本発明は、血液成分を発色試薬に反応させてその発色を光学的に測定する(例えば、血液成分と反応する発色試薬を担持する試験紙を用いて前記血液成分の濃度を測定する)血液成分測定装置を校正する際に使用する校正試薬の調整方法、校正試薬、およびこの校正試薬を用いた血液成分測定装置の校正方法に関する。
血液中の特定成分を測定する方法として、特定成分と反応して発色する発色試薬を含浸させた試験紙などに、血液を含ませて、発色試薬の呈色度合いを測定する方法がある。そして、この方法を用いて、発色試薬を含む試験紙に対し特定波長の光を当てて、その光の反射強度から特定対象である特定成分を検出または検量する血液成分測定装置がある(たとえば特開2004−347436号公報)。
このような血液成分測定装置においては、装置そのものあるいは試験紙を含めた測定システムが前記特定成分を正しく測定できているかどうかを調べる必要がある。そのために校正用の校正試薬(標準試薬と称されることもある)がさまざま開発されている。具体的にはたとえば、前記特定成分としてグルコースを測定する場合、あらかじめ既知量のグルコースを、溶媒である水に、緩衝剤、防腐剤、表面活性剤または界面活性剤などと共に混合した校正試薬がある(特許第3509864号)。
しかしながら、特許第3509864号の技術のように、グルコースなどの血液中に含まれる特定成分を測定する場合の校正試薬では、溶液の色が血液とは異なりほぼ透明に近いものであるため、実際の装置校正の際に誤差が出てしまうという問題がある。
この問題は、基本的に、発色試薬含有試験紙に対して血液を吸収させた場合には、特定成分による発色と共に血液色を伴うが、校正試薬の場合には血液による色がないため発色試薬の反応色(生成した色素の色)だけとなるため、同じ測定アルゴリズムでは血液色の分だけ値がずれてしまうためである。
そこで、本発明の目的は、血液の色と、血液中の成分によって発色試薬が発色した色とが混ざった状態の色を測定する測定装置を校正することができる校正試薬の調整方法を提供することである。
本発明の他の目的は、血液の色と、血液中の成分によって発色試薬が発色した色とが混ざった状態の色を測定する測定装置を校正することができる校正試薬を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、血液の色と、血液中の成分によって発色試薬が発色した色とが混ざった状態の色を測定する測定装置を校正することができる校正試薬を用いた血液成分測定装置の校正方法を提供することである。
また、本発明者らは、上述したような問題の解決を図るため、校正試薬に色素を添加して、校正色素の色を血液に似せることを試みた。かような工夫を施すことで、上述した問題をある程度は解決することが可能であった。しかしながら、別途添加される色素は、血液成分とは異なる物理的特性を有することから、別の問題が生じることが判明した。
すなわち、測定装置には一般的に、測定装置を用いて血液サンプル中の特定成分(例えば、グルコース)の測定を行なう際の温度条件による測定値のばらつきを補正するための温度補正アルゴリズムがプログラミングされている。これは、測定時の温度条件が変化すると、これに伴って測定装置による測定値がばらつく(通常は、測定温度が上昇すると測定値は大きくなる傾向にある)のを補正することを目的としている。しかしながら、校正試薬の色を血液色と似せる目的で別途添加される上述したような色素が血液と同様の温度特性を示すわけではない。従って、血液用にプログラミングされているアルゴリズムを校正試薬に適用して測定装置の校正を行なおうとすると、血液と校正試薬中の色素との温度特性の差異に起因して、正確な校正が行なわれないという問題があることが判明した。
そこで、本発明のさらに他の目的は、測定時の温度条件が変化した場合であっても、測定装置を正確に校正することができる校正試薬の調整方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、測定時の温度条件が変化した場合であっても、測定装置を正確に校正することができる校正試薬を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、測定時の温度条件が変化した場合であっても、測定装置を正確に校正することができる校正試薬を用いた血液成分測定装置の校正方法を提供することである。
上記目的は下記の手段により達成される。
(1)血液成分を光学的に測定する血液成分測定装置を校正する際に使用する校正試薬の調整方法であって、校正試薬の性状が血液の性状に近づくように、異なる2種以上の色素を組み合わせて調整することを特徴とする、校正試薬の調整方法。
(2)血液成分を光学的に測定する血液成分測定装置を校正する際に使用する校正試薬の調整方法であって、前記血液成分測定装置に用いられる発光素子の公称波長を中心値とする発光スペクトルの少なくとも半値幅の波長範囲内において、吸収スペクトルの傾きが異なる第1色素と第2色素を組み合わせて、前記波長範囲内における組み合わされた吸収スペクトルの形状が、前記波長範囲内における血液の吸収スペクトルの形状と同じになるように調整することを特徴とする、校正試薬の調整方法。
(3)前記第1色素は前記公称波長より長波長側が短波長側よりも高い吸光度の吸収スペクトルを持ち、前記第2色素は前記公称波長より短波長側が長波長側よりも高い吸光度の吸収スペクトルを持つことを特徴とする、上記(2)に記載の調整方法。
(4)前記発光スペクトルの半値幅の波長範囲は、少なくとも波長580〜630nmの範囲であることを特徴とする、上記(2)または(3)に記載の調整方法。
(5)前記第1色素は、波長610nm以上700nm未満の範囲内に吸収スペクトルのピークを有し、前記第2色素は、波長560nm以上610nm未満の範囲内に吸収スペクトルのピークを有することを特徴とする、上記(2)〜(4)のいずれか1つに記載の調整方法。
(6)血液成分を試験紙を用いて光学的に測定する血液成分測定装置を校正する際に用いる校正試薬の調整方法であって、前記試験紙の一方の面に前記校正試薬を点着し他方の面に所定波長の光を照射して反射吸光度を測定したときの該反射吸光度の測定温度に基づく変化傾向が、前記校正試薬に代えて血液を点着して測定したときの反射吸光度の測定温度に基づく変化傾向と同じになるように、異なる2種以上の色素を組み合わせて調整することを特徴とする、校正試薬の調整方法。
(7)前記2種以上の色素を、校正試薬が血液中の色素成分を含まないことに起因する測定誤差を補正するように組み合わせることを特徴とする、上記(6)に記載の調整方法。
(8)前記2種以上の色素を、前記血液成分測定装置に用いられる発光素子の公称波長に、前記発光素子の発光スペクトルの半値幅の中心値を置いたときの、前記公称波長を中心値とする少なくとも前記半値幅の波長範囲内において、反射吸光度スペクトルの傾きが異なる2種以上の色素から選択して組み合わせることにより、前記波長範囲内において、反射吸光度スペクトルの傾斜傾向が、前記波長範囲内における血液の反射吸光度スペクトルの傾斜傾向と同じになるように調整することを特徴とする、上記(7)に記載の調整方法。
(9)前記2種以上の色素が、610nmより短波長側に最大吸収波長を有する色素群から選択される1種以上の色素と、610nmより長波長側に最大吸収波長を有する色素群から選択される1種以上の色素とを含むことを特徴とする、上記(6)〜(8)のいずれか1つに記載の調整方法。
(10)前記2種以上の色素が、6−アミノ−4−ヒドロキシ−5((4−ニトロ−2−スルホフェニル)アゾ)−2−ナフタレンスルホン酸およびアルファズリンAを含むことを特徴とする、上記(9)に記載の調整方法。
