以下、図面を参照しながら、本発明に係る生体情報検知システムの第1の実施形態について説明する。図1(a)、(b)に示すように、生体情報検知システム1は、本発明の人体支持体に相当する寝具であるベッド本体5上(マットレス6上でもよい)に設置されて振動を検出する振動検出手段としての2つの圧電センサ10と、圧電センサ10が出力する振動信号10aを後述する規格化した値に増幅する増幅手段としての増幅回路11と、を有している。また生体情報検知システム1は、増幅回路11によって増幅された増幅後振動信号11aを平滑化するためのフィルタ手段としてのフィルタ12と、フィルタ12によって出力されたフィルタ通過後振動信号12aと後述する所定の閾値S1、S2とを比較し、心拍信号Hと体動信号Mとを判別する判別手段としての判別回路13と、心拍信号Hの心拍回数、及び体動回数を計数する計数手段としての計数回路14と、制御装置15とを有している。
なお、本実施形態においては圧電センサ10を2つ設けているが、各圧電センサ10の構成、及び作用は同じであるので、一部を除き1つの圧電センサ10についてのみ説明する。そして最終的には各圧電センサ10の内、いずれかの圧電センサ10のデータのみを採用するものであるが、その選択方法については本文中で説明する。
圧電センサ10は、例えば可撓性を有する面状シートの形状をなしている。そして圧電センサ10は圧電体(圧電素子)によって構成され、殊に圧電ポリマー、圧電セラミックス等を例示できる。具体的には、例えばポリビニリデンフロライド(PVDF)のフィルム、または、シートとすることができる。圧電ポリマーは広い周波数特性を有しており、更に、圧電セラミックスと比較して、柔軟性、耐衝撃性、耐高電圧性、耐水性、化学的安定性を備えている。なお、振動検出手段として静電容量センサ、歪みゲージ、磁気センサ等によっても構成できる。
圧電センサ10は、図1(a)、(b)に示すように、ベッド本体5上に横たわる生体Pの胸(心臓)の重力方向下方において、マットレス6の下面とベッド本体5上面との間に2つ挟持され配置されている。2つの圧電センサ10は、ベッド本体5の幅方向における中心から幅方向外側に向かって相互にそれぞれ所定量だけ離間して配置されている(図1(a)参照)。このように配置されるので、マットレス6(ベッド本体5)上に横たわる生体Pが、マットレス6(ベッド本体5)のいずれかの幅方向に移動しても、2つの圧電センサ10のうち、いずれかの圧電センサ10によって確実に生体Pの複数の生体情報である心拍、呼吸、及び寝返り等による体動の情報を検出する。
圧電センサ10は、生体Pの複数の生体情報(心拍、呼吸、及び体動)の各振動の変動(加速度)を同時に検出し、複数の生体情報を含む振動信号10aを出力する(図1、図2参照)。なお、圧電センサ10は2つに限らず所定の位置に2つを越える数(例えば6つ)を設けてもよい。さらに圧電センサ10はマットレス6の下面ではなく上面に配置してもよい。
次に、図1に示す増幅手段としての増幅回路11について説明する。増幅回路11は圧電センサ10が出力した振動信号10aの値を前述の規格化した値に増幅するための回路である。ここで規格化とは、各圧電センサ10が取得し出力する振動信号10aのゲインを所定の値に統一することをいう。圧電センサ10は、一般的な他のセンサと同様に生体Pとの相対的な位置関係や、生体Pの圧電センサ10への押圧の仕方等によりゲインがそれぞれ異なって出力される。このため圧電センサ10から出力した振動信号10aをすべて一定の増幅率で増幅し、得られた増幅後信号によって各生体情報を判別する場合には、測定条件によって異なる各センサゲインに適合させた各閾値をそれぞれ演算して算出する必要がある。これにより演算量が増し制御装置15の負荷が増加してしまう。
そこで、本発明においては演算量を低減するため、ゲインによってそれぞれ異なる圧電センサ10から出力した各振動信号10aの各信号値の大きさに着目した。各振動信号10aの信号値のそれぞれの大きさ、つまり各ゲインの大きさに応じた各増幅率を各信号値の大きさに基づいてそれぞれ算出し、算出された増幅率に基づいて各振動信号10aを増幅し規格化する。そして規格化された増幅後の出力値に対し共通の閾値S1、S2によって、圧電センサ10から出力したすべての振動信号10aの判別ができるようにする。このため、増幅回路11においては、まず後述する所定の増幅率Kを導出し、増幅率Kを圧電センサ10から出力した振動信号10aに乗じて増幅し規格化した値を算出する。
