JP5404411B2 - 活性化カルボキシペプチダーゼの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の一実施態様では、本方法は、真菌細胞から活性型のカルボキシペプチダーゼを単離する工程をさらに含む。
本発明のさらなる実施態様では、真菌細胞は、非機能性PEP4遺伝子(プロテイナーゼAをコードする遺伝子)を有する。
本発明の一実施態様では、真菌細胞は欠失したPEP4遺伝子を有する。
Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼのプロ型の、カルボキシペプチダーゼのプロ型が効果的に切断されてカルボキシペプチダーゼの活性化成熟型を形成させる位置に挿入される。
他の実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端アミノ酸残基の比較的近接した位置に導入される。しかしながら、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端アミノ酸残基に対して、好ましくは約30以下のアミノ酸残基上流又は下流に存在すべきである。
本発明の一実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端アミノ酸残基に対して、1〜約30アミノ酸残基上流の距離に導入される。
本発明のさらなる実施態様では、Kex2切断部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端アミノ酸残基に対して、2-30アミノ酸残基上流の距離に導入される。
本発明のさらなる実施態様では、Kex2切断部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端アミノ酸残基に対して、5-30アミノ酸残基上流の距離に導入される。
本発明のさらなる実施態様では、Kex2切断部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端アミノ酸残基に対して、5-20アミノ酸残基上流の距離に導入される。
さらなる実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端酸残基の、3-30、3-29、3-28、3-27、3-26、3-25、3-24、3-23、3-22、3-21、又は3-20アミノ酸残基上流又は下流の距離に導入される。
さらなる実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端酸残基の、4-30、4-29、4-28、4-27、4-26、4-25、4-24、4-23、4-22、4-21、又は4-20アミノ酸残基上流又は下流の距離に導入される。
さらなる実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端酸残基の、5-30、5-29、5-28、5-27、5-26、5-25、5-24、5-23、5-22、5-21、又は5-20アミノ酸残基上流又は下流の距離に導入される。
さらなる実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端酸残基の2アミノ酸残基上流又は下流の距離に導入される。
さらなる実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端酸残基の3アミノ酸残基上流又は下流の距離に導入される。
さらなる実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端酸残基の4アミノ酸残基上流又は下流の距離に導入される。
さらなる実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端酸残基の5アミノ酸残基上流又は下流の距離に導入される。
さらなる実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端酸残基の7アミノ酸残基上流又は下流の距離に導入される。
さらなる実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端酸残基の8アミノ酸残基上流又は下流の距離に導入される。
さらなる実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端酸残基の9アミノ酸残基上流又は下流の距離に導入される。
