JP5398862B2 - 誘導加熱調理器 - Google Patents
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Description
このような干渉音の発生を抑制するものとして、従来の誘導加熱調理器においては、例えば、「磁気誘導によって被加熱物に誘導される電流により加熱を行う電磁調理部を複数有する電磁調理器であって、前記複数の電磁調理部の近傍に設けられ、前記複数の電磁調理部に印加される高周波電流の周波数の差によって生じる干渉音の周波数を含む周波数帯域を有する冷却ファンと、前記干渉音を聞こえなくするように前記冷却ファンの音の大きさを前記干渉音の大きさより大きく設定する設定手段とを有する」ものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図1は、本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の構成を示すブロック図である。
図2は、本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器本体を示す斜視図である。
図1において、誘導加熱調理器は、被加熱物を誘導加熱する加熱コイル8、9、10(以下、区別しないときは単に「加熱コイル」という)を備えている。
加熱コイル8、9、10は、それぞれ共振コンデンサ14、15、16と直列に接続されている。
図2に示すように、加熱コイル8は、筐体23の左手前の加熱口20の下方に配置され、加熱コイル9は、筐体23の中央奥側の加熱口21の下方に配置され、加熱コイル10は、筐体23の右手前の加熱口22の下方に配置されている。
インバータL5には、加熱コイル8および共振コンデンサ14が負荷回路として接続されており、制御部L2からの制御信号によりスイッチング素子がオンオフ制御され、駆動周波数fswLが制御される。
インバータC6には、加熱コイル9および共振コンデンサ15が負荷回路として接続されており、制御部C3からの制御信号によりスイッチング素子がオンオフ制御され、駆動周波数fswCが制御される。
インバータR7には、加熱コイル10および共振コンデンサ16が負荷回路として接続されており、制御部R4からの制御信号によりスイッチング素子がオンオフ制御され、駆動周波数fswRが制御される。
制御部L2、制御部C3、および制御部R4は、制御部1からの指令に基づき、対応するインバータの駆動周波数を可変して、当該インバータの出力電力を制御する。
また、制御部1は、各加熱コイルに流れる電流を、電流センサ11、12、13により検出し、各負荷回路に印加される電圧を電圧センサ17、18、19により検出する。制御部1は、電流センサ11、12、13、および電圧センサ17、18、19(以下、「各センサ」という)から取得した電気信号から各加熱コイルの駆動周波数を検出する。
なお、本実施の形態においては、インバータを制御する制御部L2、C3、R4と、これらの制御部に対して制御指令を送信する制御部1とを設ける構成を説明するが、本発明はこれに限るものではなく、1つの制御部により複数のインバータを制御するようにしても良い。
図3は、本発明の実施の形態1に係る加熱出力制御処理の動作を示すフローチャートである。以下、図3の各ステップに基づき説明する。
制御部1は、操作部からの加熱開始指示の入力の有無を判断し、入力があった場合、ステップ2へ進む。
また、このとき制御部1は、制御部L2、制御部C3、および制御部R4のうち、使用者が選択した加熱口に対応する制御部に対して、設定された火力指令値を送信する。制御部L2、制御部C3、および制御部R4は、制御部1からの指令に基づき、対応するインバータの駆動を開始し、設定された火力(電力)となるように駆動周波数を可変する。
制御部1は、新たに加熱開始指示の入力がされる度に上記動作を行い、使用者が選択した複数の加熱口に対応する加熱コイルを駆動させる。
なお、制御部1は、電流センサ11、12、13と、電圧センサ17、18、19とにより、加熱コイルへの出力電力を求め、使用者が設定した火力(電力)となるように、インバータの駆動周波数を調節する電力フィードバック制御を行うようにしても良い。
制御部1は、各センサからの信号を取得し、駆動中の加熱コイルの駆動周波数を検出する。
なお、駆動周波数の検出はこれに限らず、例えば、制御部L2、制御部C3、および制御部R4からインバータへの制御信号を取得し、この制御信号に基づき駆動周波数を検出しても良い。
制御部1は、2つの加熱口を使用しているか否かを判断する。即ち、加熱口20、21、22のうち、2つは使用している状態(駆動状態)であり、1つは使用していない状態(停止状態)であるか否かを判断する。