増幅回路11は、圧電センサ10と接続されている。そして増幅回路11は心拍信号H、及び体動信号Mの各振動の各周波数に応じてそれぞれ適切に設定された各時定数を有する第1フィルタ17、及び第1フィルタ17よりも時定数が長い第2フィルタ18と、第1演算部25と、第2演算部26と、を有している。なお、本実施形態においては、上述の通り第1フィルタ17、及び第2フィルタ18には複数の生体情報のうちの少なくとも2つの生体情報である、お互いの周波数は近いが振幅の大きさが異なる心拍信号H、及び体動信号Mが混在する振動信号10aがそれぞれ入力されるものとする。
第1フィルタ17、及び第2フィルタ18は、圧電センサ10と並列に接続されている。また第1フィルタ17、及び第2フィルタ18は、後続の処理部となる第1演算部25とそれぞれ並列に接続され、第2演算部26は第1演算部25と直列に接続されている。
次に振動信号10aを増幅して規格化するための前述した増幅率Kについて説明する。増幅率Kを導出するため、まず、振動信号10aを第1フィルタ17、及び第2フィルタ18にそれぞれ通過させ各出力信号である第1、及び第2フィルタ通過後振動信号19、20を出力させる(図1、図3参照)。第1フィルタ17は、心拍信号Hの周波数に応じて比較的短い時定数で設定される。これにより、図3の実線に示すように第1フィルタ17通過後の信号である第1フィルタ通過後振動信号19の心拍信号Hの値は心拍の振幅レベルの略平均値となり、比較的小さい出力信号値として出現する。また、第1フィルタ通過後振動信号19における体動信号Mの値は第1フィルタ17の時定数が比較的短いため振動信号10aにおける体動自身の大きさが影響し大きな出力信号値として出現する。
第2フィルタ18は、体動信号Mの周波数に応じて第1フィルタ17より比較的長い時定数で設定される。これにより、図3の破線に示すように第2フィルタ18通過後の信号である第2フィルタ通過後振動信号20の体動信号Mの値は振動信号10aにおける心拍信号Hの影響を受け、後述する増幅に適切な値である小さい出力信号値として出現する。また、第2フィルタ18の時定数が比較的長いため、第2フィルタ通過後振動信号20における心拍を示す部分の値は、第1フィルタ通過後振動信号19における心拍を示す部分の値より若干大きな出力信号値として出現する。
そして図3に示すように第1、及び第2フィルタ通過後振動信号19、20を同じ時間軸で重ね合わせ比較し、図3の矢印部が示す、出力値の値がより小さい方の値Hmin、及びMminをそれぞれ抽出する。そしてさらにHmin、Mminのうちいずれか小さい方の値を選択して、逆数1/Hmin、または1/Mminを算出し振動信号10aの増幅率Kを算出する(第1演算部25)。
このように時定数が短い第1フィルタ17だけでなく時定数が長い第2フィルタ18を用いることによって、長い周波数を有する体動信号Mも増幅に適切となる小さな出力値を抽出でき、これによって適切な増幅率Kを算出する基礎とすることができる。
なお、上記において逆数を算出するための心拍信号H、及び体動信号Mの第1、及び第2フィルタ通過後振動信号19、20の各出力信号値Hmin、及びMminは1以下であることが望ましい。これによって各出力信号値Hmin、Mminのうちいずれか一方の小さい方の値の逆数である増幅率Kは1を越え、確実に増幅することができる。ただし、心拍信号H、及び体動信号Mの出力信号値Hmin、Mminの値が1を越え、その逆数が1を下回る時には、逆数を算出するだけではなく、さらに任意の倍率を逆数に乗じて1を越える増幅率Kを求めるようにすればよい。
第2演算部26は、算出した増幅率Kを圧電センサ10が初期に取得した振動信号10aに乗じて増幅し規格化された増幅後振動信号11aを出力する。
このように、増幅率Kは、第1、及び第2フィルタ通過後振動信号19、20の出力信号値Hmin、Mminのうちの小さい方の値の逆数をとるので、出力信号値Hmin、Mminが大きくなれば小さな値となる。また逆に出力信号値Hmin、Mminのうち小さい方の値がさらに小さくなれば増幅率Kは、大きな値となり、出力信号値Hmin、Mminと増幅率Kとは反比例の関係となる。