さらなる実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端酸残基の10アミノ酸残基上流又は下流の距離に導入される。
さらなる実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端酸残基の13アミノ酸残基上流又は下流の距離に導入される。
さらなる実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端酸残基の14アミノ酸残基上流又は下流の距離に導入される。
さらなる実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端酸残基の15アミノ酸残基上流又は下流の距離に導入される。
さらなる実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端酸残基の17アミノ酸残基上流又は下流の距離に導入される。
さらなる実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端酸残基の18アミノ酸残基上流又は下流の距離に導入される。
さらなる実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端酸残基の19アミノ酸残基上流又は下流の距離に導入される。
さらなる実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端酸残基の20アミノ酸残基上流又は下流の距離に導入される。
さらなる実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端酸残基の22アミノ酸残基上流又は下流の距離に導入される。
さらなる実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端酸残基の23アミノ酸残基上流又は下流の距離に導入される。
さらなる実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端酸残基の24アミノ酸残基上流又は下流の距離に導入される。
さらなる実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端酸残基の25アミノ酸残基上流又は下流の距離に導入される。
さらなる実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端酸残基の27アミノ酸残基上流又は下流の距離に導入される。
さらなる実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端酸残基の28アミノ酸残基上流又は下流の距離に導入される。
さらなる実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端酸残基の29アミノ酸残基上流又は下流の距離に導入される。
さらなる実施態様では、Kex2部位は、カルボキシペプチダーゼの天然N末端酸残基の30アミノ酸残基上流又は下流の距離に導入される。
i)B鎖のC末端伸長部を有するヒトインスリン又はそのアナログの前躯体をコードするDNA配列と、
ii)そのプロ型に挿入Kex2切断部位を有するカルボキシペプチダーゼのプロ型をコードするDNAと
を同時発現させることを含み、
ヒトインスリン前駆体分子におけるB鎖のC末端伸長部を、同時発現され活性化されたカルボキシペプチダーゼにより真菌細胞内で切断し、成熟ヒトインスリン又はそのアナログを培養培地から単離する方法に関する。
カルボキシペプチダーゼは、任意の適切なカルボキシペプチダーゼであってよい。しかしながら、本発明の一実施態様では、カルボキシペプチダーゼは宿主真菌細胞に内在している。さらなる実施態様では、カルボキシペプチダーゼはCPYである。
B鎖のC末端伸長部の非限定的例は、Leu-Gly;Leu-Ala;Leu-Leu;Leu-Met及びLeu-Ileである。
本発明のさらなる実施態様では、Cペプチドは、2つのKex2部位の間に挿入されてペプチド配列を有する、2つのKex2切断部位を含む。2つのKex2部位の間のペプチド配列の長さ及びアミノ酸組成は、発現した単鎖インスリン前駆体の折り畳みが可能であり、インスリン前駆体分子内に、正確に位置付けされたジスルフィド架橋が確立可能であるならば、変えてもよい。
天然Cペプチドの大きさは、35アミノ酸残基である。よって本発明の一態様では、2つのKex2部位の間のペプチド配列は、天然Cペプチドとほぼ同じ長さである。
