以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、画像処理システムの例として、スキャンにより読み取った画像を、予め登録されたワークフローに従って処理することにより、文書の配信や格納を行う文書管理システムを例として説明する。
図1は、本実施の形態に係る文書管理システムの運用形態の例を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る文書管理システムは、複数の画像形成装置1a、1b、1c、クライアント端末2及びファイルサーバ3がネットワークを介して互いに接続されており、更に電話回線、インターネット等の公衆回線4に接続されている。
画像形成装置1a〜1c(以降、総じて画像形成装置1とする)は、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能な複合機である。また、画像形成装置1は、予め登録されたワークフローを実行するワークフローサーバとしても機能する。即ち、画像形成装置1は、ユーザによって構築されたワークフローに従って文書の蓄積若しくは配信処理を実行する機能を有する。尚、画像形成装置1は、入力された画像を処理するという点において、画像処理装置ということもできる。
クライアント端末2は、ユーザが操作する情報処理端末であり、PC(Personal Computer)等の情報処理装置によって実現される。ファイルサーバ3は、上述したワークフローの実行の結果、文書情報が蓄積されるデータサーバである。ファイルサーバ3が記憶している文書情報とは、例えば拡張子“jpg”や“pdf”等の画像情報、拡張子“txt”や“doc”等の文字情報によって構成される情報である。
画像形成装置1、クライアント端末2及びファイルサーバ3は、ネットワークを介して接続されている。このような構成により、本実施形態に係る文書管理システムは、入力された画像情報をワークフローに従って処理する画像処理システムとして機能する。
尚、図1に示す運用形態の他、画像形成装置1に含まれる機能のうち、上述したワークフローサーバとしての機能を画像形成装置1とは別に設けた装置に実行させることもできる。このような態様は、例えば大規模なオフィス等、ユーザ数が多いために、ワークフローサーバの処理負荷が高くなる場合において、有効である。また、画像形成装置1とワークフローサーバとを夫々異なる装置として設ける場合、ワークフローサーバの機能は、更に複数の装置に分割して実行させることができる。例えば、ワークフローサーバの機能のうち、ワークフローを管理する機能をクライアント端末2にインストールされた管理ツールによって構成することも可能である。また、画像形成装置1とファイルサーバ3とを一体の装置として構成しても良い。
次に、本実施形態に係る画像形成装置1、クライアント端末2及びファイルサーバ3のハードウェア構成について説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。尚、画像形成装置1は、図2に示すハードウェア構成に加えて、スキャナ、プリンタ等を実現するためのエンジンを備える。以下の説明においては、画像形成装置1のハードウェア構成を例として説明するが、クライアント端末2及びファイルサーバ3についても同様である。
図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、一般的なサーバやPC等と同様の構成を有する。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40及びI/F50がバス80を介して接続されている。また、I/F50にはLCD(Liquid Crystal Display)60及び操作部70が接続されている。
CPU10は演算手段であり、情報処理端末全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納される。
I/F50は、バス80と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD60は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部70は、キーボードやマウス等、ユーザが画像形成装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。尚、図1において説明したように、本実施形態に係るファイルサーバ3は、サーバとして運用される。従って、LCD60及び操作部70等のユーザインタフェースは省略可能である。
このようなハードウェア構成において、ROM30やHDD40若しくは図示しない光学ディスク等の記憶媒体に格納されたプログラムがRAM20に読み出され、CPU10の制御に従って動作することにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像形成装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
次に、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成について、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、コントローラ100、ADF(Auto Documennt Feeder:原稿自動搬送装置)101、スキャナユニット102、排紙トレイ103、ICカードスロット104、ディスプレイパネル105、給紙テーブル106、プリントエンジン107、排紙トレイ108、ネットワークI/F109及びFAXモデム110を有する。
また、コントローラ100は、主制御部111、エンジン制御部112、画像処理部113、カード制御部114、操作表示制御部115、入出力制御部116、フロー制御部117を含む。図3に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、スキャナユニット102、プリントエンジン107を有する複合機として構成されている。尚、図3においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙若しくは文書束の流れを破線の矢印で示している。
ICカードスロット104は、本実施形態に係る文書管理システムを利用するユーザの認証情報が格納された可搬型記憶媒体であるICカードの情報を読み出し、若しくはICカードに情報を書き込むためのインタフェースである。即ち、ICカードスロット104は、情報読み取り部及び情報書込み部として機能する。本実施形態においては、ICカードとして接触式の可搬型記憶媒体を用いるため、その可搬型記憶媒体との間で情報をやり取りするインタフェースはスロットとして説明する。他方、非接触式の可搬型記憶媒体を用いる場合、そのインタフェースは非接触式のリーダ/ライタである。
