JP2005155001A - 繊維糸およびそれを用いた布帛 - Google Patents
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Abstract
【課題】
最近の地球温暖化や環境汚染問題による資源保護の動きから、森林を保護するため木材パルプからの代替が求められていることに鑑み、竹やバンブーを原料とするセルロース系フィラメント糸を用いた糸を提供するを目的とする。
【解決手段】
竹を原料とするセルロース系フィラメント糸を含む糸であって、繊度が10〜600dtex、撚り数が0〜3,000T/Mである繊維糸。
【選択図】 なし
最近の地球温暖化や環境汚染問題による資源保護の動きから、森林を保護するため木材パルプからの代替が求められていることに鑑み、竹やバンブーを原料とするセルロース系フィラメント糸を用いた糸を提供するを目的とする。
【解決手段】
竹を原料とするセルロース系フィラメント糸を含む糸であって、繊度が10〜600dtex、撚り数が0〜3,000T/Mである繊維糸。
【選択図】 なし
Description
本発明は、竹を原料とするセルロース系繊維糸、およびそれを用いた織編物または不織布を構成する布帛に関するものである。
従来から、織編物や不織布の布帛に用いられる原料として、天然繊維では栽培や飼育による原料が用いられ、化学繊維では天然原料を使用するセルロース系再生繊維や半合成繊維、タンパク質系繊維や、石炭、石油を原料とする合成繊維が大半を占めている。しかし、近年、繊維等に使用するための森林伐採によるCO2の増加や、石炭、石油系原料による産業廃棄物の増加による環境汚染、地球温暖化が大きく問題となっている。
この課題を解決し、地球環境保全を目的として、原料をバイオマス資源(非石油資源)とするための研究開発が行われ、トウモロコシやサツマイモの澱粉を原料とするポリ乳酸繊維PLA(Poly lactic acid)の実用化が進む等、その他バイオ技術による開発が急速に進展している。また、栽培による繊維の生産をめざして、竹、ケナフや月桃などから割繊、開繊の機械的手段によって繊維を取り出す技術が開発され、実用化されようとしている。しかし、この技術においては、短繊維化は可能であるが、連続長繊維を作ることは不可能である。また、科学的な手段により大豆の食料利用の滓で繊維化する動きもでてきているが短繊維を作る技術であって長繊維を作成するための技術には至っていない。そして、インド産の竹を原料としてセルロースレーヨン繊維として紡糸し、短繊維を作り、それを紡績して糸とし、繊維糸の繊度、撚数あるいは範囲を規定し、従来のレーヨン糸を使用した織編物に比較して、張りおよび腰、皺やへたりなどの課題を改善する繊維糸が提案されている(特許文献1参照)。しかし、竹やバンブーのセルロースを取り出し、繊維化し、長繊維として織編物や不織布とする布帛については検討された例はない。
また、竹を原料とする短繊維紡績糸にポリエステル系合成繊維を複合し、ストレッチ性や、タッチに効果があるテキスタイルを得ることに関する記載があるが、フィラメント糸に関しては、記載されていない。(非特許文献2参照)
本発明は、竹やバンブーの樹脂分や灰分等の不純物を除去し、セルロース成分を精度良く取り出して、セルロース系フィラメントを工業的に生産可能とした新規技術により作った長繊維を使用し、織編物や不織布等の布帛とすることを可能にするものである。
特開2001−115347号公報
特開2003−113554号公報
本発明は、竹やバンブーの樹脂分や灰分等の不純物を除去し、セルロース成分を精度良く取り出して、セルロース系フィラメントを工業的に生産可能とした新規技術により作った長繊維を使用し、織編物や不織布等の布帛とすることを可能にするものである。
本発明の目的は、かかる従来技術の背景や、最近の地球温暖化や環境汚染問題による資源保護の動きから、森林を保護するため木材パルプからの代替が求められていることに鑑み、竹やバンブーを原料とするセルロース系フィラメントを用いた糸やそれを用いた布帛を提供することにある。竹などを用いた場合、竹は成長が早く、また、酸素産出量、CO2吸収効果が大きく、繊維の製造と衣料の廃棄において焼却してもCO2は成長するときに空気中から吸収し固定されたもので環境負荷はない。さらに、従来の木材パルプと同様、セルロース系繊維の高い吸・放湿性、優れた光沢、吸放湿特性による接触したときの冷たいタッチ、また、竹セルロースの気質から感じる従来の木材やコットンリンター原料のレーヨンと異なるドライなタッチを維持することができる。また、他の繊維との組み合わせによる複合設計により、吸汗・速乾性、伸縮性等の着用時に実感できる性能や癒しの効果としてのマイナスイオンの発生、さらには着用時の防しわ性、耐プリーツ性および家庭洗濯、特に水系洗濯が可能であること、また、抗菌性や制菌性があり衛生的なセルロース系繊維と合成繊維からなる新しい織編物や不織布からなる布帛を提供することができる。
本発明は、上記の課題を解決するために、次の構成を有するものである。
(1) 竹を原料とするセルロース系繊維のフィラメントを含む糸であって、繊度が10〜600dtex、撚り数が0〜3,000T/Mである繊維糸。
(2) 該フィラメントにおけるαセルロース成分含有率が80重量%以上であることを特徴とする(1)に記載の繊維糸。
(3) 該フイラメントにおけるαおよびβセルロース成分の合計含有率が90重量%以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載の繊維糸。
(4) 該フィラメントがビスコースレーヨン法連続紡糸方式によって製造されることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の繊維糸。
(5) 該フィラメントを少なくとも20重量%含み、他の繊維が天然繊維、再生繊維、半合成繊維および合成繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の繊維糸。
(6) 該セルロース系繊維がバイオマス資源を原料としてなることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の繊維糸。
(7) 該フィラメントと他の繊維とが、合撚、交撚、カバリング、混繊、仮撚および精紡交撚から選ばれる方法によって複合されてなることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の繊維糸。
(8) (1)〜(7)のいずれかに記載の繊維糸を用いた織編物または不織布であることを特徴とする布帛。
本発明によれば、天然あるいは栽培による竹を原料とするセルロース系フィラメントのモノフィラメント糸やマルチフィラメント糸で織編物あるいは不織布とすることにより、フィラメント糸はフィラメントがストレート状態であり、撚糸を施すことによって剛直になることから、竹を原料とする短繊維を紡績した糸に比べ、布帛構造において張・腰、反発性やドレープ性に優れる。また、従来の木材パルプやコットンリンターを使用したレーヨンフィラメントを用いた布帛に比べ、ドライなタッチや反発性、ドレープ性において、繊維の基質によると思われる独特の質感を醸し出すという優れた効果を奏する。さらに、他の天然繊維、セルロース系等化学繊維あるいは合成繊維のステープル、紡績糸やフィラメントと複合糸とし、それを使用した編織物、不織布からなる布帛を提供することができる。該布帛は、着用した際に快適性を実感できる吸・放湿による蒸れ感がない、汗をかいたとき吸汗によるべとつき感がない、身体の動きに追随して伸縮することによる圧迫感がない、あるいは実感としては感じにくいがマイナスイオンの発生による癒しの効果がある、さらには着用によってしわになりにくい、プリーツがとれにくい、家庭洗濯特に水系洗濯ができる、抗菌性や制菌性があり衛生的である等の効果を有する。また、衣料用素材、衣料商品の製造や廃棄において、少しでも環境負荷を少なくできるという要求に対応できる衣料用素材およびそれを用いた衣料商品に展開することができる。肌着、ドレスシャツなどの肌に近い着用の用途から婦人紳士のジャケット、パンツあるいはジーンズ用としてのカジュアル用途など、比較的上物用途の衣料としても好ましく用いることができる。また、これらの特性を有するため、スポーツ分野や老人の衣料、医療現場のワーキングウエア、介護衣料としても好ましく適用できるものである。さらにインテリア用途としての生活資材分野の布団側地、シーツ、カーテン、イス張り地などとしても適用できる。
