JP5394707B2 - 感光性組成物および加工基板の製造方法 - Google Patents

感光性組成物および加工基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、感光性組成物、該感光性組成物を用いた加工基板の製造方法、該製造方法により形成された加工基板に関する。
近年、光ナノインプリントに用いる感光性組成物が検討され始めている。光ナノインプリントで良好なレジストパターンを得るためには、用いる感光性組成物が以下の性質を持つことが重要とされている。
第一は基板に塗布した時に、ハジキや厚みムラの無い良好な面状が得られることである。塗布面状が不良であると、上からモールドを圧着して露光して感光性組成物を硬化させた時に塗布面状の不良が残り、モールド形状が悪化する。基板に塗布した時に良好な面状を得るためには、感光性組成物は適切な粘度と表面張力を持つことが必要である。
第二は露光硬化で得られたレジストパターンが、加熱後も保たれることである。例えば、レジストパターンの中に加熱によって揮発する成分が多量に含まれていると、加熱中に、これらの揮発成分が揮散してしまい、レジストパターンの形状が悪化する。
ところで、特許文献1には、(a)高分子バインダー、(b)光重合性モノマー、(c)光重合開始剤、(d)顔料及び(e)エーテル変性シリコーン化合物を含有することを特徴とする着色画像形成用感光性樹脂組成物が開示されている。しかしながら、該組成物は、着色画像形成用感光性樹脂組成物であり、ナノインプリントに用いることは記載されていない。
特開平9−26668号公報
本発明の課題は、上記従来技術の課題を解決することを目的としたものであって、ナノインプリントで良好なレジストパターンを得ることができる、感光性組成物を提供することを目的とする。
上記課題のもと、本発明者らが鋭意検討を行った結果、エーテル変性、カルビノール変性またはシラノール変性のシリコーンオイルを添加することにより、上記課題を解決しうることを見出した。具体的には以下の手段により、上記課題は達成された。
(1)重合性モノマーと、光重合開始剤と、エーテル変性、カルビノール変性またはシラノール変性のシリコーンオイルとを含有する感光性組成物であって、該組成物の25℃における粘度が35mPa・s以下であり、該組成物中の有機溶剤の含量が5質量%以下であることを特徴とする感光性組成物。
(2)前記感光性組成物の25℃における表面張力が35mN/m以下であることを特徴とする(1)に記載の感光性組成物。
(3)前記重合性モノマーのうち少なくとも1種は、1分子中に、1種類以上のエチレン性不飽和二重結合を有する官能基Xと、1種類以上の加熱により反応する官能基Yとを有し、下記条件で露光した時の官能基Xの反応率が50%以上、官能基Yの反応率が50%未満であり、かつ、下記条件で露光した後、さらに、200℃で30分間熱処理した後の官能基Xおよび官能基Yの反応率が共に80%以上であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の感光性組成物。
露光条件:重合性官能基として、1種類の官能基のみを有する重合性モノマー100質量部に対して、光重合開始剤として2、2−ジメトキシ−1、2ジフェニルエタン−1−オンを5質量部添加した組成物を基板上に乾燥膜厚が6μmになるように塗布した塗膜を高圧水銀灯で100mJ/cm2の条件で露光する。
(4)前記官能基Yがエチレン性不飽和二重結合を有することを特徴とする(3)に記載の感光性組成物。
(5)前記官能基Yの個数が1〜10である、(3)または(4)に記載の感光性組成物。
(6)前記官能基Xの個数が1である、(3)〜(5)のいずれか1項に記載の感光性組成物。
(7)前記官能基Xが(メタ)アクリル酸エステル基である、(3)〜(6)のいずれか1項に記載の感光性組成物。
(8)前記官能基Yがアリルエステル基、アリルエーテル基、プロパルギルエーテル基、プロパルギルエステル基、ビニルエーテル基、シクロヘキセニル基、シクロペンテニル基、ジシクロペンテニル基、スチリル基、エポキシ基、オキセタン基およびアルコキシリル基から選ばれる、(3)〜(7)のいずれか1項に記載の感光性組成物。
(9)重量平均分子量が1000以上の高分子の含量が5質量%以下であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれか1項に記載の感光性組成物。
(10)(1)〜(9)のいずれか1項に記載の感光性組成物を用いることを特徴とする、加工基板の製造方法。
(11)下記〔工程1〕〜〔工程4〕を含む、加工基板の製造方法。
〔工程1〕基板と、所望のレジストパターンの反転パターンを表面に有するモールドとを組み合わせ て、前記基板の表面と前記モールドのパターン面との間に、(1〜9のいずれか1項に記 載の感光性組成物を挟持させる工程
〔工程2〕露光により、前記感光性組成物中の重合性モノマーを重合させて基板上にレジストパター ンを形成させる工程
〔工程3〕モールドをレジストパターンが形成された基板から剥離する工程
〔工程4〕レジストパターンが形成された基板を100℃以上の温度で5分間以上熱処理する工程
(12)(1)〜(9)のいずれか1項に記載の感光性組成物を硬化させてなる硬化物。
(13)(10)または(11)に記載の加工基板の製造方法により得られる加工基板。
本発明により、硬化前は適度な粘度と表面張力を有し、露光硬化して形成したパターンを、さらに、加熱した後も、そのパターン形状が良好に保たれる感光性組成物を提供可能になった。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明における重合性単量体は、オリゴマーおよびポリマーと区別され、重量平均分子量が1,000未満の化合物をいう。本明細書中において、“重合性基”は重合に関与する基をいう。
また、本発明でいうナノインプリントとは、およそ数十nmから数十μmのサイズのパターン転写をいい、ナノオーダーのものに限定されるものではない。
