にアプリケーターで塗布し、80℃で3分間、更に140℃で5分間乾燥して厚さが20μmの粘着剤層を形成し、粘着シート1−Cを得た。
Figure 0005411580
<例2>
濃度が1.5%の3官能イソシアネート化合物の酢酸エチル溶液を用いて、例1と同様の方法で、ポリイソシアネート層が約0.1g/m積層された基材2−Aを得た。
この基材2−Aおよび上記エマルション1−Bを用い、例1と同様にして、厚さが5μmの粘着剤層が付与された粘着シート2−Cを得た。
<例3>
濃度が30%の3官能イソシアネート化合物の酢酸エチル溶液を用いて、例1と同様の方法で、ポリイソシアネート層が約2g/m積層された基材3−Aを得た。
この基材3−Aおよび上記エマルション1−Bを用い、例1と同様にして、厚さが50μmの粘着剤層が付与された粘着シート3−Cを得た。
<例4>
反応性ノニオン界面活性剤の代わりに、非反応性ノニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、商品名「イノゲンEA177」)3部を用いた以外例1と同様にして、アクリル系粘着剤の水分散液(エマルション4−B)を得た。
このエマルション4−Bおよび上記基材1−Aを用い、例1と同様にして、厚さが20μmの粘着剤層が付与された粘着シート4−Cを得た。
<例5>
反応容器に、蒸留水100部と反応性ノニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、商品名「アクアロンRN30」3部とを加えた。これに、ブチルアクリレート97部、アクリル酸3部、シランカップリング剤(信越化学社製、商品名「KBM-503」)0.05部を添加し、混合攪拌してモノマープレエマルションを調製した。それ以外は例1と同様にして、アクリル系粘着剤の水分散液(エマルション5−B)を得た。
このエマルション5−Bおよび上記基材1−Aを用い、例1と同様にして、厚さが20μmの粘着剤層が付与された粘着シート5−Cを得た。
<例6>
例1の3官能イソシアネート化合物溶液に代えてブロック処理されたポリイソシアネート化合物の水分散液(三井化学ポリウレタン社製、商品名「タケネートWB700」の3倍希釈液)を用いた以外は例1と同様にして、ポリイソシアネート層が約0.5g/m積層された基材6−Aを得た。
この基材6−Aおよび上記エマルション1−Bを用い、例1と同様にして、厚さが20μmの粘着剤層が付与された粘着シート6−Cを得た。
<例7>
例1の3官能イソシアネート化合物溶液に代えてポリイソシアネート化合物の水分散液(日本ポリウレタン社製、商品名「アクアネート210」の濃度15%分散液)を用いた以外は例1と同様にして、ポリイソシアネート層が約0.5g/m積層された基材7−Aを得た。
この基材7−Aおよび上記エマルション1−Bを用い、例1と同様にして、厚さが20μmの粘着剤層が付与された粘着シート7−Cを得た。
<例8>
坪量17g/mのレーヨン不織布(基材)に、ポリイソシアネート化合物の水分散液(三井化学ポリウレタン社製、商品名「タケネートWB700」の3倍希釈液)を含浸させ、ワイヤーバーで表面を扱いた後、85℃で3分間乾燥してポリイソシアネート化合物が約2g/m付与された基材8−Aを得た。
グラシン紙の片面に剥離処理を施し、該片面に上記エマルジョン5−Bをアプリケーターで塗布し、85℃で5分間乾燥して、厚さ50μmの粘着剤層が付与された剥離ライナーを作製した。同じものをもう1枚用意した。上記基材8−Aの各面に、これら粘着剤層付き剥離ライナーを1枚ずつ貼り合わせ、80℃の加熱ロールを通して圧着した後、125℃で10分間加熱して両面粘着シート8−Cを得た。
<例9>
上記エマルション1−B100部に、ブロックしたポリイソシアネート化合物の水分散液(三井化学ポリウレタン社製、商品名「タケネートWB700」)2部を混ぜ、アクリル系粘着剤の水分散液(エマルション9−B)を得た。
このエマルション9−Bおよび上記基材2−Aを用い、例1と同様にして、厚さが70μmの粘着剤層が付与された粘着シート9−Cを得た。
<例10>
エマルション9−Bに代えてエマルション1−Bを用い、その他の点は例9と同様にして、厚さが70μmの粘着剤層が付与された粘着シート10−Cを得た。
<例11>
片面にコロナ処理が施された厚さ25μmのPETフィルム(基材)に上記エマルション1−Bをアプリケーターで直接塗布し、その他の点は例1と同様にして、厚さが20μmの粘着剤層が付与された粘着シート11−C(ポリイソシアネート層を含まない粘着シート)を得た。
<例12>
例1の反応性ノニオン界面活性剤に代えてアニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、商品名「アクアロンH20」)を用いた以外は例1と同様にして、アクリル系粘着剤の水分散液(エマルション12−B)を得た。
このエマルション12−Bおよび上記基材1−Aを用い、例1と同様にして、厚さが20μmの粘着剤層が付与された粘着シート12−Cを得た。
