JP5397298B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複数種類の燃料を使用して運転可能なエンジンの制御装置に関する。
ガソリン及び圧縮天然ガス(Compressed Natural Gas、以下CNGという)の2種類の燃料により運転可能なバイフューエルエンジンが知られている。例えば、特許文献1には、CNGを筒内に直接噴射供給すると共に、ガソリンを吸気ポートに噴射供給し、CNG及びガソリンを燃料として運転可能なバイフューエルエンジンが記載されている。
特開2005−113698号公報 特開平06−241083号公報 特開2005−240581号公報 特開2000−087771号公報
CNGのようなガス燃料及びガソリンや軽油のようなガス燃料とは異なる種類の燃料を用いて運転可能な多種燃料エンジンには、ガス燃料以外の燃料だけで運転可能なものがある。このような多種燃料エンジンでは、例えば軽負荷時やガス燃料の残量が少ない場合などにおいて、軽油やガソリンのみを用いて通常のディーゼルエンジンやガソリンエンジンと同様の運転を行うことができる。
しかしながら、このようなガス燃料を用いない運転状態が長期間継続すると、ガス燃料を吸気系や気筒内に噴射供給する噴射弁にデポジットが付着し、詰まりが発生する可能性がある。特に、煤やオイルミストを含むEGRガスが吸気系に導入されるエンジンでは、ガス燃料の噴射を長期間行わないとガス燃料の噴射弁に詰まりが生じ易い。
本発明はこの点に鑑みてなされたものであり、ガス燃料及びそれ以外の燃料を用いて運転可能な多種燃料エンジンにおいて、ガス燃料の噴射弁に詰まりが生じることを抑制することができる制御装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための本発明は、
ガス燃料である第1燃料及び該第1燃料とは異なる種類の燃料である第2燃料を使用するエンジンであって、第2燃料のみを使用した運転が可能なエンジンの制御装置であって、
前記エンジンの吸気通路に第1燃料を噴射する第1燃料噴射弁と、
前記エンジンに第2燃料を供給する第2燃料噴射弁と、
前記第1燃料噴射弁に第1燃料を供給する第1燃料供給手段と、
前記第1燃料供給手段における第1燃料の圧力を取得する圧力取得手段と、
前記吸気通路における前記第1燃料噴射弁による第1燃料の噴射が行われる位置よりも上流側に設けられ該吸気通路の流路面積を調節する吸気絞り弁と、
前記第1燃料噴射弁による第1燃料の噴射が行われない無噴射期間が所定期間を超えた場合に、前記圧力取得手段により取得される圧力が所定圧力より低いときは、所定の無負
荷運転条件において、前記吸気絞り弁の開度を閉じ側にするとともに前記第1燃料噴射弁を開閉させる第1詰まり防止制御を実行する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
本発明のエンジンは、第2燃料としてガソリンや軽油などの液体燃料を使用することができる。そして、第2燃料を着火源としてガス燃料である第1燃料の燃焼を行わせることにより、第1燃料及び第2燃料を使用した運転が可能である。また、第2燃料のみを使用して運転可能であるため、運転条件や第1燃料の残量によっては、第2燃料のみを使用した運転が行われ、第1燃料噴射弁による第1燃料の噴射が行われない無噴射期間が長期化する場合がある。無噴射期間が長期化すると吸気通路を流れるガスに曝される第1燃料噴射弁にデポジットが付着して詰まりが生じる可能性がある。上記の「所定期間」とは、第1燃料噴射弁に詰まりが生じると判断可能な無噴射期間の基準値である。
無噴射期間が所定期間を超えた場合、第1燃料噴射弁の詰まりを抑制するために、詰まりの抑制を目的とした第1燃料の噴射を行うことが望ましいが、第1燃料供給手段における第1燃料の圧力が低下している場合、第1燃料噴射弁の詰まりを解消するために十分な噴射圧で第1燃料の噴射を行えない可能性がある。上記の「所定圧力」とは、第1燃料噴射弁の詰まりを解消するために十分な噴射圧で第1燃料の噴射を行えると判断可能な第1燃料供給手段における第1燃料の圧力の基準値である。