本発明の感光性組成物は、重合性モノマーと、光重合開始剤と、エーテル変性、カルビノール変性またはシラノール変性のシリコーンオイルを含有し、該組成物の25℃における粘度が35mPa・s以下であり、該組成物に含まれる有機溶剤の量が5質量%以下であることを特徴とする。
このような組成物を採用することにより、硬化前は適度な粘度と表面張力を保ち、かつ、加熱後もレジストパターの形状が維持されたモールド基板を得ることが可能になる。
重合性モノマー
本発明に用いられる重合性モノマーについて述べる。本発明で用いる重合性モノマーの種類については、特に制限なく、広く公知のものを採用できる。例えば、特開2008−19292号公報に記載の重合性モノマーを用いることができる。具体的には、(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、1官能モノマーであってもよいが、2官能以上のモノマーであることが好ましい。さらに本発明では、下記に詳述する重合性モノマー(A)を用いることが好ましい。特に好ましくは、重合性モノマー(A)と他の重合性モノマーの組み合わせである。
重合性モノマー(A)
重合性モノマー(A)は、1分子中に、1種類以上のエチレン性不飽和二重結合を有する官能基Xと、1種類以上の加熱により反応する官能基Yとを有し、下記条件で露光した時の官能基Xの反応率が50%以上、官能基Yの反応率が50%未満であり、かつ、下記条件で露光した後、さらに、200℃で30分間熱処理した後の官能基Xおよび官能基Yの反応率が共に80%以上であることを特徴とする。
露光条件:官能基として、1種類の官能基のみを有する重合性モノマー100質量部に対して、光重合開始剤として2、2−ジメトキシ−1、2ジフェニルエタン−1−オンを5質量部添加した組成物を基板上に乾燥膜厚が6μmになるように塗布した塗膜を高圧水銀灯で100mJ/cm2の条件で露光する。ここで、重合性モノマーおよび重合開始剤を添加した組成物は、必要に応じて有機溶剤を含んでいてもよい。有機溶剤を含んでいる場合、塗布後乾燥して有機溶剤を揮散させ、その後、露光する。
官能基Xは、1分子中に、1種類のみ含まれていても、2種類以上含まれていてもよい。
官能基Xは、(メタ)アクリル酸エステル基が好ましい。
1分子中の官能基Xの個数に制限はないが、通常2以下であり、好ましくは1である。官能基Xの個数が3以上になると、露光時の硬化収縮が大きくなる傾向にあり、基板のソリが発生しやすくなり、接着性が悪化しやすくなるといった問題が生じる場合がある。
官能基Yは、上記露光条件で露光した時の反応率が50%未満で、その後200℃で30分間熱処理した後の反応率が80%以上である官能基であり、エチレン性不飽和二重結合を有する官能基であることが好ましい。官能基Yは好ましくは、上記条件で露光した時の反応率が40%未満で、その後200℃で30分間熱処理した後の反応率が80%以上であるエチレン性不飽和二重結合を有する官能基であることが好ましい。
官能基Yは、1分子中に、1種類のみ含まれていても、2種類以上含まれていてもよい。好ましくは1〜8種類であり、より好ましくは1〜5種類であり、さらに好ましくは1または2種類である。
官能基Yの具体例としては、アリルエステル基、アリルエーテル基、プロパルギルエーテル基、プロパルギルエステル基、ビニルエーテル基、シクロヘキセニル基、シクロペンテニル基、ジシクロペンテニル基、スチリル基、エポキシ基、オキセタン基、アルコキシリル基等が挙げられ、アリルエステル基、アリルエーテル基が好ましい。
官能基Yの個数の合計にも特に制限はないが、通常は1〜10、好ましくは2〜6である。官能基Yの個数が10を超えると感光性組成物の粘度が大きくなり過ぎるという問題が生じる場合がある。逆に0の場合、重合後のレジストパターンの強度や耐熱性に問題が生じる場合がある。
露光後および加熱後の官能基の反応率は以下の方法で測定する。
フーリエ変換型赤外分光装置(FT−IR)を用い官能基の吸収ピークの面積を求める。吸収ピークの位置は官能基の種類ごとに適切なものを選定する。たとえばC=C結合の反応率は、アクリロイル基のC=C−H伸縮に伴う810cm-1におけるピークを、エポキシ基の反応率はエポキシ環の環伸縮に伴う910cm-1のピーク強度を選択すればよい。
硬化前(モノマー液)のピーク強度を100、ベースラインを0として、測定値の強度から反応率を算出することができる。
以下に、各種官能基の上記露光条件で露光した場合の反応率、および露光後さらに加熱した後の反応率を以下に示す。
Figure 0005394707
以下に、本発明で用いることのできる重合性モノマー(A)の好ましい例を例示するが、本発明がこれらに限定されるものではないことは言うまでもない。
Figure 0005394707
Figure 0005394707
Figure 0005394707
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本発明の感光性組成物は、重合性モノマーを、0.01〜99.99質量%の範囲で含むが、10〜99質量%の範囲で含むことが好ましい。重合性モノマーの添加割合が少なすぎると、モールドの凹凸追随性、熱処理時の膜厚減少、良好な形状のレジストパターン、露光後の基板のソリ発生、レジストパターンと基板間の接着性といった性能のいずれかにおいて劣る傾向にある。逆に、重合性モノマーの添加割合が多すぎると、光重合開始剤などの他の構成成分の含量が少なくなりすぎて、硬化不良などの不都合を生じる場合がある。
本発明では特に、上記重合性モノマー(A)60〜79質量%と、他の重合性モノマー(好ましくは多官能(メタ)アクリレート)39〜20質量%を含む重合性組成物であることが好ましい。
本発明で用いる重合性モノマーの分子量は150〜1000であることが好ましく、200〜500であることがより好ましい。分子量が150より小さいと臭気の問題が発生しやすく、1000を超えると感光性組成物の粘度が大きくなり不都合が生じる場合がある。
