JP5406152B2 - セルロースの重合度測定方法 - Google Patents
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Description
本発明は、化学反応等の前処理を行うことなく、簡易な方法で正確にセルロースの重合度を測定することが可能なセルロースの重合度測定方法、及び、セルロース繊維製品の生地強度評価方法に関する。
セルロースの物性は、重合度に大きく依存する。従って、セルロースの重合度を測定することは、性質、品質の判定、劣化の程度等の面で大変有用なことである。
今日、目的とするセルロースの重合度を解析するための手段は幾つか存在しており、それらは種々の技術分野において利用されている。
今日、目的とするセルロースの重合度を解析するための手段は幾つか存在しており、それらは種々の技術分野において利用されている。
特許文献1には、綿リンタの重合度を測定する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、前処理によってセルローストリニトレートにする工程を行う必要があった。
また、特許文献2には、セルロースシリルエーテル等のセルロース誘導体の平均重合度を、1H−NMRを用いて測定する方法が開示されている。しかしながら、シリル化されていないセルロースを重クロロホルムで溶解することは困難であり、綿製品を構成するセルロースの重合度を正確に測定することはできなかった。
更に、特許文献3には、綿セルロースの粘度平均分子量の測定方法が開示されている。しかしながら、この方法では、低分子量のセルロースのみを測定でき、綿等を構成する高分子量セルロースは溶媒に溶解できないことから、粘度測定できないという問題があった。
また、特許文献2には、セルロースシリルエーテル等のセルロース誘導体の平均重合度を、1H−NMRを用いて測定する方法が開示されている。しかしながら、シリル化されていないセルロースを重クロロホルムで溶解することは困難であり、綿製品を構成するセルロースの重合度を正確に測定することはできなかった。
更に、特許文献3には、綿セルロースの粘度平均分子量の測定方法が開示されている。しかしながら、この方法では、低分子量のセルロースのみを測定でき、綿等を構成する高分子量セルロースは溶媒に溶解できないことから、粘度測定できないという問題があった。
上述のように、化学反応等の前処理を行うことなく、簡易な方法で正確にセルロースの重合度を測定できる方法が強く要望されていた。
本発明は、セルロースからなる生地に吸湿させる吸湿工程、吸湿させた生地を粉砕することにより、測定サンプルを作製する粉砕工程、前記測定サンプルを秤量し、秤量値と吸湿率とからセルロースの重量を測定する秤量工程、前記測定サンプルを銅エチレンジアミン溶液に溶解することで粘度測定用溶液を調製する溶解工程、粘度計を用いて前記粘度測定用溶液の粘度値を測定する粘度測定工程、及び、前記粘度測定工程において得られた粘度値から、所定の関係式に基づいて、セルロースの重合度を算出する重合度算出工程を有するセルロースの重合度測定方法である。
以下に本発明を詳述する。
以下に本発明を詳述する。
本発明者は、鋭意検討した結果、所定の吸湿工程、粉砕工程、秤量工程、溶解工程、粘度測定工程及び重合度算出工程を行い重合度測定することで、化学反応等の前処理を行うことなく、簡易な方法で正確にセルロースの重合度を測定できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のセルロースの重合度測定方法では、セルロースからなる生地に吸湿させる吸湿工程を行う。なお、本発明では、上記吸湿工程を行った後、上記生地の吸湿率を測定する。
上記吸湿率は、JIS L 1018の8.6法に準拠した方法により測定できる。
上記吸湿率は、JIS L 1018の8.6法に準拠した方法により測定できる。
