JP5396293B2 - 地熱利用システム - Google Patents

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    • Y02E10/10Geothermal energy

Description

本発明は、地熱を利用して建物の室温を調整する地熱利用システムに関する。
この種の地熱利用システムとして、特許文献1には、室内に床暖房パネルと熱交換装置とを設けると共に地盤に埋設される基礎支柱に設置した配管をこれら床暖房パネルと熱交換装置とに接続して熱媒の循環回路を形成し、寒冷期には、床暖房パネルと基礎支柱の配管との間で熱媒を循環させ、温暖期には熱交換装置と基礎支柱内の配管との間で熱媒を循環させる構成が開示されている。かかる地熱利用システムにおいては、年間を通じて比較的安定的な地熱を有効的に利用できるので、電気やガス等の実質的なエネルギーの節減を実現することができる。
特開2003−021360号公報
しかしながら、上記特許文献1の地熱利用システムでは、寒冷期対策用の暖房パネルの他に、夏場などの温暖期対策のための熱交換装置が別途必要であり、初期設備投資が膨大となるという問題がある。
この問題を解決するために、温暖期であっても床暖房パネルに室温よりも低温の熱媒(冷媒)を供給して冷房効果を発揮させることが考えられるが、室内の温度や湿度との関係によっては、基礎支柱を通過した熱媒の温度が相対的に下がりすぎ、これによって、床暖房パネルの表面が結露し、床面に水溜りや腐食を発生させてしまうという虞があった。かかる現象を避けるべく、適宜箇所に温度センサーを取り付け、結露しそうな温度ではヒーター等で或る程度加温させてから床暖房パネルに液体を流すことが考えられるが、エネルギーのロスが大きく、システムも過剰になってしまうという問題があった。
本発明は、以上の課題を解決することを目的としており、温暖期において室内の熱交換装置に地中を循環させた熱媒を供給しても、その熱交換装置や室内での結露の発生を抑制することができ、結果として設備負担も低減できる地熱利用システムを提供することを目的とする。
本発明は、地盤に埋設されると共に、内側と外側との間で熱交換可能な熱伝管と、建物の室内に設けられて吸放熱を可能とする熱交換装置と、熱伝管と熱交換装置とを連絡すると共に、熱伝管と熱交換装置との間を循環する熱媒が流動する循環ラインとを備え、熱交換装置で吸収された熱量を地盤に伝達可能とする地熱利用システムにおいて、地盤に埋設されると共に、建物に供給される水道水が流動する地中水道配管部を備え、熱伝管は、地中水道配管部との間で熱交換可能に配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、熱伝管内の熱媒は、地盤との間で熱交換を行うことはもちろん、地中水道配管部を流動する水道水との間でも熱交換を行うことが可能となる。ここで、水道水は、温暖期には地中の温度よりも高温の状態で地中水道配管部を流動する。したがって熱伝管内の熱媒は、地盤との熱交換によって温度が下がり、一方で、水道水との熱交換によって温度が上がる。ここで、露点温度よりも熱媒の温度が低くなりすぎると、熱媒が供給される熱交換装置で結露が生じる可能性がある。しかしながら、上記構成では、温暖期において熱媒の温度を地盤との熱交換によって単に下げるだけではなく、水道水から供給される熱量によって地中の温度よりも僅かに高い温度まで上げることができるため、適正な温度状態で室内の熱交換装置に熱媒を供給することができ、熱媒の温度を下げながらも室内を露点温度以上に保持し易くなる。特に、温暖期の中でも相対的に露点温度が低くて結露が発生し難い初夏や晩夏等には熱媒の温度は露天温度よりも高くなるので、温暖期において室内の熱交換装置に地中を循環させた熱媒を供給しても、その熱交換装置や室内での結露の発生を抑制することができ、従って、結露の発生のために熱交換装置の使用を避ける期間を圧縮して一年を通して熱交換装置を使用できる期間を増やすことができる。その結果として設備負担も低減できる。
また、水道水の側から見ると、地中水道配管部を地盤に埋設することで、寒冷期においては、地盤との間での熱交換がなされることによって水道水の温度が上がり、例えば、その水道水を温めるボイラなどでの消費エネルギーの削減が可能になる。
さらに、地盤に埋設されて熱伝管と地中水道配管部とを熱交換可能に収容すると共に、地盤との間で熱交換可能な熱伝体を更に備えると好適である。熱伝体を介在させることで熱伝管と地中水道配管部との間での安定した熱交換が可能になる。
また、熱伝管及び地中水道配管部の下部は、地盤のうち、年間を通じた地中の平均温度を基準にして、年間を所定の期間で区分した時期ごとの地中の平均温度の変動幅の絶対値が3℃以下となる深層部まで達するようにすると好適である。深層部では平均温度の変動幅の絶対値が3℃以下と非常に小さいため、地中水道配管部の下部が深層部まで達するようにすることで、地中水道配管部内を流動する水道水の水温は季節に応じて変動し難くなり、さらに、熱伝管の下部が深層部まで達するようにすることで、地盤及び地中水道配管部との間で熱交換が行われる熱伝管を流動する熱媒の温度も安定する。その結果、外気の気温変化による影響を抑えながら、熱交換装置によって室温を定温に保持し易くなる。