B(1-30)-X1-X2-Z-X3-X4-A(1-21)
[上式中、B(1-30)は、ヒトインスリンのB鎖又はそのアナログであり、A(1-21)はヒトインスリンのA鎖又はそのアナログであり、X1は、真菌細胞内でのさらに効果的なKex2切断を促進するであろう、1-5のアミノ酸残基のペプチド配列であり、X2はKex2切断部位であり、Zは、1〜約35のアミノ酸残基を有するペプチド配列又はペプチド結合であり、X3はKex2切断部位又はペプチド結合であり、X4はアミノペプチダーゼ切断部位又はペプチド結合である]
を有する。
本発明の他の実施態様では、X3及びZはペプチド結合であり、X4はアミノペプチダーゼ切断部位である。
他の実施態様では、X1におけるアミノ酸残基は、Phe、Leu、Ile、Tyr、Trp、Val、Met、Ala、Asp及びGlyからなる群から選択される。
本発明の一実施態様では、X1はLeu-Alaである。
本発明の他の実施態様では、X1はPhe-Leuである。
本発明の他の実施態様では、X1はLeu-Glyである。
本発明の他の実施態様では、X1はLeu-Leuである。
本発明の他の実施態様では、X1はLeu-Metである。
本発明の他の実施態様では、X1はLeu-Ileである。
野生型:KPKFPEAIKTKKDWDFVVKNDAIENYQLRVN↓KIKDPKILG(配列番号:1)。
変異体A:KPKFPEAIKTKKDWDFVVKNDAIENYQLRVNKIKR↓DPKILG(配列番号:2)。
変異体B:KPKFPEAIKTKKDWDFVVKNDAIENYQLRVLGKR↓DPKILG(配列番号:3)。
変異体C:LGKR↓EFPEAIKTKKDWDFVVKNDAIENYQLRVNKIKDPKILG(配列番号:4)。
変異体D:KPKFPEAIKTKR↓DWDFVVKNDAIENYQLRVNKIKDPKILG(配列番号:5)。
変異体E:KPKFPEAIKTKKDWDFVKR↓NDAIENYQLRVNKIKDPKILG(配列番号:6)。
変異体F:KPKFPEAIKTKKDWDFVVKLDKR↓AIENYQLRVNKIKDPKILG(配列番号:7)。
変異体G:KPKFPEAIKTKKDWDFVVKNDAIENYQLRVNKIKDPKR↓GGILG(配列番号:8)。
用語「プロ型」は、プロ配列と活性化ポリペプチド配列の融合産物を意味する。
カルボキシペプチダーゼの代表例は、カルボキシペプチダーゼA(EC3.4.17.1)、カルボキシペプチダーゼA2(EC3.4.17.15)、カルボキシペプチダーゼB(EC3.4.17.2)、カルボキシペプチダーゼE(EC3.4.17.10)、カルボキシペプチダーゼM(EC3.4.17.12)、カルボキシペプチダーゼT(EC3.4.17.18)、カルボキシペプチダーゼU(EC3.4.17.20)、及びカルボキシペプチダーゼY(EC3.4.16.5)である。
本発明の一実施態様では、カルボキシペプチダーゼはCPYである。
Kex2部位が、天然N末端アミノ酸に直接結合していないならば、放出されたカルボキシペプチダーゼは可変長のN末端伸長部を有するか、又はKex2部位の位置に応じて、N末端における一又は複数の天然アミノ酸残基が欠失しているであろう。
カルボキシペプチダーゼは、それ自身のプロモーターを含む、任意の適切なプロモーターから発現してよい。しかしながら、カルボキシペプチダーゼレベルが、インスリン前駆体の異常なプロセシングに至しめる、あまりの高さになるおそれがあることがわかっている。インスリン前駆体と活性化カルボキシペプチダーゼとの間の適切な比率を発見するため、カルボキシペプチダーゼ変異体の発現レベルが、カルボキシペプチダーゼそれ自身のプロモーターを、代替プロモーターで置き換えることにより調節されてもよい。
カルボキシペプチダーゼがCPY酵素であるならば、適切な代替プロモーターは、CYC1、KEX2、MF(アルファ)1及びMPD1の遺伝子からのプロモーター領域である。
本発明の一実施態様では、カルボキシペプチダーゼのプロモーターはKex2プロモーターである。
図5において、インスリン前駆体コンストラクトは、単一のKex2部位、KR、及び結合ペプチドにおいて配列XXにより例証されるB鎖のC末端伸長部を有する。第1のプロセシング工程では、Kex2により、Kex2部位で切断されて、単鎖構造が、B鎖に結合した配列XXKRを有する2本鎖構造に転換される。続いて、酵素Kex1がKR配列を切断し、最終的に、カルボキシペプチダーゼがB鎖のXX伸長部を切断し、成熟した2本鎖インスリン生成物が得られる。