本発明では、第1燃料供給手段における第1燃料の圧力が所定圧力より低く、詰まりの解消を目的とした第1燃料の噴射を行うことができないと判断される場合、所定の無負荷運転条件において、吸気絞り弁の開度を閉じ側にするとともに第1燃料噴射弁を開閉させる第1詰まり防止制御を行う。「所定の無負荷運転状態」とは、減速時などの要求トルクがゼロの運転状態である。無負荷運転状態において吸気絞り弁が閉じ側にされることにより、第1燃料噴射弁が臨む吸気通路において負圧が生じるため、第1燃料噴射弁を開閉させることにより、第1燃料供給手段における圧力との差圧で第1燃料噴射弁において第1燃料の流動が生じる。これにより、第1燃料の残量が少なくなり、第1燃料供給手段における第1燃料の圧力が所定圧力より低くなった場合でも、第1燃料噴射弁の付着物を除去することができるので、第1燃料噴射弁の詰まりを抑制することが可能になる。
なお、第1燃料供給手段は、第1燃料噴射弁に第1燃料に分配するデリバリーパイプと捉えることができ、その場合、圧力取得手段はデリバリーパイプ内の第1燃料の圧力を検出するセンサと捉えることができる。あるいは、第1燃料供給手段は、第1燃料を貯蔵し、レギュレータを介してデリバリーパイプに第1燃料を供給するガスタンクと捉えることもできる。その場合、圧力取得手段はガスタンク内の第1燃料の圧力(残圧)を検出するセンサと捉えることができる。要は、圧力取得手段は、第1燃料噴射弁からの第1燃料の噴射圧に直接又は間接的に影響する圧力を取得するものであればどの部位の圧力を取得するものであっても良く、上記2例のようにセンサによりこれを検出するものや、関連する物理量に基づく演算によりこれを推定するものなどを含むことができる。所定圧力は、圧力取得手段の構成により異なる値をとり得る。
本発明において、前記制御手段は、前記第1燃料噴射弁による第1燃料の噴射が行われない無噴射期間が所定期間を超えた場合に、前記圧力取得手段により取得される圧力が所定圧力以上であるときは、所定の無負荷運転条件において、前記第2燃料噴射弁による第2燃料の供給を停止するとともに前記第1燃料噴射弁により第1燃料の噴射を行う第2詰まり防止制御を実行するようにしても良い。
第1燃料供給手段における第1燃料の圧力が所定圧力以上である場合には、詰まりの解消を目的とした第1燃料の噴射を好適に行うことが可能である。この場合、第2燃料の供
給が停止されるので、第1燃料が着火することが抑制され、無負荷運転条件において第2詰まり防止制御の実行に起因して意図せずトルクが生じてしまうことも抑制できる。
ここで、第2燃料の供給を停止しても、圧縮比が高い場合や、直前の運転状態が高負荷であった場合など、筒内温度が高温になる条件では、第2詰まり防止制御により詰まりの解消を目的として噴射された第1燃料が気筒内で自着火してしまう可能性がある。その場合、無負荷運転条件において意図しないトルクが生じて運転者に違和感を与える可能性がある。
そこで、本発明において、前記エンジンの筒内温度を取得する筒内温度取得手段を備え、
前記制御手段は、前記筒内温度取得手段により取得する筒内温度が前記第1燃料が自着火する所定温度より低い場合に、前記第2詰まり防止制御を実行するようにしても良い。
これにより、第2詰まり防止制御により詰まりの解消を目的として噴射された第1燃料が気筒内で自着火することを抑制できるので、第2詰まり防止制御の実行に起因して意図しないトルクが無負荷運転条件において発生することを抑制できる。
本発明によれば、ガス燃料及びそれ以外の燃料を用いて運転可能な多種燃料エンジンにおいて、ガス燃料の噴射弁に詰まりが生じることを抑制することができる制御装置を提供することが可能になる。
実施例に係るエンジン、燃料システム、吸気系及び排気系の概略構成を示す図である。 実施例に係るエンジンの断面図を示す図である。 実施例に係るCNGインジェクタの詰まり防止の制御を表すフローチャートである。 実施例に係るCNGインジェクタの詰まり防止の制御を表す他のフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。本実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
本実施例は、本発明のガス燃料(第1燃料)として圧縮天然ガス(CNG)を使用し、ガス燃料とは異なる種類の燃料(第2燃料)として軽油を使用するバイフューエルエンジンであって、軽油のみを用いて一般的なディーゼルエンジンとしても運転可能なエンジンに本発明を適用した例である。なお、本発明は液化石油ガス(LPG)などのように一次燃料である天然ガスおよび石油ガスや二次燃料である石炭転換ガスおよび石油転換ガスを用いるバイフューエルエンジンに適用することもできる。
