JP5407437B2 - 電動車両の駆動制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電動車両の駆動制御装置に関し、特に、駆動輪スリップが生じた場合の駆動力制御技術に関する。
従来、モータと駆動輪間に配設されたクラッチを有する電動車両の駆動制御装置において、クラッチの伝達トルク容量が目標クラッチ伝達トルク容量に一致するよう、クラッチの締結力を制御する技術が、例えば、特許文献1などで知られている。
また、従来の電動車両の駆動制御装置において、駆動輪スリップを検出すると、モータトルクを制限して駆動輪スリップを抑制する技術が、例えば、特許文献2や特許文献3により知られている。
特開2007−69804号公報 特開2004−96939号公報 特開2008−113541号公報
しかしながら、上述の従来技術では、駆動輪スリップが生じた場合に、以下に述べるような解決すべき課題を有していた。
すなわち、特許文献1に記載のように、クラッチの伝達トルク容量を制御する技術でトルクダウンを行なった場合、クラッチの応答性が低く、トルクダウンが間に合わず所望の駆動輪スリップ抑制性能を得ることができず、車両の安定性悪化やフィーリングの悪化を招く。
また、特許文献2,3に記載のように、モータトルクを制限する技術では、駆動源により駆動させる機器、あるいはハイブリッド車両などでは駆動源に含まれるエンジンなどが、正常に駆動するのに必要な最低回転数以下となった場合、正常駆動が難しくなる、作動不良や振動の発生などを招く。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、駆動輪スリップ発生時に、高応答性で駆動輪スリップを抑制可能であり、かつ、駆動源および駆動源に連動する機器類の作動不良や振動の発生を抑えることが可能な電動車両の駆動制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の電動車両の駆動制御装置は、走行制御手段が、モータジェネレータと駆動輪との間のクラッチのクラッチ伝達トルク容量を、要求駆動力に応じた伝達トルク容量に制御し、かつ、クラッチの上流と下流とで、あらかじめ設定された回転数差が生じるように前記駆動源の出力トルクを制御するトルク容量制御を実行しているときに、駆動輪スリップ判定手段が駆動輪スリップと判定したときには、走行制御手段は、前記目標クラッチ下流回転数が、あらかじめ設定されたクラッチ上流最低回転数よりも高い場合は、前記クラッチ伝達トルク容量を、前記伝達トルク容量に保持し、かつ、クラッチ上流回転数が前記目標クラッチ下流回転数に一致するよう前記モータの駆動を制御し、一方、前記目標クラッチ下流回転数が、前記クラッチ上流最低回転数よりも低い場合は、前記クラッチ上流回転数を、前記クラッチ上流最低回転数以上に保持するよう前記モータの駆動を制御し、かつ、前記クラッチ下流回転数が前記目標クラッチ下流回転数に一致するよう前記クラッチ伝達トルク容量を制御する駆動輪スリップ時制御を実行することを特徴とする電動車両の駆動制御装置とした。
本発明の電動車両の駆動制御装置にあっては、走行制御手段は、車両状態に応じ、例えば、発進時などには、トルク容量制御を実行する。このトルク容量制御では、クラッチ伝達トルク容量を、駆動輪に伝達したい容量に制御し、かつ、クラッチの上流と下流とで、あらかじめ設定された回転差が生じるように駆動源の出力トルクを制御するトルク容量制御を実行する。
これにより、駆動源には、駆動源側のトルク変動などが伝達されることなく、クラッチ伝達トルク容量分のトルクが安定して伝達され、車両挙動が安定した走行が可能であり、特に、低μ路などで有効である。
このトルク容量制御の実行中に、駆動輪スリップが発生したときには、走行制御手段は、駆動輪スリップ時制御を実行する。
この場合、目標クラッチ下流回転数により処理が異なる。
すなわち、目標クラッチ下流回転数が、クラッチ上流最低回転数よりも高い場合は、クラッチ伝達トルク容量は、駆動輪に伝達したい容量に保持し、かつ、目標クラッチ上流回転数が前記目標クラッチ下流回転数に一致するようモータトルクを制御する。
この場合、モータトルクは、制御応答性に優れ、目標クラッチ下流回転数を、駆動輪スリップを抑制可能な回転数まで高い応答性で低下させることができ、駆動輪スリップ抑制性能に優れる。
また、路面μの変化にも、高い応答性で対応することができ。
一方、目標クラッチ下流回転数が、クラッチ上流最低回転数よりも低い場合は、目標クラッチ上流回転数を、クラッチ上流最低回転数に保持し、クラッチ下流回転数が目標クラッチ回転数に一致するように、クラッチの伝達トルク容量を制御する。
このように、クラッチ上流回転数が、クラッチ上流最低回転数よりも高く保持され、クラッチ上流回転数が、クラッチ上流最低回転数よりも低下することにより、モータに連動する機器が不具合になるのを防止できる。