ディスプレイパネル105は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作し、若しくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェース(操作部)でもある。ディスプレイパネル105は、図2に示すLCD60及び操作部70によって実現される。
ネットワークI/F109は、画像形成装置1がネットワークを介してクライアント端末2やファイルサーバ3等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが用いられる。ネットワークI/F109は、図2に示すI/F50によって実現される。FAXモデム110は、画像形成装置1がネットワークを介してFAX送受信を行うためのインタフェースである。
コントローラ100は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM30や不揮発性メモリ並びにHDD40や光学ディスク等の不揮発性記憶媒体に格納されたプログラムが、RAM20等の揮発性メモリ(以下、メモリ)にロードされ、CPU10の制御に従って動作することにより構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ100が構成される。コントローラ100は、画像形成装置1全体を制御する制御部として機能する。主制御部111は、コントローラ100に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ100の各部に命令を与える。エンジン制御部112は、プリントエンジン107やスキャナユニット102等を制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担う。
画像処理部113は、主制御部111の制御に従い、印刷出力すべき画像情報に基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、画像形成部であるプリントエンジン107が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。また、画像処理部113は、スキャナユニット102から入力される撮像データを処理し、画像データを生成する。この画像データとは、スキャナ動作の結果物として画像形成装置1の記憶領域に格納され若しくはネットワークI/F109を介してファイルサーバ3に送信される情報である。更に、画像処理部113は、画像処理装置1が実行可能なワークフローに含まれる各種の画像処理機能を有する。
カード制御部114は、ICカードスロット104に装着されたICカードに含まれる記憶媒体に情報を書込み、若しくは記憶媒体から情報を読み出す。カード制御部114の情報伝送形式としては、USBやSATA(Serial Advanced Technology Attachment)等が用いられる。操作表示制御部115は、ディスプレイパネル105に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル105を介して入力された情報を主制御部111に通知する。
入出力制御部116は、ネットワークI/F109を介して入力される情報やFAXモデム110によって受信された情報を主制御部111に入力する。また、主制御部111は、入出力制御部116を制御し、ネットワークI/F109及びネットワークを介してクライアント端末2やファイルサーバ3若しくは公衆回線4に接続された他の機器にアクセスする。更に、主制御部111は、入出力制御部116を制御し、FAXモデム110を介してFAX送信を行う。
フロー制御部117は、ワークフローの実行やワークフローの設計及び既に登録されているワークフローの設定変更等の機能を担う。フロー制御部117の機能構成について、図4に示す。図4に示すように、フロー制御部117は、情報取得部171、認証処理部172、フロー実行処理部173、ログ情報処理部174、表示情報生成部175及び情報記憶部176を含む。情報取得部171は、ユーザによるワークフローの実行指示等の操作情報、スキャンの結果生成された画像情報、実行すべきワークフローの情報及びICカードに記憶されている情報等、ワークフローの処理に関する様々な情報を取得する。
認証処理部172は、ICカードスロットに装着されたICカードから読み出された認証情報に基づき、情報記憶部176に記憶されているユーザ情報を参照してユーザ認証を行う。即ち、認証処理部172が、認証制御部として機能する。認証処理部172は、認証処理によって認証されたユーザの認証情報を保持する。認証処理部172により、文書管理システムを権限あるユーザにのみ利用させることができる。
フロー実行処理部173は、情報取得部171が取得した情報に基づき、ワークフローのジョブの実行を処理する。例えば、情報取得部171が取得したワークフローの情報にスキャン処理が含まれていれば、フロー実行処理部173は、エンジン制御部112がスキャナユニット102を制御してスキャンを実行するように、主制御部111に命令を通知する。また、画像変換処理や、OCR処理が含まれていれば、フロー実行処理部173は、画像処理部114が画像変換若しくはOCRを実行するように、主制御部111に命令を通知する。また、文書の配信処理が含まれていれば、フロー実行処理部173は、入出力制御部116が文書の配信処理を実行するように、主制御部111に命令を通知する。
ログ情報処理部174は、本実施形態に係るフロー制御部117において、ジョブのログ情報であるジョブログに関する各種の処理を行う構成であり、本実施形態に係る要旨の1つである。ログ情報処理部174は、上記フロー実行処理部173によるジョブの実行に応じて、情報記憶部176にジョブログ情報を記憶する。また、ログ情報処理部174は、ICカードスロット104に装着されたICカードとの間で、ジョブログを識別するログ識別情報のやり取り等を行う。ログ情報処理部174の機能については、後に詳述する。表示情報生成部175は、ログ情報処理部174による処理の結果、情報記憶部176から検索されて取得されたジョブログ情報を表示するための表示情報を生成し、出力する。
情報記憶部176は、図4に示すように、ユーザ情報、ジョブログ情報、フロー情報及び設定情報が格納されている記憶領域である。以下、夫々の情報について、図を参照して説明する。図5は、ユーザ情報の内容を示す図である。ユーザ情報は、認証処理部172が、ログイン要求に応じてユーザを認証するために参照する情報であり、図5に示すように、ユーザ情報は、本実施形態に係る文書管理システムの利用者として登録されているユーザを識別するユーザID及びそのユーザを認証するためのパスワードを含む。