(11)血液成分を試験紙を用いて光学的に測定する血液成分測定装置を校正する際に用いる校正試薬の調整方法であって、前記血液成分測定装置に用いられる発光素子の公称波長を中心値とする発光スペクトルの少なくとも半値幅の波長範囲内において、吸収スペクトルの傾きが異なる第1色素と第2色素を組み合わせて、前記波長範囲内における組み合わされた吸収スペクトルの形状が、前記波長範囲内における血液の吸収スペクトルの形状と同じになるように、かつ、前記試験紙の一方の面に前記校正試薬を点着し他方の面に所定波長の光を照射して反射吸光度を測定したときの該反射吸光度の測定温度に基づく変化傾向が、前記校正試薬に代えて血液を点着して測定したときの反射吸光度の測定温度に基づく変化傾向と同じになるように調整することを特徴とする、校正試薬の調整方法。
(12)血液成分を光学的に測定する血液成分測定装置を校正する際に使用する校正試薬であって、その成分量が既知の血液成分と、異なる2種以上の色素とを有し、前記2種以上の色素が、校正試薬の性状が血液の性状に近づくように組み合わされていることを特徴とする、校正試薬。
(13)血液成分を光学的に測定する血液成分測定装置を校正する際に使用する校正試薬であって、その成分量が既知の血液成分と、前記血液成分測定装置に用いられる発光素子の公称波長を中心値とする発光スペクトルの少なくとも半値幅の波長範囲内において、吸収スペクトルの傾きが異なる第1色素と第2色素とを有し、前記波長範囲内における組み合わされた吸収スペクトルの形状が、前記波長範囲内における血液の吸収スペクトルの形状と同じになるように調整されていることを特徴とする、校正試薬。
(14)前記第1色素は前記公称波長より長波長側が短波長側よりも高い吸光度の吸収スペクトルを持ち、前記第2色素は前記公称波長より短波長側が長波長側よりも高い吸光度の吸収スペクトルを持つことを特徴とする、上記(13)に記載の校正試薬。
(15)前記発光スペクトルの半値幅の波長範囲は、少なくとも波長580〜630nmの範囲であることを特徴とする、上記(13)または(14)に記載の校正試薬。
(16)前記第1色素は、波長610nm以上700nm未満の範囲内に吸収スペクトルのピークを有し、前記第2色素は、波長560nm以上610nm未満の範囲内に吸収スペクトルのピークを有することを特徴とする、上記(13)〜(15)のいずれか1つに記載の校正試薬。
(17)血液成分を試験紙を用いて光学的に測定する血液成分測定装置を校正する際に用いる校正試薬であって、その成分量が既知の血液成分と、前記試験紙の一方の面に前記校正試薬を点着し他方の面に所定波長の光を照射して反射吸光度を測定したときの該反射吸光度の測定温度に基づく変化傾向が、前記校正試薬に代えて血液を点着して測定したときの反射吸光度の測定温度に基づく変化傾向と同じになるように組み合わされた異なる2種以上の色素とを有することを特徴とする、校正試薬。
(18)前記2種以上の色素が、610nmより短波長側に最大吸収波長を有する色素群から選択される1種以上の色素と、610nmより長波長側に最大吸収波長を有する色素群から選択される1種以上の色素とを含むことを特徴とする、上記(17)に記載の校正試薬。
(19)前記2種以上の色素が、6−アミノ−4−ヒドロキシ−5((4−ニトロ−2−スルホフェニル)アゾ)−2−ナフタレンスルホン酸およびアルファズリンAを含むことを特徴とする、上記(18)に記載の校正試薬。
(20)血液成分を試験紙を用いて光学的に測定する血液成分測定装置を校正する際に用いる校正試薬であって、その成分量が既知の血液成分と、前記血液成分測定装置に用いられる発光素子の公称波長を中心値とする発光スペクトルの少なくとも半値幅の波長範囲内において、吸収スペクトルの傾きが異なる第1色素と第2色素とを有し、前記波長範囲内における組み合わされた吸収スペクトルの形状が、前記波長範囲内における血液の吸収スペクトルの形状と同じになるように、かつ、前記試験紙の一方の面に前記校正試薬を点着し他方の面に所定波長の光を照射して反射吸光度を測定したときの該反射吸光度の測定温度に基づく変化傾向が、前記校正試薬に代えて血液を点着して測定したときの反射吸光度の測定温度に基づく変化傾向と同じになるように、前記第1色素と第2色素とが組み合わされていることを特徴とする、校正試薬。
(21)前記血液成分を測定するために用いる波長が、前記血液成分と反応する発色試薬に基づく波長であることを特徴とする、上記(12)〜(20)のいずれか1つに記載の校正試薬。
(22)血液成分を光学的に測定する血液成分測定装置の校正方法であって、上記(12)〜(16)のいずれか1つに記載の校正試薬を用い、当該校正試薬を前記血液成分測定装置に適用して測定値を求め、当該測定値が前記校正試薬の既知の成分量から設定した許容範囲内にあるか否かを判定することを特徴とする、血液成分測定装置の校正方法。
(23)血液成分を試験紙を用いて光学的に測定する血液成分測定装置の校正方法であって、上記(17)〜(20)のいずれか1つに記載の校正試薬を用い、当該校正試薬を前記血液成分測定装置に適用して測定値を求め、当該測定値が前記校正試薬の既知の成分量から設定した許容範囲内にあるか否かを判定することを特徴とする、血液成分測定装置の校正方法。
本発明によれば下記の効果を奏する。
上記(1)に記載の発明によれば、校正試薬の性状が血液の性状に近づくように、異なる2種以上の色素を組み合わせて調整することとしているため、血液の色と、血液中の成分によって発色試薬が発色した色とが混ざった状態の色を測定する装置を校正する校正試薬の色を容易に調整することができる。
上記(2)または(3)に記載の発明によれば、2つの色素を用いて着色することで、測定に使用する発光素子の発光スペクトルにおける公称波長を中心としてその半値幅の波長範囲内を血液の吸収スペクトルと同様の傾斜傾向となるようにしたので、血液の色と、血液中の成分によって発色試薬が発色した色とが混ざった状態の色を測定する装置を校正する校正試薬の色を容易に調整することができる。しかも、色の調整範囲を発光素子の発光スペクトルにおける最大発光波長を中心として少なくともその半値幅の波長範囲内としていることで、わずか2つの色素で、当該波長範囲においては十分に血液色に似せることができるのである。
上記(4)に記載の発明によれば、少なくとも波長580〜630nmの範囲において血液の吸収スペクトルの傾斜傾向と同じになるようにしたので、公称波長が610nmとして設定されている発光素子を用いる場合に、その発光素子の最大発光波長がこの範囲内でばらついていても、そのばらつきを考慮することなく装置校正を行うことができる校正試薬を調整することができる。
上記(5)に記載の発明によれば、第1色素としては波長610nm以上700nm未満の範囲内に吸収スペクトルのピークを有するものを使用し、第2色素としては波長560nm以上610nm未満の範囲内に吸収スペクトルのピークを有するものを使用することにより、波長610nm中心として波長560〜700nmの範囲で、長波長側のスペクトルを上昇させたければ第1色素の量を多くし、短波長側のスペクトルを上昇させたければ第2色素の量を多くすることで、容易に校正試薬の吸収スペクトルを調整することができる。
上記(6)に記載の発明によれば、測定時の温度条件が変化した場合であっても、測定装置を正確に校正することができる校正試薬の調整方法が提供されうる。
上記(7)または(8)に記載の発明によれば、測定に用いられる波長範囲においては、他の誤差要因があっても、校正試薬の色を十分に血液色に似せることが可能となる。
上記(9)または(10)に記載の発明によれば、上記(6)に記載の発明による効果がより一層顕著に発現しうる。