実施例1の電動車両の駆動制御装置が適用された後輪駆動によるハイブリッド車両の一例を示す全体システム図である。 実施例1の電動車両の駆動制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10にて実行される演算処理を示す制御ブロック図である。 実施例1の電動車両の駆動制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10でバッテリ充電制御を行なう際に用いられる目標充放電量マップを示す図である。 実施例1の電動車両の駆動制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10で用いられる目標車輪スリップ量特性を示す目標スリップ量特性図である。 実施例1の電動車両の駆動制御装置に適用された統合コントローラ10にて実行される駆動輪スリップ時制御時の処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の電動車両の駆動制御装置において、WSCモードで走行中に、駆動輪スリップが生じて駆動輪スリップ時制御が実行された場合の動作を説明するタイムチャートであって、(A)は比較例の動作を示し(B)は実施例1の動作を示す。 実施例1の電動車両の駆動制御装置において、WSCモードで走行中に、駆動輪スリップが生じて駆動輪スリップ時制御が実行された場合の動作を説明するタイムチャートであって、(A)は比較例の動作を示し(B)は実施例1の動作を示す。 実施例1の電動車両の駆動制御装置において、WSCモードで走行中に、駆動輪スリップが生じて駆動輪スリップ時制御が実行された場合の動作を説明するタイムチャートであって、(A)は比較例の動作を示し(B)は実施例1の動作を示す。 実施例1の電動車両の駆動制御装置において、WSCモードで走行中に、駆動輪スリップが生じて駆動輪スリップ時制御が実行された場合の動作であって、特に、クラッチ下流回転数をクラッチ上流最低回転数よりも低回転数に制御した場合を説明するタイムチャートであって、(A)は比較例の動作を示し(B)は実施例1の動作を示す。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の実施の形態のクラッチ制御装置は、駆動輪(RL,RR)に駆動力を与え、少なくともモータ(MG)を含む駆動源と、この駆動源と前記駆動輪(RL,RR)との間に介在され、両者間の伝達トルク容量を変更可能なクラッチ(CL)と、このクラッチ伝達トルク容量を制御するクラッチ制御手段(7)と、記モータ(MG)の駆動を制御するモータ駆動制御手段(2)と、前記駆動輪(RL,RR)にスリップが生じたか否かを判定する駆動輪スリップ判定手段(101)と、車両状態に応じて目標車輪スリップ量を演算する目標車輪スリップ量演算手段(105c)と、前記目標車輪スリップ量に基づいて、目標クラッチ下流回転数を演算する目標クラッチ下流回転数演算手段(105d)と、車両状態に応じ、前記クラッチ伝達トルク容量を、要求駆動力に応じた伝達トルク容量に制御し、かつ、前記クラッチの上流と下流とで、あらかじめ設定された回転数差が生じるように前記駆動源の出力トルクを制御するトルク容量制御を実行する走行制御手段(10)と、を備えた電動車両の駆動制御装置であって、前記走行制御手段(10)の前記トルク容量制御の実行時に、前記駆動輪スリップ判定手段(101)が駆動輪スリップと判定したときには、前記目標クラッチ下流回転数が、あらかじめ設定されたクラッチ上流最低回転数よりも高い場合は、前記クラッチ制御手段(7)は、前記クラッチ伝達トルク容量を、前記伝達トルク容量に保持し、かつ、クラッチ上流回転数が前記目標クラッチ下流回転数に一致するよう前記モータ(MG)の駆動を制御し、一方、前記目標クラッチ下流回転数が、前記クラッチ上流最低回転数よりも低い場合は、前記クラッチ上流回転数を、前記クラッチ上流最低回転数以上に保持するよう前記モータ(MG)の駆動を制御し、かつ、前記クラッチ制御手段(7)は、クラッチ下流回転数が前記目標クラッチ下流回転数に一致するよう前記クラッチ伝達トルク容量を制御する駆動輪スリップ時制御を実行することを特徴とする電動車両の駆動制御装置である。
図1〜図9に基づき、この発明の最良の実施の形態の実施例1のクラッチ制御装置について説明する。
まず、実施例1の構成を説明する。
図1は実施例1の電動車両の駆動制御装置が適用された後輪駆動式のハイブリッド車両(ハイブリッド車両の一例)を示す全体システム図であり、この図に基づいて、駆動系および制御系の構成を説明する。
まず、駆動系の構成を説明する。
実施例1におけるFRハイブリッド車両の駆動系は、エンジンEngと、フライホイールFWと、モータジェネレータMGと、クラッチCLと、自動変速機ATと、プロペラシャフトPSと、ディファレンシャルDFと、左ドライブシャフトDSLと、右ドライブシャフトDSRと、駆動輪である左後輪RLおよび右後輪RRと、従動輪である左前輪FLおよび右前輪FRと、を備えている。
すなわち、本実施例1では、駆動源として、モータジェネレータMGとエンジンEngとを備えている。
