JP5410220B2 - アーク溶接方法およびアーク溶接システム - Google Patents

アーク溶接方法およびアーク溶接システム Download PDF

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本発明は、アーク溶接方法およびアーク溶接システムに関する。
図6は、従来の溶接システムの一例を示す図である。同図における溶接システム91は、いわゆるステッチパルス溶接法を用いて溶接を行う。ステッチパルス溶接法とは、溶接時の入熱と冷却をコントロールすることにより、母材に与える熱影響を抑えやすい溶接法である。このステッチパルス溶接法を用いると、従来の薄板溶接に比べ、溶接外観を向上させ、溶接歪み量を低減させることができるとされている(たとえば特許文献1参照)。
マニピュレータ9Mは、ワーク9Wに対してアーク溶接を自動で行うものであり、上アーム93、下アーム94及び手首部95と、これらを回転駆動するための複数のサーボモータ(図示せず)とによって構成されている。
アーク溶接トーチ9Tは、マニピュレータ9Mの手首部95の先端部分に取り付けられており、ワイヤリール96に巻回された直径1mm程度の溶接ワイヤ97をワーク9Wの教示された溶接位置に導くためのものである。溶接電源9WPは、アーク溶接トーチ9Tとワーク9Wとの間に溶接電圧を供給する。ワーク9Wに溶接を行う際は、溶接ワイヤ97をアーク溶接トーチ9Tの先端から所望の突き出し長だけ突き出した状態で行われる。
コンジットケーブル92は、内部に溶接ワイヤ97を案内するためのコイルライナ(図示せず)を備えており、アーク溶接トーチ9Tに接続されている。さらにコンジットケーブル92は、溶接電源9WPからの電力及びガスボンベ98からのシールドガスをもアーク溶接トーチ9Tに供給する。
操作手段としてのティーチペンダント9TPは、いわゆる可搬式操作盤であって、マニピュレータ9Mの動作、ステッチパルス溶接を行わせるために必要な条件等を設定するためのものである。
ロボット制御装置9RCは、マニピュレータ9Mに溶接動作の制御を実行させるためのものであり、内部に主制御部、動作制御部およびサーボドライバ(いずれも図示せず)等を備えている。そして、作業者がティーチペンダント9TPによって教示した作業プログラムに基づき、サーボドライバからマニピュレータ9Mの各サーボモータに動作制御信号を出力し、マニピュレータ9Mの複数の軸をそれぞれ回転させる。ロボット制御装置9RCは、マニピュレータ9Mのサーボモータに備えられたエンコーダ(図示せず)からの出力によって現在位置を認識しているのでアーク溶接トーチ9Tの先端位置を制御することができる。そして溶接部においては、以下に説明する溶接、移動、冷却を繰り返しながらステッチパルス溶接を行う。
図7は、ステッチパルス溶接を行っているときの状態を説明するための図である。溶接ワイヤ97はアーク溶接トーチ9Tの先端から突出している。シールドガスGは、溶接開始時から溶接終了時まで常に一定の流量でアーク溶接トーチ9Tから吹き出される。以下、ステッチパルス溶接時の各状態について説明する。
同図(a)は、アーク発生時の様子を示している。設定された溶接電流および溶接電圧に基づいて、溶接ワイヤ97の先端とワーク9Wとの間にアークaが発生し、溶接ワイヤ97が溶融してワーク9Wに溶融池Yが形成される。アークaが発生してから、教示された溶接時間が経過した後に、アークaを停止する。
同図(b)は、アーク停止後の様子を示している。アーク停止後は、設定された冷却時間が経過するまで溶接後の状態を維持させる。すなわち、マニピュレータ9Mおよびアーク溶接トーチ9Tは溶接時の状態と同様に停止した状態で、アーク溶接トーチ9TからシールドガスGが吹き出されるだけとなるので、溶融池YがシールドガスGによって実質的に冷却されて凝固する。
同図(c)は、アーク溶接トーチ9Tを次の溶接位置に移動させる様子を示している。冷却時間の経過後は、アーク溶接トーチ9Tを溶接進行方向に予め設定された移動ピッチMpだけ離間した位置であるアーク再開始点に移動させる。このときの移動速度は、設定された移動速度である。移動ピッチMpは、同図(c)で示すように溶融池Yが凝固した後の溶接痕Y’の外周側に溶接ワイヤ97を位置づけるように調整された距離である。
同図(d)は、アーク再開始点においてアークaを再発生する様子を示している。溶接痕Y’の前端部に新たに溶融池Yが形成されて溶接が行われるようになる。このように、ステッチパルス溶接システム91では、アークを発生させて溶接を行っている状態と、冷却、移動を行っている状態とが交互に繰り返されることになる。そして、溶接痕であるウロコが重ね合わさるように溶接ビードが形成される。
図8は、溶接施工後に形成される溶接ビードを説明するための図である。同図に示すように、最初のアーク開始点P1において溶接痕Scが形成され、溶接進行方向Drに向けて移動ピッチMpだけ離間した再アーク開始点P2においても同様の溶接痕Scが形成される。再アーク開始点P3以降においてもさらなる溶接痕Scが順次形成されていく。このように、溶接痕Scであるウロコが重なり合うように形成された結果、ウロコ状の溶接ビードBが形成されるのである。
上述した方法では、図7(b)、図7(c)等に示したように、アークaを停止させ、その後アークaを再発生させる工程を繰り返している。アークaを再発生するには時間を要する。そのため、上述した方法では、溶接時間が長くなるといった問題が生じていた。そこで、図9に示すように、アークaを停止させずアークaの再発生を不要にする溶接法が提案されている(たとえば特許文献2参照)。
