JP5405231B2 - ガラス材料の成形用の型材及びそれを使用したガラス材料の成形方法 - Google Patents
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Description
一般に、こうした石英ガラス製品の製造プロセスとしては、エッチングや研削加工などのような、加工対象物から不要な領域を除去する除去工程を主に用いるプロセスが採用されていた。
また、研削加工による製造プロセスは、加工対象物を少量ずつ研削して所望の形状に加工するため、加工時間が多くかかるとともに、加工対象物から不要な部分を全て研削してしまうため、最終的に加工されたガラス製品の重量に比べ、より大きなガラス材料の重量が必要となり、製造効率や製造コスト上で問題点が指摘されていた。
図1(a)には従来の技術によるガラス材料の成形方法に用いる型材の概略構成斜視説明図が示されており、また、図1(b)には図1(a)のA矢視図が示されており、また、図1(c)には図1(a)のB−B断面図が示されており、また、図2(a)には加熱溶融後の型材と加工対象物の断面図が示されており、また、図2(b)には図2(a)に示す加工対象物の斜視説明図が示されている。
なお、底板12の上面12aと外筒14の内周面14aとには、それぞれ離型材が被覆されている。
これによって、筒形形状のガラス製品を成形でき、用いる石英ガラス材料の重量を低減できたが、荷重板は、10kg以上の重量があり、これをガイド部材の上に設置するには、人力では無理で、作業エリアの天井に設置したホイストを用いる必要があり、作業には2名以上の要員が必要であった。荷重板は、重量物であるため、搬送には台車を用いてきた。荷重板の台車への積載、台車での搬送、台車からガイド部材上へホイストを用いて積載する、という作業手順であり、多くの作業工数がかかるという問題があった。
更に、人力では取り扱いが困難な重量の荷重板が用いられていたのを荷重板の1枚当たりの重量を人力で取り扱いが可能な重量に分割したものであり、好ましくは、分割した荷重板の重量を5kg以上10kg以下とすることによって、型材の組み立てにかかる作業工数を低減し、従来に比べてガラス材料の重量を著しく低減させ、作業工数も抑制が可能となり、製造コストを低減することができたのである。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記加熱溶融する際の加熱温度を1500〜2000℃であるようにしたものである。
請求項3記載の発明は、分割した荷重板の重量を5kg以上10kg以下としたものである。
請求項4記載の発明は、ガラス材料の加熱溶融を、窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウムという不活性ガス雰囲気または真空中で行うようにしたものである。
請求項5記載の発明は、ガラス材料を加熱溶融して筒形形状のガラス製品の概形を成形する型材において、底板と、前記底板と一方の開口部を接して前記底板上に配設された筒部と、前記筒部の内径と略同一の外形を有するとともに前記筒部の内周面上を上下方向に摺動自在に移動可能なガイド部材と、前記ガイド部材の下面に配設されるとともに、前記筒部内の前記底板上に載置されたガラス材料の上面を押圧する押圧治具と、前記押圧治具に荷重を付与する複数の荷重板とを有し、前記荷重板の形状が円柱形であり、更に前記荷重板の1枚当たりの重量が、5kg以上10kg以下としたガラス材料の成形用の型材である。
12 底板
14 外筒
16 加工対象物
18 押圧治具
20 ガイド部材
22 荷重板
このガラス材料の成形方法に用いられる型材10は、底板12と、底板12の上面12aに配置されるとともに所望の内径を有する円筒形状の外筒14と、外筒14の内径と略同一の外径を有する円板形状を備えるとともに外筒14の内周面14a上を上下方向に摺動自在に移動可能なガイド部材20と、ガイド部材20の上面20aに配置されて荷重をかけるための荷重板22と、ガイド部材20の下面20bに配置されるとともに外筒14の中心軸O上に中心が位置して底板12の上面12aに配置された石英ガラス材料たる加工対象物16を上方から押圧する略円柱形状の押圧治具18とを有して構成されている。