また、熱伝管及び地中水道配管部の下部は、地中の平均温度の最も高くなる時期が外気の平均気温の最も高くなる時期となる上層部と、地中の平均温度の最も高くなる時期が外気の平均気温の最も高くなる時期からずれる下層部とを有する地盤のうち、下層部まで達すると好適である。下層部では、地中の平均温度の最も高くなる時期が外気の平均気温の最も高くなる時期からずれているため、地中水道配管部の下部が下層部まで達するようにすることで、特に、温暖期での外気温と水温との乖離が大きくなり、外気温に比べて水温が相対的に低くなる。さらに、熱伝管の下部も下層部まで達するので、地盤及び地中水道配管部との間で熱交換が行われる熱媒の温度も外気温に比べて相対的に低くなり、従って、温暖期に冷房効果を発揮させる上で有効である。
さらに、熱伝管及び地中水道配管部の下部は、地盤のうち、年間を通じて地中の平均温度が安定した不易層まで達すると好適である。不易層では、年間を通して地中の平均温度が安定し、従って、地中水道配管部の下部が不易層まで達するようにすることで、外気温の影響を受け難く水温が安定する。さらに、熱伝管の下部が不易層まで達するようにすることで、地盤及び地中水道配管部との間で熱交換が行われる熱伝管を流動する熱媒の温度も安定し、熱媒が供給される熱交換装置によって室温を定温に保持し易くなる。
さらに、循環ラインは、熱伝管から熱交換装置に向けて熱媒を供給する往路管と、熱交換装置から熱伝管に向けて熱媒を供給する復路管と、往路管と復路管とを連絡するバイパス管と、往路管とバイパス管とが接続された第1接続部に設けられると共に、往路管から熱交換装置に向けた順流路と往路管から前記バイパス管に向けたバイパス流路との間で一方の流路を遮断して他方の流路へ切り替える切り替えバルブと、第1接続部と熱伝管との間に配置されると共に、バイパス流路を流動する熱媒に熱量を供給する熱供給装置と、を備えると好適である。この構成によれば、順流路を流れる熱媒の温度が結露を発生させ兼ねない温度の場合には、バイパス流路に切り替えることで結露の発生を防止することができる。また、バイパス流路を流動して循環する熱媒は熱供給装置から熱量が供給されるために温度が上昇する。従って、熱媒の温度が結露を発生させない温度になるまで循環を続けて温度調節を行い、温度調整がなされた頃を見計らって順流路に切り替えることで、結露の発生を確実の防止しながら、地中で冷却された熱媒を熱交換装置に供給することができるものとなる。
さらに、熱供給装置は、熱媒を循環させる循環ポンプであると好適である。循環ポンプで発生する熱量を有効活用でき、エネルギー効率の向上を図ることができ、さらに、循環ポンプで熱供給装置も兼用できるので、設備の小型化にも有効である。
さらに、熱伝管から往路管の第1接続部まで流動する熱媒の温度を検出可能な熱媒温度検出手段と、室内の温度と湿度とを検出可能な室内温湿度検出手段と、熱媒温度検出手段から取得した前記熱媒の温度と前記室内温湿度検出手段から取得した前記室内の温度及び湿度とに基づいて前記切り替えバルブを制御して流路の切り替えを行う制御手段と、を備えると好適である。この構成によれば、制御手段により、熱媒の温度と室内の温度及び湿度との相関関係に基づいて熱媒の流路が形成されることになり、より適正な運転が可能となる。
さらに、制御手段は、室内の温度及び湿度に基づいて結露発生温度を特定すると共に、熱媒の温度が結露発生温度より高い場合には、順流路を維持し、熱媒の温度が結露発生温度以下に下がった場合には、バイパス流路に切り替えると好適である。この構成によれば、結露の発生を効果的に防止できる。
本発明によれば、温暖期において室内の熱交換装置に地中を循環させた熱媒を供給しても、その熱交換装置や室内での結露の発生を抑制することができ、結果として設備負担も低減できる。
地熱利用システムの概略を示す図である。 地盤に埋設された鋼管杭及び鋼管杭の内部を示し、(a)は側断面図であり、(b)は(a)のb−b線に沿った断面図である。 ボイラを模式的に示す図である。 地熱利用システムにおける熱媒及び水道水の流路を示す図であり、(a)は温暖期の順流路を示す図であり、(b)はバイパス流路を示す図である。 地熱利用システムにおける熱媒及び水道水の流れを示す図であり、寒冷期の流路を示す図である。 空気線図を示し、(a)は、乾球温度が−10℃〜50℃の範囲における乾球温度、絶対湿度及び相対湿度の関係を示し、(b)は乾球温度が40℃で相対湿度が50%の湿り空気の場合の露点温度を示すグラフである。 日本国内の各地区での外気温と地中温度との関係を示し、(a)は関東地方の一地区での月ごとの地中平均温度と外気温とを示すグラフであり、(b)は中部地方の一地区での月ごとの地中平均温度と外気温とを示すグラフである。 日本国内の各地点での外気温と地中温度との関係を示し、(a)は近畿地方の一地区での月ごとの地中平均温度と外気温とを示すグラフであり、(b)は九州地方の一地区での月ごとの地中平均温度と外気温とを示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に示されるように、本実施形態に係る地熱利用システム1は、建物Bの各室に設置された床暖房パネルユニット(熱交換装置)3と、水道水W1(図2(b)参照)または床暖房パネルユニット3に供給される水(以下、「熱媒」という)W2を加熱するボイラ5と、を備えている。さらに、地熱利用システム1は、敷地内の地盤Gに埋設された熱伝体7と、熱伝体7内に収容された熱伝管9及び地中水道管(地中水道配管部)11と、熱伝管9、床暖房パネルユニット3及びボイラ5を連絡する循環ライン13とを備えている。地熱利用システム1は、床暖房パネルユニット3から熱量を放出可能であると共に、床暖房パネルユニット3で吸収された熱量を、熱伝管9を介して地盤Gに伝達可能とするシステムである。