本発明において測定対象として用いられるセルロースとしては、木綿、麻、木材(広葉樹、針葉樹)パルプ、非木材パルプ(バガスパルプ、ワラパルプ)等の天然セルロースや、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、テンセル、リヨセル等の再生セルロース、古紙パルプ等が挙げられる。
なかでも、上記木綿を用いることが好ましい。木綿はセルロースを90重量%以上含有するため、本願発明の効果が更に顕著となる。特に、漂白後の木綿を用いることが好ましい。
なかでも、上記木綿を用いることが好ましい。木綿はセルロースを90重量%以上含有するため、本願発明の効果が更に顕著となる。特に、漂白後の木綿を用いることが好ましい。
上記セルロースには、酢酸セルロ−スのように、純セルロースを変性した半合成セルロ−スも含まれる。純セルロースは、保水性は高いが、強度が弱いため、上記酢酸セルロ−スの酢化度を制御することで、保水性、強度等を変更させ、最適なセルロースとすることもできる。また、純セルロースと酢酸セルロ−スとを適宜混合したものを用いてもよい。
上記生地としては、セルロースからなるものであれば特に限定されず、原料セルロースの形態としては、織編物や不織布の布帛に限らず、フィラメント、ステープル、紐等の糸状物であってもよい。また、繊維の構造組織としては、交織、交編したものであってもよい。
上記生地に吸湿させる方法としては、例えば、恒温恒湿器内で吸湿させる方法、温度及び湿度が管理されている空間に一定時間生地を調湿させる方法等が挙げられる。
本発明のセルロースの重合度測定方法では、次いで、吸湿させた生地を粉砕することにより、測定サンプルを作製する粉砕工程を行う。
上記粉砕工程において用いる粉砕機としては例えば、ハンマーミル、カッティングミル、ミキサーミル、超遠心粉砕機、ボールミル、ディスクミル、ペレットミル等が挙げられる。これらのなかでは、カッティングミルが好ましい。また、上記カッティングミルの中でも、錠剤等の硬いものも粉砕できるブレンダーがより好ましい。
また、粉砕方法としては、乾式粉砕、湿式粉砕、凍結粉砕等の方法を用いることができるが、湿式粉砕では繊維同士が二次凝集しやすくなり、完全に粉砕できず、本方法では凍結粉砕ではサンプル量を秤量する際に状態が不安定であることから不向きである。従って、乾式粉砕が最も好ましい。
なお、本発明における粉砕工程とは、粉砕機等の粉砕手段を用いて吸湿させた生地を粉砕することを意味し、はさみを用いて裁断したり、手で引き裂いたりする等の方法は含まれない。
また、粉砕方法としては、乾式粉砕、湿式粉砕、凍結粉砕等の方法を用いることができるが、湿式粉砕では繊維同士が二次凝集しやすくなり、完全に粉砕できず、本方法では凍結粉砕ではサンプル量を秤量する際に状態が不安定であることから不向きである。従って、乾式粉砕が最も好ましい。
なお、本発明における粉砕工程とは、粉砕機等の粉砕手段を用いて吸湿させた生地を粉砕することを意味し、はさみを用いて裁断したり、手で引き裂いたりする等の方法は含まれない。
上記粉砕工程における粉砕時間としては、5〜90秒が好ましい。上記範囲内とすることで、粉砕によってセルロースの分子鎖が切断されることを防止することができる。
本発明のセルロースの重合度測定方法では、上記吸湿工程及び粉砕工程を行った後、上記測定サンプルを秤量し、秤量値と吸湿率とからセルロースの重量を測定する秤量工程を行う。
従来は、熱をかけて絶乾状態にした後に秤量する方法や、凍結乾燥を行った後に秤量する方法が行われていたが、熱をかけて絶乾状態にした後に秤量する方法では熱によって測定サンプルに負荷が掛かるという問題があり、凍結乾燥を行った後に秤量する方法では測定サンプルの吸湿によって正確なセルロース重量を測定することができなかった。
本発明では、上記吸湿工程及び粉砕工程を行った後に上記秤量工程を行うことで、セルロースが吸湿することによる影響を殆ど受けることなく正確にセルロースの重量を秤量することができる。