なお、本実施の形態のように、3つの加熱口にそれぞれ1つのインバータを備える構成の場合には、2つの加熱口が使用しているか否かを判断すればよいが、4つ以上の加熱口を備える場合や、1つの加熱口に対して複数のインバータを備える場合など、インバータを4つ以上備える場合には、2つ以上のインバータが駆動状態であり、且つ、1つ以上のインバータが停止状態であるか否かを判断する。
上記条件を満たす場合には、干渉音が発生する可能性があるためステップ4へ進み、満たさない場合、干渉音が発生する可能性が無いためステップ8へ進み通常の加熱動作を継続する。
制御部1は、駆動状態である2つのインバータの駆動周波数の差分周波数を算出する。そして、差分周波数が可聴周波数領域(15kHz以下)に含まれるか否かを判断する。
差分周波数が15kHz以下の場合、ステップ5へ進む。一方、差分周波数が15kHzを超える場合には、使用者に干渉音として聞こえないためステップ8へ進み通常の加熱動作を継続する。
制御部1は、差分周波数が低周波領域(5kHz以下)に含まれるか否かを判断する。
この低周波領域は、可聴周波数領域(15kHz以下)のうち、人が不快と感じにくい音の周波数である5kHz以下の周波数範囲を予め設定する。
ここで、周波数が5〜15kHzの範囲である高周波音(キーン音)は、使用者に不快感を与え耳障りとなる。一方、5kHz以下の低周波音は、使用者の可聴域であるため多少は聞こえるものの、通常の話し声程度の周波数帯域であることから、高周波音と比較して耳障りでない聴感となる。なお、周波数が15kHzを超える場合、使用者の可聴域よりも高い周波数であるため使用者にはほとんど聞こえないことが知られている。
なお、上記聴感の区分けは大まかなものであり数値を限定するものではない。
差分周波数が低周波領域に含まれない場合(差分周波数>5kHz)、即ち差分周波数が可聴周波数領域に含まれ、且つ、低周波領域の範囲内に含まれない場合(5kHzを超え、15kHz以下)、差分周波数が低周波領域の範囲内に含まれるように、駆動状態である2つのインバータを駆動制御する。
例えば、駆動状態の2つのインバータのうち何れか一方または両方の駆動周波数を変化させて、差分周波数が5kHz以下となるように制御する。なお、このとき、駆動周波数の変化による火力(電力)の変動を抑制するため、所望の火力となるようにデューティ制御を合わせて行うようにしても良い。例えば、インバータの駆動周波数を上昇させて出力電力が低下する場合には、デューティ比を上昇させることで出力電力を上昇させ、火力指令により設定される火力を維持するように制御する。
差分周波数が低周波領域に含まれる場合(差分周波数≦5kHz)、停止状態であるインバータを駆動させ、このインバータの駆動周波数を所定周波数範囲の下限から上限まで連続的に変化させる(スイーブ駆動)。
この所定周波数範囲は、低周波領域(5kHz以下)に含まれる周波数範囲である。例えば所定周波数範囲として1kHz以上5kHz以下を設定し、駆動周波数を1kHzから5kHzまで連続的に変化させる。
なお、4つ以上の加熱口を備える場合や、1つの加熱口に対して複数のインバータを備える場合など、インバータを4つ以上備える場合には、停止状態であるインバータの少なくとも1つを駆動させ、このインバータをスイーブ駆動させる。
この差分周波数が5kHz以下であるならば、制御部1より制御部C3に対して干渉音抑制動作の指令(スイーブ駆動指令)が送られ、制御部C3はインバータC6を1kHz〜5kHzで連続的に可変させ、結果、加熱コイル9が駆動周波数1〜5kHzでスイーブ駆動することとなる。
ここで、図7に示すように、誘導加熱調理器に発生する音圧レベルは低い周波数になるにつれて指数関数的にバックグラウンドノイズが上昇することが分かっている。このため、低周波領域において停止中のコイルをスイーブ駆動させることで、よりバックグラウンドノイズのレベルを上昇させることができ、低周波領域の干渉音が発生していても使用者に認識されにくくすることができる(マスキング効果を得ることができる)。
例えば駆動状態であるインバータの駆動周波数が20kHzの場合、その周期は50ミリ秒である。この場合、駆動周波数を1kHzから5kHzまで変化させる時間(周期)を50ミリ秒より短くする。
このスイーブ駆動の周期は、制御部としてのマイコンが許容する範囲で、極力高速に動作させるのが良い。望ましくは、1マイクロ秒以下が好ましい。スイーブ駆動による駆動音が、連続音として人が認識できる範囲であるからである。
制御部1は、操作部からの加熱停止指示の入力の有無を判断し、入力が無い場合にはステップ3へ戻り、上記動作を繰り返す。一方、加熱停止指示の入力がある場合にはステップ9へ進む。
加熱停止指示の入力が有る場合には、制御部1は、制御部L2、C3、R4に対してインバータの駆動を停止させる停止指令を送信し、制御部L2、C3、R4はインバータへの駆動信号の出力を停止して、加熱コイルへの通電を停止する。そして、ステップ1に戻り、上記動作を繰り返す。
