本発明は、用紙を整合対象のトレイに積載し、整合する際の摩擦力を低減するようにしたもので、特に、整合時に1枚目の用紙が排紙ローラに接触し、排紙ローラとの間で移動が阻害されることのないようにしたものである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、同等な各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
1.全体構成
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成システムのシステム構成の概略を示す図である。同図において、本実施形態に係る画像形成システムは画像形成装置100、用紙処理装置200、及び画像読み取り装置300から構成されている。
画像形成装置100は、間接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置であり、図においてほぼ中央部に4色の作像ステーション111が配置された作像部110、この作像部110の下方に隣接して設けられた光書き込み部113、作像部110の下方に設けられた給紙部120、給紙部120でピックアップされた用紙を2次転写部140及び定着部150に搬送する給紙搬送路(縦搬送路)130、画像が定着された用紙を用紙処理装置200側に搬送する排紙経路160、一面に画像が形成された用紙を反転し、他面に画像形成させるための両面搬送路170を備えている。
作像部110は、前記作像ステーション111のYMCK各色用の感光体ドラムと、この感光体ドラムの外周に沿って配置された帯電ユニット、現像ユニット、1次転写ユニット、クリーニングユニット、及び除電ユニットと、感光体ドラムに形成された画像を1次転写ユニットによって中間転写する中間転写ベルト112と、感光体ドラムに色毎に画像を書き込む光書き込みユニット113とを備えている。光書き込み部113は、作像ステーション111の下側に配置され、中間転写ベルト112は作像ステーション111の上側に配置されている。中間転写ベルト112は複数の支持ローラによって回転可能に支持され、そのうちの1つの支持ローラ114は2次転写部140で中間転写ベルト112を介して2次転写ローラ115と対向し、中間転写ベルト112上の画像を用紙に2次転写できるようになっている。なお、間接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置の画像形成プロセスは公知であり、本発明の要旨とは直接関係しないので、詳細な説明は省略する。
給紙部120は給紙トレイ121、ピックアップローラ122、給紙搬送ローラ123を備え、給紙トレイ121からピックアップした用紙を縦搬送路130に沿って上方に送り出す。送り出された用紙は2次転写部140で画像が転写され、定着部150に送られる。定着部150は定着ローラと加圧ローラを備え、用紙が両者間のニップを通過する過程で、加熱及び加圧が行われ、トナーが用紙に定着される。
定着部150の下流には、排紙搬送路160と両面搬送路170が設けられ、両者は分岐爪161によって2方向に分岐し、用紙処理装置200側に搬送される場合と、両面搬送路170に搬送される場合とで搬送路が選択される。なお、分岐爪161の用紙搬送方向上流側の直近には分岐搬送ローラ162が設けられ、用紙へ搬送力を付与している。
用紙処理装置200は、画像形成装置100の内部に配置され、あるいは画像形成装置100の排紙トレイ(筐体トレイ)180上に装着され、画像形成装置100から搬送された画像形成済み用紙に所定の処理を施し、最下流に位置する排紙トレイ206に積載するもので、詳細については後述する。なお、図1に示すように画像読み取り装置300を備えた場合には、用紙処理装置200は、画像形成装置100と画像読み取り装置300との間であって、画像形成装置100の筐体の上面に形成された排紙トレイ180、所謂筐体トレイ上の本来空間部であった部分に装着される。これにより、空間の有効利用を図り、省スペース化を促進することができる。
画像読み取り装置300は、コンタクトガラス上にセットされた原稿を光走査して原稿面の画像を読み取る公知のものである。画像読み取り装置300自体の構成及び機能は公知であり、本発明の要旨とは直接関係しないので、詳細な説明は省略する。