床暖房パネルユニット3は建物Bの室内に設置されている。床暖房パネルユニット3は、例えば、パネル表面を構成する床材、パネル表面に均一に熱を伝えるための金属性の裏面材、床材及び裏面材に挟まれるように内蔵されて温水が流動する架橋ポリエチレン管などを備えている。床暖房パネルユニット3は、冬場などの寒冷期には、架橋ポリエチレン管内を温水などの熱媒W2が流れ、熱媒W2で室内に熱量を放出(放熱)して室内を暖房する。また、夏場などの温暖期には、架橋ポリエチレン管内を15℃程度の温度の熱媒(「冷媒」ともいう)W2が流れ、その熱媒W2で室内の熱量を吸収(吸熱)して室内を冷房する。
ボイラ5(図3参照)は、筺体5a内に設置された一対のバーナ部5b,5cと、バーナ部5b,5cに燃料ガスを供給する燃料供給管5dと、一方のバーナ部5bによって加熱される熱媒加熱管5eと、他方のバーナ部5cによって加熱される水道水加熱管5fと、を備えている。熱媒加熱管5eは金属管からなり、床暖房パネルユニット3に供給される熱媒W2が流動する。また、水道水加熱管5fは金属管からなり、建物B内に供給される水道水W1が流動する。
熱伝体7(図2参照)は、敷地の地盤Gにおいて横一列に並んで埋設された複数の鋼管杭15と、鋼管杭15内に充填された水17とを備えている。図2では、鋼管杭15が埋設される構成の一例が模式的に示されている。例えば、鋼管杭15は、先端(下部)15aが閉塞され、その先端(下部)15aが地盤G内の所定の深さに達するまで埋め込まれるようにして設置されている。そして、鋼管杭15が埋設される地盤Gの地表には、鋼管杭15の地上側開放端を覆う杭頭キャップ18が設けられ、杭頭キャップ18の上部には、開口を閉鎖する金属製の蓋19が設置されている。
ここで、鋼管杭15が埋設される地盤Gの温度状態について、図7及び図8を参照して説明する。図7及び図8は、一年を月単位で区分し、月ごとの外気の平均気温および地中の平均温度を割り出して表示したグラフである。そして、図7(a)は関東地方の一地区での計測結果を示しており、図7(b)は中部地方の一地区での計測結果を示しており、図8(a)は近畿地方の一地区での計測結果を示しており、図8(b)は九州地方の一地区での計測結果を示している。
関東地方(図7(a)参照)の一地区では、地下5mでの年間を通じた地中の平均温度は16℃程度であり、この平均温度を基準にして、年間を月(所定の期間)で区分した時期ごとの地中の平均温度の変動幅が−3℃から+3℃の範囲に含まれている。すなわち、この地区では、年間を通じた地中の平均温度を基準にして、地中の平均温度の変動幅の絶対値が3℃以下になっている。また、中部地方(図7(b)参照)の一地区では、地下5mでの年間を通じた地中の平均温度は14℃程度であり、この平均温度を基準にして、地中の平均温度の変動幅の絶対値が3℃以下になっている。
また、近畿地方(図8(a)参照)の一地区では、地下5mでの年間を通じた地中の平均温度は16℃程度であり、この平均温度を基準にして、地中の平均温度の変動幅の絶対値が3℃以下になっている。また、九州地方(図8(b)参照)の一地区では、地下5mでの年間を通じた地中の平均温度は18℃程度であり、この平均温度を基準にして、地中の平均温度の変動幅の絶対値が3℃以下になっており、さらに、地下10mでの年間を通じた地中の平均温度は略18℃で安定している。
一般に地盤Gは、時間単位での外気温の影響を受けやすい表層部Gaの深さ方向の中段当りから温度勾配が急激なものとなり、表層部Gaよりも深い深層部Gbでは時間単位での外気温の影響が僅かなものとなって地中の温度状態は所定の温度に維持されて安定する。上述の各地区では、地下5m以上の深い場所では、月ごとの地中の平均温度の変動幅の絶対値が3℃以下で安定している。つまり、本実施形態では、月ごとの地中の平均温度の変動幅の絶対値が3℃以下となる深層領域(例えば、地下5mよりも深い領域(5m含む))を地盤Gの深層部Gbといい、外気温の影響を受けて、地中の平均温度の変動幅の絶対値が基準となる平均気温に対して3℃よりも大きくなる表層領域(例えば、地下5mよりも浅い領域)を地盤Gの表層部Gaと称している。
また、地中の深層領域には、不易層Gcと称される部分も存在する。不易層Gcとは、外気温の変化に影響を受けず、年間を通じて地中温度の変化が非常に小さくて安定している領域であり、一般的には、地中6m〜10m程度の領域と考えられている。また、地中の深層領域には、常温帯層(10m〜30m程度)と称される領域も存在する。