本発明においては、竹を原料とするセルロース系フィラメントを含む糸を用いる。この糸は、竹を原料とするセルロース系フィラメントを含んでいればよく、100%が竹を原料とするセルロース系フィラメントである場合も含まれる。竹を原料とするセルロース系フィラメントが、該竹含有フィラメント糸中、20重量%以上の割合で含まれることが、効果を発現する上で好ましい。
竹を原料とするセルロース系フィラメントとは、木材パルプあるいはコットンリンターパルプを原料とする化学繊維とは異なり、竹をパルプとし、さらに精製して得られるセルロースを使用し、製糸し、繊維化したフィラメントを意味する。竹を原料とし、工業的に溶解、紡糸することにより長繊維フィラメントを得ることが従来知られていなかったが、竹パルプの段階で精製することにより、本発明において実現することができた。
ここで、本発明の竹には、バンブーも含む。竹とバンブーの分類については、「竹を知る本」:室井綽著、昭和52年5月20日第一版発行、地院書館発行に記載されている。
従来、紙に製紙するパルプは、中国で存在する竹品種350種余のほとんどが使用できるが、とくに中国四川省を中心とする広範囲に自然および栽培される量的に多い中国呼称の慈竹、黄竹、水竹等の2〜3年生が好適に用いられる。これらの竹を伐採し、茎、枝や葉の不純物の含有量が特に多い部分を取り除き物理的、機械的作用により叩解、切断しチップ化した後、パルプ化し繊維製造原料とする。
本発明のフィラメントは、従来の化学繊維を製造する技術を適用して得ることができ、ビスコース法、銅アンモニア法による再生繊維、有機溶剤紡糸法による精製セルロース繊維、酢酸セルロース半合成繊維、およびセルロースを熱可塑化し溶融紡糸法により紡糸したセルロース系繊維が好適に用いられる。ここで、ビスコース法による再生繊維の製造に関しては、従来の木材パルプやコットンリンターパルプを原料としてアルカリザンテート、二流化炭素を用いてビスコース原液を作り、それを硫酸浴に紡糸して製糸する湿式紡糸が本発明においても用いられる。
本発明に使用するフィラメントの製造には、竹をパルプにし、パルプをさらに精製して低分子量のセルロース、ペントサン、リグニン、樹脂分、灰分等をを低くし、一次パルブ(竹を原料に化学的あるいは機械的な方法でパルプ工程で製造したパルプ)のαセルロース含有率を85重量%以上にすることによってモノフィラメントあるいは単繊維繊度が細いマルチフィラメントを得ることが可能になる。従来のレーヨン等のセルロース系繊維用に使用される木材やコットンリンターを原料とするパルプに関して、化学繊維便覧(繊維学会編、昭和38年5月28日丸善株式会社発行)P.179〜に記載されているレーヨン用溶解パルプの項に記載によれば、αセルロース含有率は、JIS規格で91.8%以上、キュプラ用パルプの品質基準はは96%以上と規定されている。しかし、竹を原料とするパルプに関しては、繊維製造用に使用される工業的に製造したパルプのαセルロース成分含有率については公知な記載が無く明確ではない。
竹を原料とするセルロース系繊維フィラメントの製造方法について以下に説明する。
ビスコース法で従来から製紙用に供給される竹パルプを使用し、木材パルプやコットンリンターを原料とした場合と同一工程条件で作った場合、竹パルプ原料繊維は、αセルロース成分が低くβセルロースやその他の低分子量セルロースおよび樹脂分、灰分等の含有率が高いため製糸性が悪く、また重合度、結晶化度が低い傾向にあり、繊維強度が低く満足な繊維特性の品質が得られない。そして、竹の品種を限定し、パルプ製造における低分子量セルロース、樹脂分や不純物の含有率を少なくした紡績用に使用できる原綿製造用パルプを使用し、フィラメントの製糸を検討したが、紡糸での糸切れの発生等による製糸性が悪く工業生産不可能なものであった。パルプ用竹原料として品種の選択、パルプ製造における製造条件、繊維製造工程条件から検討し、パルプの段階において精製することにより、αセルロース成分87重量%以上のパルプとすることによって、フィラメントとして製糸可能であることを見出したのである。
検討過程において、竹原料パルプを使用したビスコース法レーヨンフィラメントと従来の木材パルプやコットンリンターを使用したビスコース法レーヨンフィラメントの構造を比較するため熱重量分析、蛍光X線分析による含有成分分析や広角X線解析強度分布測定による結晶構造パラメータによる結晶性評価等を行ったところ、竹レーヨン繊維の方が結晶特性が低い傾向にあったことから、フィラメントのセルロース成分に違いがあり、その違いが竹原料繊維と従来の木材パルプやコットンリンターを原料とした繊維を用いた織編物等における性能差につながるものと考えた。そのためα、βセルロース成分とその他の低分子量のセルロースや残留樹脂分、その他の含有率について、比較したところ、竹原料セルロースのビスコース法フィラメントは、木材やコットンリンター原料セルロースのフィラメントに比べαセルロース成分の含有率が低く、γセルロースやその他の低分子量セルロース、不純物等の含有率が多いことが判明した。この測定方法でフィラメントのαセルロース成分の含有率が低い原因は、強アルカリ、二硫化炭素との反応を用いるビスコース法においては、熟成、老成工程で重合度調整を行いアルカリザンテートのビスコース原液を用いるため、αセルロース成分の分布における比較的低分子量のセルロースが化学的影響によってさらに低分子量化するためと推定され、竹原料はさらにβセルロース分が多い分、低分子量化し、αやβセルロース分率が低くなるものと推定する。
かかるビスコース法湿式紡糸としては、遠心式紡糸法と連続式紡糸法があるが延伸による再繊維化ができる連続式紡糸法を用いた場合、分子の配向性が良く繊維特性に優れ、染色性において均染性品質面で優れているので好ましい。また、遠心紡糸法、いわゆるケーク巻き取り方式によるものは、紡糸口金からポットに巻かれる距離的な制約から、延伸が十分でないため、従来の木材パルプやコットンリンターを使用するレーヨンを用いた場合に比べ、竹フィラメントはαセルロース含有率が低いため、巻き取り張力の影響を受けやすく内外層差があり、紡糸された巻き取り糸層の内外で染着差を発生するため、層別使用が必要となり、使用面の制約が大きい。
本発明において、α、βセルロースの含有率、およびその他の成分の含有率の測定については、JISハンドブック32紙・パルプ2004を参照した。かかるハンドブックのg)パルプ、紙および板紙の性質・試験の項には、用語「αセルロース」の定義として、「パルプまたはセルロース繊維を17.5%水酸化ナトリウム溶液で処理し、さらに10%に希釈したとき、溶解しないで残る部分。参考:この含有率は、試料の品質判定の基準となる。JIS P8101及びJIS P90002参照」とある。また、用語「βセルロース」の定義として、「パルプまたはセルロース繊維のろ液を酢酸で中和したときのに再生する部分。参考:JIS P8010参照」と記載されている。また、前述の繊維学会編化繊便覧に記載されているJIS P8101−1957に規定されている溶解用パルプの試験をも参照した。これらを参考にしつつ、本発明においては、ビスコース法により製糸されたフィラメント糸をサンプルに、実施例に記載の方法により測定した。