<例13>
上記基材1−Aにエマルション1−Bをアプリケーターで直接塗布し、80℃で15分間、更に140℃で15分間乾燥して、厚さ150μmの粘着剤層が付与された粘着シート13−Cを得た。
例1〜13の粘着シートについて、以下の方法で耐水性を評価した。
<耐水白化性>
(目視試験)
例8以外の各粘着シートについては、それぞれ、剥離処理を施したグラシン紙(剥離ライナー)を各粘着剤層に貼り合わせ、50℃で7日間保存した。この粘着シートを、幅10mmにカットして試験片を作製した。この試験片から剥離ライナーを剥がし、被着体としてのステンレス板(430BA)に、幅10mm、長さ100mmの接着面積にて貼り付けた。
例8の両面粘着シートは、そのまま50℃で7日間保存した後、幅10mmにカットして試験片を作製した。この試験片から第1の剥離ライナーを剥がし、その他のサンプルと同様にステンレス板に貼り付けた。
ステンレス板に貼り付けられた各試験片を室温で水中に浸漬し、72時間後に試験片の外観を目視により、次の3段階に評価した。
◎: 白化なし
○: かすかな白化のみ
×: 明らかに白化あり
(ヘイズ値測定)
厚さ25μmのPETフィルムを基材とする例1〜7および例9〜13に係る粘着シートを、作製後50℃で7日間保存し、次いでその粘着剤層に別のPETフィルム(厚さ25μm)を貼り合わせた。これを室温で水中に浸漬し、5日後に試験片のヘイズ値(%)を、25℃の温度で、ヘイズ・透過率計(株式会社村上色彩技術研究所製の型式「HR−100」)を用いて測定した。なお、ヘイズ値は、全光線透過率に対する散乱光線透過率の百分率であり、値が小さいほど透明性が高いことを示す。
<耐水接着性>
上記目視試験後の各試験片につき、付着した水を拭き取った後、粘着シートを手で引っ張り、該粘着シートをステンレス板からはがす際に手を通して感じられた抵抗力により、次の3段階に評価した。
○: 抵抗がある
△: 少し抵抗がある
×: ほとんど抵抗がない
以上の耐水白化性および耐水接着性評価結果を、各例の粘着シートの構成とともに表1および表2に示す。
Figure 0005411580
Figure 0005411580
表1および2に示されるように、ポリイソシアネート層を有する例1〜10の粘着シートによると、ポリイソシアネート層を含まない例11の粘着シートに比べて、耐水白化性および耐水接着性を顕著に向上させることができた。また、主たる乳化剤としてノニオン系乳化剤を使用して合成されたアクリル重合体を用いてなる例1〜10の粘着シートは、主たる乳化剤としてアニオン系乳化剤を使用して合成されたアクリル重合体を用いてなる例12の粘着シートに比べ、耐水白化性および耐水接着性のいずれの粘着特性についてもより良好であった。粘着剤層の厚さが20μmの例1の粘着シートは、同厚さが150μmであること以外は例1と同条件で作製された例13の粘着シートに比べて、耐水白化性および耐水接着性のいずれの粘着特性についてもより優れていた。また、ポリイソシアネート層を備え、且つ粘着剤層にもポリイソシアネートが添加されてなる例9の粘着シートは、粘着剤層にポリイソシアネートが添加されなかったこと以外は全て例9と同条件の例10の粘着シートに比べ、耐水白化性がより優れていた。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1:基材
2:ポリイソシアネート層
3:粘着剤層
4:剥離ライナー
11,12,13,14:粘着シート

Claims (5)

  1. 基材とアクリル系粘着剤層とを有する粘着シートであって、
    前記アクリル系粘着剤層は、ノニオン系乳化剤を用いて得られたアクリル系重合体の水分散液から形成されたものであり、且つ該粘着剤層の厚さが100μm以下であり、
    前記基材の少なくとも第1面には、ポリイソシアネートからなるポリイソシアネート層が付与されており、
    そのポリイソシアネート層の上に前記粘着剤層が設けられている、粘着シート。
  2. 前記ポリイソシアネート層の付与量が0.01〜10g/mである、請求項1に記載の粘着シート。
  3. 前記ポリイソシアネート層が、ブロック剤でイソシアネート基がブロックされているブロック型ポリイソシアネートを含む、請求項1または2に記載の粘着シート。
  4. 前記ブロック型ポリイソシアネートの解離温度が100℃以上200℃以下である、請求項3に記載の粘着シート。
  5. 粘着シートを製造する方法であって、
    基材の少なくとも第1面に、ポリイソシアネートからなるポリイソシアネート層を積層すること、および、
    前記基材上の前記ポリイソシアネート層の上に、ノニオン系乳化剤を用いて得られたアクリル系重合体の水分散液から形成されるアクリル系粘着剤層を積層すること;
    を含む、粘着シートの製造方法。
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