図7に例証した実施態様では、インスリン前駆体は、ペプチド鎖Zにより結合した2つのKex2切断部位を有する。Kex2を用いた第1の切断によりZ-KR配列が除去され、Kex1によりKR配列が除去され、最終的に、カルボキシペプチダーゼによりXX配列が除去される。
商業的規模で使用されているクロマトグラフィー用カラム材料は、非常に高価であり、よって、このようなクロマトグラフィー工程の数を減らすことは、生産経済において、かなりの影響を有するものである。下流の転換及び精製工程を減らすと、労働者の仕事量及びプロセスに費やされる時間がさらに減少し、よって生産経済がさらに改善される。
よって、ここで使用される場合、「インスリンアナログ」とは、天然インスリン中に生じる少なくとも一つのアミノ酸残基を欠失させ、及び/又は置換することにより、及び/又は少なくとも一つのアミノ酸残基を付加することによって、天然に生じるインスリン、例えばヒトインスリンの構造から形式的には誘導することができる分子構造を有するポリペプチドを意味する。付加された及び/又は置換されたアミノ酸残基は、コード可能なアミノ酸残基又は他の天然に生じるアミノ酸残基又は純粋に合成のアミノ酸残基の何れでもよい。
インスリンアナログは、ヒトインスリンと比較して、典型的には約7を越える変異、より典型的には5を越える変異、最も典型的には最大3の変異を含まない。
また、A21位のAsnは、Ala、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Met、Ser、Thr、Trp、Tyr又はVal、特にGly、Ala、Ser、又はThr、特にGlyに修飾されてもよい。さらに、B3位のAsnは、Lys又はAspに修飾されてもよい。インスリンアナログのさらなる具体例は、des(B30)ヒトインスリン、B1及びB2の一方又は双方が欠失したインスリンアナログ;A鎖及び/又はB鎖がN末端伸長を有するインスリンアナログ、及びA鎖及び/又はB鎖がC末端伸長を有するインスリンアナログである。またA18位にある天然アミノ酸残基はGln残基に変化していてもよく、またB26-B30位にある一又は複数のアミノ酸残基は欠失している。
インスリンアナログのさらなる具体例は、A21、B10、A8、A14、B25、B27及びB1の一又は複数の位置に変異を含む、ヒトインスリンアナログである。
よって、本発明の一実施態様における真菌細胞は酵母細胞であり、さらなる実施態様では、酵母細胞はサッカロミセス・セレビシエである。
酵母における効果的な分泌のために、リーダーペプチドをコードする配列は、シグナル配列の下流と所望の生成物をコードするDNA配列の上流に挿入されてよい。
B(1-30)はヒトインスリンの天然B鎖を意味し、「A(1-21)」は天然インスリンA鎖を意味する。A18Qヒトインスリンは、ヒトインスリンA鎖のA18位にGlnを有するインスリンアナログである。B10E、A8H、A14Eは、それぞれB10位にGlu、A8位にHis、及びA14位にGluを有するインスリンアナログである。
「B1」、「A1」等とは、それぞれインスリンのB鎖の1位(N末端から数える)のアミノ酸残基及びインスリンのA鎖の1位(N末端から数える)のアミノ酸残基を意味する。特定の位置にあるアミノ酸残基は、例えばB1位のアミノ酸残基がフェニルアラニン残基であることを意味するPheB1として表されてもよい。
「成熟インスリン」とは、正しいアミノ酸残基組成と、天然のヒトインスリン分子と同様の立体構造、すなわちCysA7とCysB7との間、及びCysA20とCysB19との間のジスルフィド架橋、及びCysA6とCysA11との間の内部ジスルフィド架橋、及びインスリン活性を有する2本鎖インスリンを意味する。よって、本発明の成熟インスリンはヒトインスリンである。成熟ヒトインスリンアナログは、B28Aspヒトインスリン、desB30ヒトインスリン、A14Glu、B25Hisヒトインスリン、及びB31Leu、B32Alaヒトインスリンであってよい。
ここで使用される場合、「インスリン誘導体」とは、天然に生じるインスリン、又は、例えばインスリン骨格の一又は複数の位置に側鎖が導入されることにより、もしくはインスリンのアミノ酸残基の基を酸化又は還元することにより、もしくは遊離のアミノ基又はヒドロキシ基をアシル化することにより化学的に修飾されたインスリンアナログを意味する。