従来は、熱をかけて絶乾状態にした後に秤量する方法や、凍結乾燥を行った後に秤量する方法が行われていたが、熱をかけて絶乾状態にした後に秤量する方法では熱によって測定サンプルに負荷が掛かるという問題があり、凍結乾燥を行った後に秤量する方法では測定サンプルの吸湿によって正確なセルロース重量を測定することができなかった。
本発明では、上記吸湿工程及び粉砕工程を行った後に上記秤量工程を行うことで、セルロースが吸湿することによる影響を殆ど受けることなく正確にセルロースの重量を秤量することができる。
上記セルロースの重量は、秤量値及び吸湿率から、下記式(1)を用いて算出することができる。
セルロース重量=秤量値×[1−(吸湿率(%)/100)] (1)
セルロース重量=秤量値×[1−(吸湿率(%)/100)] (1)
本発明のセルロースの重合度測定方法では、次いで、上記測定サンプルを銅エチレンジアミン溶液に溶解することで粘度測定用溶液を調製する溶解工程を行う。
上記銅エチレンジアミン溶液は、例えば、水酸化銅とイオン交換水との混合液にエチレンジアミンを添加して撹拌することにより、調製することができる。
この際、撹拌工程と同時に冷却工程を行うことが好ましい。
上記銅エチレンジアミン溶液を調製する際、水酸化銅とエチレンジアミンとの混合モル比は1:1であることが好ましい。
この際、撹拌工程と同時に冷却工程を行うことが好ましい。
上記銅エチレンジアミン溶液を調製する際、水酸化銅とエチレンジアミンとの混合モル比は1:1であることが好ましい。
上記銅エチレンジアミン溶液の調製は10分以下で行うことが好ましい。上記銅エチレンジアミン溶液の調製が10分を超えると、空気中の酸素によって銅が酸化されて析出、沈殿することがある。
また、上記銅エチレンジアミン溶液の調製は、空気にふれないように行うことが好ましい。空気にふれると、空気中の酸素によって水酸化銅が酸化されてしまい、充分にエチレンジアミンで溶解できず、沈殿してしまうことがある。
また、上記銅エチレンジアミン溶液の調製は、空気にふれないように行うことが好ましい。空気にふれると、空気中の酸素によって水酸化銅が酸化されてしまい、充分にエチレンジアミンで溶解できず、沈殿してしまうことがある。
上記溶解工程における溶解時間は、10〜180分とすることが好ましい。180分を超えると、溶解による重合度の低下が起こり、正確に重合度を測定できないことがある。
なお、溶解温度については特に限定されないが、20〜40℃とすることが好ましい。
上記溶解時間としては、例えば、セルロースの重合度が1000以下のように低い場合は30分程度が好ましく、セルロースの重合度が1500以上のように高い場合は2時間程度が好ましい。
更に、上記溶解工程を行う際にフラスコを用いる場合は、側面や底面に溶解した測定サンプルが付着してしまうため、撹拌子は三角柱型のものを使用するのが好ましい。
なお、溶解温度については特に限定されないが、20〜40℃とすることが好ましい。
上記溶解時間としては、例えば、セルロースの重合度が1000以下のように低い場合は30分程度が好ましく、セルロースの重合度が1500以上のように高い場合は2時間程度が好ましい。
更に、上記溶解工程を行う際にフラスコを用いる場合は、側面や底面に溶解した測定サンプルが付着してしまうため、撹拌子は三角柱型のものを使用するのが好ましい。
本発明のセルロースの重合度測定方法では、次いで、粘度計を用いて上記粘度測定用溶液の粘度値を測定する粘度測定工程を行う。
上記粘度測定工程において用いる粘度計としては、毛管粘度計を用いることが好ましい。
上記毛管粘度計は、ある圧力で毛管中に液体を押し流し、圧力と流出液量との関係から粘度を求めるものであり、具体的には、オストワルド粘度計、キャノン・フェンスケ型粘度計等が挙げられる。
上記粘度計のなかでは、キャノン・フェンスケ型粘度計が好ましい。上記キャノン・フェンスケ型粘度計を用いることで、比較的少量の試料でも測定することができ、粘度計定数によって絶対評価で測定することができる。