大略前記のように構成された画像形成装置100では、画像読み取り装置300から読み取られた原稿データあるいは外部のPCなどから転送された印刷データに基づいて書き込みに使用する画像データを生成し、その画像データに基づいて光書き込み部113から各感光体ドラムに対して光書き込みが行われ、各作像ステーション111で色毎に形成された画像が順次中間転写ベルト112に転写され、中間転写ベルト112上に4色の画像が重畳されたカラー画像が形成される。一方、給紙トレイ121からは前記画像形成に応じて用紙が給送される。用紙は、中間転写部140の直前の図示しないレジストローラ位置で一旦停止し、中間転写ベルト112上の画像先端とタイミングを合わせて送り出され、中間転写部140で2次転写され、定着部150へと送り込まれる。
定着部150で画像が定着された用紙は、片面印刷の場合及び両面印刷の両面印刷後の場合には、分岐爪161の切り替え動作により排紙経路160側へ搬送され、両面印刷の場合には両面搬送路170側へ搬送される。両面搬送路170に搬送された用紙は、反転後、最後中間転写部140に送り込まれて、他側の面に画像が形成された後、排紙経路160側に返送される。排紙経路160側に搬送された用紙は、用紙処理装置200に搬送され、用紙処理装置200で所定の用紙処理を施し、あるいは、処理なしで排紙トレイ206に排紙される。
2.用紙処理装置
図2は用紙処理装置200の平面図、図3は概略構成を示す正面図である。両者は本実施形態に適用される基本的な構成を示している。
図2において、用紙処理装置200は、用紙搬送方向上流側から入口ローラ対202、後端基準フェンス212、ジョガー213、スティプラ215、手前側基準フェンス214、スティプル排紙ローラ203、叩きコロ210、排紙ローラ205、用紙後端押さえ208、排紙トレイ可動部207、及び排紙トレイ206を備えている。
また、図3から分かるように、用紙処理装置200は、ガイド板201、スティプルトレイ209、後端戻しコロ211、後端基準フェンス212、ジョガーフェンス213、排紙開閉ガイド板204も備えている。
すなわち、用紙処理装置200の用紙受け入れ部には画像形成装置100の排紙搬送路から用紙を受け入れるガイド板201が配置され、このガイド板201の用紙搬送方向最上流側に入口ローラ対202が配置され、最下流側に排紙トレイ206に用紙をシフトして排紙する機能を有するスティプル排紙ローラ対203が設けられ、図示しない入口モータにより入口ローラ対202及びスティプル排紙ローラ対203を回転させることによってガイド板201に沿って用紙を搬送する。なお、ガイド板201に沿って設けられた入口ローラ対202及びスティプル排紙ローラ対203が搬送手段として機能する。
排紙の動作は、用紙をシフトして排紙するシフトモード(そのまま排紙するので、ストレート排紙モードとも称される。)と、複数の用紙を綴じて排紙するスティプルモードで異なるので、モード毎に各部構成を加えて説明する。
2.1 シフトモード
シフトモードは、用紙を排紙する際に所定枚数毎に用紙反方向と垂直な方向に用紙の排紙位置をずらし、このずれにより用紙を仕分けするモードである。
スティプル排紙ローラ対203は、ガイド板201の最下流の端部に設けられ、不図示のシフトモータにより用紙搬送方向に対して垂直な方向に往復駆動される。すなわち、シフトモードで用紙の仕分けを行う際、所定枚数毎に用紙搬送方向と垂直な方向に移動し、用紙の搬送方向を垂直な方向に移動した分だけずらして排紙トレイ206に排紙する。これにより排紙トレイ206に積載されたとき、前記所定枚数毎に排紙位置が交互にずれ、用紙の仕分けが行われる。また、スティプル排紙ローラ対203の下流には排紙開閉ガイド板204と排紙ローラ205が配置されている。排紙ローラ205は図示しない排紙モータにより駆動され、排紙開閉ガイド板204は不図示のステッピングモータにより上下動可能であり、排紙ローラ205と排紙開閉ガイド板204に取り付けられた排紙従動ローラ205aにより用紙を挟持して搬送し、用紙を排紙トレイ206へと排紙し、排紙トレイ206上に積載する。
排紙トレイ206の用紙処理装置200本体部への取り付け部には、排紙トレイ206上に積載された用紙を押さえるための用紙押さえ208が配置され、図示しないソレノイドのON/OFFにより用紙押さえ解除動作と用紙押さえ動作が行われる。すなわち、用紙の搬送にあわせてソレノイドをONして用紙押さえ208の押圧動作を解除し、用紙が排紙ローラ205を通過したらソレノイドをOFFして用紙押さえを行う。
