JP5405428B2 - 自動変速機のパーキング機構 - Google Patents

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Description

本発明は、パーキングポールに設けた爪部がパーキングギヤの歯部に係合または解放することで、パーキングギヤを回転固定する自動変速機のパーキング機構に関するものである。
従来、自動変速機の出力軸に設けたパーキングギヤに対して、パーキングポールの爪部を係脱させて、出力軸の回転・停止を行う自動変速機のパーキング機構が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このパーキング機構では、パーキングポールは、一端が変速機ケースに設けられた回動軸により回動自在に保持され、他端がパーキングポールを回動させるウエッジによって係脱可能に支持されている。
特開2009-236201号公報
通常、パーキング機構における歯部及び爪部は、共にインボリュート形状である。このため、パーキングギヤを回転しようとする力が働けば、パーキングポールの爪部には垂直方向にパーキングを解除しようとする力(抜きトルク)が作用する。これにより、運転者がシフトレバーによってパーキングレンジから他のレンジに選択変更することでウエッジがパーキングポールとウエッジ軸線方向に移動し、パーキングポールとウエッジとの接触が外れれば、パーキングは必ず解除できる仕組みになっている。
しかしながら、従来の自動変速機のパーキング機構にあっては、運転者がシフトレバーによってパーキングレンジを選択し、自動変速機の出力軸を回転不能なロック状態であっても、車両傾斜状態での駐車等により、パーキングギヤを回転しようとするトルクが働くことがある。このとき、パーキングポールの爪部に垂直にかかる抜き力によって、爪部に作用する垂直荷重がパーキングポールに曲げ荷重として作用するため、パーキングポールはウエッジと回動軸を支点として弾性変形する。
さらに、車両傾斜角度がきつくなる等してこの弾性変形量が大きくなると、パーキングポールの負荷が大きくなって強度信頼性が低下するおそれがある。また、弾性変形量を抑制するためにパーキングポールの板厚を増すことが考えられるが、その場合では重量増やコスト増等の問題が生じてしまう。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、抜きトルク作用時のパーキングポールの弾性変形を抑制し、強度信頼性を高めることができる自動変速機のパーキング機構を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、パーキングポールに設けた爪部がパーキングギヤの歯部に係合または解放することで、前記パーキングギヤを回転固定する自動変速機のパーキング機構において、前記パーキングポールは、前記爪部に隣接して、前記パーキングポールの弾性変形により前記歯部に接触する突起部を設けたことを特徴とする。
よって、本発明にあっては、パーキングポールの爪部に隣接する位置には、このパーキングポールの弾性変形によりパーキングギヤの歯部に接触する突起部が設けられる。そのため、突起部によって垂直方向に作用する力を支持することができ、爪部の弾性変形を抑えることができる。
すなわち、爪部に隣接して設けられた突起部は、パーキングポールを支持する位置よりも、垂直方向に作用する力の力点位置に近い位置でパーキングギヤに接触して支持する。したがって、抜きトルク入力位置から抜きトルク支持位置までの距離を短縮でき、パーキングポールの曲げモーメント及び撓み量を減少させることができる。
この結果、抜きトルク作用時のパーキングポールの弾性変形を抑制し、強度信頼性を高めることができることができる。
実施例1の自動変速機のパーキング機構を示す説明図である。 (a)は実施例1の自動変速機のパーキング機構におけるパーキングギヤとパーキングポールを示す説明図であり、(b)は図2(a)におけるA部拡大図である。 パーキングポールを示す斜視図である。 自動変速機のパーキング機構における待ち機構を説明する説明図であり、(a)はロック状態を示し、(b)は待ち状態を示す。 登坂路パークロック時でのパーキングギヤとパーキングポールを示す説明図である。 比較例のパーキング機構でのパーキングギヤ回転力発生時を説明する説明図であり、(a)はパークロック状態を示し、(b)は抜きトルク発生時を示し、(c)はパーキングポール変形発生時を示し、(d)はパーキングギヤ乗り上げ状態を示す。 比較例のパーキング機構における曲げモーメント図である。 実施例1の自動変速機のパーキング機構でのパーキングギヤ回転力発生時を説明する説明図であり、(a)はパークロック状態を示し、(b)は抜きトルク発生時を示し、(c)はパーキングポール変形発生時を示し、(d)は突起部接触状態を示す。 実施例1の自動変速機のパーキング機構における曲げモーメント図である。 降坂時における実施例1の自動変速機のパーキング機構での突起部接触状態を示す要部拡大図である。