図6は、ジョブログ情報の内容の例を示す図である。ジョブログ情報は、フロー実行処理部173によるジョブの実行に応じて、ログ情報処理部174が格納する情報であり、“ジョブID”、“マシンID”、“ジョブ種別”、“ジョブ状態”、“ジョブ開始時刻”、“ジョブ終了時刻”、“ジョブ実行時エラー情報”、“ソース”、“ターゲット”、“処理枚数”、“From”、“To”等の情報を含む。即ち、情報記憶部176が、ジョブログ記憶部として機能する。
“ジョブID”は、ジョブを識別するための識別情報である。本実施形態に係る文書管理システムにおいては、“ジョブID”として続き番号が割り振られる。“ジョブID”の番号は、画像形成装置1a〜1c夫々において独自に割り振られるため、異なる装置において同一の番号が割り振られる場合もあり得る。即ち、“ジョブID”は、夫々の画像形成装置1において実行が要求されたジョブを識別するジョブ識別記号である。
“マシンID”は、画像形成装置1a〜1cのうち、そのジョブを実行した装置を識別するための装置識別記号である。上述したように、“ジョブID”は、異なる装置で実行された異なるジョブについて、同一の番号が割り振られる場合があるが、“ジョブID”と同時に“マシンID”を保持することにより、どの装置で実行されたどのジョブであるかを識別することが可能となる。即ち、本実施形態においては、“ジョブID”及び“マシンID”の組がジョブ識別情報として用いられる。
“ジョブ種別”は、そのジョブの種類を示す情報であり、図6に示すような“FAXメモリ送信”の他、“FAX親展送信”、“FAX時刻指定送信”、“スキャン配信”等、画像形成装置1が実行可能な様々な機能のうち、そのジョブにおいて実行された機能を特定する情報である。“ジョブ状態”は、そのジョブの進捗状況を示す情報である。画像形成装置1がジョブとして実行可能な機能の中には、ユーザがジョブコマンドを入力した後、所定期間経過後に実行されるものがある。また、画像形成装置1においてジョブのキューが溜まっている場合には、ユーザによって実行が指示されたジョブがすぐには実行されず、所定期間経過後に実行される場合もあり得る。そのような場合において、ユーザは、この“ジョブ状態”を参照することによりジョブの進捗状況を確認することができる。
“ジョブ開始時時刻”、“ジョブ終了時刻”は、夫々そのジョブの実行を開始した時刻及びそのジョブの実行を完了した時刻の情報である。“ジョブ実行時エラー情報”は、そのジョブを実行する過程においてエラーが発生した場合に、そのエラーについての情報が示される。“ソース”は、そのジョブにおいて処理される画像がどこから取得されたものであるかを示す情報であり、図6に示すような“スキャナ”の場合、スキャンによって取りこまれた画像であることを示す。“ソース”としては、図6に示す“スキャナ”の他、“HDD”、“FAXモデム”、“ネットワーク”等があり得る。
“ターゲット”は、そのジョブによって処理される画像の出力先の種類を示す情報であり、図6に示す“FAX回線(G3)”の他、“ネットワーク”、“HDD”、“プリントエンジン”等があり得る。“処理枚数”は、そのジョブによって処理された画像のページ数を示す情報である。ここで、“処理枚数”とは、必ずしも紙の原稿若しくは紙出力である場合に限らず、予め格納されていた文書の情報等、電子文書のページ数も含まれる。
“From”は、そのジョブにおける送信者を示す情報である。例えば、FAXを送信するジョブであれば、ジョブコマンドを入力したユーザのIDが“From”の情報となる。また、FAXを受信するジョブであれば、他の装置においてジョブコマンドを入力してFAXを送信したユーザのIDが“From”の情報となる。
“To”は、そのジョブにおける送信の宛先、即ち受信者を示す情報である。例えば、FAXを送信するジョブであれば、宛先として指定された電話番号や、その電話番号に関連付けられたユーザIDが“To”の情報となる。また、スキャンした画像を格納するジョブであれば、格納先の装置及びその装置のフォルダ等、格納先の記憶領域を示す情報が“To”となる。
図7は、フロー情報の内容を示す図である。図7に示すように、フロー情報は、ワークフローを識別するためのID、ワークフローの名称及びワークフローに含まれる処理の内容の情報を含む。例えば、ID“001”のワークフローであれば、名称は“projectA”であり、“処理a”、“処理b”、“処理c”・・・といった処理が含まれる。図7に示す“処理a”、“処理b”、“処理c”・・・等の各処理は、画像形成装置1の画像処理部114や、入出力制御部113若しくはエンジン制御部112によって実行される処理である。
図7に示す “処理a”、“処理b”、“処理c”等の各処理を実行する機能は、画像形成装置1においてプラグインとして構成されている。即ち、上記各処理のプラグインを構成するプログラムが画像形成装置1にインストールされることにより、図7に示す各処理が画像形成装置1において実行可能となる。尚、画像形成装置1において、図7に示す各処理の機能を担うのは、図3に示すコントローラ100に含まれる各制御部である。例えば、スキャンの機能を実現するプラグインは、エンジン制御部112である。また、画像の変換やOCR等の機能を実現するプラグインは、画像処理部113である。また、文書情報の配信や蓄積、FAXの送受信の機能を実現するプラグインは、入出力制御部116である。尚、ワークフロー登録情報としては、図7に示す情報の他、夫々の処理についての設定値の情報等も含まれる。更には、フロー制御部117に含まれる各機能も、プラグインとして提供される。
図8は、設定情報の内容を示す図である。設定情報は、画像形成装置1の各動作についての設定を示す情報であり、図8に示すように、“情報保存タイミング設定”、“ジョブ識別情報設定”、“重点管理対象ジョブ設定”、“オーバーフロー設定”、“進捗管理タイミング設定”等が含まれる。フロー制御部117に含まれる各部は、図8に示すような設定情報に従って動作する。
“情報保存タイミング設定”は、ログ情報処理部174が、カード制御部114を介してICカードスロット104に装着されたICカードに情報を保存させるタイミングを設定する情報である。本実施形態においては、図8に示すように、“設定1”、“設定2”、“設定3”の3種類の設定があり、いずれかが選択される。“ジョブ識別情報設定”は、ジョブを識別するための情報としてICカードに保存する情報を設定する情報である。本実施形態においては、上述したように、ジョブID及びマシンIDの組が、ジョブ識別情報として用いられる。
“重点管理対象ジョブ設定”は、進捗状況を管理するために、ジョブ識別情報をICカードに保存するジョブの種類を設定する情報である。即ち、“重点管理対象ジョブ設定”は、ログ情報を管理する対象のジョブの種類を示す管理対象ジョブ識別情報として用いられる。“重点管理対象ジョブ設定”としては、図8に示す“FAXメモリ送信”、“FAX親展送信”、“プリンタ機密印刷”の他、画像形成装置1において実行可能な様々なジョブが設定可能である。尚、重点管理対象としては、ユーザがジョブコマンドを入力した後、ジョブが完了するまでに所定の期間が経過するジョブを設定することにより、実行を指示したジョブの進捗状況を後から確認できるため、特に効果的である。