また、図7及び図8で示されるように、外気の平均気温が最も高くなるのは8月であり、地下1mでの地中の平均温度も8月が最も高くなっており、地下1mでの地中の温度は、外気の温度の影響を強く受けていることが理解できる。このように、外気の平均気温が最も高くなる時期と地中の平均温度の最も高くなって時期とが重なる部分を地盤Gの上層部Gdという。一方で、地下2mよりも深い位置での地中の平均気温が最も高くなる月は、8月からズレて9月またはそれ以降の月にシフトしており、外気温の直接の影響が緩和されていることが理解できる。このように、外気の平均気温が最も高くなる時期と地中の平均温度の最も高くなって時期とがズレている部分を地盤Gの下層部Geという。
図2に示されるように、熱伝体7を構成する鋼管杭15は、先端(下部)15aが6mを超える深さまで埋設された状態にあり、従って、鋼管杭15の先端15aは、地盤Gの深層部Gbにまで到達しており、また、地盤Gの不易層Gcまで到達しており、また、地盤Gの下層部Geまで到達している。その結果、鋼管杭15の内部に収容された熱伝管9の下部6a及び地中水道管11の下部11aも、地盤Gの深層部Gbにまで到達しており、また、地盤Gの不易層Gcまで到達しており、また、地盤Gの下層部Geまで到達している。
図1及び図2に示されるように、熱伝管9は、鋼管杭15内に収容された略U字状の配管からなり、U字状の湾曲部位(熱伝管9の下部9a)が鋼管杭15の底側となるように挿入され、鉛直方向に沿って延在している。熱伝管9は、熱媒W2が流動する内側と周囲が水17で囲まれた外側との間で熱交換可能な材料からなり、例えば、ポリエチレン管、耐衝撃性硬質塩化ビニール管(HIVP)、硬質塩化ビニール管(VP)、硬質塩化ビニールライニング鋼管、ダクタイル鋳鉄管、ステンレス鋼管(SUS304、SUS316)などを適宜に用いて構成される。
熱伝管9は、鋼管杭15の長手方向に沿って地盤Gの表層側から深層側に向けて熱媒W2が流動する下降流路部9bと、下降流路部9bの下端に連絡して地盤Gの深層側から表層側に向けて熱媒W2が流動する上昇流路部9cと、を有している。下降流路部9bの上端は、床暖房パネルユニット3を通って流れて来た熱媒W2の入口9dになり、上昇流路部9cの上端は、熱伝管9内を流動する熱媒W2の出口9eになる。
熱伝管9は、複数の鋼管杭15のそれぞれに収容されており、各熱伝管9の入口9dは、水平面に沿って埋設された入口側分配管21にそれぞれ接続されている。また、各熱伝管9の出口9eは、水平面に沿って埋設された出口側合流管23にそれぞれ接続されている。従って、床暖房パネルユニット3を通って流れて来た熱媒W2は、入口側分配管21によって各熱伝管9に分配され、各熱伝管9を通って流れて来た熱媒W2は、出口側合流管23で集められて床暖房パネルユニット3側へ供給される。
入口側分配管21及び出口側合流管23(図2(a)参照)は、鋼管杭15の地上側開放端を覆う杭頭キャップ18を連絡するように埋設されており、熱伝管9は、杭頭キャップ18内で入口側分配管21及び出口側合流管23に継ぎ手(図示せず)などを介して接続されている。杭頭キャップ18から蓋19を外すことで、杭頭キャップ18内が開放され、従って、熱伝管9などのメンテナンスを簡単に行うことができる。
図1に示されるように、敷地内には、上流側の主水道配管25と、下流側の主水道配管27とが敷設されており、さらに、上流側の主水道配管25と下流側の主水道配管27とを連絡する埋設配管29が設けられている。埋設配管29は、複数の鋼管杭15内にそれぞれ収容された略U字状の地中水道管11と、隣り合う地中水道管11同士を直列的に連絡する地中連絡管31と、を有する。地中水道管11は熱伝管9に並んで設けられており、地中水道管11と熱伝管9とは鋼管杭15内の水17を介して互いに熱交換可能に設置されている。上流側の主水道配管25から供給された水道水W1は、埋設配管29を通って下流側の主水道配管27に供給される。下流側の主水道配管27は、ボイラ5の水道水加熱管5fに接続されており、ボイラ5によって所定の温度まで加熱された水道水(温水)W1は建物B内の水道管に供給される。
上流側の主水道配管25、下流側の主水道配管27および埋設配管29は、水道用ポリエチレン管、水道用耐衝撃性硬質塩化ビニール管(HIVP)、水道用硬質塩化ビニール管(VP)、水道用硬質塩化ビニールライニング鋼管、水道用ダクタイル鋳鉄管、水道用ステンレス鋼管(SUS304、SUS316)などを適宜に用いて構成される。
循環ライン13は、断熱材などによって被覆された樹脂製または金属性の管路を備えて構成される。循環ライン13は、地中に埋設された入口側分配管21及び出口側合流管23を介して複数の熱伝管9に接続されると共に、室内の床暖房パネルユニット3にも接続され、熱伝管9と床暖房パネルユニット3との間を循環する熱媒W2が流動する。
循環ライン13は、出口側合流管23の出口端と床暖房パネルユニット3の入口とを連絡し、熱伝管9から床暖房パネルユニット3に向けて熱媒W2を供給する往路管33と、床暖房パネルユニット3の出口と入口側分配管21の入口端とを連絡し、床暖房パネルユニット3から熱伝管9に向けて熱媒W2を供給する復路管35と、往路管33と復路管35とを連絡するバイパス管37と、を備えている。