図1は、本実施例に係るガス燃料エンジン、燃料システム、吸気系及び排気系の概略構成を示す図である。エンジン1は、軽油及びCNGを燃料として使用する車両駆動用のエンジンである。エンジン1は4つの気筒2を有している。
エンジン1には、インテークマニホールド4およびエキゾーストマニホールド5が接続されている。インテークマニホールド4には吸気通路6が接続されている。エキゾースト
マニホールド5には排気通路7が接続されている。インテークマニホールド4の4つ吸気ポートは各気筒2にそれぞれ接続されている。各吸気ポートにはCNGを噴射するCNGインジェクタ9(第1燃料噴射弁)が設けられている。また、各気筒2内に直接軽油を噴射するディーゼルインジェクタ8(第2燃料噴射弁)が設けられている。
各ディーゼルインジェクタ8は軽油用デリバリーパイプ10に接続されている。軽油用デリバリーパイプ10には軽油供給通路12の一端が接続されており、該軽油供給通路12の他端は軽油タンク13に接続されている。軽油供給通路12にはフィードポンプ14が設置されている。軽油タンク13から軽油供給通路12を介して軽油用デリバリーパイプ10に軽油が供給され、さらに軽油用デリバリーパイプ10から各ディーゼルインジェクタ8に軽油が供給される。
各CNGインジェクタ9はCNGを蓄圧するCNG用デリバリーパイプ11(第1燃料供給手段)に接続されている。CNG用デリバリーパイプ11にはCNG供給通路15の一端が接続されており、CNG供給通路15の他端はCNGタンク16に接続されている。CNG供給通路15にはCNGタンク16から取り出されたCNGを減圧するレギュレータ17が設置されている。CNGタンク16内に高圧で貯蔵されるCNGは、レギュレータ17により減圧され、CNG供給通路15を介してCNG用デリバリーパイプ11にCNGが供給される。CNG用デリバリーパイプ11内のCNGは各CNGインジェクタ9に分配される。
CNG用デリバリーパイプ11には、該CNG用デリバリーパイプ11内のCNGの圧力を検出する圧力センサ23及び該CNGの温度を検出する温度センサ24が設けられている。また、CNG供給通路15におけるレギュレータ17より上流側にも、該CNG供給通路15内のCNGの圧力を検出する圧力センサ25及び該CNGの温度を検出する温度センサ26が設けられている。本実施例において、圧力センサ23も圧力センサ25もいずれも本発明における圧力取得手段として機能し得る。本実施例では、CNGタンク16におけるCNG残圧に相当する圧力を検出する圧力センサ25を、本発明における圧力取得手段として機能させる例を説明する。
吸気通路6には、上流側からエアクリーナ18、エアフローメータ22及びスロットルバルブ19(吸気絞り弁)がこの順番で設置されている。スロットルバルブ19は吸気通路6の流路面積を調節する。排気通路7には、排気の空燃比を検出するA/Fセンサ27が設けられる。A/Fセンサ27より下流側には三元触媒等によって構成される排気浄化触媒21が設置されている。
エキゾーストマニホールド5とスロットルバルブ19より下流側の吸気通路6とはEGR通路30により接続されている。EGR通路30を通って排気の一部がEGRガスとして吸気通路6に流入する。EGR通路30にはEGR通路30の流路面積を調節するEGR弁29が設けられる。EGR弁29の開度を調節することにより吸気通路6に還流するEGRガス量を調節することができる。
エンジン1には電子制御ユニット(ECU)20が併設されている。このECU20はエンジン1の運転状態等を制御するユニットである。ECU20には、エアフローメータ22、圧力センサ23、25、温度センサ24、26及びA/Fセンサ27が電気的に接続されている。さらに、ECU20には、エンジン1のクランク角を検出するクランク角センサ28も電気的に接続されている。各センサの出力信号がECU20に入力される。ECU20は、クランク角センサ28の出力信号に基づいてエンジン1の機関回転速度を算出する。
また、ECU20には、各ディーゼルインジェクタ8、各CNGインジェクタ9、フィードポンプ14、レギュレータ17、スロットルバルブ19及びEGR弁29が電気的に接続されている。そして、ECU20によってこれらが制御される。