“オーバーフロー設定”は、ICカードの記憶容量が足りなくなった場合の処理を設定する情報である。“オーバーフロー設定”の内容としては、図8に示すように、ユーザが項目を指定して削除する“選択削除”、古いジョブを上書きする“古いものから上書き”、夫々のジョブに設定されている優先度を参照し、優先度が低いジョブを上書きする“優先度順に上書き”、ジョブ識別情報として含まれるマシンIDを参照し、異なる装置のジョブを削除する“別マシンのジョブを削除”等がある。
“進捗管理タイミング設定”は、フロー制御部117が、ICカードに保存されているジョブ識別情報に基づいて情報記憶部176に保存されているジョブログ情報を読み出し、ジョブの進捗状況を管理するタイミングを設定する情報である。図8に示すように、進捗状況の管理タイミングとしては、“ログイン時”、“関連アプリ使用時”、“ログアウト時”等が設定可能である。
画像形成装置1がプリンタとして動作する場合は、まず、入出力制御部116がネットワークI/F109を介して印刷ジョブを受信する。入出力制御部116は、受信した印刷ジョブを主制御部111に転送する。主制御部111は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部113を制御して印刷ジョブに含まれる文書情報若しくは画像情報に基づいて描画情報を生成する。
画像処理部113によって描画情報が生成されると、エンジン制御部112は、プリントエンジン107を制御し、上記生成された描画情報に基づき、給紙テーブル106から搬送される用紙に対して画像形成を実行させる。プリントエンジン106の具体的態様としては、インクジェット方式による画像形成機構や電子写真方式による画像形成機構等を用いることが可能である。プリントエンジン107によって画像形成が施された文書は排紙トレイ108に排紙される。
画像形成装置1がスキャナとして動作する場合は、ユーザによるディスプレイパネル105の操作若しくはネットワークI/F109を介して外部のクライアント端末2等から入力されるスキャン実行指示に応じて、操作表示制御部115若しくは入出力制御部116が主制御部111にスキャン実行信号を転送する。主制御部111は、受信したスキャン実行信号に基づき、エンジン制御部112を制御する。
エンジン制御部112は、ADF101を駆動し、ADF101にセットされた撮像対象原稿をスキャナユニット102に搬送する。また、エンジン制御部112は、スキャナユニット102を駆動し、ADF101から搬送される原稿を撮像する。また、ADF101に原稿がセットされておらず、スキャナユニット102に直接原稿がセットされた場合、スキャナユニット102は、エンジン制御部112の制御に従い、セットされた原稿を撮像する。即ち、スキャナユニット102が撮像部として動作する。
撮像動作においては、スキャナユニット102に含まれるCCD等の撮像素子が原稿を光学的に走査し、光学情報に基づいて生成された撮像情報が生成される。エンジン制御部112は、スキャナユニット102が生成した撮像情報を画像処理部113に転送する。画像処理部113は、主制御部111の制御に従い、エンジン制御部112から受信した撮像情報に基づき画像情報を生成する。画像処理部113が生成した画像情報はHDD40等の画像形成装置1に装着された記憶媒体に保存される。即ち、スキャナユニット102、エンジン制御部112及び画像処理部113が連動して、原稿読み取り部として機能する。
画像処理部113によって生成された画像情報は、ユーザの指示に応じてそのままHDD40等に格納され若しくは入出力制御部116及びネットワークI/F109を介してファイルサーバ3等の外部の装置に送信される。即ち、ADF101及びエンジン制御部112が画像入力部として機能する。
また、画像形成装置1が複写機として動作する場合は、エンジン制御部112がスキャナユニット102から受信した撮像情報若しくは画像処理部113が生成した画像情報に基づき、画像処理部113が描画情報を生成する。その描画情報に基づいてプリンタ動作の場合と同様に、エンジン制御部112がプリントエンジン107を駆動する。尚、描画情報と撮像情報との情報形式が同一である場合は、撮像情報をそのまま描画情報として用いることも可能である。
また、画像形成装置1がファクシミリとして動作する場合は、まず、スキャナ動作の場合と同様に画像処理部113によって画像情報が生成される。そして、主制御部111が、入出力制御部116を制御し、上記生成された画像情報をFAXモデム110を介して入力された送信先に送信する。
また、画像形成装置1が、予め構築されているワークフローを実行する場合は、まず、ユーザがディスプレイパネル105を操作してワークフローの実行指示を入力する。主制御部111は、操作表示制御部115を介してワークフローの実行指示を取得し、取得した情報をフロー制御部117に通知する。このワークフローの実行指示には、実行すべきワークフローを識別する情報が含まれる。このワークフローを識別する情報とは、図7において説明したフロー情報のIDに相当する。ワークフローの実行指示を取得したフロー制御部117においては、フロー実行処理部173が情報記憶部176のフロー情報から、指定されたワークフローの情報を取得し、設定されている処理に従ってワークフローを実行する。ワークフローの実行においては、上述したように、コントローラ100に含まれる各部が、ワークフローに含まれる各処理を実行する。
このような文書管理システムにおいて、本実施形態に係る要旨は、画像形成装置1がジョブを実行した場合に情報記憶部176に保存されるジョブログを用いたジョブの進捗状況の確認にある。そして、本実施形態に係る文書管理システムにおいては、ICカードに所定の情報を格納することにより、ジョブログの検索を容易化し、進捗状況の確認の利便性を向上することが要旨の1つである。まず、ICカードに記憶される情報について、図9を参照して説明する。
図9に示すように、本実施形態に係るICカードには、“ユーザID”、“パスワード”、“重点管理対象設定情報”、“ジョブ識別情報”及び“ジョブ進捗情報”が格納されている。“ユーザID”及び“パスワード”は、夫々のICカードを利用しているユーザを識別し、認証するための認証情報であり、図5において説明した“ユーザID”及び“パスワード”に相当する。尚、“ユーザID”としては、夫々のICカードに設定されているカードのシリアルID、即ち、可搬型記憶媒体を識別する識別記号を用いることができる。
“重点管理対象設定情報”は、図8において説明した同名の情報と同一の情報であり、進捗状況を管理するために、ジョブ識別情報をICカードに保存するジョブの種類を設定する情報である。図8において説明したように、情報記憶部176に格納されている“重点管理対象設定情報”を用いる場合、全てのユーザに対して同一の設定が適用されることになるが、進捗状況を管理したいジョブの種類は、ユーザによって異なることもあり得る。これに対して、各ユーザのICカードに“重点管理対象設定情報”を保存しておくことにより、ユーザ毎に異なる設定を適用することが可能となる。