以下、本発明の自動変速機のパーキング機構を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1の自動変速機のパーキング機構を示す説明図である。図2は、(a)は実施例1の自動変速機のパーキング機構におけるパーキングギヤとパーキングポールを示す説明図であり、(b)は図2(a)におけるA部拡大図である。図3は、パーキングポールを示す斜視図である。
図1に示す自動変速機のパーキング機構1は、変速機ケース1a内に配置され、マニュアルレバー2と、マニュアルプレート3と、パーキングロッド4と、パーキングポール10と、パーキングギヤ20と、を有している。
前記マニュアルレバー2は、変速機ケース1aに揺動可能に取り付けられ、セレクトロッド5を介してシフトレバー6に連結している。そして、運転者によるシフトレバー6の操作に連動して揺動する。
前記マニュアルプレート3は、マニュアルレバー2に連結され、マニュアルレバー2と一体に動いてパーキングロッド4を軸方向に進退移動させる。
前記パーキングロッド4は、一端がマニュアルプレート3に連結され、他端にはウエッジ7が摺動可能に嵌挿されている。このウエッジ7は、パーキングロッド4に設けられたスプリング7aによってパーキングロッド先端4a側に付勢され、パーキングロッド先端で抜け止めされている。
前記パーキングポール10は、図2に示すように、パーキングギヤ20の外周位置に配置され、このパーキングギヤ20の外周面に沿って周方向に延在する。このパーキングポール10は、変速機ケース1aに固定された回動軸11によって、一端が回動可能に保持されている。また、パーキングポール10の他端には、ウエッジ7に当接するウエッジ受け部12が形成され、ウエッジ7により支持されている。さらに、パーキングポール10の中間部には、図3に示すように、パーキングギヤ20の歯部21と係脱可能に係合する爪部13と、この爪部13の両側に位置する一対の突起部14,14が設けられている。爪部13及び一対の突起部14,14は、パーキングギヤ20に向かって突出している。また、この爪部13及び一対の突起部14,14には高周波熱処理を行い、表面硬度を上げている。
前記一対の突起部14,14は、爪部13に隣接して形成されている。各突起部14は、爪部13に垂直荷重がかかったときに生じるパーキングポール10の弾性変形により、パーキングギヤ20の歯部21に接触するものである。このとき突起部14は、爪部13と噛み合った歯部21の外径、すなわち爪部13と噛み合った歯部21の歯先面21aに接触する。ここで、回動軸11側にある突起部14は、登坂路でのパーキングポール解放時に歯部21に接触し、ウエッジ受け部12側にある突起部14は、降坂路でのパーキングポール解放時に歯部21に接触する。
そして、突起部14の高さは、パーキングポール係合時(パークロック時)に、歯部21の歯先面21aとの間に隙間Sが生じる高さとなっている(図2(b)参照)。このパーキングポール係合時に生じる突起部14と歯部21との隙間Sの間隔W1は、パーキングポール20の弾性変形量に基づいて設定する。さらに、この突起部14の圧力角θ2は、パーキングギヤ20の歯数によって変更可能である。
前記パーキングギヤ20は、変速機出力軸1b上に固定されたギヤであり、パーキングポール10に設けた爪部13が歯部21に係合または解放することで回転固定される。
次に、作用を説明する。
まず、「自動変速機のパーキング機構の基本動作」、「比較例のパーキング機構の技術課題」の説明を行い、続いて、実施例1の自動変速機のパーキング機構における「変形防止作用」を説明する。
[自動変速機のパーキング機構の基本動作]
図4は、自動変速機のパーキング機構における待ち機構を説明する説明図であり、(a)はロック状態を示し、(b)は待ち状態を示す。図5は、登坂路パークロック時でのパーキングギヤとパーキングポールを示す説明図である。
