JP2016002867A - スピンドル軸 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のような遅れ破壊の対策を施すことなく、駆動軸用の車輪用軸受装置を従動軸用に用いることが可能なスピンドル軸を提供する。
【解決手段】内径面に雌スプラインが形成された駆動軸側ハブ輪72を従動軸側に用い、このハブ輪の装着されるスピンドル軸61で、先端部のねじ部64と、このねじ部の基端側に段付き部を介して形成されて前記ハブ輪の雌スプライン80に歯合する雄スプライン65とを有する軸本体62と、軸本体の軸付け根アール部を介して軸本体に連設されバックフェース67とを備え、バックフェースは、ねじ部へのナット部材の螺合によって、ハブ輪の筒状軸部に外嵌され内輪を予圧する。雄スプラインの軸方向長さを、雌スプラインの軸方向長さよりも短く設定し、雄スプラインおよびバックフェースのベアリング押圧部を熱硬化処理部とするとともに、軸付け根アール部を非熱処理部とする。
【選択図】図1
【解決手段】内径面に雌スプラインが形成された駆動軸側ハブ輪72を従動軸側に用い、このハブ輪の装着されるスピンドル軸61で、先端部のねじ部64と、このねじ部の基端側に段付き部を介して形成されて前記ハブ輪の雌スプライン80に歯合する雄スプライン65とを有する軸本体62と、軸本体の軸付け根アール部を介して軸本体に連設されバックフェース67とを備え、バックフェースは、ねじ部へのナット部材の螺合によって、ハブ輪の筒状軸部に外嵌され内輪を予圧する。雄スプラインの軸方向長さを、雌スプラインの軸方向長さよりも短く設定し、雄スプラインおよびバックフェースのベアリング押圧部を熱硬化処理部とするとともに、軸付け根アール部を非熱処理部とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、スピンドル軸に関し、特に内径面に雌スプラインが形成された駆動軸側ハブ輪を従動軸側に用い、このハブ輪に装着されるスピンドル軸に関する。
車輪用軸受装置は、図5に示すように、内周側に複数の外側軌道面1、2が形成された外方部材3と、外周側に複数の内側軌道面4、5が形成された内方部材6と、外方部材3の外側軌道面1、2とこれに対向する内方部材6の内側軌道面4、5との間に配置される転動体7とを有する車輪用軸受8を備える。そして、この車輪用軸受8の内方部材6に、等速自在継手10の外側継手部材11の軸部(ステム部)12が嵌入されるものである。
等速自在継手10は、外側継手部材11と、外側継手部材11の内側に配された内側継手部材13と、外側継手部材11と内側継手部材13との間に介在してトルクを伝達する複数のボール14と、外側継手部材11と内側継手部材13との間に介在してボール14を保持するケージ15とを主要な部材として構成される。
外側継手部材11は、内側継手部材13を収容するマウス部16と、このマウス部16の底部から突設される前記ステム部(軸部)12とからなり、マウス部16は一端にて開口した椀状で、その内球面17に、軸方向に延びた複数のトラック溝18が形成されている。内側継手部材13は、その外球面19に、軸方向に延びた複数のトラック溝20が形成されている。
内方部材6は、車輪取付用のフランジ21を有するハブ輪22と、このハブ輪22に外嵌装着される一対の内輪23,24等で構成される。ハブ輪22は、筒状軸部25と、この軸部25の外径面に設けられる前記フランジ21とを備える。そして、軸部25のフランジ21よりもインボード側の外径面には段付部26が形成され、この段付部26に内輪23,24が外嵌されている。内輪23,24の外径面に前記内側軌道面4、5が設けられている。また、フランジ21には、ボルト装着孔27が設けられて、ホイールおよびブレーキロータをこのフランジ21に固定するためのハブボルト28がこのボルト装着孔27に装着される。ここで、車両に組付けた状態で車両の外側となる方をアウトボード側と呼び、車両に組付けた状態で車両の内側となる方をインボード側と呼ぶ。
前記ステム部12は、その反マウス部の端部にねじ部31が形成され、このねじ部31とマウス部16との間に雄スプライン32が形成されている。また、ハブ輪22の軸部25の内周面(内径面)に雌スプライン33が形成され、ステム部12がハブ輪22の軸部25に挿入された際には、ステム部側の雄スプライン32とハブ輪側の雌スプライン33とが係合(嵌合)する。