前記エンジンEngは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、エンジンコントローラ1からのエンジン制御指令に基づいて、エンジン始動制御やエンジン停止制御やスロットルバルブのバルブ開度制御やフューエルカット制御等が行われる。なお、エンジン出力軸には、フライホイールFWが設けられている。
前記モータジェネレータMGは、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータであり、モータコントローラ2からの制御指令に基づいて、インバータ3により作り出された三相交流を印加することにより制御される。このモータジェネレータMGは、バッテリ4からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(以下、この動作状態を「力行」と呼ぶ)、ロータがエンジンEngや駆動輪から回転エネルギを受ける場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能し、バッテリ4を充電することもできる(以下、この動作状態を「回生」と呼ぶ)。なお、このモータジェネレータMGのロータは、ダンパを介して自動変速機ATの変速機入力軸に連結されている。
前記クラッチCLは、モータジェネレータMGと左右後輪RL,RRとの間であって、モータジェネレータMGと自動変速機ATとの間に介装されたクラッチであり、ATコントローラ7からの目標クラッチトルク指令に基づいて、クラッチ油圧ユニット8により作り出された制御油圧により、締結・スリップ締結・開放が制御される。
なお、スリップ締結は、WSCモードでの走行時に実行される。このWSCモードは、P,N→Dセレクト発進時、または、Dレンジ発進時等において、モータジェネレータMGを回転数制御させることでクラッチCLのスリップ締結状態を維持し、クラッチCLを経過するクラッチ伝達トルクが、車両状態やドライバ操作に応じて決まる要求駆動トルクとなるようにクラッチ伝達トルク容量をコントロールしながら発進するモードである。このように制御することで、駆動源側のトルク変動が駆動輪(左右後輪RL,RR)に伝達されることがなく、スムーズな発進が可能となる。ちなみに、「WSC」とは「Wet Start Clutch」の略である。
このクラッチCLとして、例えば、比例ソレノイドで油流量および油圧を連続的に制御できるノーマルオープンの湿式多板クラッチや湿式多板ブレーキを用いることができ、自動変速機AT内に設けられ、変速に伴って締結されてトルク伝達を行なう摩擦締結要素を利用することができる。
あるいは、クラッチCLとして、例えば、ダイアフラムスプリングによる付勢力にて完全締結を保ち、図外の油圧アクチュエータを用いたストローク制御により、スリップ締結から完全開放までが制御されるノーマルクローズの乾式単板クラッチを用いることもできる。
前記自動変速機ATは、例えば、前進7速/後退1速等の有段階の変速段を車速やアクセル開度等に応じて自動的に切り換える有段変速機であり、その出力軸は、プロペラシャフトPS、ディファレンシャルDF、左ドライブシャフトDSL、右ドライブシャフトDSRを介して左右後輪RL,RRに連結されている。
次に、ハイブリッド車両の制御系を説明する。
実施例1におけるFRハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ(モータ駆動制御手段)2と、インバータ3と、バッテリ4と、ATコントローラ7と、クラッチ油圧ユニット8と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10と、を有して構成されている。なお、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、ATコントローラ7(クラッチ制御手段)と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ(走行制御手段)10とは、情報交換が互いに可能なCAN通信線11を介して接続されている。
前記エンジンコントローラ1は、エンジン回転数センサ12からのエンジン回転数情報と、統合コントローラ10からのエンジントルク指令値tTeと、他の必要情報を入力する。そして、エンジン動作点(Ne,Te)を制御する指令を、エンジンEngのスロットルバルブアクチュエータ等へ出力する。
前記モータコントローラ2は、モータジェネレータMGのロータ回転位置を検出するレゾルバ13からの情報と、統合コントローラ10からの目標モータトルク指令および目標モータ回転数指令と、他の必要情報を入力する。そして、モータジェネレータMGのモータ動作点(Nm,Tm)を制御する指令(tNm,tTm)をインバータ3へ出力する。なお、このモータコントローラ2では、バッテリ4の充放電容量をあらわすバッテリ充放電量SOCを監視していて、このバッテリ充放電量SOC情報は、モータジェネレータMGの制御情報に用いられると共に、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給される。