以上より、各圧電センサ10が取得し出力した心拍信号H、及び体動信号Mを含む振動信号10aは、各圧電センサ10のゲインに関わらず、第1、及び第2フィルタ通過後振動信号19、20の心拍信号H、および体動信号Mのうち、小さい方の出力信号値Hmin、またはMminに反比例する増幅率Kによって増幅され、規格化された増幅後振動信号11aとして出力される。
フィルタ手段としてのフィルタ12は増幅後振動信号11aを平滑化するためのものである。なお、ここでいう平滑化とは、平均化がその一例であり、微振動する増幅後振動信号11aを平均化し滑らかなデータとする処理のことである。フィルタ12は増幅後振動信号11aを平滑化するために、2つの生体情報である心拍信号H、及び体動信号Mの周波数帯域を網羅する時定数を有している。そしてフィルタ12に心拍信号H、及び体動信号Mを含む増幅後振動信号11aを通過させることにより平滑化された図1、図5(a)に示すフィルタ通過後振動信号12aが出力される。
2つの生体情報である心拍信号H、及び体動信号Mの判別のため、判別手段である判別回路13では、まず図5(a)に示すフィルタ通過後振動信号12aを図5(b)に示すグラフに変換する。つまり図5(a)のA点、B点、C点、D点等の山の高さa、b、c、d等を順次計測し、図5(b)に示すグラフに棒状に順次プロットしていく。そして前述した予め設定された心拍の閾値S1、S2を図5(b)のグラフに載せプロットした各データと閾値S1、S2とを比較し、心拍信号Hと、心拍を越える信号である体動信号Mとを判別するものである。
なお、閾値S1、S2は、事前に導出され、制御装置15の記憶部15a(図1参照)に記憶されている。閾値S1、S2は、事前に測定された多くの心拍データに基づき適切な値が設定されている。そしてフィルタ通過後振動信号12aの各出力のうち閾値S1とS2との間にあるA点、B点等の出力は心拍信号Hであるとする。また、図5(a)に示すフィルタ通過後振動信号12aにC点、D点のようなデータがあれば図5(b)のグラフにおいては閾値S1を越え体動の領域であるため、体動と判定される。そして閾値S2を下回っていれば心拍信号Hの検出なしとして処理する。
このようにお互いに近い周波数帯域を有する心拍と体動とをそれぞれ同時に取得して第1フィルタ17、及び第2フィルタ18を通過させたのちに、第1、及び第2フィルタ通過後振動信号19、20の最小値に基づいて増幅率Kを算出して増幅し、且つ1つのフィルタ12で同時に平滑化処理するので、2つの生体情報の間に時間的なズレは発生せず精度の高い生体情報の抽出ができる。
計数回路14は心拍信号Hの拍動回数、及び体動信号Mの発生回数を計数する。心拍信号Hについては、計数回路14はフィルタ通過後振動信号12aの各振幅の各頂点(ピーク)の数をカウントすることによって心拍数を計数する。そして、本実施形態においては2つの圧電センサ10の単位時間あたりでの心拍信号Hの拍動回数を比較し、心拍信号Hの検出率の高い方のデータを採用するものとする。なお、これについては圧電センサ10が2つを越える場合についても同様である。また判別回路13によって体動であると判定された場合の体動の発生回数の計数は、体動が継続した区間を一回とカウントし、積算して計数するものとする。
図1に示すように、制御装置15は、圧電センサ10と、増幅回路11(第1フィルタ17、第2フィルタ18、第1演算部25、第2演算部26)と、フィルタ12と、判別回路13と、計数回路14とにそれぞれ接続されている。そして制御装置15は、圧電センサ10、フィルタ12、及び各回路11、13、14に対して各データの授受、及び制御を行う。
次に本実施形態に係る作用について図4に示すフローチャートに基づいて説明する。まず図略の検出開始スイッチをONすることによってベッド本体5上に設置される振動検出手段としての圧電センサ10が起動される。
そしてステップS10において圧電センサ10(振動検出手段)は生体Pによって生起される振動(心拍、体動等)を検知し振動信号10aとして出力する。
ステップS11では、振動信号10aが第1フィルタ17を通過し、第1フィルタ通過後振動信号19を出力する(図3参照)。第1フィルタ17は短い時定数を有するので、前述の通り、第1フィルタ通過後振動信号19のうち心拍信号Hは略平均値となる小さい出力信号値で出力され、体動信号Mは大きな出力信号値で出力される。