このため、停止状態であったインバータが駆動する加熱コイルの駆動音によって、複数の加熱コイルを駆動する際に生じる干渉音を、使用者に認識され難くすることができる。
このため、スイーブ駆動による加熱コイルの振動音が騒音として使用者に認識されにくくすることができる。
このため、人が不快に感ずる音の周波数において干渉音が発生する場合には、差分周波数を低周波領域とすることで、スイーブ駆動によるマスキング効果を得ることができる。
これにより、スイーブ駆動によるマスキング効果を得つつ、スイーブ駆動による電力損失の増加を抑制することができる。
本実施の形態2においては、1つの加熱口に対応する加熱コイルが複数で構成される場合について説明する。
なお、実施の形態1と同様の部分には同じ符号を付し、説明を省略する。
図5は、本発明の実施の形態2に係る誘導加熱調理器本体を示す斜視図である。
図5に示すように、実施の形態2においては、筐体23の左手前の加熱口36の下方に、円形の加熱コイル8とその周囲に配置した4つの小判型形状の加熱コイル32が配置されている。
図4に示すように、インバータLa30には、小判型の4つのコイルが直列に接続された加熱コイル32および共振コンデンサ35が負荷回路として接続されており、制御部L2からの制御信号によりスイッチング素子がオンオフ制御され、駆動周波数fswLaが制御される。
インバータLb31には、加熱コイル8および共振コンデンサ14が負荷回路として接続されており、制御部L2からの制御信号によりスイッチング素子がオンオフ制御され、駆動周波数fswLbが制御される。
このように、加熱口36の下方に配置された加熱コイル8と加熱コイル32とはそれぞれ別のインバータにより駆動され、その駆動周波数も任意に設定可能である。
制御部L2、制御部C3、および制御部R4は、制御部1からの指令に基づき、対応するインバータの駆動周波数を可変して、当該インバータの出力電力を制御する。
また、制御部1は、各加熱コイルに流れる電流を、電流センサ11、12、13、および33により検出し、各負荷回路に印加される電圧を電圧センサ17、18、19、および34により検出する。制御部1は、電流センサ11、12、13、33および電圧センサ17、18、19、34(以下、「各センサ」という)から取得した電気信号から各加熱コイルの駆動周波数を検出する。
本実施の形態における加熱調理器においても、駆動状態のインバータの差分周波数が低周波領域となるようにし、停止状態のインバータをスイーブ駆動することで干渉音のマスキングを行う。
図6は、本発明の実施の形態2に係る加熱出力制御処理の動作を示すフローチャートである。以下、図6の各ステップに基づき、上記実施の形態1との相違点を中心に説明する。
制御部1は、操作部からの加熱開始指示の入力の有無を判断し、入力があった場合、ステップ12へ進み、各センサからの信号を取得し、駆動中の加熱コイルの駆動周波数を検出する。
(ステップ12)
制御部1は、2つ以上の加熱コイルが通電され、1つ以上の加熱コイルが停止しているか否かを判断する。すなわち、4つのインバータLa30、Lb31、C6、R7のうち、2つ以上のインバータが駆動状態であり、且つ、1つ以上のインバータが停止状態であるか否かを判断する。
上記条件を満たす場合には、干渉音が発生する可能性があるためステップ13へ進み、満たさない場合、干渉音が発生する可能性が無いためステップ17へ進み通常の加熱動作を継続する。
もし、差分周波数が15kHz以下で、かつ5kHz以上であった場合は、各コイルの駆動周波数を制御し、15kHzより上、もしくは5kHz以下に設定する(ステップ15)。
制御部1は、駆動状態であるインバータの駆動周波数の差分周波数を算出し、差分周波数が可聴周波数領域(15kHz以下)に含まれるか否かを判断する。
差分周波数が15kHzを超える場合には、使用者に干渉音として聞こえないためステップ16へ進む。一方、差分周波数が15kHz以下の場合ステップ14へ進み、差分周波数が低周波領域(5kHz以下)に含まれるか否かを判断する。
差分周波数が低周波領域に含まれない場合(差分周波数>5kHz)、即ち差分周波数が可聴周波数領域に含まれ、且つ、低周波領域の範囲内に含まれない場合(5kHzを超え、15kHz以下)、上記実施の形態1と同様に、差分周波数が低周波領域の範囲内に含まれるように、駆動状態である2つのインバータを駆動制御する。
差分周波数が低周波領域に含まれる場合(差分周波数≦5kHz)、停止状態であるインバータを駆動させ、このインバータの駆動周波数を所定周波数範囲の下限から上限まで連続的に変化させる(スイーブ駆動)。
この差分周波数が5kHz以下であるならば、制御部1より制御部C3または制御部R4に対して干渉音抑制動作の指令(スイーブ駆動指令)が送られ、制御部C3またはR7は、対応するインバータを1kHz〜5kHzで連続的に可変させ、結果、加熱コイル9または10が駆動周波数1〜5kHzでスイーブ駆動することとなる。