前記ATコントローラ7は、アクセル開度センサ16と、車速センサ17と、変速機入力回転数センサ18aおよび他のセンサ類18(、インヒビタースイッチ等)からの情報を入力する。そして、Dレンジを選択しての走行時、アクセル開度APOと車速VSPにより決まる運転点がシフトマップ上で存在する位置により最適な変速段を検索し、検索された変速段を得る制御指令をAT油圧コントロールバルブユニットCVUに出力する。なお、シフトマップとは、アクセル開度と車速に応じてアップシフト線とダウンシフト線を書き込んだマップをいう。上記自動変速制御に加えて、統合コントローラ10から目標クラッチ伝達トルク容量指令を入力した場合、クラッチCLのスリップ締結を制御する指令をAT油圧コントロールバルブユニットCVU内のクラッチ油圧ユニット8に出力する。また、左右後輪RL,RRに駆動輪スリップが生じた場合には、後述する駆動輪スリップを抑制する駆動輪スリップ時制御を実行する。
前記ブレーキコントローラ9は、4輪の各車輪速を検出する車輪速センサ19と、ブレーキストロークセンサ20からのセンサ情報と、統合コントローラ10からの回生協調制御指令と、他の必要情報を入力する。そして、例えば、ブレーキ踏み込み制動時、ブレーキストロークBSから求められる要求制動力に対し回生制動力だけでは不足する場合、その不足分を機械制動力(液圧制動力やモータ制動力)で補うように、回生協調ブレーキ制御を行なう。
前記統合コントローラ10は、車両全体の消費エネルギを管理し、最高効率で車両を走らせるための機能を担うもので、モータ回転数Nmを検出するモータ回転数センサ21や他のセンサ・スイッチ類22からの必要情報およびCAN通信線11を介して情報を入力する。そして、エンジンコントローラ1へエンジントルク指令値tTe、モータコントローラ2へ目標モータトルク指令および目標モータ回転数指令、ATコントローラ7へ目標クラッチ伝達トルク容量指令、ブレーキコントローラ9へ回生協調制御指令を出力する。
図2は、実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10にて実行される演算処理を示す制御ブロック図である。
この図に示すように、統合コントローラ10には、スリップ判定部101、発電トルク要求演算部102、ドライバ要求駆動力演算部103、通常制御演算部104、スリップ時制御演算部105、制御切換部106を備えている。
スリップ判定部101は、従動輪(左右前輪FL,FR)の車輪速度に基づいて推定した推定車体速度と、駆動輪(左右後輪RL,RR)の車輪速度とを比較し、駆動輪車輪速度が推定車体速度を、あらかじめ設定されたスリップ判定値以上上回ると、駆動輪スリップと判定する。
発電トルク要求演算部102は、図3に示す目標充放電量マップを用いて、バッテリ充放電量SOCから目標充放電電力tPを演算する。
ドライバ要求駆動力演算部103は、アクセル開度APOと車速VSPとから目標駆動力tFo0を演算する。
通常制御演算部104は、駆動輪(左右後輪RL,RR)にスリップ判定値を超えるスリップが生じていない通常時に、目標駆動力tFo0に基づいて、エンジントルク指令値、モータトルク指令値、クラッチ伝達トルク容量指令値を演算する。
一方、スリップ時制御演算部105は、駆動輪(左右後輪RL,RR)にスリップ判定値を越えるスリップが生じた時に、エンジントルク指令値、モータトルク指令値、クラッチ伝達トルク容量指令値を演算する。
制御切換部106は、通常制御演算部104で形成された各指令値と、スリップ時制御演算部105で形成された各指令値と、の出力の切換を行なう。
次に、通常制御演算部104について説明を加える。
通常制御演算部104は、エンジントルク指令値演算部104aとモータトルク指令値演算部104bとクラッチ伝達トルク容量指令値演算部104cとを備えている。
エンジントルク指令値演算部104aおよびモータトルク指令値演算部104bでは、ドライバ要求駆動力演算部103で得られた目標駆動力tFo0に基づいて、エンジントルク指令値tTeおよび目標モータトルク指令値tTmを演算し、これらに応じたエンジントルク指令およびモータトルク指令を出力する。
また、クラッチ伝達トルク容量指令値演算部104cでは、クラッチCLのクラッチ伝達トルク容量指令値tTcを演算する。このクラッチ伝達トルク容量指令値tTcは、目標駆動力tFo0を駆動輪に伝達可能に設定される。
この通常制御演算部104で実行される制御には、前述したWSCモードで走行するWSCモード制御(トルク容量制御)が含まれる。このWSCモード制御は、発進時などに実行され、クラッチCLのクラッチ伝達トルク容量を、駆動輪(左右後輪RL,RR)に伝達したい容量に制御し、かつ、クラッチCLの上流と下流とで、あらかじめ設定された回転数差が生じるようにモータトルクを制御する。
