JP5410220B2 - アーク溶接方法およびアーク溶接システム - Google Patents
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Description
溶滴移行期間T1では、従来技術の説明において図7(a)、図9(a)で示した、溶融池Yを形成する処理を行う。溶滴移行期間T1においては、図3(a)に示すように、ロボット移動速度VRを0に設定する。そのため溶接トーチ14は溶接母材Wに対して停止している。同図(c)に示すように、溶接電流Iwとして、絶対値の平均値が電流値iw1である交流のパルスの溶接電流Iw1が流れている。溶滴移行期間T1においては、定電圧制御がなされている。定電圧制御では、溶接電流Iwは、溶接ワイヤ15の材質、直径、溶接ワイヤ15の突出長さ、電極極性等の溶接条件が決定されれば、同図(d)に示す溶接ワイヤ15の送給速度Fwにより定まる。すなわち、溶接電流Iw1は、送給速度Fwを設定する送給速度設定信号Wsにより決定される。溶滴移行期間T1において溶接ワイヤ15は、fw1の送給速度Fwで送給されている。fw1は、たとえば650〜1000cm/minである。また、溶滴移行期間T1は、たとえば0.4〜0.5secである。
図3に示すアーク継続期間T2では、従来技術の説明において図9(b),(c)で示した、溶融池Yを冷却する処理を、アークaを継続させつつ行う。アーク継続期間T2は、たとえば0.2〜0.3secである。
図3(a)に示すように、アーク継続期間T2の開始時である時刻t2において、ロボット移動速度VRをV2に設定する。これにより溶接トーチ14は、所定の溶接進行方向に沿って移動を開始する。V2は、たとえば100cm/minである。アーク継続期間T2においては、溶滴移行期間T1と異なり、定電流制御がなされている。同図(b)に示すように、電流設定信号Isは、電流値is1である定電流(すなわち、絶対値の平均値は電流値is1である)が溶接電流Iwとして流れるよう、設定されている。そのため同図(c)に示すように、溶接電流Iwとして、電流値is1で一定の溶接電流Iw2が流れている。電流値is1は、たとえば15〜20A程度である。電流値is1は、溶滴移行が行われにくい程度の小さい値である。また、溶接電流Iw2は、溶接ワイヤ15が陽極、溶接母材Wが陰極となった状態で流れる、いわゆる電極プラス極性電流である。同図(d)に示すように、溶接ワイヤ15は、fw2の送給速度Fwで送給されている。fw2は、fw1より小さく、たとえば70cm/minである。
時刻tv1において、意図しない原因により、アークaが消滅する。すると、同図(c)に示すように、溶接電流Iwが0になる。図2の電流検出回路32は、溶接電流Iwが0であるとする電流検出信号Idを、アーク消滅検出回路33に出力する。アーク消滅検出回路33は、入力されている電流検出信号Idから、溶接電流Iwが0であると判断する。そして、アーク消滅検出回路33は、アークaが消滅したと判断する。そして、アーク消滅検出回路33は、アーク消滅信号Saを、出力制御回路31および動作制御回路21に出力する。
同図(a)に示すように、時刻t3において、ロボット移動速度VRを0に設定し、溶接トーチ14の移動を停止させる。また、同図(d)に示すように、送給速度Fwをfw1より小さいfw3として、溶接ワイヤ15の送給を開始する。そして、出力制御回路31の出力をオン状態とすることにより、アークaを再発生させる。アークaを再発生させるためには、様々なアークスタート方法を用いることができる。このようなアークスタート方法として、たとえば、溶接ワイヤ15を溶接母材Wに接触させた後に溶接ワイヤ15を溶接母材Wから引き離すリトラクトスタート方法を用いることもできる。アークaを再発生させる際のアークスタート条件を、アークaが消滅した時刻tv1前に行っていたアーク溶接においてアークaを発生させた際のアークスタート条件と異ならせてもよい。このようなアークスタート条件としては、スタート電流の大きさやスタート電流を流す時間が挙げられる。そしてアークaが発生した後に、同図(d)に示すように、送給速度Fwをfw1に変化させる。そして、アーク溶接が再び行われる。
1 溶接ロボット
11 ベース部材
12 アーム
12a 手首部
13 モータ
14 溶接トーチ
15 溶接ワイヤ(消耗電極)
16 ワイヤ送給装置
161 送給モータ
2 ロボット制御装置
21 動作制御回路(消耗電極移動手段)
22 インターフェイス回路
3 溶接電源装置
31 出力制御回路(電流制御手段)
32 電流検出回路
33 アーク消滅検出回路(検知手段)
34 送給制御回路
35 インターフェイス回路
36 電圧検出回路
W 溶接母材(母材)
St 溶接開始信号
On 出力開始信号
Sa アーク消滅信号
Ws 送給速度設定信号
Mc 動作制御信号
Fc 送給制御信号
VR ロボット移動速度
Iw,Iw1,Iw2 溶接電流
iw1 電流値(第1の値)
Vw 溶接電圧
T1 溶滴移行期間(第1の期間)
T2 アーク継続期間(第2の期間)
Iep 電極プラス極性電流
Ien 電極マイナス極性電流
Ipp プラス極性ピーク電流
Ipb プラス極性ベース電流
Te 周期
Tpp,Tpb 電極プラス極性期間
Ten 電極マイナス極性期間
Is 電流設定信号
is1,is2 電流値(第2の値)
dt1 (第1の)遅延時間
dt2 (第2の)遅延時間
Fw 送給速度
Claims (13)