上記(11)に記載の発明によれば、血液の色と、血液中の成分に基づく色とが混ざった状態の色を測定する装置を校正する校正試薬の色を容易に調整することができる。そして、測定時の温度条件が変化した場合であっても、測定装置を正確に校正することができる。
上記(12)に記載の発明によれば、異なる2種以上の色素が、校正試薬の性状が血液の性状に近づくように組み合わされているため、血液の色と、血液中の成分に基づく色とが混ざった状態の色を測定する装置を校正する上で、校正試薬専用の検量線を用いることなく、血液サンプルの測定と同じようにして校正動作を実行することができる。
上記(13)または(14)に記載の発明によれば、測定に使用する発光素子の発光スペクトルにおける公称波長を中心として少なくともその半値幅の波長範囲内を血液の吸収スペクトルと同様の傾斜傾向となるように、2つの色素を用いて調整した校正試薬であるので、血液の色と、血液中の成分に基づく色とが混ざった状態の色を測定する装置を校正する上で、校正試薬専用の検量線を用いることなく、血液サンプルの測定と同じようにして校正動作を実行することができる。
上記(15)に記載の発明によれば、少なくとも波長580〜630nmの範囲において血液の吸収スペクトルの傾斜傾向と同じになるようにしているので、公称波長が610nmとして設定されている発光素子を用いている場合に、その発光素子の最大発光波長がこの範囲内でばらついていても、そのばらつきを考慮することなく装置校正を行うことができる。
上記(16)に記載の発明によれば、第1色素としては波長610nm以上700nm未満の範囲内に吸収スペクトルのピークを有するものと使用し、第2色素としては波長560nm以上610nm未満の範囲内に吸収スペクトルのピークを有するものを使用しているので、波長560〜700nmの範囲で波長610nm中心として長波長側および短波長側が共に血液の吸収スペクトルの傾斜傾向とあった校正試薬となる。
上記(17)に記載の発明によれば、測定時の温度条件が変化した場合であっても、測定装置を正確に校正することができる校正試薬が提供されうる。
上記(18)または(19)に記載の発明によれば、上記(17)に記載の発明による効果がより一層顕著に発現しうる。
上記(20)に記載の発明によれば、血液の色と、血液中の成分に基づく色とが混ざった状態の色を測定する装置を校正する上で、校正試薬専用の検量線を用いることなく、血液サンプルの測定と同じようにして校正動作を実行することができ、かつ、測定時の温度条件が変化した場合であっても、測定装置を正確に校正することができる校正試薬が提供されうる。
上記(21)に記載の発明によれば、校正時の測定波長を、実際の血液サンプルの測定に用いられる波長(血液成分と反応する発色試薬に基づく波長)とすることで、発光素子を複数設ける必要がなく、血液用の測定アルゴリズムを使用することができる。
上記(22)に記載の発明によれば、別途校正試薬専用の検量線および測定モードを設けることなく、血液と同様に校正試薬で測定することができる。
上記(23)に記載の発明によれば、測定時の温度条件が変化した場合であっても、測定装置を正確に校正することができる校正試薬を用いた血液成分測定装置の校正方法が提供されうる。
グルコース測定装置の概略構成を説明するための説明図である。
発光ダイオードの発光スペクトルの個体差を説明するための図面である。
血液および無着色の校正試薬にそれぞれ既知量のグルコースを添加して測定したときの発色試薬による発色の吸収スペクトルを示すグラフである。
エリオグラウシンの吸収スペクトルを示す図である。
アルファズリンAの吸収スペクトルを示す図である。
アマランスの吸収スペクトルを示す図である。
色素Aの吸収スペクトルを示す図である。
ニトロレッドの吸収スペクトルを示す図である。
実施例1−1と比較例1の反射率スペクトルを示すグラフである。
実施例1−1と比較例1の吸収スペクトルを示すグラフである。
図9Aに発光素子の発光スペクトルを重ね合わせたグラフである。
図9Bに発光素子の発光スペクトルを重ね合わせたグラフである。
実施例1−1および比較例1の吸収スペクトルに、エリオグラウシン(ER)とアマランス(AM)のそれぞれ単独の吸収スペクトルを重ねて示した図である。
実施例1−2と比較例1の反射率スペクトルを示すグラフである。
実施例1−2と比較例1の吸収スペクトルを示すグラフである。
図12Aに発光素子の発光スペクトルを重ね合わせたグラフである。
図12Bに発光素子の発光スペクトルを重ね合わせたグラフである。
実施例1−2および比較例1の吸収スペクトルに、アルファズリン(AL)と色素Aのそれぞれ単独の吸収スペクトルを重ねて示した図である。
180mg/dLのグルコースを含有する血液サンプルを用い、測定時の温度を10℃、15℃、20℃、25℃、30℃と変化させた場合の反射吸光度スペクトルを重ねて示すグラフである。
血液(血糖値:180mg/dL)のグルコース濃度を5つの温度条件下(12℃、15℃、20℃、25℃、30℃)で測定し、温度補正アルゴリズムを用いて補正した後の測定値のグラフを示す。
エリオグラウシンが添加されてなる校正試薬を試験紙に点着し、分光計を用いて、各温度条件下(10℃、15℃、20℃、25℃、30℃)で測定したときの反射吸光度スペクトルを示すグラフである。
アルファズリンAが添加されてなる校正試薬を試験紙に点着し、分光計を用いて、各温度条件下(10℃、15℃、20℃、25℃、30℃)で測定したときの反射吸光度スペクトルを示すグラフである。
色素Aが添加されてなる校正試薬を試験紙に点着し、分光計を用いて、各温度条件下(10℃、15℃、20℃、25℃、30℃)で測定したときの反射吸光度スペクトルを示すグラフである。
アルファズリンAおよび色素Aを組み合わせて添加されてなる校正試薬(実施例)を用いて試験紙に点着し、分光計を用いて、各温度条件下(10℃、15℃、20℃、25℃、30℃)で測定したときの反射吸光度スペクトルを示すグラフである。
図15、18、19および20から、波長610nmにおける各反射吸光度を測定温度に対してプロットしたグラフである。
アルファズリンA単独、色素A単独、またはアルファズリンAと色素Aとの組み合わせが添加されてなる校正色素を用いて校正を行ない、図16と同様の血液用の温度補正アルゴリズムを適用することにより得られた測定値を示すグラフである。
エリオグラウシンを単独で含有する水溶液について、測定温度を変化させて反射吸光度のタイムコースを観察した結果を示すグラフである。
アルファズリンAを単独で含有する水溶液について、測定温度を変化させて反射吸光度のタイムコースを観察した結果を示すグラフである。
符号の説明
100 測定装置本体、
101 試験紙、
102 発光素子、
103 受光素子、
111 ホルダ。
発明を実施するための形態
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
本発明により提供される校正試薬は、その成分量が既知の血液成分と、異なる2種以上の色素とを含む。そして、当該校正試薬において、この2種以上の色素は、校正試薬の性状が血液の性状に近づくように組み合わされている。
本発明を適用した一実施形態による校正試薬において、この2つの色素は、血液成分測定装置に用いられる発光素子の公称波長に、発光素子の発光スペクトルの半値幅の中心値を置いたときの、公称波長を中心値とする少なくとも半値幅の波長範囲内において、この発光素子の公称波長より長波長側が短波長側よりも高い吸光度の吸収スペクトルを持つ第1色素と、同じく公称波長より短波長側が長波長側よりも高い吸光度の吸収スペクトルを持つ第2色素である。
そして、これら2つの色素によって調整された校正試薬は、血液成分測定装置に用いられている発光素子の発光スペクトルの最大発光波長を中心とする発光スペクトルの半値幅の波長範囲内において、その吸収スペクトルの形状が血液の吸収スペクトルの形状と同じになっている。
