JP5393997B2 - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車輪用軸受装置に関する。
車輪用軸受装置としては、例えば図4に示すようなものがある。この車輪用軸受装置は、内周側に複数の外側軌道面120、121が形成された外方部材100と、外周側に複数の内側軌道面118、119が形成された内方部材101と、外方部材100の外側軌道面120、121とこれに対向する内方部材101の内側軌道面118、119との間に配置される転動体122、122とを有する車輪用軸受105を備え、この車輪用軸受の内方部材101に、等速自在継手104の外側継手部材としての外輪103のステム部123が嵌入されている。
等速自在継手104は、前記外輪103と、この外輪103のマウス部107内に配設される内側継手部材としての内輪(図示省略)と、この内輪と外輪103との間に配設されるボール(図示省略)と、このボールを保持する保持器(図示省略)とを備える。
また、内方部材101は、外径面に車輪取付用のフランジ106が設けられたハブ輪102と、このハブ輪102の筒状の軸部113に外嵌される一対の内輪116、117とを備える。内輪116、117に内側軌道面118、119が形成されている。また、ハブ輪102のアウトボード側の端面には、図示省略のホイールおよびブレーキロータが装着される短筒状のパイロット部115が突設されている。なお、ハブ輪102のフランジ106にはボルト装着孔112が設けられて、ホイールおよびブレーキロータをこのフランジ106に固定するためのハブボルト131がこのボルト装着孔112に装着される。車両に組付けた状態で車両の外側となる方をアウトボード側と呼び、車両に組付けた状態で車両の内側となる方をインボード側と呼ぶ。
このように、内周に2列の外側軌道面120、121が設けられている外方部材100と、外方部材100の第1外側軌道面120と対向する内側軌道面118を有する第1内輪116と、外方部材100の第2外側軌道面121と対向する内側軌道面119を有する第2内輪117と、外方部材100と内輪116、117との間に介装される転動体122とで転がり軸受を形成する。なお、外方部材100の外径面には、車体取付用のフランジ130が設けられている。このフランジ130には取付孔130aが設けられている。
ハブ輪102の軸部113に外輪103のステム部123が挿入される。ステム部123は、その反マウス部の端部にねじ部124が形成され、このねじ部124とマウス部107との間に雄スプライン125が形成されている。また、ハブ輪102の軸部113の内周面(内径面)に雌スプライン126が形成され、ステム部123がハブ輪102の軸部113に挿入された際には、ステム部123側の雄スプライン125とハブ輪102側の雌スプライン126とが係合(嵌合)する。
そして、軸部113から突出したステム部123のねじ部124にナット部材127が螺着され、ハブ輪102と外輪103とが連結される。この際、ナット部材127の内端面(裏面)128と軸部113の外端面129とが当接するとともに、マウス部107のステム部側の端面135aとインボード側の内輪117の外端面117aとが当接する。すなわち、ナット部材127を締付けることによって、ハブ輪102が内輪116、117を介してナット部材127とマウス部107とで挟持される。この場合、アウトボード側の内輪116のアウトボード側の端面116aがハブ輪102の切欠端面140に当接し、内輪116、117に軸方向の与圧を付与することができる。
このように、等速自在継手104の外輪103をハブ輪102に結合する際には、ナット部材127を強固に締付る必要がある。このため、外輪103の遅れ破壊が問題になることがある。遅れ破壊とは、一定の引張応力が付加されている状態で、ある時間が経過した後、外見上はほとんど塑性変形を伴わずに突然脆性的に破壊する現象である。この遅れ破壊は、外輪103においては、ねじ部124と雄スプライン125との間の首部133やステム部123とマウス部107のコーナ部である付根部134で特に生じ易い。
そこで、焼き戻し工程において、加熱温度と加熱時間とを管理することによって、熱処理層の硬度を低下させることによって遅れ破壊を防止しようとするものがある(特許文献1)。さらには、硬化層において、応力集中部の表面硬度を低くすることによって、捩り強度を高くするものもある(特許文献2)。その他に、付根部134のアール形状を大きくして、付根部134にかかる応力を緩和したり、マウス部の底部135の肉厚を厚く設計し、アール部にかかる応力を緩和したりする方法もある。