上記毛管粘度計は、ある圧力で毛管中に液体を押し流し、圧力と流出液量との関係から粘度を求めるものであり、具体的には、オストワルド粘度計、キャノン・フェンスケ型粘度計等が挙げられる。
上記粘度計のなかでは、キャノン・フェンスケ型粘度計が好ましい。上記キャノン・フェンスケ型粘度計を用いることで、比較的少量の試料でも測定することができ、粘度計定数によって絶対評価で測定することができる。
本発明のセルロースの重合度測定方法では、更に、上記粘度測定工程において得られた粘度値から、所定の関係式に基づいて、セルロースの重合度を算出する重合度算出工程を行う。
上記重合度は、例えば、Staudingerの経験則を用いて算出することができる。
上記重合度は、例えば、Staudingerの経験則を用いて算出することができる。
本発明のセルロースの重合度測定方法を用いて重合度を測定することで、従来は測定が困難であったセルロースの重合度を簡易かつ正確に測定することができる。このセルロース重量を正確に測定することで、重合度の算出式中の分母の誤差による測定誤差を極力抑えることができ、正確な重合度を算出できる。
本発明のセルロースの重合度方法で測定された重合度は、セルロース繊維製品の生地強度の評価に応用することができる。このようなセルロース繊維製品の生地強度評価方法もまた本発明の1つである。
肌着等の綿製品においては、柔軟性、洗濯耐久性等のほか、破裂等に対する生地強度が重要となる。綿製品の生地強度は、綿製品を構成するセルロース等の繊維の特性に依存しているものと考えられ、生地強度と繊維特性との関係を解析する方法としては、例えば、SEMを用いた繊維形状解析が行われているが、明確なフィブリル化等が無い生地においては、解析が困難であった。
また、生地強度測定として、JIS法より引張強さ、引裂強さ、破裂強さ、磨耗強さ(L1096、L1018)等で評価できるが、繊維内部や細部までの強度評価を数値がすることは非常に困難である。
これに対して、本発明のセルロース繊維製品の生地強度評価方法を用いることで、生地の種類を選ばず、微小な分子レベルでの生地強度評価を容易に行うことが可能となる。
肌着等の綿製品においては、柔軟性、洗濯耐久性等のほか、破裂等に対する生地強度が重要となる。綿製品の生地強度は、綿製品を構成するセルロース等の繊維の特性に依存しているものと考えられ、生地強度と繊維特性との関係を解析する方法としては、例えば、SEMを用いた繊維形状解析が行われているが、明確なフィブリル化等が無い生地においては、解析が困難であった。
また、生地強度測定として、JIS法より引張強さ、引裂強さ、破裂強さ、磨耗強さ(L1096、L1018)等で評価できるが、繊維内部や細部までの強度評価を数値がすることは非常に困難である。
これに対して、本発明のセルロース繊維製品の生地強度評価方法を用いることで、生地の種類を選ばず、微小な分子レベルでの生地強度評価を容易に行うことが可能となる。
上記セルロース繊維製品としては、セルロースからなるものであれば、特に限定されず例えば、外衣、中衣、内衣等の衣料、寝装品、雑貨用品、インテリア、産業用資材等の製品が挙げられる。具体的には例えば、スポーツウエア、ホームウエア、リラックスウエア、パジャマ、寝間着、コート、ジャケット、ズボン、スカート、ワイシャツ、ニットシャツ、ブラウス、セーター、カーディガン、ナイトウエア、肌着、サポーター、靴下、タイツ、レギンス、腹巻き、ステテコ、バッチ、ペチコート、帽子、スカーフ、マフラー、襟巻き、手袋、服の裏地、服の芯地、服の中綿、作業着、エプロン、食品白衣、看護白衣、患者着、介護衣、厨房衣、ユニフォーム、学童用制服等の衣料、カーテン、布団地、布団綿、枕カバー、シーツ、マット、カーペット、タオル、ハンカチ、こたつカバー、ソファー用側地、ソファーカバー、クッションカバー、便座カバー、便座マット、テーブルクロス等の製品が挙げられる。また、上記セルロース繊維製品には、例えば壁布、フロア外張り、フィルター等の産業資材分野で使用される繊維製品の形態のものも包含される。