光重合開始剤
本発明で用いる重合開始剤は、特にその種類を定めるものではなく、公知の光重合開始剤を広く採用できる。光重合開始剤の例としては、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−メチル−1[4−メチルチオフェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド,1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド,2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、1−[4−ベンゾイルフェニルスルファニル]フェニル)−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン−1−オン、2−[2−(フラン−2−イル)ビニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)ビニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、ベンゾフェノン、4,4'−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルスルフィド、4−フェニルベンゾフェノン、エチルミヒラーズケトン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−メチルチオキサントン、チオキサントンアンモニウム塩、ベンゾイン、4,4'−ジメトキシベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1,1,1−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノンおよびジベンゾスベロン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイル ビフェニル、4−ベンゾイル ジフェニルエーテル、1,4−ベンゾイルベンゼン、ベンジル、10−ブチル−2−クロロアクリドン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタン)、2−エチルアントラキノン、2,2−ビス(2−クロロフェニル)4,5,4',5'−テトラキス(3,4,5−トリメトキシフェニル)1,2'−ビイミダゾール、2,2−ビス(o−クロロフェニル)4,5,4',5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン、エチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、ブトキシエチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、等を挙げることができる。
光重合開始剤は、1種類のみ含まれていてもよいし、2種類以上含まれていても良い。
光重合開始剤の添加量は、通常、0.1〜15質量%であり、0.2〜12質量%であることが好ましい。但し、2種類以上の開始剤を併用する場合はそれらの合計量が前記範囲となることが好ましい。
変性シリコーンオイル
本発明の感光性組成物は、エーテル変性、カルビノール変性またはシラノール変性の、シリコーンオイルを含有する。本発明における変性シリコーンオイルとは、ポリジメチルシロキサンの側鎖または末端のメチル基をメチル基以外の官能基で置き換えた化合物を意味する。これらの官能基の例としてはアルキル基、アミノ基、エポキシ基、カルビノール基、カルボキシル基、ポリエーテル基、メルカプト基、メタクリル基、アラルキル基、シラノール基などがある。シリコーンオイルの変性は、両末端変性でもよいし、片末端変性でもよいし、側鎖変性でもよい。 本発明で用いる変性シリコーンオイルの分子量は、500〜20000であることが好ましく、700〜3000であることがより好ましい。
本発明で用いるエーテル変性シリコーンオイルの例としては、信越化学工業から販売されている、X22−4952、KF351A、KF352A等が挙げられる。
本発明で用いるカルビノール変性シリコーンオイルの例としては、信越化学工業から販売されている、X22−160AS、X22−170BX、X22−176DX、X22−4039等が挙げられる。
本発明で用いるシラノール変性シリコーンオイルの例としては、信越化学工業から販売されている、X21−5841等が挙げられる。
変性シリコーンオイルは単独で用いてもよいし、2種類以上混合して用いてもよい。変性シリコーンオイルの添加量は0.001〜5質量%が好ましく、0.005〜3質量%がより好ましい。添加量が0.001質量%以下の場合、面状改良効果が不充分になる場合があり、5質量%以上の場合、感光性組成物の安定性が悪化する場合がある。
本発明では、界面活性性のある変性シリコーンオイルを用いることが好ましい。このようなシリコーンオイルを用いることにより、塗布面状がより改良され、良好なレジストパターンが得られる。
界面活性剤
界面活性剤としては、公知の界面活性剤を用いることができるが、中でも、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤およびフッ素・シリコーン系界面活性剤が特に好ましい。
本発明で用いるフッ素系界面活性剤の例としては、商品名フロラードFC−430、FC−431(住友スリーエム社製)、商品名サーフロン「S−382」(旭硝子製)、EFTOP「EF−122A、122B、122C、EF−121、EF−126、EF−127、MF−100」(トーケムプロダクツ社製)、商品名PF−636、PF−6320、PF−656、PF−6520(いずれもOMNOVA社)、商品名フタージェントFT250、FT251、DFX18(いずれも(株)ネオス製)、商品名ユニダインDS−401、DS−403、DS−451(いずれもダイキン工業(株)製)、商品名メガフアック171、172、173、178K、178A、(いずれも大日本インキ化学工業社製)が挙げられ、シリコーン素系界面活性剤の例としては、商品名SI−10シリーズ(竹本油脂社製)、メガファックペインタッド31(大日本インキ化学工業社製)、KP−341(信越化学工業製)が挙げられる。