排紙トレイ206は、搬送方向下流側の固定トレイ部206aと上流側の可動トレイ部207を備え、可動トレイ部207は図示しないトレイDCモータ及びカム・リンク機構により上下動する。可動トレイ部207は上流側の端部が回動端となって支軸207aを介して固定トレイ部206aに揺動可能に軸支され、カム・リンク機構の作動端がこの可動トレイ207に連結されている。これにより、トレイDCモータが回転し、この回転に応じて可動トレイ部207が前記支軸207aを中心に揺動する。この可動トレイ207は、積載された用紙枚数が一定枚数に達すると、後述の制御部からの指令によりトレイDCモータが回転し、可動トレイ部207の自由端を下降させる。これにより、排紙ローラ205のニップから可動トレイ部207の用紙積載部までの距離が大きくなり、多枚数の積載が可能となる。
また、用紙押さえ207には不図示のトレイ紙面センサが配置され、用紙押さえ207が用紙押さえを行っている状態でトレイ紙面センサがOFFであれば排紙トレイ206を紙面センサがONするまで上昇させ、紙面センサがONしていれば一旦紙面センサがOFFするまで排紙トレイ206を下降し、再度ONするまで上昇させることによって用紙が積載された排紙トレイ206の高さを一定に保つようになっている。この動作を繰り返すことにより排紙トレイ206上に仕分けされた用紙が積載されることになる。
図4は、このときの制御手順を示すフローチャート、図5ないし図8はストレート排紙の場合の排紙開閉ガイド板204の動作を示す動作説明図である。なお、制御は後述のCPUが実行する。以下、図4ないし図8を参照して図4のフローチャートの処理について説明する。
図5において排紙開閉ガイド板204は、ホームポジションで待機しており、用紙216を受け入れるときには図6に示すように排紙開閉ガイド板204の自由端側(排紙従動ローラ205a支持側)が下がった位置へ移動し、排紙トレイ可動部207が上昇する。この状態で用紙をガイド板201から受け入れると(ステップS101)、入口ローラ202とスティプル排紙ローラ203によって用紙を搬送し(ステップS102)、シフトの有無を判断する(ステップS103)。シフト有りの場合には、用紙後端が入口ローラ202を抜けると、スティプル排紙ローラ203が前述のシフト動作を行った後(ステップS104)、排紙開閉ガイド板204を閉じ、シフトなしの場合には、そのまま排紙開閉ガイド板204を閉じる(ステップS105)。
その際、図7に示すように、用紙216の先端が、排紙トレイ206に積載された用紙に引っかかり、丸まりが発生しそうになった場合にも、排紙開閉ガイド板204及び樹脂製の排紙従動ローラ205aで用紙216を押さえ付ける形になる。これにより、用紙216は丸まることなく搬送される。そして、スティプル排紙ローラ203により用紙216がシフトされた後、図8に示すように排紙開閉ガイド板204が閉じ(ステップS105)、用紙216は排出される。この状態で排紙ローラ205によって用紙を搬送し(ステップS106)、後端押さえ208が後退した後(ステップS107)、用紙は排紙トレイ206に排紙される(ステップS108)。
排紙された用紙は排紙トレイ206の可動部206aの後端で前述のようにして後端押さえ208によって押さえられ(ステップS109)、排紙処理は終了する。なお、排紙開閉ガイド板204が閉じる処理と後端押さえ208が退避する処理の実行タイミングは、逆でも良い。また、図示はしていないが、後端押さえ208は紙面高さを検知しており、数枚毎に排紙トレイ可動部を下降上昇させ狙いの紙面高さにしている。
次紙がある場合は、排紙開閉ガイド板204は、再び図6に示す位置へ移動し、次紙を受け入れる。
なお、図5においてギャップG0は排紙ガイド板204がホームポジション位置にあるときの排紙ローラ205と排紙従動ローラ205a間のギャップを示し、図7におけるギャップG1はストレート排紙時に排紙ガイド板204が用紙受け入れ位置にあるときの排紙ローラ205と排紙従動ローラ205a間の間隔を示す。
2.2 スティプルモード
スティプルモードは、用紙を排紙する際に所定枚数毎にスティプラによって綴じて、排紙するモードである。
ガイド板201の最下流側の端部に設けられたスティプル排紙ローラ対203と排紙トレイ206に排紙する直前に設けられた排紙開閉ガイド板204との間には、不図示のステッピングモータにより上下方向に駆動される叩きコロ210が配置されている。叩きコロ210は上下動を行うレバー部分とコロ部分からなり、コロ部分は図示しない排紙モータにより、用紙搬送方向と逆方向に回転駆動される。