“ジョブ識別情報”は、上述したように、フロー実行処理部173によるジョブの実行に応じて、ログ情報処理部174によって格納される情報であり、本実施形態においては、ジョブを実行した装置のマシンID及びそのマシンIDにおけるジョブIDの組が用いられる。尚、この“ジョブ識別情報”として用いられる情報は、図8において説明したジョブ識別情報設定に応じて選択される。
“ジョブ進捗情報”は、上述した“ジョブ識別情報”によって識別されるジョブの進捗状況を示す情報である。ICカードに進捗状況を示す情報が格納されていれば、ユーザは、その情報を参照することにより、未だ完了を確認していないジョブを容易に認識することが可能となる。
尚、本実施形態においてICカードとして説明されている構成は、上述したように、ユーザを識別するための識別情報が記憶され、画像形成装置1との間で情報のやり取りが可能な可搬型の記憶媒体である。即ち、“ICカード”として呼称されるものに限らず、ユーザ識別情報の記憶された可搬型の記憶媒体であれば、本実施形態におけるICカードとして用いることが可能である。
次に、本実施形態に係る文書管理システムにおいて、画像形成装置1がジョブを実行し、ジョブログ情報及びジョブ識別情報が格納される場合の動作について説明する。図10は、本実施形態に係る文書管理システムにおいて、画像形成装置1がワークフローを実行する場合の動作を示すフローチャートである。図10に示すように、まずは、ユーザがICカードをICカードスロット104に装着し、ログイン処理が実行される(S1001)。ログイン処理が完了すると、次に、ユーザがディスプレイパネル105を介してワークフローの実行指示、即ちジョブコマンドを入力し、画像衛生装置1がジョブコマンドを取得する(S1002)。
画像形成装置1がジョブコマンドを取得すると、上述したように、フロー制御部117においてフロー実行処理部173が情報記憶部176からフロー情報を取得し(S1003)、取得したフロー情報に記述されている処理に従ってジョブを実行する(S1004)。S1004において、フロー実行処理部173は、新たに入力されたジョブコマンドに基づくジョブの情報をキューとして保持する。そして、コマンドを取得した順番や割り込み制御に従ってキューを処理することによりジョブを実行する。即ち、フロー実行処理部173は、ジョブコマンドに基づいてキューを生成するジョブ実行要求部及びジョブ実行部として機能する。
フロー実行処理部173によるジョブの実行要求、即ち、キューの生成に応じて、ログ情報処理部174が情報記憶部176にジョブログ情報を記憶させる(S1005)。即ち、ログ情報処理部174が、ジョブログ記憶処理部として機能する。更に、ログ情報処理部174は、S1004において実行されたジョブが、重点管理対象であるか否かを判断し、その判断結果に従ってジョブ識別情報をICカードに記憶させる(S1006)。即ち、ログ情報処理部174が、ジョブ識別情報記憶処理部として機能する。その後、ユーザの操作に応じてログアウト処理が実行され(S1007)、処理を終了する。このような処理の流れにより、ジョブログ情報及びジョブ識別情報の格納動作が完了する。
次に、図10に含まれる各処理の詳細について説明する。まず、S1001のログイン処理の詳細について、図11を参照して説明する。図11は、本実施形態に係るログイン処理の詳細を示すフローチャートである。図11に示すように、まず、情報取得部171が、ICカードスロット104に装着されたICカードから、認証情報を取得する(S1101)。この認証情報とは、図9において説明した“ユーザID”及び“パスワード”である。
情報取得部171が認証情報を取得すると、認証処理部172は、取得された認証情報に基づいて情報記憶部176に記憶されているユーザ情報を検索し、ユーザIDが存在するか否か、及びパスワードが一致するか否かを確認してログインの成否を判断する(S1102)。ユーザIDが存在せず、若しくはパスワードが不一致であることにより、ログイン失敗である場合(S1102/NO)、エラー処理が実行され(S1104)、処理を終了する。この場合、ユーザは画像形成装置1の使用権限を有さないため、図10のS1002以降の処理は実行されない。
ログインに成功した場合(S1102/YES)、認証処理部172は、ログインに成功したユーザのログイン情報を保存する(S1103)。これにより、装置にログインしているユーザの情報が保存される。ログイン情報が保存されてログインが完了すると、ログ情報処理部174は、設定情報のうち情報保存タイミング設定を参照し、ICカードへの情報の保存タイミングであるか否かを判断する(S1105)。S1105の処理の意義について、以下に説明する。
上述したように、本実施形態に係るICカードに保存されるジョブ識別情報は、マシンID及びジョブIDである。この2つの情報の内、マシンIDについては、ユーザが装置にログインした段階で既に判明している情報である。従って、ユーザが装置にログインした段階で先にマシンIDをICカードに記憶させておけば、ジョブ実行時にICカードに記憶させる情報量を低減することができ、処理を分散してユーザの操作に対する装置のレスポンスを向上することができる。従って、S1105においては、情報保存タイミング設定に基づき、マシンIDをICカードに保存するか否かを判断する。
ここで、本実施形態に係る情報保存タイミング設定の詳細について、図12を参照して説明する。図12は、本実施形態に係る情報保存タイミング設定の“設定1”、“設定2”、“設定3”の夫々の内容の詳細を示す図である。図12に示すように、“設定1”の場合、ジョブ実行時に、マシンID、ジョブID及びジョブの進捗状況をすべて格納する。
“設定2”の場合、ジョブ実行にマシンID及びジョブIDを格納し、ログアウト時にジョブの進捗状況を格納する。“設定3”の場合、ログイン時にマシンIDを格納し、ジョブ実行時にジョブIDを格納し、ログアウト時に進捗状況を格納する。即ち、S1105においては、情報保存タイミング設定が“設定3”であるか否かを判断することになる。
マシンIDの保存タイミングでなければ(S1105/NO)、そのまま処理を終了する。他方、マシンIDの保存タイミングであれば(S1105/YES)、ログ情報処理部174は、マシンID及びICカードへの情報保存通知を主制御部111に出力し、カード制御部114を介してICカードにマシンIDを保存させ(S1106)、処理を終了する。このような処理により、S1001におけるログイン処理が完了する。