また、フッ素・シリコーン系界面活性剤の例としては、商品名X−70−090、X−70−091、X−70−092、X−70−093、(いずれも信越化学工業社製)、商品名メガフアックR−08、XRB−4(いずれも大日本インキ化学工業社製)が挙げられる。
界面活性剤は単独で用いてもよいし、2種類以上混合して用いてもよい。界面活性剤の添加量は0.001〜5質量%が好ましく、0.005〜3質量%がより好ましい。添加量が0.001質量%より少ないと感光性組成物を基板に塗布する際の面状が不良になる場合があり、5質量%を超えると基板との接着性が悪化する場合がある。
酸化防止剤
さらに、本発明の感光性組成物は、公知の酸化防止剤を含有することが好ましい。本発明に用いられる酸化防止剤の含量は、重合性単量体に対し、例えば、0.01〜10質量%であり、好ましくは0.2〜5質量%である。2種類以上の酸化防止剤を用いる場合は、その合計量が前記範囲となる。
前記酸化防止剤は、熱や光照射による退色およびオゾン、活性酸素、NOx、SOx(Xは整数)などの各種の酸化性ガスによる退色を抑制するものである。特に本発明では、酸化防止剤を添加することにより、硬化膜の着色の防止や、分解による膜厚の減少を低減できるという利点がある。このような酸化防止剤としては、ヒドラジド類、ヒンダードアミン系酸化防止剤、含窒素複素環メルカプト系化合物、チオエーテル系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アスコルビン酸類、硫酸亜鉛、チオシアン酸塩類、チオ尿素誘導体、糖類、亜硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ヒドロキシルアミン誘導体などを挙げることができる。この中でも、特にヒンダードフェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤が硬化膜の着色、膜厚減少の観点で好ましい。
前記酸化防止剤の市販品としては、商品名 Irganox1010、1035、1076、1222(以上、チバガイギー(株)製)、商品名 Antigene P、3C、FR、スミライザーS、スミライザーGA80(住友化学工業(株)製)、商品名アデカスタブAO70、AO80、AO503((株)ADEKA製)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
シランカップリング剤
本発明では必要に応じて、シランカップリング剤を用いてもよい。本発明で用いることができるシランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
シランカップリング剤の添加量は0.1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。添加量が0.1質量%より少ないと基板への接着性改良効果が不充分になる場合があり、20質量%を超えると得られたレジストパターンの耐水性、耐熱性や強度が低下する場合がある。
離型剤
離型剤は、露光後、硬化したレジストパターンとモールドの剥離を容易にする目的で用いる添加剤で、アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイルなどの変性シリコーンオイル等を用いることができる。この添加量は0.001〜5質量%が好ましく、0.005〜3質量%がより好ましい。添加量が0.001質量%より少ないと離型作用が不充分になる場合があり、5質量%を超えると基板との接着性が悪化する場合がある。
高分子化合物
本発明では必要に応じてエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等の高分子を添加してもよい。但し、本発明の感光性組成物における、重量平均分子量が1000以上の高分子の含量は、5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは3質量%以下であり、実質的に含有しないことが好ましい。ここで、実質的に含有しないとは、不純物等以外は含まないことをいう。このような高分子の添加量が5質量%を超えると、感光性組成物の粘度が上昇してモールド形状に追随しなくなり、得られるレジストパターンの形状が悪化する場合がある。
有機溶剤
本発明の感光性組成物には必要に応じて有機溶剤を添加してもよいが、その含量は、感光性組成物の5質量%以下である。
好ましい有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノール等を挙げることができる。
これらの有機溶剤は、それぞれ単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の感光性組成物における、有機溶剤の添加量は、好ましくは3質量%以下であり、実質的に含有しないことが好ましい。ここで、実質的に含有しないとは、不純物等の残留溶剤以外は含まないことをいう。有機溶剤の添加量が5質量%を超えると、得られるレジストパターンの形状が悪化する。
感光性組成物の物理特性
本発明の感光性組成物の粘度は、25℃において、35mPa・s以下であり、好ましくは30mPa・s以下、より好ましくは25mPa・s以下、さらに好ましくは15mPa・s以下である。粘度が35mPa・sを超えると後述するレジストパターンの形成工程で、感光性組成物の、モールドの微細な凹凸への追随性が悪化し、良好なレジストパターンが得られない。
粘度を低減する手段としては、低粘度のモノマーを使用する方法、有機溶剤を添加する方法等がある。本発明では、低粘度のモノマーを使用する方法が好ましい。有機溶剤を添加する方法はモールドから剥離した後の加熱工程で有機溶剤が揮散して体積変化が起こるため、得られるレジストパターンの形状が悪化し、好ましくない。
