JP5402669B2 - ボイラ水系の水処理方法 - Google Patents
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ここで、Mアルカリ度とは、水に溶解している炭酸水素塩、炭酸塩、リン酸塩及び水酸化物などのアルカリ成分を中和して、pHを4.8にするために必要な酸の量(mg)であり、試料1リットルあたりに要する炭酸カルシウム(CaCO3)量に換算した値(mg/リットル as CaCO3)である。また、Pアルカリ度とは、水に溶解している炭酸水素塩、炭酸塩、リン酸塩及び水酸化物などのアルカリ成分を中和して、pHを8・3にするために必要な酸の量(mg)であり、試料1リットルあたりに要する炭酸カルシウム(CaCO3)量に換算した値(mg/リットル as CaCO3)である。
本発明においては、軟水を給水とするボイラ水系に、有機酸及びその塩並びに糖類及びその誘導体のうちの少なくとも1種以上の化合物を、所定量添加しているため、これらの化合物がボイラ缶内において熱分解し、酸性物質を生成する。そして、この酸性物質により、給水に含まれる重炭酸塩や炭酸塩から生じる水酸化物が中和される。
この水処理方法では、算出したPアルカリ度の値から設定したPアルカリ度の上限値を引いた値が0以下になるように、添加する化合物の量を調節してもよい。
また、この有機酸及びその塩並びに糖類及びその誘導体からなる群から選択された少なくとも1種の化合物は、給水に添加することもできる。
更に、リン酸系化合物を、前記水系に添加してもよい。
有機酸及びその塩は、ボイラ水系において熱分解して酸性物質を生成するため、ボイラ水中の水酸化物を中和する効果がある。このため、従来使用されているリン酸系清缶剤や亜硫酸塩に代えて、有機酸及び/又はその塩をボイラ水系に添加することにより、ボイラ水におけるPアルカリ度の過剰な上昇を抑制して、アルカリ腐食の発生を防止することができる。また、有機酸及びその塩が分解して生成する酸性物質は、そのほとんどがボイラ水の中和に使用されるため、この酸性物質により電気導電率の上昇は低く抑えられる。
糖類及びその誘導体も、ボイラ水系において熱分解して酸性物質を生成するため、ボイラ水中の水酸化物を中和する効果がある。このため、前述した有機酸及びその塩と同様に、ボイラ水系に添加することで、ボイラ水におけるPアルカリ度の過剰な上昇を抑制して、アルカリ腐食の発生を防止することができる。また、糖類及びその誘導体が分解して生成する酸性物質は、ほとんどがボイラ水の中和に使用されるため、電気導電率の上昇を低く抑えることができる。
本実施形態の水処理方法では、有機酸、有機酸塩、糖類及び/又は糖類誘導体と共に、リン酸系化合物を添加してもよい。これにより、電気伝導率やPアルカリ度の上昇を抑制すると共に、給水から混入した硬度成分のスケール化を防止することができる。本実施形態の水処理方法で使用されるリン酸系化合物としては、例えば、リン酸、リン酸塩類及び重合リン酸塩類などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、ボイラ缶で酸性となる性質のものであればよい。
本実施形態の水処理方法では、前述した各化合物に加えて、本発明の効果発現に支障のない範囲で、更に、スケール防止剤、分散剤、脱酸素剤、腐食抑制剤、揮発性アミンなどを添加することができる。
次に、前述した各化合物を添加する方法について説明する。図1は本実施形態の水処理方法を示すフローチャート図である。本実施形態の水処理方法においては、ボイラ水系の任意の位置で、有機酸及びその塩、糖類及びその誘導体を添加することができるが、給水中に、給水量に応じた量を添加する方法が好適であり、これにより、給水のMアルカリ度に応じて添加することが可能となる。
具体的には、図1に示すように、先ず、ボイラ水系に設けられたボイラ内の水(ボイラ水)について、例えばJIS B 8223:2006などに基づき、Pアルカリ度の上限値を設定する(ステップS1)。その際、ボイラの種類や運転状況なども考慮し、Pアルカリ度以外の水質管理基準を設定してもよい。