特公昭63−5455号公報 特開平5−9583号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたものは、加熱温度と加熱時間とを正確に管理する必要があり、コストアップに繋がる。また、特許文献2に記載されたもののように、強度を確保できる範囲で低下させる方法においても、熱処理工程が複雑になるためコストアップに繋がる。また、付根部134のアール形状を大きくして、付根部134にかかる応力を緩和する方法では、アール形状を大きくしすぎると重量が増える上、相手部品であるハブ輪102との干渉を考慮するとアール形状の大きさに限界がある。さらには、底部135の肉厚を厚く設計し、付根部134に掛かる応力を緩和する方法は、等速自在継手自体の重量増となる。このような理由により、低コスト化と軽量化による燃費向上という自動車市場の要求に答えるのが困難であった。
本発明は、上記課題に鑑みて、付根部の遅れ破壊を防止することができて、軽量かつ低コストな車輪用軸受装置を提供する。
本発明の車輪用軸受装置は、内周側に複数の外側軌道面が形成された外方部材と、外周側に複数の内側軌道面が形成された内方部材と、外方部材の外側軌道面とこれに対向する内方部材の内側軌道面との間に配置される転動体とを有する車輪用軸受を備え、この車輪用軸受の内方部材に、等速自在継手の外側継手部材のステム部が嵌入されるとともに、このステム部の軸端部にナット部材が螺着されて、ステム部に引張力が付与された状態で、内方部材と等速自在継手の外側継手部材とが締結される車輪用軸受装置であって、外側継手部材は、内側継手部材が収容されるマウス部と、このマウス部の底部から突設される前記ステム部とを備え、このステム部は、ハブ輪の雌スプラインに嵌合するマウス部側の雄スプラインと、反マウス部側の端部にねじ部とを有し、雄スプラインとねじ部との間に、ステム部とマウス部とのコーナ部であるステム付根部に発生する応力よりも大きな応力が生じる塑性変形可能部が設けられるとともに、この塑性変形可能部をハブ輪とステムとのスプライン嵌合部およびねじ部よりも小径の小径軸部とし、前記ねじ部へのナット部材の締付により、規定軸力以上の引張力が生じた際にのみ、前記塑性変形可能部はステム部の塑性変形による軸方向の伸びを許容してステム部の遅れ破壊の発生を抑える遅れ破壊防止部を構成するものである。
本発明の車輪用軸受装置によれば、ステム部の軸端部にナット部材が螺着されて、内方部材と等速自在継手の外側継手部材とが締結された状態において、ステム部への引張力が規定軸力未満であれば、引張力が弱くステム部の遅れ破壊を生じさせない。また、ステム部への引張力が規定軸力以上であれば、塑性変形可能部によって、ステム部は軸方向に伸び、ステム部の遅れ破壊を生じさせない。
規定軸力が負荷されたときの塑性変形可能部の応力値が800MPa以上であるように設定することができる。
塑性変形可能部を小径部にて構成することができる。
前記ステム部に雄スプラインが形成されるとともに、内方部材の内径面に雌スプラインが形成され、内方部材と等速自在継手の外側継手部材との締結状態で、雄スプラインと雌スプラインとが嵌合し、前記塑性変形可能部の軸方向長さをAとし、スプライン嵌合部の軸方向長さをBとしたときに、B/5<A≦Bとするのが好ましい。
このように設定することによって、塑性変形可能部の軸方向長さがスプライン嵌合部の1/5〜1/1となり、塑性変形可能部を確保することができる。
塑性変形可能部は、高周波焼入れ後に高周波焼き戻しされる処理が施されてなる場合や、浸炭焼入れ後に高周波焼き戻しされる処理が施されてなる場合がある。高周波焼入れとは、高周波電流の流れているコイル中に焼入れに必要な部分を入れ、電磁誘導作用により、ジュール熱を発生させて、伝導性物体を加熱する原理を応用した焼入れ方法である。焼き戻しとは、焼入れによって硬化した鋼に靭性を与える目的で行われる熱処理で、マルテンサイト組織の状態から鋼を再加熱し、一定時間保持した後に徐冷する作業をいう。高周波焼き戻しとは、この焼き戻しの再加熱に高周波を用いるものである。また、浸炭焼入れとは、低炭素材料の表面から炭素を浸入/拡散させ、その後に焼入れを行う方法である。