以下、このように2つの色素を用いて校正試薬の吸収スペクトルを調整する方法について詳細に説明する。
まず、血液中の特定成分を測定する血液成分測定装置(以下、単に「測定装置」とも称する)について説明する。
測定装置としては、例えば、前述した特許文献1に開示されているように、血中のグルコースを測定する血糖測定装置が挙げられる。
図1は、この血糖測定装置の概略構成を説明するための説明図である。
この血糖測定装置は、多孔質膜からなる試験紙101と、試験紙101へ特定波長の光を照射する発光素子102と、その反射光を受光する受光素子103とを有する。試験紙101はホルダ111にセットされている。ホルダ111は測定装置本体100と着脱自在である。試験紙101には、グルコースと反応して発色する発色試薬が予め含浸されている。
測定対象となる血液は、ホルダ111が測定装置本体100に装着された状態で、ホルダ111の細管を伝って試験紙101に吸収される。これにより、試験紙101では、含浸されている発色試薬とグルコースとが反応して色素が生成し、グルコース濃度に応じた濃さの色が呈される。
次いで、発光素子102から試験紙101へ特定波長の光を当て、その反射光を受光素子103で受け、反射光量を測定する。この際、発色した時点で計時を開始し、所定時間経過後にその反射光の強度から、血液中のグルコース濃度を算出する。
測定装置本体100には、図示しないマイクロコンピュータが内蔵されており、このマイクロコンピュータが受光素子103からの電気信号と、予め記憶されている検量線とを対比することでグルコース濃度を算出する。
なお、図示しないがこの測定装置には、測定結果を表示する表示装置、受光素子103からの電気信号量(ゲイン)を調整する調整器などが組み込まれている。
このような測定装置では、発光素子102として、測定成分であるグルコースと発色試薬が反応して生成する色素の反射吸光度スペクトルにおいて特徴的で定量性のよい波長を選択して用いている。このため、通常は、このような特定波長の光を発する発光ダイオード(LED)が用いられている。従って、反射光強度(実際には受光素子103からの信号電圧)からグルコース濃度を求めるための検量線は、この特定波長を基に作成されている。
ところで、発光ダイオードの波長は、公称波長を最大発光波長(ピーク)としてある程度の広がりを持つベルシェイプ(釣鐘型)をなしている。しかし、発光ダイオードには個体差があり、その最大発光波長は公称波長からわずかにずれ、公称波長付近でばらついている。
図2は、発光ダイオードの発光スペクトルの個体差を説明するための図面で、複数の発光ダイオードの発光スペクトルを示した図である。図において強度は、発光ダイオードの全光量に対する波長ごとの割合を示したものである。
ここでは、公称波長610nmとして市販されている発光ダイオード5個のデータを示した。図からわかるように、実際の最大発光波長は、610nmを中心に上下とも約5nm程度ずれている。つまり、発光ダイオードは、その発光波長として設定されている波長(公称波長)に対して、実際の発光波長はある程度ばらついているといえる。また、発光スペクトルの広がりは、約570〜680nm程度であり、発光スペクトルの最大発光波長のばらつきの範囲は約600〜615nm程度である。
一方、血液の吸収スペクトルは、波長ごとに異なる。図3は、血液および無着色の校正試薬(すなわち本発明を適用していない)に既知のグルコース量をそれぞれ添加して測定した吸収スペクトルを示すグラフである。
ここで図3は、B1:グルコース70mg/dlに調整した血液、S1:グルコース70mg/dlに調整した無着色校正試薬、B2:グルコース180mg/dlに調整した血液、S2:グルコース180mg/dlに調整した無着色校正試薬をそれぞれ示す。
図示するように、グルコース濃度が高いものも低いものも、血液に対して、無着色校正試薬では、波長約609nmを境に、波長が短い側で血液より低い吸光度を示し、波長が長い側で血液より高い吸光度を示している。
このことから血液と無着色の校正試薬とでは測定する波長がずれると、そのずれに応じて測定値の誤差が大きくなることがわかる。このため、実際の測定装置においては、血液を測定したときの発色からグルコース濃度を知るための検量線と、無着色の校正試薬を測定したときの発色からグルコース濃度を知るための検量線と2つの検量線を別々に用意しなければならない。
このような面倒な2つの検量線を用意せずに、血液用の検量線だけで校正試薬を測定したときの発色からグルコース濃度を知るためには、校正試薬のベースの吸収スペクトルを血液色の吸収スペクトルに合わせればよい。しかし、血液色に色を合わせるといっても、完全に同じ色にするには、多数(3つ、4つ、あるいはそれ以上)の色素が必要となり、かつそれらの混合度合いを調整するのは非常に難しい。
そこで、本実施形態では、測定に使用する波長を中心とした所定の範囲内だけ、血液の吸収スペクトルと同様の形状を示す吸収スペクトルを得ることとした。このような限定的な範囲内であれば一致させやすく、しかも完全に一致させるのではなく同様の形状を示すようにするだけであれば、2つ色素を使うことで容易に調整することができる。
ここで所定の波長範囲は、前述した個々の発光素子102による発光スペクトルの違い(ばらつき)を包含できればよい。つまり、発光素子102の最大発光波長が個々の発光素子102によってずれている範囲内で血液色と同傾向の吸収スペクトルとなっていれば、たとえ発光素子102の最大発光波長がばらついたとしても、血液と大きな測定差を生じることがなくなる。
そこで、再び、図2を参照すれば、発光素子102の最大発光波長のばらつきは、前記のとおり約600〜615nm程度である。この範囲は、ばらつきの広がりに対して安全率を考慮したとしても、おおむね公称波長である610nmを中心とした場合に、その半値幅の範囲、すなわち図2から波長580〜630nmの範囲に収まっていることがわかる。したがって、校正試薬の色は、血液成分測定装置に用いられる発光素子の公称波長に、発光素子の発光スペクトルの半値幅の中心値を置いたときの、公称波長を中心値とする少なくとも半値幅の波長範囲内において、血液色と同形状(同傾向)の吸収スペクトルを持つようにすればよいことになる。以下、発光素子102の発光スペクトルの半値幅の波長範囲を「所定範囲」という。
この所定範囲で吸収スペクトルを合わせるために用いる色素は、2種類である。1つは、発光スペクトルの公称波長より長波長側が短波長側よりも高い吸光度の吸収スペクトルを持つ第1色素である。もう一つの色素は、公称波長より短波長側が長波長側よりも高い吸光度の吸収スペクトルを持つ第2色素である。つまり、このような2つの色素は、所定範囲内でその吸収スペクトルの傾きが異なるものとなる。
このような2つの色素を用いることで、所定範囲内において、血液の吸収スペクトルと同様の傾斜傾向を示す吸収スペクトルとなる液体色に調整することができる。すなわち、吸収スペクトルの長波長側を高くなるように、その波形を傾けたければ第1色素を多くし、逆に短波長側が高くなるようにその波形を傾けたければ第2色素を多くすればよいのである。また、全体の着色濃度を高くしたければ、所望する吸収スペクトルとなる第1色素と第2色素の割合を保ったまま、それぞれの色素の溶媒全体に対する濃度を高くすればよい。
また、実際に試験紙101の反射率を測定する際に、その反射率に影響を与える光は、発光スペクトルの波長範囲全体ではなく、発光強度が最も強い最大発光波長の半値幅相当の範囲内の光である。したがって、半値幅相当の範囲を血液の吸収スペクトルと同様の傾斜傾向とすることで十分に測定誤差を減らすことができる。なお、形状が同様とは、血液の吸収スペクトルにおいて、たとえば長波長方向に傾きが正である波長範囲部分では、校正試薬の吸収スペクトルも同様に傾きが正となることである(逆の場合も同じように、短波長方向に傾きが正である波長範囲部分で、校正試薬も同様に傾きが正となることである)。すなわち、傾斜の傾向が同様であるともいえる。