ステップS12では、振動信号10aが第2フィルタ18を通過し、第2フィルタ通過後振動信号20を出力する(図3参照)。第2フィルタ18は長い時定数を有するので、前述の通り、第2フィルタ通過後振動信号20において心拍を示す部分の信号値は、第1フィルタ通過後振動信号19における心拍を示す部分の信号値より若干大きい出力信号値で出力される。そして第2フィルタ通過後振動信号20において長い周波数を有する体動を示す部分の信号値は、第1フィルタ通過後振動信号19における体動を示す部分の信号値より小さな信号値で出力される(図3参照)。なお、ステップS11、ステップS12ではフロー上、順番をつけ直列に設けたが、実際には、第1フィルタ17、及び第2フィルタ18は常時作動しており、同時に処理が行なわれている。
次にステップS13では、第1フィルタ通過後振動信号19、及び第2フィルタ通過後振動信号20からそれぞれ小さい方の出力信号値である、心拍を示す部分においては第1フィルタ通過後振動信号19の値Hminが抽出され、体動を示す部分においては第2フィルタ通過後振動信号20の値Mminが抽出される。
ステップS14では、出力信号値Hmin、Mminのうち、さらに小さい方の出力信号値Hmin、及びMminのいずれかを選択して逆数を求め、増幅率Kを算出する(ステップS13、及びステップS14にて第1演算部25を構成)。
次にステップS15(第2演算部26)では、振動信号10aに増幅率Kを乗じて、規格化された増幅後振動信号11aを出力する。
ステップS16では、増幅後振動信号11aをフィルタ12(フィルタ手段)に通し、増幅後振動信号11aの平滑化処理を行い、フィルタ通過後振動信号12aを出力する。
そして、ステップS17では、判別回路13(判別手段)にてフィルタ通過後振動信号12aに基づき加工された図5(b)に示す信号と、制御装置15の記憶部15aに記憶される閾値S1、S2とを比較し心拍信号Hと体動信号Mとの判別を行う。
ステップS18では、心拍信号Hであると判別されたフィルタ通過後振動信号12aに対してピーク値数を計数回路14(計数手段)によって計数し、制御装置15が有する記憶部15aにデータとして書き込む。また、体動信号Mであると判別されたフィルタ通過後振動信号12aに対して発生回数の計数を行う。以上によって精度の高い心拍信号Hの判別(抽出)、計数を行うことができ、各種の健康管理に利用することができる。
次に、図面を参照しながら、本発明に係る生体情報検知システムの第2の実施形態について説明する。図6に示すように、第2の実施形態の生体情報検知システム2は、車両シート7(本発明の人体支持体に相当する)の着座面上に設置され、振動を検出する2つの圧電センサ30(本発明の振動検出手段に相当する)と、圧電センサ30が出力する振動信号30aを規格化した値に増幅する増幅回路31(本発明の増幅手段に相当する)と、を有している。また生体情報検知システム2は、増幅回路31によって増幅された増幅後振動信号31aを平滑化するためのフィルタ32(本発明のフィルタ手段に相当する)と、フィルタ32によって出力されたフィルタ通過後振動信号32aと後述する所定の閾値S3、S4とを比較し呼吸信号Bと体動信号Mとを判別する判別回路33(本発明の判別手段に相当する)を有している。さらに生体情報検知システム2は、呼吸信号Bの呼吸回数、及び体動信号Mの体動回数を計数する計数回路34(本発明の計数手段に相当する)と、制御装置35とを有している。制御装置35は、圧電センサ30と、増幅回路31(第1フィルタ37、第2フィルタ38、第1演算部45、および第2演算部46によって構成される)と、フィルタ32と、判別回路33と、計数回路44とにそれぞれ接続されている。このとき増幅回路31においては、第1フィルタ37、第2フィルタ38、第1演算部45、および第2演算部46とそれぞれ個別に接続されている。そして制御装置35は、圧電センサ30、フィルタ32、及び各回路31、33、34に対して各データの授受、及び制御を行う。
なお、第2の実施形態の生体情報検知システム2は、第1の実施形態の生体情報検知システム1の人体支持体が寝具(ベッド5)から車両シート7に変更されたのみのものである。これにより異なる部分について主に説明し、同様部分については、説明を省略する。