表面張力
本発明の感光性組成物の表面張力は、好ましくは15〜35mN/mであり、より好ましくは18〜30N/mである。表面張力が35mN/mを超えると、感光性組成物の基板への濡れが悪化する場合があり、15mN/m未満の場合は添加する界面活性剤の量が多くなるため、基板への接着性が悪化する場合がある。
表面張力を低減する手段としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤を添加する方法が好ましいが、特に、界面活性性のあるエーテル変性、カルビノール変性またはシラノール変性のシリコーン界面活性剤を添加することが好ましい。
レジストパターンが形成された加工基板の形成方法
まず、レジストパターンが形成された加工基板の形成方法の一例について述べる。
〔1〕基板の上に、本発明の感光性組成物を数十nm〜数μm程度の膜厚で塗布する。
〔2〕塗布面の上に、数十nm〜数十μmのパターンサイズの微細な凹凸を有するモールドを押しつ けて加圧する。
〔3〕加圧した状態で光照射して感光性組成物を硬化させる。
〔4〕硬化した塗膜からモールドを離型し、基板上に形成されたレジストパターンを得る。
〔5〕レジストパターンが形成された基板を加熱処理して硬化反応を完了させる。
基板
本発明で用いる基板は、石英、ガラス、光学フィルム、セラミック材料、蒸着膜、磁性膜、反射膜、Ni、Cu、Cr、Feなどの金属基板、紙、SOG、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム等のポリマー基板、TFTアレイ基板、PDPの電極板、ITOや金属などの導電性基材、絶縁性基材、シリコーン、窒化シリコーン、ポリシリコーン、酸化シリコーン、アモルファスシリコーンなどの半導体作製基板など特に制約されない。基板の形状は、板状でも良いし、ロール状でもよい。
感光性組成物の塗布方法
本発明の感光性組成物は、一般によく知られた塗布方法、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スピンコート方法、スリットスキャン法などにより、塗布することにより形成することができる。本発明の感光性組成物は、1層でもよいし、2層以上積層してもよい。2層以上積層する場合、1層ずつ逐次塗布してもよいし、2層以上を同時塗布してもよい。
本発明の感光性組成物層の膜厚は使用する用途によって異なるが、通常0.05μm〜30μm程度である。
モールド
次に本発明で用いることのできるモールドについて説明する。
本発明の感光性組成物の場合、モールドまたは基板の少なくとも一方は、光透過性の材料を選択する必要がある。光透過性のモールドの素材としてはガラス、石英、PMMA、ポリカーボネート樹脂などの光透明性樹脂、透明金属蒸着膜、ポリジメチルシロキサンなどの柔軟膜、光硬化膜等を挙げることができる。透明基板を用いた場合で使われる非光透過型モールド材としてはセラミック材料、蒸着膜、磁性膜、反射膜、Ni、Cu、Cr、Feなどの金属基板、SiC、シリコーン、窒化シリコーン、ポリシリコーン、酸化シリコーン、アモルファスシリコーンなどの基板等を挙げることができる。
本発明で用いることのできるモールドは、転写されるべき凹凸パターンを有する。モールドのパターンは、例えば、フォトリソグラフィや電子線描画法等によって、所望する加工精度に応じて形成することができる。
本発明で用いられるモールドは板状モールド、ロール状モールドのどちらでもよい。ロール状モールドは、特に転写の連続生産性が必要な場合に適用される。
本発明で用いられるモールドは、感光性組成物との剥離性を向上するために離型処理を行ってもよい。具体的にはシリコーン系やフッソ系などのシランカップリング剤による処理を行ったもの、例えば、ダイキン工業製:商品名 オプツールDSXや住友スリーエム製:商品名Novec EGC−1720等の市販の離型剤も好適に用いることができる。
モールドの押し付け方法
本発明の感光性組成物を加工する場合、モールドの押し付け圧力は1気圧〜10気圧の範囲が好ましい。押し付け圧力が10気圧を超えると、モールドや基板が変形してパターン精度が低下する傾向にある。逆にモールドの押し付け圧力が1気圧未満であるとモールドと基板が充分に密着せず、残膜が発生しやすい。
本発明ではモールドを基板に押し付ける前に系を減圧してもよい。減圧することによりモールドの凹凸部の空気を除去することができて、感光性組成物が凹凸部分に追随するため、得られるレジストパターンの形状が向上する。
さらに減圧にしてモールドを基板に押し付けた後、露光前に空気または空気以外の気体、例えば、窒素により系の圧力を常圧に戻してもよい。
露光
本発明の感光性組成物を硬化させる光としては特に限定されないが、高エネルギー電離放射線、近紫外、遠紫外、可視、赤外等の波長領域の光または放射線が挙げられる。高エネルギー電離放射線源としては、例えば、コッククロフト型加速器、ハンデグラーフ型加速器、リニヤーアクセレーター、ベータトロン、サイクロトロン等の加速器によって加速された電子線が工業的に最も便利且つ経済的に使用されるが、その他に放射性同位元素や原子炉等から放射されるγ線、X線、α線、中性子線、陽子線等の放射線も使用できる。紫外線源としては、例えば、紫外線螢光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、炭素アーク灯、太陽灯等が挙げられる。放射線には、例えばマイクロ波、EUVが含まれる。また、LED、半導体レーザー光、あるいは248nmのKrFエキシマレーザー光や193nmArFエキシマレーザーなどの半導体の微細加工で用いられているレーザー光も本発明に好適に用いることができる。これらの光は、モノクロ光を用いても良いし、複数の波長の異なる光(ミックス光)でも良い。