次に、ボイラ給水のMアルカリ度に基づいて、ボイラ水のPアルカリ度の上昇値を算出する(ステップS2)。例えば、前述した炉筒煙管ボイラの場合、Pアルカリ度の上昇値は、Mアルカリ度(95mg/リットル as CaCO3)と、重炭酸塩や炭酸塩が水酸化物に熱分解する割合を示す係数(ボイラ圧力が0.7MPaのときは0.7)との積により求められ、67mg/リットル as CaCO3となる。
その後、ステップS2で算出したPアルカリ度の上昇値とボイラのブロー率とから、ボイラ水におけるPアルカリ度を算出する(ステップS3)。例えば、前述した炉筒煙管ボイラの場合、濃縮倍数が10倍(ブロー率10%)と設定されていると、ボイラ水のPアルカリ度は670mg/リットル as CaCO3(算出値)となる。即ち、このボイラは、管理基準値(600mg/リットル as CaCO3)に対して70mg/リットル超過している状態である。
次に、ステップS3で算出したPアルカリ度と、ステップS1で設定されたPアルカリ度の上限値との差(算出値−上限値)を求め、その値に応じて添加量を調節しながら、給水中に、有機酸及びその塩並びに糖類及びその誘導体からなる群から選択された少なくとも1種の化合物を添加する(ステップS4)。例えば、ステップS1で設定されたPアルカリ度の上限値との差(算出値−上限値)を、濃縮倍数で割った値(給水のPアルカリ度超過分に相当)を求め、それを中和するための薬剤を給水ラインに添加する。
テストピースカラム6内に炭素鋼(SPCC)製のテストピースを配置し、給水中にαグルコンヘプトン酸ナトリウム(実施例1)、グルコン酸ナトリウム(実施例2)、グルコース(実施例3)又は正リン酸(比較例1)を添加したとき、及び何も添加しなかったとき(比較例2)について、テストピースの腐食速度(=腐食減量/試験時間)を求めた。
次に、有機酸、有機酸塩又は糖類とリン酸系酸性清缶剤(リン酸+NaOH)とを併用した場合(実施例4〜7)と、リン酸系清缶剤(リン酸+NaOH)のみを使用した場合(比較例3,4)、何も添加しなかった場合(比較例5)について、ボイラ水の水質を確認した。その際、試験条件は、圧力:1.5MPa、蒸発量:7.2リットル/時間、軟水給水温度:20℃、試験時間:72時間とし、ボイラ水の濃縮倍数は10倍(ブロー率10%)で一定にした。
次に、テストピースカラム6内に炭素鋼(SPCC)製のテストピースを配置し、給水中にαグルコンヘプトン酸ナトリウム(実施例9)、グルコン酸ナトリウム(実施例10)、エリソルビン酸(実施例11)、タンニン酸(実施例12)、グルコース(実施例13)又はメタ重亜硫酸カリウム(比較例6)を添加したとき、及び何も添加しなかったとき(比較例7)について、ボイラ水中の硫酸イオン(アニオン)濃度とテストピースの腐食速度との関係を調べた。
Claims (4)
- 軟水を給水とするボイラ水系の水処理方法であって、
ボイラ水におけるPアルカリ度の上限値を設定する工程と、
前記給水のMアルカリ度と、前記給水に溶解しているアルカリ成分が熱分解する割合を示す係数とから、ボイラ水におけるPアルカリ度の上昇値を算出する工程と、
算出されたボイラ水のPアルカリ度の上昇値とボイラのブロー率とから、ボイラ水のPアルカリ度を算出する工程と、
算出したボイラ水のPアルカリ度と設定したPアルカリ度の上限値との差を求め、その値に応じて添加量を調節しながら、水系に、有機酸及びその塩並びに糖類及びその誘導体からなる群から選択された少なくとも1種の化合物を添加する工程と、
を有するボイラ水系の水処理方法。 - 算出したPアルカリ度の値から設定したPアルカリ度の上限値を引いた値が0以下になるように、添加する化合物の量を調節することを特徴とする請求項1に記載のボイラ水系の水処理方法。
- 有機酸及びその塩並びに糖類及びその誘導体からなる群から選択された少なくとも1種の化合物を、前記給水に添加することを特徴とする請求項1又は2に記載のボイラ水系の水処理方法。
- 更に、リン酸系化合物を添加することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のボイラ水系の水処理方法。
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