次に、本実施例1の特徴とするスリップ時制御演算部105について説明する。
スリップ時制御演算部105は、左右後輪RL,RRに駆動輪スリップが生じた場合に、これを抑制する処理を行なうもので、路面反力推定部105a、エンジントルク要求値演算部105b、目標車輪スリップ量演算部105c、目標モータ回転数演算部105d、モータトルク指令値演算部105e、クラッチ伝達トルク容量指令値演算部105fを備えている。
路面反力推定部105aでは、エンジンEngおよびモータジェネレータMGのトルクと、モータ回転数の上昇速度と、によりクラッチ伝達トルク容量Tを推定する(T=I・dω/dt)。
そして、クラッチ伝達トルク容量Tと車輪速の上昇速度とにより路面反力を推定する。
エンジントルク要求値演算部105bは、下記の式(1)に基づいてエンジントルク要求値を求める。
エンジントルク要求値=(推定路面反力÷ギア比)+発電要求トルク ・・・(1)
すなわち、路面反力が小さいのに大きなエンジントルクを出し続けると、駆動輪スリップを抑えるためにモータジェネレータMGが発電し続けてしまう。逆に、路面反力よりも小さいエンジントルクしか出力しないと、スリップ量をコントロールするためモータジェネレータMGがアシストし続け、放電し続けてしまう。そこで、このような現象でバッテリ充放電量SOCのバランスを崩さないようにするために、上記エンジントルク要求値を求める。
目標車輪スリップ量演算部105cでは、目標車輪スリップ量を演算する。
この目標車輪スリップ量は、図4に示すように、アクセル開度APOおよび車速VSPに応じ、最適の体感が得られる目標スリップ量があらかじめ設定されている。
すなわち、スリップ量が大きすぎると、路面との摩擦が小さくなり、駆動力が低下するとともに、車両挙動が不安定となる。また、必要以上の吹け上がり感は、体感上も好ましくない。
一方、スリップ量が小さすぎると、図外のアクセルペダルを踏込んでも、車両挙動変化が乏しく、例えば、運転者は、パワー不足と感じるなど、体感上好ましくない。また、深雪路などでは、駆動輪を空転させながら走行しないと走破が難しい。
このようなことから、図4に示す目標車輪スリップ量特性が、アクセル開度APOと車速VSPとに基づいて、マップあるいは演算式で設定されている。
目標モータ回転数演算部105dは、後述の目標クラッチ下流回転数と、あらかじめ設定されたクラッチ上流最低回転数と、のいずれかを目標モータ回転数として決定する。
まず、目標クラッチ下流回転数について説明する。この目標クラッチ下流回転数は、自動変速機ATの目標入力回転数であって、目標駆動輪回転数からギア比を考慮して算出する。なお、目標駆動輪回転数は、推定車体速度+目標車輪スリップ速度で求める。
すなわち、目標クラッチ下流回転数は、下記の式(2)に示すように、目標駆動輪回転数に変速比を掛けたものである。
目標クラッチ下流回転数=目標駆動輪回転数×減速比
=(目標駆動輪回転速度/タイヤ周長)×減速比
={(推定車体速度+目標車輪スリップ速度)/(タイヤ半径×2π)}×減速比 ・・(2)
また、目標モータ回転数演算部105dには、あらかじめクラッチ上流最低回転数が設定されており、下記のa)b)の条件に基づいて、目標モータ回転数を決定する。
すなわち、下記のa)の条件が成立した場合は、目標モータ回転数=目標クラッチ下流回転数とする。一方、b)の条件が成立した場合は、目標モータ回転数=クラッチ上流最低回転数とする。
a)目標クラッチ下流回転数≧クラッチ上流最低回転数
b)目標クラッチ下流回転数<クラッチ上流最低回転数
次に、クラッチ上流最低回転数について説明する。
このクラッチ上流最低回転数とは、クラッチCLのトルク伝達経路の上流に存在し、クラッチ上流回転数(クラッチ入力回転数)に連動して作動する機器の最低許容回転数の最も高い回転数に設定されている。
このクラッチ上流の回転数に連動して作動する機器は、例えば、エンジンEngや、図示を要略したオイルポンプおよび冷却ポンプや、モータジェネレータMGなどである。
そこで、これらの機器ごとの最低許容回転数について説明する。
エンジンEngでは、回転数がある回転数よりも低下すると停止してしまう。また、そのエンストが生じる回転数よりも僅かに上の回転数でも、振動が発生する。そこで、このようなエンスト直前の振動が生じる回転数、例えば、600rpm程度の回転数を最低許容回転数としている。
図外のオイルポンプは、例えば、自動変速機ATの内部の図示を省略したコントロールバルブ、あるいは自動変速機ATとしてのCVTなどの駆動に必要な油圧を供給するオイルポンプなどである。このようなオイルポンプでは、実現したい変速比、クラッチ締結力を維持するために必要な最低ポンプ駆動回転数が存在する。そこで、このような回転数を最低許容回転数としている。なお、この場合の最低許容回転数は、要求伝達トルクなどにより異なる。
図外の冷却用ポンプは、例えば、エンジンウォータポンプ、変速機(例えば、CVT)冷却用オイルポンプなどである。このような冷却用ポンプは、冷却媒体の冷却のために必要な流量を確保するために最低限必要な回転数が存在する。そこで、このような回転数を最低許容回転数としている。