次に、S1006の重点管理対象判断&ジョブ識別情報保存処理について、図13を参照して説明する。図13は、重点管理対象判断&ジョブ識別情報保存処理の詳細を示すフローチャートである。S1005においてジョブログの保存処理が完了すると、ログ情報処理部174は、主制御部111に通知し、ICカードに保存されている情報を参照させる(S1301)。
S1301においてICカードに保存されている情報を参照した結果、図9において説明した“重点管理対象ジョブ設定情報”があれば(S1302/YES)、ログ情報処理部174は、主制御部111に通知し、ICカードから“重点管理対象ジョブ設定情報”を読み出させる(S1303)。他方、ICカードに情報が格納されていない場合、ログ情報処理部174は、情報記憶部176から“重点管理対象ジョブ設定情報”を読み出す(S1304)。
ICカード若しくは情報記憶部176のいずれかに記憶されている設定情報を取得すると、ログ情報処理部174は、S1004において実行されたジョブが、重点管理対象か否かを判断する(S1305)。S1305の判断の結果、S1004において実行されたジョブが、重点管理対象ではない場合(S1305/NO)、そのまま処理を終了する。
他方、S1004において実行されたジョブが、重点管理対象である場合(S1305/YES)、次にログ情報処理部174は、情報記憶部176に記憶されている設定情報のうち、情報保存タイミング設定を参照し、“設定1”か否かを判断する(S1306)。情報保存タイミング設定が“設定1”であった場合(S1306/YES)、ログ情報処理部174は、主制御部111に情報を通知し、カード制御部114を介してICカードにマシンID、ジョブID及び進捗情報を保存させ(S1308)、処理を終了する。即ち、ログ情報処理部174が、進捗状況記憶処理部としても機能する。
情報保存タイミング設定が“設定1”ではなく(S1306/NO)、“設定2”であった場合(S1307/YES)、ログ情報処理部174は、主制御部111に情報を通知し、カード制御部114を介してICカードにマシンID及びジョブIDを保存させ(S1309)、処理を終了する。更に、情報保存タイミング設定が“設定2”ではなかった場合(S1307/NO)、“設定3”である。この場合、ログ情報処理部174は、主制御部111に情報を通知し、カード制御部114を介してICカードにジョブIDを保存させ(S1310)、処理を終了する。このような処理により、S1006における処理が完了する。
次に、S1007のログアウト処理について、図14を参照して説明する。図14は、重点管理対象判断&ジョブ識別情報保存処理の詳細を示すフローチャートである。S1006の処理が完了し、ユーザによってログアウト要求が入力されると、情報取得部171がログアウト要求を取得する(S1401)。すると、ログ情報処理部174は、主制御部111に通知し、カード制御部114がICカードに対して情報を記憶させている最中か否か判断させる(S1402)。記憶させている最中であれば、ログ情報処理部174は、記憶処理が完了するまで待機する(S1403)。
他方、待機により記憶処理が完了した後、若しくは、ICカードに情報を記憶させている最中ではない場合(S1402/NO)、次に、ログ情報処理部174は、情報保存タイミング設定を参照し、“設定2”若しくは“設定3”であるか否かを判断する(S1404)。S1404の処理は、換言すると、ログアウト時に進捗状況を保存する設定であるか否かを判断する処理である。S1404において“設定2”若しくは“設定3”であった場合(S1404/YES)、ログ情報処理部174は、主制御部111に情報を通知し、ICカードに進捗情報を保存させる(S1405)。
S1405の処理が完了した後、若しくは、S1404において“設定1”であった場合(S1404/NO)、認証処理部172は、ログアウト処理を実行する(S1406)。S1406の処理により、認証処理部172が保存しているログイン情報が破棄される。S1406によりログアウト処理が完了すると(S1407/YES)、ログ情報処理部174はそのまま処理を終了する。他方、ログアウト処理に失敗した場合(S1407/NO)、エラー処理が実行された後に(S1408)、処理を終了する。このような処理により、本実施形態に係るログアウト処理が完了する。
これまでの説明により、ICカードにジョブ識別情報及び進捗情報が格納された。これにより、ユーザは、図10のS1007において装置からログアウトした後も、ICカードに格納されている情報を参照することにより、完了したことを確認していないジョブを容易に認識することが可能となる。また、ICカード自体に、液晶表示部等の表示手段が設けられていれば、記憶されたジョブ識別情報及び進捗情報を表示することが可能であり、ユーザは、更に容易に未だ完了を確認していないジョブを認識することが可能となる。
尚、本実施形態においては、ジョブ識別情報としてマシンID及びジョブIDを格納するが、上述したように、ICカード自体に設けられた表示手段よってジョブを確認する場合、マシンID及びジョブIDのみでは、何のジョブなのかをユーザが判断することが困難である。これに対して、ジョブ識別情報として、更に“ジョブ種別”や、“To”の情報、若しくはアプリケーション名や文書名、画像名等を記憶させておけば、ユーザにとって認識しやすい情報を表示させることが可能となる。
また、本実施形態においては、ICカードに設けられた記憶媒体に電子情報としてジョブ識別情報及び進捗情報を記憶するが、ICカードの表面が繰り返し印刷可能な面である場合、上記ジョブ識別情報及び進捗情報をICカードの表面に印刷するようにしても良い。このような態様は、ICカードスロット104及びカード制御部114に、上記印刷機能を付加することにより実現可能である。これによっても、ユーザは未だ完了を確認していないジョブを容易に認識することが可能となる。
また、図11のS1106、図13のS1308、S1309、S1310、図14のS1405において、ICカードに情報を記憶させる際、ICカードに設けられた記憶領域の容量が不足する場合があり得る。このような場合、ログ情報処理部174は、図8において説明したオーバーフロー設定を情報記憶部176から読み出し、設定に従って処理をする。また、図14に示したログアウト処理において、完了しているジョブのジョブ識別情報及びジョブ進捗情報は削除するようにしても良い。これにより、ICカードの記憶領域を有効に活用し、オーバーフローが発生することを防ぐことができる。
次に、本実施形態に係る要旨として、ジョブ識別情報が格納されたICカードを用いて画像形成装置1にログインした場合に、情報記憶部176からジョブログ情報を読み出す処理について説明する。図8において説明したように、本実施形態に係る文書管理システムにおいては、“進捗管理タイミング設定”が設けられており、“ログイン時”、“関連アプリ使用時”、“ログアウト時”等、夫々の設定に応じたタイミングにて、ジョブログ情報が読み出され、進捗状況が管理される。即ち、図10のS1001、S1004、S1007において、本実施形態に係る進捗状況の管理動作が実行される。以下、本実施形態に係る進捗状況の管理動作について、図を参照して説明する。