竹を原料とする竹パルプによるフィラメントの製糸性が良く、織編、布帛用途に使用できる加工工程通過性、製品特性面の点から、フィラメントの乾強伸度特性が1.5cN/dtex、15重量%以上であることが好ましい。そのためには、フィラメント糸におけるαセルロース含有率は、80重量%以上、さらに好ましくはαセルロースとβセルロースの合計含有率が90重量%以上が望ましい。当該αセルロースは、繊維の強度、伸度等のタフネスに寄与するが、βセルロースとその他のαセルロースより低分子量の含有率は、繊維の結晶性の低い要素として寄与し、織編物に加工できる繊維特性の範囲で低分子量領域を大きくすることにより、従来の木材パルプを用いたフィラメントで得られる性能とは異なる新しい効果が付与できる。新しい効果としては、低分子量成分には抗菌性成分が含まれており、また、結晶性が低いことから、風合い、吸放湿性、染色性、マイナスイオン、接触冷感等の点で優れた特性が得られる。
木材パルプと竹パルプそれぞれを原料とするフィラメントをSDC分類(J.Soc.Dyers.Colourists.64.145(1948))においてC(均染性不良)に分類される直接染料Kayarus supura Blue BWLを用いて次の条件で同浴染色を行った。50℃で繊維を投入し、10分間で90℃ まで昇温して20分間保持後、水洗した。その際染料濃度0.5%owf、浴比1:200、Na2SO410g/lとした。染色後、繊維の表面染着濃度K/Sを測定した。ここでK/Sとは(1−R)×2/2Rを意味し、Rとは最大吸収波長における分光反射率を示す。K/Sの測定は、D65光源、10度視野で行った。K/Sは、竹原料フィラメントで2.69、木材パルプ原料フィラメントで1.81でセルロース成分含有率の差による構造差が認められる結果であった。
本発明において竹含有フィラメント糸は、モノフイラメントであってもマルチフィラメントから構成されるものであっても構わない。布帛の用途には、当該フィラメントを単独で使用、あるいは他の繊維との複合、混繊糸として使用できる。単独で使用する場合の太さは、10〜500dtex、他の繊維との複合、混繊糸として使用する場合30〜600dtexの範囲であることが好ましい。衣料用途であれば、450dtex以下が適している。モノフィラメントの場合、10〜50dtexが好ましく、マルチフィラメントの場合は、セルロース系であることから毛羽になりやすく、高次通過性を発現するため、単繊維繊度が1〜20dtexの範囲であることが好ましい。
撚り数は、0〜3,000T/Mであることが必要である。セルロース繊維の優れた光沢を特徴とする織編物、布帛とするためには0T/M(無撚)であることが好ましい。マルチフィラメントの場合、製織においては毛羽が発生する場合があるため、その場合にはサイジングすることが好ましい。サイジングを行わない場合は、単繊維繊度あるいはトータル繊度によって調整し、300〜1,000T/Mの甘〜中撚を追撚し、目標とする光沢の得られる条件を選択することが好ましい。編成は製織工程よりしごきが少ないので無撚りでも使用できるが、100〜300T/M程度の甘撚りを入れて使用することが好ましい。織編物にドライなタッチと張・腰、反発性、ドレープ性を付与する目的では、追撚数は1,000〜3,000T/Mであることが好ましい。セルロース系フィラメントの製法によって得られる繊維断面が通常異なり、ビスコース方式やアセテート方式の場合リアス式海岸状形態になり、銅アンモニアや有機溶剤紡糸では丸断面が基本であり、紡糸口金の形状によって異型断面形状が可能であるが、断面形状によって撚り数の効果が大きく異なるので、必要な効果に合わせて撚り数を設定することが好ましい。また、セルロース系繊維の場合、一般的にはアルカリ存在下で体積膨潤したり、化学的変化により繊維構造が変化したりすることによりポリエステルのような加水分解によるドレープ性付与が期待できないので、撚り数の設定と織編物における密度設定条件を適宜選択することが好ましい。さらにセルロース系フィラメントの追撚数が2,000〜3,000T/Mの強撚領域にある場合、織編物に使用する際の染色加工工程で、湿潤状態で体積膨張により長さ方向の見かけの撚り数が増大する。膨張率は乾燥状態の20〜30%にもなり、体積膨張率の増加による撚り数の増加と熱可塑性でないため解撚応力が大きくなり大きな解撚応力が発生して組織構造の変化を起こし、シボ発現として効果を発揮する。すなわち、縮緬や楊柳を有する商品に対して大きく寄与する。竹を原料にしたセルロース繊維のドライな気質に加え、撚構造、組織の凹凸構造の相乗効果による風合いが春夏用途の素材に適し、さらに抗菌性や接触冷感の効果と合わせて新しい付加価値化の可能性が大きくなる。また、竹やバンブーを原料とするセルロース系長繊維フィラメント糸の場合製法によって多少異なるが、水分存在下特に高湿度、湿潤状態での荷重による繊維の伸長挙動が大きく異なる点は、従来の木材やコットンリンターパルプを原料とするセルロース系繊維と同傾向にあり、フィラメント糸の織編物、不織布とする工程では湿度、水分管理をすることが好ましい。
セルロース系フィラメントの製法としてビスコースレーヨン方式を採用した場合、巻き取りポットの内外の巻層に、少なくとも染色性評価E値の差△Eとして1.0以上の色差が発生し、染色反の品質が良くない場合がある。特に、他の繊維との複合糸とする場合においては、層別使用することが難しいので連続紡糸方式によるフィラメントを使用することが望ましい。
セルロース系フィラメントを使用し、織編物、不織布等の布帛とする場合、その特徴を活かし、欠点をカバーするためには、他の繊維と組み合わせ、複合化して使用することが好ましい。この場合、吸放湿性、抗菌性、ドライタッチ、ハリ腰、反発性、接触冷感さらにはマイナスイオンを付与する等の効果を発現するためには、かかるフィラメント糸を、セルロース系フィラメント20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上含有することが好ましい。さらに優れた抗菌性や吸放湿性、接触冷感特性を付与するためには複合する相手の品種によってあるいはテキスタイルの構造によって50重量%以上とすることも好ましい。例えば、吸放湿性の場合、当該竹を原料とするセルロースをビスコース法や銅アンモニア法による再生繊維フィラメントとしたときには、かかるフィラメントを100%用いた織編物、不織布とすることが好ましく、その場合、布帛の△MRとして8〜9%の値が得られる。このセルロース系繊維の混率を変えた場合、その混率に比例した吸放湿性となる。混用繊維がポリエステル系であれば、ポリエステル系の繊維の吸湿性はほとんど無いので、かかるフィラメントを50重量%混用したとき△MRは、ほぼ4〜4.5%となる。通常、着用時に吸放湿性が快適と感じるレベルは、2%以上であり、この点からも、セルロース系フィラメントが、繊維糸中20重量%以上であることが好ましい。また、吸放湿性は、湿度の移動に係わるため、繊維の複合状態に関係がないが、接触冷感の場合は、直接肌に接触することによる体感であるため、混率よりも布帛の組織や複合状態によって効果が異なるのでデータで確認しテキスタイル設計することが好ましい。
複合糸とする手段は、従来から公知の技術である当該フィラメントを複数本引き揃えて撚糸する合撚、他のフィラメントや紡績糸と引き揃えて撚糸する交撚、ポリウレタンやその他の伸縮糸を中空スピンドルに通して芯に当該糸をオーバーフィードし撚糸するカバーリング、他の繊維と引き揃えて圧空を用いて交絡させる混繊あるいは、仮撚機にマルチフィードして複合仮撚等を用いることができるが、竹を原料とするセルロース系繊維のフィラメントは、単繊維の強伸度が低く、せん断応力が低く毛羽になりやすい特徴を有するので、特にマルチフィラメントの取り扱いは、従来の合繊に比べ慎重な取り扱いと緩やかな条件を採用することが好ましい。特にエアー交絡による複合は特に空気圧力を極めて低めに、合糸機や合撚機、ダブルツイスター等のM/Cでの複合は、糸道のロットなどの屈曲を少なく、できるだけストレートに、またガイドの数もできるだけ減らすことが好ましい。