スティプルモードでは、用紙後端がスティプル排紙ローラ対203を通過したタイミングで叩きコロ210を下降させ、コロ部分で用紙を積載手段としてのスティプルトレイ209に押し付け、さらにコロ部分を回転させて用紙後端が後端基準フェンス212に突き当たるまでスイッチバックさせる。また、後端基準フェンス212の上部には、図示しない入口モータで駆動される後端戻しコロ211が配置されており、用紙のスイッチバックの補助を行い、また用紙搬送方向の整合を行う。この整合は、後端基準フェンス212に突き当てることにより、用紙の基準が後端基準フェンス212に設定される。
用紙のスイッチバックが完了すると、スティプルトレイ209に配置されているジョガーフェンス213が用紙搬送方向と垂直な方向に手前側基準フェンス214に対して用紙を押し付けるように移動し、用紙の端部に当接して用紙を基準位置に揃え、整合する。その際、用紙の後端の一側の端面は、スティプル処理手段としてのスティプラ215の綴じ針の打ち込み位置まで挿入され、指定枚数の用紙の搬送動作、スイッチバック動作、及び整合動作が完了した後、綴じ処理される。したがって、本実施形態では、後端基準フェンス212及びジョガーフェンス213が整合手段として機能する。
綴じ処理後、排紙開閉ガイド板204を下降させ、排紙ローラ205と排紙開閉ガイド板204に取り付けられた排紙従動ローラ205aにより用紙束を挟持し、排紙モータを駆動することによって用紙束を排紙トレイ206に排紙する。用紙束の排紙を開始してから排紙モータを一定ステップ駆動した後、ソレノイドをONして用紙押さえ208を解除し、矢印223の方向へ移動し排紙の妨げにならない位置に退避し、さらに排紙トレイ206一定量下降させる。用紙束後端が束排紙センサを通過したタイミングで排紙ガイド板を上昇させ、排紙モータを停止して次用紙の受け入れに備える。また、同じタイミングでソレノイドをOFFして用紙押さえを行う。
図9はこのときの処理手順を示すフローチャート、図10ないし図14はこのときの動作を示す動作説明図である。用紙216を受け入れるときには図10に示すように排紙開閉ガイド板204の自由端側(排紙従動ローラ205a支持側)が下がった位置へ移動し、排紙トレイ可動部207が上昇する。この状態で用紙をガイド板201から受け入れると(ステップS201)、入口ローラ202とスティプル排紙ローラ203によって矢印217に示すように用紙を搬送する(ステップS202)。次いで、ジョガーフェンス213が用紙受け入れ位置に移動し(ステップS203)、用紙をスティプルトレイ209に排紙し(ステップS204)、図11に示すように叩きコロ210によって用紙を下流側(矢印220方向)に移動させ(ステップS205)、図12に示すように戻しコロ211によって用紙後端を後端基準フェンスに突き当て、搬送方向の整合動作を行う(ステップS206)。したがって、用紙216は先端側が排紙トレイ206に後端側がスティプルトレイ209に位置し、排紙ローラ205に跨った状態で排紙され、集積される。
搬送方向の整合動作が終わると、ジョガーフェンス213を駆動して用紙を手前側基準フェンス214に寄せ、搬送方向を直交する方向の整合動作を行う(ステップS207)。ステップS206が所謂縦揃えであり、ステップS207が横揃えである。この動作を1枚目から最終紙まで繰り返し(ステップS208)、最終紙まで排紙と整合動作が終了すると、スティプラ215によって用紙束端部を綴じ(ステップS209)、図13において矢印221に示すように排紙開閉ガイド板204を閉じ(ステップS210)、排紙ローラ205と排紙従動ローラ205aによって用紙束を排紙トレイ206側に搬送する(ステップS211−矢印222)。
その間、後端押さえ208が排紙トレイ206上から退避し(ステップS212−矢印23)、排紙トレイ可動部206aが下降し(ステップS213−矢印24)、用紙束が排紙トレイ206上に放出される(ステップS214)。その後、図14に示すように後端押さえ208で用紙束後端を押さえ(ステップS215−矢印226)、排紙トレイ可動部206aを紙面高さまで上昇させて(ステップS216−矢印225)処理を終える。
なお、図10及び図11においてギャップG2はスティプルモード時に排紙ガイド板204が用紙受け入れ位置にあるときの排紙ローラ205と排紙従動ローラ205a間のギャップを示す。
以下、用紙処理装置200について実施例を挙げて説明する。
図15ないし図18は、本実施例1の動作を示す動作説明図である。