モータジェネレータMGは、最低発電量を満足するのに必要な回転数が存在する。例えば、バッテリ充放電量SOCが低下した場合、ヘッドライトやパワステなどの車両電装品の消費する電力分を発電しないとバッテリ過放電になってしまう。ところが、回転数が低くなりすぎると、この最低限必要な発電量を確保できなくなる。最低許容回転数は、この最低限必要な発電量を確保できる回転数としている。
以上のように、クラッチ上流に存在する各機器には、上述した最低許容回転数が存在しており、本実施例1では、これらのうち、最も高い回転数を、クラッチ上流最低回転数としている。
モータトルク指令値演算部105eは、目標モータ回転数と実モータ回転数とを比較し、実モータ回転数が目標モータ回転数に一致するように、フィードバック制御を行い、目標モータトルク指令値tTmを決定する。
クラッチ伝達トルク容量指令値演算部105fは、上記a)b)の条件、すなわち、目標クラッチ下流回転数とクラッチ上流最低回転数とに基づいて、クラッチ伝達トルク容量を決定する。
ここで、上記a)の条件が成立する場合、クラッチ伝達トルク容量=目標駆動力(=ドライバ要求駆動力)とする。
一方、上記b)の条件が成立する場合は、クラッチ下流回転数=目標クラッチ回転数となるようにクラッチ伝達トルク容量をフィードバック制御する。
制御切換部106は、スリップ判定部101のスリップ判定に基づいて、非駆動輪スリップ時には、通常制御演算部104で決定したエンジントルク指令値tTe、目標モータトルク指令値tTm、クラッチ伝達トルク容量指令値tTcを出力し、駆動輪スリップ判定時には、スリップ時制御演算部105が決定した各指令値を出力する。
次に、駆動輪スリップ時制御時の処理の流れを図5のフローチャートに基づいて説明する。
ステップS1では、スリップ判定部101にて、駆動輪スリップが生じているか否か判定し、駆動輪スリップが生じていない場合はステップS2に進み、駆動輪スリップが生じている場合はステップS3以降の、駆動輪スリップ時制御を実行する。
ステップS2では、通常制御を実行する。すなわち、通常制御演算部104において目標駆動力tFo0に基づいて得られた、クラッチ伝達トルク容量指令値tTc、目標モータトルク指令値tTm、エンジントルク指令値tTeを決定し、これらを各コントローラ1、2,7に向けて出力する。なお、WSCモード制御では、クラッチ伝達トルク容量指令値tTcは、駆動輪(左右後輪RL,RR)に伝達したい駆動力(目標駆動力tFo0)とし、かつ、クラッチCLにおいて、あらかじめ設定された差回転が生じるように、目標モータトルク指令値tTmを、目標駆動力tFo0よりも高めに設定する。
ステップS3では、路面反力推定部105aにて、路面反力推定を行ない、ステップS4に進む。
ステップS4では、エンジントルク要求値演算部105bにて、エンジントルク要求値を演算し、ステップS5に進む。
ステップS5では、目標車輪スリップ量演算部105cにて、目標車輪スリップ量を演算し、ステップS6に進む。
ステップS6では、目標モータ回転数演算部105dにて、上述したように、推定車体速度+目標スリップ速度から目標駆動輪回転数を演算し、ステップS7に進む。
ステップS7では、さらに目標モータ回転数演算部105dにて、目標駆動輪回転数から目標クラッチ下流回転数を演算し、ステップS8に進む。
ステップS8では、目標モータ回転数演算部105dにて、目標クラッチ下流回転数があらかじめ設定されたクラッチ上流最低回転数以上であるか否か判定し、クラッチ上流最低回転数以上であれば、ステップS9に進み、クラッチ上流最低回転数未満であれば、ステップS10に進む。
ステップS9では、目標モータ回転数=目標クラッチ下流回転数とし、かつ、目標クラッチ伝達トルク容量=目標駆動力として、ステップS11に進む。
一方、ステップS10では、目標モータ回転数=クラッチ上流最低回転数とし、かつ、実クラッチ下流回転数=目標クラッチ下流回転数となるように、目標クラッチ伝達トルク容量をフィードバック制御する。
ステップS11では、目標モータ回転数を得ることができる目標モータトルク指令値tTm、目標クラッチ伝達トルク容量が得られるクラッチ伝達トルク容量指令値tTc、およびエンジントルク指令値tTeを出力する。
次に、WSCモードで走行中に、駆動輪スリップが生じて駆動輪スリップ時制御が実行された場合の動作を、比較例と共に図6のタイムチャートに基づいて説明する。
各タイムチャートは、(A)が、クラッチ伝達トルク容量のみの制御で駆動輪スリップを抑制する比較例の動作を示し、(B)が実施例1の動作を示す。
図6は、t60の時点からt1の時点までは、左右後輪RL,RRが路面をグリップしていたが、t1の時点で駆動輪スリップが生じた場合を示している。なお、図6では、目標モータ回転数が、クラッチ上流最低回転数よりも高い状態である。