本発明のセルロースの重合度測定方法を用いることで、化学反応等の前処理を行うことなく、簡易な方法で正確にセルロースの重合度を測定することできる。
また、本発明のセルロースの重合度測定方法を用いて、セルロース繊維製品を評価することで、微小な分子レベルでの生地強度評価を容易に行うことが可能となる。
また、本発明のセルロースの重合度測定方法を用いて、セルロース繊維製品を評価することで、微小な分子レベルでの生地強度評価を容易に行うことが可能となる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
3cm×3cmのセルロースからなる生地(編生地、漂白後綿100%)を、恒温恒湿器(DKM600、ヤマト科学社製)内に入れ、20℃、65%RHで5時間以上吸湿させた。その後、吸湿後の生地について、JIS L 1018の8.6法に準拠した方法により吸湿率を測定した(吸湿率7.0%)。
なお、吸湿率は、吸湿後の生地について10cm×10cmの試験片を3枚採取し、105℃、2時間で乾燥する場合における、乾燥前の質量と絶乾質量とを測定し、以下の式を用いることで吸湿率(%)を求め、平均値を算出した。
吸湿率(%)=[(乾燥前の質量−絶乾質量)/(絶乾質量)]×100
次いで、吸湿させた生地を、微粉砕機(WARING J−SPEC BLENDER、大阪ケミカル社製)を用いて、回転数25,000rpmで30秒間粉砕した。
粉砕後の生地から測定サンプル0.0400gを正確に秤量した後、秤量値及び吸湿率から、上記式(1)を用いてセルロースの重量を算出した(重量0.0371g)。
その後、測定サンプルを三角フラスコに入れラップした。
3cm×3cmのセルロースからなる生地(編生地、漂白後綿100%)を、恒温恒湿器(DKM600、ヤマト科学社製)内に入れ、20℃、65%RHで5時間以上吸湿させた。その後、吸湿後の生地について、JIS L 1018の8.6法に準拠した方法により吸湿率を測定した(吸湿率7.0%)。
なお、吸湿率は、吸湿後の生地について10cm×10cmの試験片を3枚採取し、105℃、2時間で乾燥する場合における、乾燥前の質量と絶乾質量とを測定し、以下の式を用いることで吸湿率(%)を求め、平均値を算出した。
吸湿率(%)=[(乾燥前の質量−絶乾質量)/(絶乾質量)]×100
次いで、吸湿させた生地を、微粉砕機(WARING J−SPEC BLENDER、大阪ケミカル社製)を用いて、回転数25,000rpmで30秒間粉砕した。
粉砕後の生地から測定サンプル0.0400gを正確に秤量した後、秤量値及び吸湿率から、上記式(1)を用いてセルロースの重量を算出した(重量0.0371g)。
その後、測定サンプルを三角フラスコに入れラップした。
1Lメスフラスコに、Cu(OH)2[MW=97.56]48.78gとイオン交換水約250mLを加え、氷水で冷却しながら、エチレンジアミン(MW=60.1、d=0.898)67.0mLを加えた。その後、充分撹拌し、溶解したらイオン交換水を更に加えて1Lとすることにより、0.5mol/Lの銅エチレンジアミン溶液(Cu(EDA)2(OH)2)を調製した。この時、空気にふれないように密閉した条件で撹拌し、日光等の光によって劣化することを防止するため、黒い袋で覆って保管した。
粉砕した測定サンプルが入った三角フラスコに0.5mol/Lの銅エチレンジアミン溶液を20mL入れ、三角柱攪拌子にて2時間攪拌し、測定サンプルを溶解して粘度測定用溶液を調製した。
キャノン・フェンスケ型粘度計(毛細管粘度計、相互理化学硝子製作所社製)に粘度測定用溶液を10mL流しこんだ後、25℃に設定した恒温水槽に入れ、3分静置し温度が均衡に達した状態で粘度測定を行った。粘度測定は、ピペッターを用いて、溶液を小球の表線を超えるまで押し上げ、ピペッターを外し、液面が上部標線を過ぎた時から下部標線を過ぎるまでの時間をストップウオッチで測定することにより行った。得られた測定時間及びセルロースの重量値からStaudingerの経験則を用いてセルロースの重合度を測定した。なお、粘度測定は3回繰り返して行い、平均値を粘度値とした。