竹を原料とするセルロース系繊維は、原料の性能として抗菌性を有する。当該抗菌成分は、使用する化学薬品、製造工程における加熱温度に影響を受けるが、ビスコースレーヨン法の場合、苛性ソーダーの処理等によって不純物を除去し、αセルロース含有率を高める際の熱により抗菌性能が左右される。また、竹パルプをエチレングリコ−ルを加えて熱可塑化して、溶融紡糸できるポリマーとするが、溶融紡糸する際の熱の影響を受けて抗菌性が低下するばあがある。抗菌性レベルをSEK基準に合格させるべく、制菌活性値2.2以上とする場合、複合混率、複合形態、組織等を考慮に入れ設計し使用することが好ましい。この天然の抗菌性を、洗濯等をした後にも持続するためには、抗菌効果のある薬品を染色加工等の段階で付与することも好ましい。竹からエタノール抽出して得られるキノン系抗菌成分や竹を圧縮して竹酢液を取り出し分離して得られる抗菌成分を繊維製造工程段階での原糸に練り込んだり、染色加工段階で布帛に加工することも好ましい。その他、抗菌剤として従来から使用されるアセチール化したキトサンを紡糸原液に練り込むか、できた糸、織編物に加工し抗菌性を付与しても良い。
上記繊維糸は、セルロースフィラメントと他の繊維とが合撚、交撚、カバリング、混繊、仮撚、精紡交撚等から選ばれる方法によって複合されていることが好ましい。複合する相手繊維は、素材品種を問わないが、当該セルロース系フィラメントの効果を発揮できる素材を選択することが好ましい。例えば、セルロース系繊維糸100%の織編物は、染色加工工程においてメラミン系樹脂、グリオキザール系樹脂等による樹脂加工により防縮効果を付与できるが、当該樹脂加工では、風合いの硬化、ホルマリンの存在による環境面に悪影響を及ぼす場合もある。そのため樹脂加工を実施しないで防縮性を付与するため、ポリエステル系繊維と複合することも好ましい。また、セルロース系繊維糸は、湿潤強度が低く、織編物に伸縮性がないので、ポリウレタン系弾性繊維やポリトリメチレンテレフタール系ポリマーを使用したコンジュゲート繊維やポリエステル系ポリマー100%によるコンジュゲート繊維を使用し複合することによってストレッチ性を付与することが可能となり、強度改善も可能となる。環境を重視する場合には、ポリ乳酸繊維、綿・麻、絹やウール、またはコットンリンターを原料とする再生繊維等の原料繊維を複合することが好ましい。
また、本発明のセルロース系長繊維糸は、バイオマス資源(非石油系資源)からなるとが環境上好ましい。
複合相手原糸は、綿、麻、羊毛、絹、再生繊維や半合成繊維の短繊維を使用した紡績糸あるいは絹、化繊のフィラメントのいずれであっても何ら構わない。竹を原料とすると複合して得られる織編物や不織布による布帛にそれぞれの繊維の特徴、効果が発揮される組み合わせであれば差し支えない。
次に、竹を原料とするフィラメントを用いた布帛の構成について説明する。
織物としては、経糸、緯糸共当該フィラメント糸や複合繊維糸を使用して構成しても、経糸もしくは緯糸にだけに使用することでもよい。織物組織は、一般的に公知の組織を含めて限定されることなく用いることができる。製織する工程において経糸の整経、サイジング、経通しビーミング等は、従来のセルロース系化学繊維、例えばレーヨン糸、ベンベルグ糸、アセテート糸と同様の条件で使用可能である。特にサイジングにおいては澱粉系やポリビニルアルコールを主体とする糊材を使用し、適宜条件を選択することにより実施できる。繊維の特性上せん断強力が低いので、しごきによる毛羽発生を生じないようにすることが好ましい。また、吸湿あるいは湿潤での引張強伸度特性(S−S曲線)において、荷重伸長応力の降伏点が湿度が大なるほど低下するので製織工程各室の湿度条件を標準条件(20℃、60%)として実施する。織機の選択としては、レピア、エアージェットを基本とし、ウォータジェットは、複合比率の少ない場合に限定して用いることが好ましい。当該フィラメント糸単独織物の場合、タフタや羽二重の平、ツイル、サテン等の3現組織による基本的な織物は、裏地、フォーマル、シャツ、ブラウス等の衣料やカーテン、風呂敷、リボン・テープ等の資材として用途が広いが、さらには、他の天然繊維、化学繊維繊維との複合による織物とすることにより物性面、品位面での向上があり広い用途に適用できる。
ニットの場合は、丸編、横編、経編いずれも限定されるものではない。用途に対応した生地、布帛の設計要素に準じて糸を使用すればよい。製織と同様に乾湿の強伸度およびせん断応力特性による毛羽発生、糸切れの発生による品質低下を起こさない条件を設定することが好ましい。
不織布の製造方法は、用いる繊維によって適した条件を選択できるが、最も適している方法は、スパンボンド法であり、ウエッブにニードルパンチあるいはウォータパンチ交絡を施すことにより製布することができる。
染色に関しては、従来セルロース系繊維レーヨン、ベンベルグやアセテートに準じて実施することができる。染色工程でのアルカリ存在下での膨潤性、強度低下などの特性はほぼ同様であり、染色方法、機種選択、条件等適宜条件検討を実施して決める方法を採用することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<評価方法>
ビスコース法セルロース系フィラメントのαセルロース含有率、βセルロース含有率、低分子量成分その他の含有率の測定は、次の方法で行った。繊維の吸湿による重量変化に関わる環境での測定は20℃65%の標準的なコンディショニングされた室で行い、その他の加熱等作業は、通常の化学実験室で実施する。サンプル数は2の平均値を使用する。
ビスコース法セルロース系フィラメントのαセルロース含有率、βセルロース含有率、低分子量成分その他の含有率の測定は、次の方法で行った。繊維の吸湿による重量変化に関わる環境での測定は20℃65%の標準的なコンディショニングされた室で行い、その他の加熱等作業は、通常の化学実験室で実施する。サンプル数は2の平均値を使用する。
(1)繊維の脱脂
エタノールベンゼン混合液(混合比1:1)を使用し、4時間のソックスレー抽出を行う。
エタノールベンゼン混合液(混合比1:1)を使用し、4時間のソックスレー抽出を行う。
(2)αセルロースの分離
絶乾条件の繊維約1gを17.5%水酸化ナトリウム水溶液に浴比1:100で、室温で2時間浸漬する。ガラス濾過器で吸引、ろ取して水洗し、酢酸で中和、さらに水洗して絶乾後秤量する。ろ紙は、"ADVANTEC2"(TOYOROSHI KAISHA LIMITED 製)の150mmを用いる。
絶乾条件の繊維約1gを17.5%水酸化ナトリウム水溶液に浴比1:100で、室温で2時間浸漬する。ガラス濾過器で吸引、ろ取して水洗し、酢酸で中和、さらに水洗して絶乾後秤量する。ろ紙は、"ADVANTEC2"(TOYOROSHI KAISHA LIMITED 製)の150mmを用いる。
(3)βセルロースの分離
αセルロース分離時のろ液と中和前の洗浄液を併せて800mLとし、これに30%酢酸水溶液40mLを加え、穏やかに加熱する(溶液の入ったビーカを沸騰水を入れた別の容器に入れ間接的に加熱する)。加熱後のビーカを取り出し、βセルロースを再生、凝集させる。液が透明になってから約2時間後、ろ紙で濾過して水洗、絶乾後、秤量する。
αセルロース分離時のろ液と中和前の洗浄液を併せて800mLとし、これに30%酢酸水溶液40mLを加え、穏やかに加熱する(溶液の入ったビーカを沸騰水を入れた別の容器に入れ間接的に加熱する)。加熱後のビーカを取り出し、βセルロースを再生、凝集させる。液が透明になってから約2時間後、ろ紙で濾過して水洗、絶乾後、秤量する。
(4)その他の成分
元の繊維重量からα、βセルロースを引いて求める。
元の繊維重量からα、βセルロースを引いて求める。