図15ないし図18において、本実施例では、スティプルトレイ209の用紙搬送方向最下流側に突起209aが設けられている。この突起209aは図15において正面視三角形状であり、先端(上端)209a1がスティプルトレイ209の上面を基準として排紙ローラ205の上端よりも高い位置に設定されている。さらに、本実施例では、前記先端209a1が排紙ローラ205の用紙搬送方向上流側で、一部排紙ローラ205の上に被さるように配置されている。これにより、スティプルトレイ209上に送り込まれ、あるいは複数枚集積された用紙は、突起209aにより上に持ち上げられ、外力が加わらない限り、排紙ローラ5に接触することはない。
図15ないし図18の動作は、基本的には、前記図9のフローチャート及び図10ないし図14を参照して説明した通りである。ただし、前記突起209aが設けられていることから、スティプルトレイ209上の状態が異なる。すなわち、1枚目の用紙が排紙トレイ206上に排紙されるときには、図15に示すように用紙216は矢印217方向にスティプル排紙ローラ203によって搬送され、図16に示すようにスティプルトレイ209上に落下する。スティプルトレイ209上に落下した用紙216は叩きコロ210により押さえられ、逆方向に駆動力が与えられる。その際、用紙206は、突起109aにより持ち上げられ、また、突起109aの上面形状により排紙ローラ105に接触することなく、図17に示すように矢印220方向に戻される。
図18に示すように部の最終紙まで図15ないし図17に示した動作が繰り返され、スティプルトレイ209上で揃えられた用紙束は、スティプラ215により綴じ処理される。そして、綴じられた用紙束218は、排紙開閉ガイド板204が閉じ、従動ローラ205sを介して排紙ローラ205側に加圧され、排紙ローラ205と接することにより搬送力が付与される。これにより、用紙束218は排紙トレイ206上に排紙される。
したがって、1枚目の用紙216は排紙開閉ガイド板204側から加圧力が付与されない限り、排紙ローラ205とは接触せず、1枚目の用紙216と排紙ローラ205との間に摩擦力が生じることはない。そのため、前記突起109aは、排紙開閉ガイド板204側から加圧力が付与されない限り1枚目の用紙216が排紙ローラ205に接触せず、叩きコロ210によって矢印220方向に容易に戻されるような高さ及び形状に設定されていれば良い。
その他、特に説明しない各部は前述の実施形態で述べた画像形成装置及び用紙処理装置と同等に構成され、同等に機能する。
本実施例によれば、スティプルトレイ209に突起209aを設けたので、スティプルトレイ209上での1枚目の用紙の搬送方向の揃え時の摩擦力を低減することができ、良好な揃えが可能となる。
図19及び図20は、本実施例2の動作を示す動作説明図である。
本実施例は、実施例1における突起209aを揺動部材228に置き換えたもので、この揺動部材228が排紙ローラ205に対して用紙216を持ち上げ、用紙整合時に用紙216が排紙ローラに当接して摩擦力が生じないようにしている。揺動部材228は基端側の支軸228bに揺動自在に支持され、ソレノイド229によって揺動駆動され、揺動部材228の自由端側の湾曲部228aが排紙ローラ205の外周よりも高い位置とスティプルトレイ209の上面より低い位置の2位置に保持される。支軸228bはスティプルトレイ209の下面寄りに設けられ、この位置で揺動部材228を支持している。支軸228bはスティプルトレイ209に設けても、スティプルトレイ209以外の個所に設けてよい。
図19は実施例1における図17に対応し、用紙216がスティプルトレイ209上に排紙され、用紙216を叩きコロ210により揃えるときの状態を示している。同図から分かるように揺動部材228の湾曲部228aの最も高い位置が、スティプルトレイ209の上面に突出し、さらに、排紙ローラ205の外周面の最も高い位置(スティプルトレイ209の上面からの離間距離が最も大きい位置)よりも高い位置に位置している。これにより、用紙216が排紙され、叩きコロ210によって矢印220方向に戻される間、1枚目の用紙216が排紙ローラ205に接触することはない。
一方、スティプルトレイ209に部の最終紙が排紙され、スティプラ215によって綴じられた用紙束を排紙するときは、排紙開閉ガイド板204が閉じられ、用紙束218を排紙ローラ205側に押圧する。その際、図20に示すように、揺動部材228はソレノイド229によってスティプルトレイ209の上面から後退した位置まで引き込まれ、用紙束218は排紙ローラ205に押し当てられ、排紙ローラ205の駆動力が用紙束に伝達され、確実に排紙トレイ206に排紙される。