このような2つの色素としては、たとえば、表1に示すような色素を挙げることができる。なお、表においては各色素の最大吸収波長のみ示したが、これらの色素はいずれも周知の色素であり具体的な吸収スペクトルは、色素のカタログや文献に開示されている。文献例としては、たとえばシグマアルドリッチハンドブック オブ ステイン, ダイ アンド インジケータ(The Sigma−Aldrich Handbook of Stains, Dyes and Indicators)、アルドリッチケミカル社(Aldrich Chemical Company)、1990年出版がある。
また、後述する実施例のとおり、ニトロレッドの吸収スペクトルと似た波長スペクトルの化合物(色素)である、6−アミノ−4−ヒドロキシ−5((4−ニトロ−2−スルホフェニル)アゾ)−2−ナフタレンスルホン酸(6−Amino−4−hydroxy−5((4−nitro−2−sulfophenyl)azo)−2−naphthalenesulfonic asid)(CAS No. 106579−09−3)も有効である。なお、この色素を、「色素A」と称する。この色素Aの吸収スペクトルは図7に示した(後述する実施例参照)。また、ニトロレッドの吸収スペクトルも図8に示した。
本発明を適用した他の実施形態において、校正試薬は、血液成分測定装置を校正するのに用いられる。そして、当該血液成分測定装置は、血液成分と反応する発色試薬を担持する試験紙を用いて前記血液成分の濃度を測定する。なお、当該装置の詳細については図1を参照して上述した通りであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
本実施形態の校正試薬は、水溶液中に2つの色素を含む。この2つの色素は、上述した血液成分測定装置が備える試験紙の一方の面に前記校正試薬を点着し他方の面に所定波長の光を照射して反射吸光度を測定したときの該反射吸光度の測定温度に基づく変化傾向が、前記校正試薬に代えて血液を点着して測定したときの反射吸光度の測定温度に基づく変化傾向と同じになるように組み合わされている。
ここで、図1に示す測定装置本体100に内蔵されているマイクロコンピュータ(図示せず)には、測定装置を用いて血液サンプル中のグルコースの測定を行なう際の温度条件による測定値のばらつきを補正するための温度補正アルゴリズムがプログラミングされている。これにより、測定時の温度変化に伴う測定値のばらつきを抑えることが可能である。これを図15および図16を参照しながら説明する(なお、詳細な測定条件等については、後述の実施例を参照)。図15は、180mg/dLのグルコースを含有する血液サンプルを用い、測定時の温度を10℃、15℃、20℃、25℃、30℃と変化させた場合の反射吸光度スペクトルを重ねて示すグラフである。図15に示すように、血液サンプルの反射吸光度は、測定温度が上昇するにつれて、全体的に吸光度が増加する方向にシフトする傾向にある。なお、かような温度依存的な吸光度変化のメカニズムは完全に明らかというわけではないが、例えば、試験紙中での展開性・浸潤性・吸着性などの物理的特性が温度の変化に起因して同様に変化することによるのではないかと推測される。
ここで、反射吸光度の測定には波長610nmの光を発するLEDを用いているが、図15に示すように、610nmの波長での温度による反射吸光度の変化は顕著である。この温度による吸光度の変化を補正し、常に一定の値が測定値として表示されるように、上述した温度補正アルゴリズムがプログラミングされているのである。参考までに、図16に、上記血液(血糖値:180mg/dL)のグルコース濃度を5つの温度条件下(12℃、15℃、20℃、25℃、30℃)で測定し、当該温度補正アルゴリズムを用いて補正した後の測定値のグラフを示す。図16に示すように、図15に示す温度変化に起因した反射吸光度の変化が当該アルゴリズムの適用によって補正され、温度の変化に関係なくほぼ正確かつ精確な値が測定値として得られることがわかる。
次に、校正試薬に目を向けると、校正試薬の色を血液色と似せる目的で別途添加される色素は、必ずしも血液と同様の温度特性を示すわけではないことが判明した。これを図面を参照しながら説明する。図17〜図19は、別途添加する色素として、エリオグラウシン(図17)、アルファズリンA(図18)、または色素A(図19)がそれぞれ添加されてなる校正試薬を試験紙に点着し、分光計を用いて測定した各温度(10℃、15℃、20℃、25℃、30℃)の反射吸光度スペクトルを示すグラフである。図17〜図19と図15との対比から明らかなように、波長610nmにおける温度特性は、各色素が単独で添加されてなる校正試薬(図17〜図19)と血液(図15)とではだいぶ異なる。具体的には、エリオグラウシン(図17)や色素A(図19)がそれぞれ単独で添加されてなる校正試薬では、波長610nmにおける反射吸光度の10〜30℃でのばらつきが、血液(図15)と比較して大きい。換言すれば、横軸に温度、縦軸に反射吸光度(610nm)をプロットした場合のグラフの傾きが、エリオグラウシンや色素Aの場合には血液よりも大きい(図21)。一方、アルファズリンA(図18)が単独で添加されてなる校正試薬では、波長610nmにおける反射吸光度の10〜30℃での傾きが、血液(図15)と比較して小さい。換言すれば、横軸に温度、縦軸に反射吸光度(610nm)をプロットした場合のグラフの傾きが、アルファズリンAの場合には血液よりも小さい(図21)。
これに対し、本実施形態の校正試薬は、2つの色素(アルファズリンAおよび色素A)が溶解した水溶液であり、特定の色素を単独で校正試薬に添加することによっては達成できなかった上述した問題が解決されうる。図20は、アルファズリンAおよび色素Aが組み合わせて添加されてなる校正試薬を用いて試験紙に点着し、分光計を用いて測定時の各温度(10℃、15℃、20℃、25℃、30℃)での反射吸光度スペクトルを示すグラフである。また、図21は、図15、18、19および20の波長610nmでの反射吸光度を各測定温度に対してプロットしたものである。これらからわかるように、アルファズリンAと色素Aとを組み合わせた校正試薬を試験紙に点着し反射吸光度を測定したときの測定温度に基づく測定波長付近における変化傾向は、前記校正試薬に代えて血液を点着して測定したときの測定温度に基づく測定波長付近における変化傾向と同じとなる。すなわち、アルファズリンAと色素Aとを組み合わせることによって、血液の温度特性とほぼ一致させることができる。
なお、本明細書において、「測定波長付近」とは、測定波長(例えば、610nm)に対して±30nmの範囲を意味する。また、上記2つの変化傾向が「同じとなる」とは、上記測定波長付近において、温度変化に対する出力値のグラフが揃うことを意味する。