図15は、本実施形態に係る進捗状況の管理動作(以降、進捗管理動作とする)を示すフローチャートである。図15に示すように、本実施形態に係る進捗管理動作においては、まず、ログ情報処理部174が、進捗管理タイミングであるか否かを判断する(S1501)。S1501の処理において、ログ情報処理部174は、情報記憶部176に記憶されている設定情報のうち進捗管理タイミング設定を読み出し、その設定内容を参照することにより判断する。例えば、S1001における進捗管理動作の場合、進捗管理タイミング設定において“ログイン時”がオンになっているか否かを判断する。
S1501の判断の結果、進捗管理タイミングでなければ(S1501/NO)、ログ情報処理部174は、そのまま処理を終了する。他方、進捗管理タイミングであった場合(S1501/YES)、ログ情報処理部174は、情報取得部171に、ICカードに記憶されているジョブ識別情報を取得させる(S1502)。ジョブ識別情報が取得されると、ログ情報処理部174は、取得されたマシンID及びジョブIDをキーとして、ジョブログ情報を検索する(S1503)。即ち、ログ情報処理部174が、ジョブログ情報取得部として機能する。
S1503の処理が、本実施形態に係る要旨の1つであり、検索が容易であることが効果である。例えば、他の情報を検索キーとしてジョブログ情報を検索する場合、ICカードのユーザIDに基づいてジョブログを検索することが考えられる。しかしながら、この場合、情報記憶部176に記憶されているジョブログ情報のうち、ユーザIDが一致する全ての情報がヒットすることになるため、ユーザにとって確認が困難である。
具体的には、本実施形態に係る目的を達成するためには、ユーザが完了を確認できていないジョブのジョブログのみを表示させることが好ましいが、図6において説明したように、情報記憶部176に記憶されているジョブログ情報の内容では、ユーザが完了を確認したか否かを判断することはできない。ジョブログの情報に加えてログインの履歴を参照することにより、例えば、“終了時刻”が、そのユーザが最後にログインした後になっているログを抽出する等の処理は可能であるが、情報のフィルタリングが複雑となり、高負荷や抽出精度が課題となる。
これに対して、本実施形態に係る文書管理装置においては、ユーザが完了を確認していないジョブのジョブ識別情報をICカード側に格納しておき、その情報をキーとして検索を行うため、抽出処理が低付加であり、簡単なフィルタリングであるため精度も高く、上記課題を解決することができる。
ここで、S1503においては、同一装置内の情報記憶部176に記憶されているジョブログ情報を検索する他、入出力制御部116を介して、他の画像形成装置1の情報記憶部176に記憶されているジョブログ情報の検索結果も取得する。例えば、図10の動作が画像形成装置1aにおいて実行されている場合、画像形成装置1aの情報記憶部176だけでなく、画像形成装置1b、1cの情報記憶部176に記憶されているジョブログ情報の検索結果も取得する。これにより、ユーザが、文書管理システムにおいて複数の画像形成装置1を利用している場合であっても、各装置に実行させたジョブのジョブログをすべて取得することが可能となる。
ジョブログの検索結果を取得すると、ログ情報処理部174は、取得された各ジョブログについて、項目の1つである“マシンID”と、自身が属する画像形成装置1のマシンIDとを比較する(S1504)。S1504の結果、マシンIDが一致した場合(S1505/YES)、即ち、そのジョブログが、自身が属する画像形成装置1において実行されたジョブである場合、ログ情報処理部174は、そのジョブログを表示対象、即ち、ログの内容を具体的に表示する対象に指定する(S1506)。他方、マシンIDが不一致である場合(S1505/NO)、ログ情報処理部174は、そのジョブログを表示対象とはせず、集計対象、即ち、ログの内容を具体的には表示せず、件数としてカウントするだけの情報に指定する。
ログ情報処理部174は、S1503において取得したジョブログの検索結果の全てについて、マシンIDの比較及びその後の処理を完了するまでS1504〜S1507の処理を繰り返す(S1508/NO)。S1503において取得したジョブログの検索結果の全てについて、S1504〜S1507の処理を完了した場合(S1508/YES)、ログ情報処理部174は、ジョブログの情報及びS1504〜S1507の処理結果の情報を表示情報生成部175に入力し、表示情報生成部175が、進捗管理結果を表示するための表示情報を生成して出力する(S1509)。これにより、操作表示制御部115が、ディスプレイパネル105に、進捗管理結果を表示する。即ち、操作表示制御部115及びディスプレイパネル105が共同して、ジョブログ表示部として機能する。
図16に、S1509の結果表示される進捗管理結果の画面を示す。図16に示すように、本実施形態に係る進捗管理結果の表示画面においては、表示対象のジョブログと集計対象のジョブログとが別々に表示される。表示対象のジョブログにおいては、図6において説明したジョブログ情報の内容として、ユーザ確認用に選択された項目が表として表示される。進捗管理結果画面において選択される項目は、予め定められていても良いし、ユーザによって選択可能としても良い。これにより、ユーザは、操作中の画像形成装置に実行させているジョブの状態を確認し、必要に応じてキャンセルや割り込み命令等の操作を行うことが可能となる。
また、図16の例においては、“終了時刻”が既に入力されているジョブ、即ち既に完了しているジョブのジョブログも表示されている。しかしながら、未完了のジョブ、即ち、“終了時刻”が空欄であるジョブのみを表示するようにしてもよい。この他、エラーとなったジョブのみを表示するようにしてもよいし、その他の条件を適用してもよい。
他方、集計対象のジョブログにおいては、図16に示すように、マシンIDとそのマシンIDによって識別される画像形成装置1において未完了のジョブ、即ち終了時刻が空欄であるジョブの数の集計値が関連付けられて表として表示される。これにより、ユーザは、他の装置において実行させているジョブの状態を確認することが可能となり、割り込み命令等の対応を行うことが可能となる。
尚、図16に示すように詳細表示と集計表示とを分けるのではなく、全てのジョブログを詳細表示するようにしてもよい。この場合、図15のS1504〜S1508の処理は不要である。他方、上述した割り込み命令等については、そのジョブの実行を要求した装置でなければ不可能な場合もあり、異なる装置のジョブについては、図16にしめすような集計表示で十分な場合もある。図16に示すような画面が表示された後、ログ情報処理部174は、ICカードに記憶されている進捗情報の更新処理を行う(S1510)。