光照射量は、硬化に必要な照射量よりも十分大きければよい。硬化に必要な照射量は、光硬化性組成物の不飽和結合の消費量や硬化膜のタッキネスを調べて決定される。
また、光照射の際の基板温度は、通常、室温で行われるが、反応性を高めるために加熱をしながら光照射してもよい。光照射の前段階として、真空状態にしておくと、気泡混入防止、酸素混入による反応性低下の抑制、モールドと光硬化性組成物の密着性向上に効果があるため、真空状態で光照射しても良い。本発明において、好ましい真空度は、10-1Paから常圧の範囲である。
熱処理
本発明においては得られたレジストパターンを熱処理することが好ましい。熱処理をすることにより、硬化反応を進めて、レジストパターンの膜強度を向上させることができる。
加熱温度は、100〜260℃が好ましく、100〜250℃がより好ましく、110〜240℃がより好ましい。加熱温度が100℃以下の場合、熱処理による膜強度向上が不充分になる場合がある。一方、加熱温度が260℃を越えると、加熱中にレジストパターン成分の分解が生じ、膜質が弱くなる場合がある。本発明の熱処理を行う装置には特に制限はなく、公知の装置の中から目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ドライオーブン、ホットプレート、IRヒーターなどが挙げられる。また、ホットプレートを使用する場合には、加熱を均一に行う為に、パターンを形成した基材をプレートから浮かせて行うことが望ましい。
加熱時間は、3分〜60分が好ましく、4〜30分がより好ましい。
本発明の感光性組成物は、液晶表示装置などに用いられる永久膜(構造部材用のレジスト)として好ましく使用することができる。なお、保護膜/スペーサについては、特開2007−272222号公報、特開2007−86464号公報、特開2006−208480号公報に詳細がある。
[表示装置]
表示装置としては既述の本発明の感光性組成物を硬化してなる微細パターンを有するものであれば、特に限定するものではなく、液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの表示装置などを言う。表示装置の定義や各表示装置の説明は例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。
表示装置のうち、本発明の微細パターンを有するカラーフィルタを備えた液晶表示装置は特に好ましい。液晶表示装置については例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。本発明はこれらのなかで特にカラーTFT方式の液晶表示装置に対して有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。さらに本発明はもちろんIPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置にも適用できる。これらの方式については、例えば、「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門 2001年発行)」の43ページに記載されている。
液晶表示装置はカラーフィルタ以外に電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、スペーサ、視野角補償フィルムなどさまざまな部材から構成される。これらの部材については例えば「’94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島 健太郎 (株)シーエムシー 1994年発行 )」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表 良吉 (株)富士キメラ総研 2003年発行)」に記載されている。
液晶表示装置は、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、HAN(Hybrid Aligned Nematic)、GH(Guest Host)のような様々な表示モードが採用できる。本発明の微細パターンは平坦性に優れるのでIPSに特に好適である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
<硬化前の粘度の評価方法>
感光性組成物の粘度測定は、東機産業(株)社製のRE−80L型回転粘度計を用い、25±0.2℃で行った。
測定時の回転速度は、0.5mPa・s以上5mPa・s未満の場合は100rpm、5mPa・s以上10mPa・s未満の場合は50rpm、10mPa・s以上は30mPa・s未満の場合は20rpm、30mPa・s以上60mPa・s未満の場合は10rpm、60mPa・s以上120mPa・s未満の場合は5rpm、120mPa・s以上の場合は1rpmもしくは0.5rpmである。
<硬化前の表面張力の評価方法>
感光性組成物の表面張力には、協和界面科学(株)製、表面張力計 SURFACE TENS−IOMETER CBVP−A3を用いた。測定はガラスプレートを用いて25±0.2℃で行った。
<レジストパターンが形成された基板の作成>
感光性組成物を用い、以下の工程でレジストパターンが形成された基板を作成した。
(1)表面に厚さ0.1μmの窒化シリコーン層(スパッタ)を有するガラス基板(SKTワールド(株)製)に塗布層の厚さが6.0μmになるようにスピンコートした。
(2)スピンコートした塗布基板をORC社製のナノインプリント装置にセットし、モールド加圧力0.8kNで基板にモールドを押し付けた。モールドは10μmのライン/スペースパターンを有し、溝深さが5.0μmのポリジメチルシロキサン(東レ・ダウコーニング社製、SILPOT184を80℃、60分で硬化させたもの)製である。
(3)次いでナノインプリント装置の真空度を10Torrに減圧して、付属の高圧水銀灯(ランプパワー2000mW/cm2)でモールドの裏面から100mJ/cm2の条件で露光した。
(4)露光後、モールドを基板から剥離した。