キャノン・フェンスケ型粘度計(毛細管粘度計、相互理化学硝子製作所社製)に粘度測定用溶液を10mL流しこんだ後、25℃に設定した恒温水槽に入れ、3分静置し温度が均衡に達した状態で粘度測定を行った。粘度測定は、ピペッターを用いて、溶液を小球の表線を超えるまで押し上げ、ピペッターを外し、液面が上部標線を過ぎた時から下部標線を過ぎるまでの時間をストップウオッチで測定することにより行った。得られた測定時間及びセルロースの重量値からStaudingerの経験則を用いてセルロースの重合度を測定した。なお、粘度測定は3回繰り返して行い、平均値を粘度値とした。
(実施例2)
セルロースからなる生地(編生地、漂白後綿100%)に代えて、セルロースからなる生地(編生地、レーヨン)を用いた以外は実施例1と同様にしてセルロースの重合度を測定した。
セルロースからなる生地(編生地、漂白後綿100%)に代えて、セルロースからなる生地(編生地、レーヨン)を用いた以外は実施例1と同様にしてセルロースの重合度を測定した。
(比較例1)
3cm×3cmのセルロースからなる生地(編生地、レーヨン)を、微粉砕機(カッティングミル、WARING J−SPEC BLENDER、大阪ケミカル社製)を用いて、回転数25,000rpmで30秒間粉砕した。
次いで、凍結乾燥機(DRZ350WA、ADVANTEC社製)にて16時間凍結乾燥した。凍結乾燥温度は−40℃であり、減圧度13.3Paであった。
凍結乾燥後の生地から測定サンプル0.0400gを正確に秤量し、これをセルロースの重量とした。その後、測定サンプルを三角フラスコに入れラップした。
得られた測定サンプルを用いた以外は実施例1と同様にして、セルロースの重合度を測定した。
3cm×3cmのセルロースからなる生地(編生地、レーヨン)を、微粉砕機(カッティングミル、WARING J−SPEC BLENDER、大阪ケミカル社製)を用いて、回転数25,000rpmで30秒間粉砕した。
次いで、凍結乾燥機(DRZ350WA、ADVANTEC社製)にて16時間凍結乾燥した。凍結乾燥温度は−40℃であり、減圧度13.3Paであった。
凍結乾燥後の生地から測定サンプル0.0400gを正確に秤量し、これをセルロースの重量とした。その後、測定サンプルを三角フラスコに入れラップした。
得られた測定サンプルを用いた以外は実施例1と同様にして、セルロースの重合度を測定した。
(比較例2)
3cm×3cmのセルロースからなる生地(編生地、漂白後綿100%)を、恒温恒湿器(DKM600、ヤマト科学社製)内に入れ、20℃、65%RHで5時間以上吸湿させた。その後、吸湿後の生地について、JIS L 1018の8.6法に準拠した方法により吸湿率を測定した(吸湿率7.0%)。
次いで、吸湿させた生地を、はさみを用いて、5mm×5mm程度に裁断した。
裁断後の生地から測定サンプル0.0400gを正確に秤量した後、秤量値及び吸湿率から、上記式(1)を用いてセルロースの重量を算出した(重量0.0371g)。
その後、測定サンプルを三角フラスコに入れラップした。
得られた測定サンプルを用いた以外は実施例1と同様にして、セルロースの重合度を測定した。
3cm×3cmのセルロースからなる生地(編生地、漂白後綿100%)を、恒温恒湿器(DKM600、ヤマト科学社製)内に入れ、20℃、65%RHで5時間以上吸湿させた。その後、吸湿後の生地について、JIS L 1018の8.6法に準拠した方法により吸湿率を測定した(吸湿率7.0%)。
次いで、吸湿させた生地を、はさみを用いて、5mm×5mm程度に裁断した。
裁断後の生地から測定サンプル0.0400gを正確に秤量した後、秤量値及び吸湿率から、上記式(1)を用いてセルロースの重量を算出した(重量0.0371g)。
その後、測定サンプルを三角フラスコに入れラップした。
得られた測定サンプルを用いた以外は実施例1と同様にして、セルロースの重合度を測定した。