図2はエンジン1のある気筒2の断面を模式的に示した図である。図2に示すように、気筒2にはピストン37が上下方向摺動可能に挿入されている。気筒2には、燃焼室に連通する吸気ポート33及び排気ポート34が備わる。吸気ポート33は吸気バルブ31により開閉され、排気ポート34は排気バルブ32により開閉される。
インテークマニホールド4に連通する吸気ポート33には、CNGインジェクタ9が設けられ、吸気ポート33内にCNGを噴射する。CNGインジェクタ9から噴射されたCNGは、インテークマニホールド4から流入する吸気ガス(空気又は空気とEGRガスとの混合ガス)と混合し、燃焼室内に混合気35を形成する。また、燃焼室の頂部にはディーゼルインジェクタ8が設けられ、燃焼室内に軽油の噴霧36を噴射する。CNG混合気35の中に噴射されるディーゼル噴霧36が着火源となり、CNG混合気及び軽油が燃焼することによりエンジン1は運転される。
ディーゼル噴霧36が噴射されない場合、基本的にCNG混合気35だけでは燃焼が起こらない。一方、CNGインジェクタ9によるCNGの噴射が行われない場合でも、圧縮された空気又は空気とEGRガスとの混合ガス中にディーゼル噴霧36が噴射されることで、エンジン1は通常のディーゼルエンジンとして運転可能である。本実施例のエンジン1は、所定の軽負荷運転条件と、CNGタンク16内のCNGの残量が所定量未満になった場合に、CNGインジェクタ9によるCNGの噴射を停止し、ディーゼルインジェクタ8による軽油の噴射のみを行い、ディーゼル燃焼を行わせて運転する。
このようなCNGインジェクタ9によるCNGの噴射が行われない無噴射期間が長期間継続すると、吸気ガスに曝されるCNGインジェクタ9にデポジットが付着してCNGインジェクタ9に詰まりが生じる可能性がある。特に、EGR通路30を介してEGRガスの還流が行われている場合、EGRガスには煤やオイルミストが含まれるため、CNGインジェクタ9にデポジットが付着し易い。
そこで、本実施例のシステムでは、CNGインジェクタ9によるCNGの噴射が行われない無噴射期間が所定期間を超えた場合、以下に説明するような、CNGインジェクタ9の詰まりを防止するための制御を実行する。
図3は、本実施例のシステムで実行するCNGインジェクタ9の詰まり防止制御を表すフローチャートである。このフローチャートで表される処理は、ECU20によって所定のタイムサイクルで繰り返し実行される。
まずステップS101において、ECU20はCNGインジェクタ9の無噴射期間Tintを取得する。無噴射期間Tintは、軽負荷運転条件やCNGタンク16の残量が所定量未満になった場合などのCNGインジェクタ9によるCNGの噴射が停止される条件が成立してからの時間経過をカウントするための別の処理をECU20が実行することにより取得する。
ステップS102において、ECU20はステップS101で取得した無噴射期間Tintが所定期間Tintcを超えているか否かを判定する。所定期間Tintcは、CNGインジェクタ9に詰まりが生じると判断可能な無噴射期間の基準値であり、実験結果などに基づいて求めた値をECU20に記憶させておく。ステップS102において無噴射期間Tintが所定期間Tintcを超えていると判定した場合、ECU20はステップ
S103に進む。ステップS102において無噴射期間Tintが所定期間Tintc以下であると判定した場合、ECU20はこのフローチャートの処理を一旦抜ける。
ステップS103において、ECU20は、エンジン1が所定の燃料カット条件であるか否かを判定する。燃料カット条件とは、エンジン1の要求トルクがゼロの無負荷運転条件であり、具体的には減速時に成立する。燃料カット条件が成立する場合、CNGインジェクタ9及びディーゼルインジェクタ8による燃料噴射を、後述する詰まり防止用のCNG噴射を除いて停止する燃料カット制御を実行する。燃料カット制御実行中は、吸気通路6、インテークマニホールド4、吸気ポート33内のガスが吸入され、圧縮され、そのまま排気ポート34に排出される。本ステップS103で燃料カット条件であると判定した場合、ECU20はステップS104に進む。
ステップS104において、ECU20は、CNGタンク16のCNG残圧Pを取得する。上述したように、CNG残圧Pは圧力センサ25による検出値に基づいて取得する。