実施例中での品質評価は次の手法で行った。
[吸湿性(△MR)]
△MR(%)=MR2−MR1
ここで、MR1とは絶乾状態から20℃×65%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)を指し、洋服ダンスの中に入っている状態、すなわち着用前の環境に相当する。また、MR2とは絶乾状態から30℃×90%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)を指し、運動状態における衣服内の環境にほぼ相当する。
△MR(%)=MR2−MR1
ここで、MR1とは絶乾状態から20℃×65%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)を指し、洋服ダンスの中に入っている状態、すなわち着用前の環境に相当する。また、MR2とは絶乾状態から30℃×90%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)を指し、運動状態における衣服内の環境にほぼ相当する。
△MRは、MR2からMR1の値を差し引いた値で表されるものであり、衣服を着用してから運動した時に、衣服内のムレをどれだけ吸収するかに相当し、△MR値が高いほど快適であると言える。一般に、ポリエステルの△MRは0%、ナイロンで2%、木綿で4%、ウールで6%と言われている。
[抗菌性]
評価方法は、統一試験法を採用し、試験菌体は黄色ブドウ状球菌臨床分離株を用いた。試験方法は、滅菌試験布に上記試験菌を注加し、18時間培養後の生菌数を計測し、殖菌数に対する菌数を求め、次の基準に従った。
log(B/A)>1.5の条件下、log(B/C)を静菌活性値とし、2.2以上を合格とした。ただし、Aは無加工品の接種直後分散回収した菌数、Bは無加工品の18時間培養後分散回収した菌数、Cは加工品の18時間培養後分散回収した菌数を表す。
評価方法は、統一試験法を採用し、試験菌体は黄色ブドウ状球菌臨床分離株を用いた。試験方法は、滅菌試験布に上記試験菌を注加し、18時間培養後の生菌数を計測し、殖菌数に対する菌数を求め、次の基準に従った。
log(B/A)>1.5の条件下、log(B/C)を静菌活性値とし、2.2以上を合格とした。ただし、Aは無加工品の接種直後分散回収した菌数、Bは無加工品の18時間培養後分散回収した菌数、Cは加工品の18時間培養後分散回収した菌数を表す。
[イオン発生量]
測定装置:AIR ION COUNTER IC−1000
(アルファ・LAB社(米国)製)
測定条件:室温20±1℃、湿度50±3%、室内広さ3m×5m×5m、
測定時間10秒、吸引量12L/分、サンプル振動周期3回/秒、
サンプルサイズ30cm×20cm
評価結果:測定時間10秒後のイオン平均発生量(個/cm3)
マイナスイオンが発生する場合は負の値、プラスイオンが発生す
る場合は正の値で示される。負の値と正の値の差し引きによってマ イナスイオンの発生数とし、−1000個/cm3以上で合格とした。
測定装置:AIR ION COUNTER IC−1000
(アルファ・LAB社(米国)製)
測定条件:室温20±1℃、湿度50±3%、室内広さ3m×5m×5m、
測定時間10秒、吸引量12L/分、サンプル振動周期3回/秒、
サンプルサイズ30cm×20cm
評価結果:測定時間10秒後のイオン平均発生量(個/cm3)
マイナスイオンが発生する場合は負の値、プラスイオンが発生す
る場合は正の値で示される。負の値と正の値の差し引きによってマ イナスイオンの発生数とし、−1000個/cm3以上で合格とした。
(実施例1、比較例1、2)
中国産の竹をパルプ化し、パルプをさらに苛性ソーダに浸漬、粉砕し精製したαセルロース成分の含有割合の高い再パルプ化した原料を用いて、レーヨンフィラメント130dtex−30のマルチフィラメント糸を遠心紡糸法により紡糸しケーク単量525gのケークを試作した。比較として、コットンリンターパルプを原料とし、延伸紡糸法により製造した120dtex−30のマルチフイラメント糸および連紡式紡糸法により製造した84dtex−24のマルチフィラメント糸を使用した。得られた遠心紡糸、精練したケーク、および連続紡糸したチーズのフィラメント糸を検査した。断面を観察した結果、コットンリンターパルプ原料品と、竹パルプを用いたフィラメント糸とを比較したところ表面の凹凸については大差ないが、竹原料のフィラメント糸の方が若干断面が扁平な形状であり、白度がやや黄味を帯びていた。物理特性について測定した結果を、表1に示す。
中国産の竹をパルプ化し、パルプをさらに苛性ソーダに浸漬、粉砕し精製したαセルロース成分の含有割合の高い再パルプ化した原料を用いて、レーヨンフィラメント130dtex−30のマルチフィラメント糸を遠心紡糸法により紡糸しケーク単量525gのケークを試作した。比較として、コットンリンターパルプを原料とし、延伸紡糸法により製造した120dtex−30のマルチフイラメント糸および連紡式紡糸法により製造した84dtex−24のマルチフィラメント糸を使用した。得られた遠心紡糸、精練したケーク、および連続紡糸したチーズのフィラメント糸を検査した。断面を観察した結果、コットンリンターパルプ原料品と、竹パルプを用いたフィラメント糸とを比較したところ表面の凹凸については大差ないが、竹原料のフィラメント糸の方が若干断面が扁平な形状であり、白度がやや黄味を帯びていた。物理特性について測定した結果を、表1に示す。
竹パルプ原料のマルチフィラメント糸は、強度は、コットンリンター原料の遠心紡糸に比較し低く、連続紡糸とほぼ同程度であった。伸度は、遠心紡糸連続紡糸より大きめで、沸水収縮率は遠心紡糸と同程度であった。糸色相の測色では、明度は大差なく、竹原料品は黄味が強く、コットンリンター原料品は、青味が強い傾向であった。得られた連続紡糸ケーク巻の竹を原料およびコットンリンターを原料とするマルチフィラメント糸2品種について、織物試作検討を行った。
試作条件は以下のとおりである。
経糸に中撚1,000T/Mをダブルツイスターで実施、真空湿熱撚り止めセットを70℃、30分行い、部分整経、経通し、レピア織機に仕掛け、緯糸を各種変更し3/3ツイル組織で製織した。得られた生機を染色加工工程に通した。染色工程での湿潤挙動把握のため、精練リラックスをM/C機種を一部変更して行った。リラックス温度は、いずれも98℃で行った。液流リラックスで行った実施例1の原糸使い品は、追撚有り緯糸の場合、体積膨潤が大きく、加工収縮率大きく、リラックス上がりの風合いは、非常にドライで、従来のレーヨン糸と異なるタッチを示し、アセテート様のドライなタッチであった。また、膨潤による経糸と緯糸の組織的な収縮によるクリンプが大きく、張り、腰、反発性に非常に優れたものであった。これは、竹を原料とするマルチフィラメント糸は、コットンリンターを原料とするマルチフィラメント糸と同一遠心紡糸条件で製造したが、糸の強力、伸度の特性差に見られるように、竹原料の方がαセルロース分率が低いために、分子配向度に違いがあり湿潤膨潤性が大きいことによるものと推察される。
試作NO.1、2および比較品の液流リラックス工程の生地について、反応染色による染色を行い、仕上げ生地を婦人のボトム(パンツ)に縫製した。比較品に対して、NO.1はドライタッチのハリ腰、反発、腰があり、糸の膨潤収縮による8〜10%程度の自然ストレッチ性があり仕立て映えのするものであった。また、NO.2は緯糸方向に約20%のストレッチ性を有する、タッチはNO.1より上品なドライ感を有するもので、シルエットに優れる仕立て映えのするものであった。
織物の生機、加工性量について、表2に示す。
実施例2〜10、比較例3