図9(b)、図9(c)によく表れているように、図7(b)、図7(c)に示した場合と異なり、溶融池Yを冷却する際にもアークaを停止させておらず、アークaが発生している状態を保っている。これにより、溶接時間の短縮化が図られている。
しかしながら、図9(b)、図9(c)に示すように、溶融池Yを冷却する際には、溶滴移行を防止すべく溶接電流を極めて小さくする必要がある。溶接電流が小さくなれば、溶融池Yを冷却している際にアーク切れが発生するおそれがある。アーク切れが発生した場合には、通常、アーク切れが発生すると即座にアークaを再発生させる。このアークaの再発生の際にスパッタが発生し、ウロコ状のビードの外観の悪化を招くおそれがある。
特開平6−55268号公報 特開平11−267839号公報
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、よりきれいなウロコ状のビードを形成可能なアーク溶接方法、およびアーク溶接装置を提供することをその課題とする。
本発明の第1の側面によって提供されるアーク溶接方法は、消耗電極と母材との間に溶接電流を、絶対値の平均値が第1の値であるように流すことにより、アークを発生させつつ溶滴移行させる第1工程と、上記溶接電流を、絶対値の平均値が上記第1の値より小さい第2の値であるように流し、上記アークが発生している状態を継続させる第2工程と、を備え、上記第1工程と上記第2工程とを繰り返すアーク溶接方法であって、上記第2工程において上記アークが消滅した場合、当該第2工程の次の上記第1工程が開始されるまで上記アークが消滅した状態を維持する工程を更に備えることを特徴としている。
このような構成によれば、次の上記第1工程の開始時までに上記アークを再発生させることが、必要ない。そのため、次の上記第1工程の開始時までに上記アークを再発生させた場合に生じうるビード外観の悪化を回避できる。これにより、よりきれいなウロコ状のビードを形成することができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記溶接電流の通電が停止したことを検知することにより、上記アークが消滅したことを検知する工程を更に備える。上記消耗電極と上記母材とが離間した状態で上記アークが消滅した場合、上記溶接電流の通電が停止する。そのため、本構成は、上記アークが消滅したことを検出するのに適する。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記アークが消滅した状態を維持する工程においては、上記母材の面内方向のうちの溶接進行方向に向かって、上記消耗電極を上記母材に対し常に相対移動させる。このような構成において、上記アークが消滅した状態を維持する工程において、上記消耗電極を上記溶接進行方向と逆方向に向かって移動させたり、もしくは、停止させたりしていない。そのため、上記消耗電極を、次の上記第1工程を開始する位置へより早く移動させることができる。これにより、上記アーク溶接に要する時間を短縮することができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記消耗電極を、所定の送給速度で上記母材に向かって送給し、上記アークが消滅した状態を維持する工程において、上記送給速度を低下させる工程を更に備える。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記アークが消滅した状態を維持する工程において、上記消耗電極と上記母材と間に上記溶接電流を流す電流制御手段の出力を低下させる。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記アークが消滅した状態を維持する工程に引き続く上記第1工程を、上記消耗電極を上記母材に接触させた後に上記消耗電極を上記母材から引き離すリトラクトスタート方法を用いることにより開始する。このような構成によれば、次の上記第1工程の開始時におけるスパッタの発生を抑制することが可能となる。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2工程において上記アークが消滅した場合、上記第2の値を上記アークが消滅した時以前の値より大きい値に変化させる工程を更に備える。このような構成によれば、上記変化させる工程がなされた後には、上記第2工程において上記アークが消滅しにくくなる。これにより、上記アークを再発生させる必要性が減少する。そのため、スパッタの発生をさらに抑制することができる。その結果、上記母材に形成されるビードの外観をよりきれいにすることができる。
本発明の第2の側面によって提供されるアーク溶接システムは、消耗電極と母材との間に溶接電流を流すことにより、アークを発生させ溶接を行うアーク溶接システムであって、上記溶接電流の絶対値の平均値を第1の値に設定している第1の期間と、上記溶接電流の絶対値の平均値を第1の値より小さい第2の値に設定している第2の期間と、を繰り返し発生させる電流制御手段と、上記アークが消滅したことを検知する検知手段と、を備え、上記第2の期間において上記アークが消滅したと上記検知手段が判断した場合、当該第2の期間の次の上記第1の期間が開始されるまで上記アークが消滅した状態を維持することを特徴としている。