その他、特に説明しない各部は前述の実施形態で述べた画像形成装置及び用紙処理装置、並びに実施例1の用紙処理装置と同等に構成され、同等に機能する。
本実施例によれば、揺動部材228が用紙束218の排紙時にスティプルトレイ209の上面から退避するので、揺動部材228が用紙束218の最下位の用紙(1枚目)の用紙と接触することがなく、排紙時の余分な抵抗を排除することができる。これにより、排紙トレイ206への排紙が容易かつスムーズに行える。
図21及び図22は、本実施例3の動作を示す動作説明図である。
本実施例は、実施例1における突起109aを板状の弾性部材230に置き換えたもので、この弾性部材230が排紙ローラ205に対して用紙216を持ち上げ、用紙整合時に用紙216が排紙ローラに当接して摩擦力が生じないようにしている。弾性部材230は、基端側がスティプルトレイ209上に固定され、自由端側の先端は集積される用紙216に対して凸状に湾曲し、湾曲部230aの最も高い位置がスティプルトレイ209から予め設定された距離離間した位置(保持位置)に位置するような形状に形成されている。前記予め設定された距離は、最大綴じ枚数がスティプルトレイ209上に排紙され、積載された状態でも確実に1枚目の用紙が排紙ローラ205に接触しないように保持可能であって、排紙開閉ガイド板204が閉じられたときに用紙束218を押圧して確実に排紙ローラ205に当接させ(当接位置)、用紙束218に排紙ローラ205の搬送力を伝達することができる距離である。また、弾性部材230は、前記保持位置と当接位置間で弾性変形可能な弾性係数を有する。なお、弾性部材230としては、金属材あるいは合成樹脂材によって成形された板バネが使用される。
図21は実施例1における図17に対応し、用紙216がスティプルトレイ209上に排紙され、用紙216を叩きコロ210により揃えるときの状態を示している。同図から分かるように揺動部材228の湾曲部228aの最も高い位置が、排紙ローラ205の外周面の最も高い位置(スティプルトレイ209の上面からの離間距離が最も大きい位置)よりも高い位置に位置している。これにより、用紙216が排紙され、叩きコロ210によって矢印220方向に戻される間、1枚目の用紙216が排紙ローラ205に接触することはない。
一方、スティプルトレイ209に部の最終紙が排紙され、スティプラ215によって綴じられた用紙束を排紙するときは、排紙開閉ガイド板204が閉じられ、用紙束218を排紙ローラ205側に押圧する。その際、図22に示すように、排紙開閉ガイド板204が閉じられたときの押圧力により弾性部材230は後退し、用紙束218は排紙ローラ205に押し当てられ、排紙ローラ205の駆動力が用紙束に伝達され、確実に排紙トレイ206に排紙される。
なお、弾性部材230として、弾性を有するフィルム、例えばマイラーシートなどを使用することもできる。なお、マイラーシートを使用した場合、弾性力が小さいが、1枚の用紙を保持するだけの弾性力を備えることは可能である。すなわち、1枚目の用紙216の整合時のみ排紙ローラ205との接触を防止すれば、整合時に排紙ローラ205の摩擦力が影響を与えることはない。2枚目の用紙216からは用紙同士の接触となるので、低摩擦で整合が可能となり、マイラーシートが用紙束218の重さで変形しても、叩きコロ210による整合は確実に行うことができる。また、排紙開閉ガイド板204を閉じたときには、すでに用紙束218の1枚目の用紙216は排紙ローラ205に当接しており、用紙束218は排紙開閉ガイド板204の押圧力をそのまま受けて排紙ローラ205に当接する。これにより、用紙束218は確実に排紙トレイ206に排紙される。
なお、弾性部材230をフィルムによって構成する場合と同様に考えれば、板バネを使用した場合においても、少なくとも1枚の用紙を保持できるだけの弾性力を備えていれば良いことになる。
その他、特に説明しない各部は前述の実施形態で述べた画像形成装置及び用紙処理装置、並びに実施例1の用紙処理装置と同等に構成され、同等に機能する。
本実施例によれば、弾性部材230によって用紙216を押し上げるようにすることにより、スティプルトレイ209上での1枚目の用紙の搬送方向の揃え時の摩擦力を低減することができ、良好な揃えが可能となる。その際、弾性を有する部材を使用するので、湾曲部を後退させる機能は不要であり、その分、実施例2よりも低コストで提供することができる。