ビスコース法による遠心紡糸法による竹原料パルプ使用の84dtex24フィラメントのブライトフィラメント糸と比較として、木材パルプを原料とするレーヨンフィラメント糸(84dtex24フィラメント)のブライト糸を用いて各種のテキスタイルを試作した。使用の両レーヨンフィラメントについて、前記の化学分析でαセルロース、βセルロースおよびその他の成分の測定を行った結果、竹を原料とするフィラメントの含有成分率構成は、αセルロース87.5重量%、βセルロース10.6重量%およびその他の成分1.9重量%であった。一方、木材を原料とするフィラメントは、αセルロース90.8重量%、βセルロース9.0重量%、その他の成分0.2重量%であった。
実施例2〜10、比較例3
ビスコース法による遠心紡糸法による竹原料パルプ使用の84dtex24フィラメントのブライトフィラメント糸と比較として、木材パルプを原料とするレーヨンフィラメント糸(84dtex24フィラメント)のブライト糸を用いて各種のテキスタイルを試作した。使用の両レーヨンフィラメントについて、前記の化学分析でαセルロース、βセルロースおよびその他の成分の測定を行った結果、竹を原料とするフィラメントの含有成分率構成は、αセルロース87.5重量%、βセルロース10.6重量%およびその他の成分1.9重量%であった。一方、木材を原料とするフィラメントは、αセルロース90.8重量%、βセルロース9.0重量%、その他の成分0.2重量%であった。
実施例2、3は、タテ糸に竹原料フィラメント84dtex−24フィラメントを使用し他の原糸と複合することなく、また追撚することなくサイジング整経しレピア織機に仕掛けた。ヨコ糸に(A)タテ糸に使用の原糸を使用した織物(実施例2)、(B)タテ糸に使用の原糸に、PET/PTT(ポリエチレンテレフタレート/ポリトリメチレンテレフタレート)のバイメタル糸を複合紡糸したコンジュゲート捲縮糸(56dtex−24フィラメント)を引き揃えし、交撚した複合糸を使用した織物(平羽二重および綾羽二重、実施例3)を製織し染色加工仕上げを行った。
従来のレーヨンフィラメント糸を使用したタテ糸追撚しない織物の場合、ぬめり感のある風合いが一般的なイメージであるが、竹原料フィラメント糸を使用した織物は、比較的ドライなぬめり感を有するもので新規な感覚織物であった。出来た織物を婦人用シャツに縫製した。製品の風合いは、さわやかなドライなタッチを有する高級感ある製品が得られた。
実施例4、5は、タテ糸に竹原料フィラメント(84dtex−24フィラメント)にSおよびZ方向に撚数1,500T/Mで追撚したものを整経で2本交互に配列し、タテ糸ビームに巻き取り織機に仕掛けた。ヨコ糸には、(A)タテ糸に使用の同一強撚糸を使用した織物、(B)PET/PTTバイメタル複合紡糸したコンジュゲート捲縮糸56dtex24フィラメントとタテ糸に使用と同一の竹原料フィラメント84dtex−24フィラメントを引き揃えた後、ダブルツイスターでS方向およびZ方向に1,500T/Mの追撚を施した加撚糸を2本づつ交互に使用交織織物(平ジョーゼットおよび梨地ジョーゼット)製織し染色加工仕上げを行った。
染色加工は通常のプレ−ンな仕上げのもの(実施例4)、タンブラー乾燥による表面変化のあるもの(実施例5)に実施した。
タンブラー乾燥品はヨコ糸にPET/PTTコンジュゲート捲縮糸を使用したものが表面の変化が良く、ドライなさらっとしたタッチでストレッチ性に優れていた。仕上げ反の風合いは、いずれも従来のレーヨン織物の感覚と異なる比較的ドライなタッチのストレッチ性、張り腰、反発の優れるものであった。当該織物を婦人ワンピースに縫製した結果、ドレープ性、仕立て映え性の良い製品ができた。
(実施例11)
実施例1の試作糸、竹を原料とするフィラメント120dtex−30フィラメント糸を使用し、Regポリエステルフィラメント(56T−36フィラメント)の三角断面ブライト糸、甘撚200T/Mサイジングのビームをエアージェット織機に仕掛けた経糸の緯糸として使用した。試作糸のケークは、予めフィラメント用のコーンワインダーで巻き返し1,300T/MSおよびZ撚追撚を実施した。平組織でS、Z追撚糸を1本交互に打ち込み、生機密度を経167本/2.5cm、緯糸82本/2.5cmとした。引続いて染色工程として、拡布状精練リラックス機オープンソーパで50〜98℃の条件で精練リラックスを行い、180℃乾熱テンターで予備セットの後、アミン系減量促進剤を配合して苛性ソーダによるウインス方式M/Cでポリエステルのアルカリ減量15%を行い、液流染色機で反応染色による極淡色でセルロース系サイド片染めを実施した。得られた仕上げ生地の経緯密度は、それぞれ176×97本/2.5cmであった。仕上げ反の物性評価の結果、180℃経緯乾収寸法変化率は、それぞれ−0.5%,−1.5%、引き裂き強力は、それぞれ1,359g、750g、縫い目ずれは、それぞれ0.8mm、0.5mm、スナッギングは、それぞれ4級、4級、JIS 1076 C法(ART法、アピアランス・リテンション形試験機を用いる方法)によるピリングは4〜5級で、いずれの特性も和装用襦袢裏地、すそよけ等の用途基準に合格する品質であった。また着用時の着心地のバロメータとしての吸放湿性△MRは5.2であり、レギュラーポリエステルが通常ほとんど吸湿のないものであり、試作品のタッチも吸湿効果と思われる冷感があり、サラッとしてドライな感触を有していた。またタッチは、従来のレーヨンに比較した触感は、レーヨンのヌメリ感に対し、本誌作品は、どちらかと言えばアセテートのようなタッチの方向にあり、ビスコース方式の質感と異なるものであった。マイナスイオンの測定結果は、マイナスイオンが6,000個/ccで、プラスイオンは、1,000個/ccであった。
実施例1の試作糸、竹を原料とするフィラメント120dtex−30フィラメント糸を使用し、Regポリエステルフィラメント(56T−36フィラメント)の三角断面ブライト糸、甘撚200T/Mサイジングのビームをエアージェット織機に仕掛けた経糸の緯糸として使用した。試作糸のケークは、予めフィラメント用のコーンワインダーで巻き返し1,300T/MSおよびZ撚追撚を実施した。平組織でS、Z追撚糸を1本交互に打ち込み、生機密度を経167本/2.5cm、緯糸82本/2.5cmとした。引続いて染色工程として、拡布状精練リラックス機オープンソーパで50〜98℃の条件で精練リラックスを行い、180℃乾熱テンターで予備セットの後、アミン系減量促進剤を配合して苛性ソーダによるウインス方式M/Cでポリエステルのアルカリ減量15%を行い、液流染色機で反応染色による極淡色でセルロース系サイド片染めを実施した。得られた仕上げ生地の経緯密度は、それぞれ176×97本/2.5cmであった。仕上げ反の物性評価の結果、180℃経緯乾収寸法変化率は、それぞれ−0.5%,−1.5%、引き裂き強力は、それぞれ1,359g、750g、縫い目ずれは、それぞれ0.8mm、0.5mm、スナッギングは、それぞれ4級、4級、JIS 1076 C法(ART法、アピアランス・リテンション形試験機を用いる方法)によるピリングは4〜5級で、いずれの特性も和装用襦袢裏地、すそよけ等の用途基準に合格する品質であった。また着用時の着心地のバロメータとしての吸放湿性△MRは5.2であり、レギュラーポリエステルが通常ほとんど吸湿のないものであり、試作品のタッチも吸湿効果と思われる冷感があり、サラッとしてドライな感触を有していた。またタッチは、従来のレーヨンに比較した触感は、レーヨンのヌメリ感に対し、本誌作品は、どちらかと言えばアセテートのようなタッチの方向にあり、ビスコース方式の質感と異なるものであった。マイナスイオンの測定結果は、マイナスイオンが6,000個/ccで、プラスイオンは、1,000個/ccであった。
(実施例12、比較例4)