(5)剥離した基板を200℃で30分間熱処理して、レジストパターンが形成された基板を得た。
<剥離後のレジストパターン形状の評価方法>
露光後、モールドを剥離した後の試料のパターン形状を走査型電子顕微鏡により観察し、以下のように評価した。
5:レジストパターンの形状と元となるモールドの形状がほぼ同一である(レジストパターンの形状がモールドの形状の異なる部分は5%未満)
4:レジストパターンの形状が元となるモールドの形状と異なる部分は全体の5%以上10%未満
3:レジストパターンの形状が元となるモールドの形状と異なる部分は全体の10%以上20%未満
2:レジストパターンの形状が元となるモールドの形状と異なる部分は全体の20%以上30%未満
1:レジストパターンの形状が元となるモールドの形状と異なる部分は全体の30%以上
<加熱処理後のレジストパターン形状の評価方法>
モールドから剥離した基板を200℃で30分間熱処理した後に前述の方法でレジストパターン形状を評価した。
<重合性モノマーの露光後の官能基の反応率評価方法>
重合性官能基として、測定対象となる官能基だけを有する重合性モノマー100質量部に対して、光重合開始剤(2、2−ジメトキシ−1、2ジフェニルエタン−1−オン)を5質量部添加した塗布液を、ガラス基板上に乾燥膜厚が6μmになるように塗布した。
フーリエ変換型赤外分光装置(FT−IR)を用い、この塗膜の810cm-1の吸収ピークの面積(S1)を求めた。
ついで、この塗膜を窒素パージした状態で高圧水銀灯(ORC社製の高圧水銀灯(ランプパワー2000mW/cm2))を用いて、100mJ/cm2の条件で露光した。
露光後、同様にフーリエ変換型赤外分光装置を用い810cm-1の吸収ピークの面積(S2)を求めた。
下記の式を用いて反応率を計算した。なお、S1とS2を求める際にはフーリエ変換型赤外分光装置のチャートのベースラインは差し引いた。また、エポキシ基を有するモノマーの場合は810cm-1の代わりに910cm-1の吸収ピークを用いた。
露光後の反応率=S2/S1*100 (式2)
測定した反応率は、上記表1に示した。
<重合性モノマーの加熱処理後の官能基の反応率評価方法>
露光後のモノマー反応率を求めた試料を200℃で30分間熱処理をした後、フーリエ変換型赤外分光装置を用い810cm-1の吸収ピークの面積(S3)を求めた。
露光後の場合と同様に下記の式を用いて反応率を計算した。なお、S3を求める際にもフーリエ変換型赤外分光装置のチャートのベースラインは差し引いた。
加熱処理後の反応率=S3/S1*100 (式3)
この場合も、エポキシ基を有するモノマーの場合は810cm-1の代わりに910cm-1の吸収ピークを用いた。
測定した反応率は、上記表1に示した。
<感光性組成物の作成>
下記表2〜4に示す重合性モノマー合計100重量部に対し、光重合開始剤(Lucirin TPO−L、BASF社製、2,4,6−トリメチルベンゾイル−エトキシフェニル−ホスフィンオキシド)2.0質量部、酸化防止剤(スミライザーGA−80、住友化学(株)製)1.0質量部、シランカップリング剤(KBM5103、信越化学工業(株)製)10.0質量部、シランカップリング剤(KBM903、信越化学工業(株)製)0.6質量部、ウレタン化合物(NK OLIGO U−4HA、分子量:596、新中村化学(株)製)5.0質量部を混合した。この混合物に、さらに、下記表に示す変性シリコーンオイルを添加した。この混合物を室温で3時間攪拌して実施例1の感光性組成物を得た。また、他の実施例および比較例については、下記表に記載のとおり重合性モノマーおよび変性シリコーンオイルの種類および配合量を変え、他は同様に行った。また、一部の実施例および比較例については、下記表に記載のとおり、高分子Aまたは有機溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル)を添加した。この感光性組成物の粘度および表面張力を上記方法で測定した。さらに、上記方法により、パターン形状を評価した。尚、比較例7および比較例8は、特開平9−26668号公報との違いを明確にする為に行った実験である。比較例8では、粘度が高すぎたため、レジストパターンを得ることができなかった。
重合性モノマー
モノマーA、モノマーB、モノマーC、モノマーD:構造を示す。
(モノマーAの合成)
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(東京化成製)20.0gをN−メチルピロリジノン(NMP)150ml中に溶解させ、炭酸水素ナトリウム(和光純薬製)13.8gを添加した後、アリルブロミド(東京化成製)19.8gを添加した。内温を80℃まで加熱してから8時間攪拌した後、放冷した。内温が35℃未満になったらNMPを50ml添加し、3−クロロプロピオニルクロリド(東京化成製)を60.6g滴下した後、内温を50℃に保って2時間攪拌し、放冷した。内温が35℃未満になったら飽和炭酸水素ナトリウム水溶液400mlを滴下し、酢酸エチル400mlを加えて分液し、有機層を0.2規定の塩酸水溶液250mlで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム30gで乾燥させた後、ろ液を濃縮し、モノマーA−1の粗生成物を得た。
次に、モノマーA−1の粗生成物をアセトニトリル200mlに溶解させ、トリエチルアミン(和光純薬製)45.3gを加えて室温で4時間攪拌した後、炭酸水素ナトリウム水溶液(炭酸水素ナトリウム5g+水300ml)を添加した。酢酸エチル300mlを加えて分液した後、有機層を1規定塩酸水溶液200mlおよび飽和食塩水200mlで洗浄し、有機層を硫酸マグネシウム20gで乾燥させた後、ろ液を濃縮してモノマーAの粗生成物を得た。
得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、モノマーAを38g得た(3工程収率90%)。
(モノマーBの合成)