このようなアーク溶接システムは、本発明の第1の側面によって提供されるアーク溶接方法を使用するのに適する。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記検知手段は、上記溶接電流の通電が停止したことを検知することにより、上記アークが消滅したことを検知する。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記アークが消滅した状態を維持する期間においては、上記母材の面内方向のうちの溶接進行方向に向かって、上記消耗電極を上記母材に対し常に相対移動させる消耗電極移動手段を更に備える。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記消耗電極を所定の送給速度で上記母材に向かって送給する送給制御手段を更に備え、上記送給制御手段は、上記アークが消滅した状態を維持する期間において、上記送給速度を低下させる。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記電流制御手段は、上記アークが消滅した状態を維持する期間において、上記消耗電極と上記母材と間に上記溶接電流を流すための出力を低下させる。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記アークが消滅した状態を維持することに引き続く上記第1の期間を、上記消耗電極を上記母材に接触させた後に上記消耗電極を上記母材から引き離すリトラクトスタート方法を用いることにより開始する。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記検知手段は、上記第1の期間において上記アークが消滅した場合に、上記アークが消滅した時から第1の遅延時間経過後に上記アークが消滅したと判断し、且つ、上記第2の期間において上記アークが消滅した場合に、上記アークが消滅した時から、上記第1の遅延時間より短い第2の遅延時間経過後に上記アークが消滅したと判断する。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記電流制御手段は、上記第2の期間において上記アークが消滅したと上記検知手段が判断した場合、上記第2の値を上記アークが消滅した時以前の値より大きい値に変化させる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
本発明の第1実施形態にかかる溶接システムの一例の構成を示す図である。 図1に示した溶接システムの内部構成を示す図である。 第1実施形態にかかる溶接システムの各信号等のタイミングチャートを示す図である。 溶滴移行期間における溶接電流の変化を示す図である。 第2実施形態にかかる溶接システムの各信号等のタイミングチャートを示す図である。 従来の溶接システムの一例の構成を示す図である。 ステッチパルス溶接を行っているときの状態を説明する図である。 溶接施工後に形成される溶接ビードを説明するための図である。 ステッチパルス溶接を行っているときの状態を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態にかかる溶接システムの一例の構成を示す図である。
図1に示された溶接システムAは、溶接ロボット1、ロボット制御装置2、および溶接電源装置3を備えている。溶接ロボット1は、溶接母材Wに対してたとえばアーク溶接を自動で行うものである。溶接ロボット1は、ベース部材11、複数のアーム12、複数のモータ13、溶接トーチ14、ワイヤ送給装置16、およびコイルライナ19を備えている。
ベース部材11は、フロア等の適当な箇所に固定される。各アーム12は、ベース部材11に軸を介して連結されている。
溶接トーチ14は、溶接ロボット1の最も先端側に設けられた手首部12aの先端部に設けられている。溶接トーチ14は、消耗電極としてのたとえば直径1mm程度の溶接ワイヤ15を、溶接母材W近傍の所定の位置に導くものである。溶接トーチ14には、Arなどのシールドガスを供給するためのシールドガスノズル(図示略)が備えられている。モータ13は、アーム12の両端または一端に設けられている(一部図示略)。モータ13は、ロボット制御装置2により回転駆動する。この回転駆動により、複数のアーム12の移動が制御され、溶接トーチ14が上下前後左右に自在に移動できるようになっている。
モータ13には、図示しないエンコーダが設けられている。このエンコーダの出力は、ロボット制御装置2に与えられる。この出力値により、ロボット制御装置2では、溶接トーチ14の現在位置を認識するようになっている。
ワイヤ送給装置16は、溶接ロボット1における上部に設けられている。ワイヤ送給装置16は、溶接トーチ14に対して、溶接ワイヤ15を送り出すためのものである。ワイヤ送給装置16は、送給モータ161、ワイヤリール(図示略)、およびワイヤプッシュ手段(図示略)、を備えている。送給モータ161を駆動源として、上記ワイヤプッシュ手段が、上記ワイヤリールに巻かれた溶接ワイヤ15を溶接トーチ14へと送り出す。
コイルライナ19は、その一端がワイヤ送給装置16に、その他端が溶接トーチ14に、それぞれ接続されている。コイルライナ19は、チューブ状に形成されており、その内部には、溶接ワイヤ15が挿通されている。コイルライナ19は、ワイヤ送給装置16から送り出された溶接ワイヤ15を、溶接トーチ14に導くものである。送り出された溶接ワイヤ15は、溶接トーチ14から外部に突出して消耗電極として機能する。
図2は、図1に示した溶接システムAの内部構成を示す図である。
図1、図2に示したロボット制御装置2は、溶接ロボット1の動作を制御するためのものである。図2に示すように、ロボット制御装置2は、動作制御回路21とインターフェイス回路22とによって構成されている。