実施例1の試作糸120dtex−30フィラメントを使用し、先染めによる織物を試作した。当該試作糸は、200T/Mの追撚後、ソフトワイドチーズに巻き取り、反応染めチーズ染色を実施した。経糸にポリエステル56T−24Fセミダル丸断面の先染め糸を整経し、エアー織機に仕掛けた経糸の緯糸として打ち込みベージュ、赤、黒のチェック柄平組織を製織し、染色加工で精練、リラックス、セット、乾燥、仕上げ剤処理、仕上げセットを行い、裏地使用織物として仕上げた。織物の質感は、従来のポリエステル100%と異なり、冷感のあるサラッとするドライタッチ感があり、従来のベンベルグフィラメント糸を使用した、ほぼ同規格の裏地と比較しても、ベンベル裏地は、若干ヌメリのある滑りの大きいタッチに対して、本願試作のものはさわやかなタッチに優れる感覚のものであった。
実施例1の試作糸120dtex−30フィラメントを使用し、先染めによる織物を試作した。当該試作糸は、200T/Mの追撚後、ソフトワイドチーズに巻き取り、反応染めチーズ染色を実施した。経糸にポリエステル56T−24Fセミダル丸断面の先染め糸を整経し、エアー織機に仕掛けた経糸の緯糸として打ち込みベージュ、赤、黒のチェック柄平組織を製織し、染色加工で精練、リラックス、セット、乾燥、仕上げ剤処理、仕上げセットを行い、裏地使用織物として仕上げた。織物の質感は、従来のポリエステル100%と異なり、冷感のあるサラッとするドライタッチ感があり、従来のベンベルグフィラメント糸を使用した、ほぼ同規格の裏地と比較しても、ベンベル裏地は、若干ヌメリのある滑りの大きいタッチに対して、本願試作のものはさわやかなタッチに優れる感覚のものであった。
吸放湿製については、△6.3%と優れ、摩擦対電圧0で、制電性にも優れるものであった。
(実施例13)
実施例1の試作フィラメント130T−30Fを整経機のクリールに立て、3.0センチ幅ビームに巻取、トリコット機に仕掛けた。フロント、バックの2枚オサともに当該試作フィラメント糸無撚で、総経糸本数4、212本とするメッシュ組織を編成した。生機幅254cm、ウエル28W/2.5cm、コース41W/2.5cm、150ラック、生機重量14.2kgであった。引き続き、染色工程に投入した。工程は、生機セット、染色、乾燥、樹脂加工、仕上げセットで行い、幅247cm、ウエル28W/2.5cm、コース42W/2.5cmの性量でであった。仕上げ反は、タッチがドライでさわやかな冷感があり夏物裏地として適するものであった。
(実施例14、比較例5)
竹を原料とするパルプを再精製し、従来の木材パルプやコットンリンターを投入してビスコースレーヨンを製造するプロセスでビスコース原液を作り、紡糸方法を遠心紡糸法(ケーク巻き取り)および連続紡糸法(チーズ巻き取り)で84dtex24フィラメントのブライト糸を製造した。ケークは、後処理工程で精練し、巻き返し機でコーンに巻き返した。ケークの巻単量は550g、連紡のチーズの巻単量は1kgで実施した。織編物に供する原糸の品質は均一性が要求され、竹を原料とするビスコース法フィラメントの場合、従来の木材パルプを原料とする原糸に比較し、αセルロース成分が低く、βセルロースその他の低分子量成分の比率が大きい傾向にあり、すなわち結晶性が低く、非晶部が多いことから均染性に問題がないかを検討するため、パッケージ内外層差、紡糸錘間差について織物のヨコ糸に連続して打ち込みを行い、生機を同一バッチで投入し、染色加工した。染色加工は、分散染料0.3%owf、直接染料0.15%owfいずれも(Bule)、高圧液流染色機で浴比1:10,染色温度130−90℃の一浴2段染色で行った。仕上げセットの後、検反による目視検査および分光測色計によりL*a*b*表色系測定によるE値の差△E*a*b*でケーク糸の内外層差、ケーク間(錘間)内外層差および連紡チーズ内外層差、チーズ間(錘間)内外層差を測色比較した。測色は、ミノルタコニカセンシング(株)製の分光測色計CM−3600dを使用し、光源D65で行った。
実施例1の試作フィラメント130T−30Fを整経機のクリールに立て、3.0センチ幅ビームに巻取、トリコット機に仕掛けた。フロント、バックの2枚オサともに当該試作フィラメント糸無撚で、総経糸本数4、212本とするメッシュ組織を編成した。生機幅254cm、ウエル28W/2.5cm、コース41W/2.5cm、150ラック、生機重量14.2kgであった。引き続き、染色工程に投入した。工程は、生機セット、染色、乾燥、樹脂加工、仕上げセットで行い、幅247cm、ウエル28W/2.5cm、コース42W/2.5cmの性量でであった。仕上げ反は、タッチがドライでさわやかな冷感があり夏物裏地として適するものであった。
(実施例14、比較例5)
竹を原料とするパルプを再精製し、従来の木材パルプやコットンリンターを投入してビスコースレーヨンを製造するプロセスでビスコース原液を作り、紡糸方法を遠心紡糸法(ケーク巻き取り)および連続紡糸法(チーズ巻き取り)で84dtex24フィラメントのブライト糸を製造した。ケークは、後処理工程で精練し、巻き返し機でコーンに巻き返した。ケークの巻単量は550g、連紡のチーズの巻単量は1kgで実施した。織編物に供する原糸の品質は均一性が要求され、竹を原料とするビスコース法フィラメントの場合、従来の木材パルプを原料とする原糸に比較し、αセルロース成分が低く、βセルロースその他の低分子量成分の比率が大きい傾向にあり、すなわち結晶性が低く、非晶部が多いことから均染性に問題がないかを検討するため、パッケージ内外層差、紡糸錘間差について織物のヨコ糸に連続して打ち込みを行い、生機を同一バッチで投入し、染色加工した。染色加工は、分散染料0.3%owf、直接染料0.15%owfいずれも(Bule)、高圧液流染色機で浴比1:10,染色温度130−90℃の一浴2段染色で行った。仕上げセットの後、検反による目視検査および分光測色計によりL*a*b*表色系測定によるE値の差△E*a*b*でケーク糸の内外層差、ケーク間(錘間)内外層差および連紡チーズ内外層差、チーズ間(錘間)内外層差を測色比較した。測色は、ミノルタコニカセンシング(株)製の分光測色計CM−3600dを使用し、光源D65で行った。
測色の結果、ケーク糸はケークない外層差、ケーク間差ともに染着色相差△Eがいずれも、織編物での許容範囲として0.5以上大きく離れ、タテ糸での内外層の区分使用が必要であり、検反でも明確に判断できるレベルであった。また、連紡糸は、チーズ内外層差およびチーズ間差も△E値は、0.5以下の範囲にあり、安心して使用できる品質であることを確認した。
(実施例15)
実施例14の竹を原料とするビスコース法連紡フィラメント84dtex24フィラメントのブライト糸を使用し、ポリ乳酸繊維フィラメント84dtex36フィラメントのブライト糸をS方向1,000T/Mで合撚糸を作り、タテ糸およびヨコ糸に使用し、レピア織機で平組織の織物を製織した。染色加工は、前工程で織物の表面にナチュラルしわを付与する条件以外は通常のビスコースレーヨン織物の一般的工程条件で行い、染色は、分散染料110℃、反応染料80℃で行った。仕上がった織物は、ポリ乳酸繊維の耐アイロン性を考慮し、ノーアイロンが可能になるように付与し、外観は、竹原料セルロース系繊維の質感とマッチし、ナチュラルな感覚で、風合いも非常にドライな夏物用対応できる質感を有するものが得られた。当該織物は、廃棄にあたって、竹を原料とするセルロース系繊維とトウモロコシを原料とするポリ乳酸繊維から構成されることで燃焼エネルギーの低下、CO2発生量の面から、環境対応型組み合わせとして今後の環境汚染防止効果素材として期待されるものである。また、吸放湿性△MRを測定した結果、4.5で50%のセルロース系繊維使用で綿並の効果があり、春夏物に適した素材である。