なお、スイーブ駆動の周期、出力電力の設定は上記実施の形態1と同様である。
上記実施の形態1と同様に、制御部1は、操作部からの加熱停止指示の入力の有無を判断し、入力が無い場合にはステップ12へ戻り、上記動作を繰り返す。一方、加熱停止指示の入力がある場合にはステップ18へ進み、各インバータへの駆動信号の出力を停止して、加熱コイルへの通電を停止する。そして、ステップ10に戻り、上記動作を繰り返す。
また、加熱コイル8、32の駆動周波数は干渉音が差分周波数により発生することから、当然同一が望ましいがコイル形状の違いから両コイルはインピーダンスなどの定数が異なり、同一周波数制限により加熱動作に大きな制約ができてしまう。
このようなことから、1つの加熱口に対して近接して設けられた複数の加熱コイルを、異なる駆動周波数で駆動する場合においても、差分周波数を低周波領域として、停止状態であったインバータをスイーブ駆動することで干渉音をマスキングすることが可能となり、1つの加熱口に設けられた複数の加熱コイルの差分周波数を、低周波領域の範囲(1〜5kHz)で異ならせることが許容可能となる。
このようなワイドバンドギャップ半導体によって形成されたスイッチング素子は、電力損失が低いため、スイーブ駆動の周期を短くして駆動する場合であっても、効率の低下を抑制することができる。
また、ワイドバンドギャップ半導体によって形成されたスイッチング素子は、耐電圧性が高く、許容電流密度も高いため、スイッチング素子の小型化が可能であり、これら小型化されたスイッチング素子を用いることにより、これらの素子を組み込んだ半導体モジュールの小型化が可能となる。また耐熱性も高いため、ヒートシンクの放熱フィンの小型化や、水冷部の空冷化が可能であるので、半導体モジュールの一層の小型化が可能になる。
Claims (7)
- 被加熱物を誘導加熱する複数の加熱コイルと、
前記加熱コイルに高周波電力を出力する複数のインバータ回路と、
前記インバータ回路の駆動周波数を可変することで、前記複数のインバータ回路の出力電力をそれぞれ制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段は、
2つ以上の前記インバータ回路が駆動状態であり、且つ、1つ以上の前記インバータ回路が停止状態である場合において、
駆動状態である前記2つ以上のインバータ回路の駆動周波数の差分周波数が、可聴周波数領域のうち低周波領域として予め設定した周波数の範囲内に含まれるとき、
停止状態である前記インバータ回路の少なくとも1つを駆動させ、該インバータ回路の駆動周波数を、前記低周波領域に含まれる所定周波数範囲の下限から上限まで連続的に変化させる
ことを特徴とする誘導加熱調理器。 - 前記低周波領域に含まれる所定周波数範囲の下限から上限まで連続的に変化させる周期は、
駆動状態である前記2つ以上のインバータ回路の駆動周波数の周期より短い時間である
ことを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。 - 前記制御手段は、
2つ以上の前記インバータ回路が駆動状態であり、且つ、1つ以上の前記インバータ回路が停止状態である場合において、
駆動状態である前記2つ以上のインバータ回路の駆動周波数の差分周波数が、可聴周波数領域に含まれ、且つ、前記低周波領域の範囲内に含まれないとき、
前記差分周波数が前記低周波領域の範囲内に含まれるように、駆動状態である前記2つ以上のインバータ回路を駆動制御する
ことを特徴とする請求項1または2記載の誘導加熱調理器。 - 前記低周波領域は、5kHz以下であり、
前記所定周波数範囲は、1kHz以上5kHz以下である
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の誘導加熱調理器。 - 前記制御手段は、
停止状態である前記インバータ回路を駆動させ、該インバータ回路の駆動周波数を前記所定周波数範囲の下限から上限まで連続的に変化させる際、
当該インバータ回路の出力電力を、10ワット未満の電力に設定する
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の誘導加熱調理器。 - 前記インバータ回路は、
スイッチング素子が、ワイドバンドギャップ半導体により形成された
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の誘導加熱調理器。 - 前記ワイドバンドギャップ半導体は、炭化珪素、窒化ガリウム系材料、またはダイヤモンドである
ことを特徴とする請求項6記載の誘導加熱調理器。
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