JP5408824B2 - ナフタロシアニン化合物及びその製造方法 - Google Patents
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しかしながら、これら従来のナフタロシアン化合物の殆どは、ナフタロシアニン骨格のナフタレン環の5,6,7,8位には置換基を有さないか、或いは置換基があってもニトロ基、アミノ基、シリル基又は水酸基等であり、アルキル基やアリール基をこれらの位置に有するナフタロシアニン化合物は殆ど知られていない。
本発明者等は、先にナフタロシアニン骨格のナフタレン環の6,7位にアリール基が置換されたナフタロシアニン化合物を合成し、特許出願を行った(特許文献4参照)。しかしながら、この方法では立体障害の大きい5,8位にアルキル基やアリール基が置換されたナフタロシアニン化合物を製造することはできなかった。
そして、この新規な5,6,7,8−テトラ置換−1,4−ジアルコキシ−5,8−エポキシ−2,3−ジシアノ−5,8−ジヒドロナフタレン誘導体を出発物質とすることにより、ナフタロシアニン骨格のナフタレン環の6,7位や5,8位に、アルキル基やアリール基が置換され、5,8位にエポキシ環を有するナフタロシアニン化合物が得られることを見出し、本発明を完成した。
1.下記の式(1)で表される5,6,7,8−テトラ置換−1,4−ジアルコキシ−5,8−エポキシ−2,3−ジシアノ−5,8−ジヒドロナフタレン誘導体を、
金属リチウムの存在下に有機溶媒中で加熱することを特徴とする下記の式(2)で表されるナフタロシアニン化合物の製造方法。
2.前記式(1)において、R5およびR6がペンチル基であることを特徴とする請求項1に記載のナフタロシアニン化合物の製造方法。
3.前記有機溶媒が、炭素数3〜8の脂肪族アルコールであることを特徴とする1.又は2.に記載のナフタロシアニン化合物の製造方法。
4.下記の式(2)で表されるナフタロシアニン化合物:
金属リチウムの存在下に有機溶媒中で加熱することにより、下記の式(2)で表されるナフタロシアニン化合物を製造する。
グリニヤール反応用の削状マグネシウムのような金属マグネシウムの存在下に、下記式(4)で表される2, 3−ジシアノベンゼン誘導体と反応させることにより製造することができる。
これらの2,3−ジシアノベンゼン誘導体は、入手の容易な1,4−ジヒドロキシ−2, 3−ジシアノベンゼン誘導体を原料として、NBSによるジブロモ化反応、および、後続する光延反応(DIAD及びPPh3の存在下での対応するアルコールR5OHおよび(または) R6OHとの反応)により、次の反応スキームにしたがって製造することができる。
また、反応温度は0℃〜リフラックス温度の範囲で、使用する原料等に応じて選択することができる。
本発明で出発物質として使用する式(1)で表される、5,6,7,8−テトラ置換−1,4−ジアルコキシ−5,8−エポキシ−2,3−ジシアノ−5,8−ジヒドロナフタレン誘導体は、カラムクロマト等により単離することができる。
有機溶媒としては、炭素数3〜8の脂肪族アルコールを用いることが好ましい。
13C NMR (100 MHz, TMS, d6-DMSO)TM 151.73, 124.87, 113.94,
102.09 ppm; IR(KBr)nmax 3314, 2250, 1716, 1561,
1439, 1331, 1275, 1173, 1052, 986, 931, 844, 728, 681, 521, 419 cm-1;
MS(APCI) m/z 318 [M + H]+
また,文献(Cook,M.J.;Heeney,M.J.Chem.Eur.J.2000,21,3958)のスペクトルと照合し,目的化合物の生成を確認した。
1H NMR(400 MHz, TMS, CDCl3) d 4.20(t, 4H, J = 6.4 Hz), 1.94 - 1.87(m, 4H),
1.56-1.36(m, 8H), 0.95(t, 6H, J = 7.2 Hz) ppm; 13C NMR (100
MHz, TMS, CDCl3)d 156.38, 129.62, 112.36,
109.21, 76.69, 29.63, 27.73, 22.34, 13.93 ppm; IR(KBr) nmax 2959, 2858, 2234, 1548, 1466, 1423, 1361, 1231, 1072,
1044, 1006, 936, 889, 835, 729, 536, 499 cm-1; MS(APCI) m/z
459 [M + H]+; mp 68.8 - 69.9 ℃