図23及び図24は、本実施例4の動作を示す動作説明図である。
本実施例は、これまでの図示した排紙ローラ205にモータ駆動のリンク231を付設し、当該リンク231により排紙ローラ205を用紙搬送位置と退避位置に移動可能とした例である。すなわち、実施例1では突起109aにより、実施例2では揺動部材228により、実施例3では弾性部材230により、用紙216を持ち上げて、少なくともの1枚目の用紙216を整合し、排紙時には排紙開閉ガイド板204を閉じ、排紙ローラ205側に用紙束218を押圧して搬送力を用紙束218に付与していた。これに対し、本実施例では、用紙216の整合時には排紙ローラ205をスティプルトレイ209の上面から退避させて排紙ローラ205と用紙216との接触を回避させ、排紙時にはスティプルトレイ209の上面に突出させ、排紙ローラ205を用紙束218に接触させるようにした。これにより、排紙時には、用紙束218は排紙開閉ガイド板204により排紙ローラ205側に押圧され、排紙可能となる。
図23は、図1における図17に対応し、用紙216がスティプルトレイ209上に排紙され、用紙216を叩きコロ210により揃えるときの状態を示している。このとき、同図から分かるように排紙ローラ205はリンク231によって用紙216に触れることのない退避位置に後退している。この状態で部の最終紙まで整合が終了し、スティプラ215によって綴じ処理される。そして、綴じられた用紙束218を排紙するために排紙開閉ガイド板204が閉じ、用紙束248を加圧するのと略同時に、図24に示すように排紙ローラ205がリンク231によって用紙搬送位置、すなわち排紙ローラ205がスティプルトレイ209の上面より上方に突出し、用紙束218を搬送可能な位置まで移動(上昇)し、排紙ローラ205によって用紙束218に搬送力が付与され、用紙束218は排紙トレイ206に排紙される。なお、リンク231をモータによって駆動する機構は、一般に使用される手法なので、ここでは詳細については説明しない。なお、リンク231に代えて、カム駆動とし、あるいは前記実施例2のようにソレノイドを使用することも可能である。
本実施例では、図23の状態では、排紙ローラ205はスティプルトレイ209の先端側の湾曲部209bよりも下側に位置し、図24の状態では、上側に位置している。これは相対的には、図23の状態では、排紙ローラ205に対してスティプルトレイ209の湾曲部209bが用紙216を上に持ち上げていることに等しく、図24の状態では、持ち上げ状態を解除していることに等しい。そのため、相対的には、実施例2の揺動部材228と同じ動作を行っているとも言える。なお、排紙ローラ205の位置を変更する代わりに、スティプルトレイ209自体を揺動させて、整合時にはスティプルトレイ209によって用紙216を排紙ローラ205よりも上に持ち上げ、排紙時にはスティプルトレイ209を排紙ローラ205よりも低い位置に下げ、用紙束218を排紙ローラ205に当接させるように構成することもできる。両者は排紙ローラ205とスティプルトレイ209の相対的な位置関係で言えば等価である。
図25は実施例5の動作を示す動作説明図である。
本実施例は、図3に示した本実施形態の前提となる図3に示した用紙処理装置200のスティプルトレイ209に用紙突き当てコロ232を設けた例である。用紙突き当てコロ232は、スティプルトレイ209の上面からさらに上方に外周が突出したスポンジコロからなり、スティプル排紙ローラ203によってスティプルトレイ209上に排紙された用紙216を後端基準フェンス212側に移動させることができるようになっている。
図25は実施例1における図17に対応し、用紙216がスティプルトレイ209上に排紙され、用紙216を叩きコロ210により揃えるときの状態を示している。同図から分かるように用紙突き当てコロ232の上に用紙216は排紙され、叩きコロ210が下がって、両者のニップ間に1枚目の用紙216が挟持され、矢印220方向に戻される。この戻し動作により用紙216の後端が後端基準フェンス212に当接し、それ以上、移動できなくなると、用紙突き当てコロ232がスポンジコロであることから、用紙216の表面で滑り、用紙216はそれ以上搬送されることはない。これにより、用紙突き当てコロ232の回転動作に対して細かな制御は不要となる。
その他、特に説明しない核は前述の実施形態で述べた画像形成装置及び用紙処理装置と同等に構成され、同等に機能する。