動作制御回路21は、図示しないマイクロコンピュータおよびメモリを有している。このメモリには、溶接ロボット1の各種の動作が設定された作業プログラムが記憶されている。また動作制御回路21は、後述のロボット移動速度VRを設定する。動作制御回路21は、上記作業プログラム、上記エンコーダからの座標情報、およびロボット移動速度VR等に基づいて、溶接ロボット1に対して動作制御信号Mcを与える。この動作制御信号Mcにより、各モータ13は回転駆動し、溶接トーチ14を溶接母材Wの所定の溶接開始位置に移動させたり、溶接母材Wの面内方向に沿って移動させたりする。
動作制御回路21には、図示しない操作設定装置が接続されている。この操作設定装置は、ユーザによって各種動作を設定するためのものである。
インターフェイス回路22は、溶接電源装置3と各種信号をやり取りするためのものである。インターフェイス回路22には、動作制御回路21から、電流設定信号Is、出力開始信号On、および送給速度設定信号Wsが送られる。インターフェイス回路22からは、動作制御回路21に、アーク消滅信号Saが送られる。
溶接電源装置3は、溶接ワイヤ15と溶接母材Wとの間に、溶接電圧Vwを印加し、溶接電流Iwを流すための装置であるとともに、溶接ワイヤ15の送給を行うための装置である。図2に示すように、溶接電源装置3は、出力制御回路31、電流検出回路32、アーク消滅検出回路33、送給制御回路34、インターフェイス回路35、および電圧検出回路36を備えている。
インターフェイス回路35は、ロボット制御装置2と各種信号をやり取りするためのものである。具体的には、インターフェイス回路35には、インターフェイス回路22から、電流設定信号Is、出力開始信号On、および送給速度設定信号Wsが送られる。また、インターフェイス回路35からは、インターフェイス回路22に、アーク消滅信号Saが送られる。
出力制御回路31は、複数のトランジスタ素子からなるインバータ制御回路を有する。出力制御回路31は外部から入力される商用電源(たとえば3相200V)をインバータ制御回路によって高速応答で精密な溶接電流波形制御を行う。
出力制御回路31の出力は、一端が溶接トーチ14に接続され、他端が溶接母材Wに接続されている。出力制御回路31は、溶接トーチ14の先端に設けられたコンタクトチップを介して、溶接ワイヤ15と溶接母材Wとの間に溶接電圧Vwを印加し、溶接電流Iwを流す。これにより、溶接ワイヤ15の先端と溶接母材Wとの間にアークaが発生する。このアークaによりもたらされる熱で溶接ワイヤ15が溶融する。そして、溶接母材Wに対して溶接が施されるようになっている。
出力制御回路31には、インターフェイス回路35,22を介して、動作制御回路21からの電流設定信号Is、および出力開始信号Onが送られる。
電流検出回路32は、溶接ワイヤ15に流れる溶接電流Iwを検出するためのものである。電流検出回路32は、溶接電流Iwに対応する電流検出信号Idを出力する。
アーク消滅検出回路33は、アークaが消滅したことを検出する回路である。アーク消滅検出回路33には、電流検出信号Idが入力される。アーク消滅検出回路33は、入力された電流検出信号Idによって溶接電流Iwが0であると判断した場合には、アークaが消滅したと判断する。このとき、アーク消滅検出回路33は、アーク消滅信号Saを出力制御回路31に出力する。また、アーク消滅検出回路33は、インターフェイス回路35,22を介して、アーク消滅信号Saを動作制御回路21にも出力する。
アーク消滅検出回路33は、溶接電流Iwが0であるとする電流検出信号Idを受けると即座にアークaが消滅したと判断するのではない。アーク消滅検出回路33は、溶接電流Iwが0であるとする電流検出信号Idを入力した時から、所定の遅延時間が経過した後にも溶接電流Iwが0であるとする電流検出信号Idを受けている場合に、アークaが消滅したと判断する。なおこの遅延時間を用いた判断機能を、電流検出回路32にもたせてもよい。
電圧検出回路36は、出力制御回路31の出力端の電圧である溶接電圧Vwを検出するためのものである。電圧検出回路36は、溶接電圧Vwに対応する電圧検出信号Vdを出力制御回路31に出力する。
送給制御回路34は、溶接ワイヤ15の送給を行うための送給制御信号Fcを送給モータ161に出力するものである。送給制御信号Fcは、溶接ワイヤ15の送給速度Fwを示す信号である。また、送給制御回路34には、インターフェイス回路35,22を介して、動作制御回路21からの出力開始信号On、および送給速度設定信号Wsが送られる。
次に、本実施形態にかかるアーク溶接方法の一例について、図3をさらに用いて説明する。
同図(a)はロボット移動速度VRの変化状態を示し、(b)は電流設定信号Isの変化状態を示し、(c)は溶接電流Iwの変化状態を示し、(d)は送給速度Fwの変化状態を示す。ロボット移動速度VRは、溶接母材Wの面内方向のうちの所定の溶接進行方向(図8に示した従来技術の溶接進行方向Drに対応する)に沿った溶接トーチ14の移動速度である。
まず、外部からの溶接開始信号St(図2参照)が入力されることにより、一般的には、過渡的な溶接開始処理が行われる。溶接開始処理においては、動作制御回路21は、出力開始信号Onを出力制御回路31および送給制御回路34に出力する。出力制御回路31は、溶接ワイヤ15と溶接母材Wとの間に溶接電圧Vwを印加する。これにより、アークaが点弧される。そして、図3に示すように、溶滴移行期間T1とアーク継続期間T2とを繰り返すことにより溶接を行う。溶滴移行期間T1においては、溶接電流Iw1を流すことにより溶滴移行を行い、溶融池を形成する。一方、アーク継続期間T2においては、溶接電流Iw2を流すことにより、溶滴移行をほとんどさせることなく、且つ、アークaを維持しつつ溶接トーチ14を移動させる。以下具体的に説明する。
(1)溶滴移行期間T1(時刻t1〜t2)