また、塑性変形可能部を防炭処理した後に、外側継手部材が浸炭焼入れされてなる場合がある。防炭処理とは、浸炭焼入れにおいて浸炭しないようにする処理である。これによって、外側継手部材に対して浸炭焼入れを行っても、塑性変形可能部においては硬化処理が行われないことになる。
車輪用軸受の内方部材は、外径面に車輪取付用フランジが形成されたハブ輪と、このハブ輪に外嵌される内輪とを備え、前記内輪のインボード側の端面と、この端面に相対面する外側継手部材の対向端面とが接触するようにするのが好ましい。このように接触することによって、ステム部の軸方向の曲げ剛性が向上する。なお、この曲げは、ジョイント高作動角時に発生する2次モーメントや旋回時にタイヤ側から入力されるアキシャル荷重により発生する。
また、ハブ輪のインボード側の端部を外径側へ加締めて、前記内輪のインボード側の端面に軸方向予圧を付与する加締部を設けることができる。これによって、外側継手部材のマウス部によって予圧を付与する必要がなくなる。
本発明の車輪用軸受装置では、ステム部へ規定軸力以上の引張力が作用しても、塑性変形可能部によって、ステム部は軸方向に伸び、ステム部の遅れ破壊を生じさせない。これによって、この車輪用軸受装置は長期にわたって安定した機能を発揮することができる。
規定軸力が負荷されたときの塑性変形可能部の応力値が800MPa以上であるように設定することによって、等速自在継手のステム部とマウス部とのコーナー部などに遅れ破壊を生じさせる応力が発生しない。
塑性変形可能部を小径部にて構成することによって、軽量化を図ることができる。しかも、塑性変形可能部の形成の簡易化を達成できる。
塑性変形可能部の軸方向長さがスプライン嵌合部の1/5〜1/1とすることによって、塑性変形可能部を確保することができる。このため、ステム部へ規定軸力以上の引張力が作用した際に、ステム部は安定して軸方向に延びることができ、遅れ破壊の防止の信頼性が向上する。
塑性変形可能部において焼き戻しを行うことによって、塑性変形可能部が靭性を有することになる。このため、ステム部へ規定軸力以上の引張力が作用した際に、亀裂等が生じることなく、ステム部は軸方向に延びる。
塑性変形可能部を防炭処理した後に、外側継手部材が浸炭焼入れされてなる場合であっても、塑性変形可能部が靭性を有することになって、ステム部へ規定軸力以上の引張力が作用した際に、亀裂等が生じることなく、ステム部は軸方向に延びる。
加締部と、外側継手部材の対向面とを接触させることによって、ステム部の軸方向の曲げ剛性が向上して、曲げに強くなって、耐久性に優れた高品質な製品となる。
ハブ輪の端部が加締られて転がり軸受に対して予圧が付与されるので、外側継手部材のマウス部によって予圧を付与する必要がなくなる。このため、予圧を考慮することなく、外側継手部材のステム部を連結することができ、ハブ輪と外側継手部材との連結性(組み付け性)の向上を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図1〜図3に基づいて説明する。
図1に第1実施形態の車輪用軸受装置を示し、この車輪用軸受装置は、内周側に複数の外側軌道面1、2が形成された外方部材3と、外周側に複数の内側軌道面4、5が形成された内方部材6と、外方部材3の外側軌道面1、2とこれに対向する内方部材6の内側軌道面4、5との間に配置される転動体7とを有する車輪用軸受8を備える。そして、この車輪用軸受8の内方部材6に、等速自在継手10の外側継手部材である外輪11の軸部(ステム部)12が嵌入されるものである。
等速自在継手10は、外側継手部材としての前記外輪11と、外輪11の内側に配された内側継手部材としての内輪(図示省略)と、外輪11と内輪との間に介在してトルクを伝達する複数のボール(図示省略)と、外輪11と内輪との間に介在してボールを保持するケージ(図示省略)とを主要な部材として構成される。
外輪11は、内輪を収容するマウス部13と、このマウス部13の底部から突設される前記ステム部(軸部)12とからなり、マウス部13は一端にて開口した椀状で、その内球面に、軸方向に延びた複数のトラック溝が形成されている。内輪は、その外球面に、軸方向に延びた複数のトラック溝が形成されている。