一般的に、パーキング機構では、シフトレバーが駐車位置(Pレンジ)を選択すると、マニュアルレバーが回動してパーキングロッド30を移動させる。これにより、ウエッジ31は、図4(a)に示すように、スプリング39の付勢力でパーキングポール32のウエッジ受け部33に対向する位置に設けられたサポート38を乗り越え、ウエッジ受け部33を押し上げる。これにより、パーキングポール32は回動軸34を中心に回動して、爪部35がパーキングギヤ36の歯部37に噛合する。これにより、変速機出力軸がロックされる。
一方、パーキングポール32の爪部35の外周がパーキングギヤ36の歯部37の外周とぶつかっている時にはパーキングポール32が回動できないため、図4(b)に示すように、ウエッジ31は、サポート38とウエッジ受け部33に挟まれて動くことができない。そのため、スプリング39を押し縮めて待ち状態になる。このとき、ウエッジ31は、スプリング39によってロッド先端30a側に付勢され、常にパークロックしようとする力が働いている。そして、パーキングポール32の爪部35がパーキングギヤ36の歯間に重なったとき、スプリング39に付勢されたウエッジ31がサポート38を乗り越えてパーキングポール32を回動させパークロックする。これが、いわゆる待ち機構である。
さらに、図5に示すように、登坂路において車を止めてパークロックしている状態において、パーキングギヤ36を回転しようとする力Fαが作用すると、この力Fαは、歯部37から爪部35に伝達される。このとき、歯部37及び爪部35は、共に圧力角が設けられたインボリュート形状であるため、力Fαは、パーキングを解除しようとする力(以下、「抜きトルク」という)F1と、パーキングポール32を挟み込む力F2に分かれる。
ここで、抜きトルクF1は、パーキングポール32の爪部35に対して垂直方向に作用する力であるが、ウエッジ31はこの抜きトルクF1を支えている。そして、ウエッジ31が外れると、抜きトルクF1によってパーキングポール31は回動軸34を中心に回動し、パーキングギヤ36から外れるようになっている。
[比較例のパーキング機構の技術課題]
図6は、比較例のパーキング機構でのパーキングギヤ回転力発生時を説明する説明図であり、(a)はパークロック状態を示し、(b)は抜きトルク発生時を示し、(c)はパーキングポール変形発生時を示し、(d)はパーキングギヤ乗り上げ状態を示す。図7は、比較例のパーキング機構における曲げモーメント図である。
図6(a)に示すように、パークロック状態では、パーキングポール40の爪部41がパーキングギヤ42の歯部43と噛み合い、爪部41の側面と歯部43の側面が接触している。
一方、パーキングギヤ42を回転させる力Fαが作用したときには、図6(b)に示すように、歯部43から爪部41に垂直方向に抜きトルクF1が作用する。
これにより、図6(c)に示すように、パーキングポール40は、ウエッジ44と回動軸45を支点として次第に弓なりに弾性変形する。パーキングポール40に抜きトルクF1が作用しているときの曲げモーメント図は、図7に示すようになる。
図7において、抜きトルクF1の入力位置は爪部41と歯部43の接触位置であり、Lはウエッジ受け部44による支持位置から回動軸45による支持位置までの距離である。そして、L1はウエッジ受け部支持位置から抜きトルク入力位置までの距離であり、L2は回転軸支持位置から抜きトルク入力位置までの距離であり、Raはウエッジ受け部44における支持力であり、Rbは回動軸45における支持力である。これにより、下記式(1)〜式(4)が成り立つ。
F1=Ra+Rb ・・・(1)
L=L1+L2 ・・・(2)
L1×F1=Rb×L ・・・(3)
L2×F1=Ra×L ・・・(4)
したがって、式(1)〜式(4)により、ウエッジ受け部44における支持力Raと、回動軸45における支持力Rbは、以下の式(5),式(6)によって求めることができる。
Ra=L2×F1/L=L2×F1/(L1+L2) ・・・(5)
Rb=L1×F1/L=L1×F1/(L1+L2) ・・・(6)
そして、この式(5),式(6)により、パーキングポール40に作用する曲げモーメントM1max及び撓み量δ1は、下記式(7),式(8)によってそれぞれ求められる。
M1max=F1×L1×L2/L ・・・(7)
δ1=F1×L1×L2/3×L×E×I ・・・(8)
ここで、Eはヤング率、Iは断面二次モーメントを表す。
そして、この弾性変形量、すなわち撓み量δ1が大きくなると、図6(d)に示すように、パーキングポール40の爪部41が歯部43から外れ、パーキングギヤ42の歯部43が爪部41に乗り上げてしまう。この状態では、パーキングポール40の負荷が大きくなって強度信頼性が低下し、爪部41の基部付近に応力集中が生じてパーキングポール40が破損するおそれもある。