往路管33とバイパス管37との接続部(以下、「第1接続部」という)39には、流路を切り替えるための三方弁(切り替えバルブ)41が設けられており、第1接続部39と入口側分配管21との間には、バイパス管37と埋設配管29との間で熱媒W2を循環させる循環ポンプ43が設置されている。また、復路管35とバイパス管37との接続部(以下、「第2接続部」という)45と出口側合流管23との間には、復路管35を開閉する第1開閉弁47が設けられている。
三方弁41は、往路管33から床暖房パネルユニット3に向けた順流路と往路管33からバイパス管37に向けたバイパス流路との間で一方の流路を遮断して他方の流路へ切り替える。また、循環ポンプ43は、バイパス流路が形成された際に、バイパス流路内で熱媒W2を循環させ、バイパス流路を流動する熱媒W2に熱量を供給する熱供給装置としても機能する。
また、循環ライン13は、往路管33とボイラ5の熱媒加熱管5eの入口とを連絡する往路分岐管49と、復路管35とボイラ5の熱媒加熱管5eの出口とを連絡する復路分岐管51とを備えている。往路分岐管49は、第1接続部39と床暖房パネルユニット3との間に接続されており、復路分岐管51は、第2接続部45と床暖房パネルユニット3との間に接続されている。
また、往路分岐管49には、流路を開閉する第2開閉弁53が設けられ、復路分岐管51には、流路を開閉する第3開閉弁55が設けられている。寒冷期などには、三方弁41を切り替え、さらに復路管35に配置された第1開閉弁47を閉じ、さらに第2開閉弁53と第3開閉弁55とを開くことで床暖房パネルユニット3とボイラ5との間での循環流路が形成される。この状態で、ボイラ5によって熱媒W2を加熱しながら、図示しない熱媒移送ポンプによって熱媒W2を循環させることで、室内の暖房を図ることが可能になる。
また、地熱利用システム1は、建物Bの室内の温度及び湿度を検出する温湿度センサ(室内温湿度検出手段)57及び熱媒W2の温度を検出する熱媒温度センサ(熱媒温度検出手段)61を備えている。温湿度センサ57は、床暖房パネルユニット3が設置された各室に配置されており、また、熱媒温度センサ61は、循環ライン13の往路管33において、三方弁41が配置された第1接続部39と循環ポンプ43との間を流動する熱媒W2の温度を検出可能な位置に設けられている。
また、地熱利用システム1は、室温や熱媒W2の温度などを監視しながら熱媒W2の流路を形成したり、また、ボイラ5の運転などを制御したりする制御装置63を備えている。制御装置63は、CPU,RAM,ROMなどが実装された制御基板やメモリ、オペレータ(操作者)の操作入力を受け付ける操作受付手段、及び各種制御信号の送受信を行う通信モジュールなどを備えており、制御基板が所定のプログラムに従って動作処理を行うことによって各種機能を実現する。
また、制御装置63は、三方弁41、循環ポンプ43、第1開閉弁47、第2開閉弁53、第3開閉弁55、温湿度センサ57、熱媒温度センサ61、ボイラ5などに制御信号や検出値データなどを送受信可能に接続されている。例えば、制御装置63は、熱媒温度センサ61で検出された検出値(温度データ)や温湿度センサ57で検出された検出値(温度及び湿度データ)を監視しており、その検出値に基づいて、三方弁41、第1開閉弁47、第2開閉弁53または第3開閉弁55の開閉制御を行い、さらに、ボイラ5の運転の開始、停止または水道水W1や熱媒W2を所定温度に保つような自動制御を行う。
また、制御装置63のメモリには、図6に示されるような空気線図に係るデータが格納されている。ここで、空気線図について説明し、さらに、本実施形態に係る地熱利用システム1において、この空気線図がどのように利用されるかについて説明する。
空気中に含むことのできる水蒸気の量は決っており、温度が高いと空気中に多くの水蒸気を含むことができる。逆に、温度が低くなると、空気中に含むことのできる水蒸気の量は少なくなる。水蒸気を含む空気の性質を表したものが空気線図(図6(a)参照)である。空気線図を使用することで、空気の状態変化を簡易的に知ることができる。例えば、温度40℃、相対湿度50%の室内を冷却した時、空気線図(図6(b)参照)にて示されるように、相対湿度が100%となるのは約28℃である。これが、露点温度となり、露点温度に冷却すると、空気中に水蒸気を含むことができなくなって結露が発生する。制御装置63は、メモリに格納された空気線図を参照し、そして、温湿度センサ57で検出された室温および湿度に基づいて結露発生温度を特定する。
次に、地熱利用システム1の運転手順、および、地熱利用システム1の作用、効果について図4及び図5を参照して説明する。図4は、温暖期における熱媒W2の流路パターンを説明する図であり、(a)は通常運転状態を示し、(b)は結露回避運転状態を示す。また、図5は、寒冷期における熱媒W2の流路パターンを説明する図である。なお、図4及び図5では、便宜的に熱伝体7が一つであるとして示している。まず、図4を参照して、夏場などの温暖期における運転手順等について説明する。