そして、軸部から突出したステム部12のねじ部31にナット部材(ハブナット)35が螺着され、ハブ輪22と外側継手部材11とが連結される。この際、ナット部材35の内端面(裏面)35aと軸部25の外端面25aとが当接するとともに、マウス部16のステム部側の端面(バックフェース)36とインボード側の内輪24の外端面24aとが当接する。すなわち、ナット部材35を締付けることによって、ハブ輪22が内輪23、24を介してナット部材35とマウス部16とで挟持される。この場合、アウトボード側の内輪23のアウトボード側の端面23aがハブ輪22の切欠端面37に当接し、内輪23,24に軸方向の予圧を付与することができる。
従来から自動車等の車輪を回転自在に支承する車輪用軸受装置は、所望の軸受剛性を確保するため所定の軸受予圧が付与されている。軸受予圧量の管理は、例えば、ハブ輪と内輪との突き合せ面を精度良く管理すると共に、ハブ輪と等速自在継手の外側継手部材とを固定ナットによって締結する際、この固定ナットの締付トルク(軸力)を所定値に設定することにより行われている。
当然、軸受予圧量は軸受寿命や剛性に影響するものであるが、それだけでなく、車両の安全走行や燃費向上等の環境問題に対して、この軸受予圧量は大きく関わってくる。すなわち、軸受予圧量は軸受の回転トルクと比例関係にあり、予圧量を低下させれば回転トルクが軽減でき燃費向上へ貢献することがきる。一方、軸受の剛性の主要因となる軸受傾き角と軸受予圧量との関係は反比例関係にあるため、予圧量を大きくすれば軸受剛性が向上して軸受傾き角は減少し、車両旋回時に発生するブレーキロータの傾きを抑制することができる。したがって、このような軸受の予圧量を最適に設定することにより、軸受の寿命だけでなく、車両の安全性や燃費向上の面で優れた車輪用軸受装置を提供することができる。
ところで、前記のような車輪用軸受装置では、等速自在継手10の外側継手部材11とを連結する場合、ハブナット35を強固に締め付ける必要がある。しかしながら、強固に締め付けた場合、外側継手部材11に遅れ破壊が発生するおそれがある。ここで、遅れ破壊とは、一定の引張応力が付加されている状態で、ある時間が経過したのち、外見上はほとんど塑性変形を伴わずに突然脆性的に破壊する現象である。
遅れ破壊が発生しやすい箇所としては、図6に示すように、ねじ部31と雄スプライン32との間の段付き部40と、ステム部12の付け根アール部41である。
従来には、ねじ部を有する浸炭部品において、熱処理後の硬さの適正化を図って、遅れ破壊を防止するものがある(特許文献1)。遅れ破壊は熱処理硬化層部のように硬さが硬いほど発生し易い。このため、この特許文献1では、硬度を低下させることで遅れ破壊を防止するものである。
しかしながら、等速自在継手の外側継手部材のステム部の付け根アール部では、捩りに対する強度を確保するために、熱処理による表面硬化が必要不可欠である。このため、従来において、ステム部の付け根アール部での遅れ破壊対策として以下の方法がある。
ステム部12の付け根アール部41のアール形状を大きくして、アール部41に掛かる応力を緩和する方法、マウス部16の底壁16aの肉厚(図6に示す部位の寸法T)を厚くして、アール部41に掛かる応力を緩和する方法、及びステム部12の付け根アール部41の硬さを、強度を確保できる範囲で低下させる方法(特許文献2)等である。
ところで、前記図5は駆動軸側の車輪用軸受装置を示している。しかしながら、このような駆動側の車輪用軸受装置を、図3と図4に示すように、従動軸側の車輪用軸受装置に流用する場合がある。例えば、4輪駆動(4WD)がベースの車種で2輪駆動のFF車やFR車を設定する場合に、FF車やFR車は数量的に余り多くないので、専用のハブ輪を設定するよりも駆動軸側のハブ輪を用いるのがコスト面でメリットがあるためである。ここで、FF(Front Engine Front Drive)は、エンジンが前にあって駆動輪も前輪にあるもの、FR(Front Engine Rear Drive)は、エンジンが前にあって駆動輪は後輪にあるもの、4WD(4 Wheel Drive)は、前輪、及び後輪全てが駆動輪であるものである。
すなわち、4WDの後輪用ハブ輪にダミー軸(駆動軸側の軸)を用いたり、4WDの前輪用ハブ輪にダミー軸(駆動軸側の軸)を用いたりすることができる。つまり、元来、等速自在継手が使用されていた駆動軸用ハブを従動軸用ハブとして使用するケースに、スピンドル軸(ダミー軸)が必要となる。
しかしながら、従動軸側の車輪用軸受装置に流用する場合も、車輪用軸受に予圧を与える目的から、ハブナットを強固に締め付ける必要がある。すなわち、図3では、駆動軸側の固定式等速自在継手の外側継手部材をそのまま使用したものであり、図4では、駆動軸側の固定式等速自在継手の外側継手部材の軸部(ステム部)のみを使用したものである。この場合の外側継手部材は、マウス部16の底壁16aのみを残した形状としている。