30 mLナス型フラスコに窒素導入管と塩化カルシウム管を取り付け、窒素気流下で、ナス型フラスコにグリニャール反応用削状マグネシウム0.41 g(17 mmol, 4 eq.)を入れ室温で10分間攪拌した。そこへ溶媒である乾燥テトラヒドロフラン16mL、3,4-ジフェニルフラン (4.2 mmol, 1 eq.)、5, 6-ジブロモ-1, 4-ジペンチルオキシ-2,3 -ジシアノベンゼン3.84 g(8.4 mmol, 2.0 eq.)を入れ、原料が消失するまで1.0時間、室温で攪拌した。反応終了後、反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液400 mLに加え、15分間撹拌した。反応溶液を分液ロートに移し、50 mLのジクロロメタンで3回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾取し、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、黒色油状の粗成生物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、淡黄色針状結晶の6,7−ジフェニル−1,4−ジペンチルオキシ−5,8−エポキシ−2,3-ジシアノ−5,8−ジヒドロナフタレンを得た(収率35%)。得られた化合物の物性値を以下に示す。 1H NMR(400 MHz, TMS, CDCl3) d 7.34-7.25(m, 10H), 6.23(s, 2H), 4.10(dt, 2H, J = 8.8, 6.4Hz), 3.94(dt, 2H, J =8.8, 6.8 Hz), 1.77-1.58(m, 4H), 1.38-1.25(m, 8H),0.90(t, 6H, J = 7.2 Hz) ppm; 13C NMR (100 MHz, TMS, CDCl3)d, 149.95, 146.53, 146.22, 132.23, 128.89, 128.81, 126.92,113.36, 108.84, 85.79, 75.35, 29.35, 27.62, 22.17, 13.87 ppm; IR(KBr) nmax 3081, 3056, 3022, 2931, 2870, 2233, 1597, 1574, 1498,1442, 1377, 1340, 1297, 984, 920, 863, 761, 695 cm-1; MS(APCI) m/z 536 [M + H2O] +; Anal. Calcd. for C34H34N2O3: C 78.74, H 6.61, N 5.40, found: C 78.59, H 6.83, N 5.43; mp 101.2-101.5 ℃
製造例3において、3,4−ジフェニルフランに換えてフランを使用し、反応時間を1.2時間とした以外は、製造例3と同様にして1,4−ジペンチルオキシ−5,8−エポキシ−2,3−ジシアノ−5,8−ジヒドロナフタレンを得た。
製造例3において、3,4−ジフェニルフランに換えて2,5−ジメチル−フランを使用し、反応時間を1.2時間とした以外は、製造例3と同様にして5,8−ジメチル−1,4−ジペンチルオキシ−5,8−エポキシ−2,3−ジシアノ−5,8−ジヒドロナフタレンを得た。
製造例3において、3,4−ジフェニルフランに換えて2,5−ジフェニル−フランを使用し、反応時間を1.2時間とした以外は、製造例3と同様にして5,8−ジフェニル−1,4−ジペンチルオキシ−5,8−エポキシ−2,3−ジシアノ−5,8−ジヒドロナフタレンを得た。
窒素気流下、10mLナス型フラスコに上記製造例3〜9で得られた各種の2,3−ジシアノナフタレン誘導体(0.2g)、1−ペンタノ−ル(1.5mL)を入れ100℃に昇温した。そこへ、金属リチウム(8eq.mol)を加え、100−120℃で30分間攪拌した。放冷後、反応溶液を薄い酢酸水溶液(100mL)に注ぎ、ジクロロメタン(50mL×3)で抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、乾燥剤を濾取した。濾液にメタノール(50mL)を加え、全量が30mL程度になるまでロータリーエバポレーターで濃縮した。析出した濃緑色固体を濾取してメタノールで洗浄し、粗生成物を得た。生成物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)によって単離した。生成物の構造は、各種スペクトルデータにより決定した。得られた各種のナフタロシアニンの化学式と物性値を以下に示す。
1HNMR(400 MHz,TMS,CDCl3)δ7.14−7.10(m,8H),5.38−4.95(m,8H),4.71−4.20(m,8H),2.42(s、24H),2.19−2.15(m,16H),1.44(br,32H),0.96−0.93(m,24H),−0.23(s,2H)ppm;IR(KBr)νmax3301,2956,2870,1579,1484,1319,1271,1250,1197,1136,1074,1038,942,865,764,714cm−1;UV−VIS(CHCl3)754,721,654,397,362,336,241nm;mp259.3−260.5℃