なお、パーキングポール40の弾性変形量を抑制するために、パーキングポール40の板厚を増すことが考えられるが、その場合では重量増やコスト増等の問題が生じてしまうため好ましくない。
[変形防止作用]
図8は、実施例1の自動変速機のパーキング機構でのパーキングギヤ回転力発生時を説明する説明図であり、(a)はパークロック状態を示し、(b)は抜きトルク発生時を示し、(c)はパーキングポール変形発生時を示し、(d)は突起部接触状態を示す。図9は、実施例1の自動変速機のパーキング機構における曲げモーメント図である。
実施例1の自動変速機のパーキング機構においてパークロックすると、図8(a)に示すように、パーキングポール10の爪部13がパーキングギヤ20の歯部21と噛み合い、爪部13の側面と歯部21の側面が接触する。このとき、爪部13に隣接して設けた突起部14は、爪部13と噛み合った歯部21の歯先面21aとの間に隙間Sをあけた状態で対向する。
そして、パーキングギヤ20をここでは時計回り方向に回転させる力Fαが作用すると、図8(b)に示すように、爪部13に垂直方向に抜きトルクF1が作用する。すなわち、パーキングポール10の爪部13にウエッジ7と回動軸11を支点として、垂直荷重がかかり、パーキングポール10に曲げ荷重として作用する。
これにより、図8(c)に示すように、パーキングポール10は、ウエッジ7と回動軸11を支点として次第に弓なりに弾性変形する。そして、このパーキングポール10の弾性変形量が一定以上になると、図8(d)に示すように、パーキングポール10の回動軸11側の突起部14が、パーキングギヤ20の歯部21に接触する。ここで、突起部14は、爪部13と噛み合った歯部21の歯先面12aに接触するが、この歯先面21aのうち、爪部13から離れた外側部分に接触する。このときの曲げモーメント図は、図9に示すようになる。
図9において、抜きトルクF1の入力位置は爪部13と歯部21の接触位置であり、L´はウエッジ受け部7による支持位置から突起部14による支持位置までの距離である。そして、L1はウエッジ受け部支持位置から抜きトルク入力位置までの距離であり、L4は突起部支持位置から抜きトルク入力位置までの距離であり、Rcはウエッジ受け部7における支持力であり、Rdは突起部14における支持力である。これにより、下記式(9)〜式(12)が成り立つ。
F1=Rc+Rd ・・・(9)
L´=L1+L4 ・・・(10)
L1×F1=Rd×L´ ・・・(11)
L4×F1=Rc×L´ ・・・(12)
したがって、式(9)〜式(12)により、ウエッジ受け部7における支持力Rcと、突起部14における支持力Rdは、以下の式(13),式(14)によって求めることができる。
Rc=L4×F1/L´=L4×F1/(L1+L4) ・・・(13)
Rd=L1×F1/L´=L1×F1/(L1+L4) ・・・(14)
そして、この式(13),式(14)により、パーキングポール10に作用する曲げモーメントM2max及び撓み量δ2は、下記式(15),式(16)によってそれぞれ求められる。
M2max=F1×L1×L4/L´ ・・・(15)
δ2=F1×L1×L4/3×L´×E×I ・・・(16)
ここで、Eはヤング率、Iは断面二次モーメントを表す。
そして、この実施例1の自動変速機のパーキング機構1では、上記比較例のパーキング機構と比べてL2>L4となっており、抜きトルクF1を支持する支点が、回動軸で支持する場合よりも抜けトルク入力位置に近い位置に移動している。そのため、抜きトルク支持間隔が、ウエッジと回動軸で支持する場合よりも短縮することができ、以下の式(17),式(18)が成立する。
M1max>M2max ・・・(17)
δ1>δ2 ・・・(18)
したがって、突起部14が歯部21と接触することで、パーキングポール10に作用する曲げモーメントM2max及び撓み量δ2は、ウエッジと回動軸で支持する比較例の場合よりも抑えることができる。
この結果、抜きトルクF1が爪部13に作用したときのパーキングポール10の弾性変形を抑制し、パーキングポール10の強度信頼性を高めることができることができる。
特に、この実施例1の自動変速機のパーキング機構では、突起部14は、爪部13と噛み合った歯部21の外径である歯先面21aのうち、爪部13から離れた外側部分に接触する。そのため、抜きトルク入力位置から最も近い位置に突起部14が接触することができる。これにより、支持間隔を最端にすることができて、パーキングポール10の弾性変形をさらに効果的に抑制することができる。