なお、本実施形態において校正試薬を調整するにあたり、校正試薬に含ませる異なる2種以上の色素の具体的な形態については、上述した2つの変化傾向が同じとなるような組み合わせであればよく、その種類や添加量に特に制限はない。当業者であれば、図17〜図19に示すような反射吸光度スペクトルを参考にして、本発明に適用可能な色素の組み合わせを適宜選択することが可能である。より具体的な一例としては、まず、測定波長が610nmであれば、610nm付近(前後)に最大吸収波長を有する2つの色素を選択する。例えば、610nmよりも長波長側に最大吸収波長を有する、エリオグラウシンやアルファズリンAなどから1つ、610nmよりも短波長側に最大吸収波長を有する、ニトロレッドや色素A、リアクティブブラックなどからもう1つを選択する。次いで、選択した2つの色素について濃度比率を変化させた数パターン(例えば、3パターン)の水溶液を調製する。そのそれぞれについて、例えば後述する実施例の欄に記載の手法によって、血液と同様の温度特性を示すものを選び、校正試薬の調整を終了すればよい。この際、可能であれば、後述するより好ましい形態のように、任意の温度条件下において、測定波長(610nm)付近での反射吸光度スペクトルの傾斜傾向が血液と同じになるような色素を選択することがより好ましい。なお、用いられうる色素の一例としては、例えば、上述した表1に示すような色素が挙げられる。上述した色素Aもまた、本実施形態において好ましく用いられうる。
本発明において校正試薬に添加される2種以上の色素の組み合わせの好ましい形態としては、上述したアルファズリンAと、ニトロレッドまたは色素Aとの組み合わせが最も好ましいが、これらのみには限定されない。
本実施形態では、上述した作用効果に加えて、アルファズリンAとニトロレッドまたは色素Aとの2種の色素が校正試薬に含まれることによって、校正試薬が血液中の色素成分(血色素)を含まないことに起因する測定誤差が補正されるという利点もある。この点については、上述した実施形態の欄において詳細に説明したため、ここでは説明を省略する。
上述したようにして調整された校正試薬を用いて、前述した測定装置を校正する際には、試験紙101に本実施形態により着色された校正試薬を滴下し、通常の血液による測定動作と同じようにして測定装置で測定すればよい。そして、校正試薬中に含有されている既知のグルコース濃度に応じて設定されている許容範囲内に測定値が収まれば、その測定装置は動作上問題ないと判断する。また、許容範囲内に収まらない場合には、測定装置は測定に供さないか、調整してから再度校正を受けることになる。
実際に、本発明の校正試薬を測定装置に適用した結果を図22に示す。図22は、アルファズリンA単独、色素A単独、またはアルファズリンAと色素Aとの組み合わせが添加されてなる校正試薬を用いて校正を行ない、上記と同様の血液用の温度補正アルゴリズムを適用することにより得られた測定値を示すグラフである。図22に示すように、本実施形態によれば、血液成分測定装置が備える試験紙の一方の面に前記校正試薬を点着し他方の面に所定波長の光を照射して反射吸光度を測定したときの該反射吸光度の測定温度に基づく測定波長付近におけるグラフは、前記校正試薬に代えて血液を点着して測定したときの反射吸光度の測定温度に基づく測定波長付近におけるグラフとよく揃っている。
以上、本発明を適用した実施形態として、グルコースの測定を例に説明したが、本発明はこのような測定に用いられる校正試薬のみに限定されるものではない。例えば、コレステロール、尿酸、ピルビン酸などのさまざまな血液成分の測定に用いる装置の校正試薬を調整することができる。
さらに、上述した実施形態では、発色試薬を含浸させた試験紙を用いて、試験紙の発色を反射率として測定する装置を例示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、試験管などに入れた発色試薬を含む溶液中に血液サンプルを加えて、液体の透過吸光度を測定する装置の校正に用いる校正試薬とすることもできる。
以下、具体的な実験例を元に本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
本実施例は、2つの色素として、第1色素にエリオグラウシン、アルファズリンA、第2色素にアマランス、色素Aを、それぞれ用いて校正試薬の色の調整を行った。
図4は、エリオグラウシンの吸収スペクトルを示す図である。図4からわかるとおり、エリオグラウシンの吸収スペクトルは、最大波長(水中)は625nmであり、これを加えることで、約590〜630nmの波長範囲内では、より長波長側で吸収スペクトルの傾きが上昇することになる。ここで、吸光度は透過吸光度を意味し、透過率の逆数の対数で表される。
図5は、アルファズリンAの吸収スペクトルを示す図である。図5からわかるとおり、アルファズリンAの吸収スペクトルは、最大波長(水中)は637nmであり、これを加えることで、約590〜630nmの波長範囲内では、より長波長側で吸収スペクトルの傾きが上昇することになる。
図6は、アマランスの吸収スペクトルを示す図である。図6からわかるとおり、アマランスの吸収スペクトルは、最大波長(水中)は521nmであり、これを加えることで、約590〜630nmの波長範囲内では、より短波長側で吸収スペクトルの傾きが上昇することになる。
図7は、色素Aの吸収スペクトルを示す図である。図7からわかるとおり、色素Aの吸収スペクトルは、最大波長(水中)は552nmであり、これを加えることで、約590〜630nmの波長範囲内では、より短波長側で吸収スペクトルの傾きが上昇することになる。
図4〜6、および図8に示した吸収スペクトルは、シグマアルドリッチハンドブック オブ ステイン, ダイ アンド インジケータ(The Sigma−Aldrich Handbook of Stains, Dyes and Indicators)、アルドリッチケミカル社(Aldrich Chemical Company)、1990年出版に記載されているものである。
サンプルは、血液サンプル(比較例1)と本発明を適用して2色素により着色した校正試薬サンプル(実施例1−1および1−2)である。
比較例1の血液サンプルは、グルコース濃度167mg/dlであることを別途測定した血液である。
実施例1−1の校正試薬サンプルは、純水にエリオグラウシン0.046質量%、アマランス0.50質量%を添加した。
実施例1−2の校正試薬サンプルは、純水にアルファズリン0.055質量%、色素A0.23質量%を添加した。
なお、実施例1−1および1−2には、共にグルコース170mg/dlを添加している。またグルコースのほか添加物として、粘度調整剤(カルボキシメチルセルロース(CMC1260、ダイセル化学工業株式会社製))0.73質量%、pH緩衝材(ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES、同仁化学研究所製))250mM、防腐剤としてアジ化ナトリウム0.05質量%を添加している。
呈色試験は、発色試薬を含浸させた試験紙に実施例1および比較例1のサンプルをそれぞれ滴下し、十分に発色した状態で(たとえば、サンプル滴下後10秒経過時)、分光計USB−2000(Pj−1181/オーシャンオプティクス(OceanOptics)社製)により反射率を測定した。吸光度はこの反射率から求めたもので、ここでは256/反射率の値である。なお、256/反射率は反射率から吸光度を求めるためのものであるが、その数値は便宜上任意に設定したものであり、規定されているものではない。
なお、発色試薬は、グルコースオキシターゼ(GOD)、ペルオキシターゼ(POD)、4−アミノアンチピリン、およびN−エチルN−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジンの混合物である。
図9Aは実施例1−1と比較例1の反射率スペクトルを示すグラフであり、図9Bは同じく吸収スペクトルを示す図である。また、図10Aは図9Aに示した反射率に、図10Bは図9Bに示した吸光度に、それぞれ図2に示した発光素子の発光スペクトルを重ね合わせたグラフである。図10において右側目盛りは発光スペクトルの強度を示す。