内方部材6は、車輪取付用のフランジ15を有するハブ輪16と、このハブ輪16に外嵌装着される一対の内輪18,19等で構成される。すなわち、ハブ輪16は、筒状の軸部20と、この軸部20の外径面に設けられる前記フランジ15とを備える。そして、軸部20のフランジ15よりもインボード側の外径面には段付部21が形成され、この段付部21に内輪18,19が外嵌されている。内輪18,19の外径面に前記内側軌道面4、5が設けられている。また、フランジ15には、ボルト装着孔22が設けられて、ホイールおよびブレーキロータをこのフランジ15に固定するためのハブボルト23がこのボルト装着孔22に装着される。さらに、ハブ輪16のアウトボード側の端面には、ホイールおよびブレーキロータが装着される短筒状のパイロット部24が突設されている。ここで、車両に組付けた状態で車両の外側となる方をアウトボード側と呼び、車両に組付けた状態で車両の内側となる方をインボード側と呼ぶ。
外方部材3の外径面には、車体取付用のフランジ25が設けられ、このフランジ25よりのインボード側の外径面が、車体側のナックル(図示省略)に嵌入されるナックル嵌合面3aとされる。なお、フランジ25には取付孔(ねじ孔)25aが設けられている、また、外方部材3の両開口部にはシール部材S1,S2が装着されている。
外輪11のステム部12は、マウス部側の雄スプライン30と、反マウス部側の端部のねじ部31と、この雄スプライン30とねじ部31との間の小径部32とを備える。また、雄スプライン30とマウス部13との間にアール状のステム付根部33が形成されている。小径部32は、小径の本体部32aと、雄スプライン30側のテーパ部32bと、ねじ部31側のテーパ部32cとを備える。
ハブ輪16の軸部20の内径面には雌スプライン35が設けられ、外輪11のステム部12がこの軸部20に嵌入された際には、雌スプライン35に外輪11のステム部12の雄スプライン30が嵌合する。また、軸部20からアウトボード側へ突出したねじ部31には、ナット部材36が螺着される。この際、ワッシャ部材37が、ハブ輪16のアウトボード側の端面に設けられた凹窪部38の底面38aに当接し、外輪11のマウス部13の底部底面(バック面)13aがインボード側の内輪19のインボード側の端面19aに当接する。外輪11のマウス部13のバック面13aと内輪19の端面19aとの接触面圧を100MPa以下に設定するのが好ましい。
このため、内輪19がアウトボード側へ軸方向に沿って押圧されることになる。すなわち、内輪18のインボード側の端面18bが内輪19のアウトボード側端面19bによってアウトボード側へ軸方向に沿って押圧され、内輪18のアウトボード側の端面18aが切欠端面21aに押圧される。これによって、この車輪用軸受8に予圧が付与される。
この際、ステム部12には引張力が付与されることになる。しかしながら、ステム部12は小径部32が形成されており、この小径部32が、規定軸力以上の引張力発生で、ステム部の軸方向の伸びを許容する塑性変形可能部40を構成する。すなわち、ハブ輪16とステム部12とのスプライン嵌合部(雄スプライン30と雌スプライン53との嵌合部)およびねじ部31よりも小径の小径軸部である小径の本体部32aが塑性変形可能部40を構成する。
すなわち、塑性変形可能部40は、ステム部12とマウス部13とのコーナ部であるステム付根部33に発生する応力よりも大きな応力が生じるものであって、規定軸力以上の引張力発生で伸びを許容する。すなわち、小径部32での応力をτ1とし、ステム付根部33での応力τ2とした場合、τ1>τ2となる。規定軸力としては例えば800MPaとする。このため、τ1は、800Mpa以上の引張り力で塑性変形する構造となっている。
図2に示すように、塑性変形可能部40の軸方向長さをAとし、スプライン嵌合部42の軸方向長さをBとしたときに、B/5<A≦Bとするのが好ましい。すなわち、塑性変形可能部40の軸方向長さがスプライン嵌合部の1/5〜1/1となる。
塑性変形可能部40は、高周波焼入れ後に高周波焼き戻しされる処理が施される。高周波焼入れとは、高周波電流の流れているコイル中に焼入れに必要な部分を入れ、電磁誘導作用により、ジュール熱を発生させて、伝導性物体を加熱する原理を応用した焼入れ方法である。焼き戻しとは、焼入れによって硬化した鋼に靭性を与える目的で行われる熱処理で、マルテンサイト組織の状態から鋼を再加熱し、一定時間保持した後に徐冷する作業をいう。高周波焼き戻しとは、この焼き戻しの再加熱に高周波を用いるものである。
本発明では、ステム部12に、ステム部12とマウス部13とのコーナ部であるステム付根部33に発生する応力よりも大きな応力が生じる塑性変形可能部40を設け、規定軸力以上の引張力発生で、塑性変形可能部40はステム部12の軸方向の伸びを許容するものである。すなわち、ステム部12へ規定軸力以上の引張力が作用しても、塑性変形可能部40によって、ステム部12は軸方向に伸び、ステム部12の遅れ破壊を生じさせない。これによって、この車輪用軸受装置は長期にわたって安定した機能を発揮することができる。