図6に示すように車両シート7は、図示しない乗員(生体P)が着座するシートクッション71と、シートクッション71の後端部において前後方向に回動可能に取り付けられ、乗員の背もたれとなるシートバック72とを備えている。また、シートバック72の上端には、乗員の頭部を支持するヘッドレスト73が取り付けられている。
シートクッション71は、シートフレーム74、シートフレーム74の上方に配置されたパッド部材75、およびパッド部材75の表面を覆う表皮76により形成されている。シートフレーム74の下面には、左右一対のアッパレール42R、42Lが取り付けられている。アッパレール42R、42Lは、車両のフロア4上に固定された一対のロアレール41R、41L上に、それぞれ前後方向に移動可能に係合している。
圧電センサ30は、第1の実施形態の圧電センサ10と同様の構成、および作用であるので詳細な説明を省略する。圧電センサ30は、図6に示すように、車両シート7のシートクッション71の表皮76上面に配置されている。2つの圧電センサ30は、車両シート7の幅方向における中心から幅方向外側に向かって相互にそれぞれ所定量だけ離間して配置されている。このように配置されるので、車両シート7のシートクッション71上に着座する乗員(生体P)が、シートクッション71上のいずれかの幅方向に移動しても、2つの圧電センサ30のうち、いずれかの圧電センサ30によって確実に乗員(生体P)の複数の生体情報である心拍、呼吸、及び体動等による振動情報を検出する。
圧電センサ30は、生体Pの複数の生体情報(心拍、呼吸、及び体動)の各振動の変動(加速度)を同時に検出し、複数の生体情報を含む振動信号30aを出力する(図2、図6参照)。なお、圧電センサ30は2つに限らず所定の位置に2つを越える数(例えば6つ)を設けてもよいし1つだけでもよい。さらに圧電センサ30はシートクッション71の上面ではなく下面に配置したり、表皮76とシートクッション71との間に配置したりしてもよい。
増幅回路31は、第1の実施形態である生体情報検知システム1の増幅回路11に相当し増幅回路11と同様の構成と作用を有する。増幅回路31が有する第1フィルタ37、第2フィルタ38、第1演算部45、および第2演算部46は、生体情報検知システム1の第1フィルタ17、第2フィルタ18、第1演算部25、および第2演算部26にそれぞれ相当し、それぞれ同様の構成と作用を有する。このため詳細な説明は省略する。また増幅率K1は、第1の実施形態の増幅率Kに相当する。
これにより、各圧電センサ30が取得し出力した呼吸信号B、及び体動信号Mを含む振動信号30a(図2、図6参照)は、各圧電センサ30のゲインに関わらず、図3に示す第1、及び第2フィルタ通過後振動信号39、40の呼吸信号B、および体動信号Mのうち、小さい方の出力信号値Bmin、またはMminに反比例する増幅率K1(=1/Bmin、または1/Mmin)によって増幅され、規格化された増幅後振動信号31aとして出力される。
またフィルタ32は、第1の実施形態のフィルタ12に相当し、フィルタ12と同様の構成と作用を有する。判別回路33、計数回路34、および制御装置35は、第1の実施形態の判別回路13、計数回路14、および制御装置15にそれぞれ相当し、それぞれ同様の構成と作用を有する。さらに制御装置35の記憶部35aは第1の実施形態の制御装置15の記憶部15aに相当し、記憶部15aと同様の構成と作用を有する。
上記より、フィルタ32に呼吸信号B、及び体動信号Mを含む増幅後振動信号31aを通過させることにより図6、図7に示す平滑化されたフィルタ通過後振動信号32aが出力される。
そして、判別回路33において、図7(a)のE点、F点、G点、H点等の山の高さe、f、g、h等が図7(b)に示すグラフに棒状に順次プロットされ、プロットされたデータが予め設定された呼吸の閾値S3、S4と比較されて、呼吸信号Bと、呼吸を越える信号である体動信号Mとが判別される。つまりフィルタ通過後振動信号32aの各出力のうち閾値S3とS4との間にある出力は呼吸信号Bであると判別し、閾値S3を越えていれば体動信号Mであると判別する。そして閾値S4を下回っていれば呼吸信号Bの検出なしとして処理する。