溶滴移行期間T1では、従来技術の説明において図7(a)、図9(a)で示した、溶融池Yを形成する処理を行う。溶滴移行期間T1においては、図3(a)に示すように、ロボット移動速度VRを0に設定する。そのため溶接トーチ14は溶接母材Wに対して停止している。同図(c)に示すように、溶接電流Iwとして、絶対値の平均値が電流値iw1である交流のパルスの溶接電流Iw1が流れている。溶滴移行期間T1においては、定電圧制御がなされている。定電圧制御では、溶接電流Iwは、溶接ワイヤ15の材質、直径、溶接ワイヤ15の突出長さ、電極極性等の溶接条件が決定されれば、同図(d)に示す溶接ワイヤ15の送給速度Fwにより定まる。すなわち、溶接電流Iw1は、送給速度Fwを設定する送給速度設定信号Wsにより決定される。溶滴移行期間T1において溶接ワイヤ15は、fw1の送給速度Fwで送給されている。fw1は、たとえば650〜1000cm/minである。また、溶滴移行期間T1は、たとえば0.4〜0.5secである。
図4は、溶接電流Iw1の時間変化を詳細に示す図である。図3においては、理解の便宜上、溶接電流Iw1を簡略化して示しているが、実際には、溶接電流Iw1は図4に示すような交流パルス電流である。図4における電流値iw1は、図3における電流値iw1に一致する。図4における時間のスケールは、図3における時間のスケールに比べ極めて小さい。図4において、溶接電流Iwを示す縦軸は、溶接ワイヤ15が陽極となったときに流れる電流をプラスとしている。
本図から理解されるように、溶接電流Iw1は、周期Teにおいて電極プラス極性電流Iepと電極マイナス極性電流Ienとを1回ずつとる。周期Teは、たとえば20msec程度である。電極プラス極性電流Iepは、溶接ワイヤ15が陽極、溶接母材Wが陰極となった状態で流れる電流である。電極プラス極性電流Iepは、プラス極性ピーク電流Ippと、プラス極性ベース電流Ipbとを含む。プラス極性ピーク電流Ippは、電極プラス極性期間Tppの間、流れる。電極プラス極性期間Tppは、たとえば2msecである。プラス極性ピーク電流Ippの絶対値Ieppは、たとえば300〜350Aである。一方、プラス極性ベース電流Ipbは、電極プラス極性期間Tpbの間、流れる。電極プラス極性期間Tpbは、たとえば14msecである。プラス極性ベース電流Ipbの絶対値Iepbは、たとえば50〜100Aである。
電極マイナス極性電流Ienは、溶接ワイヤ15が陰極、溶接母材Wが陽極となった状態で流れる電流である。電極マイナス極性電流Ienは、電極マイナス極性期間Tenの間、流れる。電極マイナス極性期間Tenは、たとえば3.0〜4.0msecである。電極マイナス極性電流Ienの絶対値Ienpは、たとえば50〜100Aである。
プラス極性ピーク電流Ipp、プラス極性ベース電流Ipb、電極マイナス極性電流Ien、電極プラス極性期間Tpp、および電極マイナス極性期間Tenは、所定値に設定される。電極プラス極性期間Tpbは、溶接電圧の平均値が予め定められた溶接電圧設定値と等しくなるようにフィードバック制御される。この制御によってアークaの長さが適正値に制御される。プラス極性ピーク電流Ipp、プラス極性ベース電流Ipb、および電極マイナス極性電流Ienの絶対値について時間平均した値が、電流値iw1に一致する。電流値iw1は、たとえば90Aである。
(2)アーク継続期間T2(時刻t2〜t3)
図3に示すアーク継続期間T2では、従来技術の説明において図9(b),(c)で示した、溶融池Yを冷却する処理を、アークaを継続させつつ行う。アーク継続期間T2は、たとえば0.2〜0.3secである。
(i)アーク継続期間T2の開始〜アークa消滅までの期間(時刻t2〜tv1)
図3(a)に示すように、アーク継続期間T2の開始時である時刻t2において、ロボット移動速度VRをV2に設定する。これにより溶接トーチ14は、所定の溶接進行方向に沿って移動を開始する。V2は、たとえば100cm/minである。アーク継続期間T2においては、溶滴移行期間T1と異なり、定電流制御がなされている。同図(b)に示すように、電流設定信号Isは、電流値is1である定電流(すなわち、絶対値の平均値は電流値is1である)が溶接電流Iwとして流れるよう、設定されている。そのため同図(c)に示すように、溶接電流Iwとして、電流値is1で一定の溶接電流Iw2が流れている。電流値is1は、たとえば15〜20A程度である。電流値is1は、溶滴移行が行われにくい程度の小さい値である。また、溶接電流Iw2は、溶接ワイヤ15が陽極、溶接母材Wが陰極となった状態で流れる、いわゆる電極プラス極性電流である。同図(d)に示すように、溶接ワイヤ15は、fw2の送給速度Fwで送給されている。fw2は、fw1より小さく、たとえば70cm/minである。
(ii)アークaの消滅〜次の溶滴移行期間T1の開始時までの期間(時刻tv1〜t3)
時刻tv1において、意図しない原因により、アークaが消滅する。すると、同図(c)に示すように、溶接電流Iwが0になる。図2の電流検出回路32は、溶接電流Iwが0であるとする電流検出信号Idを、アーク消滅検出回路33に出力する。アーク消滅検出回路33は、入力されている電流検出信号Idから、溶接電流Iwが0であると判断する。そして、アーク消滅検出回路33は、アークaが消滅したと判断する。そして、アーク消滅検出回路33は、アーク消滅信号Saを、出力制御回路31および動作制御回路21に出力する。
上述のように、アーク消滅検出回路33は、溶接電流Iwが0であるとする電流検出信号Idを受けると即座にアークaが消滅したと判断するのではない。アーク消滅検出回路33は、溶接電流Iwが0であるとする電流検出信号Idを入力した時から、所定の遅延時間が経過した後にも溶接電流Iwが0であるとする電流検出信号Idを受けている場合に、アークaが消滅したと判断する。アーク継続期間T2における遅延時間dt2は、溶滴移行期間T1における遅延時間dt1より短いことが好ましい。遅延時間dt2をたとえば20〜50msとし、遅延時間dt1をたとえば100msとするとよい。