塑性変形可能部40を小径部32にて構成することによって、軽量化を図ることができる。しかも、塑性変形可能部40の形成の簡易化を達成できる。
塑性変形可能部40の軸方向長さがスプライン嵌合部の1/5〜1/1とすることによって、塑性変形可能部40を確保することができる。このため、軸部(ステム部12)へ規定軸力以上の引張力が作用した際に、ステム部12は安定して軸方向に延びることができ、遅れ破壊の防止の信頼性が向上する。
塑性変形可能部40が焼入れされた場合において、焼き戻しを行うことによって、塑性変形可能部40が靭性を有することになる。このため、ステム部12へ規定軸力以上の引張力が作用した際に、亀裂等が生じることなく、ステム部12は軸方向に延びる。
前記塑性変形可能部40としては、浸炭焼入れ後に高周波焼き戻しされる処理を施してもよい。浸炭焼入れとは、低炭素材料の表面から炭素を浸入/拡散させ、その後に焼入れを行う方法である。この場合であっても、塑性変形可能部40が靭性を有することになって、ステム部12へ規定軸力以上の引張力が作用した際に、亀裂等が生じることなく、ステム部12は軸方向に延びる。
塑性変形可能部40を防炭処理した後に、外輪全体に浸炭焼入れを行うようにしてもよい。防炭処理とは、浸炭焼入れにおいて浸炭しないようにする処理である。これによって、外輪に対して浸炭焼入れを行っても、塑性変形可能部40においては硬化処理が行われないことになる。このため、この場合も、塑性変形可能部40が靭性を有することになって、ステム部12へ規定軸力以上の引張力が作用した際に、亀裂等が生じることなく、ステム部12は軸方向に延びる。
次に図3は本発明の第2実施形態を示し、この場合、第3世代の車輪用軸受装置を示し、車輪用軸受8の内方部材6を、ハブ輪16と、このハブ輪16に装着される一つの内輪19とで構成している。
すなわち、ハブ輪16の軸部20のインボード側に段付部45を形成し、この段付部45に内輪19を外嵌固着するものであって、軸部20のインボード側の端部を外径側へ加締めて加締部46を形成し、この加締部46にて車輪用軸受8に予圧を付与しているものである。このため、予圧を考慮することなく、外輪11のステム部12を連結することができ、ハブ輪16と外輪11との連結性(組み付け性)の向上を図ることができる。
この場合、加締部46によって、内輪19のインボード側の端面19aを軸方向にそってアウトボード側へ押圧する。これによって、内輪19のアウトボード側の端面19bと切欠端面45aとが当接乃至圧接することになる。そして、等速自在継手10の外輪11のステム部12を、ハブ輪16の軸部20に嵌入して、ナット部材36をねじ部31に螺着することによって、加締部46の端面46aと等速自在継手10の外輪11のマウス部13の底部裏面(バック面)13aとが接触する状態となる。
このように、ナット部材36をねじ部31に螺着した状態では、ステム部12の雄スプライン30と軸部20の雌スプライン35とが嵌合されて、ハブ輪16と等速自在継手10とが一体化される。また、ステム部12には前記実施形態と同様、小径部32からなる塑性変形可能部40が形成されている。
このため、この車輪用軸受装置であっても、ナット部材36の締め付けによって、規定軸力以上の引張力が作用した場合、ステム部12は軸方向に延びることになって、遅れ破壊を防止することができる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、塑性変形可能部40としては、小径部32以外に、例えば、周方向に沿って所定ピッチで配設される複数の切欠部を設けたり、軸方向に直交する方向に沿って貫通孔を設けたりすることによっても構成できる。また、小径部32にて構成する場合、テーパ部32b、32cを設けないものであってもよい。もちろん、規定軸力以上の引張力が作用した場合、ステム部12は軸方向に延びるものであれば、塑性変形可能部40の軸方向長さをAとし、スプライン嵌合部42の軸方向長さをBとしたときに、B/5<A≦Bとならないものであってもよい。
本発明の第1実施形態を示す車輪用軸受装置の断面図である。 前記車輪用軸受装置の等速自在継手の外輪の側面図である。 本発明の第2実施形態を示す車輪用軸受装置の断面図である。 従来の車輪用軸受装置の断面図である。