この場合、(A)の比較例では、WSCモードの場合には、目標モータ回転数にかかわらず、クラッチ伝達トルク容量を低下させて、駆動輪スリップを抑制する。また、このとき、モータトルクは、クラッチ上流回転数とクラッチ下流回転数との間で、あらかじめ設定された回点数差が生じるように維持され、この結果、駆動輪スリップの抑制に時間を要している。
それに対し、(B)に示す本実施例1では、ステップS8→S9の処理に基づいて、目標モータ回転数を目標クラッチ下流回転数とし、目標クラッチ伝達トルク容量を、目標駆動力としている。
この場合、モータ回転数制御は、クラッチ伝達トルク制御よりも、高応答性で制御でき、図示のように、瞬時の大幅なモータトルクダウンにより、t62の時点で、駆動輪スリップが収まっている。
このように、本実施例1では、駆動輪への伝達トルクを高応答で低減させ、駆動輪スリップを抑え、車両の安定性を向上させることができる。
次に、図7は、図6の制御を実行した後の動作を示しており、比較例(A)では、WSCモード制御により、クラッチCLの上流回転数と下流回転数との間に、あらかじめ設定された回転差が生じるように、クラッチCLを滑らせている。
このため、路面反力(路面摩擦係数(以下、μという))の微妙な変化に対応できず、駆動輪スリップを抑えるのが難しい。
これに対し、(B)に示す本実施例1の場合、クラッチCLは、目標駆動力を伝達する締結(ロックアップ)状態とし、モータトルク制御で、駆動輪スリップを抑えるため、路面反力(路面μ)の微妙な変化に対応できる。したがって、駆動輪スリップの発生は抑えながらも、その範囲で最大限の駆動力を確保して、高い走行性能を得ることができる。
次に、図8は、図7の動作例と同様に、図6の動作を行なった後の動作を示しており、かつ、駆動輪スリップ時制御の実行中に、一瞬の路面μ変動、すなわち、t81の時点からt82の時点の一瞬の間、相対的に高μ部分を走行した場合の動作を示している。
(A)の比較例では、上記と同様に、WSCモード制御により、クラッチCLは、回転数差を維持するように制御しており、一瞬の路面摩擦力変動があった場合に、クラッチ伝達トルク制御では、応答性が低く、一瞬の路面μ変化に応じてトルクを充分に伝達することが難しい。
それに対し、(B)に示す本実施例1の動作例では、クラッチCLは、クラッチ伝達トルク容量を締結(ロックアップ)状態に維持し、モータトルクで制御を行なっているため、一瞬のμ変化に高応答性で対応し、モータトルクを各ドライブシャフトDSL,DSR側に出力できる。
このように、路面反力(路面μ)の変化に高応答性で対応して、効率的に駆動輪(左右後輪RL,RR)に駆動力を伝達し、駆動輪スリップを抑えながらも、高い走行性能を確保できる。
次に、図9は、駆動輪スリップ時制御の実行中の動作例を示しているが、図9ではクラッチ下流回転数が、クラッチ上流最低回転数よりも低くなる低車速で走行した場合の例を示している。なお、この図9でも、t91の時点からt92の時点の間は、相対的に高μの路面を走行している。
(A)の比較例では、WSCモード制御により、クラッチ伝達トルク容量で制御しており、一瞬の高μ路で駆動輪のグリップが戻ったときに、これに瞬時に対応してトルク容量を下げられない場合、クラッチ上流側の回転数が、大幅に低下するおそれがある。
この場合、モータジェネレータMGに連動する、エンジンEng、図外のオイルポンプや冷却ポンプなどの回転数も低下し、クラッチ上流最低回転数を下回ると、エンジン停止やポンプ類の作動不良が生じるおそれがある。
それに対し、(B)本実施例1では、モータ回転数は、クラッチ上流最低回転数に保持して、クラッチ伝達トルクのみで駆動輪スリップを抑制する。このため、一瞬高μ部分を走行してグリップが戻っても、モータジェネレータMGに連動するエンジンEngその他の機器が、最低限必要な回転数よりも低下することが無く、エンジン停止やポンプ類などの作動不良などが生じるのを抑制できる。
なお、低車速では、クラッチ伝達トルクのみの制御でも、駆動輪スリップを充分に抑制できる。
(実施例1の効果)
以上説明したように、実施例1では、以下列挙する効果を得ることができる。
ア)本実施例1では、駆動輪スリップの発生時には、目標クラッチ下流回転数とクラッチ上流最低回転数との比較に基づき、クラッチ上流回転数がクラッチ上流最低回転数よりも高いときには、目標クラッチ伝達トルク容量=目標駆動力とした締結(ロックアップ)状態とし、目標モータ回転数=目標クラッチ下流回転数が得られるように、モータトルクを制御するようにした。
このような、モータトルクでは、クラッチ伝達トルク制御よりも、高応答性で制御でき、瞬時に大幅にモータトルクを低減させて、高い応答性で駆動輪スリップを抑制することができ、車両安定性を確保することができる。
イ)モータトルク制御では、上述のように、クラッチ伝達トルク制御よりも高応答性制御可能であるため、路面反力(路面μ)の微妙な変化に対応可能であり、駆動輪スリップの発生は抑えながらも、その範囲で最大限の駆動力を確保して、高い走行性能を得ることができる。