「Kex1」又は「Kex1p」とは、好ましくはC末端のリジル及び/又はアルギニル残基の除去を触媒するセリンカルボキシペプチダーゼを意味する(Shilton BH, Thomas DY, Cygler M 1997 Crystal structure of Kex1deltap, a prohormone-processing carboxypeptidase from Saccharomyces cerevisiae. Biochemistry 36: 9002-9012)。
CPYとは、好ましくは疎水性又は大きなC末端アミノ酸残基、例えばPhe及びLeuの除去を触媒するカルボキシペプチダーゼである、カルボキシペプチダーゼYを意味する(Remington, S.J. & Breddam, K. (1994) Carboxypeptidases C and D. Methods Enzymol. 244、231-248)。CPYのアミノ酸配列は、「Vallsら, 1987, Cell, 48(5):887-897」に開示されている。
「効果的な切断」とは、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも95%の切断を意味することを意図している。
「POT」は、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)トリオースリン酸イソメラーゼ遺伝子であり、「TPI1」はサッカロミセス・セレビシエ・トリオースリン酸イソメラーゼ遺伝子である。
「リーダー」とは、プレペプチド(シグナルペプチド)及びプロペプチドからなるアミノ酸配列を意味する。
酵母宿主細胞に有用なシグナルペプチドは、サッカロミセス・セレビシエのα因子及びサッカロミセス・セレビシエのインベルターゼに対する遺伝子から得られる。本発明のDNAコンストラクトと共に使用され得る多くのシグナルペプチドには、酵母アスパラギン酸プロテアーゼ3(YAP3)シグナルペプチド、又は任意の機能的アナログ(Egel-Mitaniら、(1990) YEAST 6:127-137及び米国特許第5726038号)、MFα1遺伝子のα-因子シグナル(Thorner(1981), The Molecular Biology of the Yeast Saccharomyces cerevisiae, Strathern等編, pp 143-180, Cold Spring Harbor Laboratory, NY、及び米国特許第4870008号)、マウス唾液アミラーゼのシグナルペプチド(O. Hagenbuchleら, Nature 289、1981, pp. 643-646を参照)、修飾されたカルボキシペプチダーゼのシグナルペプチド(L.A. Vallsら, Cell 48,1987, pp. 887-897を参照)、及び酵母BAR1シグナルペプチド(国際公開第87/02670号を参照)が含まれる。
一実施態様では、組換え発現ベクターは酵母中で複製可能である。ベクターを酵母中で複製させることができる配列の例は酵母プラスミド2μm複製遺伝子REP1-3及び複製起点である。
酵母宿主細胞のための適切なマーカーは、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1、及びURA3である。酵母とって好ましい選択可能なマーカーはシゾサッカロミセス・ポンベTPI遺伝子(Russell (1985) Gene 40:125-130)である。
酵母宿主において、有用なプロモーターは、サッカロミセス・セレビシエMFα1、TPI、ADH又はPGKプロモーターである。
本発明のポリヌクレオチドコンストラクトは典型的には適切なターミネーターに作用可能に結合しているであろう。酵母において、適切なターミネーターはTPIターミネーター(Alberら(1982) J. Mol. Appl. Genet. 1:419-434)である。
ベクターは、まず本発明のインスリン前駆体をコードする全DNA配列を含有するDNAコンストラクトを調製し、続いて適切な発現ベクターにこのフラグメントを挿入するか、又は個々のエレメントについての遺伝的情報を含むDNAフラグメントを挿入し、続いてライゲーションすることにより構築されると理解されるであろう。
本記載において、アミノ酸の3文字又は1文字表記は、それらの従来からの意味で使用される。明確に示されない限りは、ここに挙げたアミノ酸はLアミノ酸である。さらにペプチドのアミノ酸配列の左及び右端は、特に記載しない限りは、それぞれN及びC末端である。
全ての表題及び副題は、ここでは便宜的に使用され、決して本発明を限定するものと解してはならない。