従動軸用のスピンドル軸に、駆動軸用の等速自在継手の外側継手部材を流用した場合においても、遅れ破壊が生じるおそれがある。すなわち、図6に示すように、ねじ部31と雄スプライン32との間の段付き部40と、ステム部12の付け根アール部41が遅れ破壊を生じやすい部位となっている。
このため、従動軸用のスピンドル軸に、駆動軸用の等速自在継手の外側継手部材を流用したとしても、前記したような種々の遅れ破壊の対策を施す必要があった。すなわち、ステム部の付け根アール部のアール形状を大きくしたり、マウス部の底壁の肉厚を厚くしたり、ステム部の付け根アール部の硬さを、強度を確保できる範囲で低下させたりする必要がある。このため、生産性に劣るとともに、コスト高となっていた。
そこで、従来のような遅れ破壊の対策を施すことなく、駆動軸用の車輪用軸受装置を従動軸用に用いることが可能なスピンドル軸を提供する。
本発明のスピンドル軸は、内径面に雌スプラインが形成された駆動軸側ハブ輪を従動軸側に用い、このハブ輪の装着されるスピンドル軸であって、先端部のねじ部と、このねじ部の基端側に段付き部を介して形成されて前記ハブ輪の雌スプラインに歯合する雄スプラインとを有する軸本体と、この軸本体の軸付け根アール部を介して軸本体に連設されて、前記ねじ部へのナット部材の螺合によって、ハブ輪の筒状軸部に外嵌される内輪に予圧を付与するバックフェースとを備え、この雄スプラインの軸方向長さを、駆動軸側ハブ輪として使用する際の駆動側スピンドル軸の雄スプラインの軸方向長さよりも短く設定し、雄スプラインおよびバックフェースのベアリング押圧部を熱硬化処理部とするとともに、軸付け根アール部を非熱処理部としたものである。
従動軸側に用いた場合、駆動軸のようにトルクを伝達する機能を必要とせず、予圧をかけるための軸力を発生させるものであればよい。このため、捩りに対する強度を確保する必要がなく、軸付け根アール部を非熱処理部としても問題が生じない。また、雄スプラインの軸方向長さが短ければ、スプラインの製造工程において、転造ラックの幅を短くでき、かつ、熱硬化処理範囲も少なくて済む。
このため、本願発明においては軸付け根アール部を非熱処理部としている。これによって、付け根アール部において硬さが硬くならない。また、雄スプラインおよびバックフェースのベアリング押圧部に熱硬化処理が施されているので、ベアリング(車輪用軸受)に対して、安定した予圧を与えることができる。
雄スプラインの軸方向長さを、ハブ輪の雌スプラインの軸方向長さの1/2以下とすることができる。また、前記熱硬化処理が高周波熱処理であったり、素材が中炭素鋼であったりする。
本発明では、軸付け根アール部を非熱処理部としたので、この付け根アール部において硬さが硬くならず、遅れ破壊の発生を防止できる。また、雄スプラインの軸方向長さが短いので、スプラインの製造工程において、転造ラックの幅を短くでき、製造コストの低減を図ることができる。さらには、熱硬化処理範囲も少なくて済むので、熱処理コストの低減を図ることができる。しかも、スプライン部とバックフェースとの距離を長くとれるので、付け根アール部を非熱処理硬化層とする場合において製造上容易になる。この場合、スプラインを付加する場所は付け根アール部から離間させるのが製造上有利である。このため、バックフェースよりもねじ部側に付加するのが最良である。
雄スプラインおよびバックフェースのベアリング押圧部に熱硬化処理が施されているので、ベアリング(車輪用軸受)に対して、安定した予圧を与えることができる。このため、所望の軸受剛性を確保することができ、軸受の寿命だけでなく、車両の安全性や燃費向上の面で優れた車輪用軸受装置を提供することができる。
雄スプラインの軸方向長さを、ハブ輪の雌スプラインの軸方向長さの1/2以下とすることができ、安定したコスト低減を図ることができる。また、熱処理装置として既存の高周波焼入れ装置をそのまま用いることができる。高周波焼入れに最適な中炭素鋼を用いることができ、安定した硬化層を形成することができる。
以下本発明の実施の形態を図1と図2に基づいて説明する。内周側に複数の外側軌道面51、52が形成された外方部材53と、外周側に複数の内側軌道面54、55が形成された内方部材56と、外方部材53の外側軌道面51、52とこれに対向する内方部材56の内側軌道面54、55との間に配置される転動体57とを有する車輪用軸受58を備える。そして、この車輪用軸受(ハブベアリング)58の内方部材56に、本発明に係るスピンドル軸61が嵌入されるものである。