ウ)クラッチ下流回転数が、クラッチ上流最低回転数よりも低くなる低車速で走行した場合、モータ回転数は、クラッチ上流最低回転数に保持して、クラッチ伝達トルクのみで駆動輪スリップを抑制する。このため、モータジェネレータMGに連動するエンジンEngその他の機器が、最低限必要な回転数よりも低下することが無く、エンジン停止やポンプ類などの作動不良などが生じるのを抑制できる。
以上、本発明のクラッチ制御装置を、実施の形態および実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成は、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、実施例1では、駆動源として、モータジェネレータMGとエンジンEngとを備えたハイブリッド車両を示したが、駆動源としては、少なくともモータを有していればよく、駆動源としてモータのみを搭載した電動車両にも、本発明を適用することができる。
また、実施例1では、ハイブリッド車両として、FRハイブリッド車両に適用した例を示したが、例えば、FFハイブリッド車両に対しても本発明の制御装置を適用することができる。
また、実施例1では、モータとして、力行と回生とが可能なモータジェネレータMGを用いた例を示したが、これに限定されず、力行のみが可能なモータを用いてもよい。
また、実施例1では、クラッチは、モータジェネレータMGと自動変速機ATとの間に設けた例を示したが、これに限定されず、モータと駆動輪との間であれば、どの位置に設置してもよい。また、モータと駆動輪との間には、自動変速機ATなどの変速機を介在させない構成としてもよい。
また、実施例1では、常時、エンジンEngとモータジェネレータMGとが結合された形式の車両を示したが、両者間に、クラッチを設け、モータのみの駆動で走行するEVモードと、モータとエンジンとを駆動させて走行するHEVモードとを形成可能な車両に適用することもできる。
また、実施例1では、目標クラッチ下流回転数が、クラッチ上流最低回転数よりも低い場合は、クラッチ上流回転数を、クラッチ上流最低回転数以上に保持するのにあたり、モータ回転数=クラッチ上流最低回転数としたが、モータ回転数を、クラッチ上流最低回転数よりも高い値に制御してもよい。この場合も、モータジェネレータMGに連動する機器類は、クラッチ上流最低回転数よりも低下することはない。
2 モータコントローラ(モータ駆動制御手段)
7 ATコントローラ(クラッチ制御手段)
10 統合コントローラ(走行制御手段)
12 エンジン回転数センサ
101 スリップ判定部(駆動輪スリップ判定手段)
104 通常制御演算部
105 スリップ時制御演算部
105c目標車輪スリップ量演算部(目標車輪スリップ量演算手段)
105d目標モータ回転数演算部(目標クラッチ下流回転数演算手段)
105eモータトルク指令値演算部
105fクラッチ伝達トルク容量指令値演算部
CL クラッチ
Eng エンジン(駆動源)
MG モータジェネレータ(モータ:駆動源)
RL 左後輪(駆動輪)
RR 右後輪(駆動輪)

Claims (1)

  1. 駆動輪に駆動力を与え、少なくともモータを含む駆動源と、
    この駆動源と前記駆動輪との間に介在され、両者間の伝達トルク容量を変更可能なクラッチと、
    このクラッチ伝達トルク容量を制御するクラッチ制御手段と、
    前記モータの駆動を制御するモータ駆動制御手段と、
    前記駆動輪にスリップが生じたか否かを判定する駆動輪スリップ判定手段と、
    車両状態に応じて目標車輪スリップ量を演算する目標車輪スリップ量演算手段と、
    前記目標車輪スリップ量に基づいて、目標クラッチ下流回転数を演算する目標クラッチ下流回転数演算手段と、
    車両状態に応じ、前記クラッチ伝達トルク容量を、要求駆動力に応じた伝達トルク容量に制御し、かつ、前記クラッチの上流と下流とで、あらかじめ設定された回転数差が生じるように前記駆動源の出力トルクを制御するトルク容量制御を実行する走行制御手段と、
    を備えた電動車両の駆動制御装置であって、
    前記走行制御手段の前記トルク容量制御の実行時に、前記駆動輪スリップ判定手段が駆動輪スリップと判定したときには、前記目標クラッチ下流回転数が、あらかじめ設定されたクラッチ上流最低回転数よりも高い場合は、前記クラッチ制御手段は、前記伝達トルク容量に保持し、かつ、クラッチ上流回転数が前記目標クラッチ下流回転数に一致するよう前記モータの駆動を制御し、一方、前記目標クラッチ下流回転数が、前記クラッチ上流最低回転数よりも低い場合は、前記クラッチ上流回転数を、前記クラッチ上流最低回転数以上に保持するよう前記モータの駆動を制御し、かつ、前記クラッチ制御手段は、前記クラッチ下流回転数が前記目標クラッチ下流回転数に一致するよう前記クラッチ伝達トルク容量を制御する駆動輪スリップ時制御を実行することを特徴とする電動車両の駆動制御装置。
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