1HNMR(400 MHz,TMS,CDCl3)δ7.97−7,47(m,48H),5.03−3.98(m,16H),1.64−0.73(m,72H),−0.27(s,2H)ppm;IR(KBr)νmax3301,3061,3035,2954,2928,2870,1578,1484,1449,1338,1316,1272,1201,1086,1038,1019,975,905,756,713,696cm−1;UV−VIS(CHCl3)758,727,400,341,241nm;mp255.2−256.0℃
1HNMR(400 MHz,TMS,CDCl3)δ7.70−7.67(m,8H),7.60−7.77(m,8H),7.41−7.26(m,24H),6.67−6.58(m,8H),5.52−5.32(m,4H),4.94−4.53(m,12H),2.29−1.85(m,16H)1.66−1.26(m,32H),0.99−0.84(m,24H),−0.45(s,2H)ppm;IR(KBr)νmax3300,3056,3020,2955,2870,1583,1489,1466,1358,1319,1284,1209,1116,1099,1042,975,914,869,761,694,646cm−1;UV−VIS(CHCl3)750,716,648,412,322,242,212nm;mp293.5−294.7℃
1HNMR(400 MHz,TMS,CDCl3)δ7.66−7.63(m,8H),7.57−7.50(m,8H),7.13−7.01(m,16H),6.63−6.53(m,8H),5.50−5.31(m,4H),4.93−4.51(m,12H),2.27−1.89(m,16H),1.61−1.29(m,32H)1.01−0.87(m,24H),−0.46(s,2H)ppm;IR(KBr)νmax3302,2957,2870,1601,1514,1502,1357,1319,1284,1235,1159,1099,1053,1003,975,835,762,565,529cm−1;UV−VIS(CHCl3)750,715,647,322,241,216,199nm;mp272.1−273.9℃
1HNMR(400 MHz,TMS,CDCl3)δ7.67−7.42(m,16H),9.69−6.88(m,16H),6.64−6.56(m,8H),5.36−4.58(m,16H),3.92−3.83(m,24H),2.21−1.96(m,16H),1.63−1.33(m,32H),1.03−0.90(m,24H),−0.43(s,2H)ppm;IR(KBr)νmax3299,3010,2954,2869,2836,1604,1516,1505,1464,1318,1288,1250,1178,1099,1035,1000,975,923,868,830,761,575cm−1;UV−VIS(CHCl3)751,718,650,323,242,202nm;mp198.0−200.1℃
1HNMR(400 MHz,TMS,CDCl3)δ8.17−8.01(m,8H),7.79−7.68(m,16H),7.58−7.12(m,32H),6.86−6.73(m,8H),5.28−4.67(m,16H)1.90−0.58(m,72H),−0.39(s,2H)ppm;IR(KBr)νmax3302,3055,2954,2869,1585,1488,1466,1391,1356,1321,1284,1228,1180,1115,1083,1033,969,910,870,800,775,732,680,644cm−1;UV−VIS(CHCl3)751,718,683,328,305,241,226nm;mp176.0−177.6℃
Claims (7)
- 下記の式(1)で表される5,6,7,8−テトラ置換−1,4−ジアルコキシ−5,8−エポキシ−2,3−ジシアノ−5,8−ジヒドロナフタレン誘導体を、
金属リチウムの存在下に有機溶媒中で加熱することを特徴とする下記の式(2)で表されるナフタロシアニン化合物の製造方法。
- 前記式(1)において、R5およびR6がペンチル基であることを特徴とする請求項1に記載のナフタロシアニン化合物の製造方法。
- 前記有機溶媒が、炭素数3〜8の脂肪族アルコールであることを特徴とする請求項1又は2に記載のナフタロシアニン化合物の製造方法。
- 前記式(2)において、R1,R4が同一の基であることを特徴とする請求項4に記載のナフタロシアニン化合物。
- 前記式(2)において、R2及びR3が同一の基であることを特徴とする請求項4又は5に記載のナフタロシアニン化合物。
- 前記式(2)において、R5およびR6がペンチル基であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のナフタロシアニン化合物。
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