スピンドル軸61は、図2に示すように、軸本体62と、この軸本体62の基端部に連設される外鍔部63とからなる。軸本体62は、先端側小径部62aと、基端側大径部62bとからなり、先端側小径部62aに雄ねじ部64が形成され、基端側大径部62bの先端側に雄スプライン65が形成されている。なお、先端側小径部62aと基端側大径部62bとのテーパ状段付き部62cが設けられている。スピンドル軸61は、鋼材を熱間鍛造、旋削工程、そして雄スプライン65を転造工程により形成して、その後、後述する熱硬化処理工程を施すことにより形成する。
また、外鍔部63と軸本体62との間に軸付け根アール部66が形成される。外鍔部63には、軸軸付け根アール部66に連設されて、車輪用軸受(ハブベアリング)58を押圧して予圧を付与するバックフェース67が形成される。この場合、外鍔部63は、例えば、図4に示すように、駆動軸側の車輪用軸受装置の等速自在継手の外側継手部材において、マウス部の底壁のみを残した形状となっている。したがって、スピンドル軸61は等速自在継手とは異なり車体側と連結されておらずトルク伝達は行われない。
スピンドル軸61の雄スプライン65は、この実施形態では、その軸方向長さXを基端側大径部62bの軸方向長さLの1/3程度としている。また、この雄スプライン65およびバックフェース67のベアリング押圧部67aに熱硬化処理が施されて熱硬化処理部S,Sが形成される。このため、軸付け根アール部66は非熱硬化処理部とされる。熱硬化処理部Sの表面硬さはHRC57〜64程度である。
熱硬化処理としては、高周波熱処理(高周波焼入れ)や浸炭焼入等がある。高周波焼入とは、高周波電流の流れているコイル中に焼入に必要な部分を入れ、電磁誘導作用によりジュール熱を発生させて伝導性物体を加熱する原理を応用した焼入方法である。この場合、スピンドル軸61の材質は、例えば、S53C等の炭素0.40wt〜0.80wt%を含む中炭素鋼からなる。また、浸炭焼入とは、低炭素材料の表面から炭素を浸入/拡散させ、その後に焼入を行う方法である。この場合、スピンドル軸61の素材は、その炭素0.15%〜0.45wt%とし、浸炭焼入処理時の表面炭素濃度(CP値)を0.50%〜0.70%とすることができる。
内方部材56は、図1に示すように、車輪取付用のフランジ71を有するハブ輪72と、このハブ輪72に外嵌装着される一対の内輪73,74等で構成される。すなわち、ハブ輪72は、筒状軸部75と、この筒状軸部75の外径面に設けられる前記フランジ71とを備える。そして、筒状軸部75のフランジ71よりもインボード側の外径面には段付部76が形成され、この段付部76に内輪73,74が外嵌されている。内輪73,74の外径面に前記内側軌道面54、55が設けられている。また、フランジ71には、ボルト装着孔77が設けられて、ホイールおよびブレーキロータをこのフランジ71に固定するためのハブボルト78がこのボルト装着孔77に装着される。ここで、車両に組付けた状態で車両の外側となる方をアウトボード側と呼び、車両に組付けた状態で車両の内側となる方をインボード側と呼ぶ。
ハブ輪72の筒状軸部75の内周面(内径面)に雌スプライン80が形成され、スピンドル軸61がハブ輪72の筒状軸部75に挿入された際には、スピンドル軸61の雄スプライン65とハブ輪72の雌スプライン80とが係合(嵌合)する。
そして、ハブ輪72の筒状軸部75から突出したスピンドル軸61のねじ部64にナット部材(ハブナット)81が螺着され、ハブ輪22とスピンドル軸61とが連結される。この際、ナット部材81の内端面(裏面)81aと筒状軸部75の外端面75aとが当接するとともに、スピンドル軸61のバックフェース67のベアリング押圧部67a(熱硬化処理部S)とインボード側の内輪74の外端面74aとが当接する。すなわち、ナット部材81を締付けることによって、ハブ輪72が内輪74、75を介してナット部材81とスピンドル軸61の外鍔部63とで挟持される。この場合、アウトボード側の内輪73のアウトボード側の端面73aがハブ輪72の切欠端面82に当接し、内輪73,74に軸方向の予圧を付与することができる。
ところで、スピンドル軸61の雄スプライン65の軸方向長さXとしては、前記実施形態では、基端側大径部62bの軸方向長さLの1/3程度に設定していたが(図2参照)、この場合、ハブ輪72の雌スプライン80の軸方向長さYの1/2程度である。