本実施例によれば、用紙突き当てコロ232が用紙216の下面側から用紙216に接して後端基準フェンス212に用紙後端を突き当てるので、綴じ処理する1枚目の用紙216の搬送方向の揃えを行うとき、用紙216の両面から搬送力を付与することが可能となる。その結果、1枚目の用紙216のみが受ける排紙ローラ205及びスティプルトレイ206の上面との間の摩擦力に相応する搬送力を補うことができ、用紙の整合性の向上を図ることが可能となる。
なお、スポンジコロに代えて一般に使用されるゴム又は合成ゴム系のコロを使用する場合には、トルクリミッタを使用すると良い。すなわち、用紙突き当てコロ232の回転軸に、図示矢印220方向への搬送方向(回転方向)について予め設定したトルク以上になると空転するリミッタを設ける。これにより、用紙216が後端基準フェンス212に当接し、それ以上移動しない場合には、トルクリミッタが作用し、搬送力が用紙216に伝達されない。その結果、後端基準フェンス212に用紙216が突き当たった後は、用紙突き当て手段は空転し、用紙を搬送しすぎることなく良好な整合性を発揮することができる。また、用紙216との間でスリップをさせないので、用紙216上の画像に対して悪影響を及ぼすこともない。
3.制御装置
図26は本実施形態に係るシステムの制御構成を示すブロック図である。
同図において、画像形成装置100の制御はCPU411、ROM412、RAM413、不揮発RAM414、シリアルI/F415、タイマ416などを内蔵した画像形成装置制御部410によって実行される。
制御のためのプログラムコードはROM412に格納され、CPU411はプログラムコードをRAM413に展開し、制御に必要なデータをRAM413に記憶し、当該RAMをワークエリアとして使用しながら前記プログラムコードによって定義されたプログラムを実行し、各部を制御する。
画像形成装置制御部410には、感光体などの作像部110で使用されるモータ、給紙部120、給紙搬送路130、両面搬送路170における各種モータやクラッチなどの各種直流負荷450、各種交流負荷470、定着ローラの温度を検出する温度センサなどの各種センサ460が接続されている。また、画像読み取り装置300、及び操作表示部440が接続され、画像形成装置制御部407を介して各部が制御される。
用紙処理装置200の制御は、CPU401、ROM402、RAM403、シリアルI/F404、タイマ405などを内蔵した用紙処理装置制御部400によって実行される。制御のためのプログラムコードはROM402に格納され、CPU401はプログラムコードをRAM403に展開し、制御に必要なデータをRAM403に記憶し、当該RAMをワークエリアとして使用しながら前記プログラムコードによって定義される制御を実行し、各種直流負荷420の制御を行っている。
画像形成装置100と用紙処理装置200は、シリアルI/F415及び404を介して用紙搬送制御に必要なコマンドを送受し、用紙処理装置200のCPU401は該コマンド及び各種センサ430から得られる用紙位置情報により、排紙開閉ガイド板204の駆動制御、スティプル排紙ローラ203の駆動制御、図示しないシフト機構のシフト駆動制御、排紙トレイ206の高さ位置の制御、排紙トレイ可動部207の回動制御、用紙後端押さえ208の回動制御、ジョガーフェンス213の整合制御、叩きコロ210による整合制御、ソレノイド229による揺動部材228の揺動制御、リンクによる排紙ローラ205の昇降制御、用紙突き当てコロ232と叩きコロ210による用紙の突き当て制御、スティプラ215の綴じ制御を含む各種制御を実行する。
前記各実施例を含む本実施形態では、画像読み取り装置300と画像形成装置100の画像形成部を有する本体部との間の空間に用紙処理装置200が設けられているが、用紙処理装置200の取り付け空間は、この実施形態に限られるものではなく、例えば、画像形成装置100本体側面から排紙される形式のものでは、本体側面に設置される。いずれにしても、画像形成装置100の本体形状、本体構造、排紙位置に応じて設置位置は設定される。但し、どの位置に設置しても、画像形成装置100の排紙トレイ(筐体トレイ)上に装着しても、用紙処理装置200の構成、動作、及び制御は同等である。
なお、本発明は本実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された発明の技術思想に含まれる技術的事項の全てが対象となることは言うまでもない。