ここに提供される任意かつ全ての例、又は例示的言語(例えば「等」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、特に請求項に記載がない限り、本発明の範囲に限定をもたらすものではない。明細書中の如何なる語句も請求項に記載していない要素が本発明の実施に必須であることを示しているものと解してはならない。
ここでの特許文献の引用及び援用は単に便宜上なされているもので、そのような特許文献の有効性、特許性、及び/又は権利行使性についての見解を反映させるものではない。 この発明は、適用される法律に容認される場合、ここに付加される請求項に列挙された主題事項の全ての修正点及び等価物を含む。
全ての発現プラスミドは、欧州特許第171,142号に記載されているものと同様の、C-POT型のものである。これらは、プラスミドの選択、及びサッカロミセス・セレビシエの安定化の目的のために、シゾサッカロミセス・ポンベ・トリオースリン酸イソメラーゼ遺伝子(POT)を含有することにより特徴付けられる2μベースの発現ベクターである。また、プラスミドは、サッカロミセス・セレビシエ・トリオースリン酸イソメラーゼプロモーター及びターミネーター(図1)を含む。これらの配列は、次の:1)インスリン生成物とリーダーの融合タンパク質をコードするEcoRI-Xbalフラグメントの配列、及び2)発現ベクターの2μ領域におけるNcoI部位の除去に帰するサイレント変異の導入、を除き、全ての配列である場合、プラスミドpKFN1003(国際公開第9010075号に記載)における対応配列に類似している。種々の融合タンパク質のクローニングを促進させるために、MFα1プレプロリーダーをコードするDNA配列を変化させてNcoI部位を導入し(図2を参照)、MFα1*プレプロリーダーと称する。このようにNcoI-Xbalフラグメントは、関心あるインスリンコンストラクトをコードするNcoI-Xbalフラグメントで、簡単に置き換えられる。このようなNcoI-Xbalフラグメントは、標準的な技術に従い、合成オリゴヌクレオチド及びPCRを使用して合成されてよい。アルファ-リーダーに加えて、他のリーダーを使用することもできる。
ヒトインスリン前駆体B(1-30)-LARRDLGKR(配列番号:9)-(A1-21)、(A14E,B25H)ヒトインスリン用の酵母発現システムの構築
図1には、pESI42-33と称される酵母プラスミドが示されている。プラスミドは、サッカロミセス・セレビシエTPI遺伝子の転写プロモーターと転写ターミネーターとの間のプラスミドに挿入されたEcoRI-XbaIフラグメントを含有する発現カセットを含む。プラスミドpESI42-33において、EcoRI-XbaIフラグメントは、MFα1*プレプロリーダー、二塩基プロセシングエンドペプチダーゼKex2に対するLys-Arg切断部位、及びインスリン前駆体B(1-30)-LARRDLGKR(配列番号:9)-(A1-21)、(A14E,B25H)ヒトインスリンからなる融合産物をコードする。
発現プラスミドを、アンピシリンの存在下で成長させた大腸菌にて増殖させ、標準的な技術を使用し単離させた(Sambrookら, 1989)。プラスミドDNAを適切な制限ヌクレアーゼにより挿入についてチェックし(例えば、EcoRI、NcoI、XbaI)、配列分析により、インスリン前駆体B(1-30)-LARRDLGKR(配列番号:9)-(A1-21)、(A14E,B25H)ヒトインスリンの適切な配列を含有することが示された。
プラスミドをサッカロミセス・セレビシエ菌株MT663において形質転換させた。プラスミドを包含する酵母形質転換体を、YPD(1%の酵母抽出物、2%のペプトン、2%のグルコース)寒天(2%)プレートにおける炭素源としてのグルコース利用によって選択した。
CPY活性変異体用の酵母発現システムの構築
図2には、pPRC1と称される酵素プラスミドが示されている。プラスミドは、サッカロミセス・セレビシエTPI遺伝子の転写プロモーターと転写ターミネーターとの間のプラスミドに挿入されたClaI-NheIフラグメントを含有する発現カセットを含む。プラスミドpPRC1、ClaI-NheIフラグメントは、野生型プレプロCPYをコードする。全てのCPY変異プラスミドは、関連点変異が、二塩基性Kex2切断モチーフの導入用に作製されていることを除けば、pPRC1と同一である。