動作制御回路21はアーク消滅信号Saを受けると、送給速度設定信号Wsを送給速度Fwを0とするものに変化させる。これにより、同図(d)に示すように送給速度Fwが0となり、溶接ワイヤ15の送給が停止する。一方、出力制御回路31は、アーク消滅信号Saを受けると、出力をオフ状態に変化させる。溶接ワイヤ15の送給を停止させたり、出力制御回路31の出力をオフ状態に変化させる当該工程は、アークaが消滅した状態を維持するために行われる。アークaが消滅した状態を維持するには必ずしも、溶接ワイヤ15の送給を完全に停止させ、且つ、出力制御回路31の出力をオフ状態に変化させる必要はない。アークaが消滅した状態を維持できる程度に、溶接ワイヤ15の送給を継続し、且つ、出力制御回路31の出力をオン状態のまま維持してもよい。同図(a)に示すように、時刻tv1〜時刻t3においても、ロボット移動速度VRは、V2のまま維持されている。そのため、時刻tv1〜時刻t3においても、溶接トーチ14は、停止することなく、所定の溶接進行方向に沿って移動をしている。
(iii)次の溶滴移行期間T1(時刻t3〜t4)
同図(a)に示すように、時刻t3において、ロボット移動速度VRを0に設定し、溶接トーチ14の移動を停止させる。また、同図(d)に示すように、送給速度Fwをfw1より小さいfw3として、溶接ワイヤ15の送給を開始する。そして、出力制御回路31の出力をオン状態とすることにより、アークaを再発生させる。アークaを再発生させるためには、様々なアークスタート方法を用いることができる。このようなアークスタート方法として、たとえば、溶接ワイヤ15を溶接母材Wに接触させた後に溶接ワイヤ15を溶接母材Wから引き離すリトラクトスタート方法を用いることもできる。アークaを再発生させる際のアークスタート条件を、アークaが消滅した時刻tv1前に行っていたアーク溶接においてアークaを発生させた際のアークスタート条件と異ならせてもよい。このようなアークスタート条件としては、スタート電流の大きさやスタート電流を流す時間が挙げられる。そしてアークaが発生した後に、同図(d)に示すように、送給速度Fwをfw1に変化させる。そして、アーク溶接が再び行われる。
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態によれば、アークaが消滅することなく溶滴移行期間T1とアーク継続期間T2とを順調に繰り返している場合には、きれいなウロコ状のビードを形成することができる。さらに本実施形態によれば、偶発的にアーク継続期間T2の時刻tv1においてアークaが消滅した場合であっても、時刻tv1から溶滴移行期間T1を再開する時刻t3までにアークaを再発生させることが、必要ない。そのため、時刻tv1から時刻t3までにアークaを再発生させた場合に生じうるビード外観の悪化を回避できる。これにより、よりきれいなウロコ状のビードを形成することができる。
本実施形態によれば、図3(a)に示すように、溶滴移行期間T1においては、溶接トーチ14を溶接母材Wに対して停止させ、アーク継続期間T2においてのみ、溶接トーチ14を溶接母材Wに対して移動させている。これは、よりきれいな外観のビードを形成するのに好適である。
また、時刻tv1〜時刻t3においても、溶接トーチ14は、停止することなく、所定の溶接進行方向に沿って移動をしている。そのため、上記溶接トーチ14を、溶滴移行期間T1を開始する位置へより早く移動させることができる。これにより、溶接に要する時間を短縮することができる。
同図(c)に示したように、時刻tv1において溶接ワイヤ15と溶接母材Wとが離間した状態でアークaが消滅し、溶接電流Iwが0となり、溶接電流Iwが0となったことを電流検出回路32が検出している。このような構成は、アークaが消滅したことを検出するのに適する。
また、アーク継続期間T2における遅延時間dt2を、溶滴移行期間T1における遅延時間dt1より短く設定した場合には、より早く、溶接ワイヤ15の送給を停止させたり、出力制御回路31の出力をオフ状態に変化させることができる。そのため、アーク継続期間T2における遅延時間dt2を、溶滴移行期間T1における遅延時間dt1より短く設定することにより、溶接ワイヤ15が溶接母材Wへ接近することをより早く停止できる。これにより、より確実にアークaが消滅している状態を維持することができる。
時刻tv1においてアークaが消滅すると、溶接ワイヤ15の送給を完全に停止している。また、時刻tv1においてアークaが消滅すると、出力制御回路31の出力をオフ状態に変化させている。そのため、アークaが消滅した後に溶接ワイヤ15が溶接母材Wに接近しにくくなる。すなわち本実施形態にかかる構成は、アークaが消滅している状態を維持するのに好適である。
本実施形態では、アーク継続期間T2にアークaを再発生させず、溶滴移行期間T1の開始時にアークaを再発生させている。そのためアークaを再発生させるためには、様々なアークスタート方法を用いることができる。これにより、アークaを再発生させるためのアークスタート方法として、たとえばリトラクトスタート方法などの、よりスパッタが発生しにくい方法を用いることができる。
図4に示したように、溶接電流Iw1は、交流のパルス電流である。そのため、溶滴移行期間T1における溶接母材Wへの入熱を抑制できる。これは、溶接母材Wがたとえばアルミニウムからなる薄板である場合に好適である。