- 消耗電極と母材との間に溶接電流を、絶対値の平均値が第1の値であるように流すことにより、アークを発生させつつ溶滴移行させる第1工程と、
上記溶接電流を、絶対値の平均値が上記第1の値より小さい第2の値であるように流し、上記アークが発生している状態を継続させる第2工程と、を備え、
上記第1工程と上記第2工程とを繰り返すアーク溶接方法であって、
上記第2工程において上記アークが消滅した場合、当該第2工程の次の上記第1工程が開始されるまで上記アークが消滅した状態を維持する工程を更に備え、
上記消耗電極を、所定の送給速度で上記母材に向かって送給し、
上記アークが消滅した状態を維持する工程において、上記送給速度を低下させる工程を備えることを特徴とする、アーク溶接方法。 - 消耗電極と母材との間に溶接電流を、絶対値の平均値が第1の値であるように流すことにより、アークを発生させつつ溶滴移行させる第1工程と、
上記溶接電流を、絶対値の平均値が上記第1の値より小さい第2の値であるように流し、上記アークが発生している状態を継続させる第2工程と、を備え、
上記第1工程と上記第2工程とを繰り返すアーク溶接方法であって、
上記第2工程において上記アークが消滅した場合、当該第2工程の次の上記第1工程が開始されるまで上記アークが消滅した状態を維持する工程を更に備え、
上記アークが消滅した状態を維持する工程において、上記消耗電極と上記母材との間に上記溶接電流を流す電流制御手段の出力を低下させることを特徴とする、アーク溶接方法。 - 上記溶接電流の通電が停止したことを検知することにより、上記アークが消滅したことを検知する工程を更に備える、請求項1または2に記載のアーク溶接方法。
- 上記アークが消滅した状態を維持する工程においては、上記母材の面内方向のうちの溶接進行方向に向かって、上記消耗電極を上記母材に対し常に相対移動させる、請求項1ないし3のいずれかに記載のアーク溶接方法。
- 上記アークが消滅した状態を維持する工程に引き続く上記第1工程を、上記消耗電極を上記母材に接触させた後に上記消耗電極を上記母材から引き離すリトラクトスタート方法を用いることにより開始する、請求項1ないし4のいずれかに記載のアーク溶接方法。
- 上記第2工程において上記アークが消滅した場合、上記第2の値を上記アークが消滅した時以前の値より大きい値に変化させる工程を更に備える、請求項1ないし5のいずれかに記載のアーク溶接方法。
- 消耗電極と母材との間に溶接電流を流すことにより、アークを発生させ溶接を行うアーク溶接システムであって、
上記溶接電流の絶対値の平均値を第1の値に設定している第1の期間と、上記溶接電流の絶対値の平均値を第1の値より小さい第2の値に設定している第2の期間と、を繰り返し発生させる電流制御手段と、
上記アークが消滅したことを検知する検知手段と、を備え、
上記第2の期間において上記アークが消滅したと上記検知手段が判断した場合、当該第2の期間の次の上記第1の期間が開始されるまで上記アークが消滅した状態を維持し、
上記消耗電極を所定の送給速度で上記母材に向かって送給する送給制御手段を備え、
上記送給制御手段は、上記アークが消滅した状態を維持する期間において、上記送給速度を低下させることを特徴とする、アーク溶接システム。 - 消耗電極と母材との間に溶接電流を流すことにより、アークを発生させ溶接を行うアーク溶接システムであって、
上記溶接電流の絶対値の平均値を第1の値に設定している第1の期間と、上記溶接電流の絶対値の平均値を第1の値より小さい第2の値に設定している第2の期間と、を繰り返し発生させる電流制御手段と、
上記アークが消滅したことを検知する検知手段と、を備え、
上記第2の期間において上記アークが消滅したと上記検知手段が判断した場合、当該第2の期間の次の上記第1の期間が開始されるまで上記アークが消滅した状態を維持し、
上記電流制御手段は、上記アークが消滅した状態を維持する期間において、上記消耗電極と上記母材との間に上記溶接電流を流すための出力を低下させることを特徴とする、アーク溶接システム。 - 上記検知手段は、上記溶接電流の通電が停止したことを検知することにより、上記アークが消滅したことを検知する、請求項7または8に記載のアーク溶接システム。
- 上記アークが消滅した状態を維持する期間においては、上記母材の面内方向のうちの溶接進行方向に向かって、上記消耗電極を上記母材に対し常に相対移動させる消耗電極移動手段を更に備える、請求項7ないし9のいずれかに記載のアーク溶接システム。
- 上記アークが消滅した状態を維持することに引き続く上記第1の期間を、上記消耗電極を上記母材に接触させた後に上記消耗電極を上記母材から引き離すリトラクトスタート方法を用いることにより開始する、請求項7ないし10のいずれかに記載のアーク溶接システム。
- 上記検知手段は、上記第1の期間において上記アークが消滅した場合に、上記アークが消滅した時から第1の遅延時間経過後に上記アークが消滅したと判断し、且つ、上記第2の期間において上記アークが消滅した場合に、上記アークが消滅した時から、上記第1の遅延時間より短い第2の遅延時間経過後に上記アークが消滅したと判断する、請求項7ないし11のいずれかに記載のアーク溶接システム。
- 上記電流制御手段は、上記第2の期間において上記アークが消滅したと上記検知手段が判断した場合、上記第2の値を上記アークが消滅した時以前の値より大きい値に変化させる、請求項7ないし12のいずれかに記載のアーク溶接システム。
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