S1510の処理は、ログ情報処理部174から通知を受けた主制御部111が、カード制御部114を制御することによって実行される。S1510の処理においては、図15の処理の結果“終了時刻”が入力されていることが確認されたジョブ、即ち、完了したことが確認されたジョブの進捗情報が更新される。
尚、S1510において、完了したことが確認したジョブのジョブ識別情報が、ICカードから削除されるようにしてもよい。これにより、次回の進捗管理動作においては、既にユーザによって完了が確認されたジョブは、S1503における検索キーではなくなり、重複した処理が実行されてしまうことを防ぐことができる。また、ジョブ状態が変わっている場合、ICカードに記憶されている進捗情報が更新される。このような処理により、本実施形態に係る文書管理システムにおける進捗管理動作が完了する。
以上説明したように、本実施形態に係る文書管理システムにおいては、ICカードによるログインを要する画像処理システムにおいて、ユーザが完了を確認できていないジョブを識別するための識別情報をICカードに格納しておくことにより、継続的にジョブの処理結果を確認する際のジョブログの検索を簡易化し、ジョブの進捗状況の管理を容易に行うことが可能となる。
尚、上記実施形態においては、図3に示すように、各画像形成装置1が夫々フロー制御部117を有し、図4において説明したように、各画像形成装置1に設けられた情報記憶部176に、自身のジョブログ情報を記憶する場合を例として説明した。しかしながら、画像形成装置1は、スキャナユニット102による画像入力、プリントエンジン107による画像形成出力及びディスプレイパネル105によるユーザインタフェースとして利用し、図17に示すように、ネットワークを介して接続されたフロー制御サーバ5によってフロー制御部117の機能を実現することも可能である。
図17に示すようにフロー制御サーバ5を設けて上述したフロー制御部117の機能を持たせる場合、画像形成装置1a〜1cにおいて入力されたジョブのコマンドは、ネットワークを介してフロー制御サーバ5に入力され、フロー制御サーバ5においてジョブが実行される。そして、ジョブログの情報は、フロー制御サーバ5に含まれる記憶媒体に格納される。この場合、フロー制御部サーバ5が、画像形成装置1a〜1cにおいて実行された全てのジョブを管理するため、全てのジョブに通し番号でジョブIDを付与することが可能である。従って、上記実施形態のように、ジョブ識別情報としてマシンID及びジョブIDの2つの情報を用いる必要がなく、S1503において、ジョブIDのみでジョブログを検索することが可能となる。これにより、ICカードに記憶させる情報量を低減すると共に、ジョブログの検索時における処理負荷を更に低減することができる。
また、図1に示す態様においては、画像形成装置1a〜1c夫々に設定情報を記憶している。従って、異なる画像形成装置1において異なる設定が適用されている可能性があり、ユーザの利便性が損なわれる場合がある。これを解決するためには、全ての画像形成装置1の設定が同一となるように管理者が管理する必要があり、管理負担が増大する。これに対して、図17に示す態様においては、フロー制御サーバ5において、一括して設定情報を管理することが可能であるため、管理負担が増大することなく、上記課題を解決することができる。
尚、図17に示すように、フロー制御部117の機能すべてを含むフロー制御サーバ5を設ける他、フロー制御部117自体の機能は各画像形成装置1にて実行させ、情報記憶部176の機能及び記憶された情報を含むサーバを設けてもよい。この場合であっても、上述したように、画像形成装置1a〜1cのジョブログを通し番号で管理することや、設定情報を一括して管理することが可能となる。
また、上記実施形態においては、図3において説明したように、ICカードとして接触式のインタフェースを有するカードを用いる場合を例として説明した。この他、上述したように、非接触式のインタフェースを有するICカードを用いても良い。この場合、図3に示すICカードスロット104に換えてICカードリーダ/ライタ(以降、ICカードR/Wとする)を用いる。
この場合、ログイン若しくはログアウトの際、ユーザがICカードR/WにICカードを近付けることにより、ICカードと画像形成装置1とが情報をやり取りする。このため、画像形成装置1は、ICカードとの間で常時情報をやり取りすることが可能な状態ではない。従って、図13において説明したように、S1301においてICカードの情報を参照し、若しくは、S1308〜S1310においてICカードに情報を保存することが出来ない。
このような場合、図11において説明したログイン処理におけるS1101において、ICカードに記憶されている全ての情報を読み出し、フロー制御部117に保存しておくことが好ましい。これにより、S1301においては、保存してある情報を参照して、処理を続行することが可能となる。また、S1308〜S1310においては、ICカードに書き込むべき情報をフロー制御部117に保存しておくことが好ましい。その後、ログアウト処理が実行され、ICカードと画像形成装置1との情報のやり取りが可能となった際に、一括してICカードに情報を書き込むことにより、上記と同様の効果を得ることが可能となる。
更に、非接触式のICカードを用いる場合、カードが画像形成装置1に固定されていないため、画像形成装置1がICカードから完全に情報を読み出す前に、若しくは、画像形成装置1がICカードに完全に情報を書き込む前に、ユーザがICカードをICカードR/Wから遠ざけてしまう可能性がある。その場合、情報が完全にICカードから読み出されず、若しくはICカードに完全に情報が書き込まれないため、後の処理において不具合となる可能性が高い。従って、ログイン若しくはログアウトにおいて、ICカードR/WにICカードを近付ける際、ディスプレイパネル105等の表示手段に、ICカードを近付けたままにしておく旨の画面を表示しておくことが好ましい。他方、上記実施形態のように接触式のICカードを用いる場合、画像形成装置1がICカードとの間で情報をやり取りしている間は、機械的にカードを固定する等の対応を取ることが可能であり、より好適に上記課題を解決することが可能である。
また、上記実施形態においては、ユーザが画像形成装置1を直接操作して画像形成装置1にログインする場合を例として説明した。この他、例えばクライアント端末2に、画像形成装置1に命令を与えるためのクライアント・プログラムをインストールすると共にICカードスロット104を設けることによってもログインすることが可能であり、上記と同様の効果を得ることが可能である。
クライアント端末2を用いる場合、画像形成装置1のディスプレイパネル105よりも表示領域が広範囲であることが一般的であるため、図16において説明したような表示形式を用いて表示領域を節約する必要がない。従って、クライアント端末2においてログインして進捗状況を確認する場合、例えば、図15のS1504〜S1507を省略し、検索された全てのジョブログの詳細を表示するようにしても良い。