また、溶接電流Iw2は、いわゆる電極プラス極性の電流である。溶接電流Iw2が、溶接ワイヤ15が陰極となり溶接母材Wが陽極となった状態で流れる電極マイナス極性電流であったならば、溶接ワイヤ15の溶融量が多く、溶滴が溶接母材Wに落ちやすい、といった不都合が生じやすい。だが、本実施形態では、溶接電流Iw2は、電極マイナス極性電流でなく電極プラス極性電流であるので、このような不都合が生じにくい。
また、本実施形態にかかる方法を、溶接母材Wを水平方向に対して傾けた状態で、用いてもよい。このようにすると、溶滴が溶接母材Wに落ちにくい。その結果、よりきれいなビードを形成することができる。
図5は、本発明の第2実施形態を示している。なお、同図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。本実施形態は、アークaが消滅した後の時刻t4において、電流設定信号Isを電流値is1から電流値is2に上昇させている点において、第1実施形態と異なる。
電流設定信号Isを上昇させるこの工程は、時刻tv1においてアーク消滅信号Saを入力した図2の動作制御回路21が、時刻t4において電流設定信号Isを電流値is1から電流値is2に上昇させることにより行う。動作制御回路21は、電流値is1から電流値is2に上昇した電流設定信号Isを出力制御回路31に出力する。出力制御回路31は、電流値is2に上昇した電流設定信号Isを入力すると、同図(c)に示すように、溶接電流Iw2を電流値is2で流す。
なお、電流値is2は、電流値is1よりもたとえば1〜10A程度大きい。なお、時刻t4以降に再度アークaが消滅した場合には、電流設定信号Isをさらに上昇させてもよい。
本実施形態によると、時刻t4以降のアーク継続期間T2において、溶接電流Iw2は電流値is2で流れることとなる。そのため、時刻t4以降のアーク継続期間T2においてアークaが消滅しにくくなる。これにより、時刻t4以降、アークaを再発生させる必要性が減少する。そのため、溶接母材Wにおけるスパッタの発生を抑制することができる。その結果、本実施形態によれば、溶接母材Wに形成されるウロコ状のビードの外観をさらにきれいにすることができる。
また、本実施形態も第1実施形態と同様の利点を有する。
本実施形態においては、時刻tv1における1度だけのアークaの消滅をもって電流設定信号Isを上昇させた例を示したが、複数回アークaが消滅した場合にのみ、電流設定信号Isを上昇させてもよい。複数回アークaが消滅した場合にのみ電流設定信号Isを上昇させることで、溶接電流Iw2が過度に大きくなることを抑制できる。これによりアーク継続期間T2において溶接ワイヤ15や溶接母材Wが溶融してしまうことを抑制できる。
電流設定信号Isを上昇させるのは、アークaが消滅したことに基づいていればよく、必ずしも時刻t4に電流設定信号Isを上昇させる必要はない。たとえば、アーク継続期間T2の途中に電流設定信号Isを上昇させてもよい。もしくは、時刻t6に電流設定信号Isを上昇させてもよい。
本発明の範囲は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の具体的構成は、種々に設計変更自在である。上記実施形態では、溶接電流が0となったことにより、アークが消滅したことを検知したが、たとえばアークが発生している部分を撮影した画像もしくは映像の変化を解析することにより、アークの消滅を検知してもよい。もしくは、アーク継続期間T2において溶接電圧Vwが通常とりうる値より大きな閾値電圧(たとえば無負荷電圧より若干小さい値)を設定し、溶接電圧Vwがこの閾値電圧を超えた場合にアークが消滅したと判断することにより、アークの消滅を検知してもよい。
また、よりきれいなビードの外観を形成するためには、溶滴移行期間T1においてロボット移動速度VRを0とするのが好ましいが、本発明はこれに限られない。たとえば、溶滴移行期間T1におけるロボット移動速度VRを、アーク継続期間T2におけるロボット移動速度VR(V2)よりも小さく、且つ、0より大きい値に設定してもよい。そして、ロボット移動速度VRに応じて、溶滴移行期間T1とアーク継続期間T2を適宜調整してもよい。
上記では、溶接電流Iw1が交流のパルス電流である例を示したが、本発明はこれに限られず、溶接電流Iw1が直流の定電流等であってもよい。もちろん、溶接電流Iw2についても同様のことがいえる。
A 溶接システム
1 溶接ロボット
11 ベース部材
12 アーム
12a 手首部
13 モータ
14 溶接トーチ
15 溶接ワイヤ(消耗電極)
16 ワイヤ送給装置
161 送給モータ
2 ロボット制御装置
21 動作制御回路(消耗電極移動手段)
22 インターフェイス回路
3 溶接電源装置
31 出力制御回路(電流制御手段)
32 電流検出回路
33 アーク消滅検出回路(検知手段)
34 送給制御回路
35 インターフェイス回路
36 電圧検出回路
W 溶接母材(母材)
St 溶接開始信号
On 出力開始信号
Sa アーク消滅信号
Ws 送給速度設定信号
Mc 動作制御信号
Fc 送給制御信号
VR ロボット移動速度
Iw,Iw1,Iw2 溶接電流
iw1 電流値(第1の値)
Vw 溶接電圧
T1 溶滴移行期間(第1の期間)
T2 アーク継続期間(第2の期間)
Iep 電極プラス極性電流
Ien 電極マイナス極性電流
Ipp プラス極性ピーク電流
Ipb プラス極性ベース電流
Te 周期
Tpp,Tpb 電極プラス極性期間
Ten 電極マイナス極性期間
Is 電流設定信号
is1,is2 電流値(第2の値)
dt1 (第1の)遅延時間
dt2 (第2の)遅延時間
Fw 送給速度

Claims (13)