通常運転状態とは、床暖房パネルユニット3に室温よりも低温の熱媒W2を供給することで、温暖期における冷房効果を発揮させる運転状態である。ここで制御装置63は、熱媒W2が、熱伝管9から出口側合流管23及び往路管33を通って床暖房パネルユニット3に供給され、さらに、床暖房パネルユニット3での吸熱後に復路管35、入口側分配管21を通って熱伝管9に戻るような順流路を形成する。具体的には、往路管33が床暖房パネルユニット3に連通するように三方弁41を切り替え、第1開閉弁47の開放、第2開閉弁53及び第3開閉弁55を閉鎖して順流路を形成し、更に図示しない熱媒移送ポンプを駆動して順流路にて熱媒W2を循環させる。
ここで、床暖房パネルユニット3に供給される熱媒W2は、熱伝管9と床暖房パネルユニット3との間を循環している。そして、熱伝管9は、熱伝体7と一緒に地中に埋設された状態にあり、熱伝体7を介して地盤Gとの間で熱交換可能であり、さらに、熱伝体7の水17を介して地中水道管11との間でも熱交換可能に配置されている。
温暖期において熱媒W2の温度を地盤Gとの熱交換によって単に下げるだけでは、例えば、熱媒W2が露点温度よりも低くなり過ぎて結露が発生する可能性が高くなる。しかしながら、熱伝管9内を流動する熱媒W2は、地盤Gに向けて熱量を放出する一方で、地中水道管11を通る水道水W1から供給される熱量によって地中の温度よりも僅かに高い温度に保持される。従って、露点温度よりも低くなり過ぎない適正な温度状態で熱媒W2を床暖房パネルユニット3に供給し易くなる。その結果、地中を循環させた熱媒W2を床暖房パネルユニット3に供給して冷房効果を発揮させることができると共に、床暖房パネルユニット3や室内での結露の発生を抑制することができ、結果として他の冷房設備が不要になったり、また、少なくとも他の冷房設備での消費エネルギーを節減できたりするなどして設備負担を低減できる。
特に、真夏に比べて相対的に露点温度が低くなる初夏や晩秋には、通常運転状態においても結露の発生を効果的に防ぐことができ、従って、このような季節であれば、通常運転状態で使用しても結露の発生を抑止し、且つ冷房効果も期待できる。
一方で、湿度が高い時期などにおいては、どうしても結露が発生し易くなり、このような時期に熱媒W2の供給によって床暖房パネルユニット3の温度が露点温度以下にまで下がると、結露が発生して室内環境が悪化する可能性がある。そこで、制御装置63は、温湿度センサ57で検出された室温及び湿度を監視して結露発生温度を特定し、更に熱媒温度センサ61での検出値を監視して熱媒W2の温度が結露発生温度以下になると結露回避運転状態となるように流路の切り替えを行う。なお、結露発生温度とは、空気線図から割り出された露点温度そのものであっても良いし、結露の発生を確実に防止するために露点温度よりも僅かに高い温度であってもよい。
結露回避運転状態とは、熱媒W2が床暖房パネルユニット3まで到達せずに、バイパス管37を通って熱伝管9に戻るように熱媒W2を循環させる運転状態である。ここで制御装置63は、熱媒W2が、熱伝管9から出口側合流管23、往路管33及びバイパス管37を通り、床暖房パネルユニット3を通らずに復路管35及び入口側分配管21を通って熱伝管9に戻るようなバイパス流路を形成する。具体的には、三方弁41をバイパス管37側に切り替え、更に循環ポンプ43を駆動してバイパス流路で熱媒W2を循環させる。
バイパス流路を循環する熱媒W2は、循環ポンプ43の駆動によって循環ポンプ43から熱量の供給を受け、時間の経過とともに温度が上昇する。制御装置63は、熱媒W2がバイパス流路を循環している間も熱媒温度センサ61での検出値を監視し、熱媒W2の温度が結露発生温度を超えると順流路となるような切り替え制御を実行する。
次に、図5を参照して、冬場などの寒冷期における運転手順等について説明する。寒冷期において制御装置63は、熱媒W2が、ボイラ5と床暖房パネルユニット3との間で循環するように熱媒W2の流路を形成する。具体的には、三方弁41を切り替えて熱伝管9側への流路を遮断するとともに、第1開閉弁47の閉鎖、第2開閉弁53及び第3開閉弁55の開放を行って流路を形成し、更に図示しない熱媒移送ポンプを駆動して熱媒W2を循環させる。さらに、制御装置63はボイラ5を駆動制御し、熱媒W2を加熱して所定温度に保持する。
寒冷期においては、ボイラ5で温められた熱媒(温水)W2が床暖房パネルユニット3に供給され、床暖房パネルユニット3から放熱されて室内の暖房効果が発揮される。また、水道水W1の側から見ると、建物Bに供給される水道水W1は地中水道管11を通ることで外気温に比べて相対的に温度が高くなる。従って、ボイラ5で所定の温度まで温めて建物Bに温水を供給する場合において、ボイラ5での消費エネルギーの削減が可能になる。
以上、本実施形態に係る地熱利用システム1によれば、露点温度よりも低くなり過ぎない適正な温度状態で熱媒W2を床暖房パネルユニット3に供給でき、床暖房パネルユニット3に吸熱による冷房効果が発揮させながらも室内を露点温度以上に保持し易くなる。その結果、温暖期において、結露の発生を抑制しながら床暖房パネルユニット3を用いた冷房を実現でき、設備負担も低減できる。