ステップS105において、ECU20は、ステップS104で取得したCNG残圧Pが所定圧力Pcより低いか否かを判定する。所定圧力Pcは、CNGインジェクタ9の詰まりを解消するために十分な噴射圧でCNGの噴射を行うことが可能な圧力を、CNG用デリバリーパイプ11に生じさせることが可能なCNG残圧の基準値である。所定圧力Pcは実験結果などに基づいて求めた値をECU20に記憶させておく。ステップS105においてCNG残圧Pが所定圧力Pcより低いと判定した場合、ECU20はステップS107に進む。ステップS105においてCNG残圧Pが所定圧力Pc以上と判定した場合、ECU20はステップS106に進む。
ステップS106において、ECU20は、詰まり防止のためのCNGの噴射をCNGインジェクタ9によって行う。CNG残圧Pが所定圧力Pc以上であるので、詰まり防止のためのCNGの噴射を行うことにより、CNGインジェクタ9に付着したデポジットを除去することができる。これにより、無噴射期間Tintが所定期間Tintcを超えた場合でも、CNGインジェクタ9に詰まりが生じることを抑制できる。
ステップS107において、ECU20は、スロットルバルブ19を閉弁する。これによりスロットルバルブ19より下流側の吸気通路6、インテークマニホールド4及び吸気ポート33が負圧になる。この時、EGR弁29を閉弁する。これによりCNGインジェクタ9においてより確実に負圧状態を作り出すことができる。
続くステップS108において、ECU20は、CNGインジェクタ9を開弁する。CNG用デリバリーパイプ11と吸気ポート33の間には、吸気ポート33が負圧になることにより大きな圧力差が生じているので、CNGインジェクタ9を開弁することによってCNG用デリバリーパイプ11から吸気ポート33へのガスの流動が生じる。このガスの流動により、CNGインジェクタ9に付着したデポジットを除去することができる。これにより、無噴射期間Tintが所定期間Tintcを超えた場合でも、CNGインジェクタ9に詰まりが生じることを抑制できる。なお、ステップS108において、ECU20は、CNGインジェクタ9の開弁と閉弁とを繰り返す開閉動作をさせても良い。
以上説明した処理を実行することにより、CNGタンク16におけるCNGの残量によらず、CNGインジェクタ9に付着したデポジットを除去することができるので、無噴射期間が長期間継続した場合にCNGインジェクタ9に詰まりが生じることを好適に抑制することが可能になる。上記の処理を実行するECU20が本発明の「制御手段」として機能する。特に、ステップS107及びステップS108の処理が本発明における「第1詰まり防止制御」に相当する。また、ステップS106の処理が本発明における「第2詰ま
り防止制御」に相当する。
ところで、エンジン1の圧縮比が高い場合や、吸気温が高い場合や、高負荷運転直後の高温状態の場合など、燃料カット制御中の筒内温度が高温になる場合、詰まり防止のために噴射されたCNGが気筒内で自着火してしまう可能性がある。燃料カット制御中にCNGが自着火した場合、本来要求されていないトルクが意図せず発生することになり、減速感が弱まり、ドライバーに違和感を与える可能性がある。
そこで、ステップS105においてCNG残圧Pが所定圧力Pc以上と判定した場合、筒内温度を推定し、推定した筒内温度がCNGの自着火温度よりも低い場合のみ、ステップS106の詰まり防止のためのCNGの噴射を実行するようにしても良い。
図4は、図3で説明したCNGインジェクタ9の詰まり防止制御を表すフローチャートに、筒内温度の推定値に応じて詰まり防止のためのCNG噴射の実行可否を判断する処理を追加したフローチャートである。図4において、図3と同じ番号のステップの処理内容は、図3に関して上述した処理内容と同一であるからここでは説明を省略する。
図4のフローチャートでは、ステップS105においてCNG残圧Pが所定圧力Pc以上と判定した場合、ECU20はステップS201に進む。
ステップS201において、ECU20は、筒内温度Tcylを推定する。筒内温度の推定値Tcylは、吸気温度、冷却水温度、回転数などの量に基づく演算により推定することができる。この処理を実行するECU20が本発明における「筒内温度取得手段」として機能する。
ステップS202において、ECU20は、ステップS201において取得した筒内温度の推定値Tcylが所定温度Tcylcより低いか否かを判定する。所定温度Tcylcは、CNGが自着火する可能性があると判断できる筒内温度の基準値であり、実験結果などに基づいて求めた値をECU20に記憶しておく。ステップ202において筒内温度Tcylが所定温度Tcylcより低いと判定した場合、ECU20はステップ106に進み、詰まり防止のためのCNGの噴射を実行する。一方、ステップ202において筒内温度Tcylが所定温度Tcylc以上と判定した場合、詰まり防止のためのCNGの噴射を実行すると自着火する可能性があるため、詰まり防止のためのCNGの噴射は行わず、ステップ103に戻る。