また、押圧治具18の下面18bが石英ガラス材料たる加工対象物16を押圧する面圧は、押圧治具18、ガイド部材20ならびに荷重板22との合計の重量により設定されるが、荷重板22の重量を変更することによって所望の面圧になるように調整することができる。例えば、ガイド部材20の上面20aに一定重量の荷重板22を複数枚配置できる構成にすれば、ガイド部材20の上面20aに配置される荷重板22の枚数を調整することにより任意の荷重に調整し、所望の面圧とすることができる。
このとき、加熱溶融された加工対象物16たる成形体の上面16aの中央部に成形された凹部は、押圧治具18の径や厚さによって当該凹部の大きさを調整することができる。
このように、型材10を用いて石英ガラス製品として製作される前段階の石英ガラス製品の成形体たる中間体を作製する場合には、加熱溶融された加工対象物16たる成形体を次工程で研削・切削加工される中央部が凹むように成形することにより当該中央部の体積を小さくすることができ、これにより石英ガラス製品の成形体たる中間体を研削・切削加工する際には研削・切削加工される当該中央部の重量を少なくすることができる。
つまり、製作するガラス製品に対するガラス材料の重量を低減させるには、押圧治具18の径を製作するガラス製品の概形たる中間体の内径に近似した大きさとし、かつ、押圧治具18の中心軸O方向における厚さを製作するガラス製品の概形たる中間体の高さに近似した大きさとすればよい。
なお、上記した加熱溶融中における加工対象物16の加熱温度は、例えば、1500〜2000℃とすることが好ましく、より詳細には、1750〜1900℃とすることが好ましい。
外筒14は内径550mmのものを用いるとともに、加熱装置として電気炉を用いて、その内部を圧力0.03MPa、窒素ガス雰囲気下において加熱温度1800℃で円柱形状の加工対象物16を加熱溶融し、加熱溶融後の加工対象物16たる成形体の寸法を示した。実際に、加熱溶融後の成形体を、研削・切削加工して中間体とするが、この寸法は、外径520mm、内径378mm、厚さ94mmのリング材である。
更に、荷重板を積載する際の作業効率が示されている。ここで、作業工数は、従来用いていた荷重板を1枚積載するためにかかる時間を1.0として、実際にかかる時間の割合で表した。
Claims (5)
- ガラス材料を加熱溶融して筒形形状のガラス製品の概略形状を成形する型材において、底板と、前記底板と一方の開口部を接して前記底板上に配設された筒部と、前記筒部の内径と略同一の外形を有するとともに前記筒部の内周面上を上下方向に摺動自在に移動可能なガイド部材と、前記ガイド部材の下面に配設されるとともに、前記筒部内の前記底板上に載置されたガラス材料の上面を押圧する押圧治具と、前記押圧治具に荷重を付与する荷重板とを有し、前記荷重板の形状が円柱形であり、かつ、前記荷重板が人力で取り扱い可能な重量に分割してある複数枚であり、この分割した荷重板を1枚以上、重ねて用いることを特徴とする型材を用いたガラス材料の成形方法。
- 請求項1記載の型材を用いたガラス材料の成形方法において、加熱溶融する際の加熱温度が、1500〜2000℃であることを特徴とする型材を用いたガラス材料の成形方法。
- 請求項1または2記載の型材を用いたガラス材料の成形方法において、分割した荷重板の重量が、5kg以上10kg以下であることを特徴とする型材を用いたガラス材料の成形方法。
- 請求項2または3のいずれかに記載の型材を用いたガラス材料の成形方法において、前記加熱溶融を、窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウムまたは真空中で行うことを特徴とする型材を用いたガラス材料の成形方法。
- ガラス材料を加熱溶融して筒形形状のガラス製品の概形を成形する型材において、底板と、前記底板と一方の開口部を接して前記底板上に配設された筒部と、前記筒部の内径と略同一の外形を有するとともに前記筒部の内周面上を上下方向に摺動自在に移動可能なガイド部材と、前記ガイド部材の下面に配設されるとともに、前記筒部内の前記底板上に載置されたガラス材料の上面を押圧する押圧治具と、前記押圧治具に荷重を付与する複数の荷重板とを有し、前記荷重板の形状が円柱形であり、更に前記荷重板の1枚当たりの重量が、5kg以上10kg以下であることを特徴とするガラス材料の成形用の型材。
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