また、従来の床暖房パネル(特許文献1参照)などに地中を通って来た冷水を供給して冷房しようとした場合には、真夏のみならず、相対的に露点温度が低い初夏や晩秋にも結露が発生してしまう。しかしながら、本実施形態に係る地熱利用システム1によれば、露点温度よりも低くなり過ぎない適正な温度状態で熱媒W2を床暖房パネルユニット3に供給できるので、真夏に比べて相対的に露点温度が低くなる初夏や晩秋においては、例えば、通常運転状態であっても結露は発生しなくなり、従って、結露発生のために床暖房パネルユニット3の使用を避ける必要のある期間を圧縮して一年を通じて床暖房パネルユニット3を使用できる期間を増やすことができる。
さらに、本実施形態に係る地熱利用システム1では、地盤Gに埋設されて熱伝管9と地中水道管11とを熱交換可能に収容すると共に、地盤Gとの間で熱交換可能な熱伝体7を備えている。熱伝体7を介在させることで熱伝管9と地中水道管11との間での安定した熱交換が可能になる。なお、本実施形態に係る熱伝体7は、鋼管杭15(収容体)と鋼管杭15内に充填された水17(充填物)とを供えて構成されるが、収容体としては鋼管杭15の代わりに、乾燥土壌よりも熱伝導率の高い材料、例えば、筒状のコンクリート体を利用できる。また、充填物としては、水17の代わりに乾燥土壌よりも熱伝導率の高い材料、例えば、コンクリート、砂、鉄、ガラス、アスファルト、石英ガラス、鋼(炭素)または銅などを利用できる。
また、本実施形態では、熱伝管9の下部9a及び地中水道管11の下部11aは、深層部Gbまで達するよう配置されている。深層部Gbでは平均温度の変動幅の絶対値が3℃以下と非常に小さいため、地中水道管11の下部11aが深層部Gbまで達するようにすることで、地中水道管11内を流動する水道水W1の水温は季節に応じて変動し難くなり、さらに、熱伝管9の下部9aが深層部Gbまで達するので、地盤G及び地中水道管11との間で熱交換が行われる熱伝管9を流動する熱媒W2の温度も安定する。その結果、外気の気温変化による影響を抑えながら、床暖房パネルユニット3によって室温を定温に保持し易くなる。
また、本実施形態では、熱伝管9の下部9a及び地中水道管11の下部11aは、下層部Geまで達するよう配置されている。下層部Geでは、地中の平均温度の最も高くなる時期が外気の平均気温の最も高くなる時期からずれているため、地中水道管11の下部11aが下層部Geまで達するようにすることで、特に、温暖期での外気温と水温との乖離が大きくなり、外気温に比べて水温が相対的に低くなる。さらに、熱伝管9の下部9aも下層部Geまで達するので、地盤G及び地中水道管11との間で熱交換が行われる熱媒W2の温度も外気温に比べて相対的に低くなり、従って、温暖期に冷房効果を発揮させる上で有効である。
また、本実施形態では、熱伝管9の下部9a及び地中水道管11の下部11aは、不易層Gcまで達するように配置されている。不易層Gcでは、年間を通して地中の平均温度が安定し、従って、地中水道管11の下部11aが不易層Gcまで達するようにすることで、外気温の影響を受け難く水温が安定する。さらに、熱伝管9の下部9aが不易層Gcまで達するようにすることで、地盤G及び地中水道管11との間で熱交換が行われる熱媒W2の温度も安定し、熱媒W2が供給される床暖房パネルユニット3によって室温を定温に保持し易くなる。
さらに、本実施形態に係る地熱利用システム1では、通常運転状態での順流路を流れる熱媒W2の温度が結露を発生させ兼ねない温度(結露発生温度)の場合には、バイパス流路に切り替わることで結露の発生を防止することができる。また、バイパス管37を介して返送される熱媒W2は循環ポンプ(熱供給装置)43から熱量が供給されるため、バイパス管37と熱伝管9との間を循環する間に温度が上昇する。従って、熱媒W2の温度が結露を発生させない温度になるまで循環を続けて温度調節を行い、温度調整された頃を見計らって順流路に切り替えることで、結露の発生を確実の防止しながら、床暖房パネルユニット3を利用した冷房を実現できる。
特に、本実施形態では、バイパス流路を循環する熱媒W2に熱量を供給する熱供給装置を別に設けることなく、循環ポンプ43によって兼用するので、循環ポンプ43で発生する熱量を有効活用でき、エネルギー効率の向上を図ることができ、さらに、設備の小型化にも有効である。
さらに、本実施形態に係る地熱利用システム1は、熱媒温度センサ61及び温湿度センサ57を備え、特に、制御装置63は、熱媒温度センサ61及び温湿度センサ57での検出値に基づいて三方弁41を切り替え制御するので、熱媒W2の温度と室内の温度及び湿度との相関関係に基づいて熱媒W2の流路が形成されることになり、より適正な運転が可能となる。
さらに、本実施形態に係る地熱利用システム1の制御装置63は、室内の温度及び湿度に基づいて結露発生温度を特定すると共に、熱媒W2の温度が結露発生温度より高い場合には、順流路を維持し、熱媒W2の温度が結露発生温度以下に下がった場合には、バイパス流路に切り替えるので、結露の発生を効果的に防止できる。