以上の処理を行うことにより、意図しないトルクが燃料カット制御中に発生することを抑制しつつ、CNGインジェクタ9の詰まりを抑制することが可能になる。
以上説明した実施例には本発明の範囲を逸脱しない限りで変更を加えることができる。例えば、上記実施例はCNGと軽油の2種類の燃料で運転するバイフューエルエンジンに本発明を適用した例だが、CNGとガソリンの2種類の燃料で運転可能且つガソリンのみで運転可能なエンジンや、CNG以外のガス燃料と軽油やガソリンなどの液体燃料で運転可能且つガス燃料を用いずに運転可能なエンジンにも適用することが可能である。また、軽油やガソリンの噴射弁は筒内直噴式だけでなく、吸気ポートに噴射するポート噴射式であっても良い。上記実施例ではCNG残圧と所定圧力との比較に基づいてスロットルバルブを閉弁するか、CNG噴射を行うかの判断を行ったが、CNG用デリバリーパイプ11におけるCNGの圧力(圧力センサ23によって検出)と所定圧力との比較に基づいてこの判断を行うようにしても良い。この場合の所定圧力はCNG残圧に基づく判断に用いる所定圧力とは異なる値に設定しても良い。
1・・・エンジン
2・・・気筒
4・・・インテークマニホールド
5・・・エキゾーストマニホールド
6・・・吸気通路
7・・・排気通路
8・・・ディーゼルインジェクタ
9・・・CNGインジェクタ
10・・軽油用デリバリーパイプ
11・・CNG用デリバリーパイプ
12・・軽油供給通路
13・・軽油タンク
14・・フィードポンプ
15・・CNG供給通路
16・・CNGタンク
17・・レギュレータ
18・・エアクリーナ
19・・スロットルバルブ
20・・ECU
21・・排気浄化触媒
22・・エアフローメータ
23・・圧力センサ
24・・温度センサ
25・・圧力センサ
26・・温度センサ
27・・A/Fセンサ
28・・クランク角センサ
29・・EGR弁
30・・EGR通路
31・・吸気バルブ
32・・排気バルブ
33・・吸気ポート
34・・排気ポート
35・・CNG混合気
36・・ディーゼル噴霧
37・・ピストン

Claims (3)

  1. ガス燃料である第1燃料及び該第1燃料とは異なる種類の燃料である第2燃料を使用するエンジンであって、第2燃料のみを使用した運転が可能なエンジンの制御装置であって、
    前記エンジンの吸気通路に第1燃料を噴射する第1燃料噴射弁と、
    前記エンジンに第2燃料を供給する第2燃料噴射弁と、
    前記第1燃料噴射弁に第1燃料を供給する第1燃料供給手段と、
    前記第1燃料供給手段における第1燃料の圧力を取得する圧力取得手段と、
    前記吸気通路における前記第1燃料噴射弁による第1燃料の噴射が行われる位置よりも上流側に設けられ該吸気通路の流路面積を調節する吸気絞り弁と、
    前記第1燃料噴射弁による第1燃料の噴射が行われない無噴射期間が所定期間を超えた場合に、前記圧力取得手段により取得される圧力が所定圧力より低いときは、所定の無負荷運転条件において、前記吸気絞り弁の開度を閉じ側にするとともに前記第1燃料噴射弁を開閉させる第1詰まり防止制御を実行する制御手段と、
    を備えることを特徴とするエンジンの制御装置。
  2. 請求項1において、
    前記制御手段は、前記第1燃料噴射弁による第1燃料の噴射が行われない無噴射期間が所定期間を超えた場合に、前記圧力取得手段により取得される圧力が前記所定圧力以上であるときは、所定の無負荷運転条件において、前記第2燃料噴射弁による第2燃料の供給を停止するとともに前記第1燃料噴射弁により第1燃料の噴射を行う第2詰まり防止制御を実行することを特徴とするエンジンの制御装置。
  3. 請求項2において、
    前記エンジンの筒内温度を取得する筒内温度取得手段を備え、
    前記制御手段は、前記筒内温度取得手段により取得する筒内温度が前記第1燃料が自着火する所定温度より低い場合に、前記第2詰まり防止制御を実行することを特徴とするエンジンの制御装置。
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