実施例14の竹を原料とするビスコース法連紡フィラメント84dtex24フィラメントのブライト糸を使用し、ポリ乳酸繊維フィラメント84dtex36フィラメントのブライト糸をS方向1,000T/Mで合撚糸を作り、タテ糸およびヨコ糸に使用し、レピア織機で平組織の織物を製織した。染色加工は、前工程で織物の表面にナチュラルしわを付与する条件以外は通常のビスコースレーヨン織物の一般的工程条件で行い、染色は、分散染料110℃、反応染料80℃で行った。仕上がった織物は、ポリ乳酸繊維の耐アイロン性を考慮し、ノーアイロンが可能になるように付与し、外観は、竹原料セルロース系繊維の質感とマッチし、ナチュラルな感覚で、風合いも非常にドライな夏物用対応できる質感を有するものが得られた。当該織物は、廃棄にあたって、竹を原料とするセルロース系繊維とトウモロコシを原料とするポリ乳酸繊維から構成されることで燃焼エネルギーの低下、CO2発生量の面から、環境対応型組み合わせとして今後の環境汚染防止効果素材として期待されるものである。また、吸放湿性△MRを測定した結果、4.5で50%のセルロース系繊維使用で綿並の効果があり、春夏物に適した素材である。
(実施例16)
実施例14で使用した竹を原料とするビスコース法フィラメントのケーク糸および連紡糸の一部を使用してポリエステルフィラメント84dtex36フィラメントのセミダルタイプのシックアンドシン糸とフィード差複合仮撚り加工による複合糸を試作した。複合仮撚り加工は、公知の方法として、特公昭59−29689「仮ヨリ複合強ネン糸とその製造法」による方法により実施した。2フィードの供給部を有する仮ヨリ機、1次および2次ヒーターを有するスピンドル仮撚タイプ東芝機械(株)製103を用い、仮撚スピンドル回転数110,000r.p.m、仮撚数2,570T/M、鞘糸の芯糸に対するオーバーフィード率90%、ヒーター温度1st/2ndそれぞれ175℃/185℃、に設定し実施した。供給原糸として複合仮撚糸の芯糸に、ポリエステルのT&Tフィラメントを使用し、芯糸に対して1重巻き付き部と3重巻き付き部のスラブ糸を構成する鞘糸に竹を原料とするセルロース系フィラメントをを使用する。仮撚り加工において、ケーク糸および連紡糸それぞれに適した加工条件に関し検討した結果、加工性と糸の形状安定性に最も影響する要因は、鞘糸のオーバーフィードによって芯糸にしっかり巻き付いて、製織工程におけるタテ糸使用にも耐えうる糸構造を得る条件は、鞘糸のフィラメント糸に追撚を施す必要があることを見いだした。その追撚数は、ケーク糸より連紡糸に撚り数を多くする必要があることがわかった。今回は、ケーク糸の追撚数200T/M、連紡糸の追撚数350T/Mで行った。これは、芯糸に対して巻き付くにあたり、連紡糸のマルチフィラメントの収束性が無いためであることが起因していると考えられる。ケーク糸は紡糸の際、巻き取り時にポットの回転でフィラメント糸に元撚りが付与される。
得られた複合仮撚り糸の2品種をそれぞれタテ糸、ヨコ糸に使用した平織物、綾織物を製織、染色加工し、得られた織物を婦人用春夏ガーゼ調羽織タイプのジャケットを縫製した結果、竹原料フィラメント糸がほとんど表面を構成しており、ドライな風合いと表面か豊かさの高級感ある物であった。当該織物の吸放湿性△MRは、いずれも7レベルで綿の4%を大きく上回り、着用においても実感できる特性を有する物であった。また抗菌性については、仮撚り加工の影響もあり、従来レーヨン品では全く得られないが、当該品においてはSEK統一評価法で1.7と不合格レベルであったので、染色加工における当社の加工技術である染色時の抗菌成分を付与するMAKSPEC加工により、洗濯20回後もSEK基準2.2以上をクリヤーする性能を有していた。
実施例14で使用した竹を原料とするビスコース法フィラメントのケーク糸および連紡糸の一部を使用してポリエステルフィラメント84dtex36フィラメントのセミダルタイプのシックアンドシン糸とフィード差複合仮撚り加工による複合糸を試作した。複合仮撚り加工は、公知の方法として、特公昭59−29689「仮ヨリ複合強ネン糸とその製造法」による方法により実施した。2フィードの供給部を有する仮ヨリ機、1次および2次ヒーターを有するスピンドル仮撚タイプ東芝機械(株)製103を用い、仮撚スピンドル回転数110,000r.p.m、仮撚数2,570T/M、鞘糸の芯糸に対するオーバーフィード率90%、ヒーター温度1st/2ndそれぞれ175℃/185℃、に設定し実施した。供給原糸として複合仮撚糸の芯糸に、ポリエステルのT&Tフィラメントを使用し、芯糸に対して1重巻き付き部と3重巻き付き部のスラブ糸を構成する鞘糸に竹を原料とするセルロース系フィラメントをを使用する。仮撚り加工において、ケーク糸および連紡糸それぞれに適した加工条件に関し検討した結果、加工性と糸の形状安定性に最も影響する要因は、鞘糸のオーバーフィードによって芯糸にしっかり巻き付いて、製織工程におけるタテ糸使用にも耐えうる糸構造を得る条件は、鞘糸のフィラメント糸に追撚を施す必要があることを見いだした。その追撚数は、ケーク糸より連紡糸に撚り数を多くする必要があることがわかった。今回は、ケーク糸の追撚数200T/M、連紡糸の追撚数350T/Mで行った。これは、芯糸に対して巻き付くにあたり、連紡糸のマルチフィラメントの収束性が無いためであることが起因していると考えられる。ケーク糸は紡糸の際、巻き取り時にポットの回転でフィラメント糸に元撚りが付与される。
得られた複合仮撚り糸の2品種をそれぞれタテ糸、ヨコ糸に使用した平織物、綾織物を製織、染色加工し、得られた織物を婦人用春夏ガーゼ調羽織タイプのジャケットを縫製した結果、竹原料フィラメント糸がほとんど表面を構成しており、ドライな風合いと表面か豊かさの高級感ある物であった。当該織物の吸放湿性△MRは、いずれも7レベルで綿の4%を大きく上回り、着用においても実感できる特性を有する物であった。また抗菌性については、仮撚り加工の影響もあり、従来レーヨン品では全く得られないが、当該品においてはSEK統一評価法で1.7と不合格レベルであったので、染色加工における当社の加工技術である染色時の抗菌成分を付与するMAKSPEC加工により、洗濯20回後もSEK基準2.2以上をクリヤーする性能を有していた。
Claims (8)
- 竹を原料とするセルロース系繊維のフィラメントを含む糸であって、繊度が10〜600dtex、撚り数が0〜3,000T/Mである繊維糸。
- 該フィラメントにおけるαセルロース成分含有率が80重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の繊維糸。
- 該フイラメントにおけるαおよびβセルロース成分の合計含有率が90重量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維糸。
- 該フィラメントがビスコースレーヨン法連続紡糸方式によって製造されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維糸。
- 該フィラメントを少なくとも20重量%含み、他の繊維が天然繊維、再生繊維、半合成繊維および合成繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の繊維糸。
- 該セルロース系繊維がバイオマス資源を原料としてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の繊維糸。
- 該フィラメントと他の繊維とが、合撚、交撚、カバリング、混繊、仮撚および精紡交撚から選ばれる方法によって複合されてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の繊維糸。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の繊維糸を用いた織編物または不織布であることを特徴とする布帛。
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- 2004-11-01 JP JP2004318102A patent/JP2005155001A/ja active Pending
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