  1. 消耗電極と母材との間に溶接電流を、絶対値の平均値が第1の値であるように流すことにより、アークを発生させつつ溶滴移行させる第1工程と、
    上記溶接電流を、絶対値の平均値が上記第1の値より小さい第2の値であるように流し、上記アークが発生している状態を継続させる第2工程と、を備え、
    上記第1工程と上記第2工程とを繰り返すアーク溶接方法であって、
    上記第2工程において上記アークが消滅した場合、当該第2工程の次の上記第1工程が開始されるまで上記アークが消滅した状態を維持する工程を更に備え
    上記消耗電極を、所定の送給速度で上記母材に向かって送給し、
    上記アークが消滅した状態を維持する工程において、上記送給速度を低下させる工程を備えることを特徴とする、アーク溶接方法。
  2. 消耗電極と母材との間に溶接電流を、絶対値の平均値が第1の値であるように流すことにより、アークを発生させつつ溶滴移行させる第1工程と、
    上記溶接電流を、絶対値の平均値が上記第1の値より小さい第2の値であるように流し、上記アークが発生している状態を継続させる第2工程と、を備え、
    上記第1工程と上記第2工程とを繰り返すアーク溶接方法であって、
    上記第2工程において上記アークが消滅した場合、当該第2工程の次の上記第1工程が開始されるまで上記アークが消滅した状態を維持する工程を更に備え
    上記アークが消滅した状態を維持する工程において、上記消耗電極と上記母材との間に上記溶接電流を流す電流制御手段の出力を低下させることを特徴とする、アーク溶接方法。
  3. 上記溶接電流の通電が停止したことを検知することにより、上記アークが消滅したことを検知する工程を更に備える、請求項1または2に記載のアーク溶接方法。
  4. 上記アークが消滅した状態を維持する工程においては、上記母材の面内方向のうちの溶接進行方向に向かって、上記消耗電極を上記母材に対し常に相対移動させる、請求項1ないし3のいずれかに記載のアーク溶接方法。
  5. 上記アークが消滅した状態を維持する工程に引き続く上記第1工程を、上記消耗電極を上記母材に接触させた後に上記消耗電極を上記母材から引き離すリトラクトスタート方法を用いることにより開始する、請求項1ないしのいずれかに記載のアーク溶接方法。
  6. 上記第2工程において上記アークが消滅した場合、上記第2の値を上記アークが消滅した時以前の値より大きい値に変化させる工程を更に備える、請求項1ないしのいずれかに記載のアーク溶接方法。
  7. 消耗電極と母材との間に溶接電流を流すことにより、アークを発生させ溶接を行うアーク溶接システムであって、
    上記溶接電流の絶対値の平均値を第1の値に設定している第1の期間と、上記溶接電流の絶対値の平均値を第1の値より小さい第2の値に設定している第2の期間と、を繰り返し発生させる電流制御手段と、
    上記アークが消滅したことを検知する検知手段と、を備え、
    上記第2の期間において上記アークが消滅したと上記検知手段が判断した場合、当該第2の期間の次の上記第1の期間が開始されるまで上記アークが消滅した状態を維持し、
    上記消耗電極を所定の送給速度で上記母材に向かって送給する送給制御手段を備え、
    上記送給制御手段は、上記アークが消滅した状態を維持する期間において、上記送給速度を低下させることを特徴とする、アーク溶接システム。
  8. 消耗電極と母材との間に溶接電流を流すことにより、アークを発生させ溶接を行うアーク溶接システムであって、
    上記溶接電流の絶対値の平均値を第1の値に設定している第1の期間と、上記溶接電流の絶対値の平均値を第1の値より小さい第2の値に設定している第2の期間と、を繰り返し発生させる電流制御手段と、
    上記アークが消滅したことを検知する検知手段と、を備え、
    上記第2の期間において上記アークが消滅したと上記検知手段が判断した場合、当該第2の期間の次の上記第1の期間が開始されるまで上記アークが消滅した状態を維持し、
    上記電流制御手段は、上記アークが消滅した状態を維持する期間において、上記消耗電極と上記母材との間に上記溶接電流を流すための出力を低下させることを特徴とする、アーク溶接システム。
  9. 上記検知手段は、上記溶接電流の通電が停止したことを検知することにより、上記アークが消滅したことを検知する、請求項7または8に記載のアーク溶接システム。
  10. 上記アークが消滅した状態を維持する期間においては、上記母材の面内方向のうちの溶接進行方向に向かって、上記消耗電極を上記母材に対し常に相対移動させる消耗電極移動手段を更に備える、請求項7ないしのいずれかに記載のアーク溶接システム。
  11. 上記アークが消滅した状態を維持することに引き続く上記第1の期間を、上記消耗電極を上記母材に接触させた後に上記消耗電極を上記母材から引き離すリトラクトスタート方法を用いることにより開始する、請求項ないし1のいずれかに記載のアーク溶接システム。
  12. 上記検知手段は、上記第1の期間において上記アークが消滅した場合に、上記アークが消滅した時から第1の遅延時間経過後に上記アークが消滅したと判断し、且つ、上記第2の期間において上記アークが消滅した場合に、上記アークが消滅した時から、上記第1の遅延時間より短い第2の遅延時間経過後に上記アークが消滅したと判断する、請求項ないし1のいずれかに記載のアーク溶接システム。
  13. 上記電流制御手段は、上記第2の期間において上記アークが消滅したと上記検知手段が判断した場合、上記第2の値を上記アークが消滅した時以前の値より大きい値に変化させる、請求項ないし1のいずれかに記載のアーク溶接システム。
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