Kex2切断部位の挿入により変異したPRC1をコードする配列を含有するDNAフラグメントを、合成オリゴヌクレオチド、テンプレートとしてゲノム酵母DNA、及び標準的なPCR増幅を使用して構築した。得られたPCRフラグメントを精製し、ClaI及びNheIで消化し、修飾されたcPOT型の発現ベクターのClaI-NheIベクターフラグメントにライゲーションさせた。
プラスミドをサッカロミセス・セレビシエ菌株MT663において形質転換させた。プラスミドを包含する酵母形質転換体を、YPD(1%の酵母抽出物、2%のペプトン、2%のグルコース)寒天(2%)プレートにおける炭素源としてのグルコース利用によって選択した。
インスリン前駆体B(1-30)-LARRDLGKR(配列番号:9)-(A1-21)、(A14E,B25H)ヒトインスリン及びCPY活性変異体の同時発現用の酵母発現システムの構築
図3には、pSA160と称される酵母プラスミドが示されている。プラスミドは、サッカロミセス・セレビシエTPI遺伝子の転写プロモーターと転写ターミネーターとの間のプラスミドに挿入されたEcoRI-XbaIフラグメントを含有する発現カセットを含む。プラスミドpSA160において、EcoRI-XbaIフラグメントは、MFα1*プレプロリーダー、二塩基プロセシングエンドペプチダーゼKex2に対するLys-Arg切断部位、及びインスリン前駆体B(1-30)-LARRDLGKR(配列番号:9)-(A1-21)、(A14E,B25H)ヒトインスリンからなる融合産物をコードする。またプラスミドは、サッカロミセス・セレビシエPRC1遺伝子の転写プロモーターの後のプラスミド中に挿入されるKpnI-SacIフラグメントを含むCPY変異体「F」をコードする発現カセットも含む。
インスリンカセットを、適切なcPOT型の発現ベクターにおいてサブクローニングした。続いて、PRC1プロモーターを、テンプレートとしてゲノム酵母DNAを使用するPRCにより増幅し、SalI-KpnIフラグメントとして、上述したプラスミドにおいてクローニングした。最終的に、ターミネータープラスCPY変異体をコードするDNAを、PCRを使用して増幅させ、プラスミドにおいてクローニングした。
プラスミドをサッカロミセス・セレビシエ菌株MT663において形質転換させた。プラスミドを包含する酵母形質転換体を、YPD(1%の酵母抽出物、2%のペプトン、2%のグルコース)寒天(2%)プレートにおける炭素源としてのグルコース利用によって選択した。
複数のCPY変異体を構築した。プラスミドを酵母において形質転換させ、研究室規模のバッチ発酵を、30℃で72時間、定められた培地における培養により実施した。合成基質N-(3-[2-フリル]アクリロイル)-Phe-Pheを使用し、CPY活性について発酵ブロスをアッセイした。この基質を使用すると、337nmでの吸光度における変化として、CPY活性を分光学的に追跡することができる。既知の濃度のCPY標準体の活性度に対して、活性度を相互比較することにより、上清における濃度を推定することができる。これらのアッセイに基づき、9つの変異体が、0-2.3mg/Lの濃度で存在することが推定された。
ヒトインスリン前駆体(B(1-30)-LARRDLGKR(配列番号:9)-(A1-21)、(A14E,B25H)ヒトインスリンとCPY活性変異体「F」との同時発現用のプラスミドpSA160を、酵母において形質転換させ、研究室規模のバッチ発酵を、30℃で定められた培地における培養により実施した。インスリン種の培養24時間後、発酵ブロスをLC-MSにより分析した。これにより、分泌されたインスリン種の>90%が、十分にプロセシングされたA14E,B25Hヒトインスリンアナログであったことが示された。図4には、分泌された活性CPYにより、インスリンB鎖のC末端から、LA伸長部が成功裏に除去されたことが示されている。
図3に記載された同時発現プラスミドを包含する酵素菌株の連続発酵により、CPYレベルがあまりに高まり、ヒトインスリン前駆体の異常なプロセシングに至ることが示された。ヒトインスリン前駆体と活性CPYとの間の適切な比率を見出すために、PRC1プロモーターを代替プロモーターに置き換えることにより、CPY変異体の発現レベルを調節した。
CYC1、KEX2、MF(アルファ)1、及びMPD1の遺伝子からのプロモーター領域をPCRにより増幅させ、PRC1プロモーター配列を、それぞれ代替CYC1、KEX2、MF(アルファ)1、及びMPD1のプロモーター配列と交換することで得られた、実施例3に記載の同時発現プラスミドのSalI−KpnI部位においてクローニングした。得られたプラスミドをサッカロミセス・セレビシエ菌株MT663において形質転換させた。プラスミドを包含する酵母形質転換体を、YPD(1%の酵母抽出物、2%のペプトン、2%のグルコース)寒天(2%)プレートにおける炭素源としてのグルコース利用によって選択した。