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、熱伝管及び地中水道配管部が熱伝体に収容された態様を説明したが、熱伝体を備えず、熱伝管及び地中水道配管部が接触した状態で地盤に直接に埋設されているような態様であってもよい。また、熱伝体に収容された熱伝管の下部及び地中水道配管部の下部が地盤の常温帯層にまで到達するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、寒冷期において熱媒が熱伝管を通らないような流路を形成する態様を説明したが、制御手段が、寒冷期であっても熱媒が熱伝管を通るように流路を形成してもよい。また、上記実施形態では、床暖房パネルユニットを例に熱交換装置を説明したが、室内で縦置きに設置した吸放熱板などの熱交換装置、熱媒が流動するパイプが設置された熱交換装置などであってもよい。
1…地熱利用システム、3…床暖房パネルユニット(熱交換装置)、7…熱伝体、9…熱伝管、9a…熱伝管の下部、11…地中水道管(地中水道配管部)、11a…地中水道配管部の下部、13…循環ライン、33…往路管、35…復路管、37…バイパス管、39…第1接続部、41…三方弁(切り替えバルブ)、43…循環ポンプ(熱供給装置)、57…温湿度センサ(室内温湿度検出手段)、61…熱媒温度センサ(熱媒温度検出手段)、63…制御装置(制御手段)、B…建物、G…地盤、Gb…深層部、Gc…不易層、Gd…上層部、Ge…下層部、W1…水道水、W2…熱媒。

Claims (9)

  1. 地盤に埋設されると共に、内側と外側との間で熱交換可能な熱伝管と、建物の室内に設けられて吸放熱を可能とする熱交換装置と、前記熱伝管と前記熱交換装置とを連絡すると共に、前記熱伝管と前記熱交換装置との間を循環する熱媒が流動する循環ラインとを備え、前記熱交換装置で吸収された熱量を前記地盤に伝達可能とする地熱利用システムにおいて、
    前記地盤に埋設されると共に、前記建物に供給される水道水が流動する地中水道配管部を備え、
    前記熱伝管は、前記地中水道配管部との間で熱交換可能に配置されていることを特徴とする地熱利用システム。
  2. 前記地盤に埋設されて前記熱伝管と前記地中水道配管部とを熱交換可能に収容すると共に、前記地盤との間で熱交換可能な熱伝体を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の地熱利用システム。
  3. 前記熱伝管及び前記地中水道配管部の下部は、前記地盤のうち、年間を通じた地中の平均温度を基準にして、年間を所定の期間で区分した時期ごとの地中の平均温度の変動幅の絶対値が3℃以下となる深層部まで達することを特徴とする請求項1または2記載の地熱利用システム。
  4. 前記熱伝管及び前記地中水道配管部の下部は、地中の平均温度の最も高くなる時期が外気の平均気温の最も高くなる時期となる上層部と、地中の平均温度の最も高くなる時期が外気の平均気温の最も高くなる時期からずれる下層部とを有する前記地盤のうち、前記下層部まで達することを特徴とする請求項1または2記載の地熱利用システム。
  5. 前記熱伝管及び前記地中水道配管部の下部は、前記地盤のうち、年間を通じて地中の平均温度が安定した不易層まで達することを特徴とする請求項1または2記載の地熱利用システム。
  6. 前記循環ラインは、前記熱伝管から前記熱交換装置に向けて前記熱媒を供給する往路管と、前記熱交換装置から前記熱伝管に向けて前記熱媒を供給する復路管と、前記往路管と前記復路管とを連絡するバイパス管と、前記往路管と前記バイパス管との接続箇所である第1接続部に設けられると共に、前記往路管から前記熱交換装置に向けた順流路と前記往路管から前記バイパス管に向けたバイパス流路との間で一方の流路を遮断して他方の流路へ切り替える切り替えバルブと、前記第1接続部と前記熱伝管との間に配置されると共に、前記バイパス流路を流動する前記熱媒に熱量を供給する熱供給装置と、を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の地熱利用システム。
  7. 前記熱供給装置は、前記熱媒を循環させる循環ポンプであることを特徴とする請求項6記載の地熱利用システム。
  8. 前記熱伝管から前記往路管の前記第1接続部まで流動する前記熱媒の温度を検出可能な熱媒温度検出手段と、
    前記室内の温度と湿度とを検出可能な室内温湿度検出手段と、
    前記熱媒温度検出手段から取得した前記熱媒の温度と前記室内温湿度検出手段から取得した前記室内の温度及び湿度とに基づいて前記切り替えバルブを制御して流路の切り替えを行う制御手段と、を更に備えたことを特徴とする請求項6または7記載の地熱利用システム。
  9. 前記制御手段は、前記室内の温度及び湿度に基づいて結露発生温度を特定すると共に、前記熱媒の温度が前記結露発生温度より高い場合には、前記順流路を維持し、前記熱媒の温度が前記結露発生温度以下に下がった場合には、前記バイパス流路に切り替えることを特徴とする請求項8記載の地熱利用システム。
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