また、突起部14を爪部13の両側に設けているので、降坂路においてパークロックしたときでは、図10に示すように、ウエッジ受け部12側に設けた突起部14がパーキングギヤ20の歯部21に接触し、抜きトルクを支持することができる。これにより、登坂路、降坂路のいずれであってもパーキングポール10の弾性変形を抑制することができる。
そして、パーキングポール係合時に生じる突起部14と歯部21との隙間Sの間隔W1は、パーキングポール10の弾性変形量に基づいて設定している。このため、所定の大きさの弾性変形が生じたら確実に突起部14と歯部21が接触して、抜きトルクF1を突起部14で支持することができる。つまり、この隙間Sの間隔W1を調整することで、パーキングポール10の弾性変形量を調整することが可能となる。
さらに、実施例1の自動変速機のパーキング機構では、突起部14に高周波熱処理が行われているため、突起部14の表面硬度が向上し、歯部21との接触による磨耗を防止することができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の自動変速機のパーキング機構にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) パーキングポール10に設けた爪部13がパーキングギヤ20の歯部21に係合または解放することで、前記パーキングギヤ20を回転固定する自動変速機のパーキング機構1において、前記パーキングポール10は、前記爪部13に隣接して、前記パーキングポール10の弾性変形により前記歯部21に接触する突起部14を設けた構成とした。
このため、抜きトルク作用時のパーキングポール10の弾性変形を抑制し、強度信頼性を高めることができる。
(2) 前記突起部14は、前記爪部13の両側に設けた構成とした。
このため、降坂路、登坂路のいずれであっても、爪部13の弾性変形時に最端部位に接触でき、パーキングポール10の支持間隔を最端にすることができて、さらに効果的にパーキングポール10の弾性変形を抑制できる。
(3) パーキングポール係合時に生じる前記突起部14と前記歯部21との隙間Sの間隔W1は、前記パーキングポール10の弾性変形量に基づいて設定する構成とした。
このため、所定の大きさの弾性変形で突起部14が確実に接触することができると共に、パーキングポール10の弾性変形量を調整することができる。
(4) 前記突起部14は、高周波熱処理を行う構成とした。
このため、突起部14の表面硬度が向上し、歯部21との接触による磨耗を防止することができる。
以上、本発明の自動変速機のパーキング機構を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1のパーキング機構では、パーキングポール10の中間部に爪部13を設けた構成としたが、例えばパーキングポールの中間部を回動自在に保持し、端部に爪部を設けたものであってもよい。この場合であっても、爪部の両側にパーキングポールの弾性変形によりパーキングギヤの歯部に接触する突起部を設けることで、パーキングポールの弾性変形を抑制することができる。
1 パーキング機構
2 マニュアルレバー
3 マニュアルプレート
4 パーキングロッド
7 ウエッジ
10 パーキングポール
11 回動軸
12 ウエッジ受け部
13 爪部
14 突起部
20 パーキングギヤ
21 歯部
21a 歯先面
Fα パーキングギヤを回転させる力
F1 抜きトルク

Claims (4)

  1. パーキングポールに設けた爪部がパーキングギヤの歯部に係合または解放することで、前記パーキングギヤを回転固定する自動変速機のパーキング機構において、
    前記パーキングポールは、前記爪部に隣接して、前記パーキングポールの弾性変形により前記歯部に接触する突起部を設けたことを特徴とする自動変速機のパーキング機構。
  2. 請求項1に記載された自動変速機のパーキング機構において、
    前記突起部は、前記爪部の両側に設けたことを特徴とする自動変速機のパーキング機構。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された自動変速機のパーキング機構において、
    パーキングポール係合時に生じる前記突起部と前記歯部との隙間の間隔は、前記パーキングポールの弾性変形量に基づいて設定することを特徴とする自動変速機のパーキング機構。
  4. 請求項1から請求項3の何れか一項に記載された自動変速機のパーキング機構において、
    前記突起部は、高周波熱処理を行うことを特徴とする自動変速機のパーキング機構。

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