図9AおよびBからわかるように、実施例1による校正試薬はグルコース濃度を測定する際に用いる生成色素に特徴的な波長610nmを含む約570〜650nmの波長範囲で、血液サンプルのスペクトル(比較例1)とよく合っていることがわかる。すなわち、実施例1−1のスペクトルと比較例1のスペクトルが約570〜650nmの波長範囲で、傾斜方向と角度がほぼ同じになっている。
そして、一致している波長範囲は図10AおよびBに示したように、ばらつきのある発光素子の発光スペクトルの波長範囲を略含む範囲であることがわかる。
さらに、図11は、実施例1−1および比較例1の吸収スペクトルに、エリオグラウシン(ER)とアマランス(AM)のそれぞれ単独の吸収スペクトルを重ねて示した図である。また図においては、波長範囲を図9AおよびB、図10AおよびBより広げて示した。この図からわかるように、それぞれの色素単独では血液サンプルの吸収スペクトル(比較例1)と一致させることが難しく、一方実施例1−1のようにこれら2つの色素を組み合わせることで、血液サンプルの吸収スペクトルを、発光スペクトルの波長範囲においてよく合わせられることがわかる。
次に、図12Aは実施例1−2と比較例1の反射率スペクトルを示すグラフであり、図12Bは同じく吸収スペクトルを示す図である。また、図13Aは図12Aに示した反射率に、図13Bは図12Bに示した吸光度に、それぞれ図2に示した発光素子の発光スペクトルを重ね合わせたグラフである。図13AおよびBにおいて右側目盛りは発光スペクトルの強度を示す。
実施例1−2においても、図12AおよびBから、約570〜650nmの波長範囲で、比較例1である血液サンプルのスペクトルとよく合っていることがわかる。すなわち、実施例1−2のスペクトルと比較例1のスペクトルが約570〜650nmの波長範囲で、傾斜方向と角度がほぼ同じになっている。
また、その範囲は図13AおよびBに示したように、ばらつきのある発光素子の発光スペクトルの範囲を含む範囲であることがわかる。
さらに、図14は、実施例1−2および比較例1の吸収スペクトルに、アルファズリン(AL)と色素Aのそれぞれ単独の吸収スペクトルを重ねて示した図である。また図においては、波長範囲を図12AおよびB、図13AおよびBより広げて示した。この図からわかるように、それぞれの色素単独では血液サンプルの吸収スペクトル(比較例1)と一致させることが難しく、一方実施例1−2のようにこれら2つの色素を組み合わせることで、組み合わせた吸収スペクトルと血液サンプルの吸収スペクトルは、発光スペクトルの波長範囲においてよく一致していることがわかる。
これらの実施例の結果から、わずか2色素を用いて校正試薬を着色することで、血液内のグルコース濃度を測定する際に必要な波長範囲で血液の反射率スペクトルと同じ発色傾向とすることができることがわかる。しかも、2つの色素は、その発色傾向が測定波長を中心として長波長側で高い吸光度を示す色素(第1色素)と、逆に短波長側で高い吸光度を示す色素(第2色素)の2つを用いることとしているため、長波長側の吸光度を上げたければ第1色素の量を多くし、短波長側の吸光度を上げたければ第2色素の量を多くすればよい。このため、目的とする着色度合いを合わせるのも容易である。
以上説明したように、本実施形態および実施例によれば、測定に使用する発光素子の発光スペクトルにおける最大発光波長を中心として少なくともその半値幅の波長範囲内を血液の吸収スペクトルと同様の形状となるように、2つの色素を用いて着色したので、校正試薬を用いた場合でも、正確な装置校正を行うことができる。特に、発光素子の最大発光波長が発光素子の個体ごとにばらついている場合に、それらのばらつきを考慮しなくても、装置校正が可能となる。また、これにより、血液サンプル測定用に作成された検量線をそのまま用いて測定装置の校正を行うことが可能となる。
特に、発光スペクトルの公称波長を中心とした半値幅の波長範囲である、少なくとも波長580〜630nmの範囲で吸収スペクトルが血液の吸収スペクトルの形状と同じになるようにすることで、グルコースの測定において正確な校正を行うことができるようになる。
また、校正試薬を調整する際には、第1色素として波長610nm以上700nm未満の範囲内に吸収スペクトルのピークを有するものを使用し、第2色素としては波長560nm以上610nm未満の範囲内に吸収スペクトルのピークを有するものを使用することで、グルコースの測定に用いる装置を校正する校正試薬の調整を容易に行うことができる。
以上、本発明を適用した実施形態および実施例として、グルコースの測定を例に説明したが本発明はこのような測定に用いられる校正試薬に限定されるものではない。
たとえば、コレステロール、尿酸、ピルビン酸などのさまざまな血液成分の測定に用いる装置の校正試薬を調整することができる。
また、第1色素および第2色素は、それぞれ単独で市販されているものを使用可能であるが、発光素子の最大発光波長によっては、市販されている色素の中に、第1色素および第2色素として使用できる適当な吸収スペクトルを有する色素がない場合もある。そのような場合には、複数の色素を混ぜ合わせることで、それぞれ第1色素および第2色素を調整して、それら調整された第1色素および第2色素を用いて校正試薬を調整するようにしてもよい。
さらに、上述した実施形態では、試験紙に発色試薬を含浸させて、試験紙の発色を反射率として測定する装置を例示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、試験管などに入れた発色試薬を含む溶液中に血液サンプルを加えて、液体の透過吸光度を測定する装置の校正に用いる校正試薬とすることもできる。これは、上述した実施形態および実施例において吸収スペクトルを示したことからもわかるとおりである。
(実施例2)
本実施例は、色素として、アルファズリンAおよび色素Aを組み合わせて校正試薬の調整を行なった。また、比較例2として、エリオグラウシン(図17)、アルファズリンA(図18)、または色素A(図19)をそれぞれ単独で用いて校正試薬の調整を行なった。さらに参考例として、血液サンプル(グルコース濃度を180mg/dLに調整した血液)を用いた測定も行なった。
まず、比較例2として、エリオグラウシン(0.072質量%)、アルファズリンA(0.24質量%)、または色素A(0.45質量%)がそれぞれ単独で純水に添加されてなる校正試薬を調製した。
一方、実施例2として、2つの色素を含有する校正試薬を調製した。具体的には、純水にアルファズリンA(0.08質量%)および色素A(0.32質量%)を添加したものである。
なお、上記比較例2および実施例2の校正試薬サンプルには、いずれも反射吸光度が波長610nmで血液サンプルの反射吸光度と同程度(600ぐらい)となるように、グルコース(関東化学株式会社製)を添加した。また、グルコース以外の添加剤として、粘度調整剤(カルボキシメチルセルロース(CMC1260、ダイセル化学工業株式会社製))0.72質量%、pH緩衝剤(ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES、株式会社同仁化学研究所製))250mM、防腐剤(アジ化ナトリウム、関東化学株式会社製)0.05質量%を添加した。