本発明のスピンドル軸61においては、軸付け根アール部66を非熱処理部としたので、この軸付け根アール部66において硬さが硬くならず、遅れ破壊の発生を防止できる。また、雄スプライン65の軸方向長さが短いので、スプラインの製造工程において、転造ラックの幅を短くでき、製造コストの低減を図ることができる。さらには、熱硬化処理範囲も少なくて済むので、熱処理コストの低減を図ることができる。しかも、雄スプライン65とバックフェース67との距離を長くとれるので、軸付け根アール部66を非熱処理硬化層とする場合において製造上容易になる。この場合、雄スプライン65を付加する場所は軸付け根アール部66から離間させるのが製造上有利である。このため、バックフェース67よりもねじ部側に設けるのが最良である。
雄スプライン65およびバックフェース67のベアリング押圧部に熱硬化処理が施されているので、ベアリング(車輪用軸受)に対して、安定した予圧を与えることができる。このため、所望の軸受剛性を確保することができ、軸受の寿命だけでなく、車両の安全性や燃費向上の面で優れた車輪用軸受装置を提供することができる。
雄スプライン65の軸方向長さXを、ハブ輪72の雌スプライン80の軸方向長さYの1/2以下とすることができ、安定したコスト低減を図ることができる。雄スプライン65の軸方向長さとしては、雄スプライン65と雌スプライン80の噛合はトルク伝達機能を発揮する必要がなく、ハブナット81の締め付け時に、いわゆる供回りしない程度の噛合であればよい。
しかしながら、雄スプライン65の軸方向長さXが短すぎると、転造加工もしくはプレス成形加工にて雄スプライン65の成形が困難となり、また、熱処理範囲が小さくなり、熱処理を施しにくくなるおそれがある。このため、雄スプライン65の軸方向長さXとしては、10mm以上が好ましい。雄スプライン65の軸方向長さXが長すぎて、熱処理範囲が軸付け根アール部66に掛からないよういする必要があり、このため、ハブ輪72の雌スプライン80の軸方向長さの1/2以下とするのが好ましい。
また、熱硬化処理部の硬化処理に、高周波焼入れを用いる場合、熱処理装置として既存の高周波焼入れ装置をそのまま用いることができ、製造コストの低減を図ることができる。また、高周波焼入れに最適な中炭素鋼を用いることができ、安定した硬化層を形成することができる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、前記実施形態では、車輪用軸受58の転動体としてボールを用いたものであったが、円すいころを用いたものであってもよい。また、スピンドル軸61は外鍔部63のタイプで説明したが、図5に示すマウス部を有するタイプであってもよい。
61 スピンドル軸
62 軸本体
63 外鍔部
64 ねじ部
65 雄スプライン
66 軸付け根アール部
67 バックフェース
67a ベアリング押圧部
72 ハブ輪
80 雌スプライン
S 熱硬化処理部
62 軸本体
63 外鍔部
64 ねじ部
65 雄スプライン
66 軸付け根アール部
67 バックフェース
67a ベアリング押圧部
72 ハブ輪
80 雌スプライン
S 熱硬化処理部
Claims (4)
- 内径面に雌スプラインが形成された駆動軸側ハブ輪を従動軸側に用い、このハブ輪の装着されるスピンドル軸であって、
先端部のねじ部と、このねじ部の基端側に段付き部を介して形成されて前記ハブ輪の雌スプラインに歯合する雄スプラインとを有する軸本体と、この軸本体の軸付け根アール部
を介して軸本体に連設されて、前記ねじ部へのナット部材の螺合によって、ハブ輪の筒状軸部に外嵌される内輪に予圧を付与するバックフェースとを備え、この雄スプラインの軸方向長さを、駆動軸側ハブ輪として使用する際の駆動側スピンドル軸の雄スプラインの軸方向長さよりも短く設定し、雄スプラインおよびバックフェースのベアリング押圧部を熱硬化処理部とするとともに、軸付け根アール部を非熱処理部としたことを特徴とするスピンドル軸。 - 雄スプラインの軸方向長さを、ハブ輪の雌スプラインの軸方向長さの1/2以下としたことを特徴とする請求項1に記載のスピンドル軸。
- 前記熱硬化処理部が高周波熱処理にて施されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスピンドル軸。
- 素材が中炭素鋼であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の等速自在継手。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2020012476A (ja) * | 2018-07-13 | 2020-01-23 | 本田技研工業株式会社 | 固定装置 |
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