なお、閾値S3、S4は、生体情報検知システム1の閾値S1、S2と同様、事前に測定された多くの呼吸データに基づき適切な値が設定され制御装置35の記憶部35aに記憶されている。
このように、お互いに近い周波数帯域を有する呼吸と体動とをそれぞれ同時に取得して第1フィルタ37、及び第2フィルタ38を通過させたのちに、第1、及び第2フィルタ通過後振動信号39、40の最小値に基づいて増幅率K1を第1演算部45で算出する。そして第2演算部46で演算して増幅し、且つ1つのフィルタ32で同時に平滑化処理するので、2つの生体情報の間に時間的なズレは発生せず精度の高い生体情報の抽出ができる。
そして最後に計数回路34によって呼吸信号Bの回数、及び体動信号Mの発生回数が計数される。このとき計数回路34は、呼吸信号Bについてフィルタ通過後振動信号32aの各振幅の各頂点(ピーク)の数をカウントすることによって呼吸数を計数する。
第2の実施形態に係る作用については第1の実施形態と同様であり、図4のフローチャートのステップS10〜ステップS18に示す通りであるので説明は省略する。以上によって精度の高い呼吸信号Bと体動信号Mとの判別(抽出)、および計数を行なうことができ、各種の生体管理に利用することができる。
なお、上記、第1および第2の実施形態においては、それぞれ収集する生体情報を心拍信号Hと体動信号M、および呼吸信号Bと体動信号Mの組み合わせとした。しかしこの組み合わせに限らず、第1の実施形態の寝具において呼吸信号Bと体動信号Mを生体情報として収集し、第2の実施形態の車両シート7において心拍信号Hと体動信号Mを生体情報として収集してもよい。そして事前に準備された固定の一種類(一対)の閾値S3、S4およびS1、S2によって呼吸信号Bと体動信号M、および心拍信号Hと体動信号Mとを判別し、心拍、呼吸及び体動の発生回数をそれぞれ計数回路によって計数すればよい。
上述の説明から明らかなように、第1、第2の実施形態に係る人体支持体である寝具、若しくは車両シートに設けられた生体情報検知システム1、若しくは2は、圧電センサ10、30によって振幅及び周波数がそれぞれ異なる2つの生体情報(心拍と体動、若しくは呼吸と体動)を含む信号を取得する。そして取得した信号は、第1フィルタ17、37、及び第1フィルタ17、37よりも時定数が長い第2フィルタ18、38にそれぞれ入力されて処理され出力される。これにより、長い周波数を有する体動の信号も適切に小さな出力値として抽出できる。そして第1および第2フィルタ17、18(または37、38)から出力された第1および第2フィルタ通過後出力信号19、20(または39、40)からは、最も小さい値(HminまたはMmin、若しくはBminまたはMmin)が選択されて逆数が算出され、増幅率K、K1が演算される。そして圧電センサ10、30の振動信号10a、30aに増幅率K、K1を乗じることによってゲイン差も考慮した2つの生体情報である心拍と体動(または呼吸と体動)がともに規格化された増幅後振動信号11a、31aが得られる。そして規格化された増幅後振動信号11a、31aに基づき心拍と体動(若しくは呼吸と体動)とがそれぞれ判別されるので、判別の基礎とする閾値S1、S2、若しくはS3、S4は事前にそれぞれ1種類(一対)のみ準備すればよく、これによって演算の負荷が軽減され低コストなシステム構成にすることができる。
またお互いに近い周波数を有する2つの生体情報である心拍と体動、(若しくは呼吸と体動)とが同時に含まれた状態で、第1フィルタ17、37、第2フィルタ18、38、及び増幅後振動信号11a、31aを平滑化するためのフィルタ手段であるフィルタ12、32をそれぞれ通過させて情報を判別する。これにより心拍信号Hと体動信号M(若しくは呼吸信号Bと体動信号M)との間に時間的なズレは発生せず情報の取りこぼしの虞がない。
また、第1、第2の実施形態によれば、圧電センサ10、30は圧電素子によって構成されるので、幅広い周波数の振動信号を得られるとともに、応答性、及び精度が高く、且つ低コストに対応可能である。また薄く形成できるので寝具上に横臥する人や車両用シート上に着座する人の下方に配置しても横臥または着座する人に異物感を与えることがない。
さらに、第1、第2の実施形態においては、振動検出手段には圧電センサ10、30だけでなく、荷重センサ、振動センサ等も使用できるので選択の幅が広がり安価に対応できる。