次いで、上述した実施例2、比較例2、参考例(血液サンプル)について、呈色試験を行なった。具体的には、測定温度を10℃、15℃、20℃、25℃、30℃と変化させて、発色試薬(グルコースオキシターゼ(GOD)、ペルオキシターゼ(POD)、4−アミノアンチピリン、およびN−エチルN−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジンの混合物)が含浸されてなる試験紙を保持する試験具(メディセーフチップ、テルモ株式会社製)に各サンプルをそれぞれ点着し、十分に発色した状態で(たとえば、サンプル点着後10秒経過時)、分光計USB−2000(Pj−1181/オーシャンオプティクス(OceanOptics)社製)により反射率を測定した。反射吸光度はこの反射率から求めたもので、ここでは256/反射率の値である。従って、得られた反射吸光度の値は、校正試薬に添加した色素由来の吸光度に加えて、試験紙に含浸された発色試薬とグルコースとの反応によって生成した色素由来の吸光度も含む値である。この測定を同様の手法によって合計5回繰り返し、平均値を反射吸光度の値とした。なお、256/反射率は反射率から吸光度を求めるためのものであるが、その数値は便宜上任意に設定したものであり、特にこれに限定されるものではない。以下、図面を参照しつつ、結果を説明する。
上述したように、図15は、参考例(血液サンプル)についての温度ごとの反射吸光度スペクトルを重ねて示すグラフである。図15に示すように、血液サンプルの反射吸光度は、測定温度が上昇するにつれて、全体的に吸光度が増加する方向にシフトする傾向にある。
また、同様に上述したように、図17〜図19は、比較例2についての反射吸光度スペクトルを測定した結果を示すグラフである。ここで、用いられている色素のうち、色素A以外のものは、シグマアルドリッチハンドブック オブ ステイン, ダイ アンド インジケータ(The Sigma−Aldrich Handbook of Stains, Dyes and Indicators)、アルドリッチケミカル社(Aldrich Chemical Company)、1990年出版に記載されているものである。
図17〜図19(比較例2)と図15(参考例)との対比から明らかなように、波長610nmにおける温度特性はだいぶ異なる。また、図21に示すように、横軸に温度、縦軸に反射吸光度(610nm)をプロットした場合のグラフの傾きが、色素Aの場合には血液よりも大きく、アルファズリンAの場合には小さい。その結果、血液用の温度補正アルゴリズムを上記校正試薬に適用して温度による測定値のばらつきを補正しようとすると、図22に示すように、単独色素の校正試薬では血液サンプルのようには補正されず、測定温度の変化に伴って測定値が乖離してしまう。なお、図22は、比較例2および実施例2の校正試薬サンプルおよび参考例の血液サンプルを用いて校正を行ない、血液用の温度補正アルゴリズムを適用することにより得られた測定値を示すグラフである。ここで、温度補正アルゴリズムの適用には市販の血糖計(メディセーフミニGR−102およびメディセーフチップ、テルモ株式会社製)を用い、この血糖計および校正試薬または血液サンプルを所定温度(12℃、15℃、20℃、25℃、30℃)に調節された環境試験器内に入れて測定を行なった。なお、合計10回の測定を行ない、平均値を測定値とした。なお、血液サンプルについては、ヘマトクリット補正(Ht補正)も併せて行なった。
一方、実施例2で調製した校正試薬サンプルについても同様の呈色試験および温度補正アルゴリズムの適用による測定値の評価を行なった。図20は、実施例2の校正試薬サンプルについての温度ごとの反射吸光度スペクトルを重ねて示すグラフである。また、図21では、波長610nmでの反射吸光度を温度に対してプロットしたグラフが示されている。また、図22には、実施例2(アルファズリンAおよび色素Aの組み合わせ)の校正色素サンプルを用いて校正を行ない、上記と同様の血液用の温度補正アルゴリズムを適用することにより得られた測定値を示すグラフが示されている。
図21に示すように、実施例2の校正試薬サンプルによれば、血液成分測定装置が備える試験紙の一方の面に前記校正試薬を点着し他方の面に所定波長の光を照射して反射吸光度を測定したときの該反射吸光度の測定温度に基づく変化傾向が、前記校正試薬に代えて血液を点着して測定したときの反射吸光度の測定温度に基づく変化傾向と同じとなる。
また、図15と図20との対比から、いずれの温度条件においても、実施例2の校正試薬サンプルの反射吸光度スペクトルは、グルコース濃度を測定する際に用いる生成色素に特徴的な波長610nmを含む約580〜630nmの波長範囲(特に、600〜615nmの波長範囲)で、参考例(血液サンプル)のスペクトルの傾斜の傾向とよく合っていることがわかる。従って、実施例2の校正試薬サンプルによれば、校正試薬が血色素を含まないことに起因する測定誤差が補正されうるという利点も得られる。
これらの実施例の結果から、本発明によれば、測定時の温度条件が変化した場合であっても、測定装置を正確に校正することができる校正試薬の調整方法、校正試薬、およびこれを用いた測定装置の校正方法が提供されうることが示される。さらに、好ましい形態によれば、測定に用いられる波長のばらつきの範囲においては校正試薬の色を十分に血液色に似せることが可能であることが示される。
<展開性の評価>
上記の実施例2における呈色試験では、上述したように、別途添加した色素由来の吸光度以外に、発色試薬とグルコースとの反応により生成した色素由来の吸光度の寄与分も含めた値が観察されている。かような影響を排除し、別途添加した色素のみの挙動を観察する目的で、以下の実験を行なった。ここでは、エリオグラウシンおよびアルファズリンAをそれぞれ単独で含有する水溶液について、測定温度を変化させて反射吸光度のタイムコースを観察した。
まず、発色試薬が含浸されていないポリエーテルスルホン(PES)膜を保持した試験具(メディセーフチップ(テルモ株式会社製)の発色試薬がないもの)を準備した。一方、評価用サンプルとして、エリオグラウシンの0.072質量%水溶液、およびアルファズリンAの0.24質量%水溶液をそれぞれ調製した。それぞれのサンプルを上記で準備した試験具のPES膜に点着させると同時に計時を開始し、点着から26〜27秒間に亘って1秒間隔で、上記と同様の手法により反射吸光度を測定した。なお、同様の実験を10℃、15℃、20℃、25℃、30℃でそれぞれ10回ずつ行ない、得られた平均値を測定値とした。結果を図23(エリオグラウシン)および図24(アルファズリンA)に示す。図23に示すように、エリオグラウシンの反射吸光度は、時間の経過に伴って対数関数的に増加する(換言すれば、増加率は漸減する)。これに対し、アルファズリンAの反射吸光度は、時間の経過に伴って線形的に増加する。また、エリオグラウシンでは、タイムコースのいずれの時点においても測定温度が高くなるほど高い反射吸光度を示したが、アルファズリンAでは、測定の初期には温度が高いほど反射吸光度が小さく、時間が経過するほど温度上昇に伴い反射吸光度の値も上昇した。以上のことから、色素の種類によって、反射吸光度のタイムコースおよびその温度感受性は異なることがわかる。かような差異がもたらされる原因は完全には明らかではないが、以下のようなメカニズムが推定される。すなわち、エリオグラウシンは、3つのスルホン酸基を有することから、スルホン酸基が2つのアルファズリンAよりも水溶性が高いことが推測される。その一方で、エリオグラウシンのPES膜への吸着性はより低く膜内を比較的自由に移動できると考えられる。分子の運動性は温度に依存することから、比較的自由に移動が可能なエリオグラウシンは温度の影響を受けやすく、温度感受性が高い。その一方でアルファズリンAは膜内での移動がより遅いために温度の影響を受けにくい。このために温度感受性が低く、換言すれば優れた温度特性を示すのではないかと考えられる。なお、このメカニズムはあくまでも推測に基づくものであり、本発明の技術的範囲をいかようにも限定するものではない。
なお、本出願は、2008年3月31日に出願された日本国特許出願第2008−090401号、および2008年8月28日に出願された日本国特許出願第2008−220493号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。