(評価)
(1)破裂強度測定値との相関
3cm×3cmのセルロースからなる生地(編生地、漂白後綿100%)について、実施例1の方法でセルロースの重合度の測定を行った。
次いで、同じ生地について、JIS L 1018 8.17A法(ミューレン形法)に準拠した方法で破裂強度を測定した。
これらの破裂強度測定及び重合度測定を、重合度が異なる生地についてn回(n=151)行い、縦軸が重合度、横軸が破裂強度のグラフにプロットし、重合度と破裂強度との相関関係を確認した。グラフを図1に示す。なお、重合度が異なる生地の作製は、漂白条件を変更、又は、アルカリ処理することで行った。
図1の結果から、重合度と破裂強度の間に相関関係があることが確認できた。
(1)破裂強度測定値との相関
3cm×3cmのセルロースからなる生地(編生地、漂白後綿100%)について、実施例1の方法でセルロースの重合度の測定を行った。
次いで、同じ生地について、JIS L 1018 8.17A法(ミューレン形法)に準拠した方法で破裂強度を測定した。
これらの破裂強度測定及び重合度測定を、重合度が異なる生地についてn回(n=151)行い、縦軸が重合度、横軸が破裂強度のグラフにプロットし、重合度と破裂強度との相関関係を確認した。グラフを図1に示す。なお、重合度が異なる生地の作製は、漂白条件を変更、又は、アルカリ処理することで行った。
図1の結果から、重合度と破裂強度の間に相関関係があることが確認できた。
表1に示すように、実施例1及び2では、簡易な方法で重合度を測定可能であることが分かる。一方、比較例1で測定された重合度は、実施例2で測定された重合度に比べて高いものとなっている。これは、凍結乾燥から秤量までの間に水分を吸湿し、セルロースの重量を正確に測定できなかったためであると考えられる。
また、比較例2で測定された重合度は、実施例1で測定された重合度に比べて低いものとなっている。これは、粉砕工程における測定サンプルの粉砕が不充分であり、銅エチレンジアミン溶液に測定サンプルを充分に溶解できなかったためであると考えられる。
加えて、図1のグラフから、破裂強度が高いと重合度も高くなる傾向がみられ、相関係数R2=0.87(n=151)より、ミューレン形法の破裂強度測定値と強い相関があると判断できた。
また、比較例2で測定された重合度は、実施例1で測定された重合度に比べて低いものとなっている。これは、粉砕工程における測定サンプルの粉砕が不充分であり、銅エチレンジアミン溶液に測定サンプルを充分に溶解できなかったためであると考えられる。
加えて、図1のグラフから、破裂強度が高いと重合度も高くなる傾向がみられ、相関係数R2=0.87(n=151)より、ミューレン形法の破裂強度測定値と強い相関があると判断できた。
本発明によれば、化学反応等の前処理を行うことなく、簡易な方法で正確にセルロースの重合度を測定することが可能なセルロースの重合度測定方法、及び、セルロース繊維製品の生地強度評価方法を提供できる。
Claims (3)
- セルロースからなる生地に吸湿させる吸湿工程、
吸湿させた生地を粉砕することにより、測定サンプルを作製する粉砕工程、
前記測定サンプルを秤量し、秤量値と吸湿率とからセルロースの重量を測定する秤量工程、
前記測定サンプルを銅エチレンジアミン溶液に溶解することで粘度測定用溶液を調製する溶解工程、
粘度計を用いて前記粘度測定用溶液の粘度値を測定する粘度測定工程、及び、
前記粘度測定工程において得られた粘度値から、所定の関係式に基づいて、セルロースの重合度を算出する重合度算出工程を有する
ことを特徴とするセルロースの重合度測定方法。 - 粘度計として、キャノン・フェンスケ型粘度計を用いることを特徴とする請求項1記載のセルロースの重合度測定方法。
- 請求項1又は2記載のセルロースの重合度測定方法を用いることを特徴とするセルロース繊維製品の生地強度評価方法。
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