研究室規模のバッチ発酵を、実施例6に記載したプラスミドを包含する新規の酵母菌株を用いて実施した。菌株を定められた培地において、30℃で培養した。72時間後、発酵ブロス中の活性CPYの濃度を、発色基質FA-Phe-Pheを使用し、活性度を測定することにより決定した。結果は広範囲の発現レベルを示した。
Claims (14)
- 野生型カルボキシペプチダーゼの天然N末端アミノ酸残基に対して0〜30のアミノ酸残基上流又は下流の位置に挿入Kex2切断部位を含むカルボキシペプチダーゼの修飾されたプロ型をコードするDNA配列を、カルボキシペプチダーゼの修飾されたプロ型の発現に適した条件下で発現させ、プロ配列を細胞内で切断し、遊離の活性型のカルボキシペプチダーゼを放出させる、真菌細胞における活性化カルボキシペプチダーゼの製造方法。
- 真菌細胞から活性型のカルボキシペプチダーゼを単離する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
- 真菌細胞が、非機能性PEP4遺伝子(プロテイナーゼAをコードする遺伝子)を有する請求項1又は2に記載の方法。
- カルボキシペプチダーゼが宿主真菌細胞に内在している請求項1ないし3のいずれか一項に記載の方法。
- Kex2切断部位が、プロ配列の、カルボキシペプチダーゼの野生型形態の天然N末端アミノ酸残基に対して5-20、5-15又は5-10アミノ酸残基上流の距離に、導入される請求項1に記載の方法。
- Kex2切断部位が、野生型カルボキシペプチダーゼ酵素のN末端アミノ酸残基に対して2-20、2-15又は2-10アミノ酸残基上流の位置に挿入される請求項1に記載の方法。
- カルボキシペプチダーゼがCPYである請求項1ないし6のいずれか一項に記載の方法。
- B鎖のC末端伸長部を有するヒトインスリン又はそのアナログの前躯体を、野生型カルボキシペプチダーゼの天然N末端アミノ酸残基に対して0〜30のアミノ酸残基上流又は下流の位置に挿入Kex2切断部位を含むカルボキシペプチダーゼの修飾されたプロ型をコードするDNA配列を、カルボキシペプチダーゼの修飾されたプロ型の発現に適した条件下で発現させ、プロ配列を細胞内で切断し、遊離の活性型のカルボキシペプチダーゼを放出させる、真菌細胞における活性化カルボキシペプチダーゼの製造方法により製造されたカルボキシペプチダーゼと反応させることによる、成熟ヒトインスリン又はそのアナログを製造する方法であって、B鎖のC末端伸長部が切断されて、成熟ヒトインスリン又はそのアナログが得られる方法。
- 成熟ヒトインスリン又はそのアナログを製造する方法であって、真菌細胞において、
i)B鎖のC末端伸長部を有するヒトインスリン又はそのアナログの前躯体をコードするDNA配列と、
ii)野生型カルボキシペプチダーゼの天然N末端アミノ酸残基に対して0〜30のアミノ酸残基上流又は下流の位置に挿入Kex2切断部位を有するカルボキシペプチダーゼのプロ型をコードするDNAと
を同時発現させることを含み、
ヒトインスリン前駆体分子におけるB鎖のC末端伸長部を、同時発現され活性化されたカルボキシペプチダーゼにより真菌細胞内で切断し、成熟ヒトインスリン又はそのアナログを培養培地から単離する方法。 - ヒトインスリン前駆体分子が、ヒトインスリン又はそのアナログのB鎖、ヒトインスリン又はそのアナログのA鎖、及びB鎖とA鎖を連結するCペプチドを含み、Cペプチドが少なくとも一のKex2切断部位を含み、B鎖が、真菌細胞内におけるCペプチドのより効果的なKex2切断を促進させるC末端伸長部を含む請求項9に記載の方法。
- B鎖のC末端伸長部が4までのアミノ酸残基を有する請求項8ないし10のいずれか一項に記載の方法。
- B鎖のC末端伸長部が、Leu-Ala、Phe-Leu、Leu-Gly、Leu-Leu、Leu-Met及びLeu-Ileからなる群から選択される請求項11に記載の方法。
- カルボキシペプチダーゼのプロ型が、それ自身のプロモーターとは異なるプロモーターの調節下で発現される請求項9ないし12のいずれか一項に記載の方法。
- カルボキシペプチダーゼが酵母CPY酵素であり、プロモーターがKex2プロモーターである請求項13に記載の方法。
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