DL−リンゴ酸(東京化成製)80.0gを原料として、モノマーAと同様の手法でモノマーBの粗生成物を合成し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製してモノマーBを96.2g得た(3工程収率60%)。
モノマーC:アロニックスM309(東亜合成(株))
モノマーD:1、4−ビス(アクリロイルオキシ)ブタン(東京化成(株))
モノマーE:カヤラッドNPGDA(日本化薬(株))
上記モノマーのうち、モノマーAおよびモノマーBは、上記重合性モノマー(A)に該当する。
Figure 0005394707
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変性シリコーンオイル
いずれも、信越化学工業(株)製のものを用いた。下記表では、同社の品番によって示している。
高分子Aの合成方法
密閉可能な撹拌器つき反応容器中に1−メトキシ−2−プロパノール(ダイセル化学工業(株)製)14.0重量部を加え、反応容器内部の空気を窒素置換した。その後反応容器の温度を90℃に昇温した。続いて、ベンジルメタクリレート12.12重量部、メタクリル酸4.71重量部、アゾ系重合開始剤(和光純薬社製、V−601)1重量部、及び1−メトキシ−2−プロパノール8.57重量部からなる混合溶液を、反応容器中に2時間かけて滴下し、温度を90℃に保ったまま、更に4時間反応させた。反応終了後、反応容器の温度を25℃まで低下させて、ポリマーA溶液を得た。得られたポリマーA溶液を真空乾燥して、ポリマーAを得た。
Figure 0005394707
Figure 0005394707
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上記表から明らかなとおり、本発明の感光性組成物は、適度な粘度と表面張力を有し、硬化・加熱後のレジストパターンの形状に優れていることがわかった。

Claims (14)

  1. 重合性モノマーと、光重合開始剤と、エーテル変性、カルビノール変性またはシラノール変性のシリコーンオイルとを含有する感光性組成物であって、該組成物の25℃における粘度が35mPa・s以下であり、該組成物中の有機溶剤の含量が5質量%以下であり、
    前記重合性モノマーのうち少なくとも1種は、1分子中に、1種類以上のエチレン性不飽和二重結合を有する官能基Xと、1種類以上の加熱により反応する官能基Yとを有し、下記条件で露光した時の官能基Xの反応率が50%以上、官能基Yの反応率が50%未満であり、かつ、下記条件で露光した後、さらに、200℃で30分間熱処理した後の官能基Xおよび官能基Yの反応率が共に80%以上であることを特徴とする、感光性組成物。
    露光条件:重合性官能基として、1種類の官能基のみを有する重合性モノマー100質量部に対して、光重合開始剤として2、2−ジメトキシ−1、2ジフェニルエタン−1−オンを5質量部添加した組成物を基板上に乾燥膜厚が6μmになるように塗布した塗膜を高圧水銀灯で100mJ/cm 2 の条件で露光する。
  2. 前記感光性組成物の25℃における表面張力が35mN/m以下であることを特徴とする請求項1に記載の感光性組成物。
  3. 前記官能基Yがエチレン性不飽和二重結合を有することを特徴とする請求項1または2に記載の感光性組成物。
  4. 前記官能基Yの個数が1〜10である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  5. 前記官能基Xの個数が1である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  6. 前記官能基Xが(メタ)アクリル酸エステル基である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  7. 前記官能基Yがアリルエステル基、アリルエーテル基、プロパルギルエーテル基、プロパルギルエステル基、ビニルエーテル基、シクロヘキセニル基、シクロペンテニル基、ジシクロペンテニル基、スチリル基、エポキシ基、オキセタン基およびアルコキシリル基から選ばれる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  8. 重合性モノマーとして、2つのアクリル酸エステル基と1つのアリルエステル基を有するモノマー(A)、又は、1つのアクリル酸エステル基と2つのアリルエステル基を有するモノマー(B)を必須成分として含む、請求項1または2に記載の感光性組成物。
  9. ナノインプリント用である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  10. 重量平均分子量が1000以上の高分子の含量が5質量%以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の感光性組成物を用いることを特徴とする、加工基板の製造方法。
  12. 下記〔工程1〕〜〔工程4〕を含む、加工基板の製造方法。
    〔工程1〕基板と、所望のレジストパターンの反転パターンを表面に有するモールドとを組み合わせ て、前記基板の表面と前記モールドのパターン面との間に、請求項1〜10のいずれか1項 に記載の感光性組成物を挟持させる工程
    〔工程2〕露光により、前記感光性組成物中の重合性モノマーを重合させて基板上にレジストパター ンを形成させる工程
    〔工程3〕モールドをレジストパターンが形成された基板から剥離する工程
    〔工程4〕レジストパターンが形成された基板を100℃以上の温度で5分間以上熱処理する工程
  13. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の感光性組成物を硬化させてなる硬化物。
  14. 請求項11または12に記載の加工基板の製造方法により得られる加工基板。
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