符号の説明
1、2 外側軌道面
3 外方部材
4,5 内側軌道面
6 内方部材
7 転動体
8 車輪用軸受
10 等速自在継手
12 ステム部
13 マウス部
13a 底部裏面(バック面)
15 フランジ
16 ハブ輪
18,19 内輪
32 小径部
33 ステム付根部
35 雌スプライン
40 塑性変形可能部
42 スプライン嵌合部
46 加締部

Claims (9)

  1. 内周側に複数の外側軌道面が形成された外方部材と、外周側に複数の内側軌道面が形成された内方部材と、外方部材の外側軌道面とこれに対向する内方部材の内側軌道面との間に配置される転動体とを有する車輪用軸受を備え、この車輪用軸受の内方部材に、等速自在継手の外側継手部材のステム部が嵌入されるとともに、このステム部の軸端部にナット部材が螺着されて、ステム部に引張力が付与された状態で、内方部材と等速自在継手の外側継手部材とが締結される車輪用軸受装置であって、
    外側継手部材は、内側継手部材が収容されるマウス部と、このマウス部の底部から突設される前記ステム部とを備え、このステム部は、ハブ輪の雌スプラインに嵌合するマウス部側の雄スプラインと、反マウス部側の端部にねじ部とを有し、雄スプラインとねじ部との間に、ステム部とマウス部とのコーナ部であるステム付根部に発生する応力よりも大きな応力が生じる塑性変形可能部が設けられるとともに、この塑性変形可能部をハブ輪とステムとのスプライン嵌合部および端部ねじ部よりも小径の小径軸部とし、前記ねじ部へのナット部材の締付により、規定軸力以上の引張力が生じた際にのみ、前記塑性変形可能部はステム部の塑性変形による軸方向の伸びを許容してステム部の遅れ破壊の発生を抑える遅れ破壊防止部を構成することを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 前記規定軸力が負荷されたときの塑性変形可能部の応力値が800MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  3. 前記塑性変形可能部を小径部にて構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車輪用軸受装置。
  4. 前記ステム部に雄スプラインが形成されるとともに、内方部材の内径面に雌スプラインが形成され、内方部材と等速自在継手の外側継手部材との締結状態で、雄スプラインと雌スプラインとが嵌合し、前記塑性変形可能部の軸方向長さをAとし、スプライン嵌合部の軸方向長さをBとしたときに、B/5<A≦Bとなることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車輪用軸受装置。
  5. 前記塑性変形可能部は、高周波焼入れ後に高周波焼き戻しされる処理が施されてなることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の車輪用軸受装置。
  6. 前記塑性変形可能部は、浸炭焼入れ後に高周波焼き戻しされる処理が施されてなることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の車輪用軸受装置。
  7. 前記塑性変形可能部を防炭処理した後に、外側継手部材が浸炭焼入れされてなることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の車輪用軸受装置。
  8. 前記車輪用軸受の内方部材は、外径面に車輪取付用フランジが形成されたハブ輪と、このハブ輪に外嵌される内輪とを備え、前記内輪のインボード側の端面と、この端面に相対面する外側継手部材の対向端面とが接触することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の車輪用軸受装置。
  9. 前記車輪用軸受の内方部材は、外径面に車輪取付用フランジが形成されたハブ輪と、このハブ輪に外嵌される内輪とを備え、ハブ輪のインボード側の端部を外径側へ加締めて、前記内輪のインボード側の端面に軸方向予圧を付与する加締部を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の車輪用軸受装置。
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